JP3833888B2 - 粉体塗料用樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体塗料用樹脂、粉体塗料用樹脂の製造方法、および、粉体塗料に関する。さらに詳しくは、粉体流動性に優れた粉体塗料を与える粉体塗料用樹脂、粉体塗料用樹脂の製造方法、および、粉体塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン樹脂の粉体を含む粉体塗料は、流動浸漬塗装法、静電塗装法、溶射塗装法、散布塗装法等の塗装方法により、フェンス、台所用品、自動車部品、ガーデニング用品および鋼管等の素材の被覆のために広く利用されている。
【0003】
ところで、このようなポリエチレン樹脂の粉体を含む粉体塗料は、塗膜の硬度が小さく、また、エッジカバー性が低いといった問題がある。したがって、例えば、ポリエチレン樹脂と不飽和カルボン酸変性ポリエチレン樹脂を混合することにより、エッジカバー性、表面光沢等に優れた粉体塗料用樹脂組成物が開示されている(特開平9−143400号公報)。
【0004】
しかしながら、ポリエチレン樹脂と不飽和カルボン酸変性ポリエチレン樹脂の分散が不十分であると粉砕した際に、得られた粉体の形状が悪化し、粉体流動性が低下する。その結果、塗装品の表面平滑性が悪化したり、特に複雑な基材に塗装した場合にピンホールが発生するといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂とポリエチレン樹脂からなる粉体塗料用樹脂を粉砕して得られる粉体塗料について、粉体流動性を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中にポリエチレン樹脂を特定の粒子径以下に分散させた樹脂を成分とする粉体塗料が、粉体流動性に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径20μm以下の状態で分散している粉体塗料用樹脂、原料樹脂を粗粉砕する工程を有する粉体塗料用樹脂の製造方法、ならびに、前記粉体塗料用樹脂を粉砕して得られる嵩密度が0.30〜0.60g/ml、安息角が15〜40度および中位粒子径が100〜220μmの粉体塗料に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径20μm以下、好ましくは1〜20μmの粒子の状態で分散しているものである。前記ポリエチレン樹脂の粒子径が20μmを超える場合は、得られる粉体の形状が悪化し、粉体流動性が低下する。その結果、塗装品の表面平滑性が悪化したり、特に複雑な基材に塗装した場合にピンホールが発生するおそれがある。
【0008】
なお、本発明において、ポリエチレン樹脂の粒子径とは、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に分散しているポリエチレン樹脂粒子の長径の長さをいう。より具体的には、粉体塗料用樹脂のペレットをカバーグラスにはさみ、190℃に加熱して溶融させた後、ドライアイス/エタノール中へ投入して、急冷し、厚み約100μm、直径約30mmφの試料を作成し、得られた試料を位相差顕微鏡にて、透過光で観察し、ポリエチレン樹脂粒子の長径を測定したものをいう。
【0009】
本発明で用いられるポリエチレン樹脂としては、特に限定されるものではない。このようなポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等のエチレン単独重合体が挙げられる。
【0010】
本発明で用いられるポリエチレン樹脂は、密度が0.85〜0.95g/cm3のものが好ましく、0.91〜0.94g/cm3のものがより好ましい。密度が0.85g/cm3未満の場合は、本発明の粉体塗料により得られる塗膜の剥離強度が低下するおそれがある。また、密度が0.95g/cm3を超える場合は、低温下での塗膜の耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0011】
また、本発明で用いられるポリエチレン樹脂は、温度190℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが1〜50g/10分のものが好ましく、2〜40g/10分のものがより好ましい。メルトフローレートが1g/10分未満の場合は、本発明の粉体塗料の粉体流動性が低下し、塗装性が低下するおそれがある。また、メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、本発明の粉体塗料により得られる塗膜の機械的特性が低下するおそれがある。
【0012】
前記ポリエチレン樹脂の含有量は粉体塗料用樹脂に対して3〜50重量%であるのが好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。ポリエチレン樹脂の含有量が3重量%未満の場合、本発明の粉体塗料により得られる塗膜の硬度が低下するおそれがある。また、ポリエチレン樹脂の含有量が50重量%を超える場合、塗膜の剥離強度が低下するおそれがある。
【0013】
本発明で用いられるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂は、特に限定されるものではない。このようなエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂は、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸をランダム重合、ブロック重合、グラフト重合等の公知の各種の重合方法により得られた共重合体である。前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの無水物等が挙げられる。
【0014】
前記のようなエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂の具体例としては、例えば、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸グラフト共重合体等が挙げられる。
【0015】
