JP3830520B2 - リラキシン様因子およびその方法と使用 - Google Patents

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Description

ここに記載する発明の一部は、認可第NIHGMS-48829号および第NSF MCB-9406656号による援助、さらにサウスカロライナ医科大学による援助を受けて行われたものである。
1.
本発明は、リラキシン様因子、その誘導体または類似体、並びにその使用に関する。本発明はさらに、リラキシン様因子、その誘導体または類似体とリラキシンとを含有する組成物および製剤(このような組成物は相加または相乗効果を示す)に関する。
2.発明の背景
インスリン、インスリン様増殖因子(IおよびII)、ボンビキシン(bombyxin)、モルスカン(molluscan)インスリン関連ペプチドおよびリラキシンを含むホルモンのファミリーが同定され、「インスリン関連」と呼ばれている。BlundellおよびHumbel, 1980, Nature 287:781-787; BullesbachおよびSchwabe, 1991, J. Biol. Chem. 266:10754-10761。このホルモンファミリーを構成するタンパク質は、類似した一次および二次構造を有するが生物学的機能を異にするポリペプチド群に相当する。リラキシンはブタ、マウス、ウマ、サメ、トラ、ラット、ツノザメおよびヒトを含めて、さまざまな種から精製されている。ヒトでは、リラキシンは妊娠時の黄体(corpora lutea: CL)に最も豊富に存在する。成熟ヒト・リラキシンは約6000ダルトンのホルモン性ペプチドで、出産前の生殖路を再改造することにより分娩のプロセスを容易にする。より詳細には、リラキシンは妊娠および分娩の際の器官構造の必要とされる変化を与えるために、標的器官の結合組織の再構造化を仲介するようである。Hisaw, 1926, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 23:661-663; Schwabeら,1977, Biochem. Biophys. Res. Comm. 75:503-570; Jamesら,1977, Nature, 267:544-546を参照のこと。リラキシンについては、The Physiology of Reproduction,第16章,「リラキシン」,Knobil, E.およびNeill, J.ら(編),(Raven Press Ltd., New York), 585-673頁(1988)に簡潔な記載がある。
主に妊娠のホルモンであるが、リラキシンは妊娠してない雌のみならず雄でも検出されている。Bryant-Greenwood, 1982, Endocrine Reviews 3:62-90; Weiss, 1984, Ann. Rev. Physiol. 46:43-52。
ヒト・リラキシンをコードする2つのヒト遺伝子型(H1)と(H2)が同定されている。Hudsonら,1983, Nature 301, 628-631; Hudsonら,1984, EMBO J., 3:2333-2339;および米国特許第4,758,516号および第4,871,670号を参照のこと。1つの遺伝子型(H2)だけがCLで転写されることが見いだされた。(H1)型が別の組織部位で発現されるのか、また、それが偽遺伝子を表すのかは依然不明である。合成ヒト・リラキシン(H2)といくつかのヒト・リラキシン類似体の生物活性を試験したところ、生物活性にとって必要なリラキシン・コアと、生物活性に影響を及ぼさないメチオニンのいくつかのアミノ酸による置換が明らかになった。Johnstonら,in Peptides: Structure and Function, Proc. Ninth American Peptide Symposium, Deber, C.M.ら(編)(Pierce Chem. Co. 1985)。
リラキシンの製造法は米国特許第4,835,251号および係属中の米国特許出願第07/908,766号(PCT US90/02085)および第08/080,354号(PCT US94/0699)に記載されている。心臓血管療法および神経変性疾患の治療にリラキシンを用いる方法は米国特許第5,166,191号および米国特許出願第07/902,637号(PCT US92/06927)に記載されている。ヒト・リラキシンのいくつかの製剤が米国特許出願第08/050,745号(許可された)に記載されている。
インスリン関連ファミリーの残りのメンバーの構造および生物学的機能・活性については熱心に研究されてきている。例えば、RobinsonおよびFritz, 1981, Biol. Reprod. 24:1032-1041; Soderら,1992, Endocrinology 131:2344-2350; Luthmanら,1989, Eur. J. Biochem 180(2):259-65; Jhotiら,1987, FEBS Lett. 219:419-425; Smitら,1988, Nature 331:535-538を参照のこと。リラキシンとホルモンのインスリン関連ファミリーの残りのメンバーとの間で共有する構造的特徴は、とりわけ、分子量、B鎖と連結CペプチドとA鎖からなる「二本鎖」、およびジスルフィド結合の数と配置である。
これらの類似性にもかかわらず、インスリン関連ファミリーを構成するタンパク質はまったく異なる生物学的機能・活性をもつことが判明した。この相違は主として数個のタイプ特異的アミノ酸残基の相違の結果であると報告されている。例えば、ヒトII型リラキシンのA14位のグリシンと、インスリンの同様の位置(A10)のイソロイシンとの相違はこの2種類のタンパク質の生物活性を区別する上で非常に重要であると考えられる。SchwabeおよびBullesbach, 1994, FASEB J. 8:1-2。
インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)およびリラキシンの構造的特徴を有するタンパク質が最近精巣のライディヒ細胞から単離された。Burkhardtら,1993, Genomics 20:13-19。このタンパク質はライディヒ細胞特異的インスリン様ペプチド(Ley I-L)と称され、(リラキシンまたはIGFをコードする遺伝子のゲノム位置と比較したとき)インスリンをコードする遺伝子と相対するLey I-Lをコードする遺伝子のゲノム位置のため「インスリン様」であると特性づけられた。Burkhardtら,1993, Genomics 20:13-19。
Ley I-Lタンパク質はまた、このタンパク質のCペプチド鎖の長さに基づいて、IGF様やリラキシン様ではなく、インスリン様として特性づけられた。より詳細には、プロインスリンのCペプチド鎖の長さが35アミノ酸であるのに対して、Ley I-Lタンパク質のCペプチドの長さは49アミノ酸である。既知のプロIGFのCペプチド鎖の長さは12アミノ酸であり、そしてプロリラキシンのCペプチドの長さは100アミノ酸以上である。最後に、Ley I-Lタンパク質は、出生前および出生後の精巣ライディヒ細胞でもっぱら発現されるという観察に基づいてインスリン様と称された。Burkhardtら,前掲。インスリンに対するこのタンパク質の類似性とこのタンパク質の起源から、Ley I-Lタンパク質は精巣機能に関与していると報告された。Adhamら,1993, J. Bio. Chem. 268(35):26668-6672。
本発明の発明者らとの協議中に、Tashimaら(1995, J. Clin. Endocrinal. Metab. 80:707-710)は、Ley I-L遺伝子がライディヒ細胞でのみ発現されるとする以前の報告が正しいかを検討した。具体的には、Tashimaらは、Ley I-L遺伝子が雌の生殖組織、ヒト黄体、栄養芽細胞、胎膜および乳房組織に存在しかつ発現されるか否かを検討した。H2リラキシンの場合と同様に、TashimaらはLey I-Lタンパク質がヒト黄体および栄養芽細胞に存在しうることを決定した。しかしながら、H2リラキシンと違って、Ley I-Lは胎膜、脱落膜および乳房組織で発現されないことが見いだされた。
Burkhardt/AdhamグループもTashimaグループもLey I-Lタンパク質の生物学的機能を報告していない。かくして、この推定上のLey I-Lタンパク質の構造は同定されていたが、このタンパク質に関しての正確な活性または使用は本発明(RLFの発見をその同定および有用性の証明により完成させた)まで何も知られていなかった。
3.発明の概要
本発明は、ヒトLey I-Lの推定アミノ酸および核酸配列から誘導された合成または組換え構成物に関する。本発明の一態様において、この構成物はリラキシン様因子(relaxin-like factor: RLF)の全長アミノ酸配列を含んでなる。本発明のもう一つの態様において、この構成物はA鎖またはB鎖のいずれか一方または両方の3'末端および5'末端のいずれか一方または両方で短縮されたRLFタンパク質の誘導体を含んでなる。一態様では、A鎖が15アミノ酸ほどの長さで、B鎖が13アミノ酸ほどの長さであってよい。さらに別の態様では、この構成物は放射性標識されるか、リラキシン様活性を有するRLFの類似体でありうる。
本発明はさらに、さもなくばリラキシンで治療される疾病および障害を治療するための、単独でのまたはリラキシンや他のリラキシン様薬剤と組み合わせた、前記化合物の使用、並びにその製剤に関する。本発明の一態様において、こうした疾病または障害はコラーゲンおよび/またはフィブロネクチンの異常な発現に関係している。より特定的には、これらの疾病または障害には強皮症および慢性関節リウマチが含まれる。本発明の別の態様において、これらの疾病および/または障害は、より一般的に、リラキシン受容体またはRLF受容体との結合の結果としての1以上の生物学的機能の活性化に関係している。この種の疾病および/または障害には心臓血管系の疾患、洞徐脈、神経変性または神経疾患、うつ病および脱毛が含まれる。
