JP3831294B2 - 光ヘッド装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
光ディスクドライブに搭載される光ヘッドに関し、特に球面収差補正のためのリレーレンズを具備する光ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば記録媒体として光ディスクを使用して記録又は再生を行う分野においては、高精細な静止画や動画等を扱うために小型で大容量の光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク記録再生装置の開発が進んでいる。大容量化を実現するための技術的な手法としては、光学ピックアップ装置から出射されるレーザ光源の短波長化と対物レンズの高NA(NA:開口数)によるビームスポット径の縮小化がある。
【0003】
一般的に光ディスクは、情報記録面を透明な光ディスク基板(カバー層)で覆い、該光ディスク基板を介してビームを照射する。NAを大きくすると、対物レンズとディスク基板との角度変化によるコマ収差が発生しやすくなる。この角度変化の原因には、光ディスク自体の反り、光ディスクを回転させるスピンドルモータの傾き、光ヘッドに搭載される対物レンズ駆動機構によって発生する傾きなどがあるが、量産性を保ってNA増加分に見合って角度精度を上げるのは困難である。傾きによって発生するコマ収差は、ディスク基板を通過する時に発生するため、基板厚を薄くすると、傾きによりコマ収差が少なくなる。従って、高いNAの対物レンズを用いた光ディスクシステムでは、基板厚の薄い光ディスクを用いて傾き誤差に強くする必要がある。
【0004】
一方、対物レンズは、ある特定の光学的厚みの基板を介した時に光ディスクの情報記録面上に球面収差の少ないビームスポットを形成するように設計されるため、基板厚が設計時の想定光学的厚さに対して誤差を持つと球面収差が発生する。又2層ディスクのように、2枚の情報記録面を同じ方向から(異なる方向から記録再生する両面ディスクではなく)レーザーを照射する場合は、それぞれの層で、透明層基板の光学的厚みは、必ず異なってしまう。この基板厚の誤差による球面収差もNAが大きくなるにつれ、非常に大きくなり、NA0.85といった大NAのレンズでは、通常の製法で製作された光ディスクの基板の光学的厚さ誤差の影響を無視するのは困難になってくる。
【0005】
なお、ここでいう光学的厚みとは、光が透過する光ディスク基板の厚みと屈折率によって定まる値であり、異なる厚みであっても、基板を通過させて生成したビームスポットの球面収差の大きさが一致する場合に光学的厚みが等しいとする。基板が複数の層からなっている場合も、それぞれの層の厚みと屈折率によって、基板の光学的厚みが決まる。
さて、光ディスク基板の厚さ変化による球面収差を補正する方式として、特開平5−151609号公報にはさまざまな方式が示されている。その中で、凸レンズと凹レンズから構成される、いわゆるリレーレンズを使った収差補正方法が提示されている。レーザーダイオードから出射した光が対物レンズに入射する前に凸レンズと凹レンズからなるリレーレンズを配置し、凸レンズと凹レンズのどちらか一方の位置を変化させることにより、対物レンズから光ディスクに入射するビームの球面収差を変化させ、光ディスクで発生する球面収差をキャンセルして、光ディスク上で収差の少ないビームスポットを生成するというものである。この公報においては、対物レンズの駆動機構としてVCM(ボイス・コイル・モータ)を使うとしているが、その構造及び制御方法は示されていない。
【0006】
特開平5−266511号公報では、ある程度詳細な方式が示されている。ここでは、リレーレンズの駆動手段として、動かすレンズ側にラックを取り付け、ピニオンを回転させることによって移動させる方式が示されている。又、ディスクに記録された基板厚、あるいは記録再生装置に設けられた測定装置で基板厚を測定し、それに対応するように、リレーレンズの位置を設定する方式が示されている。
【0007】
