JP3834883B2 - 塔型反応器を用いた連続製造方法 - Google Patents

塔型反応器を用いた連続製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業的製造方法として実用性に優れた連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、工業的連続方法としては、撹拌装置を備えたオートクレーブに原料を連続供給する方法が汎用されている。
また、Rf2(CH22 CH(R3 )−OH(Rf2は炭素数1〜20のポリフルオロアルキル基、R3 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基。)で表されるポリフルオロアルキルアルコールを製造する方法としては、(1)加圧式反応器を用いて、Rf2CH=CH2 、アルカノール、および遊離基開始剤を一括に仕込んで反応させる方法、(2)加圧式反応器に、アルカノールを仕込んだ後に、Rf2CH=CH2 と遊離基開始剤を連続添加する方法、が提案されている(USP5227540)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、生成物が原料と副反応を起こす場合の反応を撹拌装置を備えたオートクレーブで実施した場合、原料を連続供給するとその原料組成が反応部の組成ともなる。したがって高選択で反応を進行させようとすると容積効率が低くなる欠点があった。原料を一括で仕込み、バッチ式で反応を進行させようとしても、同様に容積効率が低くなる欠点があった。
【0004】
たとえば、上記(1)の方法における反応選択率は、アルカノールとRf2CH=CH2 の全フィード量との比率によって支配されるため、反応が進行して、ポリフルオロアルキルアルコール濃度が高くなると、生成物とRf2CH=CH2 が副反応をおこし、選択率を低下させる欠点があり、一方、選択率を高くしようとすると容積効率が0.2kg/リットル程度になる問題が認められた。
【0005】
(2)の方法でも(1)の方法と同様に反応が進行するにつれて副反応の反応速度が大きくなり、選択率を下げる欠点があった。
さらに、(1)および(2)のいずれの方法においても、高い選択率を維持しようとしてアルカノールの比率を高くすると容積効率が下がるため、工業的に不利なプロセスであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、後に述べる含フッ素アルコール(2)等の工業的製造方法について検討した結果、高効率で含フッ素アルコールを製造しうる連続製造方法を見いだした。さらに、該製造方法が種々の化合物の連続製造方法としても適用可能であることを見いだし本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、下式で表される含フッ素不飽和化合物(1)と下式で表されるアルカノール(3)を遊離基開始剤の存在下に反応させて下式で表される含フッ素アルコール(2)を製造する方法において、塔型の反応器を用い、該アルカノール(3)を充填した反応器の上部に該含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給して反応させ、反応器下部から該含フッ素アルコール(2)を含む生成物を連続して抜き出すことを特徴とする含フッ素アルコール(2)の連続製造方法を提供する。
−Q−CH=CH (1)
−Q−CH CH CR −OH (2)
CH−OH (3)
(式中、R は炭素数1〜20の含フッ素有機基であり、Qは単結合または2価の有機基であり、R およびR は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R とR の炭素数の和は0〜5である。)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の連続製造方法における2種の原料は、互いに溶解せず比重が異なることが必要である。2種の原料が互いに溶解するものである場合、原料の比重が同じである場合には、反応の場における原料の量が不足して転化率が低下する。2種の原料の比重差は0.2g/cm3 以上であるのが好ましく、特に0.5〜1.0g/cm3 が好ましい。2種の原料は、液体または気体であるのが好ましいく、特にいずれもが液体であるのが好ましい。
【0009】
反応器は、塔型の反応器であれば特に限定されず、特に内部に静止混合エレメントを有する反応器が好ましい。また、本発明における反応器は、駆動型の混合器を有すると、比重差による物質の移動が妨げられるため好ましくない。特に生成物と原料が副反応をおこす反応系においては比重差による物質移動よりも激しい物質移動がおこりうる駆動型の混合器による撹拌は好ましくない。
【0010】