本発明はまた、トレーサーとしての標識したまたは未標識のRLFの使用に関する。その後このトレーサーを用いてHPLCでさまざまなRLF誘導体を分離し、結合アッセイにおける又はRLF受容体マッピングのための担体フリーのトレーサーを得ることができる。
4.図面の説明
図1. 図1は、ヒト・リラキシンおよびインスリンの配列と比較したときのリラキシン様因子の一次構造を示し、リラキシンに対するB鎖アルギニンの相対位置を強調してある。
図2. 図2は、特定部位での逐次ジスルフィド結合形成の模式図を示す。詳細には、この模式図は、1)トリフルオロ酢酸(TFA)脱保護、2)DMSO/50mM NH4HCO3(1:2 v/v)を用いるチオールの酸化、3)Cys(4-メチルベンジル)のHF脱保護、4)8M塩化グアニジニウム中pH4.5でのA鎖とB鎖の結合、5)70%酢酸中のヨウ素との反応による第3ジスルフィド結合の形成、6)10%ピペリジンによるトリプトファン側鎖の遊離、7)33倍過剰量の90%TFA中のNH4Iによるメチオニンスルホキシドの還元、に関する情報を提供する。
図3. 図3は、精製されたRLFのHPLC記録を示す。クロマトグラフィーは、Synchropak RP-P(4.1×250mm)にて、30分で20%から50%の直線勾配(A:0.1% TFA水溶液、B:80%アセトニトリル中の0.1% TFA)を用いて1ml/分の流速で行った。
図4. 図4は、ヒト・リラキシンとヒトRLFとブタ・リラキシンのCDスペクトルの比較を示す。
図5. 図5は、RLFトレーサー調製物のHPLC分離の溶出記録を示す。最大ピークは未修飾RLFであり、陰影をつけた領域はトレーサーとして用いられる主要な放射性ピークである。クロマトグラフィーは、Aquapore 300(2.1mm×30mm)にて、60分かけての23% Bから34% Bまでの直線勾配(A: 0.1% TFA水溶液、B: 80%アセトニトリル中の0.1% TFA)を用いて0.1ml/分の流速で行った。
図6. 図6は、受容体結合アッセイを用いてin vitroで測定した雌エストロゲン感作マウスにおけるRLF受容体の組織分布を示す。
図7. 図7は、動物あたり5μgのRLFの存在下および不在下での漸増量のリラキシンの生物活性を示す。恥骨結合幅の増加が容易に認められた。
図8. 図8は、均一量のヒト・リラキシンの存在下での漸増量のRLFの生物活性もリラキシンの増強を示すことを示す。
図9. 図9は、リラキシン、RLFおよび最適量の両者の比較バイオアッセイを示す。RLF単独では恥骨結合幅の増加を引き起こさないが、高用量の混合物は高用量のリラキシン単独をさらに向上させる。
5.発明の詳細な説明
5.1. 定義
本明細書中で用いるとき、次の用語および表現は、それらを用いる状況が他に示されているときを除いて、一般的に下記の意味を有するものとする。
「任意の」または「任意に」は、その後記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、この記載はこうした事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含む。
「有効量」という用語は、治療すべき疾病状態を治療するのに十分な投与量を意味する。これは患者、疾病および行われる治療に応じて変化するだろう。
「リラキシン」という用語は、全長リラキシンまたは生物活性を保有するリラキシン分子の一部〔米国特許第5,023,321号に記載されるもの、好ましくは組換えヒト・リラキシン(H2)〕およびリラキシン様活性を有する他の活性物質、例えば結合したリラキシンを受容体から競合的に置換する物質を含めたヒト・リラキシンを意味する。リラキシンは当業者に公知の方法で、好ましくは米国特許第4,835,251号および係属中の米国特許出願第07/908,766号(PCT US90/02085)および同第08/080,354号(PCT US94/0699)に記載される方法で製造することができる。
5.2. リラキシン様因子: 構造および活性
RLFは一次および二次構造においてリラキシン、インスリンおよびホルモンのインスリン関連ファミリーの他のメンバーと相同性がある。以前に報告されたように、RLFは構造的にはリラキシンよりインスリンの方に近い。RLFの推定上の一次構造を図1に示す。
しかし、初期の報告とは対照的に、RLFの生物学的機能および活性はリラキシンに類似していて、インスリンとは明確に区別される。例えば、RLFとリラキシンとの受容体相互作用領域のアミノ酸配列にずれがあるにもかかわらず、RLFはリラキシンが結合するマウス脳受容体と相互作用する。
本発明は、以前に単離されたものの特性づけされていないRLFタンパク質がマウスの子宮および脳の粗製膜調製物と特異的に結合し、リラキシン受容体との交差反応性を示すが、インスリン受容体とは示さないという本発明者らの予期せざる発見に基づいている。
RLFの推定アミノ酸配列からは、RLF中の重要なArg XXX Arg配列が二重らせんのまさに1つのターンによってB鎖のC末端の方にずれているので、相反する結果が予測されたであろう。すなわち、RLFはリラキシンのように分子表面からほぼ直角にアルギニンを突き出しているが、全体的な受容体結合部位のずれにより、その受容体にまったく異なる結合環境が提示されることが予測されるだろう。
注目すべきことには、RLFはリラキシン受容体と結合するが、より高濃度のときを除いて、RLFはリラキシン受容体との結合に関してリラキシンと競合しないようである。それどころか、RLFはリラキシン応答を刺激するように思われる。すなわち、RLFはヒトにおいてリラキシン効果を支援する重要な役割を果たし得る。加えて、予備実験から、RLFは雄の生殖腺においてリラキシンとは無関係の役割を担っていることが示唆される。
さらに、リラキシン様活性は歴史的には出産の準備における恥骨および子宮頸靱帯の軟化に関して考えられてきたが、それは生殖系の外の細胞にも直接影響を及ぼすことがわかった。例えば、リラキシンと同様に、RLFもコラーゲンおよび/またはフィブロネクチンの過剰発現を抑制しかつそれに関連した疾病(例:強皮症)を軽減するのに役立つ可能性がある。
その上、RLFはここに記載するようなリラキシン増強特性を有するが、RLFは独立した、もしかすると別の生物学的活性をもつかもしれない。
5.3. RLF誘導体および類似体
RLFが(インスリン様ではなく)リラキシン様の活性をもつタンパク質であるとの本発明による同定に続いて、RLFがインスリンだけでなくリラキシンとも一次および二次相同性を共有するという程度に、リラキシンの生物活性誘導体および類似体の同定により、生物活性RLF誘導体および類似体の正体が証明される。例えば、活性リラキシン類似体はこのタンパク質の5'末端または3'末端または両末端の短縮化を含むと確認された。例えば、米国特許第5,023,321号を参照のこと。それゆえ、本発明は、RLFタンパク質の5'末端および/または3'末端が短縮された生物活性RLF誘導体に向けられる。上記の特許を参照のこと。
重要なこととして、ヒト・リラキシンでは、B13位とB17位のアルギニンおよびおそらくはB鎖の中間領域にある第1のヘリックスターンのアミノ酸(Arg-Glu-Leu-Val-Arg)がリラキシン活性にとって必要であるかまたは重要であることが観察された。その他のRLF類似体および誘導体は、公知の技術およびリラキシンに関するこの構造情報を用いて得ることができる。
RLF誘導体または類似体がリラキシン様活性および/または有用性をもつか否かは、リラキシン活性を検出するための当技術分野で知られたアッセイを用いて調べられる。例えば、Steinetzら,1960, endocrinology 67:102-115およびSarosiら,1983, American Journal of Obstetrics and Gynecology 145:402-405に記載されるような、妊娠および非妊娠時の活性リラキシンの測定に用いられるバイオアッセイを用いることができる。
同様に、リラキシン様活性をもつタンパク質の存在を検出するための特異的なイムノアッセイも使用しうる。例えば、Sherwoodら,1975, Endocrinology 107:691-696; O'BryneおよびSteinetz, 1976, Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine 152:272-276を参照のこと。1個以上のアクセス可能なチロシン(直接ヨウ素化を可能にする)を含むヒト・リラキシンの合成類似体の存在および活性もラジオイムノアッセイ(RIA)を用いて試験することができる。Eddieら,1986, Lancet 1:1344-1346。
しかしながら、上記のアッセイはいずれもその適用が制限される。かくして、以下で説明するように、また、「リラキシン診断アッセイおよびキット」と題する本出願と同日付けの係属中の特許出願に詳述されるように、このタンパク質の活性および好適な用途を調べるためのRLFをアッセイする別のアッセイを使用することもできる。
5.4. RLFの生産
リラキシンやインスリンを生産するのに有用であると以前に記載された技法を用いてRLFを生産することができる。例えば、Burkhardtら,194, Genomics 20:13-19およびAdhamら,1994, J. Biol. Chem. 268:26668-26672に記載されたRLFのcDNAを用いて、リラキシンを組換え的に生産するのに有用であるとされた方法に従ってRLFを組換え的に生産することができる(例えば、米国特許第4,758,516号、第4,871,670号、第4,835,251号および係属中の米国特許出願第07/908,766号(PCT US90/02085)および第08/080,354号(PCT US94/0699))。同様に、このような配列情報を用いて、リラキシンを合成するためのBullesbachおよびSchwabe, 1991, J. Biol. Chem. 266:10754-10761に記載の方法に従ってRLFを合成してもよい。
