JPH09132542A - 塔型反応器を用いた連続製造方法 - Google Patents

塔型反応器を用いた連続製造方法

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JPH09132542A
JPH09132542A JP21878496A JP21878496A JPH09132542A JP H09132542 A JPH09132542 A JP H09132542A JP 21878496 A JP21878496 A JP 21878496A JP 21878496 A JP21878496 A JP 21878496A JP H09132542 A JPH09132542 A JP H09132542A
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Kazuya Oharu
一也 大春
Toshihiko Fujima
俊彦 藤間
Seisaku Kumai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高選択率と高容積効率とを達成可能な工業的製
造方法を提供する。 【解決手段】互いに溶解せず比重が異なる2種の原料を
反応させて、原料の一方または両方と溶解しうる生成
物、または、原料よりも比重が大である生成物を得る反
応において、塔型反応器を用い、比重が小である原料を
充填した反応器の上部に比重が大である原料を連続供給
して反応させ、反応器下部から生成物を連続して抜き出
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的製造方法と
して実用性に優れた連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、工業的連続方法としては、撹
拌装置を備えたオートクレーブに原料を連続供給する方
法が汎用されている。また、Rf2(CH22 CH(R
3 )−OH(Rf2は炭素数1〜20のポリフルオロアル
キル基、R3 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル
基。)で表されるポリフルオロアルキルアルコールを製
造する方法としては、(1)加圧式反応器を用いて、R
f2CH=CH2 、アルカノール、および遊離基開始剤を
一括に仕込んで反応させる方法、(2)加圧式反応器
に、アルカノールを仕込んだ後に、Rf2CH=CH2
遊離基開始剤を連続添加する方法、が提案されている
(USP5227540)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、生成物が原料
と副反応を起こす場合の反応を撹拌装置を備えたオート
クレーブで実施した場合、原料を連続供給するとその原
料組成が反応部の組成ともなる。したがって高選択で反
応を進行させようとすると容積効率が低くなる欠点があ
った。原料を一括で仕込み、バッチ式で反応を進行させ
ようとしても、同様に容積効率が低くなる欠点があっ
た。
【0004】たとえば、上記(1)の方法における反応
選択率は、アルカノールとRf2CH=CH2 の全フィー
ド量との比率によって支配されるため、反応が進行し
て、ポリフルオロアルキルアルコール濃度が高くなる
と、生成物とRf2CH=CH2 が副反応をおこし、選択
率を低下させる欠点があり、一方、選択率を高くしよう
とすると容積効率が0.2kg/リットル程度になる問
題が認められた。
【0005】(2)の方法でも(1)の方法と同様に反
応が進行するにつれて副反応の反応速度が大きくなり、
選択率を下げる欠点があった。さらに、(1)および
(2)のいずれの方法においても、高い選択率を維持し
ようとしてアルカノールの比率を高くすると容積効率が
下がるため、工業的に不利なプロセスであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、後に述べる
含フッ素アルコール(2)等の工業的製造方法について
検討した結果、高効率で含フッ素アルコールを製造しう
る連続製造方法を見いだした。さらに、該製造方法が種
々の化合物の連続製造方法としても適用可能であること
を見いだし本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、互いに溶解せず比重
が異なる2種の原料を反応させて、原料の一方または両
方と溶解しうる生成物、または、原料よりも比重が大で
ある生成物を得る反応において、塔型反応器を用い、比
重が小である原料を充填した反応器の上部に比重が大で
ある原料を連続供給して反応させ、反応器下部から生成
物を連続して抜き出すことを特徴とする連続製造方法を
提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の連続製造方法における2
種の原料は、互いに溶解せず比重が異なることが必要で
ある。2種の原料が互いに溶解するものである場合、原
料の比重が同じである場合には、反応の場における原料
の量が不足して転化率が低下する。2種の原料の比重差
は0.2g/cm3 以上であるのが好ましく、特に0.
