JP4811666B2 - NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液及びそれを用いたNOx吸蔵還元型触媒の製造方法 - Google Patents

NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液及びそれを用いたNOx吸蔵還元型触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合粒子前駆体水溶液並びにそれを用いた複合粒子の製造方法に関する。
従来から、自動車等の排ガスに含まれる有害な窒素酸化物(NOx)を浄化するために、NOxの吸蔵及び/又は還元が可能な複合粒子が、排ガス浄化触媒(NOx吸蔵還元型触媒)の材料として利用されてきた。そして、より高い活性を示す複合粒子を製造するために、種々の方法や前駆体水溶液等が研究されてきた。
このような複合粒子の製造方法としては、例えば、特開2000−279824号公報(特許文献1)において、キレート化剤により白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、金、オスミウム、レニウムのいずれか1種又は2種以上の触媒金属をキレート結合させて得られる複合金属コロイドを用い、担体に複合金属を担持し、その後、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類のいずれかに属する元素の化合物の1種又は2種以上を含む水溶液を用いて、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持する複合粒子の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のような複合粒子の製造方法においては、前記水溶液中にセリウムをイオンの状態で混合するために酢酸セリウムを用いた場合には、酢酸セリウムの水に対する溶解度が水100gに対して20gと低いため、高濃度で含有させることができなかった(東京化学同人「化学大辞典」参照)。そのため、セリウムの担持量の高い触媒を製造する場合に前記水溶液を用いると担持工程やコストが増加するという問題があった。
また、複合粒子を製造する際に用いる複合粒子前駆体水溶液としては、例えば、特開2005−60147号公報(特許文献2)において、アルカリ金属,アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1化合物と、第3族元素、第4族元素及び遷移金属から選ばれる少なくとも一種の元素を含む第2化合物と、多座配位子を有する第3化合物と、過酸化水素と、が水に溶解してなる複合粒子水溶液が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の複合粒子水溶液においては、水溶液中にNOxの酸化還元成分である白金等が含有されておらず、前記酸化還元成分が担持された触媒を製造する場合には、前記複合粒子水溶液を担体に担持させる工程の他に酸化還元成分を担体に担持させる工程が別途必要となるため、効率よく触媒を製造することができなかった。また、このような触媒の製造方法を採用した場合においては、得られる触媒においてアルカリ成分等の近傍に必ずしも前記酸化還元成分が存在しなかった。そのため、このような複合粒子水溶液を用いて得られる触媒においては、NOx浄化能が必ずしも十分なものではなかった。
特開2000−279824号公報 特開2005−60147号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、水溶液中に複合粒子の前駆体である金属元素を高濃度で且つ安定した状態で含有させることができ、十分に高いNOx浄化能を有し且つ十分に微細化された複合粒子を効率よく製造することが可能な複合粒子前駆体水溶液及びそれを用いた複合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第1の化合物と、チタン、アルミニウム及び希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第2の化合物とを用いて複合粒子を製造する際に用いる複合粒子前駆体水溶液に、前記第1及び第2の化合物とともに、多座配位子を有する第3の化合物と、白金、ロジウム、パラジウム、金、銀、銅、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第4の化合物と、アンモニアとを含有させることにより、得られる複合粒子前駆体水溶液中に前記第1、第2及び第4の化合物を高濃度且つ安定した状態で含有させることができ、これを利用することで、十分に高いNOx浄化能を有し且つ十分に微細化された複合粒子を効率よく得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第1の化合物と、
チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第2の化合物と、
多座配位子を有する第3の化合物と、
ジウム、パラジウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第4の化合物と、
アンモニアと、
を含むことを特徴とするものである。
上記本発明にかかる第1の化合物としては、バリウムを含有する化合物であることが好ましい。
また、上記本発明にかかる第2の化合物としては、チタン、アルミニウム、セリウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物であることが好ましい。
さらに、上記本発明にかかる第2の化合物としては、セリウムを含有する化合物であることがより好ましく、酢酸セリウムであることが更に好ましい。
また、上記本発明にかかる第2の化合物としては、チタンを含有する化合物であることがより好ましい。
