JP3830372B2 - セラミック回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック基板の両面に金属回路板を取着し、それらをセラミック基板の内部に配置した金属柱により接続したセラミック回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーモジュール用基板やスイッチングモジュール用基板等の回路基板として、セラミック基板上に被着させたメタライズ金属層に銀−銅合金等のロウ材を介して銅等から成る金属回路板を接合させたセラミック回路基板や、セラミック基板上に銀−銅共晶合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウムあるいはその水素化物を添加した活性金属ロウ材を介して銅等から成る金属回路板を直接接合させたセラミック回路基板、あるいはセラミック基板上に銅板を載置して加熱し、セラミック基板と銅板とを直接接合させた、いわゆるDBC(Direct Bond Copper)法によって作製されたセラミック回路基板が用いられている。
【0003】
また、これら各セラミック回路基板は、金属回路板の実装密度を高めるために、セラミック基板の上下両面に金属回路板を接合させておき、これら上下両面の金属回路板間をセラミック基板に設けた貫通孔内に配置した金属柱により電気的に接続することが行なわれている。
【0004】
なお、これらセラミック回路基板、例えばセラミック基板上に活性金属ロウ材を介して銅等から成る金属回路板を直接接合させたセラミック回路基板は、一般に酸化アルミニウム質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・窒化珪素質焼結体・ムライト質焼結体等の電気絶縁性のセラミックス材料から成り、厚み方向に貫通する貫通孔を設けたセラミック基板を準備し、次にこのセラミック基板の貫通孔内に金属柱を配置し、銀ロウ粉末(銀と銅との合金粉末)に有機溶剤や溶媒を添加混合して得たロウ材ペーストを金属柱両面に塗布するとともに、セラミック基板上に間に銀−銅合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウムおよびこれらの水素化物の少なくとも1種を添加した活性金属ロウ等のロウ材を挟んで所定パターンの金属回路板を載置当接させ、しかる後、これを還元雰囲気中にて約900℃の温度に加熱し、ロウ材ペーストおよびロウ材を溶融させて、メタライズ金属層と金属回路板とを活性金属ロウ材を介して、および金属回路板と金属柱とを銀ロウ等のロウ材を介して接合することによって製作される。
【0005】
このように製作されたセラミック回路基板は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor - Field Effect Transistor)等の半導体素子等の電子部品を半田等の接着剤を介して実装した後、外部入出力用の端子が一体成型された樹脂ケースに組み立てられ、半導体モジュールとなる。この半導体モジュールは、ロボット等の産業機器から電車の駆動部や電気自動車等の幅広い用途に使用され、厳しい環境下での高い信頼性が要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセラミック回路基板は、セラミック基板の表面の貫通孔外周まで金属回路板接合用ロウ材を取着して金属回路板を接合するため、金属柱と金属回路板との接合部からセラミック基板と金属板との接合部までの間隔がほとんどないものであった。そのため金属回路板接合時の熱履歴または接合後の半導体素子の動作時に発する熱や環境変化等により回路基板に熱サイクルが加わると、金属柱の熱膨張とセラミック基板の熱膨張との差によって金属柱が上下の金属回路板を凹ませるあるいは押し上げることとなり熱応力が発生するが、このとき金属柱との接合部とセラミック基板との接合部の間に位置する金属回路板が小さいため、金属回路板の撓み量が小さく、熱応力を吸収できず、この熱応力によりセラミック基板の貫通孔周辺にクラックが発生し易いという問題点があった。
【0007】