特開2001−28147号公報でも、ある程度詳細な方式が示されている。この例では、リレーレンズの第1レンズと第2レンズの間隔をボイスコイルモータで変更できるようになっている。このボイスコイルモータは、投入電流とレンズ間隔の変化量がほぼ線形関係になるように設計されている。レンズ間隔を第1層又は第2層の情報を記録再生するために適した間隔にするには、それぞれ大きさが同一で向きが反対の電流をコイルに流せばよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術においては、複数の問題点が存在する。
【0009】
特開平5−151609号公報の場合、前述したようにVCMを使った駆動機構について詳細に説明されていない。しかし、球面収差補正のためのレンズ移動機構においては、一般的な単なるVCMでは十分な性能を確保できず、従ってこの公報に開示されている技術では実用的な光ヘッドの製作はできない。
【0010】
特開平5−266511号公報の場合、リレーレンズの移動装置として、前述したようにラックとピニオンを使用した例が開示されている。光ヘッドの搭載される光ディスク装置は、携帯用コンピュータ、音楽再生装置などにも用いられ、極めて小型であることが要求される。しかしながら、この公報による構成では回転式モータ、ラックとピニオンという動力伝達及び回転運動を直線運動に変換する機構と、構成要素が多いため、小型化が難しい。
【0011】
球面収差補正のためのレンズ移動機構においては、移動するレンズは光軸方向にのみ移動する機構でなければならない。レンズ移動に伴い、傾き、光軸ずれが発生すると、収差が発生し、良好なビームスポットが得られなくなる。さらに光軸ずれが発生すると、リレーレンズから対物レンズに向かう光束の向きが変化し、ビームスポット位置が変化してしまうという問題も発生する。ビームスポット位置が仮にディスク半径方向にずれると、光ドライブ装置のトラッキングサーボ機構は、対物レンズアクチュエータをトラッキング方向に移動することによって、ビームスポットがトラックから逸れるのを防ごうとするが、ビームスポットの移動加速度と移動量には当然上限がある。従って、リレーレンズの傾き、光軸ずれは極力抑えなければならない。従来の技術では、この点に配慮したものは見られない。この公報でも、これを満たす機構の説明がない。
【0012】
実際には、これらの問題が発生しないように、ラックとピニオンを利用したレンズ移動機構を設計するのは難しいと考えられる。例えば、通常のラックとピニオン機構にはバックラッシが存在するため、振動、ショックに大してはきわめて弱い。携帯用でなくても、据え置き型の機器においてでさえ、光ディスクドライブ装置には、ディスクを回転させるスピンドルモータ、対物レンズアクチュエータといった振動を起こす要素がある。又、光ディスクドライブの搭載されるコンピュータなどの機器にはファンなどの振動源が存在することが多い。バックラッシが存在すると、これらの振動の影響を受けやすい。つまり、光ディスクに対して情報を記録再生中にリレーレンズの位置をラックとピニオン機構で操作するのは難しい。
【0013】
特開2001−28147号公報に示されているVCMの場合、第2レンズの両側を板ばねで支持しているが、このような両持の支持構造は、移動方向において、線形な特性を確保するのが困難であり、きわめて短いストロークしか実用にならない。このため、第1のレンズ、第2レンズの焦点距離は短いものにしなければ十分な球面収差補正能力を確保できないが、そうすると、レンズ自体を非球面レンズにする必要が生じたり、レンズの傾きや偏芯許容誤差が小さくなり、組立てが難しくなる。さらにこのような支持構造では、レンズ光軸が傾かないようにレンズを保持するための剛性が低く、振動、ショックによってレンズが回転してしまい、光学収差を増やしてしまう。又、流す電流量によって、レンズ間隔を制御しているため、外からの振動、ショックによる影響を除去できず、レンズが光軸方向にも移動してしまうという問題がある。この公報では、従来例として、特開平10−188301号公報を示しているが、これは2枚組の対物レンズの間隔をVCMで変化させて球面収差を補正するものであるが、こちらも、間隔を補正するのに適切な電流を決めたあとは、その電流を維持して間隔を保持する方式であり、外乱による影響を排除できない。
【0014】
以上のように従来の球面収差のための移動可能なレンズを搭載した光ヘッドは、良好なレンズ位置の保持ができず、そのため、光学収差が多く、安定した制御も困難であった。