さらに、上記本発明の第3の化合物としては、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、アコニット酸、グルタル酸、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、サリチル酸、メバロン酸、エチレンジアミン、アセト酢酸エチル、マロン酸エステル、グリコール及びピナコールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、クエン酸であることがより好ましい。
また、上記本発明にかかる前記第4の化合物としては、パラジウムを含有する化合物であることが好ましく、酢酸パラジウムであることがより好ましい。
また、上記本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液においては、前記第3の化合物の含有量が、前記第2の化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍以上であることが好ましい。
さらに、上記本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液においては、前記第4の化合物の含有量が、0.001〜0.5mol/Lであることが好ましい。
また、上記本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液においては、前記アンモニアの含有量が、前記第3の化合物の含有量に対してモル換算で2倍以上であることが好ましい。
さらに、上記本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液においては、前記アンモニアの含有量が、0.4mol/L以上であることが好ましい。
また、本発明のNOx吸蔵還元型触媒の製造方法は、上記本発明のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液を焼成して複合粒子からなるNOx吸蔵還元型触媒を得ることを特徴とする方法である。
なお、本発明の複合粒子前駆体水溶液及び複合粒子の製造方法によって、上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の複合粒子前駆体水溶液においては、前記第1及び第2の化合物とともに、多座配位子を有する第3の化合物と、白金、ロジウム、パラジウム、金、銀、銅、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第4の化合物と、アンモニアとが含有されている。そのため、前記水溶液においては、前記第1の化合物と前記第2の化合物と前記第4の化合物とが前記多座配位子を介して互いに相互作用し、近接した状態で保持される。従って、このような水溶液中においては、前記第1の化合物に由来するアルカリ成分と、前記第4の化合物に由来するNOx還元成分(酸化還元成分)とが近接した状態で保持される。また、本発明の複合粒子前駆体水溶液においては、アンモニアが含有されていることから、前記第1の化合物と前記第2の化合物と前記第4の化合物と前記多座配位子とが含有されている水溶液に沈殿が生じることなく、前記第1の化合物と前記第2の化合物と前記第4の化合物とが高濃度で且つ安定した状態で保持される。また、本発明の複合粒子前駆体水溶液を焼成すると、配位子として存在する嵩高い多座配位子が酸化分解され、各成分が十分に微細化された状態で複合化される。さらに、このようにして得られた複合粒子においては、第1の化合物に由来するバリウム等の塩基性成分と、第4の化合物に由来するパラジウム等のNOx酸化還元成分とが、セリウム酸化物やチタン酸化物を介して近接化された状態で存在するため、NOx吸蔵還元に必要な酸化−吸蔵−還元のサイクルを高効率で進行させることができ、十分に高いNOx浄化能を発揮できるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、水溶液中に複合粒子の前駆体である金属元素を高濃度で且つ安定した状態で含有させることができ、十分に高いNOx浄化能を有し且つ十分に微細化された複合粒子を効率よく製造することを可能とする複合粒子前駆体水溶液及びそれを用いた複合粒子の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の複合粒子前駆体水溶液について説明する。すなわち、本発明の複合粒子前駆体水溶液は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第1の化合物と、
チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第2の化合物と、
多座配位子を有する第3の化合物と、
白金、ロジウム、パラジウム、金、銀、銅、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第4の化合物と、
アンモニアと、
を含むことを特徴とするものである。
第1の化合物が含有するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。また、第1の化合物が含有するアルカリ土類金属としてはバリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられる。また、第1の化合物としては、アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられる。このような第1の化合物としては、高い塩基性を有し、酸化物を形成させた際に十分に高いNOx吸蔵能を発揮できるという観点から、バリウムを含有する化合物(硝酸バリウム、酢酸バリウム等)を用いることが好ましい。なお、このような第1の化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、第2の化合物が含有する希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム等が挙げられる。また、第2の化合物としては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び希土類金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられる。このような第2の化合物としては、酸化物を形成させた際に比較的高比表面積を有するという観点から、チタン、アルミニウム、セリウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物が好ましい。
