JP2008303314A - 粉体塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜が得られる粉体塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂を特定の割合で配合し、かつ、前記線状低密度ポリエチレン樹脂として、エチレンと特定の範囲の炭素数を有するα−オレフィンとの共重合体を使用した場合において、得られる粉体塗料組成物の引張破壊呼びひずみの減少率が小さく、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜を形成できることを見出した。
詳しくは、エチレンと炭素数が5〜10のα−オレフィンとの共重合体である線状低密度ポリエチレン樹脂50〜90質量%と、変性ポリエチレン樹脂10〜50質量%とを配合してなる粉体塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粉体塗料組成物に関する。さらに詳しくは、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜が得られる粉体塗料組成物に関する。
ポリエチレン系樹脂粉体塗料は、耐熱性、耐候性、耐薬品性及び耐衝撃性等に優れた塗膜を形成することができ、しかも、塗装効率が高く、厚膜の塗装が容易で、自由に着色できる等の利点から、腐食や汚れを防止したり、耐久性や美観等を付与する目的で、フェンス、鋼管、台所用品、自動車部品およびガーデニング用品等の金属製品のコーティング材料として広く用いられている。
粉体塗料に用いられるポリエチレン系樹脂粉体塗料には、前記金属製品等の基材へのコーティング性能に優れる事が要求されている。しかしながら、未変性のポリエチレン樹脂だけが用いられた粉体塗料は、基材である金属との接着性が極めて悪いため、エッヂ部(被塗物の稜線部あるいは角部)から塗膜が切れるエッヂ切れと呼ばれる問題を生じたり、被塗物に衝撃が加わった際に塗膜が膨れたり、割れたり、はがれたりする問題がある。
そこで、基材である金属との接着性を持たせるために、エチレンと不飽和カルボン酸類とを共重合した変性ポリエチレン樹脂またはそのアイオノマーや、不飽和カルボン酸またはその無水物、ならびに、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤およびチタネート系カップリング剤等のカップリング剤でグラフト変性した変性ポリエチレン樹脂等を単独で使用したり、前記未変性ポリエチレン樹脂と混合して使用している。
近年、接着性に優れた粉体樹脂組成物として、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、不飽和カルボン酸類変性ポリエチレン、造核剤の特定の割合からなる粉体塗料用樹脂組成物(特許文献1参照)、未変性ポリオレフィンに対して有機ケイ素化合物を含むポリオレフィン系樹脂組成物(特許文献2参照)、ポリエチレン樹脂に対し、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂と核剤とを配合してなるポリエチレン系粉体塗料組成物(特許文献3参照)等が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の粉体塗料用樹脂組成物は、その塗膜の表面硬度が柔らかいため、パイプや鋼板の被覆に用いた場合、衝撃等により容易に塗膜表面が傷ついてしまい、意匠性が低下するだけでなく、酷い場合には塗膜が破れて内部の基材に錆が生じるという問題がある。さらに、基材の錆を防止するために昨今頻繁に用いられている亜鉛を含むメッキ鋼板に対し、当該粉体塗料用樹脂組成物の接着力は十分ではなく、衝撃等が加わった際に基材から剥離してしまい、塗膜の膨れや割れ、またその部分から錆が発生しやすくなるという問題がある。
特許文献2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物は、その接着成分として有機ケイ素化合物を用いているが、有機ケイ素化合物は未変性ポリエチレンに比べて高価であるために添加量が限られる上、これらの成分は一般的に液体であり、なおかつ成分自体が粘着性、硬化性を有しているため、その扱いには熟練を必要とするため敬遠されており、ハンドリングを含めた改良が望まれている。
特許文献3のポリエチレン系粉体塗料組成物は、その組成により接着性は向上しているが、核剤の添加によりその組成物の伸びが低下するため、フェンスやパイプ等の被覆に用いた場合、衝撃等により塗膜が破断または破壊しやすいという問題がある。
このため、接着性に優れるだけでなく、被塗物にゆっくりとした加重(例えば、人がフェンスにもたれるような力)が加えられた場合、塗膜が伸びる事で加重に追随し、塗膜が膨れたり、割れたり、はがれたりしない粉体塗料組成物の開発が望まれている。
特開平9−208856号公報 特開2003−201375号公報 特開平10−168379号公報
本発明の目的は、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜が得られる粉体塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂を特定の割合で配合し、かつ、前記線状低密度ポリエチレン樹脂として、エチレンと特定の範囲の炭素数を有するα−オレフィンとの共重合体を使用した場合において、得られる粉体塗料組成物の引張破壊呼びひずみの減少率が小さく、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、エチレンと炭素数が5〜10のα−オレフィンとの共重合体である線状低密度ポリエチレン樹脂50〜90質量%と、変性ポリエチレン樹脂10〜50質量%とを配合してなる粉体塗料組成物に関する。
