以下、本発明を適用した一実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション方法について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態において行われるタイミング・キャリブレーションの対象となる半導体試験装置の全体構成を示す図である。この半導体試験装置は、被測定デバイス(図示せず)に対して所定の試験を実施するために、半導体試験装置本体10およびワークステーション(WS)40を含んで構成されている。
ワークステーション40は、機能試験等の一連の試験動作やタイミング・キャリブレーション動作の全体を制御するとともに、ユーザとの間のインタフェースを実現する。
半導体試験装置本体10は、ワークステーション40から転送されてくる所定の試験プログラムを実行することにより被測定デバイスに対する各種の試験を行う。また、半導体試験装置本体10は、ワークステーション40から転送されてくる専用プログラムを実行することにより、タイミング・キャリブレーションを実施する。このために、半導体試験装置本体10は、テスタ制御部(TP)12、タイミング発生器(TG)14、パターン発生器(PG)16、データセレクタ(DS)18、フォーマット制御部(FC)20、ピンエレクトロニクス22を備えている。
テスタ制御部12は、タイミング発生器14等の各構成部とバスを介して接続されており、ワークステーション40から転送された試験プログラムを実行することにより、各構成部に対して各種の試験動作やキャリブレーション動作に必要な制御を行う。
タイミング発生器14は、試験動作の基本周期を設定するとともに、この設定した基本周期内に含まれる各種のタイミングエッジを生成する。パターン発生器16は、被測定デバイスの各ピンに入力するパターンデータを発生する。データセレクタ18は、パターン発生器16から出力される各種のパターンデータと、これを入力する被測定デバイスの各ピンとを対応させる。フォーマット制御部20は、パターン発生器16によって発生してデータセレクタ18によって選択されたパターンデータと、タイミング発生器14によって生成されたタイミングエッジとに基づいて、被測定デバイスに対する波形制御を行う。
ピンエレクトロニクス22は、被測定デバイスとの間で物理的なインタフェースをとるためのものであり、フォーマット制御部20の波形制御によって生成されるクロック信号CLKやストローブ信号STBに基づいて、実際に被測定デバイスとの間で入出力される信号を生成する。このために、ピンエレクトロニクス22は、n個のドライバDR1〜DRnと、n個のコンパレータCP1〜CPnとを含んで構成されている。
ドライバDR1は、フォーマット制御部20から出力されるクロック信号CLK1に同期した信号の生成動作を行っており、クロック信号CLK1が立ち上がったとき出力信号をローレベルからハイレベルに変化させる。同様に、ドライバDR2〜DRnは、入力されるクロック信号CLK2〜CLKnのそれぞれに同期した信号の生成動作を行っており、対応するクロック信号が立ち上がったときに出力信号をローレベルからハイレベルに変化させる。
なお、本実施形態(他の実施形態についても同様)では、クロック信号と同じようにドライバの出力信号が変化するように、すなわちクロック信号の立ち上がりに同期してドライバの出力信号も立ち上がり、クロック信号の立ち下がりに同期してドライバの出力信号も立ち下がるようにしたが、反対に、クロック信号の立ち上がりに同期してドライバの出力信号が立ち下がり、クロック信号の立ち下がりに同期してドライバの出力信号が立ち上がるようにしてもよい。
コンパレータCP1は、フォーマット制御部20から出力されるストローブ信号STB1に同期した比較動作を行っており、ストローブ信号STB1が入力された時点において被測定デバイスの対応ピンから入力される信号の論理を判定する。同様に、コンパレータCP2〜CPnは、入力されるストローブ信号STB2〜STBnのそれぞれに同期した比較動作を行っており、対応するストローブ信号が入力された時点において被測定デバイスの対応ピンから入力される信号の論理を判定する。
なお、ストローブ信号に同期した比較動作をコンパレータによって行う場合に、ストローブ信号の立ち上がりに同期してコンパレータによる比較動作を行う場合と、ストローブ信号の立ち下がりに同期してコンパレータによる比較動作を行う場合とが考えられるが、本実施形態(他の実施形態についても同様)では、本発明との関係において本質的な差異はないため、どちらの比較タイミングを採用してもよい。
上述したドライバDR1とコンパレータCP1とが一組となって被測定デバイスの一の入出力ピンに対応している。また、ドライバDR2とコンパレータCP2とが一組となって別の入出力ピンに対応している。このように、被測定デバイスの各入出力ピンに対応させて一組のドライバとコンパレータが設けられている。
また、半導体試験装置本体10にはパフォーマンスボード30が搭載されており、このパフォーマンスボード30を介して上述したピンエレクトロニクス22がキャリブレーションボード50A(あるいは50B)に接続されている。
キャリブレーションボード50A、50Bは、タイミング・キャリブレーションを行うために特別な内部配線がなされたものであり、互いに異なる配線がなされている。
図2は、一方のキャリブレーションボード50Aの配線状態を示す図である。図2において、2つの端子1a、1bがショート接続点(デバイスソケット端)1cと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長(時間長)が同じになるように設定されている。また、2つの端子2a、2bがショート接続点2cと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長が同じになるように設定されている。同様に、2つの端子na、nbがショート接続点ncと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長が同じになるように設定されている。さらに、上述した各配線長は、全てのショート接続点について同じ長さに設定されている。
図3は、他方のキャリブレーションボード50Bの配線状態を示す図である。図3において、2つの端子1a、nbがショート接続点1cと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞの配線長が同じになるように設定されている。また、2つの端子2a、1bがショート接続点2cと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長が同じになるように設定されている。同様に、2つの端子na、2bがショート接続点ncと共通に接続されており、しかも信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長が同じになるように設定されている。さらに、上述した各配線長は、2種類のキャリブレーションボード50A、50Bの全てのショート接続点について同じ長さに設定されている。
本実施形態の半導体試験装置はこのような構成を有しており、次にこれを用いたキャリブレーション動作について説明する。
図4は、本実施形態のキャリブレーション動作手順を示す流れ図である。パフォーマンスボード30に一方のキャリブレーションボード50Aがセットされた後(ステップ100)、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード50Aの各ショート接続点毎に、ストローブ信号を基準にしてクロック信号の位相を調整する(ステップ101)。
上述したステップ101では、ストローブ信号が出力されて(立ち上がって)コンパレータによる比較動作が行われたときの出力信号のレベルを、クロック信号の立ち上がりタイミングを少しずつ変化させながら観察し、コンパレータの出力信号のレベルが丁度反転したときのクロック信号の位相を求めることより、クロック信号の位相合わせを行うことになる。
図5は、半導体試験装置本体10にパフォーマンスボード(PB)30を介してキャリブレーションボード(CB)50Aがセットされた状態を示す図である。図5において、Tx1〜Txnは各ドライバの出力端からキャリブレーションボード50Aの端子までの配線によって生じる遅延時間を、Ty1〜Tynはキャリブレーションボード50Aの端子から各コンパレータの入力端までの配線によって生じる遅延時間を、Taはキャリブレーションボード50A内の各配線によって生じる遅延時間をそれぞれ示している。例えば、Tx1〜Txn、Ty1〜Tynは、全て同じ値に設定されているものとする。
図5に示すように、各ドライバDR1〜DRnにクロック信号が供給される経路には、このクロック信号の位相(変化タイミング)を調整するために遅延素子Tが設けられている。各遅延素子Tの素子定数を可変することにより、各ドライバDR1〜DRnに対するクロック信号の位相を任意かつ独立に調整することができる。同様に、各コンパレータCP1〜CPnにストローブ信号が供給される経路には、このストローブ信号の位相を調整するために遅延素子Tが設けられている。各遅延素子Tの素子定数を可変することにより、各コンパレータCP1〜CPnに対するストローブ信号の位相(変化タイミング)を任意かつ独立に調整することができる。
なお、本実施形態および第2の実施形態以降の各実施形態では、キャリブレーションボードの各端子からドライバの出力端およびコンパレータの入力端までの配線長が全て同じ場合について説明しているが、これらの配線長を異ならせるとともに、各配線長の差を上述した遅延素子Tで調整するようにしてもよい。
図6は、上述したステップ101において実施されるクロック信号の位相の調整動作の概略を示す図である。また、図7は、図6に示すクロック信号の位相の調整動作の詳細を示す図である。図7において、各クロック信号に対応して示された「DR」、「ショート接続点」、「CP」は、各クロック信号に対応してドライバから出力される信号が通過あるいは到達するタイミングを示している。例えばクロック信号CLK1に着目すると、「DR」で示されたタイミングでこのクロック信号CLK1に対応してドライバDR1から信号が出力される。この信号は、「ショート接続点」で示されたタイミングでショート接続点(デバイスソケット端)に到達し、さらに、「CP」で示されたタイミングでコンパレータCP1に到達する。なお、図6は、図7において「CP」で示されたタイミングに着目しており、それ以外の部分は省略されている。
まず、テスタ制御部12は、ショート接続点1cに着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相(比較動作を行うタイミング)を固定した状態で、ドライバDR1に入力するクロック信号CLK1の位相を可変して、このクロック信号CLK1に対応してドライバDR1から出力された信号がショート接続点1cおよび端子1bを経由してコンパレータCP1に入力されたときに立ち上がるように調整する。次に、テスタ制御部12は、ショート接続点2cに着目して、コンパレータCP2に入力するストローブ信号STB2の位相(比較動作を行うタイミング)を固定した状態で、ドライバDR2に入力するクロック信号CLK2の位相を可変して、このクロック信号CLK2に対応してドライバDR2から出力された信号がショート接続点2cおよび端子2bを経由してコンパレータCP2に入力されたときに立ち上がるように調整する。このように、テスタ制御部12は、ショート接続点ncまでのそれぞれに着目して、コンパレータCPi(i=1、2、…、n)に入力するストローブ信号STBiの位相(比較動作を行うタイミング)を固定した状態で、ドライバDRiに入力するクロック信号CLKiの位相を可変して、このクロック信号CLKiに対応してドライバDRiから出力された信号がショート接続点icおよび端子ibを経由してコンパレータCPiに入力されたときに立ち上がるように調整する。