また、第2の化合物としては、第1の化合物と第4の化合物とを分散性よく複合化させるという観点からは、セリウムを含有する化合物(酢酸セリウム、硝酸セリウム等)がより好ましく、酢酸セリウムが更に好ましい。
さらに、第2の化合物としては、第1の化合物と第4の化合物とを分散性よく複合化させるという観点からは、チタンを含有する化合物(酢酸チタン、硝酸チタン等)がより好ましい。なお、このような第2の化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
第3の化合物が有する多座配位子とは、2個以上の配位基で配位し得るものをいう。このような第3の化合物としては、クエン酸、シュウ酸等の多価カルボン酸類、グリコール、ピナコール等のジオール類、エチレンジアミン等のジアミン類、アセト酢酸エチル等の2つのカルボニル基を有するエステル類等が挙げられる。このような第3の化合物としては、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、アコニット酸、グルタル酸、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、サリチル酸、メバロン酸、エチレンジアミン、アセト酢酸エチル、マロン酸エステル、グリコール及びピナコールが好ましく、中でも、ヒドロキシ基を併せ持つカルボン酸であるという観点から、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸がより好ましく、嵩高く、より微細化された複合粒子を製造できるという観点から、クエン酸が特に好ましい。なお、このような第3の化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、第4の化合物は、白金、ロジウム、パラジウム、金、銀、銅、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物である。このような第4の化合物としては、白金、ロジウム、パラジウム、金、銀、銅、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルの水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられる。このような第4の化合物としては、第2の化合物と溶液中にて複合化合物を形成し易く、焼成分解後に酸化還元性能を有するという観点から、パラジウムを含有する化合物(硝酸パラジウム、酢酸パラジウム等)が好ましく、酢酸パラジウムがより好ましい。なお、このような第4の化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明において、第1の化合物と、第2の化合物と、第3の化合物と、第4の化合物と、前記アンモニアとを含有させる溶媒は、水(好ましくはイオン交換水及び蒸留水等の純水)である。
また、本発明の複合粒子前駆体水溶液における第1の化合物の前記金属元素の含有量としては、0.05mol/L以上であることが好ましく、0.2mol/L〜2.0mol/Lであることがより好ましい。また、第2の化合物の前記金属元素の含有量としては、0.05mol/L以上であることが好ましく、0.2mol/L〜1.0mol/Lであることがより好ましい。このような第1及び第2の化合物の含有量が前記下限未満では、第1及び第2の化合物の濃度が低すぎて製造効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第1及び第2の化合物の濃度が高くなりすぎて焼成した際に均一に反応が起こらず、複合粒子を均一に製造できなくなる傾向にある。
さらに、第2の化合物の金属元素の含有量としては、第1の化合物の金属元素の含有量に対してモル換算で0.2〜5倍となるようにすることが好ましい。このような割合で第1の化合物と第2の化合物とを含有させることで、得られる複合粒子に、より高度なNOx吸蔵能を発揮させることが可能となる。また、第2の化合物の金属元素の含有量が第1の化合物の金属元素の含有量に対してモル比で0.2倍未満では、第1の化合物の単独相が多くなって、得られる複合粒子の割合が低下し、効果が小さくなる傾向にあり、他方、5倍を超えると、第2の化合物の単独相が多くなり、同様に得られる複合粒子の割合が低下する傾向にある。
また、第3の化合物の含有量としては、0.15mol/L以上であることが好ましく、0.7mol/L〜2.0mol/Lであることがより好ましい。このような第3の化合物の含有量が前記下限未満では、第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物に対する多座配位子の含有量が少なくなるため、水溶液中において、第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物を近接した状態で保持することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物の濃度が低下することで担持効率が低下する傾向にある。
