JP3835830B2 - 短波長発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はダイヤモンドにより形成された短波長発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンドープのダイヤモンドは電気的絶縁体であり、そのバンドギャップは約5.5eVと比較的大きい。ダイヤモンドを人工的に形成する方法として、CVD(気相成長)法によりダイヤモンド薄膜を形成する方法が知られている(特公昭59−27754号)。
【0003】
また、ダイヤモンド中にB(ボロン)等の不純物をドーピングすることにより、p型半導体ダイヤモンドを形成する方法も知られている(特開昭59−137396号)。
【0004】
更に、単結晶ダイヤモンド基板上にダイヤモンドを気相合成すると単結晶ダイヤモンド薄膜を得ることができることも公知である(ダイヤモンドに関する研究,無機材質研究所研究報告書第39号,科学技術庁,1984,pp.39−43及び特開平2−233590号)。
【0005】
更にまた、シリコン基板上にダイヤモンドの(100)又は(111)の結晶面を配向させて成長したダイヤモンド薄膜の形成方法も知られている(M.Rosler, et al. ;2nd International Conference on the Applications of Diamond Films and Related Materials, Ed.M.Yoshikawa, et al., MYU, Tokyo, 1993, pp.691-696.)。
【0006】
そして、これらの方法により形成されたダイヤモンド膜を使用した発光素子が従来公知である。例えば、半導体ダイヤモンドを使用したMS(金属/半導体ダイヤモンド)型、MIS(金属/アンドープ絶縁性ダイヤモンド/半導体ダイヤモンド)型又はEL(エレクトロルミネッセンス)型の発光素子(以下、第1の従来例という)がある。
【0007】
図10に、MIS型の発光素子を示す(特開平1−102893号)。この発光素子はp型の半導体ダイヤモンド層51とこの半導体ダイヤモンド層51上に形成されたアンドープダイヤモンド層53とにより構成されている。そして、半導体ダイヤモンド層51の下面側には第1電極52が形成されており、アンドープダイヤモンド層53の上には第2電極54が形成されている。
【0008】
このように構成された発光素子において、第1電極に正、第2電極に負の電圧を印加すると、電子がアンドープダイヤモンド層53を介して半導体ダイヤモンド層51に注入され、ホールと再結合することにより発光する。
【0009】
また、発光層にダイヤモンド膜を使用し、その形成条件(不純物及び欠陥の種類)を変化させることにより、赤、青又は緑の発光を得る発光素子(以下、第2の従来例という)もある(特開平3−122093号)。
【0010】
更に、導電性基板上にp型又はn型の半導体ダイヤモンドからなる発光層を形成し、更にこの発光層上にアンドープダイヤモンド層及び電極を順次形成した発光素子(以下、第3の従来例という)もある(特開平3−222376号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例における発光素子の発光バンド強度のピークは約450nmであり、第2の従来例における発光素子の発光バンド強度のピークは約350乃至750nmである。また、第3の従来例における発光色は緑白色である。このような波長領域では既にSiC及びGaNを使用した高輝度の発光素子が市販されており、ダイヤモンドを使用する優位性はない。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、300nm以下の波長の光を発生する短波長発光素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る短波長発光素子は、第1ダイヤモンド層と、この第1ダイヤモンド層に積層され前記第1ダイヤモンド層より高抵抗の第2ダイヤモンド層と、前記第1及び第2ダイヤモンド層に夫々接する第1及び第2電極とを有し、前記第1及び第2ダイヤモンド層は、いずれも室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、235nm又は238nmの励起子の再結合発光が観測されダイヤモンドにより構成されており、前記第1及び第2電極間に電圧を印加して得られる発光スペクトルは238nm又は235nmの波長に発光強度のピークを有することを特徴とする。
【0017】
なお、前記ダイヤモンド層は、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測されるダイヤモンドにより構成されていることが好ましい。
【0018】
【作用】
ダイヤモンドはバンドギャップが5.5eVであり、他の半導体材料に比して大きいことが特徴であり、再結合発光により、原理的には他の半導体材料では発生することができない300nm以下の短波長の発光が可能である。しかし、このようにバンドギャップに近いエネルギを有する発光は発光強度が結晶の品質の高さに依存し、従来のダイヤモンド膜を使用した発光素子においては、ダイヤモンド膜の結晶の品質が低く、結晶内部の格子欠陥密度が高いため、電子が非発光過程によりエネルギを放出してしまい、300nm以下の短波長光の発光が得られていない。本発明は、ダイヤモンド層の結晶品質を向上させることにより、電極間に高電圧を印加すると、十分な強度の短波長光が得られることに着目し、これを発光素子に適用したものである。
