JP3283905B2 - 内燃機関の吸排気弁駆動制御装置 - Google Patents

内燃機関の吸排気弁駆動制御装置

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JP3283905B2
JP3283905B2 JP15791092A JP15791092A JP3283905B2 JP 3283905 B2 JP3283905 B2 JP 3283905B2 JP 15791092 A JP15791092 A JP 15791092A JP 15791092 A JP15791092 A JP 15791092A JP 3283905 B2 JP3283905 B2 JP 3283905B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の運転状態に
応じて吸気・排気弁の開閉時期を可変制御する吸排気弁
駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の装置としては種々提供さ
れているが、その一つとして例えば実開昭57−198
306号公報等に記載されているものが知られている。
【0003】図11及び図12に基づいて概略を説明す
れば、図中2はカムシャフト1の外周に回転自在に設け
られて、吸気弁16をバルブスプリング17のばね力に
抗して開作動させるカムであって、このカム2はカム軸
受用ブラケット3とカムシャフト1にキー4を介して固
設されたフランジ部5とにより軸方向の位置決めがなさ
れている。また、カム2の一側部にはU字溝6を有する
フランジ部7が形成されている一方、前記フランジ部5
にもU字溝8が形成され、両フランジ部5,7間に円環
状のディスク9が介装されている。このディスク9は、
両側の対向位置に前記両U字溝6,8に係止するピン1
0,11が設けられていると共に、外周が制御環12に
回転自在に支持されている。この制御環12は、外周の
突起12aを介してシリンダヘッド側の支持孔13に揺
動自在に支持されていると共に、該突起12aの反対側
に有する歯車部12bがロッカアーム15を軸支するロ
ッカシャフト14外周の歯車環14aに噛合している。
【0004】そして、制御環12は、歯車部12bに噛
合した歯車環14aを介して図外の駆動機構により機関
運転状態に応じて一方あるいは他方向へ揺動するように
なっている。即ち、例えば機関低速低負荷時の場合は、
駆動機構の油圧アクチュエータによってロッカシャフト
14を一方向に回動させると、歯車環14aと歯車部1
2bを介して制御環12が突起12aを支点として揺動
し、これによってディスク9の中心Pがカムシャフト1
の軸心に対し一方向に偏心する。また、機関高速高負荷
時の場合は、油圧アクチュエータによりロッカシャフト
14を他方向に回動させると、制御環12を介してディ
スク9の中心Pがカムシャフト1の軸心に対して他方向
に偏心する。
【0005】このため、ピン10,11が夫々U字溝
6,8に沿って移動し、かつ偏心方向にフランジ部5,
7をカムシャフト1を中心に回動させる。依って、カム
シャフト1の1回転毎に、ディスク9の回転位相がカム
シャフト1に対して変化し、同時にカム2の回転位相も
ディスク9に対して変化する。したがって、カム2は、
カムシャフト1に対し、ディスク9のカムシャフト1に
対する所定位相差で回転する。
【0006】この結果、吸気弁16の弁開閉時期(バル
ブタイミング)特性は、図13に示すように、低速低負
荷域では最小作動角(破線)となり、弁開時期が若干遅
れると共に、弁閉時期が早くなって、排気弁とのオーバ
ラップが小さくなる。したがって、燃費や低速トルクの
向上等が図れる。一方、高速高負荷域では、最大作動角
(一点鎖線)となり、弁開時期が早くなると共に弁閉時
期が遅くなって、排気弁とのオーバラップが大きくな
る。したがって、高出力化が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前記従来の
装置にあっては、環状ディスク9をカムシャフト1に対