この問題に対して、貫通孔と金属柱との間に間隔を設け、金属回路板の熱応力を吸収するための部分を増やしても、セラミック基板の貫通孔周辺におけるクラックの発生を充分に抑えることができない場合があった。これは、セラミック基板へ貫通孔を形成する工程は、グリーンシートの状態での打ち抜き法が一般的であるが、この際に貫通孔周辺にマイクロクラックが発生し、焼成後の基板でも約50μm以下のマイクロクラックとして残存するからであると考えられる。つまり、前述した貫通孔周辺に発生する熱応力の集中し易い部分にマイクロクラックが存在していることとなり、このマイクロクラックが起点となりクラックが発生してしまうからである。
【0008】
また、セラミック基板にロウ材を取着する工程は、通常はスクリーン印刷によりロウ材ペーストをセラミック基板上に塗布する方法が用いられるが、貫通孔の外周まで塗布しようとすると、セラミック基板内の貫通孔の位置精度やスクリーン印刷の精度またはロウ材ペーストの粘度によっては、貫通孔内へロウ材ペーストが塗布されたり、貫通孔内へロウ材ペーストが垂れ込んだりしてしまうという問題点があった。
【0009】
このような状態でロウ材を加熱溶融すると、このロウ材と金属柱の上下面に取着されたロウ材とが融合してそれぞれのロウ材の本来の組成が失われ、接合不良やロウ材の電気抵抗の上昇といった不具合が発生してしまう。また、金属柱と貫通孔の内壁との間にロウ材が介在することとなり、金属柱の径方向の熱膨張とセラミック基板の貫通孔の熱膨張との差により貫通孔を押し広げるような熱応力が発生し、セラミック基板の貫通孔周辺にクラックや割れを発生させやすくなる。
【0010】
さらには、上述したような貫通孔を形成するための打ち抜き工程では貫通孔の周辺にはバリが発生し、焼成後のセラミック基板は貫通孔の周辺部が盛り上がった形状となる場合がある。このような状態で貫通孔の外周までロウ材ペーストを塗布すると、この盛り上がったバリ部分にまでロウ材ペーストを塗布することとなり、塗布されたロウ材ペースト上に金属回路板を載置する際に、金属回路板が貫通孔の周辺以外のロウ材と接しにくくなり、金属回路板とセラミック基板との間のロウ材中にボイドが発生するなどして接合不良になりやすいという問題点があった。
【0011】
これらのような問題点があると、金属回路板とセラミック基板との接合不良により金属回路板上に搭載された半導体素子等の発生する熱を逃がすことができなくなり、貫通孔を起点とするクラックによりセラミック回路基板の強度および絶縁耐圧特性が低下し、金属柱と金属回路板との接続部におけるロウ材の組成変化による接続不良や電気抵抗上昇により接続部が発熱してしまい、結果として半導体素子等の電子部品を正常に安定して作動させることができなくなってしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は以上のような従来の技術の問題点を解決すべく案出されたものであり、その目的は、貫通孔の周辺にクラックの発生がない、金属回路板とセラミック基板との接合および金属柱と金属回路板との接合が良好な、信頼性の高いセラミック回路基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック回路基板は、貫通孔を有するセラミック基板の前記貫通孔内に金属柱を配置し、前記セラミック基板の両面にそれぞれ前記貫通孔を塞ぐように第1のロウ材を介して金属回路板を取着するとともに前記金属柱と前記金属回路板とを第2のロウ材を介して接合して成り、前記第1のロウ材が前記貫通孔の外周よりも100μm以上外側に配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のセラミック回路基板によれば、金属回路板とセラミック基板とを接合するための第1のロウ材をセラミック基板の貫通孔の外周よりも100μm以上外側に配置したことから、金属柱の熱膨張とセラミック基板の熱膨張との差による熱応力がセラミック基板の貫通孔の周辺のマイクロクラックに作用してセラミック基板にクラックや割れを発生させることがなくなり、また製造工程において第1のロウ材が貫通孔内に垂れ込んで、金属回路板と金属柱とを接合するための第2のロウ材と融合してロウ材の組成が変化することがないので、金属回路板とセラミック基板および金属回路板と金属柱との接合が良好で、搭載される半導体素子等の電子部品を正常かつ安定に作動させることのできる信頼性の高いセラミック回路基板を得ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態の例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明のセラミック回路基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、1はセラミック基板、2は第1のロウ材、3は金属回路板、4はセラミック基板1の貫通孔、5は金属柱、6は第2のロウ材である。このセラミック回路基板は、セラミック基板1の上下両面に所定パターンの金属回路板3が第1のロウ材2を介して取着されており、同時にセラミック基板1に設けた厚み方向に貫通する貫通孔4内に金属柱5がその両端面を第2のロウ材6を介して金属回路板3に接合されて配置されているものである。
