JP3829592B2 - 免振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は免振装置にかかり、とりわけ空気ばねを用いて構造物の効果的な長周期化を可能にするとともに、その場合の免振対象物のロッキング振動を防止するようにした免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
免振装置は、地盤や床などの振動が入力されるベースと、このベース上に設置される建物や精密機器、その他の振動を嫌う設備や装置、物品などの免振対象物との間に、いわゆる長周期化手段を設け、この長周期化手段によって免振対象物側の固有周期をベースに入力される振動の周期よりも長周期化して、ベースから免振対象物へと入力される振動を低減するようになっている。
【0003】
長周期化手段としては、積層ゴムやコイルばね、更には空気ばねなどに代表される各種の弾性体が採用されている。特に空気ばねは空気の圧縮弾性を利用したばねであるため、他のばねに比べて柔らかく、免振対象物の長周期化に優れた特性を示す。このため、空気ばねを免振装置として用いることが好ましく、該空気ばねの上下ばね力や水平ばね力(横剛性)を利用することにより優れた免振装置を提供することができる。
【0004】
ところで、上記空気ばねとしては一般的にはベローズ型空気ばねが用いられ、その代表的な構造は、山および谷が周方向に形成されて蛇腹状となった筒状のゴムベローズと、その上下を覆う金属製の面板と、ゴムベローズの谷部分に嵌合される中間リングとを備えて構成される。そして、該空気ばねの上下ばねは、ゴムベローズ内に封入された空気が該ゴムベローズの伸縮を伴って圧縮されるときの弾性力によって得られる一方、水平ばねは、封入された空気圧に依存して発生する復元力とゴムベローズの剛性的性質とによって得られる。
【0005】
ところで、上記ベローズ型空気ばねは大荷重の免振対象物の支持性を高めるためゴムベローズの高さ、つまり蛇腹の段数を少なくしたものを使用すると、空気室の容積が小さくなるため、ベースと免振対象物との間の相対的な上下振幅に対して空気圧が過剰に上昇し、ゴムベローズが許容量を超えて膨出するなどして耐久性に問題が生ずる。そこで、空気圧の過剰な上昇を抑えるために空気室の容積を増大しようとすると、ゴムベローズの段数を増やして空気ばねを高くすることになる。しかし、このように空気ばねを高くするとゴムベローズは座屈を起こし易くなり、大地震を対象とした大荷重や大振幅に対処するのが困難になってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記ゴムベローズの座屈を回避する方法として、本発明者は上記ベローズ型空気ばねに代えてローリングシール型空気ばねを用いることを提案するもので、このローリングシール型空気ばねは、相互に適宜間隔を設けて同心配置される中実の内側部材および中空筒体状の外側部材と、これら内側部材の外周と外側部材の内周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置される可撓性筒状のローリングシール部材とを備えて構成される。ローリングシール部材はその中間部分を折り返し、その内周部分を内側部材外周に沿わせてその端部を該内側部材の上端部に気密に取り付けるとともに、外周部分を外側部材内周に沿わせてその端部を該外側部材の上端部に気密に取り付け、内側部材と外側部材との間に形成される空気室を密封する。
【0007】
そして、振動入力により内側部材と外側部材とが上下方向に相対変位すると、ローリングシール部材は水平方向隙間で折り返し部分が繰り上げられたり、繰り下げられるようになっている。このとき、該空気室に作用する圧力はローリングシール部材に作用するのであるが、該ローリングシール部材の折り返し部分は内側部材と外側部材との水平方向隙間を閉塞する部分であり、この折り返し部分で空気室内圧を受け止めることになる。これにより、上記空気室の容積変化が許容され、ローリングシール形空気ばねでは、その全高を低く抑えつつ長周期化を達成することができる。
【0008】
一方、このように空気ばねを用いた場合、これの柔らかいばねは免振対象物の長周期化に有利に働くのであるが、その反面、免振対象物にロッキング振動が発生し易くなってしまうという課題があった。