また、このような第3の化合物の含有量としては、前記第2の化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍以上(より好ましくは2.5〜10倍)であることが好ましい。第3の化合物の含有量が前記第2の化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍未満であると、水溶液中において第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物の錯体の形成が困難となり、第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物を近接した状態で保持することが困難となり、複合粒子の製造が困難となる傾向にある。
また、第4の化合物の前記金属元素の含有量としては、0.001mol/L〜0.5mol/Lであることがより好ましく、0.05mol/L〜0.1mol/Lであることがより好ましい。このような第4の化合物の前記金属元素の含有量が前記下限未満では、複合粒子を製造した際に、得られる複合粒子のNOの酸化性能やNOx還元性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、複合粒子の形成が困難となったり、コストが上昇する傾向にある。
さらに、第4の化合物の金属元素の含有量としては、第1の化合物の金属元素の含有量に対してモル換算で0.001〜0.5倍(より好ましくは0.005〜0.2倍)となるようにすることが好ましい。このような割合で第1の化合物と第4の化合物とを含有させることで、得られる複合粒子に、より高度なNOx浄化性能を発揮させることが可能となる。また、第4の化合物の金属元素の含有量が第1の化合物の金属元素の含有量に対してモル比で0.001倍未満では、第4の化合物の割合が低くなり、得られる複合体粒子のNOx還元性能が低下する傾向にあり、他方、0.5倍を超えると、複合粒子の形成が困難となったり、コストが上昇する傾向にある。
また、前記アンモニアの含有量としては、0.4mol/L以上であることが好ましく、2.0mol/L〜10mol/Lであることが更に好ましい。このようなアンモニアの含有量が前記下限未満では、得られる水溶液に沈殿が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第1の化合物及び第2の化合物の濃度が低下することで担持効率が低下する傾向にある。
さらに、前記アンモニアの含有量としては、前記第3の化合物の含有量に対してモル換算で2倍以上(より好ましくは2.8〜5倍)であることが好ましい。アンモニアの含有量が前記第3の化合物の含有量に対してモル換算で2倍未満では、第1の化合物、第2の化合物及び第4の化合物を安定した状態で含有させることが困難となり、沈殿が生じ易くなる傾向にある。
また、本発明の複合粒子前駆体水溶液を製造するための方法としては、第1の化合物と、第2の化合物と、第3の化合物と、第4の化合物と、アンモニアとを水に溶解させることが可能な方法であればよく、特に制限されない。このような本発明の複合粒子前駆体水溶液を製造するための好適な方法としては、例えば、第3の化合物を水に溶解させた後に第2の化合物を添加して沈殿物を生じせしめ、その後、アンモニアを添加して、前記沈殿物を再度溶解させた後、この溶液に、第1の化合物を更に加えて撹拌し、沈殿物を生じせしめた後に再度溶解させ、更に、第4の化合物の粉末を添加し撹拌して溶解させて複合粒子前駆体水溶液を製造する方法が挙げられる。
以上、本発明の複合粒子前駆体水溶液について説明したが、以下において、本発明の複合粒子の製造方法について説明する。
本発明の複合粒子の製造方法は、上記本発明の複合粒子前駆体水溶液を焼成して複合粒子を製造する方法である。
このような焼成の条件は、特に制限されないが、例えば、大気中において、300℃〜600℃の温度範囲で加熱することが好ましく、300℃〜500℃の温度条件で加熱することがより好ましい。また、加熱時間としては、加熱温度によって異なるものであるため一概には言えないが、1〜3時間程度とすることができる。
このような焼成条件で上記本発明の複合粒子前駆体水溶液を焼成することで複合粒子を製造することができる。そして、複合粒子の製造に用いられる上記本発明の複合粒子前駆体水溶液においては、前記第1の化合物と前記第2の化合物と前記第4の化合物とが近接した状態で保持されているため、焼成して得られる複合粒子は十分に微細化されたものとなるとともに、NOxの吸蔵サイトと、NOの酸化及びNOxの還元を行う酸化還元サイトとが近接した状態となる。そのため、得られる複合粒子においては、十分に高いNOx吸蔵性能とNOx還元性能とを発揮でき、これにNOxを接触させることによって十分な量のNOxを効率よく吸蔵還元することができる。従って、このようにして得られる複合粒子は排ガス浄化触媒の材料として好適に用いることができる。例えば、前記複合粒子をバリウムとセリウムとパラジウムとの複合粒子とした場合においては、前記複合粒子を自動車等の排ガスと接触させた場合に、空燃比リーン状態において排ガス中のNOをパラジウムが酸化するとともに排ガス中のNOxをバリウムがBa(NO32として吸蔵し、空燃比リッチ状態においてパラジウムによりNOxを還元して排ガスを効率よく浄化できる。また、このような複合粒子は、硫黄被毒耐久性にも優れている。従って、自動車等の排ガスのような酸化硫黄を含有するガスを浄化するために前記複合粒子を用いた場合には、硫黄被毒回復性に優れ、長期にわたって十分に高いNOx還元性能を発揮することができる。なお、このような複合粒子の形状は特に制限されず、粉末状、ペレット状等の形状としてもよい。また、上記本発明の複合粒子前駆体水溶液を担体に担持させた後、焼成して、複合粒子を担体に担持させてもよい。この場合においては、担体上において前記複合粒子が十分に微細化され、前記複合粒子が担体に十分に分散された状態で担持される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[複合粒子前駆体水溶液の調製]