本発明によれば、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂を特定の割合で配合し、かつ、前記線状低密度ポリエチレン樹脂として、エチレンと特定の範囲の炭素数を有するα−オレフィンとの共重合体を使用しているため、得られる粉体塗料組成物の引張破壊呼びひずみの減少率が小さくなり、その結果、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強い塗膜を形成することができる。
本発明の粉体塗料組成物は、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂とを配合したものである。
線状低密度ポリエチレン樹脂としては、エチレンと炭素数が5〜10のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、エチレンと炭素数が6〜8のα−オレフィンとの共重合体がより好ましい。炭素数が5未満のα−オレフィンとの共重合体の場合、粉体塗料組成物にした際に、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂との界面強度が弱く、界面で層分離が生じ、そこを起点としてクラックが生じ、塗膜の破壊、膨れ、剥がれが生じやすくなる。また、炭素数が10を超えるα−オレフィンとの共重合体の場合、性能上特に問題ではないが、炭素数が10を超えるα−オレフィンは高価であるため、経済的に不利となる傾向がある。
炭素数が5〜10のα−オレフィンとしては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良く、例えば、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。これらの炭素数が5〜10のα−オレフィンは、単独でエチレンと共重合していてもよいし、2種以上がエチレンと共重合していてもよい。これらの中では、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましい。
線状低密度ポリエチレン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の各種の方法により、製造することができる。例えば、特開平6−9724号公報、特開平6−136195号公報、特開平6−136196号公報、特開平6−207057号公報等に記載の方法により、線状低密度ポリエチレン樹脂を得ることができる。
本発明で用いられる線状低密度ポリエチレン樹脂としては、後述する測定方法により測定した引張強さ、引張破壊呼びひずみ、メルトマスフローレイト(以下、「MFR」という場合がある)、硬度および密度が次の範囲のものが好ましい。
線状低密度ポリエチレン樹脂の引張強さは、5〜50MPaが好ましく、10〜30MPaがより好ましい。引張強さが5MPa未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の衝撃強度が低下するおそれがある。また、引張強さが50MPaを超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業性が損なわれるおそれがある。
線状低密度ポリエチレン樹脂の引張破壊呼びひずみは、150〜1500%が好ましく、300〜1000%がより好ましい。引張破壊呼びひずみが150%未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜が基材の変形に追随しにくく、塗膜のはがれ、膨れ、割れが発生し、基材の錆が発生しやすくなるおそれがある。また、引張破壊呼びひずみが1500%を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業性が損なわれたり、髭状の形状の粉体が発生し、実質的に均一な粉体塗料を得るのが困難になるおそれがある。また、この結果、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が悪くなるおそれがある。
線状低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、0.1〜100g/10分が好ましく、1〜80g/10分がより好ましい。MFRが0.1g/10分未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が不十分になるおそれがある。また、MFRが100g/10分を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜において、タレが発生したり衝撃強度が低下したりするおそれがある。
線状低密度ポリエチレン樹脂の硬度は、HDD40〜65が好ましく、HDD45〜65がより好ましい。硬度がHDD40未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜が衝撃によって傷つきやすくなるおそれがある。また、硬度がHDD65を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業性が損なわれるおそれがある。なお、本発明においてHDDとは、後述する測定方法により測定したデュロメータ硬さの記号を意味する。