本発明で用いられるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂は、密度が0.85〜0.95g/cm3のものが好ましく、0.91〜0.94g/cm3のものがより好ましい。密度が0.85g/cm3未満の場合は、本発明の粉体塗料により得られる塗膜の剥離強度が弱くなるおそれがある。また、密度が0.95g/cm3を超える場合は、低温下での塗膜の耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0016】
また、本発明で用いられるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂は、温度190℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが1〜50g/10分のものが好ましく、2〜40g/10分のものがより好ましい。メルトフローレートが1g/10分未満の場合は、本発明の粉体塗料用樹脂の溶融性が低下し、塗装性が低下するおそれがある。また、メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、粉砕しにくくなるおそれがある。
【0017】
さらに、本発明で用いられるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂は、エチレン含量が80〜99.9重量%のものが好ましく、85〜99.9重量%のものがより好ましい。エチレン含量が80重量%未満の場合は、粉砕しにくくなるおそれがある。また、エチレン含量が99.9重量%を超える場合は、本発明の粉体塗料により得られる塗膜の剥離強度が低下するおそれがある。
【0018】
本発明の粉体塗料用樹脂を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の製造方法が好適に用いられる。
本発明の製造方法は、原料樹脂を粗粉砕する工程を有することを特徴とする。従来の粉体塗料用樹脂の製造方法においては、予め原料樹脂のペレットを粗粉砕する工程は行われておらず、ペレット状の原料樹脂をそのまま混合し、溶融した後、得られた混合物をペレット状に成形することにより粉体塗料用樹脂を得ていた。従来の粉体塗料用樹脂の製造方法を用いて、ポリエチレン樹脂とエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂とからなる粉体塗料用樹脂を製造すると、ポリエチレン樹脂のエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中への分散が不十分であり、このため、得られた粉体塗料用樹脂を粉砕して、粉体塗料を製造すると、得られた粉体塗料は突起がある形状を有し、粉体流動性に劣るものであった。
前記原料樹脂としては特に限定されず、例えば、一般的に粉体塗料の原料として用いられるもの等が挙げられる。
【0019】
本発明の製造方法を用いて、本発明の粉体塗料用樹脂を製造する態様としては、例えば、予めエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂のペレットをそれぞれ高速回転式粉砕機、冷凍粉砕機等の粉砕機を用いて中位粒子径が500μm以下、好ましくは200〜400μmに粗粉砕した後、ヘンシェルミキサー、タンブラー等の混合機を用いて混合することにより、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂とポリエチレン樹脂の混合物を得る。次いで、得られた混合物を押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融しながら均一に混練した後、例えばペレット状に成形することによりエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中にポリエチレン樹脂が粒子径20μm以下の状態で分散された粉体塗料用樹脂のペレットを得ることができる。このような製造工程において、安定剤、滑剤、顔料、染料等が適宜添加されても良い。
本発明の製造方法としては、原料樹脂を粗粉砕する工程を有していれば他の工程は特に限定されず、上記で例示した態様に限定されるものでもない。
【0020】
本発明の粉体塗料用樹脂よりなるペレットを、高速回転式粉砕機、冷凍粉砕機等の粉砕機を用いて粉砕し、これを篩等を用いて分級することにより粉体塗料を得ることができる。
上記粉体塗料の嵩密度は0.30〜0.60g/ml、好ましくは0.35〜0.50g/mlに設定されることが好ましい。嵩密度が0.30g/ml未満の場合または0.60g/mlを超える場合は、粉体塗料の粉体流動性が悪化し、塗装品の表面状態、加工性等に問題を生じるおそれがある。
【0021】
なお、本発明において、嵩密度とは、空隙や気孔を含有する粉体について、それが一様な密度分布をなすものと見なした場合の密度をいう。より具体的には、本発明における嵩密度とは、内容積100ml、直径40mmの円筒形の容器内に粉体塗料70gを漏斗を用いて静かに落下させ、容器から盛り上がった粉体塗料をガラス棒ですり落とした後に当該粉体塗料の入った容器の質量を測定し、この質量から容器の質量を引いた質量を容器の内容積で割った数値をいう。
【0022】
また、上記粉体塗料の安息角は、15〜40度、好ましくは20〜35度に設定されることが好ましい。安息角が、15度未満の場合または40度を超える場合は、粉体塗料の粉体流動性が悪化し、前記と同様の不具合の生じるおそれがある。
【0023】
なお、本発明において、安息角とは、粉体塗料を水平面上に自由落下させたとき、そこに堆積する粉体塗料によりつくられる円錐の母線と水平面とにより形成される角をいう。より具体的には、本発明における安息角とは、JIS K 6722に記載の嵩比重測定装置を用いて、化学工学便覧(丸善株式会社発行、改訂五版、第254頁)に記載の(a)注入法にて測定されるものであり、水平に設置された直径10cmの円台上に粉体塗料60gを漏斗を用いて静かに落下させて円錐状に堆積させた場合の、円錐状の堆積物の母線と円台の水平面により形成される角度をいう。
【0024】