【0009】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、高さを低く抑制することができる空気ばねを用いて免振対象物の長周期化を達成しつつ、そのロッキング振動を効果的に防止することができる免振装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の免振装置は、振動が入力されるベースと該ベース上方の免振対象物との間に設けられ、これらベースまたは免振対象物の一方から他方側に向かって突出される内側部材と、上記ベースまたは上記免振対象物の他方から一方側に向かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて上記内側部材の外周を囲繞する中空筒状体の外側部材と、これら外側部材の内周と内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に伴うこれら内側部材と外側部材との上下相対変位に応じて該水平方向隙間内で繰り上げ繰り下げ変位されるとともに、当該水平方向隙間から該外側部材と該内側部材との間にわたって気体封入空間を形成する可撓性筒状の第1シール部材と、前記第1シール部材の外側に設けられた第2シール部材であって、前記外側部材の内周と前記内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に伴うこれら内側部材と外側部材との上下相対変位に応じて該水平方向隙間内で繰り上げ繰り下げ変位されるとともに、前記第1シール部材との間に副気体封入空間を形成する可撓性筒状の第2シール部材と、を備え、前記副気体封入空間は、前記気体封入空間の気圧よりも低い気圧となるように構成されており、前記ベースと前記免振対象物との間に、該免振対象物に発生するロッキング振動の揺動中心の両側に一対、水平方向に適宜間隔を隔てて上下方向に油圧シリンダー装置を配置し、一方の油圧シリンダー装置の上方油室と他方の油圧シリンダー装置の下方油室、かつ該一方の油圧シリンダー装置の下方油室と該他方の油圧シリンダー装置の上方油室をそれぞれ連通したことを特徴とする。
【0011】
これにより、対を成す油圧シリンダー装置の油室は、ロッキング振動の発生時に加圧側どうしおよび減圧側どうしが相互に連通されて、それぞれの封入油の非圧縮性により免振対象物のロッキング振動を防止することができる。
【0012】
また、前記油圧シリンダー装置と上記ベースまたは上記免振対象物との間に、これらの水平方向相対移動を案内する水平移動案内手段を設けていて、上下免振のみならず水平免振を有効に作用させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図4は本発明の免振装置の一実施形態を示し、図1は免振装置の全体構成を示す断面正面図、図2は空気ばねの拡大断面図、図3は図2中のA−A線断面図、図4は油圧シリンダー装置の配置構成を示す要部拡大断面図である。
【0014】
本実施形態の免振装置10は建物11を免振対象物とした場合を例にとって示し、図1に示すように該建物11とベースとしての基礎12との間に、空気などの気体が封入される空気ばね13および対を成す油圧シリンダー装置14,14aを介在することにより概略構成され、空気ばね13の柔らかいばね力により建物12の固有周期を長周期化するとともに、油圧シリンダー装置14,14aによって建物12のロッキング振動を防止するようになっている。
【0015】
上記空気ばね13はローリングシール型空気ばね(以下、単に空気ばねと称する)として構成され、この空気ばね13は図2に示すように基礎12側から上方に突設される内側部材15と、建物11側から下方に突設され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて内側部材15の外周を囲繞する中空筒体状の外側部材16と、これら内側部材15と外側部材16との間を両者の相対移動を許容しつつ密封するローリングシール部材17とを備えて構成される。
【0016】
上記内側部材15は、基礎12に固定される基板15a上に突設され、前記外側部材16に対向する上端部が開口部15bをもって開放されるとともに、該開口部15bに連通する中空室15cが形成されて中空円筒状に形成され、かつ該内側部材15の下端部は上記基板15aに一体に固定されて閉塞される。
【0017】