5〜1.0g/cm3 が好ましい。2種の原料は、液体
または気体であるのが好ましいく、特にいずれもが液体
であるのが好ましい。
【0009】反応器は、塔型の反応器であれば特に限定
されず、特に内部に静止混合エレメントを有する反応器
が好ましい。また、本発明における反応器は、駆動型の
混合器を有すると、比重差による物質の移動が妨げられ
るため好ましくない。特に生成物と原料が副反応をおこ
す反応系においては比重差による物質移動よりも激しい
物質移動がおこりうる駆動型の混合器による撹拌は好ま
しくない。
【0010】静止混合エレメントとしては、一般にスタ
ティックミキサーの混合エレメントとして知られている
エレメントであれば採用できる。たとえば、原料の流れ
を複数に分割する混合エレメント(分割混合エレメン
ト)、または、通常の充填塔に用いられる充填物が好ま
しく採用できる。
【0011】本発明の連続製造方法においては、反応器
内に比重が小である原料を充填しておく。反応器内に
は、比重が小である原料のみを充填しておいてもよく、
また、該原料とともに他の物質を充填してもよい。他の
物質としては、反応に必要な触媒、開始剤等や、反応に
影響を及ぼさない希釈剤等が挙げられる。
【0012】さらに、比重が大である原料を、反応器上
部に連続供給する。反応器の上部とは、塔型反応器の高
さを2等分した場合の1/2以上の上の部分をいい、反
応器の下部とはそれより下の部分をいう。反応器上部と
しては、反応器の頂部が好ましく、反応器下部として
は、反応器の底部が好ましい。
【0013】比重が大である原料は、反応器上部に連続
供給され、自然に下部に移動しながら反応する。そし
て、比重が大である原料は、比重が小である原料を大過
剰含む反応器内に導入されるため高転化率で反応し、高
選択率で生成物となる。通常の反応においては、比重が
小である原料は連続的な相となる。
【0014】本発明の連続製造方法における生成物は、
原料の一方または両方と溶解しうる生成物、または、原
料よりも比重が大である生成物である。原料の両方と溶
解せず、かつ、原料よりも比重が小である生成物である
と、反応器上部に生成物が滞留し、連続製造が不可能と
なる。原料よりも比重が大である生成物において、比重
が大である原料と生成物との比重差が0.2g/cm3
以上であるのが好ましく、特に0.5〜1.0g/cm
3 が好ましい。
【0015】本発明の連続製造方法は、生成物の濃度の
増加により反応速度が低下する反応系や、生成物が原料
とさらに反応するような反応系に適用するのが特に好ま
しい。特に、比重が大である原料と生成物との副反応が
起こりうる反応系に適用する場合には、副反応を回避し
高選択率を達成できる。
【0016】連続製造方法を適用可能な反応の具体例と
しては、付加反応、縮合反応等が好ましい。具体的に
は、後述の含フッ素アルコール(2)を製造する反応
や、Rf3CH=CH2 (Rf3は、炭素数1〜20の含フ
ッ素有機基。)にR4 OM(R4 はアルキル基。Mはア
ルカリ金属。)を付加させてRf3CH2 CH2 OR4
する反応等に適用できる。
【0017】さらに、連続製造方法においては、原料と
ともに反応を効率的に進行させるための反応副資材とし
て、反応触媒、遊離基開始剤などの反応促進剤、溶媒、
希釈ガス等を存在させてもよいが、これらの反応副資材
は、必要最低限にするのが好ましい。
【0018】反応器下部の生成物は、連続して抜き出
す。抜き出しの速度は、反応の滞留時間を考慮して適宜
選定すればよい。
【0019】本発明の連続製造方法は、上記の特定条件
を満たす原料から特定条件を満たす生成物を生じる製造
方法であれば、種々の製造方法に採用できるが、特に含
フッ素不飽和化合物(1)とアルカノール(3)とを反
応させて含フッ素アルコール(2)を製造する方法にお
いて採用するのが好ましい。
【0020】すなわち、含フッ素不飽和化合物(1)と
アルカノール(3)とを遊離基開始剤の存在下に反応さ
せて含フッ素アルコール(2)を製造する方法におい
て、該アルカノール(3)を充填した反応器の上部に該
含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給して反応させ、
反応器下部から該含フッ素アルコール(2)を含む生成
物を連続して抜き出すことを特徴とする含フッ素アルコ
ール(2)の連続製造方法に採用するのが好ましい。
【0021】
【化2】 Rf −Q−CH=CH2 (1) Rf −Q−CH2 CH2 CR12 −OH (2) R12 CH−OH (3)
【0022】式中、Rf は炭素数1〜20の含フッ素有
機基であり、Qは単結合または2価の有機基であり、R