(合成例1)
先ず、クエン酸1.5molをイオン交換水450mLに溶解させ、得られた溶液を75℃に加熱した。次に、前記溶液にチタンイソプロポキシド0.3molを加えて溶解させた後、室温まで冷却し、チタンクエン酸錯体水溶液(0.64mol/L)を調製した。その後、前記チタンクエン酸錯体水溶液55mLに28質量%NH水溶液を30mL加え、更に2.14mol/L酢酸バリウム水溶液16mLを加えた後、攪拌し、バリウム(Ba)とチタン(Ti)を含有するBaTi水溶液を調製した。
(合成例2)
先ず、クエン酸0.9molをイオン交換水165mLに溶解させ、得られた溶液を80℃に加熱した。次に、前記溶液に酢酸セリウム0.3molを加え、攪拌し、沈殿を生成させた後、28質量%NH水溶液を170mL滴下し、沈殿を再溶解させ、室温まで冷却してセリウムクエン酸錯体水溶液(0.57mol/L)を調製した。次いで、前記セリウムクエン酸錯体水溶液54mLに2.16mol/L酢酸バリウム水溶液16mLを加え、攪拌し、沈殿を生成した後、再溶解させて、バリウムとセリウム(Ce)を含有するBaCe水溶液を調製した。
(実施例1)
合成例1で得られたBaTi水溶液10.1mLに酢酸パラジウム粉末0.19gを添加し、攪拌して溶解させて、バリウムとチタンとパラジウム(Pd)とを含有する複合粒子前駆体水溶液を調製した。
(実施例2)
合成例2で得られたBaCe水溶液7.8mLに酢酸パラジウム粉末0.19gを添加し、攪拌して溶解させて、バリウムとセリウムとパラジウムとを含有する複合粒子前駆体水溶液を調製した。
(実施例3)
合成例1で得られたBaTi水溶液10.1mLに酢酸ロジウム粉末0.19gを添加し、攪拌して溶解させて、バリウムとチタンとパラジウムとを含有する複合粒子前駆体水溶液を調製した。
(実施例4)
合成例1で得られたBaTi水溶液10.1mLに酢酸銀粉末0.19gを添加し、攪拌して溶解させて、バリウムとチタンと銀とを含有する複合粒子前駆体水溶液を調製した。
(比較例1)
先ず、クエン酸1.5molをイオン交換水450mLに溶解させ、得られた溶液を75℃に加熱した。次に、前記溶液にチタンイソプロポキシド0.3molを加え、溶解させた後、室温まで冷却し、チタンクエン酸錯体水溶液(0.64mol/L)を調製した。次いで、前記チタンクエン酸錯体水溶液55mLに2.14mol/L酢酸バリウム水溶液16mLと、酢酸パラジウム粉末0.19gとを添加し、攪拌してバリウムとチタンとパラジウムとを含有する水溶液の調製を試みた。しかしながら、前記チタンクエン酸錯体水溶液に酢酸パラジウムが溶解せず、また、約5時間後には沈殿が生成され、バリウムとチタンとパラジウムとを含有する複合粒子製造用の水溶液を得ることができなかった。
(比較例2)
クエン酸0.9molをイオン交換水165mLに溶解させ、得られた溶液を80℃に加熱した。次に、前記溶液に酢酸セリウム0.3molを加え、攪拌すると沈殿生成した。次いで、前記溶液54mLに2.16mol/L酢酸バリウム水溶液16mL、酢酸パラジウム粉末0.19gを添加し、攪拌してバリウムとセリウムとパラジウムとを含有する複合粒子製造用の水溶液の調製を試みたが、溶解せず、複合粒子製造用の水溶液を得ることはできなかった。
(比較例3)
16質量%四塩化チタン水溶液41gと、2.16mol/L酢酸バリウム水溶液16mLと、酢酸パラジウム粉末0.19gとを攪拌し、バリウムとチタンとパラジウムとを含有する複合粒子製造用の水溶液の調製を試みたが、溶解せず、複合粒子製造用の水溶液を得ることはできなかった。また、このような混合液に28質量%NH水を添加しても、複合粒子製造用の水溶液を得ることはできなかった。
(比較例4)
酢酸セリウム(和光純薬工業)0.3molをイオン交換水303mLに溶解させ、この溶液に2.14mol/L酢酸バリウム水溶液139mLを加えた溶液を得た。その後、前記溶液に28質量%NH水100mLを加えたところ、沈殿が生成してしまい、複合粒子製造用の水溶液を得ることはできなかった。
[複合粒子が担持された触媒の調製]
(調製例1:触媒担体の製造)
直径30mm×長さ50mmLの六角セルコージェライトモノリス基材に、アルミナ100g、チタニア−ジルコニア複合酸化物100g及びロジウム0.5gを担持したジルコニア50gと、セリア−ジルコニア複合酸化物20gとを含む担体を、前記モノリス基材1Lあたりの担持量が270g/Lとなるようにしてコートし、触媒担体を調製した。
(調製例2:触媒担体の製造)
直径30mm×長さ50mmLの六角セルコージェライトモノリス基材に、アルミナを、前記モノリス基材1Lあたりの担持量が200g/Lとなるようにしてコートし、触媒担体を調製した。
(実施例5)
調製例1で得られた触媒担体にジニトロジアンミンPt硝酸溶液を、担体1LあたりのPtの担持量が1.5g/Lとなるようにして吸着担持させた後、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成して、Pt担持触媒を調製した。
次いで、前記Pt担持触媒に対して、実施例1で得られた複合粒子前駆体水溶液を、触媒1Lあたり各金属元素の担持量がそれぞれBa:0.2mol/L、Ti:0.2mol/L、Pd:0.5g/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成することにより、前記Pt担持触媒上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例6)
実施例1で得られた複合粒子前駆体水溶液に代えて実施例2で得られた複合粒子前駆体水溶液を用いた以外は実施例5と同様にして、Pt担持触媒上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例7)