静止混合エレメントとしては、一般にスタティックミキサーの混合エレメントとして知られているエレメントであれば採用できる。たとえば、原料の流れを複数に分割する混合エレメント(分割混合エレメント)、または、通常の充填塔に用いられる充填物が好ましく採用できる。
【0011】
本発明の連続製造方法においては、反応器内に比重が小である原料を充填しておく。反応器内には、比重が小である原料のみを充填しておいてもよく、また、該原料とともに他の物質を充填してもよい。他の物質としては、反応に必要な触媒、開始剤等や、反応に影響を及ぼさない希釈剤等が挙げられる。
【0012】
さらに、比重が大である原料を、反応器上部に連続供給する。反応器の上部とは、塔型反応器の高さを2等分した場合の1/2以上の上の部分をいい、反応器の下部とはそれより下の部分をいう。反応器上部としては、反応器の頂部が好ましく、反応器下部としては、反応器の底部が好ましい。
【0013】
比重が大である原料は、反応器上部に連続供給され、自然に下部に移動しながら反応する。そして、比重が大である原料は、比重が小である原料を大過剰含む反応器内に導入されるため高転化率で反応し、高選択率で生成物となる。通常の反応においては、比重が小である原料は連続的な相となる。
【0014】
本発明の連続製造方法における生成物は、原料の一方または両方と溶解しうる生成物、または、原料よりも比重が大である生成物である。原料の両方と溶解せず、かつ、原料よりも比重が小である生成物であると、反応器上部に生成物が滞留し、連続製造が不可能となる。原料よりも比重が大である生成物において、比重が大である原料と生成物との比重差が0.2g/cm3 以上であるのが好ましく、特に0.5〜1.0g/cm3 が好ましい。
【0015】
本発明の連続製造方法は、生成物の濃度の増加により反応速度が低下する反応系や、生成物が原料とさらに反応するような反応系に適用するのが特に好ましい。特に、比重が大である原料と生成物との副反応が起こりうる反応系に適用する場合には、副反応を回避し高選択率を達成できる。
【0016】
連続製造方法を適用可能な反応の具体例としては、付加反応、縮合反応等が好ましい。
具体的には、後述の含フッ素アルコール(2)を製造する反応や、Rf3CH=CH2 (Rf3は、炭素数1〜20の含フッ素有機基。)にR4 OM(R4 はアルキル基。Mはアルカリ金属。)を付加させてRf3CH2 CH2 OR4 とする反応等に適用できる。
【0017】
さらに、連続製造方法においては、原料とともに反応を効率的に進行させるための反応副資材として、反応触媒、遊離基開始剤などの反応促進剤、溶媒、希釈ガス等を存在させてもよいが、これらの反応副資材は、必要最低限にするのが好ましい。
【0018】
反応器下部の生成物は、連続して抜き出す。抜き出しの速度は、反応の滞留時間を考慮して適宜選定すればよい。
【0019】
本発明の連続製造方法は、上記の特定条件を満たす原料から特定条件を満たす生成物を生じる製造方法であれば、種々の製造方法に採用できるが、特に含フッ素不飽和化合物(1)とアルカノール(3)とを反応させて含フッ素アルコール(2)を製造する方法において採用するのが好ましい。
【0020】
すなわち、含フッ素不飽和化合物(1)とアルカノール(3)とを遊離基開始剤の存在下に反応させて含フッ素アルコール(2)を製造する方法において、該アルカノール(3)を充填した反応器の上部に該含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給して反応させ、反応器下部から該含フッ素アルコール(2)を含む生成物を連続して抜き出すことを特徴とする含フッ素アルコール(2)の連続製造方法に採用するのが好ましい。
【0021】
【化2】
f −Q−CH=CH2 (1)
f −Q−CH2 CH2 CR12 −OH (2)
12 CH−OH (3)
【0022】
式中、Rf は炭素数1〜20の含フッ素有機基であり、Qは単結合または2価の有機基であり、R1 およびR2 は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R1 とR2 の炭素数の和は0〜5である。
【0023】
含フッ素不飽和化合物(1)において、Rf は炭素数1〜20の含フッ素有機基を示す。本明細書における「含フッ素有機基」とは、フッ素原子を1個以上含む有機基を意味する。含フッ素有機基としては、炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基である「含フッ素炭化水素基」が好ましい。
【0024】