さらに、上記粉体塗料の中位粒子径は、100〜220μm、好ましくは110〜180μmに設定されることが好ましい。中位粒子径が100μm未満の場合は、粉体塗料の粉体流動性が悪化し、前記と同様の不具合の生じるおそれがある。また、中位粒子径が220μmを超える場合は、粉体塗料により形成される塗膜の表面平滑性が低下するおそれがある。
【0025】
なお、本発明において、中位粒子径とは、粉体を篩分けした後、各篩中の粉体の重量を積算し、全重量の50%にあたる積算値に対応する篩目開き(μm)により求めた粒度をいう。
より具体的には、粉体塗料を100g秤量し、これをJIS標準篩を使用して篩分けした後に篩毎に秤量し、その結果に基づいて積算重量が50%になる中位粒子径を次式により算出したものをいう。
【0026】
【数1】
【0027】
式中、Aは、粒度分布の粗い方から順次重量を積算し、積算重量が50%未満でありかつ50%に最も近い点の積算値を求めた場合の当該積算値(g)であり、また、Bは、当該積算値を求めたときの篩目開き(μm)である。また、Dは、粒度分布の粗い方から順次積算し、積算重量が50%以上でありかつ50%に最も近い点の積算値を求めた場合の当該積算値(g)であり、また、Cは、当該積算値を求めたときの篩目開き(μm)である。
【0028】
上記粉体塗料は、金属、主として鉄、鉄合金、亜鉛あるいはそれらのメッキ品等からなる基材に対して塗膜を付与する場合に用いられる。その際、塗装方法は、特に限定されず、流動浸漬法、静電塗装法、溶射塗装法、散布塗装法等の公知の塗装方法を採用することができる。
上記粉体塗料もまた、本発明の1つである。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/アクリル酸共重合体(三菱化学株式会社の商品名“ノバテックA220S”:エチレン含量93重量%、密度=0.935g/cm3、MFR=17g/10分)90重量部を高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、中位粒子径が400μmの粉体を得た。同様にポリエチレン樹脂(三井化学株式会社の商品名“ウルトゼックス25100”:密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分)10重量部を粉砕し、中位粒子径が380μmの粉体を得た。得られたそれぞれの粉体をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径が7μm以下の状態で分散していた。
【0031】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.39g/ml、安息角が30度、中位粒子径が117μmであった。
【0032】
実施例2
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/アクリル酸共重合体(三菱化学株式会社の商品名“ノバテックA220S”:エチレン含量93重量%、密度=0.935g/cm3、MFR=17g/10分)70重量部を高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、中位粒子径が380μmの粉体を得た。同様にポリエチレン樹脂(三井化学株式会社の商品名“ウルトゼックス25100”:密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分)30重量部を粉砕し、中位粒子径が390μmの粉体を得た。得られたそれぞれの粉体をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径が15μm以下の状態で分散していた。
【0033】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.40g/ml、安息角25度、中位粒子径が173μmであった。
【0034】
実施例3
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/アクリル酸共重合体(三菱化学株式会社の商品名“ノバテックA220S”:エチレン含量93重量%、密度=0.935g/cm3、MFR=17g/10分)80重量部を高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、中位粒子径が390μmの粉体を得た。同様にポリエチレン樹脂(住友化学株式会社の商品名“スミカセンG801”:密度=0.918g/cm3、MFR=20g/10分)20重量部を粉砕し、中位粒子径が380μmの粉体を得た。得られたそれぞれの粉体をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径が7μm以下の状態で分散していた。
【0035】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.38g/ml、安息角が27度、中位粒子径が130μmであった。
【0036】
実施例4
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/無水マレイン酸グラフト共重合体(三井化学株式会社の商品名“アドマーNE100”:エチレン含量99.5重量%、密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分)90重量部を高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、中位粒子径が350μmの粉体を得た。同様にポリエチレン樹脂(三井化学株式会社の商品名“ウルトゼックス25100”:密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分)10重量部を粉砕し、中位粒子径が380μmの粉体を得た。得られたそれぞれの粉体をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径が8μm以下の状態で分散していた。
【0037】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.41g/ml、安息角が26度、中位粒子径が150μmであった。