調製例1で得られた触媒担体に代えて調製例2で得られた触媒担体を用いた以外は実施例5と同様にして、Pt担持触媒上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(比較例5)
調製例1で得られた触媒担体に、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液及び硝酸パラジウム溶液を用いて、前記触媒担体1LあたりのPtとPdの担持量がそれぞれPt1.5g/L、Pd0.5g/LとなるようにしてPtとPdとを選択吸着担持した後、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成し、PtPd担持触媒を調製した。
次に、PtPd担持触媒に2.14mol/L酢酸バリウム水溶液を、触媒1LあたりのBaの担持量が0.2mol/Lとなるようにして吸水含浸させることにより担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成し、比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(比較例6)
実施例1で得られた複合粒子前駆体水溶液に代えて合成例1で得られたBaTi水溶液を用い、更にPtの担持量を触媒1Lあたり2g/Lとした以外は実施例5と同様にして、比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(比較例7)
実施例2で得られた複合粒子前駆体水溶液に代えて合成例2で得られたBaCe水溶液を用い、更にPtの担持量を触媒1Lあたり2g/Lとした以外は実施例6と同様にして、比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(比較例8)
調製例1で得られた触媒担体に代えて調製例2で得られた触媒担体を用いた以外は比較例5と同様にして、比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例8)
調製例2で得られた触媒担体に、実施例1で得られた複合粒子前駆体水溶液を、担体1Lあたりの各金属元素の担持量がそれぞれBa:0.2mol/L、Ti:0.2mol/L、Pd:0.5g/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成することにより、担体上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例9)
調製例2で得られた触媒担体に、実施例2で得られた複合粒子前駆体水溶液を、担体1Lあたりの各金属元素の担持量がそれぞれBa:0.2mol/L、Ce:0.2mol/L、Pd:0.5g/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成することにより、担体上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(比較例9)
先ず、調製例2で得られた触媒担体に、硝酸パラジウム溶液を用いて、担体1LあたりのPdの担持量が0.5g/LとなるようにしてPdを選択吸着担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成して、Pd担持触媒を調製した。次いで、Pd担持触媒に2.14mol/L酢酸バリウム水溶液を、触媒1LあたりBaの担持量が0.2mol/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成することにより、比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例10)
調製例1で得られた触媒担体に、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液を用いて、触媒1LあたりのPtの担持量が1.5g/LとなるようにしてPtを選択吸着担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成し、Pt担持触媒を調製した。
次に、前記Pt担持触媒に、実施例3で得られた複合粒子前駆体水溶液を、触媒1Lあたりの各金属元素の担持量がそれぞれBa:0.2mol/L、Ti:0.2mol/L、Rh:0.5g/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃で3時間、焼成することにより、前記Pt担持触媒上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
(実施例11)
調製例1で得られた触媒担体に、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液を用いて、担体1LあたりのPtの担持量が1.5g/LとなるようにしてPtを選択吸着担持し、大気中、300℃の温度条件で3時間焼成し、Pt担持触媒を調製した。
次に、前記Pt担持触媒に、実施例4で得られた複合粒子前駆体水溶液を、触媒1Lあたりの各金属元素の担持量がそれぞれBa:0.2mol/L、Ti:0.2mol/L、Ag:10g/Lとなるようにして吸水含浸させて担持し、大気中、300℃で3時間、焼成することにより、前記Pt担持触媒上に複合粒子を製造し、NOx吸蔵還元型触媒を調製した。
なお、実施例5〜11及び比較例5〜9で得られたNOx吸蔵還元型触媒の構成及びNOx還元成分の添加方法をまとめて表1に示す。
<NOx吸蔵還元型触媒の性能の評価>
[耐久試験]
実施例5〜6及び8〜11で得られたNOx吸蔵還元型触媒並びに比較例5〜9で得られた比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を用い、各触媒に対して、それぞれ750℃の温度条件下において、表2に示す組成のリーンガス及びリッチガスをリーン/リッチ=110秒/10秒の間隔で変動させながら5時間流通させた。