【0019】
本発明に係る短波長発光素子においては、例えば、発光層としてp型又はn型の半導体ダイヤモンドを使用する。以下、B等のp型不純物を導入した半導体ダイヤモンドを第1及び第2ダイヤモンド層として使用した場合について説明する。
【0020】
先ず、第1電極に正、第2電極に負の順方向の電圧を印加する。この場合に、第2ダイヤモンド層は高抵抗であるため、この第2ダイヤモンド層に強電界を印加することができる。これにより、例えばトンネリング等の機構を経て、電子が第2電極から第1ダイヤモンド層へ注入されて発光する。
【0021】
前記第1及び第2ダイヤモンド層として、例えばカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測されるような結晶品質が優れたダイヤモンド層を使用することにより、従来よりも短波長の300nm以下に発光強度のピークを有する発光スペクトルが得られる。
【0022】
請求項2のように、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光を観測することにより結晶品質の高さを評価することができる。以下に、その理由を説明する。一般的に、結晶中で励起子が再結合発光する場合において、その再結合発光の有無及びその強度は、等温で比較した場合、結晶格子の完全性の高さを反映し、また、その発光のピーク強度は温度が高くなるほど低下する。これは、ダイヤモンド結晶においても同様であり、その励起子の再結合発光はカソードルミネッセンススペクトルにより測定できる。励起子の再結合発光が観測できる場合は、そのダイヤモンド層は結晶性が高く、十分に高品質であるといえる。
【0023】
カソードルミネッセンスの測定は、例えば、電子顕微鏡に集光ミラー、合成石英製窓、分光器及び光電子増倍管を組み込んだ装置を使用して実施することができる。即ち、電子顕微鏡の電子線を、例えば、加速電圧が5kV、電流が3×10-8Aで照射したときにダイヤモンドが放出する光を分光することにより、発光ピークの有無を確認することができる。なお、発光ピークの波長は、その起源(例えば、自由励起子の再結合を介して発光するか、又は中性アクセプタ束縛励起子の再結合を介して発光するか等)に応じて一定の値となる。
【0024】
高品質なダイヤモンド層の場合、結晶内部の格子欠陥密度が低く、電子が非発光過程によりエネルギを失うことが少ないため、バンドギャップのエネルギに近い300nm以下の短波長の発光が得られる。即ち、第1ダイヤモンド層に注入された電子は伝導帯から荷電子帯へ遷移し、ホールと再結合する。このとき、電子が失うエネルギはバンドギャップとほぼ同一のエネルギであり、波長が約200nmの光となって放出される。また、電子がバンド端近傍の準位を介して再結合する場合においても、波長が約200nmの光を放出する。例えば、自由励起子の準位を介して再結合する場合は、波長が235nmの光を放出し、Bのような不純物に関する中性アクセプタ束縛励起子の準位を介する場合には波長が238nmの光を放出する。
【0025】
なお、ダイヤモンド結晶、気相合成ダイヤモンド膜及び高配向性ダイヤモンド膜を基板とし、この基板上にダイヤモンド層を形成することにより、高品質のダイヤモンド層を得ることができる。特に、高配向性ダイヤモンド上に形成したダイヤモンド層は品質が極めて優れている。高配向性ダイヤモンド膜とは、気相合成によって非ダイヤモンド基板上に形成されたダイヤモンド薄膜において、結晶面方位が規則的に配列したものをいう。また、前記ダイヤモンド層は、Si等の非ダイヤモンド基板上に形成した後、前記基板を除去したものであってもよい。
【0026】
本発明においては、第1ダイヤモンド層が発光層となるため、この第1ダイヤモンド層はB等の不純物が導入された半導体ダイヤモンドにより構成されていることが必要である。一方、第2ダイヤモンド層は、アンドープダイヤモンド又は半導体ダイヤモンドのいずれであってもよい。
【0027】
また、第1ダイヤモンド層の所定の領域上に第2ダイヤモンド層が形成されており、第1ダイヤモンド層の前記所定の領域以外の領域上に第1電極が選択的に形成された構造とすることにより、第1ダイヤモンド層の下面側に電極がないため、発生した光を第1ダイヤモンド層の下面側から効率よく放出させることができる。
【0028】
更に、ダイヤモンド層中の不純物濃度を厚さ方向に連続的に変化させ、高濃度不純物領域(低抵抗領域)と低濃度不純物領域(高抵抗領域)とを設けても、上述の短波長発光素子と同様に、300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する発光を得ることができる。
【0029】
更にまた、ダイヤモンドの厚さ方向に高濃度不純物領域と低濃度不純物領域とが交互に複数組設けられている場合は、所謂レーザ発光を得ることができる。この場合も、発光スペクトルは300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。本実施例に係る短波長発光素子1は、低抵抗のp型半導体ダイヤモンドからなる第1ダイヤモンド層3と、この第1ダイヤモンド層3上に形成された高抵抗のダイヤモンドからなる第2ダイヤモンド層4とにより構成されている。そして、第1ダイヤモンド層3の下面側には金属製の第1電極2が形成されており、第2ダイヤモンド層4上の所定領域には第2電極5が形成されている。
