JP3835379B2 - エンジンの可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの可変動弁装置に関し、特に、油圧式の位相可変機構を備えたエンジンの可変動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエンジンのバルブタイミング制御装置としては、カムシャフトの一端側に油圧式の位相可変機構を設け、スプロケットやタイミングプーリとカムシャフトとの位相を変化させることが知られている。
【0003】
例えば、特開平9−195805号公報にも開示されているように、位相可変機構は、カムシャフトの一端側端部においてカムプーリに一体的に連結されるケーシングと、そのケーシング内に勘合され、カムシャフトに一体的に連結されるロータとから構成されている。ケーシングには、中空円筒状に形成されるとともに、その中空円筒内面に中空円筒の中心に向かって延びる4つの突出部が形成され、ロータには、円筒状のボス部の外周から径方向外方に延びる4つのベーンが形成されている。そして、ケーシングに形成された4つの突出部とロータに形成された4つのベーンとは周方向に交互に配置されて8つの受圧室が形成され、この8つの受圧室の内、ロータの各ベーンに対しカムシャフトの回転側に位置づけられた4つの受圧室が遅角室として構成される一方、この遅角室の反対側に位置づけられた4つの受圧室が進角室として構成される。
【0004】
このような位相可変機構においては、遅角室と油圧源とが連通されると、遅角室の油圧が増大されてロータがケーシングに対しカムシャフトの回転と反対側に回動され、これによってバルブタイミングを遅角側に変更することができる一方、進角室が油圧源と連通されると、進角室の油圧が増大されてロータがケーシングに対しカムシャフトの回転する側に回動され、これによってバルブタイミングを進角側に変更することができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の先行技術のように油圧式の位相可変機構を備えた場合、進角室と油圧源とを連通する進角用給油通路と、遅角室と油圧源とを連通する遅角用給油通路とを追加する必要がある。
【0006】
ここで、位相可変機構に対する油圧は、通常、油圧源からカムシャフトの軸受部を介した後位相可変機構に供給されることになるが、カムシャフトの軸受部にはもともとカムシャフト潤滑用のカムシャフト用給油通路が形成されているため、カムシャフトの軸受部には、従来からあるカムシャフト用給油通路に加え、進角用給油通路及び遅角用給油通路の計3つの通路が並列に形成されることになる。
【0007】
しかしながら、カムシャフトの軸受部に、進角用給油通路と遅角用給油通路とを単に並列に追加すると、カムシャフトの軸受部を構成するカムキャツプ等各部品の幅を長くする必要が生じ、それに伴ってエンジン全長が長くなり、エンジンが大型化するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、以上のような課題に勘案してなされたもので、その目的は、エンジンの大型化を抑制しつつ、進角用給油通路、遅角用給油通路を追加形成することが可能なエンジンの可変動弁装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあってはその解決手法として次のようにしてある。すなわち、本発明の第1の構成においては、吸気バルブまたは排気バルブを駆動するカムシャフトと、
該カムシャフトの一端側に設けられ、クランクシャフトの回転に同期して上記カムシャフトを回転させるカムシャフト駆動部材と、
上記カムシャフトとカムシャフト駆動部材との間の位相を変化させ、上記吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期を進角側または遅角側に変更する油圧式の位相可変機構とを備え、
該位相可変機構は、上記カムシャフト駆動部材に連結されるケーシング部材と、
該ケーシング部材内に勘合され、上記カムシャフトに連結される回転部材と、
上記ケーシング部材と上記回転部材との間に形成され、油圧の増大に伴って上記回転部材を吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期が進角側になるように回転させる進角室と、
上記ケーシング部材と上記回転部材との間に形成され、油圧の増大に伴って上記回転部材を吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期が遅角側になるように回転させる遅角室とを備えてなるエンジンの可変動弁装置において、
上記カムシャフトは、シリンダヘッド上部に設けられるカムホルダと、該カムホルダ上部に設けられるカムキャップとの間において軸支されるとともに、
