JP5286526B2 - 排ガス浄化触媒及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、排ガス中に含まれるNO等のガス浄化に好適な排ガス浄化触媒及びその製造方法に関する。
従来より、自動車等の内燃機関の排ガスに含まれる窒素酸化物(NO)を浄化するための排ガス浄化触媒として様々な触媒が提案されている。このような排ガス浄化触媒としては、コージェライトや金属等の各種基材にアルミナ、ジルコニア、セリア等の金属酸化物と白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の貴金属とを担持したもの等が、一般に使用されている。
近年では、浄化触媒の構造として、これらの金属成分を単一の層中に存在させた単一層構造のみならず、2層以上の層構造を有する浄化触媒が提案されており、特にPtとRhは共存下で固溶体化して触媒活性が低下しNO浄化能が著しく下がることから、PtとRhを異なる層に含ませた上下2層の触媒コート層を有する触媒が提案されている。そして、リーン雰囲気下では、基材に近い下側の触媒コート層にRh、上側の触媒コート層にPtを含有した構成が望ましいとされている。
排ガス浄化用の単一層構造の触媒の例としては、アルミナや希土類金属酸化物等の金属酸化物を含み、金属酸化物が分散されている排ガス浄化触媒などが提案されてきている。
また、排ガス浄化触媒の材料としては、NOの吸蔵及び/又は還元が可能な酸化物複合体も知られている。このような酸化物複合体としては、例えばバリウムとセリウムの酸化物複合体があり、単一層構造の触媒として、例えば、バリウムとセリウムとを担持した担体を含むNO吸蔵還元型触媒が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、Pt担持触媒に酸化物複合体を担持させた単一層構造の排ガス浄化用触媒に関する開示がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−21878号公報 特開2008−137886号公報
しかしながら、上記したバリウムとセリウムとを担持した担体を含む触媒では、バリウムの劣化は抑制できるがNO吸蔵に必要な貴金属の性能が低いためNO浄化性能としては不充分であり、また、バリウムとセリウムの酸化物複合体を担体に微細な状態で担持させることはできない。また、Pt担持触媒に酸化物複合体が担持された排ガス浄化用触媒は、リーン雰囲気下において高いNO吸蔵性能を示すものの、リッチ雰囲気下におけるNO還元性能の点を含めると、必ずしも充分な浄化性能は得られない。
また、近年の環境負荷軽減への対応から、リーンバーンエンジンのみならず、ディーゼルエンジンや、走行時エンジン停止によりリーン環境に曝されやすいハイブリッド車における更なる浄化能力の向上が望まれている。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、従来より2層構造等の多層型触媒の欠点であった、特に硫黄被毒を最も受ける最表層の硫黄脱離性が良好であると共に、リーン/リッチ変動雰囲気下で安定したNO浄化性能を有する排ガス浄化触媒及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、リーン/リッチ変動雰囲気でのNO浄化のために触媒層として基材側からロジウム含有の下層と白金含有の上層とを重層した層構造にしたときに、排ガスと接しやすい少なくとも上層側に特定範囲の2種類以上の金属酸化物を(好ましくは小粒子にして均一状に)分散して存在させると、従来から例えば2層コート型の浄化触媒の欠点とされていた硫黄脱離能の改善効果が高まり、貴金属活性を安定的に高く維持できることに加え、リーン雰囲気でNO吸蔵能を高く維持できる、さらに触媒層の総厚に占める下層の厚みの比率が拡がって浄化能の安定確保に寄与するとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記目的を達成するために、第1の発明である排ガス浄化触媒は、基材上に該基材側から順に、ロジウム(Rh)を含む第1触媒層と、白金(Pt)を含む第2触媒層とを有し、少なくとも前記第2触媒層が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含有する第1金属酸化物の少なくとも1種と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含有する第2金属酸化物の少なくとも1種とを担体に担持して含み、前記担体に担持された金属酸化物の粒子サイズが平均粒子径で30nm以下である構成としたものである。
第1の発明においては、基材側の下層にRhを、その上層にPtを配し、その少なくとも上層側にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の金属酸化物と希土類金属の金属酸化物とを(好ましくは小粒径にして均一状に分散して)含有することで、排ガス中の硫黄がバリウム(Ba)等と反応したときの粗大な硫酸塩の形成を抑え、形成された硫酸塩の分解が容易になるので、従来から2層コート型などの多層構造の浄化触媒の欠点とされていた硫黄脱離能が大幅に向上し、貴金属活性を安定的に高く維持でき、ひいてはリーン雰囲気でNO吸蔵性能を安定的に保持することが可能になる。加えて、高温域を含めたNO浄化能が向上するので、下層の厚みが触媒層の総厚に占める割合のうち、NO浄化能を高く維持できる下層の厚みの許容幅が拡大し、Rhを含む触媒層の厚みの影響で生じる浄化性能のバラツキが軽減される。
第1の発明においては、第2触媒層中に担持されている金属酸化物の粒子を、平均粒子径で30nm以下の粒子サイズで含有する。粒子サイズが30nm以下の小粒径で層中に(好ましくは均一状に)分散して存在していると、排ガス中の硫黄との反応で生成される硫黄塩の粗大化をより緩和して分解しやすくし、貴金属の耐久劣化で粒成長した際の粗大化も回避できる。更には、この粒子サイズは、同様の理由から、0.5〜10nmであることが望ましい。
第1の発明である排ガス浄化触媒は、少なくとも第2触媒層における担体の表面上の10nm角の20点以上の測定点におけるTEM−EDX分析から求められる第1金属元素の強度比(第1金属元素のピーク面積)と前記第2金属元素の強度比(第2金属元素のピーク面積)との和に対する前記第1金属元素の強度比〔[第1金属元素のピーク面積]/[第1金属元素のピーク面積及び第2金属元素のピーク面積の和]〕の分布の標準偏差が10%以下であることが好ましい。
第1の発明においては、前記標準偏差が10%以下であるので、第1金属元素と第2金属元素とが均一に混合・分散された状態で担持されており、リーン雰囲気で高いNO吸蔵性能を示すことが可能となる。
また、第1の発明の排ガス浄化触媒の第2触媒層は、更に、パラジウムを含むことが好ましい。Pdを更に含むことにより、より高い触媒活性が得られる。
第1の発明の排ガス浄化触媒を構成する基材としては、モノリス基材を好適に用いることができる。
第2の発明である排ガス浄化触媒の製造方法は、ロジウムを含むスラリーを基材上に付与し、焼成して第1触媒層を形成する第1触媒層形成工程と、前記第1触媒層上に、白金を含む白金含有層を形成する白金含有層形成工程と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含む第1金属化合物と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含む第2金属化合物と、多座配位子を有する化合物と、アンモニアとを混合し、前記第1金属元素及び前記第2金属元素を含む酸化物担持用水溶液を調製する溶液調製工程と、調製された前記酸化物担持用水溶液を少なくとも前記白金含有層に接触させた後、焼成し、少なくとも前記白金含有層に第1金属元素を含む第1金属酸化物と第2金属元素を含む第2金属酸化物とを担持することにより、白金を含む第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、を設けて構成したものである。