【0031】
なお、第1及び第2ダイヤモンド層は、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測できる高品質なダイヤモンドにより構成されている。
【0032】
次に、このように構成された短波長発光素子1の動作について説明する。短波長発光素子1の第1電極2に正、第2電極5に負の電圧を印加する。本実施例においては、第2ダイヤモンド層4が高抵抗ダイヤモンドにより形成されているため、高電界を印加でき、電子を高エネルギに加速することができる。図2にこの場合のエネルギーバンド構造を示す。第2電極6は第2ダイヤモンド層8に接しており、第2電極6のフェルミレベル7は電圧が印加されているために上昇し、その結果、第2ダイヤモンド層8の荷電子帯レベル9及び伝導帯レベル10は第2電極6側が高くなって傾斜している。
【0033】
また、第2ダイヤモンド層8は第1ダイヤモンド層11と接しており、第1ダイヤモンド層11の荷電子帯レベル12及び伝導帯レベル13は夫々荷電子帯レベル9及び伝導帯レベル10に接続している。
【0034】
第2電極6中のフェルミレベル7にある電子はトンネリング等の機構を経て第2ダイヤモンド層8を通過して第1ダイヤモンド層11へ注入される。
【0035】
この場合に、第1ダイヤモンド層11は高品質なダイヤモンド膜であるため、電子が非発光過程でエネルギを失うことが殆どない。従って、伝導帯13の電子は第1ダイヤモンド層の荷電子帯に存在する正孔と再結合し、このとき、バンドギャップにほぼ等しいエネルギの光を放出する。即ち、300nm以下の波長の光を放出する。
【0036】
なお、ダイヤモンド層は、ダイヤモンド結晶、気相合成ダイヤモンド又は高配向性ダイヤモンド基板上に形成することにより、高品質なものを得ることができる。また、ダイヤモンド層をシリコン及び金属等の非ダイヤモンド基板上に形成する場合は、ダイヤモンドの合成条件を最適化し、結晶欠陥及び粒界の密度を低減する必要がある。
【0037】
また、本発明においては電極材料としては、一般的な導電材料を使用することができるが、特に透明電極が必要な場合は、インジウム錫酸化物(ITO)、SnO2 、ZnO、SnO2 −Sb又はCd2 SnO4 等により電極を形成すればよい。第2電極を透明電極とすることにより、この透明電極を介して短波長発光素子1の上方へ光を放出させることができる。
【0038】
図3(a)は本発明の第2の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図、図3(b)は横軸にB濃度をとり、縦軸に半導体ダイヤモンド層表面からの深さをとって、本実施例に係る短波長発光素子15のダイヤモンド層中のB濃度を示すグラフ図である。ダイヤモンド層16は例えば、ダイヤモンド基板(図示せず)上に形成されており、Bドープされたp型半導体である高品質なダイヤモンド膜からなる。このダイヤモンド層16上の所定領域に第1電極18及び第2電極19が形成されている。ダイヤモンド層16は、図3(b)に示すように、上面側のB濃度が低く、下面側でB濃度が高くなっている。また、このダイヤモンド層16は、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測できる高品質なダイヤモンドにより形成されている。
【0039】
この短波長発光素子15において、第1電極18と第2電極19との間に所定の電圧を印加する。この場合に、ダイヤモンド層16の上面側はB濃度が低いため高抵抗であり、高電界を印加することができる。このように、第1及び第2電極18,19間に高電圧を印加することにより、第2電極19からダイヤモンド層16の上面側(高抵抗側)から下面側(低抵抗側)にトンネリング等により電子が注入され、この電子が正孔と再結合することにより、300nm以下の波長の光が放出される。
【0040】
本実施例においては、第1電極18及び第2電極19がダイヤモンド層16の上に形成されているので、短波長発光素子15の下面側から光が放出される。
【0041】
なお、ダイヤモンド層16はダイヤモンド基板上に形成するか又は非ダイヤモンド基板上に形成した後、前記基板から分離して使用してもよい。
【0042】
図4は(a)本発明の第3の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図、図4(b)は横軸にB濃度をとり、縦軸にダイヤモンド層表面からの深さをとって、本実施例の短波長発光素子20のダイヤモンド層中のB濃度分布を示すグラフ図である。ダイヤモンド層22は、その厚さ方向でB濃度が連続的に変化している。即ち、上面側のB濃度が低く、下面側ほどB濃度が高くなっている。このダイヤモンド層22も、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測できる高品質なダイヤモンドにより構成されている。このダイヤモンド層22の下面側には第1電極21が形成されており、上面側には第2電極24が形成されている。
【0043】
この短波長発光素子20においても、第2の実施例と同様に、300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する発光スペクトルを得ることができる。
【0044】