さらに、含フッ素炭化水素基は、芳香族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素芳香族炭化水素基」、または、脂肪族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素脂肪族炭化水素基」のいずれでもよく、含フッ素脂肪族炭化水素基が好ましい。含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1〜12が好ましい。また、含フッ素芳香族炭化水素基は、水素原子の1個以上がアルキル基などの炭化水素基に置換されていてもよい。含フッ素芳香族炭化水素基の炭素数は6〜12程度が好ましく、特に6〜8が好ましい。
【0025】
また、本発明の含フッ素炭化水素基は、上記の含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素−炭素結合間に1個以上のエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子が挿入されていてもよい。
【0026】
f が1価の含フッ素脂肪族炭化水素基である場合、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素アルキル基」が好ましく、特にアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された「ポリフルオロアルキル基」が好ましい。また、含フッ素脂肪族炭化水素基のQと結合する末端側の炭素には、1〜3個のフッ素原子が結合しているのが好ましい。
【0027】
ポリフルオロアルキル基の炭素数は、1〜20程度が好ましく、特に、1〜15が好ましく、さらに6〜12が好ましい。また、該ポリフルオロアルキル基は、アルキル基の炭素−炭素結合間に1個以上のエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子が挿入されていてもよい。
【0028】
f がポリフルオロアルキル基である場合、ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわち、[(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基の水素原子数)]×100(%)は、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましく、さらに実質的に100%である場合のペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0029】
ポリフルオロアルキル基は、直鎖の構造でも分岐の構造でもよく、直鎖の構造が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分が炭素数1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。また、ポリフルオロアルキル基は、末端に水素原子が存在していてもよい。
【0030】
また、Rf が1価の含フッ素芳香族炭化水素基である場合、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアルアルキル基、またはこれらの基に低級アルキル基が置換した基、における水素原子の1個以上がフッ素原子に置換した基が好ましい。
【0031】
f の具体例としては、以下の構造が挙げられるがこれらに限定されない。なお、以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である「構造異性の基」を含むものとする。
【0032】
25 −、C37 −[CF3 (CF22 −、および(CF32 CF−の両者を含む。]、C49 −[CF3 (CF23 −、(CF32 CFCF2 −、(CF33 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−を含む]、C511−[CF3 (CF24 −、(CF32 CF(CF22 −、(CF33 CCF2 −、CF3 CF2 CF(CF3 )CF2 −などの構造異性の基を含む]、C613−[CF3 (CF22 C(CF32 −などの構造異性の基を含む]、C817−、C1021−、C1225−、C1531−、HCq2q−(ここで、qは1〜20の整数である。)、(CF32 CFCr2r−(ここで、rは1〜17の整数である。)など。
【0033】
CF3 (CF24 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]s CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]t CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −、C65 −、C65 CF=CF−、CH2 =CHC612−(ただし、sは1〜5の整数、tは1〜6の整数、uは2〜6の整数、vは1〜6の整数、wは1〜9の整数である。)など。