一方、上記外側部材16は内側部材15の上端に適宜間隔を隔てて対向される端板16aと、この端板16aの外周から環状に垂下される周壁16bとによって断面逆U字状に形成され、図3に示すように該周壁16bが上記内側部材15の上端部外周を適宜間隔を隔てて同心円状に囲繞するようになっており、かつ上記端板16aは建物11の下面に固定される。そして、前記内側部材15の中空室15cから開口部15bを経て前記外側部材16の天板16aおよび上記ローリングシール部材17によって閉塞される空間部が主気体封入空間18として構成される。
【0018】
上記ローリングシール部材17は、上記内側部材15の外周と上記外側部材16の周壁16bの内周との間の水平方向隙間に配置されるもので、前記主気体封入空間18側から外方(図中下方)に向かって並列に配置される第1シール部材19と第2シール部材20とによって構成される。これら第1,第2シール部材19,20は繊維補強されたゴムを素材として自然状態で円筒状を成すようにそれぞれ成形され、その中間部分を片側が裏返されるように折り返して、その折り返し部分が上記内側部材15と上記外側部材16とに跨って取り付けられる。
【0019】
即ち、上記第1,第2シール部材19,20は中間部分で折り返されることにより、裏返される側の一端部が外周部分19a,20aとなり、その反対側の他端部が内周部分19b,20bとなる。そして、内周部分19b,20bを上記内側部材15の上端部外周に沿わせるとともに、外周部分19a,20aを上記外側部材16の周壁16b内周に沿わせる。このとき、上記内周部分19b,20bおよび外周部分19a,20aの各端部は、それぞれが沿う内側部材15および外側部材16に気密に固定される。この状態で上記第1,第2シール部材19,20は、その折り返し部分19c,20cが内側部材15の外周と外側部材16の内周との間に垂れ下がった状態でそれら両者間を密封し、これら内側部材15および外側部材16と第1シール部材19とで囲まれた空間部が上記主気体封入空間18として構成されるとともに、第1シール部材19と第2シール部材20で囲まれた空間部が副気体封入空間21として構成される。
【0020】
従って、このように構成された空気ばね13は地震などの振動が入力されることにより、基礎12と建物11とが相対的に上下変位すると、これに伴って内側部材15と外側部材16が上下方向に相対変位して、これら両者間に形成される主気体封入空間18内の容積変化を伴いつつ空気圧が変化される。このように主気体封入空間18が容積変化される際、第1,第2シール部材19,20は内周部分19b,20bと外周部分19a,20aが内側部材15外周と外側部材16内周に交互に繰り上げ繰り下げされることになる。
【0021】
また、上記第1,第2シール部材19,20間に構成される副気体封入空間21には、上記主気体封入空間18の空気圧P1より低い空気圧P2を封入して、第1シール部材19の折り返し部分19cにそれらの差圧(P1−P2)を作用させるとともに、第2シール部材20の折り返し部分20cに低い空気圧P2を作用させるようにして、これら折り返し部分19c,20cが負担する実質的な圧力を低減するようになっている。これによりローリングシール部材17の耐久性を向上し、ひいては空気ばね13の支持荷重を高めることができるようになっている。
【0022】
前記対を成す油圧シリンダー装置14,14aは、本実施形態では図1に示したように建物11の左右両端部に1組が配置されるとともに、図示省略したが前後方向(紙面直角方向)両端部に1組が配置される。これら油圧シリンダー装置14,14aは、作動油を封入したシリンダー22と、このシリンダー22内に摺動自在に嵌合されるピストン23と、このピストン23に結合されてシリンダー22から出没されるピストンロッド24とを備えて構成され、上記シリンダー22内はピストン23によって上方油室22aと下方油室22bとに画成される。
【0023】
前記シリンダー22は、建物11の下面に固定される取付座25に一体に取付けられるとともに、該シリンダー22から下方に突出する上記ピストンロッド24の先端部には受座26が取付けられ、この受座26は水平移動案内手段としてのリニアーベアリングレール27を介して基礎12に支持される。該リニアーベアリングレール27は上下2段のレールを直交させて、前後左右の水平移動が案内されるように構成されている。