上記シリンダヘッド、カムホルダ及びカムキャップには、上記位相可変機構における進角室と油圧源とを連通する進角用給油通路及び上記位相可変機構における遅角室と油圧源とを連通する遅角用給油通路が上記シリンダヘッド内に形成されており、かつ
該進角用給油通路及び遅角用給油通路の内、一方の通路が上記シリンダヘッドと上記カムホルダとの接合面に溝状に形成される一方、他方の通路が上記カムホルダと上記カムキャツプとの間の接合面に溝状に形成されるよう構成してある。
【0010】
本発明の第1の構成によれば、進角用給油通路と遅角用給油通路とが各々異なる接合面に溝状に形成されるため、同一面に形成される通路数の増加を抑制することができ、カムキャツプ等カムシャフトの軸受部を構成する部品の幅が長くなるのを抑えることができ、エンジン全長を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の第2の構成において、上記シリンダヘッドと上記カムホルダとの接合面または上記カムホルダと上記カムキャップとの接合面のいずれか一方の接合面には、上記カムシャフト潤滑用のカムシャフト用給油通路が溝状に形成されるよう構成してある。
【0012】
本発明の第2の構成によれば、一つの接合面には、進角用給油通路と遅角用給油通路との内一方の通路と、カムシャフト用給油通路とが形成されるだけであって、全ての通路が同一面上に形成されることが抑制されるため、カムキャツプ等カムシャフトの軸受部を構成する部品の幅が長くなるのを抑えることができ、エンジン全長を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の第3の構成において、上記進角用給油通路及び遅角用給油通路は、上記油圧源と接続される主給油通路から分岐形成されており、上記主給油通路には、上記進角用給油通路及び遅角用給油通路の内いずれの通路と油圧源との連通状態を切換える油圧制御弁が備えられるよう構成してある。
【0014】
本発明の第3の構成によれば、油圧制御弁によって油圧源に対する進角用給油通路及び遅角用給油通路の切換が行え、吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期を変更することができる。
【0015】
また、本発明の第4の構成において、上記カムシャフトは、吸気バルブ駆動用の吸気カムシャフトと、排気バルブ駆動用の排気カムシャフトとから構成されており、
該各カムシャフトには、各々上記位相可変機構が備えられるとともに、各位相可変機構に対して各々上記油圧制御弁が備えられたものであって、
上記位相可変機構における進角室は上記カムシャフトの回転方向に対して反回転方向に位置され、上記位相可変機構における遅角室は上記カムシャフトの回転方向に対して同回転方向に位置されるとともに、
上記排気カムシャフトに備えられた上記位相可変機構には、排気バルブの開閉時期が最進角位置になるよう上記回転部材を付勢する付勢部材が備えられており、
上記各油圧制御弁の内、上記排気カムシャフトに備えられた上記位相可変機構用の上記油圧制御弁を上記油圧源に近接させて配置するよう構成してある。
通常、位相可変機構は、エンジンが停止されて進角室、遅角室のいずれにも油圧が供給されなくなると、位相可変機構における回転部材がケーシング部材内のと遅角側に位置する突出部に接する位置まで回転させられるため、バルブの開閉時期は、最遅角位置とされる。
【0016】
ここで、排気バルブが最遅角位置とされると排気バルブの閉時期が遅くなるため、吸、排気オーバーラップ期間が長くなり、内部EGR量が増加するため、エンジン始動性が悪化するという問題がある。
【0017】
そこで、排気バルブ用に位相可変機構を備えた場合、位相可変機構における回転部材を最進角に付勢するバネ等の付勢部材を設けることが行われている。
【0018】
そして、付勢部材が備えられた位相可変機構を作動させる場合、その付勢部材の付勢力に抗して回転部材を駆動させるために油圧を高くすることが望まれる。
【0019】
本発明の第4の構成によれば、付勢部材が備えられる位相可変機構用の油圧制御弁を上記油圧源に近接させて配置されるため、付勢部材の付勢力に抗する高い油圧を供給することができ、付勢部材が備えられる位相可変機構による吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期制御を正確に行うことができる。
【0020】
また、本発明の第5の構成において、上記カムシャフトは、吸気バルブ駆動用の吸気カムシャフトと、排気バルブ駆動用の排気カムシャフトとから構成されるとともに、該各カムシャフトに各々上記位相可変機構が備えられており、
上記各カムシャフトに設けられた上記各位相可変機構に対する進角用給油通路又は遅角用給油通路がともに略同一線上に配置されるよう構成してある。
【0021】