このようにして一方のキャリブレーションボード50Aを用いて、全てのショート接続点1c〜ncに対応するクロック信号CLK1〜CLKnの位相調整が終了すると、次に、もう一方のキャリブレーションボード50Bがセットされる(ステップ102)。なお、ステップ100、102におけるキャリブレーションボード50A、50Bのセットは、手動で行う場合と、専用のロボット等を用いて作業の自動化を図る場合が考えられる。
図8は、半導体試験装置本体10にキャリブレーションボード50Bがセットされた状態を示す図である。
次に、テスタ制御部12は、キャリブレーションボード50Bの各ショート接続点毎にストローブ信号の位相差を測定によって取得する(ステップ103)。
図9は、ステップ103において実施されるストローブ信号の位相差取得動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、キャリブレーションボード50Bのショート接続点1cに着目し、ドライバDR1に入力されるクロック信号CLK1の位相を基準として(正確には、クロック信号CLK1に対応してドライバDR1から出力される信号がコンパレータCPnの入力端で立ち上がるタイミングを基準にして)、コンパレータCPnに入力されるストローブ信号STBnの位相差Tnを測定する。この測定は、クロック信号CLK1の位相を固定した状態で、ストローブ信号STBnの位相を所定範囲でスキャンすることにより行うことができる。具体的には、クロック信号CLK1に対応してドライバDR1から出力されてショート接続点1cを経由してコンパレータCPnに入力される信号の立ち上がりタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STBnの出力タイミングを、コンパレータCPnの出力信号のレベルが反転するまで少しずつ変化させる。このようにしてストローブ信号STBnの位相を変化させたときの変化量が、測定したいストローブ信号STBnの位相差Tnに相当する。
次に、テスタ制御部12は、キャリブレーションボード50Bのショート接続点2cに着目し、ドライバDR2に入力されるクロック信号CLK2の位相を基準として、コンパレータCP1に入力されるストローブ信号STB1の位相差T1を測定する。このように、テスタ制御部12は、キャリブレーションボード50Bのショート接続点ncまでのそれぞれに着目し、一つ隣の組に対応した各ドライバDRi(i=1、2、…、n)に入力されるクロック信号CLKiの位相を基準として、コンパレータCPj(j=n、1、2、…、n−1)に入力されるストローブ信号STBjの位相差Tjを測定する。
このようにして他方のキャリブレーションボード50Bを用いて、全てのストローブ信号STB1〜STBnの相対的な位相差が取得される。
次に、テスタ制御部12は、取得した各ストローブ信号STB1〜STBnの位相差を用いて、ストローブ信号の補正値を決定する(ステップ104)。具体的には、ステップ103における各ストローブ信号の位相差取得動作において、隣接する2つのショート接続点のそれぞれに対応する2つのコンパレータに入力される2つのストローブ信号の位相の相対的なズレがわかるため、あるショート接続点に対応するコンパレータに入力されるストローブ信号の位相を基準とすることにより、他のコンパレータに入力されるストローブ信号の位相をこの基準となるストローブ信号の位相に一致させるために必要な補正値を決定することができる。その後、テスタ制御部12は、決定した補正値を用いて、各コンパレータCP1〜CPnに入力するストローブ信号STB1〜STBnの位相補正を行う(ステップ105)。
図10は、ステップ104、105において実施されるストローブ信号の補正値決定動作および補正動作の概略を示す図である。例えば、ストローブ信号STB1の位相(出力タイミング)を基準としたときのストローブ信号STB2の位相差がT1であるときに、テスタ制御部12は、ストローブ信号STB2の位相をT1ずらすことにより、このストローブ信号STB2の位相をストローブ信号STB1の位相に一致させる。これにより、ストローブ信号STB1に同期したコンパレータCP1の比較動作のタイミングと、ストローブ信号STB2に同期したコンパレータCP2の比較動作のタイミングとを一致させることができる。
同様に、ストローブ信号STB1の位相(出力タイミング)を基準としたときのストローブ信号STBnの位相差がT1+T2であるときに、テスタ制御部12は、ストローブ信号STBnの位相をT1+T2ずらすことにより、このストローブ信号STBnの位相をストローブ信号STB1の位相に一致させる。このようにして、全てのコンパレータの比較動作のタイミングを一致させることが可能になる。
次に、テスタ制御部12は、各ドライバDR1〜DRnに入力するクロック信号CLK1〜CLKnの位相補正を行う(ステップ106)。この補正は、各ドライバに対応するコンパレータに入力されるストローブ信号の位相の補正値を用いて行われる。
図11は、ステップ106において実施されるクロック信号の位相の補正動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、ステップ105において補正が終了しているストローブ信号STB2の位相に一致するように、このストローブ信号STB2に対応するクロック信号CLK2の位相を補正する。同様に、テスタ制御部12は、ストローブ信号STBnまでのそれぞれの位相に一致するように、対応するクロック信号CLKnまでの各位相を補正する。このようにして、各クロック信号の立ち上がりに同期して各ドライバから出力される信号が立ち上がるタイミングを互いに一致させることが可能になる。
このように、本実施形態の半導体試験装置では、まず最初に一方のキャリブレーションボード50Aを用いることにより、各ソケットデバイス端毎に、ストローブ信号を基準にしてクロック信号の位相を調整する動作が行われる。次に、他方のキャリブレーションボード50Bを用いることにより、隣接するショート接続点における2つのストローブ信号の位相の差が測定された後、いずれかのショート接続点に対応するクロック信号およびストローブ信号を基準にして、他のストローブ信号およびクロック信号の位相補正が行われる。したがって、本実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション動作においては、各ショート接続点毎にプローブを接触させる必要がなく、単にキャリブレーションボード50A、50Bをセットするだけであるため、キャリブレーション動作に必要な作業内容の簡素化が可能になる。また、キャリブレーション動作用に別の基準ドライバ/コンパレータ部や、プローブの接触や移動を繰り返す専用のロボット等の特殊な構成が不要であり、大幅なコストダウンを図ることができる。さらに、キャリブレーション動作が終了するまでに機械的な動きを伴う動作は、キャリブレーションボード50A、50Bのセットのみであるため、従来のようにプローブの移動と接触をショート接続点の数だけ繰り返す場合に比べて、作業時間を大幅に低減することができる。
なお、上述した実施形態では、まず最初に一方のキャリブレーションボード50Aを用いることにより、各ストローブ信号を基準にしてクロック信号の位相を調整するようにしたが、反対に、各クロック信号の位相を基準にしてストローブ信号の位相を調整するようにしてもよい。また、他方のキャリブレーションボード50Bを用いてストローブ信号の位相を調整した後(図4のステップ105)、クロック信号の位相を調整したが(図4のステップ106)、この順番は入れ替えるようにしてもよい。
〔第2の実施形態〕
上述した実施形態では、2種類のキャリブレーションボード50A、50Bを順番に用いてキャリブレーション動作を行うようにしたが、これら2種類のキャリブレーションボード50A、50Bの機能を兼ね備えた1種類のキャリブレーションボードを用いて交換の手間を省くようにしてもよい。
図12、図13は、配線内容が異なる2種類のキャリブレーションボード50A、50Bの機能を兼ね備えた第2の実施形態のキャリブレーションボード50Cの構成を示す図であり、半導体試験装置本体10にパフォーマンスボード30を介して接続された状態が示されている。これらの図に示すキャリブレーションボード50Cは、各ショート接続点に対応して2つの切替スイッチを備えている。
具体的には、ショート接続点1cに対応して、このショート接続点1c近傍に切替スイッチ1eが、コンパレータCP1に対応する端子1b近傍に切替スイッチ1dが設けられている。この切替スイッチ1dを切り替えることにより、端子1bをショート接続点1c、2cのいずれか一方に選択的に接続することができる。また、切替スイッチ1eを切り替えることにより、ショート接続点1cを端子1a、1bに共通に接続した状態と、ショート接続点1cを端子1a、nbに共通に接続した状態を選択的に実現することができる。他の切替スイッチ2d等についても同様である。なお、各ショート接続点1c〜ncのそれぞれと各端子1a、1b等との間の配線長は、信号の遅延時間が全て等しくなるように設定されている。
図12、図13に示すように、各切替スイッチ1d等を切り替えることにより、2種類のキャリブレーションボード50A、50Bの配線内容を選択的に実現することができる。したがって、このキャリブレーションボード50Cを用いて各切替スイッチを切り替えてキャリブレーション動作を行うことにより、キャリブレーションボードの交換作業が不要になり、さらなる作業内容の簡素化、コストダウン、作業時間の低減が可能になる。
〔第3の実施形態〕
ところで、上述した各実施形態では、1つのドライバと1つのコンパレータとを組み合わせてキャリブレーション動作を行うようにしたが、ドライバとコンパレータのそれぞれを複数個ずつ組み合わせてグループを形成し、各グループを単位としてキャリブレーション動作を行うようにしてもよい。
図14は、本実施形態におけるキャリブレーション動作を行うために用いられる一方のキャリブレーションボード150Aの配線状態を示す図である。なお、図14に示すm個のショート接続点としてのデバイスソッケット端1g〜mgは、図2に示したキャリブレーションボード50Aのショート接続点1c〜ncに対応するものであり、図14ではこれらのショート接続点は、図示の都合でキャリブレーションボード150A内に描かれている。但し、図2に示されたキャリブレーションボード50Aや図14に示されたキャリブレーションボード150Aでは、キャリブレーション動作のみに着目すると、各ショート接続点が必ずしも外部に露出している必要はないため、図14において図示されているように、キャリブレーションボード内に各ショート接続点1g等が埋没していてもよい。