線状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、910〜950kg/mが好ましく、915〜940kg/mがより好ましい。密度が910kg/m未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の硬度が損なわれ、衝撃によって塗膜が傷つきやすくなるおそれがある。また、密度が950kg/mを超える場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の低温環境下での衝撃に対する強度が低下するおそれがある。
なお、線状低密度ポリエチレン樹脂としては、上述の炭素数を有するα−オレフィンとエチレンの共重合体であれば、各種の市販品を使用することもできる。この場合、引張強さ、引張破壊呼びひずみ、MFR、硬度および密度が上述の範囲のものが特に好ましい。
変性ポリエチレン樹脂としては、得られる粉体塗料組成物の目的性能により異なり一概には限定されないが、例えば、エチレンと共重合可能なモノマーとを共重合した変性ポリエチレン樹脂および未変性ポリエチレン樹脂を不飽和カルボン酸類またはカップリング剤でグラフト変性した変性ポリエチレン樹脂等が挙げられる。
共重合可能なモノマーとしては、例えば、ジオレフィン;塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸またはその無水物である不飽和カルボン酸類が挙げられる。
未変性ポリエチレン樹脂としては、例えば、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸またはその無水物が挙げられる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
変性ポリエチレン樹脂の中では、エチレンと不飽和カルボン酸類とを共重合した変性ポリエチレン樹脂またはそのアイオノマー、および、未変性ポリエチレン樹脂を不飽和カルボン酸類またはカップリング剤でグラフト変性した変性ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
これらの変性ポリエチレン樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる変性ポリエチレン樹脂としては、後述する測定方法により測定した引張強さ、引張破壊呼びひずみ、MFRおよび硬度が次の範囲のものが好ましい。
変性ポリエチレン樹脂の引張強さは、1〜30MPaが好ましく、5〜25MPaがより好ましい。引張強さが1MPa未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の衝撃強度が低下するおそれがある。また、引張強さが30MPaを超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業の際、髭状の形状の粉体が発生し、実質的に均一な粉体塗料を得るのが困難になるおそれがある。また、この結果、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が悪くなるおそれがある。
変性ポリエチレン樹脂の引張破壊呼びひずみは、350〜1500%が好ましく、500〜1000%がより好ましい。引張破壊呼びひずみが350%未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜が基材の変形に追随しにくく、塗膜のはがれ、膨れ、割れが発生し、基材の錆が発生しやすくなるおそれがある。また、引張破壊呼びひずみが1500%を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業の際、髭状の形状の粉体が発生し、実質的に均一な粉体塗料を得るのが困難になるおそれがある。また、この結果、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が悪くなるおそれがある。
変性ポリエチレン樹脂のMFRは、0.1〜100g/10分が好ましく、1〜80g/10分がより好ましい。MFRが0.1g/10分未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が不十分になるおそれがある。また、MFRが100g/10分を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜において、タレが発生したり衝撃強度が低下したりするおそれがある。
変性ポリエチレン樹脂の硬度は、HDD10〜60が好ましく、HDD40〜60がより好ましい。硬度がHDD10未満の場合は、本発明の粉体塗料組成物による塗膜が衝撃によって傷つきやすくなるおそれがある。また、硬度がHDD60を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業性が損なわれるおそれがある。
なお、変性ポリエチレン樹脂としては、各種の市販品を使用することもできる。この場合、引張強さ、引張破壊呼びひずみ、MFRおよび硬度が上述の範囲のものが特に好ましい。