【0017】
セラミック基板1に設けた貫通孔4内に配置されている金属柱5は、その両端が金属回路板3に第2のロウ材6を介して接合されており、これによってセラミック基板1の上下両面に取着されている金属回路板3は金属柱5およびロウ材6を介して電気的に接続されることとなる。
【0018】
貫通孔4を有するセラミック基板1は、酸化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・窒化珪素質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・炭化珪素質焼結体等の電気絶縁材料で形成されている。例えば、窒化珪素質焼結体から成る場合であれば、窒化珪素・酸化アルミニウム・酸化マグネシウム・酸化イットリウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・可塑剤・溶剤を添加混合して泥漿状となすとともに、この泥漿物に従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、次にこのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して所定形状となすとともに、必要に応じて複数枚を積層して成形体となし、しかる後、これを窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気中にて1600〜2000℃の温度で焼成することによって製作される。
【0019】
金属回路板3は銅もしくはアルミニウムから成り、銅もしくはアルミニウムのインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すことによって、例えば500μmの厚みで、所定パターンに形成される。
【0020】
金属回路板3が銅から成る場合は、これを無酸素銅で形成しておくことが好ましい。特に、第1のロウ材2が活性金属ロウ材から成る場合は、無酸素銅は第1のロウ材2を介してセラミック基板1に取着する際に銅の表面が銅中に存在する酸素により酸化されることなく活性金属ロウ材との濡れ性が良好となるので、金属回路板3のセラミック基板1への活性金属ロウ材を介しての取着接合が強固となる。従って、金属回路板3は、銅から成る場合はこれを無酸素銅で形成しておくことが好ましい。
【0021】
金属柱5は、比抵抗が3μΩ・cm以下と非常に小さい良導電性の銅(1.72μΩ・cm)もしくはアルミニウム(2.65μΩ・cm)等により形成しておくと、金属柱5に大きな電流が流れたとしても金属回路板3・金属柱5およびその接続部分からジュール熱による大量の熱が発生することがなく、その結果、金属回路板3上に半田等の接着材を用いて接着固定される半導体素子等の電子部品を常に適温として、長期間にわたって正常かつ安定に作動させることが可能となる。
【0022】
また、金属柱5は、銅から成る場合にはこれを無酸素銅で形成しておくことが好ましい。これは、特に第1のロウ材2が活性金属ロウ材から成る場合は、ロウ付けの際に金属回路板3の表面が金属柱5の銅中に存在する酸素により酸化されることがなく、第1のロウ材2との濡れ性が良好となり、金属回路板3のセラミック基板1への第1のロウ材2を介しての接合が強固となるからである。
【0023】
金属柱5の長さはセラミック基板1の厚みに対して0〜150μm短いものとすることが好ましい。金属柱5がセラミック基板1の厚みより長いと、金属柱5が上下に取着された金属回路板3を突き上げてしまい、セラミック基板1と上下の金属回路板3とが良好に接合されなくなってしまう。また、セラミック基板1の厚みに対して150μmより短いと、金属柱5に多くのロウ材6を被着させる必要がありコストアップになる他、ロウ材6を加熱溶融した際に金属柱5が上下に移動したり傾いたりして、金属柱5と金属回路板3とを良好に接合することが困難となる傾向がある。
