JP3831093B2 - 複合酸化物、その製造方法及びそれを用いた排ガス浄化用触媒 - Google Patents
複合酸化物、その製造方法及びそれを用いた排ガス浄化用触媒 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガス浄化用触媒に使用し得る複合酸化物及びその製造方法、並びに該複合酸化物を用いることにより浄化性能を向上させた排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
内燃機関の排ガス浄化用触媒は、排ガス規制強化に伴い、浄化性能の向上が益々要求されている。そのため、触媒をエンジンに近いマニホールドに直結させ、高い排ガス温度で使用して浄化性能を向上させること等が行われている。しかし、その場合は使用温度が高くなることから耐熱性向上が一層要求される。
【0003】
従来、例えば、特開平5−277375号公報において、活性アルミナ、セリウム化合物、ジルコニム化合物及びニッケル化合物を含有するスラリーを担体にコーティングし、乾燥、焼成して得たウォッシュコート担体に貴金属成分を担持した後、アルカリ土類金属成分を担持した触媒が理論混合比近傍でCO、HC性能が優れている事が報告されている。また、特開平6−279027号公報において、セリア、ジルコニアを主成分とした複合酸化物が開示されている。しかしながら、これらの触媒や複合酸化物を排ガス浄化用触媒に用いたとしても、より厳しい高温耐久性の向上要求には不充分である。
【0004】
従って、本発明の目的は、内燃機関の排ガス浄化用触媒の耐熱性(高温耐久性)の向上に有効である複合酸化物及びその製造方法並びに高温耐久後の触媒性能に優れる排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、アルミナとセリアとジルコニアとの重量比率が特定範囲にある複合酸化物、及び特定の方法を使用した該複合酸化物の製造方法、並びに該複合酸化物を用いて調製した排ガス浄化触媒が、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムを、純水中で攪拌、溶解して混合溶液を得、該混合溶液を攪拌しながらアンモニア水溶液中に滴下し、pHを9〜9.5にした後、生成した沈殿物を熟成させたことを特徴とする複合酸化物の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複合酸化物について詳細に説明する。
本発明の複合酸化物は、アルミナ、セリア及びジルコニアの重量比率が4:1:1〜0.5:1:1にある。即ち、セリアとジルコニアとの重量比率は1:1で一定であり、アルミナの重量比はセリア及びジルコニアそれぞれ1に対して4〜0.5の範囲にある。但し、セリアとジルコニアとの重量比率は厳密に1:1であることを要せず、40:60〜60:40であるものも、用いることができる。
アルミナの重量比率がセリア及びジルコニアそれぞれ1に対して4を超えると、触媒化した時のセリア、ジルコニアの量が減少するため、触媒性能が低下することとなり、一方0.5未満であると、熱履歴による表面積低下が大きくなり触媒性能の低下の原因となる。
【0010】
本発明の複合酸化物は、上述の如く構成されているため、内燃機関の排ガス浄化用触媒の耐熱性(高温耐久性)の向上に有効なものである。本発明の複合酸化物を用いることにより、排ガス浄化触媒が高温耐久性能において優れる理由は明確ではないが、セリアとジルコニアとが複合化することで酸素貯蔵能が優れた特性になったこと、複合化によりアルミナ、セリア及びジルコニアが互いに作用し合うこと、即ち、各成分がそれぞれの耐熱性向上成分として作用すること、及びアルミナの高比表面積が複合酸化物の比表面積を高くすることで耐熱性を向上させたことが考えられる。
【0011】
ここで、本発明の複合酸化物の一例を挙げ、その構造を説明する。
アルミナ、セリア及びジルコニア各酸化物の重量比が1:1:1である複合酸化物(A)〔本発明の複合酸化物〕と、これとは別に、上記複合酸化物(A)を調製したのと同じ配合比で、γ−アルミナ、酢酸セリウム及び酢酸ジルコニウムを、ボールミルで混合、粉砕してスラリーとし、このスラリーを乾燥、焼成する方法により調製した混合酸化物(B)〔比較品である混合酸化物〕とについて、X線回析による回析パターンのチャートを、それぞれ図1及び図2に示す。これらのチャートより明らかなように、上記複合酸化物(A)では、Ce0.5 Zr0. 5 O2 の複合酸化物が検出されたが、上記混合酸化物(B)では、CeO2 、ZrO2 及びAl2 O3 の単一成分の酸化物しか検出されなかった。
【0012】
本発明の複合酸化物は、単一成分の酸化物から構成されるのではなく、上記複合酸化物(A)に存在するCe0.5 Zr0.5 O2 のような複合酸化物の存在により、耐熱性を向上させ、酸素貯蔵能特性を向上させると考えられる。
【0013】
また、上記複合酸化物(A)及び混合酸化物(B)、並びにアルミナを配合しない以外は上記複合酸化物(A)と同様の製造方法により製造した、セリア及びジルコニアのみより構成された複合酸化物(C)〔比較品である複合酸化物〕それぞれの新品(熱エージング前)及び熱エージング(900℃、1時間)後のBET比表面積を測定し、それらの低下率も求めた。その結果を下記〔表1〕に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
上記〔表1〕に示すように、上記混合酸化物(B)は、単一成分の酸化物が主体であり、熱エージングによる比表面積の低下率が大きい。また、上記複合酸化物(C)は、アルミナを有していないため、比表面積が小さく、比表面積の低下率も大きい。