本発明の粉体塗料組成物において、線状低密度ポリエチレン樹脂の配合割合は、50〜90質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。一方、変性ポリエチレン樹脂の配合割合は、10〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。なお、この配合割合は、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂の質量の総和が100質量%としたときの各割合である。線状低密度ポリエチレン樹脂の配合割合が90質量%を超え、かつ、変性ポリエチレン樹脂の配合割合が10質量%未満の場合は、本発明の粉体樹脂組成物による塗膜の接着力が低下し、塗膜のはがれ、膨れ、割れが発生し、基材の錆が発生しやすくなる。また、線状低密度ポリエチレン樹脂の配合割合が50質量%未満、かつ、変性ポリエチレン樹脂の配合割合が50質量%を超える場合は、本発明の粉体塗料組成物を製造するための、後述する粉体化の作業の際、髭状の形状の粉体が発生し、実質的に均一な粉体塗料を得るのが困難になる。また、この結果、本発明の粉体塗料組成物による塗膜の表面平滑性が悪くなる。
本発明の粉体塗料組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、必要に応じ、例えば、滑材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤および難燃剤等の成分を含んでいてもよい。
本発明の粉体塗料組成物は、粉体塗料を製造するための公知の各種の方法により製造することができる。具体的には、上記各成分をバンバリーミキサー、ロールミキサー、ニーダーもしくは押出機等の各種混練機を用いて混合、混練し、ペレットを製造する。そして、このペレットを機械粉砕法や冷凍粉砕法により粉砕し、篩を用いて所定の粒度に分級するなどすると、本発明の粉体塗料組成物を得ることができる。
本発明の粉体塗料組成物は、主に、塗装作業性を高めることができる適度の粉末流動性を得る観点、および、塗膜にピンホールが発生するのを防止し、塗膜の表面平滑性を高める観点から、例えば上述のような製造方法におけるペレットの粉砕や分級を適宜実施することにより、中位粒子径が75〜500μm、安息角が24〜38度および嵩密度が250〜500kg/mになるよう設定するのが好ましい。
本発明の粉体塗料組成物においては、下記に記載の方法により求められる引張破壊呼びひずみの減少率が、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。引張破壊呼びひずみの減少率が30%を超える場合、塗膜にした際に、接着力が低く、耐候性が低く、応力破壊に弱くなる傾向がある。
なお、引張破壊呼びひずみの減少率は、下記の式より求められた値である。
[減少率(%)]={[計算値(%)]−[粉体塗料組成物の測定値(%)]}
÷[計算値(%)]×100
[計算値(%)]=[線状低密度ポリエチレン樹脂の測定値(%)]×[使用量比]
+[変性ポリエチレン樹脂の測定値(%)]×[使用量比]
ただし、それぞれの樹脂の[使用量比]は、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂の総和の使用量を1としたときの各割合である。
通常、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂を混合した際、混合物の引張破壊呼びひずみは、その混合前の樹脂自体の引張破壊呼びひずみから算出される値より低い値となる。これについての明確な根拠は見出せないが、一般に、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂を混合した際、その相溶性が悪いため、線状低密度ポリエチレン樹脂と変性ポリエチレン樹脂の界面ではお互いに反発するような力が作用し、その結果、界面からの破壊を生じやすくなると考えられる。一方、本発明の粉体塗料組成物は、線状低密度ポリエチレン樹脂として、エチレンと特定の範囲の炭素数を有するα−オレフィンとの共重合体を含むため、界面強度が増して界面からの破壊が少なくなることにより、引張破壊呼びひずみの低下を防いでいると推測される。
本発明の粉体塗料組成物は、粉体塗料に関する公知の塗装方法、例えば、流動浸漬塗装法、静電塗装法および溶射塗装法等の塗装方法により、各種の金属やセラミック等からなる基材に対して塗装することができ、また、ピンホールが発生しにくくエッジカバー性が良好な、表面平滑性、耐熱性、耐久性、耐候性および衝撃強度等に優れた塗膜を基材に対して付与することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
線状低密度ポリエチレン樹脂(株式会社プライムポリマーの商品名“ウルトゼックス 20200”、α−オレフィン炭素数6)90質量部、変性ポリエチレン樹脂としてエチレン・アクリル酸共重合体(ダウ・ケミカル株式会社の商品名“プリマコール 3460”)10質量部を、ヘンシェルミキサーで予備混合し、次いで押出機を使用して160℃で溶融混練してペレットを得た。使用した線状低密度ポリエチレン樹脂の特性(引張強さ、引張破壊呼びひずみ、MFR、密度、硬度)を表1に、変性ポリエチレン樹脂の特性(前記項目と同じ)を表2に示す。