本発明の第5の構成によれば、各カムシャフト用に設けられた2つの進角用給油通路又は遅角用給油通路がともに略同一線上に配置されるため、カムキャップ等カムシャフトの軸受部を構成する部品の幅が長くなるのを抑えることができ、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトに共に位相可変機構が備えられた場合であってもエンジン全長を抑えることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジンの大型化を抑制しつつ、進角用給油通路、遅角用給油通路を追加形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るシリンダヘッド平面図、図2は図1を紙面上左側から見たエンジン側面図(尚、可変位相機構の図示は省略している)、図3は図1のA−A断面図、図4はロッカアーム平面図、図5はバルブスプリングを示す図である。
【0025】
図1に示すように、シリンダヘッド1には、吸気カムシャフト2と排気カムシャフト3とが配設されており、その吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の各一端には、各々位相可変機構4、5が備えられている。
【0026】
吸気カムシャフト2、排気カムシャフト3は、図2に示されるように、シリンダヘッド1上に配設されるカムホルダ6とカムキャツプ7との間において軸支されている。
【0027】
尚、8は、シリンダブロック9に配設されたオイルポンプである。
【0028】
吸気カムシャフト2、排気カムシャフト3は、図3に示すように、ロッカーアーム10、11を介して2つの吸気バルブ12、2つの排気バルブ13を各々開閉駆動するよう構成されている。
【0029】
また、吸気カムシャフト2は、図1に示すように、リフト量が異なる低速カム2aと、高速カム2b(低速カム2aに対し、リフト量が大)とを各気筒毎に備えており、図4に示すように、吸気側のロッカアーム10も低速カム2a用の低速用ロッカアーム10aと、高速カム2b用の高速用ロッカアーム10bとを備えている。
【0030】
また、低速用ロッカーアーム10aにはロックピン14が内臓される一方、高速用ロッカアーム10bにはロックピン14の挿入が可能なロックピン挿入孔15が形成されている。
【0031】
上記ロックピン14は、油圧式の駆動装置(図示省略)によってロックピン挿入孔15に対する挿入、非挿入状態が切換え制御されるように構成されており、例えば、エンジン回転数が設定回転数以下の時はロックピン14をロックピン挿入孔に対し非挿入状態とし、エンジン回転数が設定回転数以上の時はロックピン14をロックピン挿入孔15に対し挿入状態となるよう切換えられる。
【0032】
これによって、低回転時は低速カム2aによって低速用ロッカーアーム10aが、高速カム2bによって高速用ロッカーアーム10bが各々独立して駆動されるとともに、高回転時は高速カム2bによって低速用ロッカーアーム10aと高速用ロッカーアーム10bとが同時に駆動される。
【0033】
この時、図4に示すように、高速カム2bから高速用ロッカーアーム10bに対する荷重入力点Wが吸気バルブ12間センターLに対し、所定量高速用ロッカアーム10b側にオフセットするよう設定されている。これは、低速用ロッカーアーム10aが、高速用ロッカーアーム10bに対し小型化されており、重心が吸気バルブセンターLよりも高速用ロッカーアーム10b側にずれているためであり、荷重入力点Wをこの重心に一致させることによって、高回転時、高速カム10bにより低速用ロッカーアーム10aと高速用ロッカアーム10bとを同時に駆動する際、低速用ロッカーアーム10aと高速用ロッカーアーム10bとを均等な荷重バランスによって駆動することができる。
【0034】
また、図3、5に示されるように、バルブシート16はその座面が大径とされるとともに、バルブスプリング17は、バルブシート16の座面付近の一部のみ大径とされるよう構成されている。
【0035】
これによって、軽量化によりバルブシート16の剛性が低下した場合であっても、バルブシート16におけるバルブスプリング17の接触面積を大きく確保でき、面圧を低下させることができるため、バルブシート16の耐久性、信頼性を確保することができる。
【0036】
次に、位相可変機構4、5の詳細について説明する。
【0037】
図6は位相可変機構4の断面図、図7は図6のB−B断面図、図8は図6のC−C断面図である。
【0038】
尚、位相可変機構4、5は後述する付勢手段としてのスプリング部材Pを除いては同一構造であるため、以下吸気側の位相可変機構4について説明する。
位相可変機構4は、図6、7、8に示すように、中空とされて内面に複数の突出部18aを有するケーシング18と、そのケーシング18の蓋部材19とを有し、これらのケーシング18と、蓋部材19とが複数のボルト20によってカムプーリ21に固定されている。