第2の発明においては、基材上の下層にRhを、その上層にPtを配した少なくとも2層を含む重層構造を形成した後に、その少なくともPtを含む第2触媒層を酸化物担持用水溶液に含浸させる等により接触させ、層に全体的に酸化物複合体前駆体を付着させた状態を形成して焼成を行なうようにすることで、従来のように予め酸化物を作ってから担持するのではなく、金属成分を担持させてから吸蔵サイトとなる金属酸化物を形成するので、第1金属元素と第2金属元素を含む複数種の金属元素の酸化物粒子(酸化物複合体を含む。)を、小粒径としつつ第1金属元素と第2金属元素とを均一状に混合して層中に均一状の分散状態になるように担持させることができる。これより、従来から2層コート型などの多層構造の浄化触媒の欠点とされていた、Rhを主に含まない第2触媒層での硫黄脱離性能が大幅に向上し、貴金属活性を安定的に高く維持でき、ひいてはリーン雰囲気での高いNO吸蔵性能とリッチ雰囲気での高いNO還元性能とを両立することが可能な排ガス浄化触媒が得られる。加えて、得られた排ガス浄化触媒は、高温域を含めたNO浄化能に優れるので、Rhを主に含む下側の第1触媒層の厚みが触媒層の総厚に占める割合のうち、NO浄化能を高く維持できる厚みの許容幅が拡くなり、Rhを主に含む触媒層の厚みの影響で生じる浄化性能の変動が軽減される。
第2の発明においては、多座配位子を有する化合物として、カルボキシル基を有するものが、嵩高くより微細な酸化物粒子(酸化物複合体を含む。)が得られる点から、カルボン酸を好適に用いることができる。
また、第1金属化合物は第1金属元素の塩が好ましく、第2金属化合物は第2金属元素の塩が好ましい。これら塩は、塩基性を示し、酸化物を形成した際に高いNO吸蔵能を得ることができる。
第2の発明における白金含有層形成工程においては、金属元素の酸化物を含むスラリーを第1触媒層の上に付与し上層として金属酸化物層を設け、少なくともこの金属酸化物層を白金含有溶液に接触させた後、焼成することにより、白金含有層を形成し、その後の第2触媒層形成工程では、第1金属酸化物及び第2金属酸化物を前記金属元素の酸化物に担持することができる。これより、Ptを均一に担持することができ、NO吸蔵能が向上する。
本発明によれば、従来より2層構造等の多層型触媒の欠点であった、特に硫黄被毒を最も受ける最表層の硫黄脱離性が良好であると共に、リーン/リッチ変動雰囲気下で安定したNO浄化性能を有する排ガス浄化触媒及びその製造方法を提供することができる。
第1金属酸化物及び第2金属酸化物が担体に担持された本発明の排ガス浄化触媒の担持構造を概念的に示す概念図である。 2層構造に構成された本発明の排ガス浄化触媒の断面構造を示す概略図である。 硫黄脱離試験時の硫黄脱離量を示すグラフである。 硫黄脱離試験後の各排ガス浄化触媒の300℃でのNO浄化率を示すグラフである。 硫黄脱離試験後の各排ガス浄化触媒の500℃でのNO浄化率を示すグラフである。 硫黄脱離試験後の各排ガス浄化触媒の400℃でのNO浄化率と下側コート比率との関係を従来の排ガス浄化触媒と対比して示すグラフである。 実施例5及び比較例4〜5の排ガス浄化触媒のXRD分析の結果を示すグラフである。 耐久試験を行なった実施例5の排ガス浄化触媒におけるBa,Ceの分散状態を示すTEM写真である。
以下、本発明の排ガス浄化触媒及びその製造方法について詳細に説明する。
第1の発明である排ガス浄化触媒は、基材上に該基材側から順に、ロジウムを含む第1触媒層と、白金を含む第2触媒層とを少なくとも有し、少なくとも前記第2触媒層に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含有する第1金属酸化物の少なくとも1種と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含有する第2金属酸化物の少なくとも1種とを設けて構成されている。
−第1触媒層−
第1触媒層は、ロジウム(Rh)を少なくとも含む。また、第1触媒層は、更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含有する第1金属酸化物と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含有する第2金属酸化物とを含む構成とすることができ、必要に応じて、さらに他の金属成分等を用いて構成することができる。
Rhは、より細粒化された粒子の状態で含有されていることが好ましく、Rhが担体に担持されて含有されていることがより好ましい。Rhは、例えばRh担持ジルコニアなどのRh担持金属酸化物の粉末等の粒子を用いて含有されることができる。この場合、例えば、水等の媒体に二酸化ジルコニウム(ZrO)と硝酸ロジウム溶液とを混合して撹拌し、乾燥、焼成することにより例えば粉末状のRh担持ジルコニアを得ることができる。
粒子の状態で含まれるRhの粒子径としては、1〜20nmの範囲が好ましく、1〜10nmの範囲がより好ましい。該粒子径は、1nm以上であると、酸化物化により失活しにくく、20nm以下であると、担持されたRhの多くが反応を促進でき、触媒活性が良好になる。
Rhは、第1触媒層中の主な貴金属であり、高いNO浄化能を有しており、硫黄被毒したときの硫黄脱離性の付与にも寄与する。Rhの第1触媒層中における含有濃度としては、触媒活性を保持する点で、0.01〜10g/L(リットル;以下同様)の範囲が好ましく、0.05〜5g/Lの範囲がより好ましい。
また、第1触媒層は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(第1金属元素)の第1金属酸化物と、希土類金属(第2金属元素)の第2金属酸化物とを含むことができる。第1触媒層は、NO浄化能を高める観点からは、前記第1金属酸化物及び/又は前記第2金属酸化物を含んでいることが好ましい。
なお、第1金属元素及び第2金属元素及びこれらの酸化物等については後述する。
第1触媒層は、例えば、水等の媒体中にRhを含む粒子(Rh担持金属粒子など)と必要に応じてアルミニウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、又は希土類金属の酸化物(例えばセリア)などの他の成分を加え、撹拌等してスラリーを調製し、得られたスラリーを所望の基材上に塗布、浸漬等して層状に付与し、焼成することにより形成することができる。
第1触媒層の厚みとしては、15〜130μmが好ましく、70〜120μmがより好ましい。第1触媒層の厚みが前記範囲内であると、高いNO浄化性能を有するRhがコート層内に高分散して配置されているため、高い硫黄脱離性及びNO浄化性能を有する点で有利である。
−第2触媒層−
第2触媒層は、白金(Pt)と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含有する第1金属酸化物及び希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含有する第2金属酸化物とを含み、必要に応じて、他の金属成分等を用いて構成することができる。
Ptは、第2触媒層中の主な貴金属である。Ptの第2触媒層中における含有濃度としては、触媒活性が高く、リーン定常雰囲気下でのNO排出を抑制する点で、0.05〜10g/Lの範囲が好ましく、0.1〜5g/Lの範囲がより好ましい。
第2触媒層には、貴金属としてPtに加え、さらにパラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)などの他の貴金属を含んでもよく、より高い触媒活性を得る観点から、パラジウムが好ましい。
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、また、前記アルカリ土類金属としては、例えば、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられる。中でも、高い塩基性を有し、酸化物を形成した際に高いNO吸蔵性能を発揮できる観点から、カリウム、ルビジウム、セシウム、バリウムが好ましく、バリウムがより好ましい。