この短波長発光素子20は、ダイヤモンド層22の下面側及び上面側に夫々電極21,24が設けられているため、光が側方に放出される。
【0045】
図5(a)は本発明の第4の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図、図5(b)は横軸にB濃度をとり、縦軸にダイヤモンド層16表面からの深さをとって、B濃度分布を示すグラフ図である。
【0046】
この短波長発光素子25は第2の実施例とほぼ同様の構造であり、ダイヤモンド層16は室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測される高品質なダイヤモンドにより形成されている。この、ダイヤモンド層16にはBが高濃度にドープされたBドープ領域(高濃度不純物領域)とBがドープされていないアンドープ領域(低濃度不純物領域)とが交互に設けられている。
【0047】
この短波長発光素子25の第1電極18及び第2電極19に所定の電圧を印加すると、各アンドープ領域を介してBドープ層に電子が注入され、電子がホールと再結合し、300nm以下の波長の光を発生する。本実施例においては、レーザ発光を得ることができる。また、この場合は発光素子25の側方に向けて光が出力される。
【0048】
図6(a)は本発明の第5の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図、図6(b)は横軸にB濃度をとり、縦軸に第2ダイヤモンド層33表面からの深さをとって、第1及び第2ダイヤモンド層32,33中のB濃度分布を示すグラフ図である。第1ダイヤモンド層32は室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測される高品質なダイヤモンドにより形成されている。また、この第1ダイヤモンド層32には、図6(b)に示すように、高濃度にBがドープされたBドープ領域とアンドープ領域とが交互に設けられている。このダイヤモンド層32上には、同じく、高品質なダイヤモンドからなるアンドープの第2ダイヤモンド層33が形成されている。また、ダイヤモンド層32の下面側には第1電極31が形成されており、ダイヤモンド層33の上面側の所定領域には第2電極34が形成されている。
【0049】
本実施例においても、第4の実施例と同様に、300nm以下の短波長領域に発光強度のピークを有するレーザ光を得ることができる。
【0050】
図7は本発明の第6の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。この短波長発光素子38において、Bドープされた第1ダイヤモンド層39は、例えばSi等の非ダイヤモンド基板(図示せず)上に形成した後、非ダイヤモンド基板から分離したダイヤモンド膜である。この第1ダイヤモンド層39上の中央の所定領域には高抵抗の第2ダイヤモンド層40がパターン形成されている。この第2ダイヤモンド層40上には第2電極41が形成されている。また、第1ダイヤモンド層39の縁部上には、第1電極42が形成されている。なお、第1及び第2ダイヤモンド層39,40は、いずれも、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測される高品質なダイヤモンドにより構成されている。
【0051】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光がダイヤモンド層39の下面側から出力される。
【0052】
図8は、本発明の第7の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。第1ダイヤモンド層45にはBがドープされており、この第1ダイヤモンド層45上にはアンドープの第2ダイヤモンド層46が形成されている。これらのダイヤモンド層45,46は、いずれも室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測される高品質なダイヤモンドにより構成されている。そして、第1ダイヤモンド層45の下面側には第1電極44が形成されており、第2ダイヤモンド層46上には第2ダイヤモンド層46とほぼ同一の大きさで第2電極47が形成されている。
【0053】
本実施例においても、第1ダイヤモンド層45と第1電極44との接合面に平行な方向に300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光が出力される。
【0054】
次に、本発明に係る短波長発光素子を実際に製造し、発光スペクトルを調べた結果について説明する。単結晶ダイヤモンド膜を基板として使用し、マイクロ波CVD法により、この基板上にp型半導体ダイヤモンド層(p層)を形成した。このp層の形成条件を下記に示す。
【0055】
p層形成条件
基板;単結晶ダイヤモンド
反応ガス;CH4ガス:0.5%,B26ガス:5ppm,H2ガスの混合ガス基板温度;800℃
ガス圧力;35Torr
合成時間;14時間
膜厚;3μm
なお、p層の不純物濃度を2次イオン質量分析(SIMS)により測定した。その結果、不純物濃度は1019cm-3であった。また、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルを調べ、励起子の再結合発光を観測することにより、p層が高品質であることを確認した。
【0056】