【0039】
また、位相可変機構4は、座金22を介してボルト23により上記吸気カムシャフト2に固定された回転部材としてのロータ24を有し、このロータ24には、円筒状のボス部24aの外周から径方向に延びる4つの係合部24bが備えられている。
【0040】
この係合部24bは、上記突出部18aと周方向に交互に配置されて8つの油圧室25が形成されており、この内、各係合部24bに対し吸気カムシャフト2の回転方向Aに位置づけられた各4つの油圧室が遅角室25aとして構成され、各係合部24bに対し吸気カムシャフトの反回転方向Bに位置づけられた各4つの油圧室を進角室25bとして構成されている。
【0041】
上記ロータ24は、上記カムプーリ21、ケーシング18、蓋部材19に対して、上記突出部21bと係合部24bとが当接するまで所定範囲(図7、8中Θじ示す範囲)内で相対回転可能とされ、吸気カムシャフト2のカムプーリ21に対する位相角、言いかえれば、クランクシャフトに対する吸気カムシャフト2に対する位相角が変更可能され、これにより吸気バルブ12の開閉時期が変更されるようになっている。
【0042】
例えば、上記遅角室25aに油圧が供給されると、ロータ24は、係合部24bが突出部18aに係合するまで吸気カムシャフト2の回転方向Aとは反対方向Bに回転され、図7、8中符合Xで示す最遅角位置とされる。また、上記進角室25bに油圧が供給されると、ロータ24は、係合部24bが突出部18aに係合するまで吸気カムシャフト2の回転方向Aと同方向に回転され、図3、4中符合X’で示す最進角位置とされる。
【0043】
次に、吸気側の位相可変機構4に対する排気側の位相可変機構5の違いについて説明する。
【0044】
排気側の位相可変機構5は、図1にも示すように、付勢手段としてのスプリング部材Pが配設されている。このスプリング部材Pは、ケーシング18とロータ24とに跨って固定されており、エンジン停止時、遅角室25a、進角室25bともに油圧が供給されなくなった際、ロータ24位置を強制的に最進角位置Xに付勢するためのものである。これは、エンジン停止時、排気バルブ13が最遅角位置とされ、吸、排気オーバーラップ期間が大きくなり、内部EGRが増大することによる始動性の悪化を抑制するためのものである。
【0045】
次に、図2、図9〜11に基づいて上記遅角室25a及び進角室25bに対する遅角用給油通路、進角用給油通路の構造について説明する。
図9は遅角用給油通路、進角用給油通路を摸式的に示す摸式図、図10はカムホルダ6を下面側から見た平面図、図11はカムキャップ7を下面側からみた平面図である。
【0046】
図2、9に示すように、オイルポンプ8からの油圧は、主給油通路26を介した後、まず排気用の位相可変機構5の油圧制御弁27に供給される。
【0047】
油圧制御弁27に供給された油圧は、上記遅角室25a、進角室25bに各々切換えて供給されるように構成されている。
【0048】
まず、油圧制御弁27が遅角室25aに油圧が供給されるよう切換え制御された場合、シリンダヘッド1に形成された排気用第1遅角給油通路28、図10に示すシリンダヘッド1とカムホルダ6との接合面(カムホルダ6下面)に形成された溝状の排気用第2遅角給油通路29、その排気用第2遅角給油通路29から排気カムシャフト3に延びる排気用第3遅角給油通路30及び図11に示すカムホルダ6とカムキャツプ7との接合面(カムキャップ7下面)に形成された溝状の排気用第4遅角給油通路31を介して上記遅角室25aに油圧が供給される。また、油圧制御弁27が進角室25bに油圧が供給されるよう切換え制御された場合、シリンダヘッド1に形成された排気用第1進角給油通路32、図10R>0に示すシリンダヘッド1とカムホルダ6との接合面(カムホルダ6下面)に形成された溝状の排気用第2進角給油通路33、その排気用第2進角給油通路33から排気カムシャフト3に延びる排気用第3進角給油通路34を介して上記進角室25bに油圧が供給される。
【0049】
また、排気用の位相可変機構5の油圧制御弁27よりも下流側の主給油通路26には、吸気用の位相可変機構4の油圧制御弁35が配置されている。
【0050】
油圧制御弁35が遅角室25aに油圧が供給されるよう切換え制御された場合、
シリンダヘッド1に形成された吸気用第1遅角給油通路36、図11に示すカムホルダ6とカムキャップ7との接合面(カムキャップ7下面)に形成された溝状の吸気用第2遅角給油通路37を介して上記遅角室25aに油圧が供給される。
【0051】
また、油圧制御弁35が進角室25bに油圧が供給されるよう切換え制御された場合、シリンダヘッド1に形成された吸気用第1進角給油通路38、図10に示すシリンダヘッド1とカムホルダ6との接合面(カムホルダ6下面)に形成された溝状の吸気用第2進角給油通路39、その吸気用第2進角給油通路39から吸気カムシャフト2に延びる吸気用第3進角給油通路40を介して上記進角室25bに油圧が供給される。