【0038】
実施例5
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/メタクリル酸共重合体(三井デユポン株式会社の商品名“ニュークレルN1214”:エチレン含量88重量%、密度=0.940g/cm3、MFR=14g/10分)90重量部を高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、中位粒子径が280μmの粉体を得た。同様にポリエチレン樹脂(三井化学株式会社の商品名“ウルトゼックス25100”:密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分)10重量部を粉砕し、中位粒子径が250μmの粉体を得た。得られたそれぞれの粉体をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂は、ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径が6μm以下の状態で分散していた。
【0039】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.45g/ml、安息角が31度、中位粒子径が140μmであった。
【0040】
比較例1
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としてエチレン/アクリル酸共重合体(三菱化学株式会社の商品名“ノバテックA220S”:エチレン含量93重量%、密度=0.935g/cm3、MFR=17g/10分、ペレットの大きさ=3mm×4mm)70重量部とポリエチレン樹脂(三井化学株式会社の商品名“ウルトゼックス25100”:密度=0.925g/cm3、MFR=9g/10分、ペレットの大きさ=3mm×4mm)30重量部をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を、押出機を用いて160℃で溶融混練し、粉体塗料用樹脂のペレットを得た。得られた粉体塗料用樹脂においては、粒子径が20μmを超えるポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に存在していた。
【0041】
得られたペレットを常温で高速回転式粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉体から50メッシュの篩を用いて粗粉を除去した後、さらに、150メッシュの篩を用いて微粉を取り除いて粉体塗料を得た。得られた粉体塗料は、嵩密度が0.29g/ml、安息角が40度、中位粒子径200μmであった。
【0042】
評価
実施例1〜5および比較例1で得られた粉体塗料を以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
(1)粉末形状
粉体塗料を位相差顕微鏡にて、透過光で目視により観察した。
【0043】
(2)表面平滑性
75mm×150mm×2mmの大きさの鋼板製の板状の基材を用意し、この基材に対して360℃で6分間の前加熱処理を施した後に浸漬時間が6秒の条件で粉体塗料を流動浸漬塗装し、基材に付与された塗膜を200℃で2分間後加熱処理した。得られた塗装鋼板の塗膜表面の平滑性を目視により判定した。
【0044】
(3)ピンホールの有無
直径が3mm、4mmおよび5mmの3種類の線材を用い、図1に示す格子状の基材を作成した。各線材の交点は、スポット溶接により固定した。なお、図1において、Aは直径が3mmの線材を、Bは直径が4mmの線材を、Cは直径が5mmの線材をそれぞれ示している。また、図1に表示されている数値の単位はmmである。この基材に対し、380℃で6分間の前加熱処理を施した後に浸漬時間が6秒の条件で粉体塗料を流動浸漬塗装し、基材に付与された塗膜を200℃で2分間後加熱処理した。得られた塗装品の溶接部分のピンホールの有無を目視により判定した。1つでもピンホールがあった場合は、「あり」と判定し、全くピンホールがなかった場合のみ、「なし」と判定した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より、実施例1〜5で得られた粉体塗料は、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中にポリエチレン樹脂が良好に分散されているため、粉末形状に優れていた。また、表面平滑性が良好であり、ピンホールの少ない塗膜を形成できることから、粉体流動性に優れていることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料用樹脂は、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中にポリエチレン樹脂を特定の粒子径に分散させているため、粉砕後の粉末形状が良く粉体流動性に優れている。したがって、表面平滑性が良く、ピンホールが少ない優れた塗膜を形成することができる。また、本発明の製造方法によれば、粉体流動性に優れた粉体塗料を与える粉体塗料用樹脂を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例においてピンホールの有無を評価するために用いた基材の平面図。
Claims (3)
- ポリエチレン樹脂がエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂中に粒子径20μm以下の状態で分散していることを特徴とする粉体塗料用樹脂。
- エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂97〜50重量%およびポリエチレン樹脂3〜50重量%からなる請求項1に記載の粉体塗料用樹脂。
- 請求項1または2に記載の粉体塗料用樹脂を粉砕して得られる嵩密度が0.30〜0.60g/ml、安息角が15〜40度および中位粒子径が100〜220μmの粉体塗料。
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