これに対し、上記複合酸化物(A)は、アルミナ、セリア及びジルコニアの三成分の相互作用により比表面積の低下を防止していると考えられる。
【0016】
次に、本発明の複合酸化物の製造方法について詳細に説明する。
本発明の複合酸化物の製造方法は、上述した本発明の複合酸化物を製造する好ましい方法であり、アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムを、純水中で撹拌、溶解して混合溶液を得、該混合溶液を撹拌しながらアンモニア水溶液中に滴下し、pHを9〜9.5にした後、生成した沈殿物を熟成させたことを特徴とする。
【0017】
本発明の製造方法においては、アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムを、純水中で撹拌、溶解して混合溶液を得、該混合溶液を撹拌しながらアンモニア水溶液中に滴下し、pHを9〜9.5にした後、沈殿物を生成することが特に重要である。即ち、アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムの三成分を同時に共沈する方法により、沈殿物(共沈物)を生成することが特に重要である。
【0018】
ここで、アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムから上記混合溶液を得る方法としては、例えば、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムの水溶液中に、アルミナ化合物を添加し、撹拌、混合する方法等が挙げられる。この際、各成分の使用量は、上述した本発明の複合酸化物におけるアルミナ、セリア及びジルコニアの重量比率の範囲内になるような量であることが好ましい。
【0019】
また、上記混合溶液中の酸化物としての濃度は、10〜100g/lであることが好ましく、30〜80g/lであることが更に好ましい。
【0020】
また、上記混合溶液を混合しながらアンモニア水溶液中に滴下するに際し、該アンモニア水溶液の量は、該混合溶液に対して、0.2〜0.7倍容量であることが好ましく、0.3〜0.6倍容量であることが更に好ましい。
【0021】
そして、上述の通り、上記混合溶液を上記アンモニア水溶液中に滴下して、pHを9〜9.5にする。ここで、pHが9未満であると、沈殿が不十分となり、一方、9.5を超えると、錯塩を生成し、再溶解するため沈殿が不十分となる。
【0022】
また、生成した沈殿物を熟成させる際の時間は、10〜20時間であることが好ましく、14〜16時間であることが更に好ましい。
【0023】
本発明の製造方法に用いられるアルミナ化合物としては、硝酸アルミニウム、ベーマイトアルミナ又は活性アルミナ粉末等が好ましく用いられる。
また、本発明の製造方法に用いられるアンモニア水溶液としては、(1+9)アンモニア水溶液、カ性ソーダ水溶液、カ性カリ水溶液等が挙げられが、特に(1+9)アンモニア水溶液が好ましい。
【0024】
本発明の製造方法においては、上記沈殿物を熟成させた後、通常公知の方法により、該沈殿物をデカンテーションで水洗した後、濾過し、再度水洗し、乾燥、粉砕した後、焼成する。
例えば、熟成させた上記沈殿物を水洗、濾過した後に乾燥をする際の温度は、100〜200℃であることが好ましく、140〜160℃であることが更に好ましい。また、この乾燥をする際の時間は、25〜35時間であることが好ましく、28〜33時間であることが更に好ましい。
また、乾燥した上記沈殿物を、粉砕した後、焼成をする際の温度は、500〜700℃であることが好ましく、550〜650℃であることが更に好ましい。また、この焼成をする際の時間は、2〜7時間であることが好ましく、3〜5時間であることが更に好ましい。
【0025】
次に、本発明の排ガス浄化用触媒について詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒は、上述した本発明の複合酸化物を用いて製造したものである。
【0026】
ここで、本発明の排ガス浄化用触媒の調製方法の一例を以下に示す。しかし、これにより、本発明の排ガス浄化用触媒が何等制限されるものではない。
上記複合酸化物(A)、γ−アルミナ(活性アルミナ)、ニッケル化合物、アルミナゾル及び純水を所定の割合でボールミルに投入して約20時間混合、粉砕してスラリー化してウォッシュコート液とした後、これを一体型構造担体に担持し乾燥、焼成して、ウォッシュコート層を有するウォッシュコート担体を調製する。その後、白金、パラジウム及びロジウムの貴金属成分を所定量含浸し、乾燥、焼成する。その後、バリウム化合物の水溶液を所定量含浸し、乾燥、焼成して完成触媒とする。
【0027】
ここで、上記ウォッシュコート液の原料として、複合酸化物(A)、活性アルミナ、ニッケル化合物、アルミナゾルに加えて、酢酸セリウム、酢酸ジルコニウムを添加することもできる。
また、上記ウォッシュコート層中の各成分の担持量は、アルミナ重量を100として、セリアが10〜60、ジルコニアが10〜60、ニッケル酸化物が2〜8及びアルカリ土類金属酸化物が1.5〜10であることが好ましい。
また、上記ウォッシュコート層中の複合酸化物の割合は20〜80重量%であることが好ましい。
【0028】