【0034】
含フッ素不飽和化合物(1)におけるQは、単結合または2価の有機基を示し、単結合が好ましい。Qが単結合である場合、一般式(1)におけるRf とCH=CH2 は直接結合していることを示す。また、一般式(2)においても、同様にRf とCH2 −CH2 −CR12 −OHは直接結合していることを示す。
【0035】
Qが2価の有機基である場合、Qはフッ素原子を含まないのが好ましい。また、Qは炭素数1〜8の2価の炭化水素基、または、本発明の反応において不活性な原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。さらにQは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。また、アルキレン基は、直鎖のアルキレン基、または分岐を有するアルキレン基のいずれでもよく、直鎖のアルキレン基が好ましく、分岐部分を有する場合には、分岐部分の炭素数が1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。
【0036】
また、Qが不活性な原子を含む2価の炭化水素基である場合、エーテル性の酸素原子、チオエーテル性の硫黄原子、または水素原子が結合しない窒素原子を含む2価の炭化水素基等が挙げられる。たとえば、−(CH22 O(CH23 −、−CH2 O(CH23 −、−(CH22 S(CH23 −、−SO2 NR−(ただしRは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)などが挙げられる。
【0037】
含フッ素不飽和化合物(1)としては、たとえば以下の例が挙げられる。
【0038】
【化3】
CF3 CF2 CH=CH2
CF3 (CF22 CH=CH2
CF3 (CF23 CH=CH2
CF3 (CF24 CH=CH2
CF3 (CF25 CH=CH2
CF3 (CF27 CH=CH2
CF3 (CF29 CH=CH2
CF3 (CF211CH=CH2
H(CF24 CH=CH2
H(CF26 CH=CH2
H(CF28 CH=CH2
H(CF210CH=CH2
H(CF212CH=CH2
(CF32 CF(CF22 CH=CH2
(CF32 CF(CF24 CH=CH2
(CF22 CF(CF26 CH=CH2
(CF32 CF(CF28 CH=CH2
(CF32 CF(CF210CH=CH2
(CF32 CF(CF212CH=CH2 等。
【0039】
アルカノール(3)としては、たとえばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘキサノール等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノールである。このアルカノール(3)は、直鎖または分岐のいずれの構造であってもよい。
【0040】
遊離基開始剤は、無機化合物または有機化合物のいずれでもよい。たとえば、通常のラジカル発生剤として用いられるペルオキシ化合物、アゾ化合物等が挙げられる。これらのうち、本発明の反応においては、有機のペルオキシ化合物が好ましい。
【0041】
有機のペルオキシ化合物としては、アルキルヒドロペルオキシ化合物、ジアルキルペルオキシ化合物、ペルオキシケタール、ジアシルペルオキシ化合物、ペルオキシカルボン酸エステル、ペルオキシカルボン酸またはペルオキシカーボネート等が好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、およびt−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。無機の遊離基開始剤としては、たとえば過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0042】
本発明においては、アルカノール(3)を充填した反応器の上部から含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給する。
【0043】
反応器に連続供給される含フッ素不飽和化合物(1)は反応器の上部において、アルカノール(3)より比重が大きいためにアルカノール(3)中を下方に落下する。含フッ素不飽和化合物(1)とアルカノール(3)は、反応前は相分離しているが生成物(2)の割合が増加すると均一溶液となる。
【0044】
このような分散反応の特徴をより際立たせるために遊離基開始剤は反応器中部に連続供給してもよく、上部に連続供給してもよく、予め反応器内に存在させておいてもよく、上部に連続供給するのが好ましい。
【0045】