して最大一方側と最大他方側にのみ偏心回動させるよう
になっている。換言すれば、吸気弁16の作動角を前述
のように低速側と高速側の2段階に切り換える構成にな
っている。このため、冷機始動直後に、高速運転する場
合には、弁作動角を低速側から高速側に速やかに切り換
えなければならないにも拘わらず、今まだ機関潤滑油の
粘性が大きくなっているので油圧アクチュエータの速や
かな作動が得られず、弁作動角を直ちに大きくすること
ができない。この結果、斯かる小さな弁作動角状態では
吸気弁16の作動加速度が大きくなり、吸気充填効率の
向上が図れず実用上の十分な出力が得られない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の問
題点に鑑みて案出されたもので、機関から伝達された回
転力により回転駆動する駆動軸と、機関弁を駆動させる
カムを有するカムシャフトと、前記駆動軸の回転力をカ
ムシャフトに伝達する伝達機構と、機関運転状態に応じ
て前記伝達機構を駆動軸に対し制御シャフトを介して揺
動させる駆動機構とを備え、前記伝達機構の揺動に伴い
カムシャフトの角速度を変化させることにより、前記機
関弁の作動角を最大あるいは最小に可変制御する吸排気
弁駆動制御装置において、機関停止時に、前記伝達機構
を前記機関弁の作動角の少なくとも大作動角寄りの略中
間位置に制御保持する位置規制機構を設け、該位置規制
機構は、前記制御シャフトに固定されて底面が平坦状の
位置規制部材と、平坦な先端面が前記位置規制部材の底
面に当接する摺動部材とを備え、該摺動部材の先端面と
前記位置規制部材の底面を介して、前記制御シャフトの
軸直角方向からばね力を付与することによって該制御シ
ャフトの回動位置を規制することを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、機関停止時に
は、制御シャフトが位置規制機構の位置規制部材と摺動
部材を介してばね力によって所定の中間回動位置に保持
され、これによって、伝達機構が、吸気、排気弁の略中
間作動角より大きい作動角となる制御位置に保持されて
いるため、冷機始動直後に高速運転した場合も、低速側
の弁作動角に保持されていた場合に比較して吸気弁と排
気弁の作動角が大きくなり、吸気充填効率の向上が図れ
る。尚、機関潤滑油の温度上昇に伴い、駆動機構及び環
状ディスクによって最小,最大弁作動角の切換制御が行
われる。
【0010】
【実施例】図1〜図8は本発明に係る吸排気弁駆動制御
装置の第1実施例を示し、図1の21は図外の機関のク
ランク軸からスプロケットを介して回転力が伝達される
駆動軸、22は該駆動軸21の外周に一定の隙間をもっ
て配置され、かつ駆動軸21の中心Xと同軸上に設けら
れたカムシャフトであって、前記駆動軸21は、機関前
後方向に延設されていると共に、軽量化を図るために内
部中空状に形成されている。
【0011】前記カムシャフト22は、中空状に形成さ
れ、シリンダヘッド43上端部に有する図外のカム軸受
に回転自在に支持されていると共に、図2に示すように
外周の所定位置に吸気弁23をバルブスプリング24の
ばね力に抗してバルブリフター25を介して開作動させ
る複数のカム26…が一体に設けられている。また、カ
ムシャフト22は、長手方向の所定位置で軸直角方向か
ら分割形成されていると共に、一方側の分割端部にフラ
ンジ部27が設けられている。また、この両分割端部間
にスリーブ28と環状ディスク29が配置されている。
前記フランジ部27は、図4にも示すように中空部から
半径方向に沿った細長い矩形状の係合溝30が形成され
ていると共に、その外周面の円周方向に環状ディスク2
9の一側面に摺接する突起面27aが一体に設けられて
いる。
【0012】前記スリーブ28は、小径な一端部28b
がカムシャフト22の前記他方側の分割端部内に回転自
在に挿入している共に、略中央位置に直径方向に貫通し
た連結軸31を介して駆動軸21に連結固定されてい
る。また、スリーブ28の他端部に設けられたフランジ
部32は、図5にも示すように前記係止溝30と反対側