図14において、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naは、所定個数(例えば3個)ずつがひとまとまりになってm個のグループを形成している。第1のグループ(グループ1)は、ドライバDR1〜DR3のそれぞれに対応する端子1a〜3aを含んでおり、これらが1つのショート接続点1gに共通に接続されている。第2のグループ(グループ2)は、ドライバDR4〜DR6のそれぞれに対応する端子4a〜6aを含んでおり、これらが1つのショート接続点2gに共通に接続されている。それ以外の端子についても同様であり、m番目のグループ(グループm)は、ドライバDRn−2〜DRnのそれぞれに対応する端子(n−2)a〜naを含んでおり、これらが1つのショート接続点mgに共通に接続されている。
同様に、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbは、所定個数ずつがひとまとまりになってm個のグループを形成している。第1のグループは、コンパレータCP1〜CP3のそれぞれに対応する端子1b〜3bを含んでおり、これらが1つのショート接続点1gに共通に接続されている。第2のグループは、コンパレータCP4〜CP6のそれぞれに対応する端子4b〜6bを含んでおり、これらが1つのショート接続点2gに共通に接続されている。それ以外の端子についても同様であり、m番目のグループ(グループm)は、コンパレータCPn−2〜CPnのそれぞれに対応する端子(n−2)b〜nbを含んでおり、これらが1つのショート接続点mgに共通に接続されている。
このように、ショート接続点1g〜mgのそれぞれに、3つのドライバおよび3つのコンパレータのそれぞれに対応する合計6個の端子が接続されている。なお、各端子とショート接続点とをつなぐ配線は、信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長(時間長)が全て同じになるように設定されている。
図15は、本実施形態におけるキャリブレーション動作を行うために用いられる他方のキャリブレーションボード150Bの配線状態を示す図である。
図15に示したキャリブレーションボード150Bは、図14に示したキャリブレーションボード150Aに対して、ショート接続点1g〜mgのそれぞれと各ドライバに接続された端子1a〜naとの対応関係のみが異なっている。具体的には、第1のグループに含まれるドライバDR1〜DR3のそれぞれに対応する端子1a〜3aは、m番目のグループに含まれるショート接続点mgに共通に接続されている。また、第2のグループに含まれるドライバDR4〜DR6のそれぞれに対応する端子4a〜6aは、ショート接続点1gに共通に接続されている。このように、各ドライバに対応する端子とショート接続点との対応関係が、1グループずつずれるように設定されている。なお、このキャリブレーションボード150Bにおいても、各端子とショート接続点とをつなぐ配線は、信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長(時間長)が全て同じになるように設定されている。すなわち、2つのキャリブレーションボード150A、150Bに含まれる各端子と各ショート接続点とをつなぐ配線の配線長は、全て同じ長さに設定されている。
本実施形態のキャリブレーションボード150A、150Bはこのような構成を有しており、次にこれらを用いたキャリブレーション動作について説明する。なお、キャリブレーションボード150A、150B以外については、第1の実施形態で説明した半導体試験装置本体10、パフォーマンスボード30およびワークステーション40等が用いられるものとする。
図16は、キャリブレーション動作を行う前の半導体試験装置10におけるクロック信号およびストローブ信号の初期状態を示す図である。なお、図16では、第1の実施形態で用いた図6と同様に、各ドライバから出力される信号が各コンパレータに到達するタイミングに着目している。図16に示すように、初期状態においては、各クロック信号CLK1〜CLKnに対応して各ドライバから出力され各コンパレータに入力される信号が立ち上がるタイミングと、各コンパレータにストローブ信号STB1〜STBnが入力されるタイミングは一致していない。
図17は、本実施形態のキャリブレーション動作手順を示す流れ図である。パフォーマンスボード30に一方のキャリブレーションボード150Aがセットされた後(ステップ200)、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード150Aの各グループ毎に、任意のクロック信号を基準にして、各ストローブ信号の位相を調整する(ステップ201)。
上述したように、本明細書では、クロック信号やストローブ信号の位相の調整を考える場合には、クロック信号に応じてドライバによって生成される信号がコンパレータに入力された時点におけるコンパレータの動作に着目している。したがって、ステップ201において任意のクロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相を調整するということは、各グループの任意のドライバにクロック信号を入力し、このドライバから出力される信号がショート接続点を経由して同じグループ内の各コンパレータに入力されたときに、この入力された信号が立ち上がるタイミングに、コンパレータによって比較動作を行うタイミングを一致させることに他ならない。
図18は、ステップ201に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図18では、動作が有効になっているドライバあるいはコンパレータにハッチングが付されている。図18に示すように、例えば、グループ1ではクロック信号CLK1が入力されるドライバDR1の動作が有効になるとともに、このドライバDR1から出力される信号がショート接続点1gを経由して入力される3つのコンパレータCP1〜CP3の各動作が有効になる。他のグループについても同様であり、詳細な説明は省略する。
図19は、ステップ201において実施されるストローブ信号の位相調整動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1に着目して、ドライバDR1に入力するクロック信号CLK1の位相を固定した状態、すなわち、ショート接続点1gを経由して3つのコンパレータCP1〜CP3のそれぞれに入力される信号が立ち上がるタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STB1〜STB3の位相を可変してコンパレータCP1〜CP3のそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK1を基準にして各ストローブ信号STB1〜STB3の位相を調整する。次に、テスタ制御部12は、グループ2に着目して、ドライバDR4に入力するクロック信号CLK4の位相を固定した状態、すなわち、ショート接続点2gを経由して3つのコンパレータCP4〜CP6のそれぞれに入力される信号が立ち上がるタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STB4〜STB6の位相を可変してコンパレータCP4〜CP6のそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK4を基準にした各ストローブ信号STB4〜STB6の位相を調整する。このように、テスタ制御部12は、各グループに着目して、任意のドライバに入力するクロック信号の位相を固定した状態で、ストローブ信号の位相を可変して3つのコンパレータのそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相を調整する。
このようにして、各グループ毎にストローブ信号の位相調整が行われる。但し、この位相調整に用いられた各グループに対応するクロック信号の位相(各クロック信号に対応する信号が各コンパレータの入力端において立ち上がるタイミング)は互いに一致していないため、この段階では、グループが異なる各ストローブ信号の位相は互いに一致していない。また、ストローブ信号の位相調整を行うグループの順番は、必ずしもグループ1から順番に行う必要はなく、任意の順番で、あるいは並行して行うようにしてもよい。
次に、テスタ制御部12は、キャリブレーションボード150Aの各グループ毎に、任意のストローブ信号を基準にして、各クロック信号の位相を調整する(ステップ202)。ここで、任意のストローブ信号を基準にして各クロック信号の位相を調整するということは、いずれかのコンパレータに入力されるストローブ信号の位相を固定した状態で、各ドライバから出力される信号の立ち上がりタイミングがこのコンパレータによって行われる比較動作のタイミングと一致するように各クロック信号の位相を調整することに他ならない。
図20は、ステップ202に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図20に示すように、例えば、グループ1では3つのドライバDR1〜DR3の動作が有効になるとともに、これらの各ドライバDR1〜DR3の出力信号がショート接続点1gを経由して選択的に入力されるコンパレータCP1の動作が有効になる。他のグループについても同様であり、詳細な説明は省略する。
図21は、ステップ202において実施されるクロック信号の位相調整動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1に着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相を固定した状態、すなわち、コンパレータCP1によって行われる比較動作のタイミングを固定した状態で、ドライバDR2から出力されコンパレータCP1に入力される信号が立ち上がるタイミングがこのコンパレータCP1の比較タイミングに一致するように、クロック信号CLK2の位相を調整する。ドライバDR2に対応する位相調整が終了すると、ドライバDR3についても同様にしてクロック信号CLK3の位相調整が行われる。次に、テスタ制御部12は、グループ2に着目して、コンパレータCP4に入力するストローブ信号STB4の位相を固定した状態、すなわち、コンパレータCP4によって行われる比較動作のタイミングを固定した状態で、ドライバDR5から出力されコンパレータCP4に入力される信号が立ち上がるタイミングがこのコンパレータCP4の比較タイミングに一致するように、クロック信号CLK5の位相を調整する。ドライバDR5に対応する位相調整が終了すると、ドライバDR6についても同様にしてクロック信号CLK6の位相調整が行われる。このように、テスタ制御部12は、各グループに着目して、任意のコンパレータに入力するストローブ信号の位相を固定した状態で、各ドライバに入力されるクロック信号の位相を可変して3つのドライバのそれぞれの出力が立ち上がるタイミングをコンパレータによって比較動作が行われるタイミングに一致させることにより、各クロック信号の位相を調整する。