アルカノール(3)は、連続供給してもしなくてもよく、生成物の量や反応時間に応じて適宜変更すればよい。アルカノール(3)を連続供給する場合には、含フッ素不飽和化合物(1)とは別の位置から反応器に供給する方法が好ましく、特に遊離基開始剤とともに含フッ素不飽和化合物(1)とは別の位置から反応器に供給する方法が好ましい。
【0046】
上記各原料の比は、特に制限されない。含フッ素不飽和化合物(1)、アルカノール(3)、および遊離基開始剤の比は、1:(1〜100):(0.002〜0.5)のモル比にすることが好ましく、特に1:(3〜80):(0.05〜0.3)のモル比にすることが好ましく、さらに1:(55〜80):(0.1〜0.3)のモル比にすることが好ましい。
【0047】
また、原料の供給量は、特に制限されないが、フィード量から計算される滞留時間が1〜360分になる量を供給することが好ましく、特に10〜200分となる量を供給することが好ましい。
【0048】
反応器は塔型の反応器であり、静止混合エレメントを有する反応器が好ましく、特に分割混合エレメントを持つ反応器が好ましい。静止混合エレメントを有する反応器を用いた場合には含フッ素不飽和化合物(1)は微粒子に分散され、アルカノール(3)が充分にある反応場で反応を行うため、反応率および選択率の両方において高い結果が得られる。
【0049】
反応温度は、特に制限されないが、遊離基開始剤の1分間の半減期温度より100℃低い温度〜該半減期温度より100℃高い温度の範囲が好ましく、特に好ましくは該半減期温度より80℃低い温度〜該半減期温度より10℃高い温度の範囲である。
【0050】
反応器の圧力は、特に制限されないが、反応温度における含フッ素不飽和化合物(1)の蒸気圧またはアルカノール(3)の蒸気圧のいずれか高い方の蒸気圧以上で一定に制御することが好ましく、特に反応温度における含フッ素不飽和化合物(1)の蒸気圧またはアルカノール(3)の蒸気圧のいずれか高い方の蒸気圧より0〜5kg/cm2 高い圧力で一定に制御することが好ましい。
【0051】
生成物である含フッ素アルコール(2)またはこれを含む反応生成物は反応器下部から連続的に系外に抜き出す。該反応においては、反応生成物中には、アルカノール(3)および/または含フッ素不飽和化合物(2)が含まれていてもよい。この反応生成物の抜き出し量は、前記滞留時間を考慮して適宜選定すればよい。抜き出された反応生成物は、適宜蒸留等の精製方法で精製し、純度の高いものにすればよい。
【0052】
含フッ素アルコール(2)の具体例としては、下記化合物等が挙げられる。ただし、Rf は、上記と同じ意味を示す。
【0053】
【化4】
f (CH23 OH、
f (CH22 CH(CH3 )OH、
f (CH22 CH(CH2 CH3 )OH、
f (CH22 CH(CH2 CH2 CH3 )OH、
f (CH25 OH、
f (CH24 CH(CH3 )OH、
f (CH24 CH(CH2 CH3 )OH、
f (CH24 CH(CH2 CH2 CH3 )OH、
f (CH22 O(CH24 OH、
f (CH22 O(CH23 CH(CH3 )OH、
f (CH22 O(CH23 CH(CH2 CH3 )OH、
f (CH22 O(CH23 CH(CH2 CH2 CH3 )OH、
f (CH23 O(CH24 OH、
f (CH23 O(CH23 CH(CH3 )OH、
f (CH23 O(CH23 CH(CH2 CH3 )OH、
f (CH23 O(CH23 CH(CH2 CH2 CH3 )OH。
【0054】
上記の含フッ素アルコール(2)は、医農薬中間体、機能性材料の中間体として有用な化合物である。
【0055】
【作用】
本発明の製造方法における反応機構は必ずしも明確ではないが、比重が小である原料を反応器内に充填させておき、そこへ原料を導入すると、原料の比重差により比重が大である原料は上部から下部に移動しながら反応し、比重が小である原料の供給比率を下げて容積効率を上げることができる。
【0056】
そして、生成物が原料よりも比重が大である場合には、反応器の下方向に比重差により移動し、また、原料と溶解する生成物の場合には、連続抜き出しに伴って移動するために、反応の場における副反応が抑制され、結果として高選択率を達成できるものと考えられる。
【0057】
【実施例】
[実施例1]
内部に分割混合用のエレメントを有し熱媒用のジャケットを有する内径40mmで長さ650mmのステンレス製二重管の塔型反応器(住友スルーザー社製、実内容積800ml)のジャケット側に138℃の熱媒を流し昇温後、メタノールを反応器下部から導入し、反応器上部からメタノールが流出したところで止めた。このときに要したメタノールの量は672gであった。
【0058】