次いで、マイクロ波CVD法を使用して、p層上に直径が700μmのアンドープダイヤモンド層(i層)を選択的に形成した。このi層の形成条件を下記に示す。
【0057】
i層形成条件
反応ガス;CH4ガス:0.5%,H2ガスの混合ガス
基板温度;800℃
ガス圧力;35Torr
合成時間;2時間
膜厚;0.5μm
なお、室温におけるカソードルミネッセンススペクトルを調べ、励起子の再結合発光を観測することにより、i層が高品質であることを確認した。
【0058】
次に、i層表面をフォトレジスト膜によりマスクをパターン形成した後、Bを選択的にイオン注入した。そして、フォトレジスト膜を除去した後、真空中において900℃で1時間の熱処理を実施した。
【0059】
その後、フォトリソグラフィー技術によりi層上に直径が500μmのAu電極を形成し、p層上にTi/Auの2層電極を形成した。
【0060】
このようにして製造した短波長発光素子において、Ti/Au電極に対しAu電極に−80Vの電圧を印加して単結晶ダイヤモンド基板の下から発光スペクトル測定した。この発光スペクトルを図9に示す。図9は横軸に波長をとり、縦軸に発光強度をとったグラフ図である。この図9に示すように、ダイヤモンドのバンド間遷移に対応して波長約238nmにピークを有するスペクトルが得られた。
【0061】
なお、本発明に係る短波長発光素子は、集積化することにより、1次元、2次元又は3次元のアレー又はディスプレイを構成することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、ダイヤモンド層が室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、励起子の再結合発光が観測される高品質のダイヤモンドにより構成されており、電子が非発光過程によりエネルギを失うことが殆どないので、300nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する短波長の発光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る短波長発光素子及びその発光方向を示す断面図である。
【図2】本発明におけるバンド構造を示す模式図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施例に係る短波長発光素子を示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施例に係る短波長発光素子及びその発光方向を示す断面図である。
【図8】本発明の第5の実施例に係る短波長発光素子及びその発光方向を示す断面図である。
【図9】本発明の第7の実施例に係る短波長発光素子の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図10】従来の発光素子を示す断面図である。
【符号の説明】
1,15,20,25,30,38,43;短波長発光素子
2,18,21,31,42,44,52;第1電極
3,11,32,39,45,51;第1ダイヤモンド層
4,8,23,33,40,46,53;第2ダイヤモンド層
5,6,19,24,34,41,47,54;第2電極
7;フェルミレベル
9,12;荷電子帯レベル
10,13;伝導帯レベル
16,22;ダイヤモンド層

Claims (6)

  1. 第1ダイヤモンド層と、この第1ダイヤモンド層に積層され前記第1ダイヤモンド層より高抵抗の第2ダイヤモンド層と、前記第1及び第2ダイヤモンド層に夫々接する第1及び第2電極とを有し、前記第1及び第2ダイヤモンド層は、いずれも室温におけるカソードルミネッセンススペクトルにおいて、235nm又は238nmの励起子の再結合発光が観測されダイヤモンドにより構成されており、前記第1及び第2電極間に電圧を印加して得られる発光スペクトルは238nm又は235nmの波長に発光強度のピークを有することを特徴とする短波長発光素子。
  2. 前記第1ダイヤモンド層は半導体ダイヤモンドにより構成され、前記第2ダイヤモンド層はアンドープダイヤモンドにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の短波長発光素子。
  3. 前記第1及び第2ダイヤモンド層はいずれも半導体ダイヤモンドにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の短波長発光素子。
  4. 前記第1及び第2ダイヤモンド層のいずれか一方は、ダイヤモンド結晶、気相合成ダイヤモンド膜及び高配向性ダイヤモンド膜からなる群から選択された部材上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の短波長発光素子。
  5. 前記第1及び第2ダイヤモンド層は、非ダイヤモンド基板上に積層して形成され、前記非ダイヤモンド基板から分離されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の短波長発光素子。
  6. 前記第2ダイヤモンド層は前記第1ダイヤモンド層の所定の領域上に積層され、前記第1電極は前記第1ダイヤモンド層の前記所定の領域以外の領域上に選択的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の短波長発光素子。
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