【0024】
第1のロウ材2は、セラミック基板1に第1のロウ材2を介して直接に金属回路板3をロウ付けする場合であれば、活性金属ロウ材が用いられる。活性金属ロウ材は、金属回路板3が銅から成る場合であれば、銀−銅共晶合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウム等の金属もしくはその水素化物を2〜5重量%添加させたものが用いられ、また金属回路板3がアルミニウムから成る場合であれば、アルミニウム−シリコン共晶合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウム等の金属もしくはその水素化物を2〜5重量%添加させたものが用いられる。また、セラミック基板1の表面に予めタングステンまたはモリブデン等のメタライズ金属層を被着させておき、このメタライズ金属層に金属回路板3をロウ材を介して接合させる場合であれば、活性金属成分であるチタン・ジルコニウム・ハフニウム等の金属もしくはその水素化物を含まない、銀ロウ材またはアルミニウムロウ材が用いられる。
【0025】
第2のロウ材6は、金属回路板3が銅から成る場合であれば、銀−銅共晶合金から成る銀ロウ材が、また金属回路板3がアルミニウムから成る場合であれば、アルミニウム−シリコン共晶合金から成るアルミニウムロウ材が用いられる。また、第2のロウ材6は貫通孔4の内部に配置され、金属柱5と金属回路板3とを接合するものであり、第1のロウ材2とは区別されて配置されている。
【0026】
本発明のセラミック回路基板においては、第1のロウ材2が貫通孔4の外周よりも100μm以上外側に配置されることが重要である。これは、セラミック基板1の貫通孔4の周辺には約50μm以下のマイクロクラックが存在するからである。第1のロウ材2を貫通孔4の外周から100μmより内側に配置すると、セラミック基板1の熱膨張率と金属柱5の熱膨張率との差に起因する熱応力が貫通孔4周辺の第1のロウ材2の端部に集中し易いので、この熱応力がマイクロクラックに作用してマイクロクラックが起点となりクラックや割れが発生してしまうからである。よって、このマイクロクラックに熱応力が作用することのないように、第1のロウ材2は貫通孔4の外周から100μm以上外側に配置されることが重要である。
【0027】
また、第1のロウ材2を貫通孔4の外周より100μm以上外側に配置することにより、セラミック基板1にスクリーン印刷により第1のロウ材2から成るロウ材ペーストを印刷塗布する際のロウ材ペーストの貫通孔4への垂れ込みを防止することが可能となり、さらにはセラミック基板1の貫通孔4付近にグリーンシートの打ち抜きによって発生する盛り上がったバリ部分がある場合に、この部分を避けて第1のロウ材2が塗布されることとなるので、金属回路板3と第1のロウ材2のペーストとの間にボイド等の欠陥をもった接合不良が発生することを防止することが可能となる。
【0028】
貫通孔4の内壁面と金属柱5の外壁面との間の空間の幅(貫通孔4の半径と金属柱5の半径との差に相当する)は、30〜200μmの範囲としておくことが好ましい。これは、この空間の幅が30μm未満の場合は、セラミック回路基板に熱が加わった際に、セラミック基板1と金属柱5との熱膨張係数の差によって膨張した金属柱5の外壁面がセラミック基板1の貫通孔4の内壁面を押し広げようとするのをセラミック基板1の貫通孔4の内壁面と金属柱5の外壁面との間にある空間で確実に吸収することが困難となり、金属柱5の外壁面がセラミック基板1の貫通孔4の内壁面を押し広げてしまい、セラミック基板1にクラックや割れを発生させてしまうことがあるためである。また、この空間の長さが200μmを超えた場合は、セラミック基板1の貫通孔4にロウ材6付き金属柱5を挿着する際に、ロウ材6付き金属柱5が傾いてしまい金属回路板3をセラミック基板1と確実に接合できなくなることがあるためである。
【0029】
貫通孔4を有するセラミック基板1への第1のロウ材2を使用しての金属回路板3の取着は、以下のようにして行なわれるとよい。
【0030】
まず、例えば金属回路板3が銅から成り、第1のロウ材2が活性金属ロウ材から成る場合であれば、銀−銅共晶合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウム等の金属もしくはその水素化物を2〜5重量%添加させたものに有機溶剤・溶媒を混合して第1のロウ材ペーストを作製し、次にセラミック基板1の上下両面にこの第1のロウ材ペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用することによって約10〜40μmの厚みで所定パターンに印刷塗布する。