[NOx浄化試験]
耐久試験後の実施例5〜6及び8〜11で得られたNOx吸蔵還元型触媒並びに比較例5〜9で得られた比較のためのNOx吸蔵還元型触媒を用い、各触媒に対して、400℃の温度条件下において、表3に示す組成のリッチガス及びリーンガスをリーン/リッチ=120秒/3秒の間隔で変動させながら流通させ、NOx浄化率を測定した。なお、空間速度(SV)はすべて51400h−1とした。
このようなNOx浄化試験の結果を表4及び表5に示す。なお、表4にはPtを担持したNOx吸蔵還元型触媒(実施例5、6、10、11及び比較例5、6、7)を用いた場合のNOx浄化率を示し、表5にはPtを担持していないNOx吸蔵還元型触媒(実施例8、9及び比較例9)を用いた場合のNOx浄化率を示す。
表4に示す結果からも明らかなように、実施例5〜6及び比較例5〜6で得られたNOx吸蔵還元型触媒を比較すると、同量のPdを担持しているにもかかわらず、実施例5〜6で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、NOx浄化性能が向上することが確認された。このような結果から、本発明の複合粒子前駆体水溶液(実施例1又は2)を用いた場合には、予め担持させるPtの量を減少させることができることが確認され、PtからPdへの置き換えによりコストを削減できることが分かった。また、同量のPtとPdとが担持された実施例5及び比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒を比較すると、本発明の複合粒子前駆体水溶液(実施例1)を用いてPdを複合担持させた実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒に優位性が認められた。
さらに、表4に示す結果からも明らかなように、実施例10〜11及び比較例5〜6で得られたNOx吸蔵還元型触媒を比較すると、本発明の複合粒子前駆体水溶液(実施例3又は4)を用いて、Pd以外の成分であるRhやAgを複合粒子として担持した実施例10〜11で得られたNOx吸蔵還元型触媒の方が高いNOx浄化性能を示すことが確認された。
また、表5に示す結果からも明らかなように、実施例8〜9及び比較例9で得られたNOx吸蔵還元型触媒を比較すると、本発明の複合粒子前駆体水溶液(実施例1又は2)を用いてPdを複合粒子として担持したNOx吸蔵還元型触媒(実施例8〜9)の方が、高いNOx浄化性能を示すことが確認され、触媒中にPtを含まない場合においてもNOx浄化性能を発揮できることが確認された。
このような結果から、本発明の複合粒子前駆体水溶液を用いてPd等の酸化還元成分(NOx還元成分)を複合担持した場合には、酸化還元成分がNOx吸蔵成分に近接した状態で微細化されて担持されるため、十分に高いNOx浄化性能を示すものと推察される。
[EPMA観察]
耐久試験後の実施例5及び比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層断面におけるPdとBaの分布状態を、X線マイクロアナライザ(EPMA)により調べた。得られた結果を図1〜4に示す。なお、図1は、実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のPdの分布状態を示す電子像であり、図2は、実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のBaの分布状態を示す電子像である。また、図3は、比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のPdの分布状態を示す電子像であり、図4は、比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のBaの分布状態を示す電子像である。
図1〜4に示す結果からも明らかなように、実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、コート層の全体にPdとBaが均一に分布しているのに対して、比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、コート層中にPdとBaが均一に分布していないことが確認された。このような結果から、実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、PdとBaとがより近接化した状態で担持されていることが確認された。
[XRD解析]
初期状態の実施例7及び比較例8で得られたNOx吸蔵還元型触媒中のコート層を掻きとって粉末を得た。その後、前記粉末に対してXRD解析することにより、各触媒に担持されたBa化合物の結晶構造を調査した。実施例7及び比較例8で得られたNOx吸蔵還元型触媒から掻きとった粉末のXRDパターンを図5に示す。
図5に示す結果からも明らかなように、比較例8で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、約30nmのBaCOに帰属される回折線が確認され、平均粒径が約30nmであると算出された。一方、実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、BaCOやBaTiOなどBa由来の化合物の回折線は確認されず、Ba化合物が微細な状態で存在することが確認された。
[透過電子顕微鏡(TEM)による測定]
初期状態の実施例7で得られたNOx吸蔵還元型触媒から掻きとった前記粉末を透過電子顕微鏡(TEM)により測定し、Ba、Ti、Pdの分散状態を調べた。得られた測定結果のうち、TEM写真を図6に示し、図6に示すTEM写真中の○で囲った部分のEDX元素分析結果を示すグラフを図7に示す。