このようにして、各グループ毎にクロック信号の位相調整が行われる。但し、この位相調整に用いられた各グループのストローブ信号の位相は互いに一致していないため、この段階では、グループが異なる各クロック信号の位相は互いに一致していない。また、ストローブ信号の位相調整を行うグループの順番は、必ずしもグループ1から順番に行う必要はなく、任意の順番で、あるいは並行して行うようにしてもよい。
このように、一方のキャリブレーションボード150Aを用いて、各グループ毎に、各グループに含まれる全てのドライバとコンパレータに対応するクロック信号とストローブ信号の位相を調整する動作が終了すると、次にもう一方のキャリブレーションボード150Bがセットされる(ステップ203)。なお、ステップ200、203におけるキャリブレーションボード150A、150Bのセットは、手動で行う場合と、専用のロボット等を用いて作業の自動化を図る場合が考えられる。
次に、テスタ制御部12は、各グループ毎に、任意のドライバに対応するクロック信号を基準にして、グループ内に含まれるコンパレータに対応する各ストローブ信号の位相差を測定によって取得する(ステップ204)。これにより、各グループ間のストローブ信号の位相差が得られる。
図22は、ステップ204に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図22に示すように、例えば、グループ1では3つのコンパレータCP1〜CP3の動作が有効になり、これら3つのコンパレータCP1〜CP3に対応するストローブ信号STB1〜STB3の位相差を測定するために、グループ2に含まれるドライバDR4の動作が有効になる。他のグループについても同様であり、詳細な説明は省略する。
図23は、ステップ204において実施されるストローブ信号の位相差測定動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1に含まれるコンパレータCP1〜CP3に対応する各ストローブ信号STB1〜STB3の位相差T1を、グループ2に含まれるドライバDR4に対応するクロック信号CLK4を基準にして測定する。具体的には、コンパレータCP1〜CP3に入力されるストローブ信号STB1〜STB3の位相を固定した状態、すなわち3つのコンパレータCP1〜CP3の比較動作のタイミングを固定した状態で、ドライバDR4に対応するクロック信号CLK4の位相を可変してコンパレータCP1〜CP3のそれぞれの出力が反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK4の位相の変化量を位相差T1として測定する。次に、テスタ制御部12は、グループ2に含まれるコンパレータCP4〜CP6に対応する各ストローブ信号STB4〜STB6の位相差を、グループ3に含まれるドライバDR7に対応するクロック信号CLK7を基準にして測定する。このように、テスタ制御部12は、各グループに含まれるコンパレータに対応するストローブ信号の位相差を、異なるグループに含まれるドライバに対応するクロック信号を基準にして測定する。これにより、各グループ間でのストローブ信号の位相のずれを知ることができる。
なお、上述した説明では、クロック信号の位相を可変したが、反対にクロック信号の位相を固定した状態でストローブ信号の位相を可変してもよい。また、各グループに含まれるコンパレータに対応するストローブ信号同士の位相は、上述したステップ201による位相調整によって一致しているはずであるが、実際の測定に際してばらつきが生じる場合がある。したがって、各グループ毎に、3つのストローブ信号のそれぞれについて測定された位相差の値を平均することにより、グループ毎に平均化された位相差を求めることが望ましい。あるいは、同じグループ内の別のドライバに対応するクロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相差を求めて平均化するようにしてもよい。例えば、図23に示した位相差T1を測定する場合にクロック信号CLK5、6を用いるようにしてもよい。このように測定結果を平均化することにより、測定結果のばらつきにより生じるキャリブレーション誤差を低減することが可能になり、キャリブレーション動作後に行われる測定作業での測定誤差の均一化による測定精度の向上が可能になる。
次に、取得した各グループ間のストローブ信号の位相差を用いて、各ストローブ信号の補正値を決定する(ステップ205)。具体的には、ステップ204における各グループ間のストローブ信号の位相差取得動作において、隣接する2つのグループ間のストローブ信号の相対的な位相差がわかるため、一方のグループに対応するストローブ信号の位相を基準とすることにより、他方のグループに対応するストローブ信号の位相をこの基準となるストローブ信号の位相に一致させるために必要な補正値を決定することができる。
その後、テスタ制御部12は、決定した補正値を用いて、各グループに対応するストローブ信号の位相補正を行う(ステップ206)。
図24は、ステップ206において実施されるストローブ信号の位相補正の概略を示す図である。例えば、テスタ制御部12は、グループ1に含まれるコンパレータCP1〜CP3に対応するストローブ信号STB1〜STB3の位相に、グループ2に含まれるコンパレータCP4〜CP6に対応するストローブ信号STB4〜STB6の位相を、ステップ206で求めた補正値T1だけ補正することにより、これらのストローブ信号STB1〜STB6の位相を一致させる。このように、テスタ制御部12は、ステップ206で求めた補正値を用いて各グループのコンパレータに対応するストローブ信号の位相を補正することにより、全てのストローブ信号の位相を一致させることができる。
次に、テスタ制御部12は、各ドライバDR1〜DRnに入力するクロック信号CLK1〜CLKnの位相補正を行う(ステップ207)。この補正は、各グループ内の任意のコンパレータに対応するストローブ信号の位相を基準にして行われる。
図25は、ステップ207に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図25に示すように、例えば、グループ1では3つのドライバDR1〜DR3の動作が有効になり、これら3つのドライバDR1〜DR3に対応するクロック信号CLK1〜CLK3の位相補正を行うために、グループmに含まれるコンパレータCPn−2の動作が有効になる。他のグループについても同様であり、詳細な説明は省略する。
図26は、ステップ207において実施されるクロック信号の補正動作の概略を示す図である。例えば、テスタ制御部12は、グループ1内のコンパレータCP1に対応するストローブ信号を基準として、グループ2に含まれる3つのドライバDR4〜DR6のそれぞれに対応するクロック信号CLK4〜CLK6の位相補正を行う。このように、テスタ制御部12は、各グループに含まれる3つのドライバに対応するクロック信号の位相を、異なるグループに含まれる任意のコンパレータに対応するストローブ信号を基準にした位相補正を行う。これにより、全てのクロック信号とストローブ信号の位相が一致する。
このように、キャリブレーションボード150A、150Bを用いた本実施形態の半導体試験装置では、まず最初に一方のキャリブレーションボード150Aを用いることにより、各グループ毎にクロック信号とストローブ信号の調整が行われる。次に、他方のキャリブレーションボード150Bを用いることにより、グループ間でのストローブ信号の位相差を測定し、この測定された位相差に基づいてグループ間におけるストローブ信号の位相差やクロック信号の位相差をなくす位相補正動作が行われる。したがって、本実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション動作においては、各デバイスソケット端毎にプローブを接触させる必要がなく、単にキャリブレーションボード150A、150Bをセットするだけであるため、キャリブレーション動作に必要な作業内容の簡素化が可能になる。また、キャリブレーション動作用に別に基準ドライバ/コンパレータ部や、プローブの接触や移動を繰り返す専用のロボット等の特殊な構成が不要であり、大幅なコストダウンを図ることができる。また、キャリブレーション動作が終了するまでに機械的な動きを伴う動作は、キャリブレーションボード150A、150Bのセットのみであるため、従来のようにプローブの移動と接触をデバイスソケット端の数だけ繰り返す場合に比べて、作業時間を大幅に低減することができる。さらに、ドライバとコンパレータを複数のグループに分けて各グループ毎に測定した位相差のデータを用いることにより、測定結果のばらつきにより生じるキャリブレーション誤差を低減することが可能になり、キャリブレーション動作後に行われる実際の測定作業での測定誤差の均一化による測定精度の向上が可能になる。
なお、上述した実施形態では、図17に示したステップ201、202において、最初に任意のクロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相を調整し、次に各クロック信号の位相を調整するようにしたが、最初に任意のストローブ信号を基準にして各クロック信号の位相を調整し、次に各ストローブ信号の位相を調整するようにしてもよい。
また、図17に示したステップ204では、任意のクロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相差を取得するようにしたが、任意のストローブ信号を基準にして各クロック信号の位相差を取得するようにしてもよい。
また、キャリブレーションボード150Bを用いてストローブ信号の位相を調整した後(図17のステップ206)、クロック信号の位相を調整したが(図17のステップ207)、この順番は入れ替えるようにしてもよい。
〔第4の実施形態〕
上述した第3の実施形態では、2種類のキャリブレーションボード150A、150Bを順番に用いてキャリブレーション動作を行うようにしたが、これら2種類のキャリブレーションボード150A、150Bの機能を兼ね備えた1種類のキャリブレーションボードを用いて交換の手間を省くようにしてもよい。
図27、図28は、配線内容が異なる2種類のキャリブレーションボード150A、150Bの機能を兼ね備えた第4の実施形態のキャリブレーションボード150Cの構成を示す図である。これらの図に示すキャリブレーションボード150Cは、各グループ毎に2つの切替スイッチを備えている。
具体的には、グループ1に対応する3つのドライバDR1〜DR3の各出力端に共通に接続された端子1fの近傍に切替スイッチ1jが、3つのコンパレータCP1〜CP3の各入力端に共通に接続された端子1hの近傍に切替スイッチ1kが設けられている。同様に、グループ2には2つの切替スイッチ2j、2kが、…、グループmには切替スイッチmj、mkが設けられている。
切替スイッチ1jを切り替えることにより、グループ1に対応する3つのドライバDR1〜DR3の各出力端を、同じグループ1に対応する3つのコンパレータCP1〜CP3の各入力端側と、グループmに対応する3つのコンパレータCPn−2〜CPnの各入力端側のいずれか一方に選択的に接続することができる。他の切替スイッチについても同様であり、2つの接続状態を選択的に実現することができる。なお、各ドライバの出力端と各コンパレータの入力端との間を接続する配線の配線長は、各切替スイッチの状態にかかわらず、信号の遅延時間が全て等しくなるように設定されている。