本発明の排ガス浄化用触媒は、上述した本発明の複合酸化物を用いて製造されているため、優れた性能を有するものである。特に、本発明の複合酸化物におけるアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率が1:1:1であるときに、一層優れた性能を有するものとなる。このことは、本発明の排ガス浄化用触媒のCO及びNOx 転化率の相乗平均√(CO×NOx )の値Yと、本発明の複合酸化物におけるアルミナの重量比(アルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率をX:1:1としたときのX)との関係を表したグラフ(図3参照)からも明らかである。即ち、アルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率が1:1:1であるときに、これらの三成分の相互作用により最も良い性能を示し、これよりアルミナの重量比率が多くなっても少なくなっても性能が低下する傾向にあることを示す。
【0029】
上述したように、本発明の複合酸化物は、Ce0.5 Zr0.5 O2 の如き複合酸化物が形成されており、酸素貯蔵能が優れた特性になり、複合化によりアルミナ、セリア、ジルコニアが互いに作用し合うことで三成分の耐熱性が向上し、熱エージングによる比表面積の低下率が小さくなっている。そして、該複合酸化物を使用した本発明の排ガス浄化用触媒は、該複合酸化物の上記特性の向上により、耐熱性を向上させ、高温耐久後の触媒性能を向上させたものである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。
【0031】
〔実施例1〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液にベーマイトアルミナ(アルミナとして100g)を添加した後、十分撹拌し均一溶液6リットルを調製する。この溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この溶液を(1+9)アンモニア溶液2.1リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.3にした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(1)を調製した。得られた複合酸化物(1)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は1:1:1であった。
【0032】
b)触媒の調製
複合酸化物(1)180g、BET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ213g、酸化ニッケル12g相当の硝酸ニッケル、アルミナ15g含有のアルミナゾル及び蒸留水550gをボールミルに入れ、20時間粉砕混合し、ウォッシュコート液とする。コージライト製ハニカム担体(400セル、容量0.34リットル)を該ウォッシュコート液に浸漬した後、エアーブローでセル中の余分のウォッシュコート液を除去し乾燥する。このウォッシュコート液への浸漬及び乾燥を2回行った後、500℃で2時間焼成する。このウォッシュコート担体のウォッシュコート量は140g/lで、アルミナが96g/l、セリアが20g/l、ジルコニアが20g/l、及びニッケル酸化物が4g/lであった。
次に、硝酸パラジウム及び塩化ロジウムを蒸留水中に溶解し、パラジウム濃度1.67g/l、ロジウム濃度0.167g/lの含浸溶液を調製する。この含浸溶液300ml中に、上記ウォッシュコート担体を浸漬した後、エアーブローでセル中の余分の含浸溶液を除去した後乾燥する。その後、500℃で2時間焼成し触媒(No. 1)を得た。得られた触媒は、Pd 1.47g/l、Rh 0.147g/lを担持していた。
【0033】
〔実施例2〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液に硝酸アルミニウム(アルミナとして100g)を添加した後、十分撹拌し均一溶液にする。この溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この溶液6リットルを(1+9)アンモニア溶液3リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.0とした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(2)を調製した。得られた複合酸化物(2)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は1:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(2)180gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. 2)を得た。得られた触媒における各成分(Pd、Rh、以下同じ)の担持量は実施例1の例と同じである。
【0034】
〔実施例3〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液にベーマイトアルミナ(アルミナとして200g)を添加した後、十分撹拌し均一溶液にする。この溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この溶液8リットルを(1+9)アンモニア溶液2.8リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.5とした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し620℃で4時間焼成して複合酸化物(3)を調製した。得られた複合酸化物(3)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は2:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(3)240g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ153gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. 3)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0035】