【0031】
次に、セラミック基板1の貫通孔4内に第2のロウ材6付き金属柱5を挿入配置するとともに、セラミック基板1の上下両面に印刷塗布されている第1のロウ材ペースト上に金属回路板3を載置し、しかる後、これを真空中もしくは中性または還元雰囲気中にて、所定温度(銅の場合は約900℃)で加熱処理し、第1のロウ材ペーストおよびロウ材付き金属柱の両端面に被着されたロウ材6を溶融せしめ、溶融した第1のロウ材2でセラミック基板1と金属回路板3を、第2のロウ材6で金属回路板3と金属柱5とを接合させる。
【0032】
上述した製造方法において、第2のロウ材6付き金属柱5は、セラミック基板1の厚みに対して0〜150μm短い金属柱5の両端に第2のロウ材6を被着して、セラミック基板1の厚みに対して40〜140μm長くしたものがよい。これは、金属柱5の長さがセラミック基板1の厚みよりも0〜150μm短いと、前述したように金属柱5が上下に取着された金属回路板3を突き上げることがなく、セラミック基板1とその両面の金属回路板3との良好な接合を損なうことがないからであり、また、ロウ材6付き金属柱5の長さがセラミック基板1の厚みに対して40〜140μm長いと、その両端のロウ材6が確実に上下の金属回路板3と接触し、その後の溶融工程で金属柱5と金属回路板3とがロウ材6を介して確実に接合され、信頼性の高い電気的接合が得られるからである。
【0033】
ロウ材6付き金属柱5は、例えば、銅もしくはアルミニウムのインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法・引き抜き加工法等の従来周知の金属加工法を施すことによって円柱状に形成して金属柱5を作製し、その後、金属柱5の上下両端面に、銅の場合には銀ロウ材を、アルミニウムの場合にはアルミニウムロウ材を被着させて作製される。また、他の方法としては、ロウ材/銅板もしくはアルミニウム板/ロウ材の順で積層し、圧延加工法によって所定の厚みにしたものに打ち抜き加工法・引き抜き加工法等の金属加工法を施すことにより作製する方法がある。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例の試験結果を挙げて本発明のセラミック回路基板について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
まず、打ち抜き加工により貫通孔を形成した窒化アルミニウムグリーンシートを積層し、窒素雰囲気中にて約1800℃の温度で焼成することにより、直径2mmの貫通孔が20個形成された、厚みが0.635mmの窒化アルミニウム質焼結体のセラミック基板を得た。この窒化アルミニウム基板の両面に、銀−銅共晶合金に水素化チタンを3重量%添加させたものに有機溶剤・溶媒を混合して作製した第1のロウ材ペーストをスクリーン印刷にて塗布した。このときの第1のロウ材ペーストパターンの貫通孔の外周からの距離が0μm,30μm,70μm,100μmのものを作製した。このとき、貫通孔の外周からの距離が0μmおよび30μmのものは、第1のロウ材ペーストが貫通孔に垂れ込むものがほとんどであったが、70μmおよび100μmのものは垂れ込むものはなかった。
【0036】
次に、第2のロウ材として銀−銅共晶合金が予め被着された金属柱を貫通孔に挿入し、無酸素銅から成る厚さが0.3mmの予め回路パターン形状に打ち抜き加工された金属回路板を、貫通孔を塞ぐようにセラミック基板を挟んで載置した。金属柱は、直径が1.8mm、長さが0.635mm、第2のロウ材を含めた長さが0.685mmのものを用いた。
【0037】
最後に、真空中にて約900℃の温度に加熱し、第1のロウ材ペーストおよび第2のロウ材を溶融させて、金属回路板とセラミック基板と、および金属回路板と金属柱とを接合してセラミック回路基板を得た。
【0038】
得られたセラミック回路基板は、−40℃/+125℃の温度サイクル試験に投入し、温度サイクル試験投入前(初期)と1000サイクル終了後の貫通孔の周辺部の断面を観察して評価した。
【0039】
評価結果は、まず、貫通孔の外周からの距離が0μmおよび30μmのものは、初期で貫通孔の周辺にクラックが観察された。これは、セラミック回路基板の作製時の加熱状態からの冷却時に発生する熱応力が貫通孔の周辺のマイクロクラックに作用して、大きなクラックになったものと考えられる。