【0052】
尚、上記主給油通路26は、カムホルダ6とカムキャツプ7との接合面まで貫通するよう形成されており、その主給油通路26は、図11に示すように、各カムシャフト2、3の軸受部に潤滑油を供給するため、カムシャフト用通路26a、26bとに分岐形成されている。
【0053】
また、図11に示すように、排気用第4遅角給油通路31及び吸気用第2遅角給油通路37は、カムホルダ6の略中心付近から互いに相反する方向に延設されて排気用第4遅角給油通路31と吸気用第2遅角給油通路37とが略同一線上に配置されるとともに、カムシャフト用給油通路26a、26bも同一線上に配置され、カムホルダ6とカムキャップ7との接合面には、実質2つの給油通路が並列に形成されるよう構成されている。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、進角用給油通路の一部を構成する排気用第2進角給油通路33、吸気用第2進角給油通路39が各々シリンダヘッド1とカムホルダ6との接合面に形成される一方、遅角用給油通路の一部を構成する排気用第4遅角給油通路31、吸気用第2遅角給油通路37が各々カムホルダ6とカムキャツプ7との接合面に形成されるよう構成されているため、進角用給油通路の一部と遅角用給油通路の一部とが各々異なる接合面に形成されて、同一面に形成される通路数の増加を抑制することができるため、カムホルダ6、カムキャップ7の幅が長くなるのを抑えることができ、エンジン全長を抑えることができる。
【0055】
また、カムホルダ6とカムキャップ7との接合面において、カムホルダ6の中心付近から排気用第4遅角給油通路31と吸気用第2遅角給油通路37とが互いに相反する方向に延設され、両通路31、37が略同一線上に位置するよう配置されるとともに、カムシャフト用給油通路26a、26bも略同一線上に位置するよう配置されるため、一つの接合面において、実質2つの通路を形成するだけのカムホルダ6の幅を確保しておけばよく、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3に共に位相可変機構4、5が備えられた場合であってもカムホルダ6の幅が長くなるのを抑えることができ、エンジン全長を抑えることができる。
【0056】
また、排気用の位相可変機構5の油圧制御弁27は、油圧源としてのオイルポンプ8に近接させて配置されるため、排気用の位相可変機構5に高い油圧を供給することができ、スプリング部材Pの付勢力に抗する高い油圧により排気用の位相可変機構5によるバルブタイミングの変更を正確に行うことができる。
【0057】
尚、本実施形態では、遅角用給油通路の一部をカムホルダ6とカムキャツプ7との接合面に、進角用給油通路の一部をカムホルダ6とシリンダヘッド1との接合面に形成する例を示したが、逆に遅角用給油通路の一部をカムホルダ6とシリンダヘッド1との接合面に、進角用給油通路の一部をカムホルダ6とカムキャツプ7との接合面に形成するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、カムホルダ6とカムキャツプ7との接合面に形成される遅角用通路の一部はカムキャツプ7下面に、カムホルダ6とシリンダヘッド1との接合面に形成される進角用通路の一部はカムホルダ6下面に、各々形成する例を示したが、遅角用通路の一部をカムホルダ6側の上面側に、進角用通路の一部をシリンダヘッド1側の上面側に形成するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、位相可変機構を吸気カムシャフト2と、排気カムシャフト3との両方に備える例を示したが、いずれか一方のみ備えるエンジンに適用させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るシリンダヘッド平面図。
【図2】本実施形態に係るエンジン側面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】ロッカーアーム平面図。
【図5】バルブスプリングを示す図。
【図6】位相可変機構4の断面図。
【図7】図6のB−B断面図。
【図8】図6のC−C断面図。
【図9】図9は遅角用給油通路、進角用給油通路を摸式的に示す摸式図。
【図10】カムホルダ6を下面側から見た平面図。
【図11】カムキャップ7を下面側からみた平面図。
【符号の説明】
1:シリンダヘッド
2:吸気カムシャフト
3:排気カムシャフト
4、5:位相可変機構
6:カムホルダ
7:カムキャップ
8:オイルポンプ(油圧源)
12:吸気バルブ
13:排気バルブ
18:ケーシング(ケーシング部材)
21:カムプーリ(カムシャフト駆動部材)
24:ロータ(回転部材)
25a:遅角室
25b:進角室
26a、26b:カムシャフト用給油通路
27、35:油圧制御弁