に半径方向に沿った細長い矩形状の係合溝33が形成さ
れていると共に、外周面に環状ディスク29の他側面に
摺接する突起面28aが一体に設けられている。
【0013】前記環状ディスク29は、略ドーナツ板状
を呈し、内径がカムシャフト22の内径と略同径に形成
されて、駆動軸21の外周面との間に環状の隙間部Sが
形成されていると共に、小巾の外周部29aが環状のデ
ィスクハウジング34の内周面に環状ベアリング35を
介して回転自在に支持されている。また、直径線上の対
向位置に貫通形成されたピン孔29b,29cには、各
係合溝30,33に係入する一対のピン36,37が設
けられている。この各ピン36,37は、互いにカムシ
ャフト軸方向へ逆向きに突出しており、基部がピン孔2
9b,29c内に回転自在に支持されていると共に、先
端部の両側縁に図4及び図5に示すように前記係合溝3
0,33の対向内面30a,30b、33a,33bと
当接する2面巾状の平面部36a,36b、37a,3
7bが形成されている。
【0014】前記ディスクハウジング34は、図2に示
すように略円環状を呈し、外周の図中右端部に有するボ
ス部34aに支持孔38が形成されていると共に、図中
左端部に有するボス部34bにコ字形のカム溝39が切
欠形成されている。そして、前記支持孔38内に挿通し
た支軸40を支点として上下に揺動自在に支持されてい
ると共に、カム溝39内に配置された偏心カム41の回
動によって揺動するようになっている。前記支軸40
は、シリンダヘッド43に支持されている。
【0015】前記偏心カム41は、リング状を呈し、外
径がカム溝39の内径より若干小さく設定されていると
共に、周方向の肉厚が薄肉部41aから漸次厚肉部41
bに変化している。また、軸方向に貫通形成された貫通
孔41cを介して中空状の制御シャフト42に固定支持
されている。この制御シャフト42は、吸気用と排気用
の2本で構成され、夫々の機関の前後方向に沿って延設
されていると共に、シリンダヘッド43上部に設けられ
た図外の軸受によって回転自在に支持されている。ま
た、この制御シャフト42は、駆動機構44によって回
転制御されるようになっている。
【0016】前記駆動機構44は、図6に示すように制
御シャフト42の一端部に設けられた油圧アクチュエー
タ45と、油圧アクチュエータ45に油圧を給排する油
圧回路46とを備えていえる。前記油圧アクチュエータ
45は、筒状ハウジング47内に2枚羽根の回転ベーン
48が対角線上に位置する各第1油室49,49及び第
2油室50,50を隔成しつつ回動自在に設けられてい
ると共に、該回転ベーン48が制御シャフト42に連結
されている。前記油圧回路46は、第1,第2油室4
9,50に油圧を給排する一対の第1,第2油通路51
a,51bと、該両油通路51a,51bの端部に設け
られた4ポート2位置型の電磁切換弁52と、オイルメ
インギャラリ53の上流端に設けられたオイルポンプ5
4と、各油通路51a,51bと適宜連通してオイルパ
ン55内に作動油を戻すドレン通路56と、ポンプ吐出
圧を一定圧に制御するリリーフバルブ57とを備えてい
る。更に、前記電磁切換弁52は、機関回転数や吸気空
気量等の信号に基づいて現在の機関運転状態を検出する
コントローラ58からのON−OFF信号によって切り
換え作動し、OFF信号によってオイルポンプ54と第
1油通路51aとを連通させると共に、第2油通路51
bとドレン通路56を連通させ、ON信号によって前記
とは逆に連通させるようになっている。
【0017】そして、前記制御シャフト42の油圧アク
チュエータ45近傍には、該制御シャフト42及ディス
クハウジング34を介して環状ディスク29の中心Yを
駆動軸21の中心Xに合致させる位置に保持する位置規
制機構60が設けられている。この位置規制機構60
は、図7及び図8に示すようにシリンダヘッド43の上
部に縦方向から穿設されたシリンダ61と、該シリンダ
61内を上下摺動する摺動部材であるピストン62と、
制御シャフト42に固定されてピストン62に弾接する
位置規制部材63とから構成されている。