このような第1金属元素を含む第1金属酸化物の第1触媒層中における含有濃度としては、0.02〜2.0mol/Lの範囲が好ましく、0.1〜1.2mol/Lの範囲がより好ましい。第1金属酸化物の含有濃度は、0.02mol/L以上であると、NO吸蔵に充分な量の吸蔵材が確保でき、高いNO吸蔵性能を有する。また、2.0mol/L以下であると、担体の比表面積を低下させることがないため充分な吸蔵性能を確保できる。
前記希土類金属としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム等が挙げられる。中でも、酸化物を形成した際に、比較的高比表面積を有するという観点から、イットリウム、ランタン、セリウムが好ましく、セリウムがより好ましい。
第2金属元素を含む第2金属酸化物の第2触媒層中における含有濃度としては、0.02〜2.0mol/Lの範囲が好ましく、0.1〜1.2mol/Lの範囲がより好ましい。第2金属酸化物の含有濃度は、0.02mol/L以上であると、濃度が足りて製造効率が良好であり、金属酸化物を均一に形成できる。また、2.0mol/L以下であると、濃度が高くなりすぎずに焼成時に均一に反応が進行し、金属酸化物を均一に形成できる。
また、第1金属酸化物の第1金属元素と第2金属酸化物の第2金属元素との組み合わせ態様については、特に制限はなく、NO吸蔵性能の点から適宜選択すればよいが、NO吸蔵性能を高める観点からは、バリウム(Ba)とセリウム(Ce)との組み合わせが好ましい。
第1金属元素と第2金属元素は、それぞれが酸化物を形成して単独粒子として存在している形態、又は第1金属元素と第2金属元素とを含む例えばBa化合物とCeOの複合体などの酸化物複合体を形成して存在している形態であってもよい。
本発明における第1金属元素及び第2金属元素の酸化物粒子(酸化物複合体を含む。)は、高いNO浄化性能を保ったまま、硫黄脱離性能を発揮するためには、より微細化された粒子の状態でアルミナなどの多孔質酸化物材料の表層に均一にかつ高分散に担持されていることが好ましい。この点から、触媒層中に担持されている前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物、あるいは第1金属元素及び第2金属元素を含む酸化物複合体の粒子サイズとしては、平均粒子径で30nm以下であることが好ましい。更には、この平均粒子径としては、0.5〜10nmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5nmの範囲である。粒子サイズは、0.5nm以上であるとより均一性の高い酸化物が得られ、30nm以下、好ましくは10nm以下であると、NOやSOの吸蔵に有効な表面サイト数を多く確保することができる。
この粒子サイズは、X線回折(X-ray diffraction;XRD)や透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定される。
本発明においては、導入された全ての酸化物が微細化されて担持されている必要はなく、図1に示すように、第1金属元素(例:Ba)及び第2金属元素(例:Ce)の酸化物粒子を微細化してアルミナ等の担体表面に担持した構造とすることができる。
第2触媒層及び場合により第1触媒層に含まれる第1金属酸化物及び第2金属酸化物において、第2金属元素の量は第1金属元素の量に対してモル換算で0.2〜5倍であることが好ましい。この比率が前記範囲内であると、形成される酸化物粒子の割合が大きくなり、より高いNO吸蔵能が得られる。
第2触媒層は、あらかじめ形成した担体に第1金属酸化物及び第2金属酸化物あるいは第1金属元素及び第2金属元素を含む酸化物複合体を担持することが可能な方法により形成することができる。例えば、金属の酸化物と必要に応じて他の成分を混合し、撹拌等してスラリーを調製し、得られたスラリーを既述の第1触媒層の上に塗布、浸漬等して層状に付与して焼成し、担体をなす層を形成した後、第1金属酸化物及び第2金属酸化物あるいは第1金属元素及び第2金属元素を含む酸化物複合体を担持することにより形成することができる。中でも、後述する酸化物担持用水溶液を担体をなす層に含浸させて焼成する方法が好ましい。
第2触媒層は、塩基性の担体に、前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物が担持されている形態が好ましい。塩基性の担体は、酸化物粒子をより高度に分散した状態で担持することができる。このような塩基性の担体としては、アルミニウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、及び希土類金属からなる群から選択される1種又は2種以上の金属元素の酸化物を含有する担体など、特開2008−137886号公報の段落番号[0055]〜[0061]に記載の塩基性の担体を好ましいものとして挙げることができる。
これらの担体のうち、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(AlO)、チタニア(TiO)、セリア(CeO)及びこれらの複合酸化物を含有する担体が好ましく、更に好ましくは、チタニアとジルコニアの複合酸化物、ジルコニアとセリアの複合酸化物を含有する担体である。
担体の形状については、特に制限されないが、比表面積が向上し、より高い触媒活性が得られる点で、粉体状であるのが好ましい。担体が粉体状のものである場合、担体の粒度(二次粒子径)としては、特に制限はなく、1〜100μmであることが好ましい。前記二次粒子径は、1μm以上であると担体の微細化にかかるコストを抑え得ると共に、その扱いが容易であり、100μm以下であると基材上に安定に層形成することができる。
担体の比表面積としては、20m/g以上が好ましく、50〜300m/gがより好ましい。比表面積が20m/g以上であると、リーン雰囲気下で安定したNO浄化性能を発揮しうるのに妥当な量の第1金属酸化物及び第2金属酸化物を担持することができる。また、比表面積が300m/g以下であると、熱劣化による比表面積の低下を抑制することができる。
なお、比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出されるものである。
前記担体の作製は、公知の方法を適宜採用して行なうことができる。例えば、2種の金属元素を含有する担体を作製する場合、アルミニウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、及び希土類金属からなる群から選択される2種以上の金属元素の塩(例えば硝酸塩)を含有する水溶液を用い、アンモニアの存在下で前記金属元素の共沈殿物を生成させ、得られた共沈殿物を濾過、洗浄した後に乾燥し、更に焼成することによって金属元素の酸化物を含有する担体を得る方法が挙げられる。
第2触媒層の厚みとしては、50〜120μmが好ましく、15〜65μmがより好ましい。第1触媒層の厚みが前記範囲内であると、リーン雰囲気で高いNO浄化能を確保でき、また第2触媒層まで反応ガスが充分に拡散できるため、RhによるNOやHCの浄化性能やリッチ時の硫黄脱離性能を充分に確保できる点で有利である。
本発明の排ガス浄化触媒は、例えば図2に示すように、基材11上に第1触媒層12と第2触媒層13とを積層した2層構造に構成した場合、第1触媒層12の厚み及び第2触媒層13の厚みの合計厚みAに対する第1触媒層12の厚みBの割合(%;第1触媒層の厚みの比率R)は広い範囲で選択できることが好ましい。
比率R=第1触媒層の厚みB/第1触媒層及び第2触媒層の合計厚みA×100