図6又は図7に示す結果からも明らかなように、実施例7で得られたNOx吸蔵還元型触媒においては、アルミナ表面上にBa、Ti、Pdが30nm以内の範囲に共存分布していることが確認された。
このような図1〜7に示す結果からも明らかなように、本発明の複合粒子前駆体水溶液を用いることで、30nm以下の微細な状態で複合NOx吸蔵成分とPd等の酸化還元成分が近接化して担持されることが確認され、本発明の複合粒子前駆体水溶液によりNOx浄化性能が十分に高い触媒を効率よく製造できることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、水溶液中に複合粒子の前駆体である金属元素を高濃度で且つ安定した状態で含有させることができ、十分に高いNOx浄化能を有し且つ十分に微細化された複合粒子を効率よく製造することが可能な複合粒子前駆体水溶液及びそれを用いた複合粒子の製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の複合粒子前駆体水溶液は、自動所用のNOx吸蔵型還元触媒を製造する際に用いる材料等として特に有用である。
実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のPdの分布状態を示す電子像である。 実施例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のBaの分布状態を示す電子像である。 比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のPdの分布状態を示す電子像である。 比較例5で得られたNOx吸蔵還元型触媒のコート層中のBaの分布状態を示す電子像である。 実施例7及び比較例8で得られたNOx吸蔵還元型触媒から掻きとった粉末のXRDパターンである。 初期状態の実施例7で得られたNOx吸蔵還元型触媒から掻きとった前記粉末の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 図6に示すTEM写真中の○で囲った部分のEDX元素分析結果を示すグラフである。

Claims (13)

  1. アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第1の化合物と、
    チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第2の化合物と、
    多座配位子を有する第3の化合物と、
    ジウム、パラジウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する第4の化合物と、
    アンモニアと、
    を含むことを特徴とする、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  2. 前記第1の化合物が、バリウムを含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  3. 前記第2の化合物が、チタン、アルミニウム、セリウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  4. 前記第2の化合物が、セリウムを含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  5. 前記第2の化合物が、チタンを含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  6. 前記第3の化合物が、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、アコニット酸、グルタル酸、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、サリチル酸、メバロン酸、エチレンジアミン、アセト酢酸エチル、マロン酸エステル、グリコール及びピナコールからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  7. 前記第3の化合物が、クエン酸であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  8. 前記第4の化合物が、パラジウムを含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  9. 前記第3の化合物の含有量が、前記第2の化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍以上であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  10. 前記第4の化合物の含有量が、0.001〜0.5mol/Lであることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  11. 前記アンモニアの含有量が、前記第3の化合物の含有量に対してモル換算で2倍以上であることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  12. 前記アンモニアの含有量が、0.4mol/L以上であることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の、NOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液。
  13. 請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載のNOx吸蔵還元型触媒を製造するための複合粒子前駆体水溶液を焼成して複合粒子からなるNOx吸蔵還元型触媒を得ることを特徴とするNOx吸蔵還元型触媒の製造方法。
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