RLFの誘導体および類似体もBullesbachおよびSchwabe(前掲)の方法を用いて合成することができる。あるいはまた、このような誘導体および類似体を、例えばTsurushitaら,1988, Gene 62:135-139に記載されるような部位特異的突然変異誘発法を用いて、組換え的に生産してもよい。
RLFを含有する組成物中で用いるリラキシンは、容易に利用できる多数の技法のうちのいずれかを用いて得ることができる。
例えば、天然に存在するリラキシンは、ブタ、マウス、ウマ、サメ、トラ、ラット、ツノザメおよびヒトを含めて、さまざまな種から精製することができる。ヒトでは、リラキシンは妊娠時の黄体(CL)中に最も豊富に見いだせる。
また、リラキシンはRLFに関して上述した技法により合成しても、開示されたリラキシンの核酸配列および推定アミノ酸配列に基づいて組換え的に生産してもよい。ヒトでは、ヒト・リラキシンをコードする2つのヒト遺伝子型(H1)と(H2)が同定されており、リラキシン好ましくはリラキシン(H2)を組換え的に生産するためのそれらの使用が記載されている。Hudsonら,1983, Nature 301, 628-631; Hudsonら,1984, EMBO J., 3:2333-2339;および米国特許第4,758,516号および第4,871,670号。リラキシンの製造法も米国特許第4,835,251号および係属中の米国特許出願第07/908,766号(PCT US90/02085)および第08/080,354号(PCT US94/0699)に記載されている。
注目すべきことに、合成ヒト・リラキシン(H2)およびいくつかのヒト・リラキシン類似体の生物活性を試験したとき、生物活性にとって必要なリラキシンコア並びに生物活性に影響しないメチオニンのいくつかのアミノ酸による置換が明らかになった。Johnstonら,in Peptides: Structure and Function, Proc. Ninth American Peptide Symposium, Deber, C.M.ら(編)(Pierce Chem. Co. 1985)。
5.5. 適応症/使用法
in vitroにおいて、リラキシン様活性を有するタンパク質は、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)またはインターロイキン−1を用いてコラーゲンを過剰発現するようにアップレギュレートされたヒト皮膚および滑膜繊維芽細胞によるコラーゲン合成を低下させ、また、強皮症患者から得られた、構成的にコラーゲンを過剰発現する繊維芽細胞によるコラーゲン合成を低下させる。例えば、リラキシンは線維症の2つのげっ歯類モデルにおいてin vivoでコラーゲン蓄積を減少させる。また、リラキシンやリラキシン様タンパク質は膠原溶解性メタロプロテイナーゼであるコラゲナーゼの分泌を増加させ、そしてまた、メタロプロテイナーゼ阻害剤であるメタロプロテイナーゼの組織阻害剤の発現をダウンレギュレートする。
リラキシンは、その結果として、各種疾病および障害の治療や診断に関与してきた。例えば、リラキシンは強皮症、洞徐脈、心臓血管系の疾患、神経変性または神経疾患、うつ病および脱毛の治療に効果的であるという証拠が研究により得られた。例えば、米国特許第5,166,191号、米国特許出願第07/902,637号(PCT US92/069)、本出願と同日付けで出願された「脱毛の治療法」および「うつ病の治療法」と題する米国特許出願を参照のこと。また、強皮症や慢性関節リウマチのようなコラーゲンまたはフィブロネクチンの異常発現と関連した疾病および障害におけるリラキシンの使用が証拠により示唆される。
ここに提示されるように、RLFはリラキシン様の生物学的活性を有し、それゆえ、リラキシンと同様に上記疾病に関与している。さらに、RLFがリラキシンの活性を高めることが示される程度に、RLFは、リラキシンや他の物質と組み合わせて投与されるとき、上記疾病の治療にも適応される。
さらに、「リラキシン診断アッセイおよびキット」と題する本出願と同日付けの米国特許出願に詳述されるように、リラキシンの存在の検出に依存する前立腺癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌および通常の幹細胞遺伝物を有する他の癌の素因または存在を判定するための診断アッセイを、RLFの検出を当てにするように調整することもできる。癌切除後の腫瘍の転移を追跡するために、こうしたアッセイを用いてもよい。
5.6. 薬学的投与量要件、製剤および投与経路
RLFの投与量要件、製剤および投与経路を以下に述べる。
5.6.1. 有効投与量
本発明において使用するのに適した医薬組成物には、活性成分をその意図した目的を達成するのに有効な量で含有する組成物が含まれる。より具体的には、治療上有効な量は、治療しようとする患者の既存の症状の進行を防止するか、または既存の症状を軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、ここに提示される詳細な開示を考慮して、当業者の技量の範囲内である。
本発明の方法で用いるどのような化合物についても、その治療上有効な量は、最初に細胞培養アッセイから推量される。例えば、細胞培養で決定されたIC50を含む循環濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて用量を決定する。このような情報を用いて、ヒトに有効な用量をより正確に決定することができる。
治療上有効な量とは、患者の症状の緩和または生存の延長をもたらす化合物の量のことである。このような化合物の毒性および治療効力は、例えばLD50(母集団の50%致死量)およびED50(母集団の50%有効量)を決定するための細胞培養または実験動物において、標準的な薬学的手法により測定することができる。毒性作用と治療効果との用量比が治療係数であり、これはLD50とED50の比として表現される。高い治療係数を示す化合物が好適である。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータを用いて、ヒトに用いるための投与量範囲を正式に決定することができる。こうした化合物の投与量は毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度範囲内にあることが好ましい。投与量はこの範囲内で、用いる剤形および投与経路に応じて変化しうる。正確な処方、投与経路および投与量は患者の状態を考慮して医師により選択される。(例えば、Finglら,1975, In“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1, p. 1を参照のこと。)
投与量および投与間隔は、リラキシン様活性および効果を維持するのに十分な活性成分の血漿レベルを与えるように、個々に調整することができる。
リラキシンまたは他の活性物質と組み合わせた、RLFの投与は、類似の有用性をもつ薬剤の許容される投与様式のいずれによるものでもよく、全身投与によることが好ましい。
上記のリラキシン関連疾病または障害の多くを治療するためのヒト投与量レベルは、単独でまたはリラキシンとの組み合わせで投与されるRLFについて今後最適化されねばならないが、一般的に、1日分の用量は、RLFが単独でまたはリラキシンとの組み合わせで投与されるかに応じて、約0.1〜500.0μg/kg(体重)/日であり、好ましくは約6.0〜200.0μg/kg、最も好ましくは約12.0〜100.0μg/kgである。概して、妊娠中の正常な循環レベルに近いか、それより高いRLF(単独またはリラキシンとの組み合わせ)の血清濃度、すなわち、1.0ng/ml、例えば1.0〜20ng/ml、好ましくは1.0〜20ng/mlを達成することが求められる。
70kgのヒトに投与する場合、投与量範囲は約7.0μg〜3.5mg/日、好ましくは約42.0μg〜2.1mg/日、最も好ましくは約84.0〜700.0μg/日であるだろう。投与されるRLFの量は、もちろん、患者、苦痛の程度、投与方法および投与計画、そして医師の判断に左右される。一つの治療レジメは、より高い初期投与量レベル(例えば、100〜200μg/kg/日)を採用し、その後は約1.0ng/mlの定常リラキシンまたはリラキシン様血清濃度を達成するように投与量を減らしていくものである。もう一つの治療レジメ(特に産後うつ病)は、正常な妊娠レベルのリラキシン(約1.0ng/ml)を得るのに十分な量のリラキシンを投与し、その後はリラキシン血清レベルがもはや検出できなくなる(例えば、約20ピコグラム/ml以下)まで投与量を徐々に減らしていき、場合によっては、その投与量レベルに達したとき治療をやめることを伴う。
上記症状を治療するためにRLF(単独またはリラキシンとの組み合わせ)を用いる場合、薬学的に許容されるどのような投与様式を採用してもよい。RLFは単独で投与することができ、また、他の製剤上許容される賦形剤とともに、例えば錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、懸濁剤、座剤、エアゾル剤のような固体、半固体、液体またはエアゾルの剤形で投与することができる。さらに、リラキシンは所定の速度で長期間投与するための、好ましくは精確な投与量の単回投与に適した1回量剤形で投与するための、デポー注射剤、浸透ポンプ(例えば、Alza製のAlzetインプラント)、丸剤、経皮(電気輸送を含む)パッチなどを含めて、持続性または制御放出剤形(例えば、徐放性の生物分解性デリバリーシステムを使用)で投与してもよい。この組成物は典型的には慣用の製剤上の担体または賦形剤およびRLFを含有する。さらに、この組成物は他の活性物質、担体、アジュバントなどを含んでいてもよい。