【0040】
また、温度サイクル試験後のものは、金属回路板の幅の小さい部分が、さらに大きくなったクラックによりセラミック基板から剥がれやすくなった。また、貫通孔の外周からの距離が70μmのものは、初期では貫通孔の周辺にクラックは観察されなかったが、温度サイクル試験後は貫通孔の周辺にクラックが観察された。これは、貫通孔の外周から約50μm以下のマイクロクラックの存在する領域に金属回路板とセラミック基板との接続部が存在しないため、セラミック回路基板の作製時に発生する熱応力では貫通孔周辺のマイクロクラックを大きなクラックに進展させるには至らなかったが、温度サイクル試験による繰り返しの熱応力が作用することにより大きなクラックとなったと考えられる。なお、貫通孔外周からの距離が100μmのものは、初期および温度サイクル試験後においても貫通孔周辺にクラックは観察されなかった。
【0041】
上記の結果から、金属回路板とセラミック基板とを接合する第1のロウ材が貫通孔の外周よりも100μm以上外側に配置された構造とすることによって、温度サイクル試験等の信頼性試験においてもセラミック回路基板の貫通孔周辺にクラックや割れを発生させることはなく、その結果として絶縁耐圧特性に優れ、機械的強度が高く、金属回路板とセラミック基板との接合信頼性の高いセラミック回路基板が得られることが確認できた。
【0042】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0043】
例えば、上述の実施の形態の例ではセラミック基板1に活性金属ロウ材2を介して直接に金属回路板3をロウ付けしたが、これをセラミック基板1の表面に予めタングステンまたはモリブデン等のメタライズ金属層を被着させておき、このメタライズ金属層に金属回路板3をロウ材を介して接合させてもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態の例ではセラミック基板1に活性金属ロウ材から成る第1のロウ材2を介してあらかじめ回路配線パターン形状に形成された金属回路板3をロウ付けしたが、セラミック基板1と略同形状の金属板をロウ付けした後にエッチングにより不要な金属部分を除去して回路配線パターン形成を行なって金属回路板3としてもよい。
【0045】
さらには、上述の実施の形態の例ではセラミック基板1の貫通孔4内に第2のロウ材6付き金属柱5を挿入配置したが、金属柱5を挿入配置し、第2のロウ材ペーストをその上下両面に塗布するという方法を採ってもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明のセラミック回路基板によれば、金属回路板とセラミック基板とを接合するための第1のロウ材をセラミック基板の貫通孔の外周よりも100μm以上外側に配置したことから、金属柱の熱膨張とセラミック基板の熱膨張との差による熱応力がセラミック基板の貫通孔周辺のマイクロクラックに作用してセラミック基板にクラックや割れを発生させることがなくなり、また製造工程において第1のロウ材が貫通孔内に垂れ込んで、金属回路板と金属柱とを接合するための第2のロウ材と融合してロウ材の組成が変化することがないので、金属回路板とセラミック基板および金属回路板と金属柱との接合が良好で、搭載される半導体素子等の電子部品を正常かつ安定に作動させることのできる信頼性の高いセラミック回路基板を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック回路基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・セラミック基板
2・・・・第1のロウ材
3・・・・金属回路板
4・・・・貫通孔
5・・・・金属柱
6・・・・第2のロウ材
Claims (1)
- 貫通孔を有するセラミック基板の前記貫通孔内に金属柱を配置し、前記セラミック基板の両面にそれぞれ前記貫通孔を塞ぐように第1のロウ材を介して金属回路板を取着するとともに前記金属柱と前記金属回路板とを第2のロウ材を介して接合して成り、前記第1のロウ材が前記貫通孔の外周よりも100μm以上外側に配置されていることを特徴とするセラミック回路基板。
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