1 およびR2 は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜
5のアルキル基であり、R1 とR2 の炭素数の和は0〜
5である。
【0023】含フッ素不飽和化合物(1)において、R
f は炭素数1〜20の含フッ素有機基を示す。本明細書
における「含フッ素有機基」とは、フッ素原子を1個以
上含む有機基を意味する。含フッ素有機基としては、炭
化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換され
た基である「含フッ素炭化水素基」が好ましい。
【0024】さらに、含フッ素炭化水素基は、芳香族炭
化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換され
た「含フッ素芳香族炭化水素基」、または、脂肪族炭化
水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された
「含フッ素脂肪族炭化水素基」のいずれでもよく、含フ
ッ素脂肪族炭化水素基が好ましい。含フッ素脂肪族炭化
水素基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1
〜12が好ましい。また、含フッ素芳香族炭化水素基
は、水素原子の1個以上がアルキル基などの炭化水素基
に置換されていてもよい。含フッ素芳香族炭化水素基の
炭素数は6〜12程度が好ましく、特に6〜8が好まし
い。
【0025】また、本発明の含フッ素炭化水素基は、上
記の含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素−炭素結合間に1
個以上のエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の
硫黄原子が挿入されていてもよい。
【0026】Rf が1価の含フッ素脂肪族炭化水素基で
ある場合、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原
子に置換された「含フッ素アルキル基」が好ましく、特
にアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換
された「ポリフルオロアルキル基」が好ましい。また、
含フッ素脂肪族炭化水素基のQと結合する末端側の炭素
には、1〜3個のフッ素原子が結合しているのが好まし
い。
【0027】ポリフルオロアルキル基の炭素数は、1〜
20程度が好ましく、特に、1〜15が好ましく、さら
に6〜12が好ましい。また、該ポリフルオロアルキル
基は、アルキル基の炭素−炭素結合間に1個以上のエー
テル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子が挿
入されていてもよい。
【0028】Rf がポリフルオロアルキル基である場
合、ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合、す
なわち、[(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子
数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数
のアルキル基の水素原子数)]×100(%)は、60
%以上が好ましく、特に80%以上が好ましく、さらに
実質的に100%である場合のペルフルオロアルキル基
が好ましい。
【0029】ポリフルオロアルキル基は、直鎖の構造で
も分岐の構造でもよく、直鎖の構造が好ましい。分岐の
構造である場合には、分岐部分が炭素数1〜3程度の短
鎖である場合が好ましい。また、ポリフルオロアルキル
基は、末端に水素原子が存在していてもよい。
【0030】また、Rf が1価の含フッ素芳香族炭化水
素基である場合、フェニル基などのアリール基、ベンジ
ル基などのアルアルキル基、またはこれらの基に低級ア
ルキル基が置換した基、における水素原子の1個以上が
フッ素原子に置換した基が好ましい。
【0031】Rf の具体例としては、以下の構造が挙げ
られるがこれらに限定されない。なお、以下の例におい
ては、同一分子式を有する構造の異なる基である「構造
異性の基」を含むものとする。
【0032】C25 −、C37 −[CF3 (CF
22 −、および(CF32 CF−の両者を含
む。]、C49 −[CF3 (CF23 −、(CF
32 CFCF2 −、(CF33 C−、CF3 CF2
CF(CF3 )−を含む]、C511−[CF3 (CF
24 −、(CF32 CF(CF22 −、(CF
33 CCF2 −、CF3 CF2 CF(CF3 )CF2