【0015】
なお、光ヘッドにはレンズ移動機構として、対物レンズ駆動装置が搭載されるが、対物レンズ駆動装置においては、もともと対物レンズが、光束に対して光軸をずらしてトラッキング動作ができるよう設計されているため、光軸ずれを抑えることに関しては考慮されていない。又、対物レンズアクチュエータは、ビームスポットを、ディスクの偏芯や面振れといった動きに数kHz程度の成分まで動的に追従させることを主目的として考案、設計されているが、リレーレンズ駆動機構の場合は、まず多層光ディスクの層の違いによる球面収差の補正、次に、ディスク間の透明基板の光学的厚さの差といった、ディスク回転によって変動しないものに対して動作するのが主目的であり、ディスク面上での透明基板の光学的厚さの変動には、もし追従する必要があっても、その変動は僅かである。従って、DC的動作が主で、制御帯域も数100Hz程度で十分である。そのため従来例の移動装置も一定電流を流して位置を決めようとしたり、ラックとピニオンのように高速往復動作が不可能な機構を利用している。従って、対物レンズ駆動装置をリレーレンズ駆動機構として用いるのは無理がある。
【0016】
又、以上に示した従来技術では、対物レンズの光軸と同軸上にリレーレンズが配置されており、光ヘッドが厚くなるという問題があった。光ヘッドの搭載される光ディスクドライブは、コンピュータ、特に携帯型コンピュータの記憶装置として用いられる場合、薄型化が要求されるが、このためには、光ヘッドが厚くなってはならない。従来のリレーレンズを用いない光ヘッドに比べて、上記の従来例の光ヘッドを用いれば、リレーレンズの厚さの分だけ厚くなるのは明らかである。又例え、対物レンズとリレーレンズ間にミラーを挿入して光軸を90度曲げたとしても、従来例で使用されている駆動機構では、薄型化は困難である。
【0017】
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、球面収差の補正用のリレーレンズを持ち、リレーレンズを良好な精度で移動させ、しかも外部からの振動、ショックの影響を受けにくい、DC動作にも適した、さらに薄型光ディスク装置が実現可能なリレーレンズ駆動機構を備えた光ヘッドを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の光ヘッド装置は、球面収差補正のためのレンズと、前記レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズの光軸に平行なガイドレールと、前記レンズホルダに設けられ、前記ガイドレールを受けるレール受け部と、前記レンズホルダに固着され、巻き軸が前記ガイドレールに対して垂直なコイルと、前記コイルに対向して設けられた永久磁石と、前記レンズホルダに設けられ、前記永久磁石と協動して前記レール受け部を前記ガイドレールに押し付ける押圧力を発生させる磁性体片とを有する。
【0019】
この構成により、レンズホルダの移動に伴ってレンズの光軸方向以外にリレーレンズが移動することはなく、従ってレンズの光軸ずれが発生しない。又、コイルの巻軸を光軸に垂直にしているため、小型化が可能であるとともに、力の作用点を主軸に近づけることができ、こじりにくい。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下に示す説明はこの発明の実施の形態であって、この発明の装置及び方法を限定するものではない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る光ヘッドの主要部分の構造を示す。図2及び図3は、光ディスクと光ヘッド関係を示す斜視図である。図4及び図5は、本発明に係わる光ディスク記録又は再生装置の概略構成図である。図6〜図8はリレーレンズ駆動装置又はその一部を示す斜視図である。図9及び図10はリレーレンズ駆動装置の可動部を示す斜視図及び平面図である。図11は他の実施形態に係る光ヘッドの主要部分の構成を示す。
【0022】
図2及び図3におて、光ディスク100は、再生専用ディスク、相変化型ディスク又は光磁気ディスクのような記録又は再生用ディスクである。図1のように、光ディスク100に光ビームを照射するための光源1から出射された光ビームはコリメータレンズ2でコリメートされ、ビームスプリッタ4に入射し、その後1/4波長板5を通過する。(光ビームの形状を変化させるためのビーム整形プリズムをコリメータレンズ2とビームスプリッタ4の間に挿入してもよい)。