得られたペレットを機械粉砕し、42メッシュパスに分級して粉体塗料組成物を得た。得られた粉体塗料組成物の特性および評価結果を表4に示す。
[実施例2〜6および比較例1〜7]
表1に示す線状低密度ポリエチレン樹脂および表2に示す変性ポリエチレン樹脂を、表3の配合割合に変更した以外は、実施例1と同様にして粉体塗料組成物を得た。得られた粉体塗料組成物の特性および評価結果を表4に示す。
[樹脂および粉体塗料組成物の特性]
(1)引張強さ
本発明において、引張強さとは、日本工業規格:JIS K 7161(1994年)に記載されている「プラスチック−引張特性の試験方法」により測定される、「引張強さ」を意味する。この試験方法において用いられる試験片は、被験体を圧縮成形したものであり、具体的には以下の方法により調製したものである。
鋼板(250mm×250mm×5mm)上にブリキ板(JIS G 3303:SPTE,250mm×250mm×0.3mm)を、ずらさずに積み重ね、また、それらの中央部に対角線を合わせるようにして枠板(外寸200mm×200mm、内寸150mm×150mm、厚さ1mm)を積み重ねる。被験体25gを当該枠板内に略均等に入れた後、当該枠板上に上記のものと同形のブリキ板および鋼板をこの順にずらさないようにして積み重ね、150℃で5分間静置する。そして、ゲージ圧力1MPaにより150℃で0.5分間の加熱プレスと、ゲージ圧力2MPaにより150℃で5分間の加熱プレスとを続けて実施した後、ゲージ圧力0.2MPaにより20℃で5分間の冷却プレスを実施する。このような加熱プレスおよび冷却プレスにより得られる圧縮成形片を試験片とした。
(2)引張破壊呼びひずみ
本発明において、引張破壊呼びひずみとは、日本工業規格:JIS K 7161(1994年)に記載されている「プラスチック−引張特性の試験方法」により測定される「引張破壊呼びひずみ」を意味する。この試験方法において用いる試験片は、上述の「引張強さ」の測定において用いる試験片と同じものである。
(3)メルトマスフローレイト(MFR)
本発明において、メルトマスフローレイト(MFR)とは、日本工業規格:JIS K 7210(1999年)に記載されている「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に従い、その「B法」の「附属書A(規定)メルトフローレイト測定のための試験条件」の「附属書A表」中の「条件D」(試験温度:190℃、公称荷重:2.16kg)において測定される「メルトマスフローレイト(MFR)」を意味する。
(4)硬度
本発明において、硬度とは、日本工業規格:JIS K 7215(1986年)に記載されている「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に従い、「デュロメータのタイプD」において測定される「硬さ」を意味する。この試験方法において用いられる試験片は、被験体を圧縮成形したものであり、具体的には以下の方法により調製したものである。
鋼板(250mm×250mm×5mm)上にブリキ板(JIS G 3303:SPTE,250mm×250mm×0.3mm)をずらさずに積み重ね、また、それらの中央部に対角線を合わせるようにして枠板(外寸200mm×200mm、内寸150mm×150mm、厚さ3mm)を積み重ねる。次に、被験体75gを当該枠板内に略均等に入れた後、当該枠板上に上記のものと同形のブリキ板および鋼板をこの順にずらさないようにして積み重ね、150℃で5分間静置する。そして、ゲージ圧力1MPaにより150℃で0.5分間の加熱プレスと、ゲージ圧力2MPaにより150℃で5分間の加熱プレスとを続けて実施した後、ゲージ圧力0.2MPaにより20℃で5分間の冷却プレスを実施する。このような加熱プレスおよび冷却プレスにより得られる圧縮成形片を試験片とした。
(5)密度
本発明において、密度とは、日本工業規格:JIS K 7112(1999年)に記載されている「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に従い、その「A法(水中置換法)」において測定される「密度」を意味する。この試験方法において用いる試験片は、上述の「硬度」の測定において用いる試験片と同じものを、さらに100℃の熱水に1時間浸漬した後、室温まで冷却したものである。
(6)中位粒子径
本発明において、中位粒子径とは、以下の方法により測定した値である。
粉体塗料組成物100gを、JIS標準篩(上から、目開き500μmの篩、目開き355μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩および受け皿の順に組み合わせた)の最上段に入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
分級後、各篩上に残った粉体塗料組成物の質量を秤量し、その積算質量が50%になる粒子径を次式により算出すると、粉体塗料の中位粒子径を測定することができる。
中位粒子径(μm)=(50−A/C−A)×(D−B)+B
式中、A、B、CおよびDは次の通りである。
A:粒度分布の粗い方から順次積算し、積算質量が50%未満であり、かつ、50%に最も近い点の積算値(g)
B:Aの積算値の篩目開き(μm)
C:粒度分布の粗い方から順次積算し、積算質量が50%以上であり、かつ、50%に最も近い点の積算値(g)
D:Cの積算値の篩目開き(μm)
(7)嵩密度