本発明の好適な態様において、持続/制御放出RLF製剤は、所定の速度で次第に減少するRLFの投与量を送達するように設計された薬剤分配開口部を有する選択透過性の外側バリアーと内側のRLF含有部分(例えば、初期に約500μg/日を送達し、10μg/日の速度で減少するようにマトリックス中に約30mgのRLFを含有する)を有する。
本発明のもう一つの好適な態様において、持続/制御放出RLF製剤は、薬剤分配開口部を有する選択透過性の外側バリアー、治療有効1日量のリラキシンを定常状態で放出するように設計された第1内側リラキシン含有部分(例えば、約500μg/日の連続送達のためにマトリックス中に約50mgのリラキシンを含有する)、および第1内側部分からのリラキシンの完全放出後に開始する所定の速度で次第に減少するRLFの投与量を送達するように設計された第2内側RLF含有部分(例えば、初期に約500μg/日を送達し、50μg/日の速度で減少するようにマトリックス中に約3mgのリラキシンを含有する)を有する。
一般に、意図される投与様式に応じて、医薬として許容される組成物は重量基準で約0.1%〜90%、好ましくは約0.5%〜50%のRLFを単独でまたはリラキシンとの組み合わせで含有し、残部は適当な製剤上の賦形剤、担体などである。こうした剤形を調製するための実際的方法は知られており、当業者には自明である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 15th Edition, 1975を参照のこと。米国特許出願第08/050,745号に記載されるヒト・リラキシンの製剤が特に好適である。
局所投与または選択的吸収の場合には、薬剤の有効局所濃度は血漿濃度と関係がなくてもよい。
投与される組成物の量は、もちろん、治療すべき患者、患者の体重、苦痛の程度、投与方法および医師の判断に左右される。
5.6.2 投与経路
適当な投与経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜または腸投与を挙げることができる。非経口投与は一般に皮下、皮内、筋肉内または静脈内への注射により特徴づけられ、皮下注射が好ましい。注射剤は通常の剤形に調製され、溶液または懸濁液、注射前に液体中に溶解または懸濁するのに適した固体剤形、またはエマルジョンとして調製することができる。適当な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどである。さらに、所望により、投与される医薬組成物は少量の無毒性の補助物質、例えば湿潤剤や乳化剤、pH緩衝剤、溶解促進剤など、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、シクロデキストリンなどを含んでいてもよい。
このような非経口組成物中に含まれるRLFおよび/またはリラキシンの割合はその特定の性質だけでなく患者のニーズにも大きく左右される。しかしながら、溶液中の0.01%〜10%の活性成分の割合が使用可能であり、その組成物が上記の割合にその後希釈される固体であるときはもっと高いだろう。好ましくは、この組成物は0.2〜2%のRLFを単独でまたはリラキシンと組み合わせて含有する溶液である。
比較的最近開発された非経口投与のためのアプローチは、一定レベルの投与量が維持されるような徐放または持続放出システムの植込みを用いるものである。例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと。
また、全身的方法ではなく局所的方法で、例えば、固形腫瘍に化合物を直接(しばしばデポーまたは持続放出製剤で)注入することにより化合物を投与してもよい。
さらに、標的化ドラッグデリバリーシステムで、例えば組織特異的抗体をコーティングしたりリポソームに薬剤を保持させて、投与することもできる。リポソームは組織へ向かうよう標的化され、その組織により選択的に取り込まれるだろう。
5.6.3. 組成物/製剤
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥の諸工程を経て製造することができる。
本発明に従って用いられる医薬組成物は、かくして、医薬として使用できる製剤中の活性化合物のプロセシングを容易にする賦形剤および補助剤を含む1種以上の生理的に許容される担体を用いて慣用の方法で製剤化される。適する製剤はどのような投与経路を選択するかに依存する。
注入、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与のために化合物を製剤化しうる。注射(注入)用製剤は1回量剤形(例えばアンプル)でまたは防腐剤を添加した複数回量容器で提供することができる。この組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような剤形をとってもよく、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含むことができる。
非経口投与用の医薬組成物には水溶性の形の活性化合物を含有する水溶液がある。さらに、適当な油性の注射用懸濁液として活性化合物の懸濁液を調製してもよい。適当な親油性の溶剤またはビヒクルとして、脂肪油(例:ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例:オレイン酸エチル、トリグリセリド)またはリポソームなどがある。水性注射用懸濁液はその懸濁液の粘度を高める物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランを含んでいてもよい。任意に、この懸濁液は高濃度の溶液の調製を可能にするための化合物の溶解性を高める物質または適当な安定剤を含むことができる。
あるいはまた、活性成分は使用前に適当なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない水)により用時調製される粉剤であってもよい。
また、例えばカカオ脂や他のグリセリドのような通常の座薬用基剤を含有する、座薬または保持浣腸といった直腸用組成物として化合物を製剤化することもできる。
上記の製剤に加えて、この化合物はデポー製剤として製剤化してもよい。このような長期作用性製剤は植込み(例えば、皮下または筋肉内に)により、または筋肉内注射により投与できる。こうして、例えば、適当な高分子もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性の誘導体(例えば、難溶性の塩)として化合物を製剤化することができる。
本発明の疎水性化合物用の製剤上の担体は、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含有するコソルベント系である。このコソルベント系はVPDコソルベント系でありうる。VPDは無水エタノールの容量に対して調製された。3% w/vのベンジルアルコール、8% w/vの無極性界面活性剤ポリソルベート80、および65% w/vのポリエチレングリコール300の溶液である。VPDコソルベント系(VPD:5W)は5%デキストロース水溶液により1:1に希釈されたVPDから成る。このコソルベント系は疎水性化合物をよく溶解し、それ自体は全身投与の際の毒性が低い。当然、コソルベント系の割合はその溶解性および毒性に影響を及ぼすことなく相当に変化させることができる。さらに、コソルベント系の成分を変えてもよい。例えば、ポリソルベート80の代わりに他の低毒性の無極性界面活性剤を用いたり、ポリエチレングリコールの画分サイズを変えたり、ポリエチンレングリコールを他の生物適合性のポリマー(例:ポリビニルピロリドン)と置き換えたり、デキストロースの代わりに他の糖または多糖類を用いてもよい。
また、疎水性の医薬化合物のために他のデリバリーシステムを使用してもよい。リポソームおよびエマルジョンは疎水性薬剤のデリバリービヒクルまたは担体の公知例である。通常、より大きな毒性を犠牲にしてではあるが、ジメチルスルホキシドのような有機溶剤も使用できる。さらに、治療薬剤を含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスのような、持続放出系を用いて化合物を送達することもできる。さまざまな持続放出材料が開発されており、当業者には公知である。持続放出カプセルは、その化学的性質に応じて、数週間から100日以上にわたり化合物を放出することができる。治療剤の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のための更なる戦略を採用してもよい。
医薬組成物はまた、適当な固相もしくはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。このような担体または賦形剤の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(例:ポリエチレングリコール)があるが、これらに限らない。
RLF製剤は、ネブライザー用の鼻孔または肺吸入エアゾル剤として、または吹入用の微細粉末として気道に、単独でまたはラクトースのような不活性担体もしくは他の製剤上許容される賦形剤と共に投与することもできる。このような場合、製剤の粒子は有利には粒径が50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満でありうる。例えば、インスリンの投与方法を開示している米国特許第5,364,838号を参照のこと。この特許に記載される方法は本発明によるRLF(単独またはリラキシンとの組み合わせ)の投与に適応させることができる。
また、脱毛症のような症状を治療するために、RLFはシャンプー(例えば、タンパク質成分を含めるのに必要とされる、当業者に知られた方法により適合された、米国特許第4,938,953号に記載されるもの)またはゲル(例えば、許可された米国特許出願第08/050,745号に記載されるもの)などの頭皮への適用に適した製剤(任意に、吸収を促進するために高濃度のリラキシンを添加してもよい)として局所的に投与することもできる。