28:排気用第1遅角給油通路(遅角用給油通路)
29:排気用第2遅角給油通路(遅角用給油通路)
30:排気用第3遅角給油通路(遅角用給油通路)
31:排気用第4遅角給油通路(遅角用給油通路)
32:排気用第1進角給油通路(進角用給油通路)
33:排気用第2進角給油通路(進角用給油通路)
34:排気用第3進角給油通路(進角用給油通路)
36:吸気用第1遅角給油通路(遅角用給油通路)
37:吸気用第2遅角給油通路(遅角用給油通路)
38:吸気用第1進角給油通路(進角用給油通路)
39:吸気用第2進角給油通路(進角用給油通路)
40:吸気用第3進角給油通路(進角用給油通路)
P:スプリング部材(付勢部材)
Claims (5)
- 吸気バルブまたは排気バルブを駆動するカムシャフトと、
該カムシャフトの一端側に設けられ、クランクシャフトの回転に同期して上記カムシャフトを回転させるカムシャフト駆動部材と、
上記カムシャフトと上記カムシャフト駆動部材との間の位相を変化させ、上記吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期を進角側または遅角側に変更する油圧式の位相可変機構とを備え、
該位相可変機構は、
上記カムシャフト駆動部材に連結されてカムシャフト駆動部材と一体的に回転するケーシング部材と、
該ケーシング部材内に勘合されるとともに、上記カムシャフトに連結されてカムシャフトと一体的に回転する回転部材と、
上記ケーシング部材と上記回転部材との間に形成され、油圧の増大に伴って上記回転部材を吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期が進角側になるように回転させる進角室と、
上記ケーシング部材と上記回転部材との間に形成され、油圧の増大に伴って上記回転部材を吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期が遅角側になるように回転させる遅角室とを備えてなるエンジンの可変動弁装置において、
上記カムシャフトは、シリンダヘッド上部に設けられるカムホルダと、該カムホルダ上部に設けられるカムキャップとの間において軸支されるとともに、
上記シリンダヘッド、カムホルダ及びカムキャップには、上記位相可変機構における進角室と油圧源とを連通する進角用給油通路及び上記位相可変機構における遅角室と油圧源とを連通する遅角用給油通路が形成され、かつ
該進角用給油通路及び遅角用給油通路の内、一方の通路の一部が上記シリンダヘッドと上記カムホルダとの接合面に溝状に形成される一方、他方の通路の一部が上記カムホルダと上記カムキャツプとの間の接合面に溝状に形成されることを特徴とするエンジンの可変動弁装置。 - 上記シリンダヘッドと上記カムホルダとの接合面または上記カムホルダと上記カムキャップとの接合面のいずれか一方の接合面には、上記カムシャフト潤滑用のカムシャフト用給油通路が溝状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジンの可変動弁装置。
- 上記進角用給油通路及び遅角用給油通路は、上記油圧源と接続される主給油通路から分岐形成されており、上記主給油通路には、上記進角用給油通路及び遅角用給油通路の内いずれかの通路と油圧源との連通状態を切換える油圧制御弁が備えられていることを特徴とする請求項1乃至2いずれか記載のエンジンの可変動弁装置。
- 上記カムシャフトは、吸気バルブ駆動用の吸気カムシャフトと、排気バルブ駆動用の排気カムシャフトとから構成されており、
該各カムシャフトには、各々上記位相可変機構が備えられるとともに、各位相可変機構に対して各々上記油圧制御弁が備えられたものであって、
上記位相可変機構における進角室は上記カムシャフトの回転方向に対して反回転方向に位置され、上記位相可変機構における遅角室は上記カムシャフトの回転方向に対して同回転方向に位置されるとともに、
上記排気カムシャフトに備えられた上記位相可変機構には、排気バルブの開閉時期が最進角位置になるよう上記回転部材を付勢する付勢部材が備えられており、
上記各油圧制御弁の内、上記排気カムシャフトに備えられた上記位相可変機構用の上記油圧制御弁を上記油圧源に近接させて配置したことを特徴とする請求項3記載のエンジンの可変動弁装置。 - 上記カムシャフトは、吸気バルブ駆動用の吸気カムシャフトと、排気バルブ駆動用の排気カムシャフトとから構成されるとともに、該各カムシャフトに各々上記位相可変機構が備えられており、
上記各カムシャフトに設けられた上記各位相可変機構に対する進角用給油通路又は遅角用給油通路がともに略同一線上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のエンジンの可変動弁装置。
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