このあと反応器上部からメタノールとt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート(1分間の半減期温度:158℃)を264:1のモル比で混合した溶液を14.3g/分の速度で供給し、同時に反応器上部からペルフルオロ(n−オクチル)エチレンを2.89g/分の速度で3時間別々の箇所から供給した。3時間後のペルフルオロ(n−オクチル)エチレン/メタノール/t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートのモル比は1/72.6/0.27であり、反応器内の温度は127〜131℃であった。
【0059】
反応器内の圧力を約9kg/cm2 ・G(メタノールの蒸気圧より1.8kg/cm2 高い圧力)にコントロールして反応液は反応器下部から連続的に流出させ冷却器を介して粗液タンクに回収した。3時間後供給を停止し、反応器内に残存している液を抜き出し流出液と混合し、ガスクロマトグラフィーにより定量したところ、生成したペルフルオロ(n−オクチル)プロパノールの選択率は87%であり、反応率はオレフィン基準で90%であった。このときの生成物の生成速度は145g/時であった。
【0060】
[実施例2]
実施例1と同じ反応器を用い、メタノールの代わりにイソプロパノールを用いた。イソプロパノールとt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートを264:1のモル比で混合した溶液を26.5g/分の速度で供給し、実施例1と同様に反応させた。圧力は、イソプロパノールの蒸気圧よりも4.7kg/cm2 高い圧力であった。生成した3−ペルフルオロ(n−オクチル)−1,1−ジメチルプロパノールの選択率は95%であり、反応率はオレフィン基準で95%であった。また、生成物の生成速度は177g/時であった。
【0061】
[比較例1]
内容積1000mlの撹拌機付きオートクレーブにメタノールを450g仕込み、内温を120℃に昇温した後、ペルフルオロ(n−オクチル)エチレンとt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートを1:0.27のモル比で混合した溶液を0.573g/分の速度で連続的に3時間供給した。3時間後のペルフルオロ(n−オクチル)エチレン/メタノール/t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートのモル比は1/72.6/0.27であり、反応器内の圧力の最大値は6.6kg/cm2 ・Gであった。
【0062】
供給停止後2時間熟成した後、降温し反応液を抜き出しガスクロマトグラフィーにより定量したところ、生成したペルフルオロ(n−オクチル)プロパノールの選択率は87%であり、反応率はオレフィン基準で92%であった。このときの生成物の生成速度は33g/時であった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の連続製造方法によれば、原料と生成物の比重の差を利用して反応の場における生成物の濃度を速やかに低下させうるため、高選択率で高容積効率で目的物を連続製造できる。特に、本発明方法は工業的な大容量の製造方法として優れた方法である。

Claims (5)

  1. 下式で表される含フッ素不飽和化合物(1)と下式で表されるアルカノール(3)を遊離基開始剤の存在下に反応させて下式で表される含フッ素アルコール(2)を製造する方法において、塔型の反応器を用い、該アルカノール(3)を充填した反応器の上部に該含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給して反応させ、反応器下部から該含フッ素アルコール(2)を含む生成物を連続して抜き出すことを特徴とする含フッ素アルコール(2)の連続製造方法。
    Figure 0003834883
    (式中、Rは炭素数1〜20の含フッ素有機基であり、Qは単結合または2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、RとRの炭素数の和は0〜5である。)
  2. アルカノール(3)および遊離基開始剤を、含フッ素不飽和化合物(1)と異なる位置から反応器に連続供給する請求項の含フッ素アルコール(2)の連続製造方法。
  3. 反応器の圧力を、反応温度における含フッ素不飽和化合物(1)の蒸気圧またはアルカノール(3)の蒸気圧のいずれか高い蒸気圧以上で一定に制御する請求項またはの含フッ素アルコール(2)の連続製造方法。
  4. が、炭素数4〜12のポリフルオロアルキル基である請求項またはの製造方法。
  5. アルカノール(3)が、メタノールまたはイソプロパノールである請求項またはの製造方法。
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