経口投与のために、活性化合物を当技術分野で公知の製剤上許容される担体と混合することにより、この化合物を簡単に製剤化することができる。このような担体は、治療される患者により経口摂取される錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などに、本発明の化合物を製剤化することを可能にする。経口用の医薬製剤は、固体の賦形剤と混合し、任意に得られた混合物を粉砕し、所望により適当な補助剤を添加した後、顆粒混合物を加工して錠剤または糖衣錠コアをつくることにより得られる。適当な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含めた糖類;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物のような充填剤である。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例:アルギン酸ナトリウム)のような崩壊剤を添加してもよい。
糖衣錠コアには適当なコーティングを施すことができる。この目的のために、濃厚な糖溶液が用いられ、この溶液は任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または混合溶媒を含んでいてもよい。識別のために、または活性化合物用量の異なる組合せを特色づけるために、錠剤や糖衣錠コーティングに色素や顔料を加えてもよい。
経口的に用いられる医薬製剤には、ゼラチン製のプッシュ−フィット(push-fit)カプセル、およびゼラチンと可塑剤(例:グリセロール、ソルビトール)から作られた軟質の密閉カプセルが含まれる。プッシュ−フィットカプセルは充填剤(例:ラクトース)、結合剤(例:デンプン)、および/または滑沢剤(例:タルク、ステアリン酸マグネシウム)、そして任意に安定剤と混合した活性成分を含むことができる。軟質カプセルでは、活性化合物を脂肪油、液状パラフィンまたは液状ポリエチレングリコールのような適当な液体に溶解もしくは懸濁させる。さらに、安定剤を加えてもよい。経口投与用の製剤はすべて、このような投与に適した投与量にすべきである。
吸入による投与のために、本発明に従って用いられる化合物は加圧パックからのエアゾルスプレーの形で、または適当な噴射剤(例:ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当なガス)を用いるネブライザーの形で便利に送達される。加圧エアゾルの場合は、投薬量単位が計測量を送りだすバルブを備えつけることにより投薬量単位を決定できる。吸入器またはインサフレーターで使用するための、化合物と適当な粉末基剤(例:ラクトース、デンプン)の混合粉末を含む、例えばゼラチン製の、カプセルおよびカートリッジを製造することもできる。
5.6.4. 包装
本組成物は、所望により、活性成分を含有する単位剤形を1個以上含むパックまたはディスペンサー器具で提供することができる。パックは例えばブリスターパックのような金属またはプラスチックフォイルより成る。投与のための説明書をパックまたはディスペンサー器具に添付してもよい。また、適当な製剤上の担体を用いて本発明の化合物を含有する組成物を調製し、適当な容器に入れ、表示してある症状の治療についてのラベルを貼ってもよい。ラベルに表示される適当な症状としては、うつ病、洞徐脈、脱毛、神経または神経変性疾患、強皮症、心臓血管系の疾患もしくは障害、または制御不能なまたは異常なコラーゲンもしくはフィブロネクチンの形成に関連した疾病の治療が含まれる。
より具体的な投与量、製剤および投与方法は米国特許第5,166,191号、米国特許出願第07/902,637号(PCT US92/06927)および第08/050,745号(許可された)および本出願と同日付けで出願された「脱毛の治療法」および「うつ病の治療法」と題する係属中の米国特許出願に含まれる情報から引き出すことができる。
6.実施例
当業者が本発明をより明確に理解しかつ実施できるように、以下に製剤例および実施例を記載する。これらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでなく、単に本発明を例示しかつ代表するものである。
6.1. RLFの合成および合成タンパク質の確認
上述したように、RLFは天然源からこのタンパク質を単離するか、RLFの推定アミノ酸配列に基づいてこのタンパク質を合成するか、または入手可能なcDNAデータに基づいてこのタンパク質を組換え的に生産することにより得ることができる。
一つのRLF合成法は次のとおりである。
材料: ペプチド合成用のL-アミノ酸誘導体は、Bachem Bioscience(Philadelphia, PA)またはBachem California(Torrance, CA)から購入した。ペプチド合成およびクロマトグラフィー用の溶剤はガラス(Burdick and Jackson; Muscagon, MI)中で蒸留し、Perkin Elmer Applied Biosystems(Foster City, CA)からペプチド合成用の化学薬品を購入した。分析級の他の化学薬品はそれ以上精製せずに使用した。
方法: RLFを合成するために次の方法に従った。
ペプチド合成: システインを除く3種すべての官能性アミノ酸のための通常のHF不安定性側鎖保護基を用いてt-ブチルオキシカルボニル1化学によりRLFタンパク質のB鎖を合成した。システインB10はアセトアミドメチル基で保護し、B23はチオール保護/活性化基[S-(3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル)](Cys B23)で保護した。メチオニンはスルホキシド形成により保護し、トリプトファンはN(in)ホルミル基で保護した。Applied Biosystemsペプチド合成機モデル430Aを使って0.4mmolのt-ブチルオキシカルボニル-アラニンを結合させた[4-(オキシメチルフェニルアセトアミドメチル]樹脂上で合成を行った。固相支持体からの脱保護および除去は、5% m-クレゾールの存在下でHF処理により行った。20%酢酸を用いて粗製タンパク質を抽出し、凍結乾燥した(収量:1.387g)。Sephadex G50-sf(2.5cm×50cm)で1M酢酸によりB鎖を精製し(収量:840mg)、続いてSynchropak RP-P(2.1cm×25cm)で50〜70mgに小分けして分離用HPLCにかけた。移動相は0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液(溶媒A)と0.1%トリフルオロ酢酸の80%アセトニトリル溶液(溶媒B)であった。カラムを20% Bで平衡化し、ペプチドを20% Bから50% Bまでの直線勾配で5ml/分の流速で1時間かけて溶出した(全収量:233mg)。アミノ酸組成:Thr 2.00(2); Ser 0.86(1); Glu 2.90(3); Gly 3.28(3); Ala 2.16(2); Cys 0.89(2); Val 3.19(3); Met 1.22(1); Leu 1.94(2); Phe 0.99(1); His 2.44(2); Lys 0.96(1); Arg 3.81(4)。
A鎖(0.25mmol)はABIペプチド合成機(モデル430A)を使ってp-ベンジルオキシベンジル樹脂上でFast-moc化学により合成した。すべての側鎖をTFA不安定性保護基で保護した。ただし、Cys(A11)はアセトアミドメチル基で保護し、Cys(A24)はHF不安定性p-メチルベンジル基で保護した。50mgのペプチジル樹脂/mlを用いて室温で90分間TFA/チオフェノール(10:1 v/v)によりA鎖を脱保護した(5)。TFAを蒸発させ、ペプチドをエーテルで沈殿させた。沈殿物を遠心により集め、上清を捨て、ペレットをエーテルで2回洗って空気乾燥した。このペプチドを水中に懸濁し、アンモニアの添加により溶解し、Sephadex G25-mで50mM NH4HCO3により脱塩した。鎖内ジスルフィド結合A10−A15の酸化を加速するため、この溶出物(100ml)に50mlのMe2SOを加えた(6)。酸化の進行をEllman反応により観察した(7)。ジスルフィド結合形成の完了後、A鎖を水に対して透析し、凍結乾燥した(収量:372.3mg)。20mgのアリコートをさらにSynchropak RP-P(10mm×250mm)で、溶媒Aとして0.1%TFA水溶液を、溶媒Bとして0.1%TFAの80%アセトニトリル溶液を用いて、分離用HPLCで精製した。カラムを30% Bで平衡化し、ペプチドを30% Bから50% Bまでの直線勾配で3ml/分の流速で30分かけて溶出した(全収量:166.5mg)。アミノ酸組成:Asp 2.20(2); Thr 3.00(3); Ser 0.99(1); Glu 1.92(2); Pro 2.20(2); Gly 1.06(1); Ala 4.18(4); Cys 1.62(4); Leu 3.60(4); Tyr 1.82(2); Arg 0.98(1)。
鎖結合のため、33.4mg(11.3μmol)のA鎖(アセトアミドメチルA10,4-メチルベンジルA24)をm-クレゾール200μlの存在下に0℃で45分間、4mlのHFで処理した。その後HFを窒素流で蒸発させ、ペプチドをエーテルで沈殿させた。ペレットを集め、KOHで減圧下に30分乾燥した。pH4.5の0.1M酢酸中の8Mグアニジニウムクロライド4ml中にモノチオールA鎖を溶解し、36.3mg(9.6μmol)のB鎖に加えた。ジスルフィド結合A24/B23を37℃で24時間かけて形成させ、得られた生成物を最初にSephadex G50-sf(カラム2.5cm×50cm)で1M酢酸により分離し(収量48.7mg,78.3%)、続いてSynchropak RP-P(10mm×250mm)で、溶媒Aとして0.1%TFA水溶液を、溶媒Bとして0.1%TFAの80%アセトニトリル溶液を用いて、分離用HPLCで精製した。カラムを30% Bで平衡化し、ペプチドを30% Bから50% Bまでの直線勾配で3ml/分の流速で30分かけて溶出した(収量34.1mg,54.8%)。