図27、図28に示すように、各切替スイッチ1j、1k等を切り替えることにより、2種類のキャリブレーションボード150A、150Bの配線内容を選択的に実現することができる。したがって、このキャリブレーションボード150Cを用いて各切替スイッチを切り替えてキャリブレーション動作を行うことにより、キャリブレーションボードの交換作業が不要になり、さらなる作業内容の簡素化、コストダウン、作業時間の低減が可能になる。
〔第5の実施形態〕
次に、上述した各実施形態とは異なる配線内容のキャリブレーションボードを用いた第5の実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション方法について説明する。
図29は、一方のキャリブレーションボード250Aの配線状態を示す図である。なお、図29に示すショート接続点(デバイスソケット端)eは、図示の都合でキャリブレーションボード250A内に描かれている。
図29において、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naは、所定個数(例えば3個)ずつがひとまとまりになってm個のグループを形成している。第1のグループ(グループ1)は、ドライバDR1〜DR3のそれぞれに対応する端子1a〜3aを含んでおり、この中で端子1aのみがショート接続点eに共通に接続されている。第2のグループ(グループ2)は、ドライバDR4〜DR6のそれぞれに対応する端子4a〜6aを含んでおり、この中で端子4aのみがショート接続点eに共通に接続されている。それ以外の端子についても同様であり、m番目のグループ(グループm)は、ドライバDRn−2〜DRnのそれぞれに対応する端子(n−2)a〜naを含んでおり、この中で端子(n−2)aのみがショート接続点eに共通に接続されている。
同様に、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbは、所定個数ずつがひとまとまりになってm個のグループを形成している。第1のグループは、コンパレータCP1〜CP3のそれぞれに対応する端子1b〜3bを含んでおり、この中で端子1bのみがショート接続点eに接続されている。第2のグループは、コンパレータCP4〜CP6のそれぞれに対応する端子4b〜6bを含んでいる。それ以外の端子についても同様であり、m番目のグループ(グループm)は、コンパレータCPn−2〜CPnのそれぞれに対応する端子(n−2)b〜nbを含んでいる。
このように、キャリブレーションボード250Aに設けられた唯一のショート接続点eが、各グループに含まれる3つのドライバの中の一つ(このドライバを「グループ内共通ドライバ」と称する)に対応する端子に共通に接続されているとともに、グループ1に含まれる3つのコンパレータの中の一つ(このコンパレータを「共通コンパレータ」と称する)に対応する端子に接続されている。なお、各端子とショート接続点eとをつなぐ配線は、信号の遅延時間に換算したそれぞれの配線長(時間長)が全て同じになるように設定されている。
図30は、他方のキャリブレーションボード250Bの配線状態を示す図である。なお、図29に示したショート接続点eと同様に、図30に示すm個のショート接続点1g〜mgは、図示の都合でキャリブレーションボード250B内に描かれている。但し、各ショート接続点が必ずしも外部に露出している必要はないため、図30において図示されているように、キャリブレーションボード内に各ショート接続点1g等が埋没していてもよい。図30に示した他方のキャリブレーションボード250Bは、図14に示したキャリブレーションボード150Aと同じ配線がなされており、配線状態の説明は省略する。
本実施形態のキャリブレーションボード250A、250Bはこのような構成を有しており、次にこれらを用いたキャリブレーション動作について説明する。キャリブレーション動作を行う前の半導体試験装置本体10におけるクロック信号およびストローブ信号は、例えば図16に示した初期状態にあるものとする。
図31は、本実施形態のキャリブレーション動作手順を示す流れ図である。パフォーマンスボード30に一方のキャリブレーションボード250Aがセットされた後(ステップ300)、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード250AのコンパレータCP1に対応するストローブ信号STB1を基準にして、各グループに含まれる一のドライバ(グループ内共通ドライバ)DR1、DR4、…、DRn−2に対応する各クロック信号CLK1、CLK4、…、CLKn−2の位相を調整する(ステップ301)。
上述したステップ301では、ストローブ信号STB1を基準にしたクロック信号CLK1等の位相を調整する必要があるので、ストローブ信号STB1が出力されて(立ち上がって)コンパレータCP1による比較動作が行われたときのコンパレータCP1の出力信号のレベルを、クロック信号CLK1等の立ち上がりタイミングを少しずつ変化させながら観察し、コンパレータCP1の出力信号のレベルが丁度反転したときのクロック信号CLK1等の位相を求めることより、クロック信号CLK1等の位相調整を行うことになる。この動作は、各クロック信号CLK1、CLK4、…、CLKn−2について順番に行われる。
図32は、ステップ301に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図32では、動作が有効になっているドライバあるいはコンパレータにハッチングが付されている。図32に示すように、グループ1では、クロック信号CLK1が入力されるドライバDR1の動作が有効になるとともに、このドライバDR1から出力される信号がショート接続点eを経由して入力されるコンパレータCP1の動作が有効になる。また、他のグループでは、クロック信号が入力される一のドライバの動作が有効になる。例えば、グループ2ではドライバDR4の動作が有効になり、グループmではドライバDRn−2の動作が有効になる。
図33は、ステップ301において実施されるクロック信号の位相調整動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1のドライバDR1に着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相を固定した状態、すなわち、コンパレータCP1によって比較動作を行うタイミングを固定した状態で、クロック信号CLK1の位相を可変してコンパレータCP1の出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK1の位相を調整する。次に、テスタ制御部12は、グループ2のドライバDR4に着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相を固定した状態で、クロック信号CLK4の位相を可変してコンパレータCP1の出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK4の位相を調整する。このように、テスタ制御部12は、各グループに含まれる一のドライバに着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相を固定した状態で、それぞれのドライバに入力するクロック信号の位相を可変してコンパレータCP1の出力のレベルが反転する位置を探すことにより、各クロック信号の位相を調整する。
このようにして、各グループ毎に一のクロック信号の位相を共通のストローブ信号STB1を基準にして調整する動作が行われる。なお、クロック信号の位相調整を行うグループの順番は、必ずしもグループ1から順番に行う必要はなく、任意の順番で行うようにしてもよい。
このように、一方のキャリブレーションボード250Aを用いて、各グループ毎に、各グループに含まれる一のグループ内共通ドライバに入力するクロック信号を、共通コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1を基準にして調整する動作が終了すると、次にもう一方のキャリブレーションボード250Bがセットされる(ステップ302)。なお、ステップ300、302におけるキャリブレーションボード250A、250Bのセットは、手動で行う場合と、専用のロボット等を用いて作業の自動化を図る場合が考えられる。
次に、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード250Bの各グループ毎に、位相調整が終了したクロック信号を基準にして、各ストローブ信号の位相を調整する(ステップ303)。
図34は、ステップ303に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図34に示すように、グループ1ではクロック信号CLK1が入力されるドライバDR1の動作が有効になるとともに、このドライバDR1から出力される信号がショート接続点1gを経由して入力される2つのコンパレータCP2、CP3の各動作が有効になる。また、グループ2ではクロック信号CLK4が入力されるドライバDR4の動作が有効になるとともに、このドライバDR4から出力される信号がショート接続点2gを経由して入力される3つのコンパレータCP4〜CP6の各動作が有効になる。他のグループについては基本的にグループ2と同様であり、詳細な説明は省略する。
図35は、ステップ303において実施されるストローブ信号の位相調整動作の概略を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1に着目して、ドライバDR1に入力するクロック信号CLK1の位相を固定した状態、すなわち、ショート接続点1gを経由して2つのコンパレータCP2、CP3のそれぞれに入力される信号が立ち上がるタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STB2、STB3の位相を可変してコンパレータCP2、CP3のそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK1を基準にして各ストローブ信号STB2、STB3の位相を調整する。次に、テスタ制御部12は、グループ2に着目して、ドライバDR4に入力するクロック信号CLK4の位相を固定した状態、すなわち、ショート接続点2gを経由して3つのコンパレータCP4〜CP6のそれぞれに入力される信号が立ち上がるタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STB4〜STB6の位相を可変してコンパレータCP4〜CP6のそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK4を基準にして各ストローブ信号STB4〜STB6の位相を合わせる。グループ3〜mについてはグループ2と同様に、テスタ制御部12は、各グループ毎に、位相調整が終了した一のクロック信号の位相を固定した状態で、ストローブ信号の位相を可変して3つのコンパレータのそれぞれの出力のレベルが反転する位置を探すことにより、一のクロック信号を基準にして各ストローブ信号の位相を合わせる。