−などの構造異性の基を含む]、C613−[CF3
(CF22 C(CF32 −などの構造異性の基を含
む]、C817−、C1021−、C1225−、C1531
−、HCq2q−(ここで、qは1〜20の整数であ
る。)、(CF32 CFCr2r−(ここで、rは1
〜17の整数である。)など。
【0033】CF3 (CF24 OCF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]s CF(CF3 )CF2
CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]t CF(CF
3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2
−、F(CF2 CF2 CF2O)v CF2 CF2 −、F
(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −、C65 −、C
65 CF=CF−、CH2 =CHC612−(ただ
し、sは1〜5の整数、tは1〜6の整数、uは2〜6
の整数、vは1〜6の整数、wは1〜9の整数であ
る。)など。
【0034】含フッ素不飽和化合物(1)におけるQ
は、単結合または2価の有機基を示し、単結合が好まし
い。Qが単結合である場合、一般式(1)におけるRf
とCH=CH2 は直接結合していることを示す。また、
一般式(2)においても、同様にRf とCH2 −CH2
−CR12 −OHは直接結合していることを示す。
【0035】Qが2価の有機基である場合、Qはフッ素
原子を含まないのが好ましい。また、Qは炭素数1〜8
の2価の炭化水素基、または、本発明の反応において不
活性な原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。さらに
Qは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、特に炭
素数1〜5のアルキレン基が好ましい。また、アルキレ
ン基は、直鎖のアルキレン基、または分岐を有するアル
キレン基のいずれでもよく、直鎖のアルキレン基が好ま
しく、分岐部分を有する場合には、分岐部分の炭素数が
1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。
【0036】また、Qが不活性な原子を含む2価の炭化
水素基である場合、エーテル性の酸素原子、チオエーテ
ル性の硫黄原子、または水素原子が結合しない窒素原子
を含む2価の炭化水素基等が挙げられる。たとえば、−
(CH22 O(CH23−、−CH2 O(CH23
−、−(CH22 S(CH23 −、−SO2 NR
−(ただしRは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
などが挙げられる。
【0037】含フッ素不飽和化合物(1)としては、た
とえば以下の例が挙げられる。
【0038】
【化3】CF3 CF2 CH=CH2 、CF3 (CF2
2 CH=CH2 、CF3 (CF23 CH=CH2 、C
3 (CF24 CH=CH2 、CF3 (CF25
H=CH2 、CF3 (CF27 CH=CH2 、CF3
(CF29 CH=CH2 、CF3 (CF211CH=
CH2 、H(CF24 CH=CH2 、H(CF26
CH=CH2 、H(CF28 CH=CH2 、H(CF
210CH=CH2 、H(CF212CH=CH2
(CF32 CF(CF22 CH=CH2 、(CF
32 CF(CF24 CH=CH2 、(CF22
F(CF26 CH=CH2 、(CF32 CF(CF
28 CH=CH2 、(CF32 CF(CF210
H=CH2 、(CF32 CF(CF212CH=CH
2 等。
【0039】アルカノール(3)としては、たとえばメ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノー
ル、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1
−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノー
ル、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−メチル
−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、4−
メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノー
ル、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘキサノール
等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、2
−プロパノールである。このアルカノール(3)は、直
鎖または分岐のいずれの構造であってもよい。
【0040】遊離基開始剤は、無機化合物または有機化
合物のいずれでもよい。たとえば、通常のラジカル発生
剤として用いられるペルオキシ化合物、アゾ化合物等が
挙げられる。これらのうち、本発明の反応においては、
有機のペルオキシ化合物が好ましい。
【0041】有機のペルオキシ化合物としては、アルキ
ルヒドロペルオキシ化合物、ジアルキルペルオキシ化合
物、ペルオキシケタール、ジアシルペルオキシ化合物、
ペルオキシカルボン酸エステル、ペルオキシカルボン酸
またはペルオキシカーボネート等が好ましい。具体的に
は、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキ
シイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイ
ソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−
t−ブチルペルオキシド、およびt−ブチルヒドロペル
オキシド等が挙げられる。無機の遊離基開始剤として
は、たとえば過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0042】本発明においては、アルカノール(3)を
充填した反応器の上部から含フッ素不飽和化合物(1)
を連続供給する。
【0043】反応器に連続供給される含フッ素不飽和化
合物(1)は反応器の上部において、アルカノール
(3)より比重が大きいためにアルカノール(3)中を
下方に落下する。含フッ素不飽和化合物(1)とアルカ
ノール(3)は、反応前は相分離しているが生成物
(2)の割合が増加すると均一溶液となる。
【0044】このような分散反応の特徴をより際立たせ
るために遊離基開始剤は反応器中部に連続供給してもよ
く、上部に連続供給してもよく、予め反応器内に存在さ
せておいてもよく、上部に連続供給するのが好ましい。
【0045】アルカノール(3)は、連続供給してもし
なくてもよく、生成物の量や反応時間に応じて適宜変更
すればよい。アルカノール(3)を連続供給する場合に
は、含フッ素不飽和化合物(1)とは別の位置から反応
器に供給する方法が好ましく、特に遊離基開始剤ととも
に含フッ素不飽和化合物(1)とは別の位置から反応器
に供給する方法が好ましい。
【0046】上記各原料の比は、特に制限されない。含
フッ素不飽和化合物(1)、アルカノール(3)、およ
び遊離基開始剤の比は、1:(1〜100):(0.0
02〜0.5)のモル比にすることが好ましく、特に
1:(3〜80):(0.05〜0.3)のモル比にす
ることが好ましく、さらに1:(55〜80):(0.
1〜0.3)のモル比にすることが好ましい。
【0047】また、原料の供給量は、特に制限されない
が、フィード量から計算される滞留時間が1〜360分
になる量を供給することが好ましく、特に10〜200
分となる量を供給することが好ましい。
【0048】反応器は塔型の反応器であり、静止混合エ
レメントを有する反応器が好ましく、特に分割混合エレ
メントを持つ反応器が好ましい。静止混合エレメントを
有する反応器を用いた場合には含フッ素不飽和化合物
(1)は微粒子に分散され、アルカノール(3)が充分
にある反応場で反応を行うため、反応率および選択率の
両方において高い結果が得られる。
【0049】反応温度は、特に制限されないが、遊離基
開始剤の1分間の半減期温度より100℃低い温度〜該
半減期温度より100℃高い温度の範囲が好ましく、特
に好ましくは該半減期温度より80℃低い温度〜該半減
期温度より10℃高い温度の範囲である。
【0050】反応器の圧力は、特に制限されないが、反
応温度における含フッ素不飽和化合物(1)の蒸気圧ま
たはアルカノール(3)の蒸気圧のいずれか高い方の蒸
気圧以上で一定に制御することが好ましく、特に反応温
度における含フッ素不飽和化合物(1)の蒸気圧または
アルカノール(3)の蒸気圧のいずれか高い方の蒸気圧
より0〜5kg/cm2 高い圧力で一定に制御すること
が好ましい。
【0051】生成物である含フッ素アルコール(2)ま
たはこれを含む反応生成物は反応器下部から連続的に系
外に抜き出す。該反応においては、反応生成物中には、
アルカノール(3)および/または含フッ素不飽和化合