本発明の排ガス浄化触媒においては、この比率Rは、良好な硫黄脱離性及びNO浄化能を得る点で、10%〜95%の範囲であるのが好ましい。さらに良好な硫黄脱離性及びNO浄化能を得る点から、比率Rは50%〜90%の範囲であるのがより好ましい。比率Rの範囲が10%以上95%以下であると、安定的に良好な硫黄脱離性を保つことができると共に、リーン雰囲気下で安定したNO浄化性能が得られる。これより、層厚変化に起因する硫黄脱離及び浄化効率に関わる性能変動が抑えられ安定化できると共に、NO浄化能を安定的に高く維持できる層構成の選択性が拡がり、例えばRhを含む第1触媒層の比率を減らすことも可能である。本発明においては、第1触媒層の厚みBと第2触媒層の厚みCとの関係(C/B)としては、120/15〜5/130が好ましく、65/70〜15/120がより好ましい。
本発明の排ガス浄化触媒は、第1金属酸化物と第2金属酸化物とが分散性よく混ざり合って均一に担持されている状態であるのが好ましく、特に、第1金属及び第2金属を担持する担体表面上の10nm角の20点以上の測定点におけるTEM−EDX分析から求められる第1金属元素の強度比と第2金属元素の強度比との和に対する第1金属元素の強度比の分布の標準偏差が10%以下であることが好ましい。標準偏差が10%以下であると、第1金属元素と第2金属元素とが充分に均一に混合・分散した状態にあり、硫黄被毒に対する抑制効果が高まると共に、硫黄被毒後に再生処理を施した場合に硫黄成分の脱離性、特に脱離速度が良好になる。この標準偏差は、より好ましくは9%以下である。
TEM−EDX分析は、測定装置として、従来公知の透過型電子顕微鏡(TEM)に、従来公知のエネルギー分散型X線分光器(EDX分析装置)を装備したTEM−EDX装置を用いることができる。TEM−EDX分析においては、まず、TEM−EDX装置を用いて、第1金属及び第2金属を担持する担体表面上の任意の領域内において、10nm角の測定点内のエネルギー分散型の蛍光X線スペクトルを求める。次に、得られたエネルギー分散型の蛍光X線スペクトルから、第1金属元素に由来するピークの面積と、第2金属元素に由来するピークの面積を求め、第1金属元素のピーク面積と第2金属元素のピーク面積との和に対する第1金属元素のピーク面積の比(ピーク面積比)を求める。このピーク面積比は、下記式から算出される。標準偏差は、得られたピーク面積比から下記のように求められる。
ピーク面積比(%)=([第1金属元素のピーク面積]/[第1金属元素のピーク面積と第2金属元素のピーク面積の和])×100
ここで、「ピーク」とは、前記スペクトルのベースラインからピークトップまでの高さの強度が1cts以上のものをいう。このピークは、例えば、金属元素がバリウムである場合にはエネルギーが4.5KeVの位置(BaLα線)に現れ、金属元素がセリウムの場合には4.8KeVの位置(CeLα線)に現れる。
また、ピーク面積比の分布の標準偏差は、任意の20点以上の測定点においてTEM−EDX分析を行なって、各測定点における前記ピーク面積比を求め、得られたピーク面積比の値に基づいて、ピーク面積比の分布の標準偏差(%)を算出することにより求められる。
前記ピーク面積比の分布の標準偏差が10%以下にする確実な方法としては、後述するように、所望の金属成分を含有する酸化物担持用水溶液を用い、これを焼成して第1金属酸化物及び第2金属酸化物を形成する方法が好適である。この酸化物担持用水溶液は、その液中に第1金属元素を含む第1金属化合物と第2金属元素を含む第2金属化合物とが(好ましくは高濃度で)安定した状態で保持されているため、酸化物担持用水溶液を焼成して得られた酸化物粒子(酸化物複合体を含む。)は、第1金属元素と第2金属元素とが均一に混合され、しかも微細化されたものとなる。
本発明の排ガス浄化触媒は、例えば、バリウム(第1金属元素)及びセリウム(第2金属元素)の酸化物粒子とした場合、自動車等の排ガスと接触させたときに、排ガス中のNOをBa(NOとして吸蔵して除去し、排ガスを浄化することができると共に、硫黄被毒時の硫黄脱離性に優れている。したがって、この酸化物粒子を少なくともRhを主に含まない第2触媒層に担持することにより、長期にわたって高いNO吸蔵性能を発揮することができる。
−基材−
基材としては、特に制限はなく、浄化触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、DPF基材、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適である。また、基材の材質にも特に制限はなく、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適である。中でも、モノリス基材が好ましい。
前記モノリス基材としては、従来の排ガス浄化用触媒に用いられているものを用いることができ、例えば、セラミックスモノリス基材、例えばコージェライトモノリス基材、耐熱性金属モノリス担体、例えばアルミニウム含有フェライトモノリス担体等が挙げられる。
<排ガス浄化触媒の製造方法>
第2の発明である排ガス浄化触媒の製造方法は、ロジウムを含むスラリーを基材上に付与し、焼成して第1触媒層を形成する第1触媒層形成工程と、前記第1触媒層上に、白金を含む白金含有層を形成する白金含有層形成工程と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含む第1金属化合物と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含む第2金属化合物と、多座配位子を有する化合物と、アンモニアとを混合し、前記第1金属元素及び前記第2金属元素を含む酸化物担持用水溶液を調製する溶液調製工程と、調製された前記酸化物担持用水溶液を少なくとも前記白金含有層に接触させた後、焼成し、少なくとも前記白金含有層に第1金属元素を含む第1金属酸化物と第2金属元素を含む第2金属酸化物とを担持することにより、白金を含む第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、を設けて構成したものである。本発明の排ガス浄化触媒の製造方法は、必要に応じて、さらに他の構成を有していてもよい。
第2の発明においては、用いる酸化物担持用水溶液が、液中で多座配位子(例えばクエン酸)により各種金属イオンを互いに近接した状態で保持することができ、その後の担体担持後は、焼成により酸化分解して酸化物粒子(酸化物複合体を含む。)が形成されるが、これまでの2層構造等の多層触媒に比して良好な硫黄脱離性とリーン雰囲気下での安定したNO浄化性能が得られるのは、少なくとも第2触媒層において第1金属元素及び第2金属元素の酸化物粒子が分散性よく混ざり合って均一性の高い状態で固定化されることによるものと推定される。
−第1触媒層形成工程−
第1触媒層形成工程は、ロジウム(Rh)を含むスラリーを基材上に付与し、焼成して第1触媒層を形成する。
スラリーは、例えば、水等の媒体中に例えばRh担持ジルコニアなどのRh担持金属酸化物の粉末等の粒子を用い、必要に応じてアルミニウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、又は希土類金属の酸化物(例えばアルミナ)などの他の成分を加え、撹拌等することにより調製することができる。具体的には、例えば、水等の媒体に二酸化ジルコニウム(ZrO)と硝酸ロジウム溶液とを混合して撹拌し、乾燥、焼成することにより例えば粉末状のRh担持ジルコニアを得ることができる。
得られたスラリーは、所望の基材上に塗布、浸漬、噴出等されることにより層状の塗膜が形成され、焼成される。焼成の条件は、特に制限されないが、温度範囲としては、例えば、大気中において、300〜600℃の温度範囲での加熱が好ましく、300〜500℃の温度範囲での加熱がより好ましい。また、加熱時間としては、加熱温度により異なるため一概にはいえないが、1〜3時間程度が好ましい。
Rhのスラリー中における含有濃度としては、0.01〜10g/Lの範囲が好ましく、0.1〜5g/Lの範囲がより好ましい。
−白金含有層形成工程−
白金含有層形成工程は、前記第1触媒層形成工程で形成された第1触媒層の上に、白金(Pt)を含む白金含有層を形成する。