【0024】
ここで、本実施形態では図4に示すように前記対を成す油圧シリンダー装置14,14aのうち一方の油圧シリンダー装置14の上方油室22aと他方の油圧シリンダー装置14aの下方油室22bとを連通管28を介して連通するとともに、該一方の油圧シリンダー装置14の下方油室22bと該他方の油圧シリンダー装置14aの上方油室22aとを連通管28aを介して連通してある。
【0025】
以上の構成により本実施形態の免振装置10にあっては、空気ばね13は入力振動の上下振動成分により内側部材15と外側部材16とが上下方向に相対変位されると、これに伴って主気体封入空間18内が圧力変化され、このときの空気の圧縮弾性により上下ばね機能が発揮されて、建物11の上下方向の固有周期を長周期化して効果的に上下免振される。この場合、前記空気ばね13はローリングシール型として構成されることにより、内側部材15と外側部材16とが上下方向に相対変位すると、内側部材15外周に沿う第1,第2シール部材19,20の内周部分19b,20bと、外側部材16内周に沿う第1,第2シール部材19,20の外周部分19a,20aが交互に繰り上げ繰り下げられて、上記主気体封入空間18の容積変化が許容されるため、空気ばね13の高さを低く抑制しつつ長周期化を達成することができる。
【0026】
また、この上下振動の入力時には建物11の前後左右にそれぞれ設けられた対を成す油圧シリンダー装置14,14aは、それぞれの上方油室22aと下方油室22bの油圧が両油圧シリンダー装置14,14aで相互に同位相で変化される。このため、双方の油圧シリンダー装置14,14aの上,下方油室22,22aのうち、一方の油圧シリンダー装置14の加圧側は連通管28,28aの一方を介して他方の油圧シリンダー装置14aの減圧側に逃がされ、かつ他方の油圧シリンダー装置14aの加圧側は連通管28,28aの他方を介して一方の油圧シリンダー装置14の減圧側に逃がされることになる。このため、建物11の上下免振に対して上記油圧シリンダー装置14,14aが抵抗となるのが防止される。
【0027】
また、前記油圧シリンダー装置14,14aは、リニアーベアリングレール27を介して基礎12に対して水平方向のあらゆる方向に相対変位自在となっているため、水平振動成分が入力された場合にこれらが破損されることを防止できる。
【0028】
なお、空気ばね13は、上記入力振動の水平振動成分に対しても、内側部材15と外側部材16とが水平方向に相対変位されると、主気体封入空間18に封入された空気圧に依存して発生する復元力と第1,第2シール部材19,20の剛性的性質によって水平ばね機能が発揮され、建物11の水平方向の固有周期を長周期化して水平免振することができる。
【0029】
つまり、本実施形態の免振装置10は、前記リニアーベアリングレール27を設けたことにより、上記空気ばね13による上下免振機能および水平免振機能を有効に活用して効果的な三次元免振を達成することができる。勿論、上下免振のみを行わせる場合は上記リニアーベアリングレール27を用いる必要性は無くなる。
【0030】
ところで、本実施形態の免振装置10では、ばねが柔らかい空気ばね13を用いて建物11の免振が行われるため、この建物11にはロッキング振動が発生し易くなる。即ち、このロッキング振動は、建物11の前後または左右の水平方向両端部が逆位相で上下揺動される振動であり、本実施形態では該ロッキング振動が生じる際、上記油圧シリンダー装置14,14aの上方油室22aおよび下方油室22b内の油圧でこれに抵抗するようになっている。
【0031】
つまり、一方の油圧シリンダー装置14の上方油室22aと他方の油圧シリンダー装置14aの下方油室22bとは共に加圧または減圧されるとともに、一方の油圧シリンダー装置14の下方油室22bと他方の油圧シリンダー装置14aの上方油室22aとは共に減圧または加圧される。従って、上記油圧シリンダー装置14,14a間を連通する連通管28,28aは、油圧シリンダー装置14,14aそれぞれの加圧側どうしおよび減圧側どうしを連通することになる。このとき、それぞれのシリンダー22に封入される作動油は非圧縮性であるため、対を成す油圧シリンダー装置14,14aはそれぞれのピストン23の移動が阻止され、これによって基礎12に対して建物11の上下変位を阻止してロック状態にできるため、建物11のロッキング振動を防止することができる。