【0023】
次に、ディスクのカバー層の厚さ誤差がある場合に発生する球面収差を補正するための本発明によるリレーレンズ系7をとおり、ミラー6で90度向きを変え、対物レンズ8に入射する。ここで対物レンズ8は2枚のレンズ30、31(図5参照)を組み合わせたNA0.85程度の高NAのレンズであり、対物レンズ駆動装置3で光軸方向及びディスク半径方向に移動可能に支持されている。
【0024】
ディスク100からの反射光は、対物レンズ8を通過し、ミラー6で反射し、リレーレンズ駆動機構7内のリレーレンズ系を経て、1/4波長板5を通過し、ビームスプリッタ4に入射する。次にビームスプリッタ4で反射され、凸レンズ10で集光される。次に光ビームは、フォーカス誤差信号発生用素子11を通過し光検出器12に照射される。フォーカス誤差発生用素子11は、フォーカス誤差信号を実現できる方法であればどのような方法でも良く、例えば非点収差法の場合円柱レンズとなる。
【0025】
光検出器12からの出力は、図4のように演算回路13に入力され、情報再生信号、フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号を得る。フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号は位相補償回路14で位相補償が行われる。位相補償回路14からの位相補償信号を基に、図5のようにアクチュエータドライバー15,16で対物レンズ駆動装置3のコイル17,18に電流を流し、対物レンズ8の光軸方向、及び半径方向の位置を制御する。
【0026】
リレーレンズ系7は、ディスク100のカバー層の厚さ誤差で発生する球面収差を補正するために使用するものである。2枚のレンズ32、33のうち少なくとも1枚(本実施形態では32)を光軸方向に移動し、ディスク100のカバー層の厚さ誤差で発生する球面収差を補正するように、リレーレンズ駆動機構7内のリレーレンズ系で球面収差を発生させる。その制御方法は、例えば特開平10−188301で開示されている方法も応用できる。本実施形態では、リレーレンズ32の位置を検出する位置検出装置22が設けられる。
【0027】
位置検出装置22は、図5のように発光ダイオードなどの発光素子34とフォトディテクタ35からなる反射型フォトセンサーである。リレーレンズ33と一緒に移動する反射板23(白色の板など拡散反射するものが好ましい)により、発光素子34から出た光が反射され、フォトディテクタ35に入射する。反射板23が、位置検出装置22に対向する量は、リレーレンズ32の位置に応じて変化し、それによって反射光量及びフォトディテクタ35に入射する光量が変化する。これによって、リレーレンズ32の位置検出を可能にしている。そして、フォトディテクタ35の出力はレンズ位置制御回路19に入力される。レンズ位置制御回路19は、指定位置にリレーレンズが位置するように信号をドライブ回路20に出力し、ドライブ回路20はリレーレンズ駆動機構7のコイル21に電流を流す。このように本装置では、位置制御をフィードバック制御でおこなっている。
【0028】
リレーレンズ32の位置を決めるための方法は数々の方式があるが、例えば以下のように行う。AD/DAを備えたCPU24は、リレーレンズ位置制御回路19に対して、リレーレンズ32の位置を、想定される基板厚の球面収差を補正できる範囲で少しずつ移動させる。そして、再生情報信号の振幅が最大になるようなレンズ32の位置を検出し、以後、その値をリレーレンズ位置制御回路19に対して出力しつづける。このように、位置制御を従来例のようにオープン制御でおこなわず、フィードバック制御でおこなっているため、外部からの振動、ショックがあっても、リレーレンズの位置が影響を受けず、再生情報信号の最大値の検出、及びその後のレンズ位置の保持が正確に行える。従って、ディスクのカバー層の誤差を補正でき、より大容量の光ディスク装置を実現できる。
【0029】
次に本実施形態に係る光ヘッドに搭載されている、リレーレンズ駆動機構7の詳細について説明する。ここではリレーレンズ7を構成する2枚のレンズの内、レンズ32が固定、レンズ33が可動としている。