得られたペプチドは、Cys A11とCys B10の位置にアセトアミドメチル基を、Trp B27にN(in)ホルミル基を、そしてMet B5の側鎖にスルホキシドを含んでいた。第3のジスルフィド結合を形成させるために、ペプチド(9.3mg)を水(3.5ml)に溶解し、酢酸(3.5ml)と6N HCl(19.1μl)と酢酸中の50mMヨウ素(3ml)からなる攪拌溶液に加えた(8)。この反応を室温で10分行い、アスコルビン酸で停止させ、この生成物をSephadex G25-sfで1M酢酸により脱塩し、凍結乾燥した。分離用HPLC(前と同じ条件)による精製後(収量3.42mg,36.8%)、このタンパク質はTrp(B27)とMet(B5)に保護基を依然含んでいた。
完全な脱保護を行うため、最初に、ペプチド11.3mgを水/ピペリジン9:1(v/v)2mlにより室温で2分間処理した。酢酸0.4mlを用いて塩基を中和し、ペプチドを分離用HPLCで精製し、乾燥し(収量11.0mg,97.5%)、その後メチオニンスルホキシド含有ペプチド10mをTFA/0.5M NH4I水溶液9:1(v/v)1mlを用いて0℃で15分間還元した。遊離のヨウ素を0.5Mアスコルビン酸水溶液で還元し、水で希釈して反応を止めた。最終ペプチドを分離用HPLC(前と同じ条件)で回収した(収量7.57mg,75.7%)。アミノ酸組成:Asp 2.02(2); Thr 4.79(5); Ser 1.77(2); Glu 4.86(5); Pro 5.17(5); Gly 4.15(4); Ala 6.09(6); Cys 3.51(6); Val 2.86(3); Met 0.70(1); Ile 0(0); Leu 5.74(6); Tyr 2.12(2); Phe 0.98(1); His 2.00(2); Lys 1.26(1); Trp 1.00(1); Arg 5.02(5)。(全収率14.9%)。
用いたすべてのHPLCシステムの移動相は、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(溶媒A)および0.1%トリフルオロ酢酸の80%アセトニトリル溶液(溶媒B)から成る。
分離用HPLCのために、2つのポンプ(モデル6000A)と勾配プログラマー(モデル680)から成るWaters HPLCシステムを、Synchropak RP-Pカラム(C18)(SynChrom, In)およびUvicord S UV(226nm)モニター(LKB, Bromma, Sweden)と組み合わせて使用した。通常、上記のような直線勾配を用いて1〜20mgのペプチドが分離された。
分析用HPLC Iは、Applied Biosystems HPLCモデル130Aを用いてAquapore 300(C8; 2.1mm×30mm)で行った。23% Bから34% Bまでの直線勾配を用いて流速0.1ml/分、60分で分離を達成した。230nmでのUV吸収によりペプチドを検出した。
分析用HPLC IIは、Waters HPLCシステムを用いてSynchropak RP-P(C18, 4.1mm×250mm)で行った。20% Bから50% Bまでの直線勾配を用いて流速1ml/分、30分で分離を達成した。220nmでのUV吸収によりペプチドを検出した。上記HPLCは、図3に示すように、RLFの純度を証明するためにも使用できる。
上記手順に従って、または特定部位の逐次ジスルフィド結合形成(この形成を表す模式図を図2に示す)と組み合わせた他の固相法に従って合成されるRLFの一次構造を図1に示してある。
タンパク質の確認および証明: 合成されたRLFの正体を公知の技法に従って確認し、証明した。
アミノ酸分析: タンパク質の合成および精製後に、このタンパク質の正体を確認するためアミノ酸分析を行った。最初に、0.1%フェノールを含有する気相6N HCl中150℃で1時間ペプチドを加水分解した。フェニルイソチオシアネートによるカラム前修飾とHPLC(Pico.Tag system, Waters Millipore)による分離後にアミノ酸を検出した。
配列解析: このタンパク質の正体を配列解析により証明した。具体的には、このような解析はABI 477Aパルス液体タンパク質シークエンサーとインラインABI 120Aフェニルチオヒダントインアナライザー(ABI, Applied Biosystems, Foster City, CA)で行った。リラキシン様因子約10μlを、溶媒A 30μlで希釈した、3Mグアニジニウムクロライド,0.2M Tris-HCl(pH8.5)中の50mM DTT 20μl中で還元し、次にAquapore 300で分離することにより鎖を調製した(条件については分析用HPLCを参照)。
還元すると、2本の鎖が生成し、これらを分離して両鎖の配列解析を行ったところ、所望の構造を示した。
UV分光分析: 次に、合成タンパク質の構造をUV分光分析で確認した。このような分光分析は、OLIS Cary 15スペクトロフォトメーター・コンバージョン(On-Line Instrument Systems Inc., Bogart, GA)を使って行った。UV分光分析を用いてRLFタンパク質のタンパク質濃度を測定した。UV吸光度と加水分解およびアミノ酸分析後のアミノ酸の回収との直接比較により比吸光係数(ε276=1.40cm2/mg)を得た。
酸不安定性Asn-Pro結合での部分加水分解は検出されなかった。
円二色性: 合成タンパク質の正体をさらにCD分光分析で確認した。このような分光分析は0.02cmの光路長のセルを使ってJasco J-710スペクトロポーラリメーター(分光旋光計)で行った。タンパク質を25mM Tris/HCl(pH7.7)中に溶解し、UV分光分析で濃度を測定した:ブタ・リラキシンについては0.67mg/ml、リラキシン様因子については0.54mg/ml、およびヒト・リラキシンについては0.55mg/ml。スペクトルは分解能0.2nm、バンド幅2nmで測定し、5回のスペクトルの平均をとった。モル楕円率はAdlerら(9)に従って、リラキシン様因子については110.4の、ブタ・リラキシンについては113.6の、ヒト・リラキシンについては112.5の平均残重量を用いて計算した。
円二色性スペクトルの比較測定により、RLFとブタ・リラキシンの溶液構造はほぼ同一であることが示唆された。図4を参照のこと。
質量分析: 最後に、このタンパク質の正体および適切な合成を証明するために、JEOL HX110/HX110 4セクター・タンデム質量分析計(JEOL, Tokyo, Japan)を使って質量スペクトルを記録した。サンプルを0.1%トリフルオロ酢酸中に約0.8nmol/μlの濃度で溶解した。
質量分析は合成RLFの正確な質量イオンを示した(実測値:6294.6、理論値:6293.2)。
6.2. 標識RLFの製造
側鎖を保護したトリプトファンとメチオニンを含む125I標識RLFを上記の手順に従って製造することができる。その後、合成ペプチド(水5μl中に10μg)を200μlエッペンドルフバイアルに入れ、5μlのリン酸緩衝液(250mM,pH7.4)を加え、続いて2μlの125I(1mCi)および5μlのクロラミンT(リン酸緩衝液pH7.4中に2mg/ml)を加える。この反応を氷上で1分行い、5μlのチオ硫酸ナトリウム(5H2O)(リン酸緩衝液pH7.4中に50mg/ml)および5μlのNaI(リン酸緩衝液pH7.4中に20mg/ml)を添加して反応を止めた。トリプトファンの側鎖保護基を5μlのピペリジンの添加により除去した。室温で2分後、この反応を5μlの氷酢酸の添加により停止させ、反応混合物を10μlの水で希釈し、分離のためにAquapore 300カラムにかけた。タンパク質をUV吸収により検出し、ピークを1%ウシ血清アルブミン水溶液100μl中に手で集めた。
標識RLFはRLFトレーサーとして使用することができ、その後さまざまなRLF誘導体をHPLCで分離して担体フリーのトレーサーを得るために使用される。図5を参照のこと。あるいはまた、このような標識RLFは結合アッセイにおいて、またはRLF受容体マッピングのためにも使用することができる。
6.3. 受容体結合アッセイ
Lindeら,1986, J. Chromatogr. 369:327-339に記載の方法に従ってトレーサーとして125I-ヨード-TyrA14ブタ・インスリンを用いて、HockおよびHollenberg, 1980, J. Biol. Chem. 255:10731-10736に記載されるような、満期胎盤の粗膜調製物に対してインスリン受容体結合アッセイを実施した。
このアッセイはHMS緩衝液(25mM HEPES, 104mM NaCl, 5mM MgCl2, 0.2%ウシ血清アルブミン; pH7.4)中で全容量100μlにて行った。標識インスリン(50,000cpm/アッセイ,150pM)と可変量のインスリンを粗膜調製物とともに室温で1時間インキュベートした。その後、緩衝液1mlを加え、微量遠心機で14,000rpmで5分遠心して膜を集め、上清を捨て、エッペンドルフバイアルの先端部を切り取り、γカウンター(Minigamma, LKB, Sweden)で計測した。非特異的結合を測定するため、未標識インスリンを2μl/ml(0.33μM)の濃度で使用したところ、通常、非特異的結合は総結合の10%以下であった。
従来の推測に反して、RLFはどのような有意な程度にもインスリン受容体と結合しない。
6.4. リラキシン結合アッセイ