【0018】前記ピストン62は、有蓋円筒状を呈し、
上壁62aがシリンダ61の上端開口から進退自在にな
っていると共に、シリンダ61底面と上壁62a裏面と
の間に弾装された圧縮コイルスプリング64のばね力で
進出方向、つまり位置規制部材63を介して制御シャフ
ト42の軸直角方向に付勢されている。また、上壁62
aの中央に空気抜き孔64bが貫通形成されている。
【0019】前記位置規制部材63は、略台形状を呈
し、中央に制御シャフト42が圧入される圧入用孔65
が貫通形成されていると共に、平坦かつ広面積の底面6
6がピストン62の上面に弾接している。斯かる底面6
6の全体がピストン62上面に当接した状態で環状ディ
スク29の中心Yと駆動軸21の中心Xが合致するつま
り同心上に位置規制するようになっている。尚、圧縮コ
イルスプリング64のばね力は、油圧アクチュエータ4
5の油圧よりも小さく設定されている。
【0020】以下、本実施例の作用について説明する。
まず、暖機完了後において、機関潤滑油温度が比較的高
くなっている場合について述べる。即ち、機関低速低負
荷時には、コントローラ58から電磁切換弁52にON
信号が出力されてオイルポンプ54から吐出された油圧
が第1油室49,49内に流入する一方、第2油室5
0,50内の作動油がドレン通路56からオイルパン5
5内に排出される。このため、回転ベーン48が図中反
時計方向に回転して制御シャフト42を周方向に回転さ
せる。このとき、位置規制部材63は、図8の2点鎖線
で示すように底面66の一端縁66aで圧縮コイルスプ
リング64のばね力に抗してピストン62を押し下げな
がらかつ制御シャフト42と同様に反時計方向に回動す
る。したがって、偏心カム41は、図2に示すように、
実線位置から図中反時計方向へ最大に回転し(破線位
置)、最大厚肉部41bが上部側に移動する。依って、
ディスクハウジング34は、カム溝39を介して支軸4
0を支点として上方に揺動し、環状ディスク29の中心
Yが駆動軸21(カムシャフト22)の中心Xと偏心す
る。したがって、スリーブ28側の係止溝33とピン3
7並びにカムシャフト21側の係止溝30とピン36と
の摺動位置が駆動軸21の1回転毎に移動し、環状ディ
スク29の角速度が変化して不等角速度回転になる。
【0021】これによって、係止溝30とピン36の摺
動位置が、駆動軸21の中心Xに接近する一方、係止溝
33とピン37の摺動位置が、中心Xから離れる関係に
なる。この場合は、環状ディスク29は、駆動軸21に
対して角速度が大きくなり、環状ディスク29に対しカ
ムシャフト22の角速度も大きくなる。したがって、カ
ムシャフト22は、駆動軸21に対して、部分的に2重
に増速された状態になる。
【0022】一方、機関が高速高負荷域に移行した場合
は、コントローラ58から電磁切換弁52にOFF信号
が出力されて、第1油室49,49内の作動油がドレン
通路56から排出されると共に、第2油室50,50内
にオイルポンプ54から油圧が圧送され、回転ベーン4
8が逆に時計方向に回転する。したがって、制御シャフ
ト42も時計方向に回転して、位置規制部材63は図8
の一点鎖線で示すように底面66の他端縁66bでピス
トン62を押し下げながら時計方向に回動する。依っ
て、ディスクハウジング34は、図2の一点鎖線で示す
ように偏心カム41の時計方向の回転に伴い下方に揺動
し、環状ディスク29の中心Yが駆動軸21の中心Xと
偏心する。このため、係止溝30とピン36の摺動位置
が駆動軸21の中心Xから離れ、係止溝33とピン37
の摺動位置が中心Xに接近する。したがって、環状ディ
スク29に対し、カムシャフト22の角速度が小さくな
り、カムシャフト22は駆動軸21に対して部分的に減
速された状態になる。
【0023】この結果、該夫々の角速度の変化に基づき
カムシャフト22及びカム26と駆動軸21との回転位
相差は、図9Aに示すように変化し、バルブタイミング
は同図Bに示すようにバルブリフトを一定のままカムシ
ャフト22の位相差に応じて変化する。
【0024】つまり、カムシャフト22の角速度が相対