【0030】
レンズ32は図6のようにベース42に取り付けられている。可動側のレンズ33は、図7のようにレンズホルダー27に取り付けられている。レンズホルダ27には、レンズ33の光軸(X方向)に垂直な軸(Y方向)を巻軸として巻かれたコイル21が取り付けれている。コイルの巻軸を光軸に垂直にしているため、小型化が可能である。コイル21の巻軸は、ガイドレール25a及び25bの中心を含む面と所定の角度を有し、小鉄片28からガイドレール25a及び25bの中心を含む面に下ろした垂線が、ガイドレール25a及び25bの間で交差するように構成されている。
【0031】
図8のように永久磁石26が鋼板などの強磁性体からなるヨーク43に取り付けられ、ヨーク43がベース42に取り付けられている。従って永久磁石26はベース42に対して固定されている。又、永久磁石26はコイル21と微小の間隔を持って置かれている。永久磁石26の着磁方向は、図8中で示す矢印のように、コイル21の巻軸と平行であり、さらにレンズ33の光軸方向のほぼ中間を境に逆向きに着磁された2極着磁石である。このように2極着磁構造とすることによって、高効率となり、低消費電力を実現できる。なお、2つの単極磁石を組み合わせても同等の効果が得られることはいうまでもない。
【0032】
永久磁石26のそれぞれの磁極に対応して、コイル21は図7の21a,21bのように、レンズ33の光軸方向及びコイル21の巻軸に垂直な方向(Z方向)に伸びた2つの直線部を、レンズ33の光軸方向(X方向)に有する。レンズホルダ27は、レンズ33の光軸方向と平行な2本の平行ガイドレール25a,25bで支持されている。ガイドレール25a、25bは図8のように、ベース42、及びベース42に固定されるサブベース44によって支持されている。
【0033】
レンズホルダ27は、図7のように空洞部49aを有する軸受け部としてのレール受け部49が設けられ、レール受け部49には同軸の穴47a、47bが設けられている。ガイドレール25aはレンズホルダ27が摺動可能なように、わずかの隙間を持って穴47a、47bを貫通している。レール受け部49の空洞部49aはガイドレール25aとレール受け部49のX方向になるべく離れた個所を接触させるため設けられており、レンズホルダの向きの精度が向上するなどの効果がある。
【0034】
図9のように、レンズホルダ27には長穴U字形状部48が設けられ、ここにガイドレール25bが摺動可能に貫通している。穴47a、47b、長穴U字形状部48は、摩擦係数の少ない材料が好ましく、たとえばPPSの潤滑グレードなどの材料がよい。又ガイドレール25a,25bの表面にグリスなどの潤滑材を塗布してもよい。
【0035】
さらに、レンズホルダ27のコイル中央付近には、珪素鋼板などの強磁性体からなる小鉄片28(図中斜線部)が取り付けられており、永久磁石26によって、コイル巻軸方向に力Fが発生する。
【0036】
図10はリレーレンズ駆動装置の可動部を示す平面図である。各部のZ方向位置は以下のようになっている。
【0037】
穴47a,47b > コイル21に働く駆動力Fの中心=鉄片28の中心 ≧レンズ33の光軸33a > U字形状部48
以上のような順番となっているため、レンズホルダはガイドレール25a,25bにコイル巻軸方向に押し付けられ、穴47a,47bとガイドレール25aの接触位置A、長穴U字形状部48とガイドレール25bとの接触位置Bが安定する。この結果、レンズホルダ27の姿勢が安定し、よってレンズ33の光軸の傾きや軸ずれが抑制され、光学的な収差の発生が抑えられる。
【0038】
XY面上に投影した場合、コイル21の中心の位置21aをガイドレール25aに近づけ、又コイル21の巻軸をY方向とすることで、ガイドレール25aとコイルに発生する駆動力の中心との距離を短くできる。従って、レンズホルダ27に発生するガイドレール25aに対するモーメント力が抑えらる。このモーメント力によりガイドレール25aに対して、穴47a,47bが押し付けられ、その結果X方向に摩擦力が発生する。この摩擦力がコイル21に発生する駆動力を超えてしまうとレンズ33は移動不可能になり、所謂こじり現象が発生してしまう。その為、このようにモーメント力が小さいと、ガイドレール25aに対して、穴47a,47bがこじって動作不能になる恐れが少なくなる。