白金含有層は、例えば、前記第1触媒層と同様に、水等の媒体中に例えばPt担持金属酸化物の粉末等の粒子を含むスラリーを前記第1触媒層上に膜状に付与して焼成する方法、あるいは金属の酸化物を含有するスラリーを調製し、このスラリーを第1触媒層上に膜状に付与して担体となる上層を形成した後、この上層を白金含有溶液に接触(例えば浸漬、塗布)させて焼成することによりPtを担持する方法、等により形成することができる。前記上層は、焼成よりPtを担持すると共に、後述の第2触媒層形成工程で第1金属酸化物及び第2金属酸化物が担持される担体とすることができる。
また、スラリーには、貴金属としてPtに加え、さらにパラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)などの他の貴金属が含まれてもよく、より高い触媒活性を得る点でパラジウムを更に含むことが好ましい。
前記白金含有溶液としては、例えば、ジニトロジアミン白金硝酸溶液などを用いることができる。
また、前記後者において、スラリーに含有する金属の酸化物としては、特開2008−137886号公報の段落番号[0055]〜[0061]に記載の金属元素の酸化物を挙げることができ、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、珪素、鉄、マンガン、タングステン、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、希土類金属から選ばれる金属の酸化物が挙げられる。中でも、前記スラリーに含有する金属元素の酸化物は、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al )、チタニア(TiO)、セリア(CeO)及びこれらの複合酸化物が好ましく、より好ましくはチタニアとジルコニアの複合酸化物、ジルコニアとセリアの複合酸化物である。
−溶液調製工程−
溶液調製工程は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含む第1金属化合物と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含む第2金属化合物と、多座配位子を有する化合物と、アンモニアとを混合し、前記第1金属元素及び前記第2金属元素を含む酸化物担持用水溶液を調製する。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属の詳細については、第1の発明である排ガス浄化触媒の第2触媒層の項で既述した通りである。
前記第1金属化合物としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的には、高い塩基性を有し、酸化物を形成させた際に高いNO吸蔵能を発揮できる観点から、バリウムを含む化合物(硝酸バリウム、酢酸バリウム等)が好ましい。なお、第1金属化合物は、1種単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
前記第2金属化合物としては、希土類金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的には、酸化物を形成させた際に比較的高い比表面積を有する点から、セリウムを含む化合物(酢酸セリウム、硝酸セリウム等)が好ましく、酢酸セリウムがより好ましい。なお、第2金属化合物は、1種単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
前記多座配位子を有する化合物は、2個以上の配位基で配位し得るものをいう。このような化合物としては、例えば、クエン酸、シュウ酸等の多価カルボン酸類、グリコール、ピナコール等のジオール類、エチレンジアミン等のジアミン類、アセト酢酸エチル等の2つのカルボニル基を有するエステル類などが挙げられる。これらのうち、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、アコニット酸、グルタル酸、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、サリチル酸、メバロン酸、エチレンジアミン、アセト酢酸エチル、マロン酸エステル、グリコール、ピナコールが好ましく、中でも、ヒドロキシ基を併せ持つカルボン酸である点で、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸がより好ましく、嵩高く、より微細化された酸化物複合体を作製できる観点から、クエン酸が特に好ましい。なお、多座配位子を有する化合物は、1種単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
また、第1金属化合物、第2金属化合物、多座配位子を有する化合物、及びアンモニアを混合して酸化物担持用水溶液を調製する際には、溶媒を用いることができる。溶媒としては、水(好ましくはイオン交換水及び蒸留水などの純水)が好適である。
第1金属化合物の酸化物担持用水溶液中における含有量としては、0.05mol/L以上であることが好ましく、0.2mol/L〜2.0mol/Lであることがより好ましい。また、第2金属化合物の酸化物担持用水溶液中における含有量としては、0.05mol/L以上であることが好ましく、0.2mol/L〜1.0mol/Lであることがより好ましい。第1金属化合物及び第2金属化合物の含有量が0.05mol/L以上であると、製造効率の点で第1金属化合物及び第2金属化合物の濃度として適当である。また、含有量を2.0mol/L以下とすると、第1金属化合物及び第2金属化合物の濃度が適当で焼成時に反応が均一に進行し、酸化物複合体を均一に作製することができる。
また、第2金属化合物中の第2金属元素の含有量は、第1金属化合物中の第1金属元素の含有量に対してモル換算で0.2〜5倍となるようにすることが好ましい。第1及び第2金属元素の含有割合が前記範囲内であると、酸化物複合体のNO吸蔵能をより高めることが可能になる。また、第1金属化合物中の第1金属元素の含有量に対する第2金属化合物中の第2金属元素の含有量が前記範囲内であると、第1金属化合物又は第2金属化合物の単独相がそれぞれ多くなりすぎることがなく、得られる酸化物複合体の割合を維持することができる。
前記多座配位子を有する化合物の酸化物担持用水溶液中における含有量としては、0.15mol/L以上が好ましく、0.7mol/L〜2.0mol/Lがより好ましい。多座配位子を有する化合物の含有量が0.15mol/L以上であると、第1金属化合物及び第2金属化合物に対して適当な量の多座配位子が存在し、水溶液中において、第1金属化合物及び第2金属化合物を近接した状態で保持することができる。また、含有量が2.0mol/L以下であると、担持効率が良好になる。
また、多座配位子を有する化合物の含有量は、前記第2金属化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍以上(より好ましくは2.5〜10倍)であることが好ましい。多座配位子を有する化合物の含有量が前記第2金属化合物中に含有される金属元素の含有量に対してモル換算で2倍以上であると、水溶液中において第2金属化合物との錯体を良好に形成することができ、第1金属化合物及び第2金属化合物を近接した状態で保持でき、酸化物複合体を良好に作製できる。
アンモニアの酸化物担持用水溶液中における含有量としては、0.4mol/L以上であることが好ましく、2.0mol/L〜10mol/Lであることがより好ましい。アンモニアの含有量が0.4mol/L以上であると、得られる水溶液における沈殿の発生を回避できる。また、含有量が10mol/L以下であると、担持効率が良好になる。
また、アンモニアの含有量は、多座配位子を有する化合物の含有量に対してモル換算で2倍以上(より好ましくは2.8〜5倍)であることが好ましい。アンモニアの含有量が多座配位子を有する化合物の含有量に対してモル換算で2倍以上であると、第1金属化合物及び第2金属化合物を安定した状態で含有させることができ、沈殿の発生が抑えられる。