このようにして、各グループ毎にストローブ信号の位相調整が行われる。なお、ストローブ信号の位相調整を行うグループの順番は、必ずしもグループ1から順番に行う必要はなく、任意の順番で、あるいは並行して行うようにしてもよい。
次に、テスタ制御部12は、各グループ毎に、任意のストローブ信号を基準にして、各クロック信号の位相を調整する(ステップ304)。
図36は、ステップ304に対応して信号の入出力が行われるドライバおよびコンパレータを示す図である。図36に示すように、例えば、グループ1では位相合わせが終了していない2つのクロック信号CLK2、CLK3が入力されるドライバDR2、DR3の動作が有効になるとともに、これらのドライバDR2、DR3から出力される信号がショート接続点1gを経由して入力されるコンパレータCP1の動作が有効になる。他のグループについても同様であり、詳細な説明は省略する。
図37は、ステップ304において実施されるクロック信号の位相調整動作の概要を示す図である。まず、テスタ制御部12は、グループ1に着目して、コンパレータCP1に入力するストローブ信号STB1の位相を固定した状態、すなわち、コンパレータCP1によって行われる比較動作のタイミングを固定した状態で、ドライバDR2から出力される信号が立ち上がるタイミングがこのコンパレータCP1の比較タイミングに一致するように、クロック信号CLK2の位相を調整する。ドライバDR2に対応する位相調整が終了すると、ドライバDR3についても同様にしてクロック信号CLK3の位相調整が行われる。次に、テスタ制御部12は、グループ2に着目して、コンパレータCP4に入力するストローブ信号STB4の位相を固定した状態、すなわち、コンパレータCP4によって行われる比較動作のタイミングを固定した状態で、ドライバDR5から出力される信号が立ち上がるタイミングがこのコンパレータCP4の比較タイミングに一致するように、クロック信号CLK5の位相を調整する。ドライバDR5に対応する位相調整が終了すると、ドライバDR6についても同様にしてクロック信号CLK6の位相調整が行われる。このように、テスタ制御部12は、各グループに着目して、任意のコンパレータに入力するストローブ信号の位相を固定した状態で、各ドライバに入力されるクロック信号の位相を可変して、位相調整が終了していない2つのドライバのそれぞれの出力が立ち上がるタイミングをコンパレータによって比較動作が行われるタイミングに一致させることにより、各クロック信号の位相を調整する。
なお、上述した説明では、グループ1ではコンパレータCP1を共通コンパレータとしたが、他のコンパレータCP2、CP3のいずれかを共通コンパレータとしてもよい。他のグループについても同様である。
このようにして、全てのクロック信号とストローブ信号の位相を調整する一連のキャリブレーション動作が終了する。
このように、本実施形態の半導体試験装置では、まず最初に一方のキャリブレーションボード250Aを用いることにより、各グループ内の一のグループ内共通ドライバに入力されるクロック信号の位相を、共通コンパレータCP1に入力されるストローブ信号STB1を基準にして調整する動作が行われる。次に、他方のキャリブレーションボード250Bを用いることにより、各グループ毎に、この位相調整が終了したクロック信号を基準として各ストローブ信号の位相調整が行われ、その後、位相調整が終了した任意のストローブ信号を基準として、位相調整が終了していない残りのクロック信号の位相調整が行われる。したがって、本実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション動作においては、各デバイスソケット端毎にプローブを接触させる必要がなく、単にキャリブレーションボード250A、250Bをセットするだけであるため、キャリブレーション動作に必要な作業内容の簡素化が可能になる。また、キャリブレーション動作用に別の基準ドライバ/コンパレータ部や、プローブの接触や移動を繰り返す専用のロボット等の特殊な構成が不要であり、大幅なコストダウンを図ることができる。さらに、キャリブレーション動作が終了するまでに機械的な動きを伴う動作は、キャリブレーションボード250A、250Bのセットのみであるため、従来のようにプローブの移動と接触をデバイスソケット端の数だけ繰り返す場合に比べて、作業時間を大幅に低減することができる。
〔第6の実施形態〕
上述した第5の実施形態では、ショート接続点eに各グループに属するm個のドライバDR1、DR4、…、DRn−2と1つのコンパレータCP1が接続されたキャリブレーションボード250Aを用いたが、代わりに、図38に示すように、ショート接続点eに1つのドライバ(共通ドライバ)DR1と各グループに属するm個のコンパレータ(グループ内共通コンパレータ)CP1、CP4、…、CPn−2が接続されたキャリブレーションボード250Cを用いるようにしてもよい。
図39は、図38に示したキャリブレーションボード250Cと図30に示したキャリブレーションボード250Bを組み合わせて行われる本実施形態のキャリブレーション動作手順を示す流れ図である。パフォーマンスボード30に一方のキャリブレーションボード250Cがセットされた後(ステップ400)、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード250CのドライバDR1に対応するクロック信号CLK1の位相を基準にして、各グループに含まれる一のコンパレータCP1、CP4、…、CPn−2に対応する各ストローブ信号STB1、STB4、…、STBn−2の位相を調整する(ステップ401)。
このようにして、一方のキャリブレーションボード250Cを用いて、各グループ毎に、共通ドライバDR1に入力するクロック信号CLK1を基準にして、各グループに含まれる一のグループ内共通コンパレータに入力するストローブ信号の位相を調整する動作が終了すると、次にもう一方のキャリブレーションボード250Bがセットされる(ステップ402)。
次に、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード250Bの各グループ毎に、位相調整が終了したストローブ信号を基準にして、各クロック信号の位相を調整する(ステップ403)。さらに、テスタ制御部12は、各グループ毎に、任意のクロック信号を基準にして、各ストローブ信号の位相を調整する(ステップ404)。このようにして、全てのクロック信号とストローブ信号の位相を調整する一連のキャリブレーション動作が終了する。
〔第7の実施形態〕
上述した第5および第6の実施形態では、2種類のキャリブレーションボードを順番に用いてキャリブレーション動作を行うようにしたが、これら2種類のキャリブレーションボードの機能を兼ね備えた1種類のキャリブレーションボードを用いて交換の手間を省くようにしてもよい。
図40、図41は、配線内容が異なる2種類のキャリブレーションボード250A、250Bの機能を兼ね備えた第7の実施形態のキャリブレーションボード250Dの構成を示す図である。これらの図に示すキャリブレーションボード250Dは、グループ1に対応して2つ、それ以外の各グループに対応して1つの切替スイッチを備えている。
具体的には、グループ1に対応するように、3つのドライバDR1〜DR3の各出力端側に接続された切替スイッチ1jと、3つのコンパレータCP1〜CP3の各入力端側に接続された切替スイッチ1kとが設けられている。また、グループ2に対応するように、3つのドライバDR4〜DR6の各出力端側に接続された切替スイッチ2jが設けられている。同様に、他のグループのそれぞれに対応するように、3つのドライバの各出力端側に接続された切替スイッチが設けられている。キャリブレーションボード250Dに備わった切替スイッチ1j〜mj、1kの接続状態を切り替えることにより、図29に示した一方のキャリブレーションボード250Aと同じ接続状態(図40)と、図30に示した他方のキャリブレーションボード250Bと同じ接続状態(図41)を選択的に実現することができる。したがって、このキャリブレーションボード250Dを用いて各切替スイッチを切り替えてキャリブレーション動作を行うことにより、キャリブレーションボードの交換作業が不要になり、さらなる作業内容の簡素化、コストダウン、作業時間の低減が可能になる。
図42、図43は、配線内容が異なる2種類のキャリブレーションボード250C、250Bの機能を兼ね備えた本実施形態の変形例のキャリブレーションボード250Eの構成を示す図である。これらの図に示すキャリブレーションボード250Eは、グループ1に対応して2つ、それ以外の各グループに対応して1つの切替スイッチを備えている。
具体的には、グループ1に対応するように、3つのドライバDR1〜DR3の各出力端側に接続された切替スイッチ1jと、3つのコンパレータCP1〜CP3の各入力端側に接続された切替スイッチ1kとが設けられている。また、グループ2に対応するように、3つのコンパレータCP4〜CP6の各入力端側に接続された切替スイッチ2kが設けられている。同様に、他のグループのそれぞれに対応するように、3つのコンパレータの各入力端側に接続された切替スイッチが設けられている。キャリブレーションボード250Eに備わった切替スイッチ1j、1k〜mkの接続状態を切り替えることにより、図38に示した一方のキャリブレーションボード250Cと同じ接続状態(図42)と、図30に示した他方のキャリブレーションボード250Bと同じ接続状態(図43)を選択的に実現することができる。したがって、このキャリブレーションボード250Eを用いて各切替スイッチを切り替えてキャリブレーション動作を行うことにより、キャリブレーションボードの交換作業が不要になり、さらなる作業内容の簡素化、コストダウン、作業時間の低減が可能になる。
〔第8の実施形態〕
次に、別のキャリブレーションボードを用いた第8の実施形態の半導体試験装置のキャリブレーション方法について説明する。
図44〜図48は、本実施形態のキャリブレーション方法で用いられるキャリブレーションボードの配線状態を示す図である。なお、これらの図に示すショート接続点1p、1q等と各端子1a、1b等とを接続する配線の配線長は全て同じに設定されている。
図44は、本実施形態の一のキャリブレーションボード350A−1の配線状態を示す図である。このキャリブレーションボード350A−1では、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naの中で端子1aのみがショート接続点1pに接続されている。また、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbの中で端子1bのみが上述したショート接続点1pに接続されている。すなわち、このキャリブレーションボード350A−1を用いることにより、ドライバDR1から出力された信号は、ショート接続点1pを経由してコンパレータCP1に入力される。