【0039】
さらにXZ面上に投影した場合のモーメントを考慮すると、ガイドレール25bとU字形状部48との間で発生する摩擦力は、コイル21が発生する力と逆向きのモーメント力になるため、これもこじりの恐れを低減している。なお、こじり防止のためには、穴47a、47bのX方向の距離をできるだけ長くする、あるいはガイドレール25a,25bに対する摩擦係数を小さくするなどの対策も有効であることはいうまでもない。
【0040】
なお、本実施例では、ガイドレール25aと穴47a,47bとが摺動する構成としたが、場合によっては、レンズホルダ27とガイドレール25aを固着し、ガイドレールとベース42、サブベース44に設けた穴とガイドレール25aが摺動するような構造とすれば、さらにコイル21に発生する力で生じるモーメント力による摩擦力を低減できる。
【0041】
以上のように構成されたリレーレンズ駆動機構の動作を図7及び図8を参照して説明する。コイル21に電流を流すと、永久磁石26で発生した磁場中を電流が通過することになり、コイル21にローレンツ力が発生する。特にコイル21a、21b部に発生した力によって、レンズホルダ27にはレンズ33の光軸方向に力が加わる。レンズホルダ27はガイドレール25a,25bで摺動可能に支持されているため、レンズホルダ27は光軸方向に移動する。ここでガイドレール25a,25bは、レンズ33の光軸に平行に組み立てられ、かつ小鉄片28と永久磁石26との間に働く力があるため、光軸方向に移動してもレンズ33が傾いたり、軸ずれを起こすことはない。ここで小鉄片28と永久磁石26は、レール受け部49をガイドレールに押し当てる押圧手段として作用する。
【0042】
以上のように構成されたリレーレンズ駆動機構においては、レンズ33を移動させても、それ以外の方向には位置が変位せず、良好な球面収差補正が可能になる。又、レンズが2本のガイドレールによって支持され、さらに小鉄片28と永久磁石26との間に働く力があるため、ているため、支持剛性も高く、外部からのショック、振動によって、傾くことは無い。
【0043】
又、前述のようにコイルの直線部21a,21bの2箇所で有効な駆動力を発生するため、アクチュエータの効率がよく、低消費電力で、発熱も小さい光ヘッドを実現できる。
【0044】
なお、小鉄片28と永久磁石26との間に、小鉄片28が永久磁石の2極着磁の分割位置に近づく方向に力が発生することによる磁気ばね効果で、X方向の支持剛性が発生する。
【0045】
次に、本実施例の位置検出装置22の詳細について説明する。本実施例においては、前述のように位置センサーとして反射型フォトセンサーを使用しているが、光ヘッドを小型化するためには、小さい位置センサーを使う必要がある。ところが、小型の反射型フォトセンサーは有効な光束が小さく、従って位置検出範囲が、レンズホルダ27の位置決めしたい範囲に比べて小さいことが多い。そこで本実施例においては、遮光板23の通常移動方向に対して垂直なエッジを、23aのように傾けることによって、レンズホルダ27の移動に伴う、位置センサー22に向かい合う反射板23の面積の変化を小さくしている。この結果、位置検出範囲はレンズホルダ27の可動範囲に対して十分な広さに拡大される。従って、制御回路によって、いかなる位置にもフィードバック制御による位置決め制御が可能になり、前述のような振動ショックに大して影響を受けない効果が発生する。又、非接触式の位置センサーであるため、レンズホルダなどの可動部に力が加わらず、力による位置や姿勢の変動が生ぜず、球面収差レンズの位置ずれによる光学収差の増大が防げる。なお、位置センサーとしては、他の非接触型の位置センサーで置き換えることも可能である。例えば磁石とホール素子を使った位置センサーも利用可能である。
【0046】