酸化物担持用水溶液の調製方法としては、第1金属化合物と第2金属化合物と多座配位子を有する化合物とアンモニアとを水に溶解させ得る方法であればよく、特に制限はない。酸化物担持用水溶液の好ましい調製方法としては、例えば、多座配位子を有する化合物を水に溶解させた後に第2金属化合物を添加して沈殿物を生じさせた後、アンモニアを添加して、前記沈殿物を再度溶解させ、その後この溶液に、第1金属化合物を更に加えて撹拌し、沈殿物を生じさせた後に再度溶解させて酸化物担持用水溶液を得る方法が挙げられる。また、多座配位子を有する化合物とアンモニアとを予め反応させたアンモニウム塩(例えばクエン酸アンモニウム等)を用いて、酸化物担持用水溶液を調製してもよい。
−第2触媒層形成工程−
第2触媒層形成工程は、調製された前記酸化物担持用水溶液を少なくとも前記第2触媒層に接触させた後、焼成し、少なくとも前記白金含有層に第1金属酸化物と第2金属酸化物とを担持することにより、白金を含む第2触媒層を形成する。
白金含有層に酸化物担持用水溶液を接触させる方法としては、白金含有層を酸化物担持用水溶液に浸漬する方法、白金含有層に酸化物担持用水溶液を塗布する方法、白金含有層に酸化物担持用水溶液を噴出する方法などを適用することができる。
焼成の条件は、特に制限されないが、温度範囲としては、例えば、大気中において、300〜600℃の温度範囲での加熱が好ましく、300〜500℃の温度範囲での加熱がより好ましい。また、加熱時間としては、加熱温度により異なるため一概にはいえないが、1〜3時間程度が好ましい。
前記焼成条件で酸化物担持用水溶液を焼成することで、白金含有層に第1金属及び第2金属を含む酸化物複合体を担持することができる。
以下、本発明を具体的な実施例を示して更に詳細に説明する。但し、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、質量基準である。
(触媒成分の調製)
−1.Rh担持ジルコニアの調製−
ジルコニア担体に硝酸ロジウム溶液を加え、1時間撹拌して乾燥し、焼成してロジウム(Rh)担持ジルコニアの粉末を調製した。Rh担持量は、1質量%であった。
−2.酸化物複合体前駆体水溶液Iの調製−
多座配位子としてクエン酸0.9モルをイオン交換水165モルに溶解し、28%アンモニア水170mlを加えて、クエン酸アンモニウム水溶液を調製した。この溶液に、酢酸バリウム0.2モルと酢酸セリウム0.2モルとを加えて撹拌し、Ba・Ce酸化物複合体前駆体水溶液(酸化物担持用水溶液)Iを調製した。
(実施例1)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部をイオン交換水100部及びアルミナゾル5部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、下側触媒コート層(第1触媒層)を形成した。このとき、下側触媒コート層のRh担持量は、0.5g/L(リットル)であった。
その後、アルミナ75部と、ジルコニアチタニア複合酸化物(市販のZT粉末)75部と、イオン交換水300部と、アルミナゾル5部とを混合してスラリーとし、このスラリーをコージェライトモノリス基材上の前記下側触媒コート層の上に積層するようにウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、上側触媒コート層(第2触媒層)を形成した。
なお、ジルコニアチタニア複合酸化物(ZT粉末)は、四塩化チタン水溶液とオキシ硝酸ジルコニウム水溶液とを混合し、更に過酸化水素水及びノニオン系界面活性剤を添加した後、この水溶液を均一に撹拌しながらアンモニア水を添加して共沈法により調製したものを用いることができる。また、ジルコニアチタニア複合酸化物の製造方法は特に制限されず、例えば特開2000-327329号公報に記載の製造方法などの公知の方法を適宜採用することができる。
次に、前記下側触媒コート層及び前記上側触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、Pt/Rh担持2層コート触媒を得た。このとき、上側触媒コート層のPt担持量は2g/Lであった。
下側触媒コート層及び上側触媒コート層の合計厚における下側触媒コート層の厚みの比率(下側コート比率R)は、25%であった。
次いで、得られたPt/Rh担持2層コート触媒を、上記のように調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、Ba及びCeを含む酸化物複合体粒子(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、本発明の排ガス浄化触媒を作製した。
(実施例2)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部、アルミナ25部、及びジルコニアチタニア複合酸化物25部を、イオン交換水200部及びアルミナゾル5部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、下側触媒コート層(第1触媒層)を形成した。このとき、下側触媒コート層のRh担持量は、0.5g/Lであった。
その後、アルミナ50部と、ジルコニアチタニア複合酸化物(市販のZT粉末)50部と、イオン交換水200部と、アルミナゾル5部とを混合してスラリーとし、このスラリーをコージェライトモノリス基材上の前記下側触媒コート層の上に積層するようにウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、上側触媒コート層(第2触媒層)を形成した。
次に、前記下側触媒コート層及び前記上側触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、Pt/Rh担持2層コート触媒を得た。このとき、Ptの担持量は2g/Lであった。
下側触媒コート層及び上側触媒コート層の合計厚における下側触媒コート層の厚みの比率(下側コート比率R)は、50%であった。
次いで、得られたPt/Rh担持2層コート触媒を、実施例1で調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、Ba及びCeを含む酸化物複合体粒子(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、本発明の排ガス浄化触媒を作製した。
(実施例3)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部、アルミナ50部、及びジルコニアチタニア複合酸化物50部を、イオン交換水300部及びアルミナゾル5部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、下側触媒コート層(第1触媒層)を形成した。このとき、下側触媒コート層のRh担持量は、0.5g/Lであった。
その後、アルミナ25部、ジルコニアチタニア複合酸化物(市販のZT粉末)25部、イオン交換水100部、及びアルミナゾル5部を混合してスラリーとし、このスラリーをコージェライトモノリス基材上の前記下側触媒コート層の上に積層するようにウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、上側触媒コート層(第2触媒層)を形成した。
次に、前記下側触媒コート層及び前記上側触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、Pt/Rh担持2層コート触媒を得た。このとき、上側触媒コート層のPt担持量は2g/Lであった。
下側触媒コート層及び上側触媒コート層の合計厚における下側触媒コート層の厚みの比率(下側コート比率R)は、75%であった。
次いで、得られたPt/Rh担持2層コート触媒を、実施例1で調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、Ba及びCeを含む酸化物複合体粒子(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、本発明の排ガス浄化触媒を作製した。