物(2)が含まれていてもよい。この反応生成物の抜き
出し量は、前記滞留時間を考慮して適宜選定すればよ
い。抜き出された反応生成物は、適宜蒸留等の精製方法
で精製し、純度の高いものにすればよい。
【0052】含フッ素アルコール(2)の具体例として
は、下記化合物等が挙げられる。ただし、Rf は、上記
と同じ意味を示す。
【0053】
【化4】Rf (CH23 OH、Rf (CH22 CH
(CH3 )OH、Rf (CH22 CH(CH2 CH
3 )OH、Rf (CH22 CH(CH2 CH2 CH
3 )OH、Rf (CH25 OH、Rf (CH24
H(CH3 )OH、Rf (CH24 CH(CH2 CH
3 )OH、Rf (CH24 CH(CH2 CH2 CH
3 )OH、Rf (CH22 O(CH24 OH、Rf
(CH22 O(CH23 CH(CH3 )OH、Rf
(CH22 O(CH23 CH(CH2 CH3 )O
H、Rf (CH22 O(CH23 CH(CH2 CH
2 CH3 )OH、Rf (CH23 O(CH24
H、Rf (CH23 O(CH23 CH(CH3 )O
H、Rf (CH23 O(CH23 CH(CH2 CH
3 )OH、Rf (CH23 O(CH23 CH(CH
2 CH2 CH3 )OH。
【0054】上記の含フッ素アルコール(2)は、医農
薬中間体、機能性材料の中間体として有用な化合物であ
る。
【0055】
【作用】本発明の製造方法における反応機構は必ずしも
明確ではないが、比重が小である原料を反応器内に充填
させておき、そこへ原料を導入すると、原料の比重差に
より比重が大である原料は上部から下部に移動しながら
反応し、比重が小である原料の供給比率を下げて容積効
率を上げることができる。
【0056】そして、生成物が原料よりも比重が大であ
る場合には、反応器の下方向に比重差により移動し、ま
た、原料と溶解する生成物の場合には、連続抜き出しに
伴って移動するために、反応の場における副反応が抑制
され、結果として高選択率を達成できるものと考えられ
る。
【0057】
【実施例】
[実施例1]内部に分割混合用のエレメントを有し熱媒
用のジャケットを有する内径40mmで長さ650mm
のステンレス製二重管の塔型反応器(住友スルーザー社
製、実内容積800ml)のジャケット側に138℃の
熱媒を流し昇温後、メタノールを反応器下部から導入
し、反応器上部からメタノールが流出したところで止め
た。このときに要したメタノールの量は672gであっ
た。
【0058】このあと反応器上部からメタノールとt−
ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート(1分間の
半減期温度:158℃)を264:1のモル比で混合し
た溶液を14.3g/分の速度で供給し、同時に反応器
上部からペルフルオロ(n−オクチル)エチレンを2.
89g/分の速度で3時間別々の箇所から供給した。3
時間後のペルフルオロ(n−オクチル)エチレン/メタ
ノール/t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
トのモル比は1/72.6/0.27であり、反応器内
の温度は127〜131℃であった。
【0059】反応器内の圧力を約9kg/cm2 ・G
(メタノールの蒸気圧より1.8kg/cm2 高い圧
力)にコントロールして反応液は反応器下部から連続的
に流出させ冷却器を介して粗液タンクに回収した。3時
間後供給を停止し、反応器内に残存している液を抜き出
し流出液と混合し、ガスクロマトグラフィーにより定量
したところ、生成したペルフルオロ(n−オクチル)プ
ロパノールの選択率は87%であり、反応率はオレフィ
ン基準で90%であった。このときの生成物の生成速度
は145g/時であった。
【0060】[実施例2]実施例1と同じ反応器を用
い、メタノールの代わりにイソプロパノールを用いた。
イソプロパノールとt−ブチルペルオキシイソプロピル
カーボネートを264:1のモル比で混合した溶液を2
6.5g/分の速度で供給し、実施例1と同様に反応さ
せた。圧力は、イソプロパノールの蒸気圧よりも4.7
kg/cm2高い圧力であった。生成した3−ペルフル
オロ(n−オクチル)−1,1−ジメチルプロパノール
の選択率は95%であり、反応率はオレフィン基準で9
5%であった。また、生成物の生成速度は177g/時
であった。
【0061】[比較例1]内容積1000mlの撹拌機
付きオートクレーブにメタノールを450g仕込み、内
温を120℃に昇温した後、ペルフルオロ(n−オクチ
ル)エチレンとt−ブチルペルオキシイソプロピルカー
ボネートを1:0.27のモル比で混合した溶液を0.