リラキシン結合アッセイは、Yangら,1992, Endocrinology 130:179-185およびBullesbachら,1994, Endocrine, 2:1115-1120に記載されるように、マウス組織の粗膜調製物を用いて行った。2匹のマウスの脳を、スクロース(最終濃度0.25M)を補充した冷却緩衝液(25mM HEPES, 0.14M NaCl, 5.7mM KCl, 0.2mMフッ化フェニルメチルスルホニルおよび80mg/mlダイズトリプシン阻害剤,pH7.5)15ml中に集めた。Polytronホモジナイザー(Brinlmann, Westbury, NY)を設定5で用いて氷上で10秒間組織をホモジナイズした。このホモジネートを4℃、700rpmで10分遠心し、上清を10,000×gで1時間再遠心した。ペレットを、1%ウシ血清アルブミンを補充した氷冷結合緩衝液(25mM HEPES, 0.14M NaCl, 5.7mM KCl, 0.2mMフッ化フェニルメチルスルホニルおよび80mg/mlダイズトリプシン阻害剤,pH7.5)15ml中に再懸濁し、10,000×gで1時間遠心した。粗膜調製物を結合緩衝液1ml中に懸濁し、アッセイあたり40μlを使用した。アッセイではトレーサー(約100,000cpmのブタ・リラキシントレーサー=150pM)40μlと様々な濃度のリラキシン20μlを使用し、室温で1時間インキュベートした。この懸濁液を洗浄緩衝液(25mM HEPES, 0.14M NaCl, 5.7mM KCl, 1%ウシ血清アルブミン,0.01% NaN3)1mlで希釈し、エッペンドルフ遠心機で14,000rpmで10分遠心した。上清を捨て、バイアルの先端を切り取り、γカウンターで計測した。2μl/mlの未標識競合物質(0.33μM)の存在下で非特異的結合を測定した。典型的な実験では、特異的結合は総結合の25%〜40%であった。
脚の筋肉、腎臓、肝臓、脳および子宮(エストロゲン感作マウス由来)の粗膜調製物を用いて、組織特異性を調べた。リラキシンについて記載したとおりに粗膜調製物を調製した。結合はLowryにより測定されるタンパク質濃度に基づいていた。
上記のアッセイに従うと、100倍過剰のヒトRLFはマウス脳リラキシン受容体調製物からリラキシントレーサーの50%を置換する。親和性の差はまだ特異的結合の範囲内であり、すなわち、この受容体へのインスリンまたはモルモット・リラキシンの結合より数桁高く(一般的には、Bullesbachら,1994, Endocrine, 2:1115-1120を参照)、このことはRLFがリラキシン受容体を認識することを示す。
上で述べたように、この結果は予想外のことであった。なんとなれば、RLF中の重要なArg XXX Arg配列が二重らせんのまさに一つのターンによってB鎖のC末端の方にずれているからである(図1参照)。
脳、子宮、骨格筋、腎臓および肝臓のような、トレーサーとして125I−RLFを用いて試験した組織のうち、脳と子宮の膜調製物のみが特異的結合を示した(図6参照)。これらは競合的かつ飽和的な方法でリラキシンと結合する組織である。交差反応性を試験するため、トレーサーおよび交換される競合性の未標識分子を用いてアッセイを行った。このようなアッセイから得られた結果を以下の表に示す。
Figure 0003830520
pRLX=ブタ・リラキシン、hRLX=ヒト・リラキシン
pRLF=ブタRLF、hRLF=ヒトRLF
これらの結果から、このような組織にRLFそれ自体の受容体があり、リラキシン受容体はRLFにより認識されるがリラキシンより著しく低い親和性をもつことが強く示唆される。さらに、これらのデータからは脳と子宮のリラキシン受容体が交差反応性に関して異なることが支持される。特に、子宮のリラキシン受容体はめったにRLFを認識しないのに対して、脳の受容体は中くらいの交差反応性を示す。一般に、RLF受容体は、リラキシンに対するリラキシン受容体の親和性よりも高い親和性でもってその基質と結合する。
6.5. 精子運動性アッセイ
リラキシンとリラキシン様活性をもつタンパク質は精子運動性アッセイで同定することができる。
材料および方法: 健康なボランティアからマスターベーションにより精液を入手する。このサンプルを室温で液化させ、Hepes緩衝液を加えた最少培地(MEM)と混合する。この培地を用いるのは、MUSCにおいてin vitroクリニックにより使用された洗浄培地と一致するからである。次に、遠心により精液とMEMから精子を分離する。その後、得られた精子ペレットを室温でMEMに再懸濁する。シリコーン処理した遠心チューブにアリコートを入れ、数種の化合物のうちの1つを加える: 1)ヒト・リラキシン10ng/ml,2)ヒト・リラキシン100ng/ml,3)リラキシン様因子10ng/ml,4)リラキシン様因子100ng/ml,5)ペントキシフィリン(pentoxyfyline)で1:8に希釈したアカエイ由来のアルカリ腺液の一画分。添加物を精子/培地混合物と十分に混合する。0、2、4、6および24時間間隔で次のパラメーターの自動測定のためにサンプルを採取する:
1)運動性、2)前進性、3)経路速度、4)前進速度、5)軌道スピード、6)伸長、7)外側置換(lateral displacement)、8)クロスビート頻度、9)一直線性、10)直線性。簡単に述べると、各サンプルをMaker加熱標本チャンバーに入れ、レーザー・ドップラー・オプチクス(IVOS, Beverly, MA)を装備した光学顕微鏡で観察する。約3分で得られたサンプル読取り値と結果はハードコピーの形で表示される。
実験結果: 洗浄したヒト精子に添加されたヒト・リラキシンおよびRLFは、未処理対照(運動性それゆえ受精能が時間経過につれて衰退する)と比べて運動性を持ち続ける。リラキシンの高用量と低用量との間で運動性に対するその効果に本質的な差はなかった。RLFはどちらの用量でも精子の運動性を維持するのにリラキシンと同程度の効力があった。両化合物の最もきわだった効果は4時間目に生じ、その時の運動性はそれまでと同じか、または増加していた。
相加効果があるか否かを調べるため、リラキシンとリラキシン様因子を組み合わせて使用した。そのような効果はまったく観察されなかった。
上記化合物の全部をHPLCからのアカエイ・アルカリ腺液(AGF)に対して比較した。AGFは最初の2期間で精子の運動性を顕著に増加してその後維持し、最後の3期間で約10%高かった。
6.6. ヒト肺繊維芽細胞によるコラーゲンおよびフィブロネクチンの発現のin vitro阻害
RLFがコラーゲンとフィブロネクチンの発現を阻害するかをヒト肺繊維芽細胞に関して研究した。具体的には、無血清培地中のヒト肺繊維芽細胞にRLF(1〜100ng/ml)を加え、アスコルベートとβ-アミノプロピオニトリルの存在下に3H-プロリンで生合成的に標識することによりコラーゲンの分泌についてアッセイした。TGF−βで刺激した肺繊維芽細胞において試験するとき、いろいろな用量レベルでコラーゲンの発現を阻害するRLFの能力を調べることができる。ならし培地中の、もう一つの細胞外マトリックス分子であるフィブロネクチンの存在は、生合成標識化だけでなく、抗フィブロネクチンポリクローナル抗体を用いるウエスタンイムノブロットでも評価した。
6.7. 滑膜繊維芽細胞によるコラーゲンおよびフィブロネクチンの発現のin vitro阻害
肩の外傷や大関節の外科的介入は、多くの場合滑膜または関節組織への過度の繊維性応答のため、運動の制限を伴うことがしばしばある。滑膜繊維芽細胞のような、細胞外マトリックス産生細胞は退化や修復の両極端に影響を及ぼす能力がある。コラーゲン、フィブロネクチンや他の細胞外マトリックス分子の過剰生産は、トランスフォーミング成長因子TGF−βのようなサイトカインの局所発現が原因になることがある。リラキシンが用量依然的にTGF−β刺激コラーゲン発現を100ng/mlの用量で30%まで、そしてフィブロネクチン発現を30%まで低減できることがで検証された程度に、RLFもコラーゲンとフィブロネクチンの発現の調節および制御に関与している。
このような仮説を試験するため(滑膜繊維芽細胞により発現されるコラーゲンとフィブロネクチンをダウンレギュレートするRLFの能力を調べるため)、リウマチ様滑膜の切片からの繊維芽細胞を培地に移植し、I型およびII型コラーゲンの発現を刺激するためにTGF−β(1ng/ml)で処理した。TGF−βは、3H-プロリン取り込みで生合成的に標識して測定したとき、前記タンパク質レベルでコラーゲン発現をアップレギュレートした。より具体的には、ヒト滑膜繊維芽細胞におけるコラーゲン、フィブロネクチンおよびプロコラゲナーゼの発現を調節するRLFの能力を調べるため、次の実験を行った。
6.7.1. コラーゲン発現の阻害を測定するアッセイ
コラーゲン発現をin vitroで調節するRLFの能力を調べるため、UnemoriおよびAmento, 1990, J. Biol. Chem. 265:10681-685に記載されるリラキシンの存在下でのコラーゲンの生成を検出・測定する方法を次のように改良した。
材料および方法: 10%ウシ胎児血清を補充したダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)を入れた組織培養皿に6.25×104個/cm2の密度でリウマチ様滑膜繊維芽細胞(菌株番号RSF64)をまいた。24時間後、細胞を洗い、リラキシン、RLFおよび/またはトランスフォーミング成長因子(TGF−β)を含有する0.2%ラクトアルブミン加水分解物を補充したDMEMで処理した。
同時に、アスコルベートとBAPNの存在下に3H-プロリン(25μCi/ml)を用いて細胞を生合成的に標識した。24時間後、ならし培地を集め、還元性条件下で4〜12%ポリアクリルアミドゲル(NOVEX)で電気泳動を行った。ゲルを増感し、乾燥し、X線フィルムに1〜2週間露出した。コラーゲンバンドが95〜200kDaの細菌コラゲナーゼ感受性プロリン取り込みバンドとしてX線フィルム上に同定された。バンドの密度を走査型デンシトメーターにより定量し、コラーゲン発現の概算値として用いた。