(実施例4)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部、アルミナ65部、及びジルコニアチタニア複合酸化物65部を、イオン交換水360部及びアルミナゾル5部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、下側触媒コート層(第1触媒層)を形成した。このとき、下側触媒コート層のRh担持量は、0.5g/Lであった。
その後、アルミナ10部、ジルコニアチタニア複合酸化物(市販のZT粉末)10部、イオン交換水40部、及びアルミナゾル5部を混合してスラリーとし、このスラリーをコージェライトモノリス基材上の前記下側触媒コート層の上に積層するようにウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、上側触媒コート層(第2触媒層)を形成した。
次に、前記下側触媒コート層及び前記上側触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、Pt/Rh担持2層コート触媒を得た。このとき、上側触媒コート層のPt担持量は2g/Lであった。
下側触媒コート層及び上側触媒コート層の合計厚における下側触媒コート層の厚みの比率(下側コート比率R)は、90%であった。
次いで、得られたPt/Rh担持2層コート触媒を、実施例1で調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、Ba及びCeを含む酸化物複合体粒子(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、本発明の排ガス浄化触媒を作製した。
(比較例1)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部、アルミナ75部、及びジルコニアチタニア複合酸化物(市販のZT粉末)75部を、イオン交換水400部及びアルミナゾル10部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、触媒コート層を形成した。このとき、触媒コート層のRh担持量は、0.5g/Lであった。
次に、前記触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、単層のPt/Rh担持コート触媒を得た。このとき、Pt担持量は2g/Lであった。
続いて、このPt/Rh担持コート触媒を酢酸バリウム水溶液に浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、Ba化合物(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酢酸バリウム水溶液の濃度は、担持量がBa=0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、比較の排ガス浄化触媒を作製した。
(比較例2)
比較例1において、酢酸バリウム水溶液を、実施例1で調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに代えたこと以外は、比較例1と同様にして、比較の排ガス浄化触媒を作製した。なお、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
(比較例3)
実施例2において、酸化物複合体前駆体水溶液Iを酢酸バリウム水溶液に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較の排ガス浄化触媒を作製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、担持量がBa=0.2[モル/L]になるように調整した。
(試験・評価1)
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた各排ガス浄化触媒について、下記の測定・評価を行なった。評価結果は、下記表1〜表2及び図3〜図6に示す。
−1.硫黄被毒・脱離試験−
得られた排ガス浄化触媒の各々をリーンバーンエンジンの排気系に装着し、触媒温度750℃で200時間、リーン及びリッチ雰囲気での運転を交互に繰り返して耐久試験を行なった。その後、高濃度の硫黄含有燃料を燃焼させて、触媒温度400℃にて所定の時間、リーン及びリッチ雰囲気での運転を交互に繰り返して耐久試験を行ない、各浄化触媒に一定量の硫黄を吸着被毒させた。
−2.触媒の浄化性能−
耐久試験後、被毒した触媒を650℃で10分間、リッチ運転を行ない、このときの硫黄脱離量を測定した。結果を図3に示す。
また、硫黄脱離試験後の各触媒のリーン走行時のNO浄化性能を評価するため、同じ排気系を用いて60秒間、リーン運転した後、3秒間のリッチ燃焼(リッチスパイク)を導入しながら、このときのNO浄化率を測定した。測定は、300℃、400℃、500℃の各触媒温度について行なった。結果を表1及び図4〜図6に示す。
−3.標準偏差−
得られた排ガス浄化触媒の各々をリーンバーンエンジンの排気系に装着し、触媒温度750℃で50時間、リーン及びリッチ雰囲気での運転を交互に繰り返して耐久試験を行なった。耐久試験後、上側触媒コート層を掻き取り、TEM−EDX装置により下記のようにしてピーク面積比(%)を求め、Ba及びCeを担持した担体の表面上の10nm角の20点以上の測定点において、ピーク面積比の分布の標準偏差を求めた。
なお、標準偏差は、その値が小さい程、Ba(第1金属元素)とCe(第2金属元素)とが分散して混ざっていることを示し、10%以下であるとより均一性が高い状態を示す。結果を下記表2に示す。
<TEM−EDX分析>
(i)装置:JEM−2010FSE〔日本電子社製;透過型電子顕微鏡(TEM)にエネルギー分散型X線分光器(EDX分析装置)を装備したTEM−EDX装置〕
(ii)測定方法:TEM−EDX装置を用いて、Ba及びCeを担持した担体の表面の任意の領域において、10nm角の測定点内のエネルギー分散型の蛍光X線スペクトルを求め、得られたエネルギー分散型の蛍光X線スペクトルから、Baに由来するピーク(BaLα線=4.5KeV)の面積と、Ceに由来するピーク(CeLα線=4.8KeV)の面積を求め、Baのピーク面積とCeのピーク面積との和に対するBaのピーク面積の比(ピーク面積比;%)を求めた。
ピーク面積比(%)=([Baのピーク面積]/[Baのピーク面積及びCeのピーク面積の和])×100
−4.平均粒子径−
各排ガス浄化触媒の上側触媒コート層を掻き取り、担持されている酸化物粒子について、XRD(X線回折)測定により平均粒子径を求めた。結果を下記表2に示す。
図3並びに前記表1及び図4〜図5に示すように、比較例において、比較例2が比較例1に比べて硫黄脱離性能及びNO浄化率が高く、BaとCeの微細複合化によりNO浄化性能が向上していることが分かる。また、比較例3の2層構造の浄化触媒では、硫黄脱離性能が低く、それゆえ高温域(500℃)でのNO浄化性能が低下している。
これに対し、実施例1〜4では、図3に示すように硫黄脱離性能が比較例に比べ大幅に向上しており、前記表1及び図4〜図5に示すように、低温域のみならず高温域にわたってNO浄化性能を向上させることができた。
また、実施例1〜4では、前記表2に示すように、標準偏差が10%以下であり、均一性の高い状態の浄化触媒が得られていた。
さらに、実施例の浄化触媒と従来の2層構造の浄化触媒(下側コート比率R=50%は比較例3)との間のNO浄化率を対比した結果を図6に示す。図6に示すように、実施例では、NO浄化率が大幅に向上し、特に下側コート比率Rが小さい領域でも高い浄化性能を有していた。