〔実施例4〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液に硝酸アルミニウム(アルミナとして400g)を添加した後、十分撹拌し均一溶液にする。この溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この溶液12リットルを(1+9)アンモニア溶液6リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.1とした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(4)を調製した。得られた複合酸化物(4)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は4:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(4)360g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ33gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. 4)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0036】
〔実施例5〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に、硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)及びγ−アルミナ粉末(400g)を入れ、ボールミル中で16時間、粉砕、混合しスラリーを調製する。このスラリー中の酸化物としての濃度は75g/lである。このスラリー8リットルを(1+9)アンモニア溶液2.4リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.4とした。ここで生成した沈澱物を、水洗、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(5)を調製した。得られた複合酸化物(5)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は4:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(5)360g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ33gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. 5)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0037】
〔実施例6〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液にベーマイトアルミナ(アルミナとして50g)を添加した後、十分撹拌し均一溶液にする。この溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この溶液5リットルを(1+9)アンモニア溶液1.8リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.0とした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(6)を調製した。得られた複合酸化物(6)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は0.5:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(6)150g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ243gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. 6)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0038】
〔比較例1〕
a)複合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)に硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)を添加、混合した溶液を調製する。この混合溶液中の酸化物としての濃度は50g/lである。この混合溶液4リットルを(1+9)アンモニア溶液2リットル中に撹拌しながら徐々に滴下、中和し、pHを9.3とした。ここで生成した沈澱物は15時間熟成させる。その後、デカンテーションで2回水洗し、濾過後、150℃で28時間乾燥する。その後、粉砕し、620℃で4時間焼成して複合酸化物(a)を調製した。得られた複合酸化物(a)中のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は0:1:1であった。
b)触媒の調製