次に光ヘッドとリレーレンズ33の移動方向について説明する。本実施例では、図2及び図3のように、リレーレンズ33の移動方向がディスク接線方向を向いている。光ヘッドはディスク半径方向に移動することによって、ディスク上の様々な半径位置の情報を読み出すが、移動に伴い、加速度が発生し、リレーレンズ可動部にも慣性力が加わる。本実施形態のように、リレーレンズ駆動機構7の可動部の移動方向を、ディスク半径方向ではなく周方向にすることによって、可動部に加わる慣性力によって可動部の位置が変化するのを防止でき。又慣性力に見合う保持力をコイル21に発生させる必要がなくなり、消費電力の低減が可能になる。光ヘッドを半径方向に動作させるときには、光ヘッド移動用のアクチュエータに大きな電力を供給することが必要になるため、光ヘッドの移動時にリレーレンズ駆動機構7の消費電力が増えないことは、光ヘッドの搭載される光ディスクドライブ装置などのピーク消費電力を抑える効果が大きく、電力を供給する電源回路の小型化にも寄与する。
【0047】
図11は本発明による光ヘッドの他の実施形態の主要部分の構成を示す。図11に示すリレーレンズ駆動機構7は、図1のリレーレンズ駆動機構7と比べ、180°方向が異なっている。つまりレンズホルダ27を光源1側にしてリレーレンズ駆動機構7が設けられている。そして、図1においては可動レンズ32であったが、レンズ33を可動レンズとしている。このように、2郡のリレーレンズにおいて、対物レンズより遠い位置のレンズを動かした方が、レンズの移動に伴う光量変化が少なくなり、一般に良好な光学特性が得られることが多い。
【0048】
以上の説明においては、リレーレンズの構成を2枚のレンズとしたが、それぞれのレンズが複数のレンズを貼り合わせたものであってもよい。つまり、光ディスクの基板の光学的厚さが、対物レンズ設計時に想定された光学的厚さと異なることによって発生する球面収差を、対物レンズとは別に設けた1枚以上のレンズを光軸方向に動かすことによって補償する場合に、とりわけレンズの光軸外の動きが許されず、傾きの許容範囲もきわめて少ない場合に、本発明の光ヘッドは有効である。
【0049】
又、2極着磁された磁石を用いたが、2つの単極磁石を組み合わせても同等の効果が得られることはいうまでもないし、単極磁石を1つだけ用いて、コイル21の直線部21a,21bのどちらか一方のみ力が発生するようにしても、消費電力は増えるものの実現可能である。又、この場合も磁気ばねの効果は得られる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明を適用した光ヘッドは、振動、ショック等に影響されずに、光ディスクのカバー層の厚さ誤差で発生する球面収差を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ヘッドの主要部分の構造を示す図。
【図2】光ディスクと光ヘッド関係を示す斜視図。
【図3】光ディスクと光ヘッド関係を示す他の斜視図。
【図4】本発明に係る光ディスク記録再生装置の概略構成図。
【図5】本発明に係る光ディスク記録再生装置の他の概略構成図。
【図6】本発明に係るリレーレンズ駆動装置の構成を部分的に示す斜視図。
【図7】本発明に係るリレーレンズ駆動装置の構成を部分的に示す他の斜視図。
【図8】本発明に係るリレーレンズ駆動装置の構成を示す斜視図。
【図9】リレーレンズ駆動装置の可動部を示す斜視図。
【図10】リレーレンズ駆動装置の可動部を示す平面図。
【図11】他の実施形態に係る光ヘッドの主要部分の構成を示す図。
【符号の説明】
1…光源、2…コリメータレンズ、3…対物レンズ駆動装置、4…ビームスプリッタ、5…1/4波長板、6…ミラー、7…リレーレンズ駆動装置、8…対物レンズ、10…凸レンズ、21…コイル、22…位置センサ、23…遮光板、25a、25b…ガイドレール、26…永久磁石、28…小鉄片、32…可動レンズ、42…ベース、43…ヨーク、44…サブベース、47a、47b…穴、48…U字形状部、100…光ディスク
Claims (8)
- 光ディスクから情報を読み出す光ヘッド装置において、
球面収差補正のためのレンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズの光軸に平行なガイドレールと、
前記レンズホルダに設けられ、前記ガイドレールを受けるレール受け部と、
前記レンズホルダに固着され、巻き軸が前記ガイドレールに対して垂直なコイルと、
前記コイルに対向して設けられた永久磁石と、
前記レンズホルダに設けられ、前記永久磁石と協動して前記レール受け部を前記ガイドレールに押し付ける押圧力を発生させる磁性体片と、