573g/分の速度で連続的に3時間供給した。3時間
後のペルフルオロ(n−オクチル)エチレン/メタノー
ル/t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートの
モル比は1/72.6/0.27であり、反応器内の圧
力の最大値は6.6kg/cm2 ・Gであった。
【0062】供給停止後2時間熟成した後、降温し反応
液を抜き出しガスクロマトグラフィーにより定量したと
ころ、生成したペルフルオロ(n−オクチル)プロパノ
ールの選択率は87%であり、反応率はオレフィン基準
で92%であった。このときの生成物の生成速度は33
g/時であった。
【0063】
【発明の効果】本発明の連続製造方法によれば、原料と
生成物の比重の差を利用して反応の場における生成物の
濃度を速やかに低下させうるため、高選択率で高容積効
率で目的物を連続製造できる。特に、本発明方法は工業
的な大容量の製造方法として優れた方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大春 一也 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 藤間 俊彦 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 熊井 清作 神奈川県茅ケ崎市茅ケ崎3丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに溶解せず比重が異なる2種の原料を
    反応させて、原料の一方または両方と溶解しうる生成
    物、または、原料よりも比重が大である生成物を得る反
    応において、塔型反応器を用い、比重が小である原料を
    充填した反応器の上部に比重が大である原料を連続供給
    して反応させ、反応器下部から生成物を連続して抜き出
    すことを特徴とする連続製造方法。
  2. 【請求項2】比重が大である原料が、生成物と反応しう
    る原料である請求項1の連続製造方法。
  3. 【請求項3】塔型反応器が内部に静止混合エレメントを
    有する反応器である請求項1または2の連続製造方法。
  4. 【請求項4】下式で表される含フッ素不飽和化合物
    (1)と下式で表されるアルカノール(3)を遊離基開
    始剤の存在下に反応させて下式で表される含フッ素アル
    コール(2)を製造する方法において、塔型の反応器を
    用い、該アルカノール(3)を充填した反応器の上部に
    該含フッ素不飽和化合物(1)を連続供給して反応さ
    せ、反応器下部から該含フッ素アルコール(2)を含む
    生成物を連続して抜き出すことを特徴とする含フッ素ア
    ルコール(2)の連続製造方法。 【化1】 Rf −Q−CH=CH2 (1) Rf −Q−CH2 CH2 CR12 −OH (2) R12 CH−OH (3) (式中、Rf は炭素数1〜20の含フッ素有機基であ
    り、Qは単結合または2価の有機基であり、R1 および
    2 は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜5のアル
    キル基であり、R1 とR2 の炭素数の和は0〜5であ
    る。)
  5. 【請求項5】アルカノール(3)および遊離基開始剤
    を、含フッ素不飽和化合物(1)と異なる位置から反応
    器に連続供給する請求項4の含フッ素アルコール(2)
    の連続製造方法。
  6. 【請求項6】反応器の圧力を、反応温度における含フッ
    素不飽和化合物(1)の蒸気圧またはアルカノール
    (3)の蒸気圧のいずれか高い蒸気圧以上で一定に制御
    する請求項4または5の含フッ素アルコール(2)の連
    続製造方法。
  7. 【請求項7】Rf が、炭素数4〜12のポリフルオロア
    ルキル基である請求項4、5または6の製造方法。
  8. 【請求項8】アルカノール(3)が、メタノールまたは
    イソプロパノールである請求項4、5、6または7の製
    造方法。
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WO2002020444A1 (fr) * 2000-09-08 2002-03-14 Asahi Glass Company, Limited Procede de production de fluoroalcanol
WO2006046530A1 (ja) * 2004-10-29 2006-05-04 Moritex Corporation 連続合成装置及び方法

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