本発明において、嵩密度とは、日本工業規格:JIS K 6722(1995年)に記載されている「ポリ塩化ビニリデン試験方法」に従って測定された見掛け密度を意味する。
(8)安息角
本発明において、安息角とは、以下の方法により測定した値である。
上述の嵩密度測定の漏斗から、粉体塗料組成物60gを、漏斗の下端から119mm下方に水平に配置した直径100mmの円形台上に落下させ、円錐状に堆積させる。当該円錐状の堆積物の母線と円形台の水平面とにより形成される角度を、安息角とした。
[粉体塗料組成物による塗膜の評価]
(1)塗膜の表面平滑性
日本工業規格:JIS G 3302に記載されている「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」(2005年)に従い製造されたSGCC(Z27)鋼板(70mm×150mm×1.6mm)に対して、粉体塗料組成物を、流動浸漬塗装法により塗装し、塗装試料を得た。この際、流動浸漬塗装法の条件は、前加熱を280℃で7分、流動浸漬時間を6秒、後加熱を200℃で5分とした。なお、前加熱直後の基材の表面温度は、接触式表面温度計にて測定した結果、250℃であった。塗装試料について、平面部における塗膜の表面平滑性を、肉眼観察により評価した。
(2)接着力
上記「塗膜の表面平滑性」と同様の方法により塗装試料を得た後、塗膜面に、コの字型(100mm×10mm×100mm)にカッターで切り込みを入れ、切り込んだ10mmの先端の塗膜を鋼板からはがした。この塗装試料を動かないように固定した後、はがした塗膜の端をバネばかりに固定し、そのバネばかりを塗膜のはがれる方向(塗膜面に平行かつ10mmの幅の塗膜面が重なる方向)に50mm/分の速度で引っ張り、塗膜が鋼板からはがれる際の最大重量(単位:kgf)を読みとり、接着力とした。また、塗膜がはがれずに塗膜が破断した際は、最大重量(単位:kgf)を読みとり、破断時の接着力とした。
(3)耐候性
上記「塗膜の表面平滑性」と同様の方法により塗装試料を得た後、日本工業規格:JIS K 7350−4に記載されている「プラスチック−実験室光源による暴露試験方法− 第4部:オープンフレームカーボンアークランプ」(1996年)に準じ、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製の商品名:サンシャインウェザーメーター S80BBR)にて促進試験を実施した。500時間ごとに3000時間まで、肉眼観察により塗装試料における亀裂の発生状況を確認した。なお、塗装試料において亀裂を発見した時間を亀裂発生時間とし、3000時間の試験終了後も亀裂が発生していない塗装試料は、3000時間以上と評価した。
(4)曲げ試験
日本工業規格:JIS G 3302に記載されている「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」(2005年)に従い製造されたSGCC(Z27)鋼線(70mm×4mmφ)に対して、粉体塗料組成物を、流動浸漬塗装法により塗装し、塗装試料を得た。この際、流動浸漬塗装法の条件は、前加熱を280℃で7分、流動浸漬時間を6秒、後加熱を200℃で5分とした。なお、前加熱直後の基材の表面温度は、接触式表面温度計にて測定した結果、250℃であった。
塗装試料に対して、90度、10Rに曲げる曲げ試験を実施し、試験後の塗装試料について、亀裂の発生状況や膨れ、はがれを、肉眼観察により評価した。
Figure 2008303314
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表4に示された結果から、実施例1〜6の粉体塗料組成物は、引張破壊呼びひずみの減少率が小さいことがわかる。また、この粉体塗料組成物による塗膜は、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊(曲げ)に強いことがわかる。
本発明の粉体塗料組成物は、引張破壊呼びひずみの減少率が小さく、この粉体塗料組成物による塗膜は、平滑性、接着力、耐候性に優れ、応力破壊に強いため、基材が外部応力等により変形した場合であっても、基材の変形に追随しやすく、塗膜のはがれ、膨れ、割れが発生しにくく、基材の錆が発生しにくい。したがって、本発明の粉体塗料組成物は、各種の建築部材、厨房用品、自動車部品および日用品等に対して塗膜を付与するのに適しているのは勿論であるが、外部からの力を受けやすい基材、例えば、一般住宅の庭の柵や公園の柵等に数多く用いられているメッシュフェンスや、地中に埋設される配管などの鋼管、切り通しの法面や傾斜の大きいがけの崩落防止に用いられているメッシュフェンスにも適している。

Claims (3)

  1. エチレンと炭素数が5〜10のα−オレフィンとの共重合体である線状低密度ポリエチレン樹脂50〜90質量%と、変性ポリエチレン樹脂10〜50質量%とを配合してなる粉体塗料組成物。
  2. 変性ポリエチレン樹脂が、エチレンと不飽和カルボン酸類とを共重合した変性ポリエチレン樹脂またはそのアイオノマー、および、未変性ポリエチレン樹脂を不飽和カルボン酸類またはカップリング剤でグラフト変性した変性ポリエチレン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
  3. 引張破壊呼びひずみの減少率が30%以下である請求項1または2に記載の粉体塗料組成物。
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