的に大きい場合は、駆動軸21に対する回転位相は両者
21,22が等速になるまで進み、やがてカムシャフト
22の角速度が相対的に小さくなると回転位相は両者2
1,22が等速になるまで遅れる。そして、図9Aで示
すように回転位相差の最大,最小点の途中に同位相点
(P点)が存在し、同図の破線で示す回転位相の変化で
は、P点よりも前の吸気弁23の開弁時期が遅れ、P点
より後の閉弁時期は進み、図9Bの破線で示すように弁
の作動角が小さくなる。
【0025】したがって、前記のように機関低速低負荷
域では、吸気弁23のバルブタイミングが図9Bの破線
で示すように作動角が小さくなり、開時期が少し遅れ、
閉時期が早くなる。これによって、吸排気弁のバルブオ
ーバラップが小さくなり、燃焼室の残留ガスが減少し、
安定した燃焼により燃費の向上が図れる。また、早い閉
時期により、吸気充填効率が向上し、低速トルクを高め
ることができる。
【0026】一方、高速高負荷域では、図9Bの実線で
示すように作動角が大きくなり、開時期が若干早くなる
(進角)と共に、閉時期が十分に遅くなる(遅角)た
め、吸気慣性力を利用した吸気充填効率が向上し、高出
力化が図れる。
【0027】そして、機関停止後は、位置規制部材63
が図8の実線で示すように正規の位置つまり底面66全
体がピストン62の上壁62a上面に圧縮コイルスプリ
ング64のばね力で弾接して、制御シャフト42を正逆
最大回転の中立回転位置に保持する。このため、環状デ
ィスク29は、中心Yが図2に示すように偏心カム41
を介して駆動軸21の中心Xと合致した位置に保持され
る。したがって、冷機始動時には、駆動軸21とカムシ
ャフト22の回転位相差が図9Aの実線波形で示すよう
に変化し、バルブタイミングは同図Bの実線波形で示す
ように前述の低速低負荷時の制御の場合よりも長くなり
吸気弁23の作動角も大きくなり、開時期が早くなると
共に、閉時期が遅くなる。このため、潤滑油の粘性が大
きい冷機始動直後に高速運転をする場合でも、十分な吸
気充填効率が得られ、実用上の出力が確保されると共
に、高速運転の安定化と走行性能の向上が図れる。
【0028】尚、潤滑油温度が所定以上になった場合
は、駆動機構44によって前述のように作動角制御が速
やかに行われることは勿論である。
【0029】また、本実施例では、ディスクハウジング
34を、従来のように歯車等を用いずに偏心カム41を
用いて揺動させるようにしたため、カムシャフト22の
回転トルク変動に起因するディスクハウジング34の交
番荷重による打音や摩耗等の発生を確実に防止できる。
【0030】また、前述のように各ピン36,37は両
側縁が平面部36a,36b,37a,37bに形成さ
れているため、各係止溝30,33の対向内面30a,
30b、33a,33bと面接触状態で当接する。した
がって、駆動軸21からカムシャフト22への回転伝達
時及び環状ディスク29の偏心状態における平面部36
a,36b、37a,37bと対向内面30a,30
b、33a,33bとの摺動時に両者間の集中荷重の発
生が防止されて、面圧が低下する。この結果、係止溝3
0,33とピン36,37間に経時的な摩耗の発生が防
止されて、カムシャフト22の回転トルク変動に伴う各
フランジ部27,32と各ピン36,37との打音の発
生やバルブタイミングのズレによる制御精度の低下等が
防止される。
【0031】更に、各ピン36,37は、環状ディスク
29のピン孔29b,29cに回転自在に支持されてい
るため、環状ディスク29の揺動時においても各ピン3
6,37が適宜回転して平面部36a,36b,37
a,37bと係止溝30,33の対向内面30a,30
b、33a,33bが常に面接触する形になる。したが
って、両者30,36、33,37間の摩耗の発生が一
層確実に防止される。
【0032】図10は本発明の第2実施例を示し、前記
制御シャフト42の端部と油圧アクチュエータ45との
間に、位置規制機構60たる捩りコイルばね67が設け
られている。この捩りコイルばね67は、制御シャフト
42の端部に巻装され、その一端部67aが筒状ハウジ