図45は、本実施形態の他のキャリブレーションボード350A−2の配線状態を示す図である。このキャリブレーションボード350A−2では、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naの中で端子1aのみがショート接続点2pに接続されている。また、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbの中で端子2bのみが上述したショート接続点2pに接続されている。すなわち、このキャリブレーションボード350A−2を用いることにより、ドライバDR1から出力された信号は、ショート接続点2pを経由してコンパレータCP2に入力される。
図46は、本実施形態の他のキャリブレーションボード350A−3の配線状態を示す図である。このキャリブレーションボード350A−3では、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naの中で端子1aのみがショート接続点3pに接続されている。また、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbの中で端子3bのみが上述したショート接続点3pに接続されている。すなわち、このキャリブレーションボード350A−3を用いることにより、ドライバDR1から出力された信号は、ショート接続点3pを経由してコンパレータCP3に入力される。
図47は、本実施形態の他のキャリブレーションボード350A−nの配線状態を示す図である。このキャリブレーションボード350A−nでは、n個のドライバDR1〜DRnのそれぞれが接続されたn個の端子1a〜naの中で端子1aのみがショート接続点npに接続されている。また、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが接続されたn個の端子1b〜nbの中で端子nbのみが上述したショート接続点npに接続されている。すなわち、このキャリブレーションボード350A−nを用いることにより、ドライバDR1から出力された信号は、ショート接続点npを経由してコンパレータCPnに入力される。
本実施形態では、このようにしてn個のコンパレータCP1〜CPnのいずれかとショート接続点を介して一のドライバDR1とを接続するために、n個のキャリブレーションボード350A−1〜350A−nが用いられている。
また、図48は、本実施形態の他のキャリブレーションボード350Bの配線状態を示す図である。このキャリブレーションボード350Bでは、n個のドライバDR1〜DRnが接続されたn個の端子1a〜naは、それぞれに1対1に対応するショート接続点1q〜nqに接続されている。また、これらのショート接続点1q〜nqは、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれにも接続されている。これにより、ドライバDR1〜DRnのそれぞれから出力された信号が、それぞれに対応する別々のショート接続点1q〜nqを経由して、コンパレータCP1〜CPnのそれぞれに入力される。
図49は、本実施形態のキャリブレーション動作手順を示す流れ図である。パフォーマンスボード30に一のキャリブレーションボード(例えばキャリブレーションボード350A−1)がセットされた後(ステップ500)、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード350A−1のドライバDR1に対応するクロック信号CLK1を基準にして、このドライバDR1とショート接続点1pを介して接続されたコンパレータCP1に対応するストローブ信号STB1の位相を調整する(ステップ501)。
このステップ501では、ドライバDR1に入力するクロック信号CLK1の位相を固定した状態、すなわち、ショート接続点1pを経由してコンパレータCP1に入力される信号が立ち上がるタイミングを固定した状態で、ストローブ信号STB1の位相を可変してコンパレータCP1の出力のレベルが反転する位置を探すことにより、クロック信号CLK1を基準にしたストローブ信号STB1の位相調整が行われる。
次に、テスタ制御部12は、未調整のストローブ信号が残っているか否かを判定し(ステップ502)、残っている場合にはステップ501に戻って、次のキャリブレーションボード(例えばキャリブレーションボード350A−2)をセットする動作以降が繰り返される。このようにして、図44〜図47に示したキャリブレーションボード350A−1〜350A−nのそれぞれを用いることにより、一のドライバDR1に入力されるクロック信号CLK1を基準にして、n個のコンパレータCP1〜CPnのそれぞれに入力されるストローブ信号STB1〜STBnの位相が調整される。
このようにして、全てのストローブ信号の位相調整が終了する(ステップ502で否定判断)と、次に、他のキャリブレーションボード350Bがセットされる(ステップ503)。なお、ステップ500、503におけるキャリブレーションボード350A−1〜350A−n、350Bのセットは、手動で行う場合と、専用のロボット等を用いて作業の自動化を図る場合が考えられる。
次に、テスタ制御部12は、このキャリブレーションボード350Bを用いて、位相調整が終了した各ストローブ信号を基準にして、各クロック信号の位相を調整する(ステップ504)。上述したように、キャリブレーションボード350Bでは、ドライバDR1がショート接続点1qを介してコンパレータCP1に接続されているため、ストローブ信号STB1を基準にしてクロック信号CLK1の位相を調整することができる。また、ドライバDR2がショート接続点2qを介してコンパレータCP2に接続されているため、ストローブ信号STB2を基準にしてクロック信号CLK2の位相を調整することができる。同様に、ドライバDRnがショート接続点nqを介してコンパレータCPnに接続されているため、ストローブ信号STBnを基準にしてクロック信号CLKnの位相を調整することができる。
このようにして、全てのストローブ信号とクロック信号の位相を調整する一連のキャリブレーション動作が終了する。
なお、本実施形態では、最初に一のクロック信号CLK1を基準にしてn個のストローブ信号STB1〜STBnの位相を調整し、次に、それぞれのストローブ信号を基準にしてn個のクロック信号CLK1〜CLKnの位相を調整するようにしたが、最初に一のストローブ信号を基準にしてn個のクロック信号CLK1〜CLKnの位相を調整し、次に、それぞれのクロック信号を基準にしてn個のストローブ信号STB1〜STBnの位相を調整するようにしてもよい。
また、本実施形態では、一のクロック信号CLK1を基準にしてn個のストローブ信号STB1〜STBnの位相を調整するために、n枚のキャリブレーションボード350A−1〜350A−nのそれぞれを順番にセットするようにしたが、図50に示すように、1つのショート接続点にn個のコンパレータCP1〜CPnの全てが接続されたキャリブレーションボード350Cを用いることにより、一つのキャリブレーションボード350Cを用いて各ストローブ信号STB1〜STBnの位相調整を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、ドライバDR1〜DRnのそれぞれとコンパレータCP1〜CPnのそれぞれが1対1に対応するキャリブレーションボード250Bを用いたが、必ずしもこれらの対応は1対1である必要はない。
〔第9の実施形態〕
上述した第8の実施形態では、n+1種類のキャリブレーションボードを順番に用いてキャリブレーション動作を行うようにしたが、これらのキャリブレーションボードの機能を兼ね備えた1種類のキャリブレーションボードを用いて交換の手間を省くようにしてもよい。
図51は、配線内容が異なるn+1種類のキャリブレーションボード350A−1〜350A−n、350Bの機能を兼ね備えた第9の実施形態のキャリブレーションボード350Dの構成を示す図である。
この図に示すキャリブレーションボード350Dは、コンパレータCP1を除く他のコンパレータCP2〜CPnのそれぞれに対応した切替スイッチ2r〜nrを備えている。これらの切替スイッチ2r〜nrの接続状態を切り替えることにより、キャリブレーションボード350A−1〜350A−nのそれぞれと同じ接続状態と、キャリブレーションボード350Bと同じ接続状態とを選択的に実現することができる。したがって、このキャリブレーションボード350Dを用いることにより、キャリブレーションボードの交換作業が不要になり、さらなる作業内容の簡素化、コストダウン、作業時間の低減が可能になる。
図52は、図51に示したキャリブレーションボード350Dの変形例を示す図である。最初に一のストローブ信号を基準にして各クロック信号の位相調整を行い、その後各ストローブ信号の位相調整を行う動作を行う場合には、図52に示したキャリブレーションボード350Eを用いて各スイッチ2s〜nsの接続状態を切り替えればよい。
〔その他の実施形態〕
上述した各実施形態では、パフォーマンスボード30に各種のキャリブレーションボードをセットしたが、実際の設置状態を考慮して、パフォーマンスボード30にソケットボードとICソケットを搭載し、さらにその上からキャリブレーションボードをセットするようにしてもよい。
図53は、キャリブレーションボードの設置状態を変更した変形例を示す図である。図53に示す構成は、図5に示した構成に対して、パフォーマンスボード(PB)30とキャリブレーションボード(CB)50Aの間にソケットボード(SB)32とICソケット34が追加されている。すなわち、実際に被測定デバイスに対して各種の試験を行うために用いられるソケットボード32とICソケット34を搭載した状態でキャリブレーションボード50A等がセットされる。この場合には、各ドライバの出力端と各ショート接続点との間の配線長と、各ショート接続点と各コンパレータの入力端との間の配線長とが長くなるが、上述した各実施形態と同じ要領でキャリブレーション動作を行うことが可能になる。
例えば、ソケットボード32とICソケット34に含まれる配線の配線長をTbとして図7を書き換えると、図54に示す関係となる。図54に示す各ドライバによる信号の出力タイミングや各コンパレータに対する信号の入力タイミングは、図7に示すこれらのタイミングと同じであり、ソケットボード32やICソケット34が設置された状態で各実施形態と同じ要領でのタイミングキャリブレーションが可能であることがわかる。
また、上述した各実施形態では、各種のキャリブレーションボードを用いてタイミング・キャリブレーションを行っているが、これらのキャリブレーションボードの代わりに同じ配線状態のキャリブレーションデバイスやキャリブレーションウエハを用いるようにしてもよい。
図55は、キャリブレーションデバイスと半導体試験装置本体との間の接続状態を示す図である。また、図56は、キャリブレーションデバイスを用いたタイミング・キャリブレーションの概要を示す図である。図55に示すように、半導体試験装置本体10にパフォーマンスボード(PB)30、ソケットボード(SB)32、ICソケット34が設置された状態でキャリブレーションデバイス450がセットされる。キャリブレーションデバイス450は、被測定デバイスと同じ外観形状および端子形状を有しており、内部の配線状態が上述した各実施形態のキャリブレーションボードと同じ設定されている。上述した各実施形態では、必要に応じてキャリブレーションボードを手動で、あるいはロボットによる自動で交換する必要があったが、キャリブレーションデバイス450を用いる場合には、図56に示すように、通常の半導体試験において被測定デバイスの入れ替えを行うハンドラ100を用いることにより、キャリブレーションデバイス450の交換を行うことができる。したがって、手動交換を行った場合に比べて交換の手間を低減することができる。また、ロボットを用いて自動交換を行う場合に比べて専用ロボットが不要になることによるコストダウンを図ることができる。