実験結果: 上記のプロトコールを使って、RLFはコラーゲン発現を独立して低減させることが判明した。具体的には、TGF−βでの繊維芽細胞処理は未処理の繊維芽細胞による発現量に対してコラーゲン発現を3.75倍増加させた。その後、TGF−β処理繊維芽細胞にRLF(100ng/ml)を添加すると、TGF−β刺激したコラーゲン発現が17%減少した。これに対して、リラキシン(100ng/ml)を添加すると、TGF−β刺激コラーゲン発現が9%減少した。
さらに、RFLとリラキシンは一緒になって相乗的にコラーゲン発現を低下させることがわかった。詳細には、TGF−β刺激細胞をRLF(100ng/ml)とリラキシン(100ng/ml)で処理すると、コラーゲン発現が39%減少した。
6.7.2. フィブロネクチン発現の阻害を測定するアッセイ
フィブロネクチンの発現をin vitroで調節するRLFの能力を調べるため、UnemoriおよびAmento, 1990, J. Biol. Chem. 265:10681-685に記載されるリラキシンの存在下でのコラーゲンの生成を検出・測定する方法を次のように改良した。
材料および方法: 具体的には、第6.7.1.節に記載した方法を用いて、フィブロネクチンのバンドをサイズ(220kDa)、細菌コラゲナーゼ抵抗性、および市販のポリクローナル抗フィブロネクチン抗体(Promega)を用いる陽性染色により同定した。フィブロネクチンのバンドをデンシトメーターで走査し、発現レベルを概算した。
実験結果: 上記のプロトコールを使って、RLFはフィブロネクチン発現を独立して低減させることが判明した。具体的には、TGF−β処理繊維芽細胞にRLF(100ng/ml)を添加すると、TGF−β刺激フィブロネクチン発現が17%減少した。
6.8. 滑膜繊維芽細胞によるプロコラゲナーゼ発現のin vitro刺激
プロコラゲナーゼの生成を検出・測定する方法は、Unemoriら,1991, J. Biol. Chem. 266:23477-482に記載されている。RLFの存在下でプロコラゲナーゼの発現を測定するために、この方法を次のように改良した。
材料および方法: 10%ウシ胎児血清を補充したDMEMを入れた組織培養皿に6.25×104個/cm2の密度でリウマチ様滑膜繊維芽細胞(菌株番号RSF112)をまいた。24時間後、細胞を洗い、1、10および100ng/mlのリラキシンを含有する0.2%ラクトアルブミン加水分解物を補充したDMEMで処理した。ならし培地を集め、アリコートをゼラチンザイモグラフィーで分析した。プロコラゲナーゼは52/57kDaのゼラチン分解性ダブレットとして同定された。このダブレットの強度(すなわち、発現されたプロコラゲナーゼの量)を走査型デンシトメーターで定量した。
実験結果: RLFは用量依然的にプロコラゲナーゼの発現を刺激し、リラキシンにより誘導されたものに匹敵した。1、10および100ng/mlのRLFはプロコラゲナーゼの発現を0、2.0および4.2倍刺激した。リラキシンは等量でプロコラゲナーゼの発現を0、1.6および4.9倍誘導した。
6.9. サイクリックAMP放出バイオアッセイ
cAMPアッセイはAmersham Corporationから販売されている競合イムノアッセイである。
材料および方法: RLFにより誘導されるcAMP放出を調べるため、DMEM/F12+10%ウシ新生児血清を加えた96ウェルプレートに正常ヒト子宮内膜細胞を1.2×104個/ウェルで増殖させた。24時間後、DMEM/F12+0.2%ラクトアルブミン加水分解物から成る無血清培地で細胞を洗った。24時間後、イソブチルメチルキサンチンとホルスコリン(forskolin)の存在下にリラキシンおよび/またはRLFで細胞を処理した。細胞溶解物を0.1N HClにより収穫し、0.1N NaOHで中和し、その後イムノアッセイ(Amersham Corp)でアッセイした。
実験結果: リラキシンを0.78ng/mlでアッセイしたとき、子宮内膜細胞溶解物中に86pMのcAMPが測定された。RLF(2.5μg/ml)を同時に添加すると、470pMのcAMP、および5倍のcAMP生産の増加、が測定された。3.12ng/mlのリラキシン濃度をRLF(2.5μg/ml)の存在下または不在下で試験したときには、リラキシン単独のときと比べてリラキシン+RLFの場合に2倍の増加が測定された。
6.10. マウス恥骨結合アッセイ
マウス恥骨間靱帯アッセイは本質的にSteinetzら,1960, Endocrinology 67:102-115に記載されるように行った。卵巣を摘出したバージンの雌マウスをゴマ油100μl中のエストロゲン・シピオネート(cypionate)5μgでプリントした。5日後、マウスに0.1%ベンゾプルプリン4B 100μl中のヒト・リラキシン、RLF、またはヒト・リラキシンとRLFの混合物を皮下注射した。具体的には、1群5匹の動物に、図8に示すように、最適量以下のヒト・リラキシン、または0.2μg、0.4μgおよび0.8μgのヒト・リラキシンと5μgのRLFの混合物を投与した。陰性対照として、0.1%ベンゾプルプリン4B水溶液100μlを注射した。16時間後、マウスをCO2の雰囲気下で殺し、フリーに解剖された恥骨結合、および恥骨間の骨の距離を透視用光ファイバーを備えた解剖顕微鏡を使って測定した。
RLFはマウスバイオアッセイにおいてヒト・リラキシンの活性を顕著に高めた。0.5μgのヒト・リラキシンの存在下でRLF濃度を高めていくと、5μgのRLFが最適であることがわかった(図9)。再度RLFの効果が明らかに認められた。次のアッセイでは、リラキシン単独、RLF単独、および両者の最大量を比較した(図7)。RLF単独では効果がなかったが、最大量のリラキシン効果はRLFによってさらに増加した。
本発明は、本発明の一態様を例示した具体例によりその範囲を制限されるものではない。機能的に均等な方法は本発明の範囲に含まれるものとする。実際、ここに開示したもののほかに、本発明のさまざまな変更が上記の説明および添付の図面から当業者には明らかになろう。このような変更は次の請求の範囲に含まれるものである。
本明細書中に引用した文献はすべて、その全体を参考としてここに組み入れる。さらに、下記の刊行物は本発明のさまざまな態様との関連において興味のもてるものであり、開示の一部としてここに組み入れる。
Figure 0003830520
Figure 0003830520

Claims (11)

  1. リラキシンによる治療が可能な症状の治療用の医薬品の製造におけるA鎖とB鎖を含んでなるリラキシン様因子の使用であって、
    前記A鎖が次のアミノ酸配列:
    Ala-Ala-Ala-Thr-Asn-Pro-Ala-Arg-Tyr-Cys-Cys-Leu-Ser-
    Gly-Cys-Thr-Gln-Gln-Asp-Leu-Leu-Thr-Leu-Cys-Pro-Tyr
    またはそのN末端から最大6個のアミノ酸がおよび/またはそのC末端から最大6個のアミノ酸が切断されたアミノ酸配列を有し、
    前記B鎖が次のアミノ酸配列:
    Pro-Thr-Pro-Glu-Met-Arg-Glu-Lys-Leu-Cys-Gly-His-His-
    Phe-Val-Arg-Ala-Leu-Val-Arg-Val-Cys-Gly-Gly-Pro-Arg-
    Trp-Ser-Thr-Glu-Ala
    またはそのN末端から最大5個のアミノ酸がおよび/またはそのC末端から最大5個のアミノ酸が切断されたアミノ酸配列を有し、
    A鎖とB鎖がA11とB10の間でジスルフィド結合により連結されており、前記リラキシン様因子はリラキシンが結合している受容体から結合リラキシントレーサーを置換することができる、
    前記使用。
  2. リラキシン様因子のA鎖の5'末端から0〜6個のアミノ酸が欠失されており、かつリラキシン様因子のA鎖の3'末端から0〜6個のアミノ酸が欠失されている、請求項1に記載の使用。
  3. リラキシン様因子のB鎖の5'末端から0〜5個のアミノ酸が欠失されており、かつリラキシン様因子のB鎖の3'末端から0〜5個のアミノ酸が欠失されている、請求項1に記載の使用。
  4. 症状が心臓血管系の疾患、神経変性または神経疾患、洞徐脈、うつ病、脱毛、および制御不能なまたは異常なコラーゲンもしくはフィブロネクチン形成に関連した疾患よりなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
  5. 制御不能なまたは異常なコラーゲン形成に関連した疾患が強皮症である、請求項4に記載の使用。
  6. 請求項1に記載のリラキシン様因子および製剤上許容される賦形剤を含有する、医薬組成物。
  7. リラキシンまたはリラキシン類似体をさらに含有する、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. リラキシン様因子の量がリラキシンまたはリラキシン類似体の量よりも6.25〜25倍高い、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. リラキシン様因子が、リラキシンによる治療が可能な症状を有する被験者に0.1〜500μg/kg(体重)/日の用量を与えるのに十分な量で存在する、請求項7に記載の医薬組成物。
  10. 標識因子を膜調製物に結合させ、そして過剰な未標識因子による標識因子の置換を測定することを含む結合アッセイにおいてリラキシン様因子を使用する方法であって、少なくとも1つの標識もしくは未標識因子が請求項1に記載のリラキシン様因子である、前記方法。
  11. リラキシン受容体マッピングにおいて請求項1に記載のリラキシン様因子を使用する方法であって、該リラキシン様因子を標識し、そして該標識リラキシン様因子によるリラキシン様因子受容体への結合をアッセイすることを含む、前記方法。
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