ング47が固定されたブラケット68に止着されている
一方、他端部67bが制御シャフト42に軸心方向へね
じ込まれたボルト69に止着されて、その捩りばね力で
制御シャフト42を一方側の最大回転位置に付勢してい
る。即ち、機関停止後は、捩りコイルばね67のばね力
で制御シャフト42を介して環状ディスク29の中心Y
を、駆動軸21の中心Xから偏心させて吸気弁23の最
大作動角となる制御位置に保持する。
【0033】このため、冷機始動時は、前記高速高負荷
時と同様に吸気弁23の閉時期を遅角側に制御するの
で、直ちに高速運転に移行した場合でも吸気充填効率の
向上により、実用上の高出力トルクが得られる。尚、吸
気弁23の開時期は極端に進角制御しないので、排気弁
とのオーバラップが増大せずに機関の始動性等に影響を
与えることはない。
【0034】本発明は、前記実施例の構成に限定される
ものではなく、位置規制機構60を、ディスクハウジン
グ34等に設けることも可能であり、その構造を更に変
更してもよい。
【0035】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
に記載の発明によれば、とりわけ、少なくとも機関停止
時に、制御シャフトが位置規制機構の位置規制部材と摺
動部材を介してばね力によって所定の中間回動位置に保
持され、これによって、伝達機構を吸気,排気弁の作動
角の少なくとも略中間より大作動角側寄りの制御位置に
保持することができるため、例えば冷機始動直後に高速
運転をした場合でも、吸気充填効率が向上して実用上の
出力が確保されると共に、高速運転の安定化と走行性能
の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図2のA−A線断面
図。
【図2】図1のB−B線断面図。
【図3】本実施例の平面図。
【図4】図3のC−C線断面図。
【図5】図3のD−D線断面図。
【図6】本実施例の駆動機構を示す概略図。
【図7】本実施例の位置規制機構の配置を示す平面図。
【図8】図7のE−E線断面図。
【図9】本実施例の駆動軸とカムシャフトとの回転位相
差とバルブタイミングの特性図。
【図10】本発明の第2実施例を示す要部平面図。
【図11】従来の吸排気弁駆動制御装置の断面図。
【図12】図10のF−F線断面図。
【図13】従来例のカムとカムシャフトとの回転位相差
とバルブタイミングの特性図。
【符号の説明】
21…駆動軸 22…カムシャフト 23…吸気弁 29…環状ディスク 34…ディスクハウジング 44…駆動機構 60…位置規制機構62…ピストン 63…位置規制部材 64…圧縮コイルスプリング 67…捩りコイルばね

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関から伝達された回転力により回転駆
    動する駆動軸と、機関弁を駆動させるカムを有するカム
    シャフトと、前記駆動軸の回転力をカムシャフトに伝達
    する伝達機構と、機関運転状態に応じて前記伝達機構を
    駆動軸に対し制御シャフトを介して揺動させる駆動機構
    とを備え、前記伝達機構の揺動に伴いカムシャフトの角
    速度を変化させることにより、前記機関弁の作動角を最
    大あるいは最小に可変制御する吸排気弁駆動制御装置に
    おいて、 機関停止時に、前記伝達機構を前記機関弁の作動角の少
    なくとも大作動角寄りの略中間位置に制御保持する位置
    規制機構を設け、該位置規制機構は、前記制御シャフト
    に固定されて底面が平坦状の位置規制部材と、平坦な先
    端面が前記位置規制部材の底面に当接する摺動部材とを
    備え、該摺動部材の先端面と前記位置規制部材の底面を
    介して、前記制御シャフトの軸直角方向からばね力を付
    与することによって該制御シャフトの回動位置を規制す
    ことを特徴とする内燃機関の吸排気弁駆動制御装置。
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