を有することを特徴とする光ヘッド装置。 - 光ディスクから情報を読み出す光ヘッド装置において、
球面収差補正のためのレンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズの光軸に平行な第1および第2のガイドレールと、
前記レンズホルダに設けられ、前記第1のガイドレールを受ける第1のレール受け部と、
前記レンズホルダに設けられ、前記第2のガイドレールを受ける第2のレール受け部と、
前記レンズホルダに固着され、巻き軸が前記ガイドレールに対して垂直なコイルと、
前記コイルに対向して設けられ、前記ガイドレールの軸方向に2極着磁された永久磁石と、
前記レンズホルダに設けられ、前記永久磁石と協動して前記第1及び第2のレール受け部を、前記第1及び第2のガイドレールにそれぞれ押し付ける押圧力を発生させる磁性体片と、
を有することを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1及び第2のガイドレールが前記光ディスクの周方向に沿って配置されたことを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
- 前記コイルの巻軸は、前記第1のガイドレールと第2のガイドレールの中心を含む面と所定の角度を有し、前記磁性体片から前記第1のガイドレールと第2のガイドレールの中心を含む面に下ろした垂線が、前記第1のガイドレールと第2のガイドレールの間で交差することを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
- 前記第1のガイドレール、第2のガイドレール、及び永久磁石を保持するベースと、該ベースに固定され前記レンズと光軸の一致する第2のレンズを具備することを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
- 前記光ヘッド装置は前記光ディスクの半径方向に移動し、前記光ヘッド装置における前記レンズの移動方向は、前記光ディスクの周方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の光ヘッド装置。
- 光ディスクに対して光ビームを照射する光ヘッドを備えた光ディスク装置であって、
前記光ヘッドは、
球面収差補正のためのレンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズの光軸に平行なガイドレールと、
前記レンズホルダに設けられ、前記ガイドレールを受けるレール受け部と、
前記レンズホルダに固着され、巻き軸が前記ガイドレールに対して垂直なコイルと、
前記コイルに対向して設けられた永久磁石と、
前記レンズホルダに設けられ、前記永久磁石と協動して前記レール受け部を前記ガイドレールに押し付ける押圧力を発生させる磁性体片と、
前記コイルに電流を流し、前記レンズを光軸方向に移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする光ディスク装置。 - 光ディスクに対して光ビームを照射する光ヘッドを備えた光ディスク装置であって、
前記光ヘッドは、
球面収差補正のためのレンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズの光軸に平行な第1および第2のガイドレールと、
前記レンズホルダに設けられ、前記第1のガイドレールを受ける第1のレール受け部と、
前記レンズホルダに設けられ、前記第2のガイドレールを受ける第2のレール受け部と、
前記レンズホルダに固着され、巻き軸が前記ガイドレールに対して垂直なコイルと、
前記コイルに対向して設けられ、前記ガイドレールの軸方向に2極着磁された永久磁石と、
前記レンズホルダに設けられ、前記永久磁石と協動して前記第1及び第2のレール受け部を、前記第1及び第2のガイドレールにそれぞれ押し付ける押圧力を発生させる磁性体片と、
前記コイルに電流を流し、前記レンズを光軸方向に移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする光ディスク装置。
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