図57は、キャリブレーションウエハと半導体試験装置本体との間の接続状態を示す図である。また、図58は、キャリブレーションウエハを用いたタイミング・キャリブレーションの概要を示す図である。半導体試験装置を用いてウエハに形成された状態の被試験デバイスに対して試験を行う場合には、図57に示すように、パフォーマンスボード30にプローブカード(PC)36を取り付け、このプローブカード36から突出したニードル38をウエハ上に形成されたパッドに接触させている。したがって、被試験デバイスが形成されたウエハを、内部の配線状態が上述した各実施形態のキャリブレーションボードの配線状態と同じに設定されたキャリブレーションウエハ550に置き換えることにより、タイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。また、上述した各実施形態では、必要に応じてキャリブレーションボードを手動で、あるいはロボットによる自動で交換する必要があったが、キャリブレーションウエハ550を用いる場合には、図58に示すように、通常の半導体試験において被測定ウエハの移動等を行うチャック110を用いることにより、キャリブレーションウエハ550の交換を行うことができる。したがって、手動交換を行った場合に比べて交換の手間を低減することができる。また、ロボットを用いて自動交換を行う場合に比べて専用ロボットが不要になることによるコストダウンを図ることができる。なお、図57および図58に示した例では、プローブカード36上のニードル38によって、キャリブレーションウエハ550や実際に被試験デバイスが形成されたウエハとの間で電気的な接触を確保するタイプの半導体試験装置について説明しているが、ニードル38以外の方法、例えばバンプを介して電気的な接触を確保するようにしてもよい。
次に、上述したキャリブレーションデバイス450の具体例を説明する。
図59および図60は、上述した第1の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションデバイスを示す図である。図59に示す一方のキャリブレーションデバイス450Aは、図2に示したキャリブレーションボード50Aと同じ配線がなされている。また、図60に示す他方のキャリブレーションデバイス450Bは、図3に示したキャリブレーションボード50Bと同じ配線がなされている。なお、図59および図60に示したキャリブレーションデバイス450A、450Bの各端子およびショート接続点には、図2および図3に示したキャリブレーションボード50A、50Bにおいて対応する端子およびショート接続点と同じ符号が付されている。これらのキャリブレーションデバイス450A、450Bを順番にセットすることにより、キャリブレーションボード50A、50Bを用いた第1の実施形態と同様の手順(図4に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図61および図62は、上述した第3の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションデバイスを示す図である。図61に示す一方のキャリブレーションデバイス450Cは、図14に示したキャリブレーションボード150Aと同じ配線がなされている。また、図62に示す他方のキャリブレーションデバイス450Dは、図15に示したキャリブレーションボード150Bと同じ配線がなされている。これらのキャリブレーションデバイス450C、450Dを順番にセットすることにより、キャリブレーションボード150A、150Bを用いた第3の実施形態と同様の手順(図17に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図63は、上述した第5の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションデバイスを示す図である。図63に示すキャリブレーションデバイス450Eは、図29に示したキャリブレーションボード250Aと同じ配線がなされている。なお、図30に示したキャリブレーションボード250Bの配線状態は、図61に示したキャリブレーションデバイス450Cの配線状態と同じであるため、上述したキャリブレーションデバイス450Eにこのキャリブレーションデバイス450Cが組み合わされて用いられる。これらのキャリブレーションデバイス450E、450Cを順番にセットすることにより、キャリブレーションボード250A、250Bを用いた第5の実施形態と同様の手順(図31に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図64〜図68は、上述した第8の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションデバイスを示す図である。図64に示すキャリブレーションデバイス450F−1は、図44に示したキャリブレーションボード350A−1と同じ配線がなされている。図65に示すキャリブレーションデバイス450F−2は、図45に示したキャリブレーションボード350A−2と同じ配線がなされている。図66に示すキャリブレーションデバイス450F−3は、図46に示したキャリブレーションボード350A−3と同じ配線がなされている。図67に示すキャリブレーションデバイス450F−nは、図47に示したキャリブレーションボード350A−nと同じ配線がなされている。また、図68に示すキャリブレーションデバイス450Gは、図48に示したキャリブレーションボード350Bと同じ配線がなされている。これらのキャリブレーションデバイス450F−1〜450F−n、450Gを順番にセットすることにより、キャリブレーションボード350A−1〜350A−n、350Bを用いた第8の実施形態と同様の手順(図49に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
次に、上述したキャリブレーションウエハ550の具体例を説明する。
図69は、上述した第1の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションウエハを示す図である。なお、図69等に示したキャリブレーションウエハは、上述したキャリブレーションボードと同様の配線状態を実現するためのものであるため、必ずしも半導体材料で形成されたウエハを用いる必要はなく、エポキシ樹脂等の半導体材料以外の安価な材料を用いて構成するようにしてもよい。
図69に示すキャリブレーションウエハ550Aには、図2に示したキャリブレーションボード50Aと同じ配線がなされた第1の領域550A−1と、図3に示したキャリブレーションボード50Bと同じ配線がなされた第2の領域550A−2とが含まれている。プローブカード36のニードル38をこれら第1および第2の領域550A−1、550A−2に順番に接触させることにより、キャリブレーションボード50A、50Bを用いた第1の実施形態と同様の手順(図4に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図70は、上述した第3の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションウエハを示す図である。図70に示すキャリブレーションウエハ550Bには、図14に示したキャリブレーションボード150Aと同じ配線がなさた第1の領域550B−1と、図15に示したキャリブレーションボード150Bと同じ配線がなされた第2の領域550B−2とが含まれている。プローブカード36のニードル38をこれら第1および第2の領域550B−1、550B−2に順番に接触させることにより、キャリブレーションボード150A、150Bを用いた第3の実施形態と同様の手順(図17に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図71は、上述した第5の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションウエハを示す図である。図71に示すキャリブレーションウエハ550Cには、図29に示したキャリブレーションボード250Aと同じ配線がなされた第1の領域550C−1と、図30に示したキャリブレーションボード250Bと同じ配線がなされた第2の領域550C−2とが含まれている。プローブカード36のニードル38をこれら第1および第2の領域550C−1、550C−2に順番に接触させることにより、キャリブレーションボード250A、250Bを用いた第5の実施形態と同様の手順(図31に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
図72は、上述した第8の実施形態で用いたキャリブレーションボードと同じ配線状態を実現したキャリブレーションウエハを示す図である。図72に示すキャリブレーションウエハ550Dには、図44に示したキャリブレーションボード350A−1と同じ配線がなされた領域550D−1と、図45に示したキャリブレーションボード350A−2と同じ配線がなされた領域550D−2と、図46に示したキャリブレーションボード350A−3と同じ配線がなされた領域550D−3と、図47に示したキャリブレーションボード350A−nと同じ配線がなされた領域550D−nと、図48に示したキャリブレーションボード350Bと同じ配線がなされた領域550D−Bとが含まれている。プローブカード36のニードル38をこれらの各領域550D−1〜550D−n、550D−Bに順番に接触させることにより、キャリブレーションボード350A−1〜350A−n、350Bを用いた第8の実施形態と同様の手順(図49に示した動作手順)によるタイミング・キャリブレーションを実施することが可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、キャリブレーション動作を行うために専用のキャリブレーションボード50A、50B、150A、150B等を用いたが、被測定デバイスを実際に設置するために用いられるソケットボードにキャリブレーション50B、150A、150B等と同等の配線を行い、キャリブレーション動作時に適宜切替スイッチを切り替えて配線内容を変更するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、組を構成するドライバの出力端とコンパレータの入力端とが別々にショート接続点に接続されている場合を考えたが、ドライバの出力端とコンパレータの入力端とが半導体試験装置本体10やパフォーマンスボード30の内部で接続され、この接続点とショート接続点の間が1本の配線を介して接続されている場合にも本発明を適用することができる。但し、この場合のキャリブレーションによる位相補正の対象は、上述した接続点までの範囲となるため、この接続点とショート接続点との間の配線の時間長を予め測定しておく必要がある。