複合酸化物(a)120g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ273gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. a)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0039】
〔比較例2〕
a)混合酸化物の調製
硝酸セリウム溶液(酸化セリウムとして100g)、硝酸ジルコニウム溶液(酸化ジルコニウムとして100g)、γ−アルミナ(100g)及び純水をボールミルで16時間、粉砕、混合した後、150℃で28時間乾燥した後、粉砕し620℃で4時間焼成し混合酸化物(b)を調製した。得られた混合酸化物(b)のアルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率は1:1:1であった。
b)触媒の調製
混合酸化物(b)180g、及びBET比表面積が150m2 /gで平均粒径が30μの活性アルミナ213gを使用した以外は、実施例1と同様に調製して触媒(No. b)を得た。得られた触媒における各成分の担持量は実施例1の例と同じである。
【0040】
〔実施例7〕
実施例1〜6で調製した複合酸化物(1)〜(6)並びに比較例1及び2で調製した複合酸化物(a)及び混合酸化物(b)の新品(熱耐久前の試料)及び電気炉中で900℃、1時間熱耐久した後の試料のBET比表面積を測定した。その結果を下記〔表2〕に示す。尚、複合酸化物又は混合酸化物中のAl2 O3 /CeO2 /ZrO2 比率(重量比率)及び用いたアルミナ種についても併せて下記〔表2〕に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
上記〔表2〕の結果から明らかなように、複合酸化物(1)〜(6)〔本発明品〕の熱耐久による比表面積の低下率は、複合酸化物(a)及び混合酸化物(b)〔比較品〕の熱耐久による比表面積の低下率に比べて小さく、本発明の複合酸化物の耐熱性が優れていることが判る。
【0043】
〔実施例8〕
実施例1〜6で調製した複合酸化物(1)〜(6)並びに比較例1及び2で調製した複合酸化物(a)及び混合酸化物(b)のX線回折による解析結果、検出された化合物を下記〔表3〕に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
上記〔表3〕の結果から明らかなように、複合酸化物(1)〜(6)及び(a)からは、Ce、Zr、Oの複合酸化物(Ce0.5 Zr0.5 O2 )が検出されたが、混合酸化物(b)からは、セリア、ジルコニアの単成分酸化物は検出されたが複合酸化物は検出されなかった。
【0046】
〔実施例9〕
実施例1〜6で調製した触媒(No. 1〜No. 6)並びに比較例1及び2で調製した触媒(No. a及びNo. b)について、下記条件で耐久試験を行った後、性能評価を行った。評価は、CO、HC、NOx 、CO×NOx の平方根それぞれの転化率で表した。その結果を下記〔表4〕に示す。
・耐久試験条件
エンジン:排気量 2000cc
触媒温度:980℃×20時間+600℃×5時間
A/F :14.6±0.5、1Hz
・性能評価条件
車両 :660cc、EFI車
評価モード:10−15モード
【0047】
【表4】
【0048】
上記〔表4〕の結果から明らかなように、本発明の複合酸化物を用いた触媒(No. 1〜No. 6)は、高温耐久試験後において、優れた性能を有していることが判る。
【0049】
【発明の効果】
本発明の複合酸化物は、内燃機関の排ガス浄化用触媒の耐熱性(高温耐久性)の向上に有効なものである。
また、本発明の製造方法によれば、内燃機関の排ガス浄化用触媒の耐熱性(高温耐久性)の向上に有効な複合酸化物を得ることができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、高温耐久試験後において、優れた性能を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合酸化物のX線回折による回析パターンのチャートであり、○印は複合酸化物Ce0.5 Zr0.5 O2 の回折ピーク、×印はアルミナの回折ピークをそれぞれ示す。
【図2】図2は、比較品である混合酸化物のX線回折による回析パターンのチャートであり、□印はセリアの回折ピーク、△印はジルコニアの回折ピーク、×印はアルミナの回折ピークをそれぞれ示す。
【図3】図3は、本発明の排ガス浄化用触媒のCO及びNOx 転化率の相乗平均√(CO×NOx )の値Yと、本発明の複合酸化物におけるアルミナの重量比(アルミナ、セリア、ジルコニアの重量比率をX:1:1としたときのX)との関係を表したグラフである。
Claims (2)
- アルミナ化合物、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムを、純水中で攪拌、溶解して混合溶液を得、該混合溶液を攪拌しながらアンモニア水溶液中に滴下し、pHを9〜9.5にした後、生成した沈殿物を熟成させたことを特徴とする複合酸化物の製造方法。
- 上記アルミナ化合物が、硝酸アルミニウム、ベーマイトアルミナ又は活性アルミナ粉末である、請求項1記載の複合酸化物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28943697A JP3831093B2 (ja) | 1997-10-22 | 1997-10-22 | 複合酸化物、その製造方法及びそれを用いた排ガス浄化用触媒 |
Applications Claiming Priority (1)
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