なお、図6中の◆印のプロットのうち、下側コート比率R=75%,90%のプロットは、比較例3と同様に実施例3,4において酸化物複合体前駆体水溶液Iを酢酸バリウム水溶液に代えた場合のNO浄化率を示し、下側コート比率R=20%,35%のプロットは実施例1において酸化物複合体前駆体水溶液Iを酢酸バリウム水溶液に代えて下側コート比率R=20%,35%としたときのNO浄化率を示す。
(実施例5)
ロジウム(Rh)担持ジルコニア50部、アルミナ25部、セリアジルコニア複合酸化物(市販のCZ粉末)10部、及びジルコニアチタニア複合酸化物25部を、イオン交換水220部及びアルミナゾル5部と共に混合してスラリーとし、これをコージェライトモノリス基材(6ミル、セル密度400セル/平方インチ、2.0L)にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、下側触媒コート層(第1触媒層)を形成した。このとき、下側触媒コート層のRh担持量は、0.5g/Lであった。
その後、アルミナ50部と、セリアジルコニア複合酸化物(市販のCZ粉末)10部と、ジルコニアチタニア複合酸化物50部と、イオン交換水220部と、アルミナゾル5部とを混合してスラリーとし、このスラリーをコージェライトモノリス基材上の前記下側触媒コート層の上に積層するようにウォッシュコートし、乾燥、焼成を行なって、上側触媒コート層(第2触媒層)を形成した。
なお、セリアジルコニア複合酸化物(CZ粉末)は、ジルコニウム化合物セリウム化合物の混合にアンモニア水を添加して共沈法により調製したものを用いることができる。また、セリアジルコニア複合酸化物の製造方法は特に制限されず、例えば特開2003-275580号公報に記載の製造方法など公知の方法を適宜採用することができる。
次に、前記下側触媒コート層及び前記上側触媒コート層を基材とともにジニトロジアミン白金4%溶液に浸漬し、白金(Pt)を主に上側触媒コート層に吸着、担持させた後、乾燥、焼成を行なって、Pt/Rh担持2層コート触媒を得た。このとき、上側触媒コート層のPt担持量は2g/Lであり、下側触媒コート層及び上側触媒コート層の合計厚における下側触媒コート層の厚みの比率(下側コート比率R)は50%であった。
次いで、得られたPt/Rh担持2層コート触媒を、実施例1で調製した酸化物複合体前駆体水溶液Iに浸漬し、引き上げて余分な水溶液を吹き払った後、さらに乾燥、焼成を行なって、BaCe酸化物複合体(NO吸蔵材)を担持した。ここで、酸化物複合体前駆体水溶液Iの溶液濃度は、担持量がそれぞれBa/Ce=0.2[モル/L]/0.2[モル/L]になるように調整した。
以上のようにして、本発明の排ガス浄化触媒を作製した。
(比較例4)
実施例5において、酸化物複合体前駆体水溶液Iを、酢酸バリウム水溶液に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、比較の排ガス浄化触媒を作製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、担持量がBa=0.2[モル/L]になるように調整した。
(比較例5)
実施例5において、酸化物複合体前駆体水溶液Iを、酢酸バリウム水溶液及び酢酸セリウム水溶液の2種に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、比較の排ガス浄化触媒を作製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、担持量がBa=0.2[モル/L]になるように調整した。
(試験・評価2)
上記の実施例5及び比較例4〜5で得られた各排ガス浄化触媒について、前記「−3.標準偏差−」と同様の方法でTEM−EDX分析により金属元素の分布の標準偏差をセリア−ジルコニア複合酸化物以外の部分にて測定し、前記「−4.平均粒子径−」と同様の方法でX線回折による金属元素のピーク強度を測定した。この結果を下記表3及び図7に示す。
更に、図7に示すように、実施例5では比較例4〜5と比較して、全体的に金属元素のピーク強度は小さく、酸化バリウムの回折ピークもブロード調に低くなり、バリウムの粒径が細かいことが分かる。さらに、触媒温度750℃で50時間、耐久試験を行なった後の実施例5の排ガス浄化触媒におけるBa,Ceの分散状態を図8のTEM写真に示す。
11・・・基材
12・・・第1触媒層
13・・・第2触媒層

Claims (10)

  1. 基材上に該基材側から順に、ロジウムを含む第1触媒層と、白金を含む第2触媒層とを有し、
    少なくとも前記第2触媒層は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含有する第1金属酸化物と希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含有する第2金属酸化物とを担体に担持して含み、前記担体に担持された金属酸化物の粒子サイズが平均粒子径で30nm以下である排ガス浄化触媒。
  2. 前記粒子サイズが、平均粒子径で0.5〜10nmであることを特徴とする請求項に記載の排ガス浄化触媒。
  3. 前記担体の表面上の10nm角の20点以上の測定点におけるTEM−EDX分析から求められる前記第1金属元素の強度比と前記第2金属元素の強度比との和に対する前記第1金属元素の強度比の分布の標準偏差が10%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の排ガス浄化触媒。
  4. 前記第2触媒層が、更に、パラジウムを含むことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の排ガス浄化触媒。
  5. 前記基材がモノリス基材であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の排ガス浄化触媒。
  6. ロジウムを含むスラリーを基材上に付与し、焼成して第1触媒層を形成する第1触媒層形成工程と、
    前記第1触媒層上に、白金を含む白金含有層を形成する白金含有層形成工程と、
    アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる第1金属元素を含む第1金属化合物と、希土類金属の群より選ばれる第2金属元素を含む第2金属化合物と、多座配位子を有する化合物と、アンモニアとを混合し、前記第1金属元素及び前記第2金属元素を含む酸化物担持用水溶液を調製する溶液調製工程と、
    調製された前記酸化物担持用水溶液を少なくとも前記白金含有層に接触させた後、焼成し、少なくとも前記白金含有層に第1金属元素を含む第1金属酸化物と第2金属元素を含む第2金属酸化物とを担持することにより、白金を含む第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、
    を有する排ガス浄化触媒の製造方法。
  7. 前記多座配位子を有する化合物がカルボン酸であることを特徴とする請求項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  8. 前記第1金属化合物が、第1金属元素の塩であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  9. 前記第2金属化合物が、第2金属元素の塩である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  10. 前記白金含有層形成工程は、金属元素の酸化物を含むスラリーを前記第1触媒層の上に付与して上層を設け、少なくとも前記上層を白金含有溶液に接触させた後、焼成して白金含有層を形成し、
    前記第2触媒層形成工程は、前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物を前記金属元素の酸化物に担持することを特徴とする請求項〜請求項のいずれか1項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
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