【0032】
ところで、本実施形態では水平移動案内手段としてリニアーベアリングレール27を用い、これを油圧シリンダー装置14,14aと基礎12との間に配置したが、これに限ることなく油圧シリンダー装置14,14aと建物11との間に配置することもできる。勿論、水平移動案内手段としてはリニアーベアリングレール27に限ることなく、水平方向の移動抵抗を少なくできる部材または機構若しくは装置であればよい。また、油圧シリンダー装置14,14aはこれらを対として、建物11の前後左右の両端部に1組づつを配置したが、これら前後左右に配置される各組の油圧シリンダー装置14,14aは、ロッキング振動の揺動中心の両側に対を成すように水平方向に適宜間隔を設けて配置することで目的を達成することができる。
【0033】
また、本実施形態の空気ばね13はローリングシール部材17を2枚の第1,第2シール部材19,20で構成したが、勿論1枚若しくは3枚以上で構成することもできる。更に、内側部材15を基礎12側、外側部材16を建物11側に設けたが、これら内側部材15と外側部材16を逆にして配置しても同様の機能を得ることができる。更にまた、上記実施形態にあっては、入力振動として地震を例示して説明したが、交通振動や日常振動であっても建物11のロッキング振動を防止しつつ免振できることはもちろんである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の免振装置は、ローリングシール型空気ばねを用いて免振対象物の長周期化を達成するようになっており、この場合にあってベースと免振対象物との間に、免振対象物に発生するロッキング振動の揺動中心の両側に一対、水平方向に適宜間隔を隔てて上下方向に油圧シリンダー装置を配置し、一方の油圧シリンダー装置の上方油室と他方の油圧シリンダー装置の下方油室、かつ一方の油圧シリンダー装置の下方油室と他方の油圧シリンダー装置の上方油室をそれぞれ連通したので、対を成す油圧シリンダー装置の油室はロッキング振動の発生時に加圧側どうしおよび減圧側どうしが相互に連通されて、それぞれの封入油の非圧縮性により免振対象物のロッキング振動を防止することができる。
【0035】
また、油圧シリンダー装置とベースまたは免振対象物との間に、これらの水平方向相対移動を案内する水平移動案内手段を設けたので、水平振動による油圧シリンダー装置の破損を防止できるとともに、これにより前記空気ばねの上下免振のみならず水平免振をも有効に活用できるようになり、三次元免振を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す全体構成の断面正面図である。
【図2】本発明にかかる免振装置の一実施形態に用いられる空気ばねの拡大断面図である。
【図3】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す図2中のA−A線断面図である。
【図4】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す油圧シリンダー装置の配置構成の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 免振装置
11 建物
12 基礎
13 ローリングシール型空気ばね
14,14a 油圧シリンダー装置
15 内側部材
16 外側部材
17 ローリングシール部材
18 気体封入空間
19a,20a 外周部分
19b,20b 内周部分
19c,20c 折り返し部分
27 リニアーベアリングレール
28,28a 連通管

Claims (2)

  1. 振動が入力されるベースと該ベース上方の免振対象物との間に設けられ、これらベースまたは免振対象物の一方から他方側に向かって突出される内側部材と、
    上記ベースまたは上記免振対象物の他方から一方側に向かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて上記内側部材の外周を囲繞する中空筒状体の外側部材と、
    これら外側部材の内周と内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に伴うこれら内側部材と外側部材との上下相対変位に応じて該水平方向隙間内で繰り上げ繰り下げ変位されるとともに、当該水平方向隙間から該外側部材と該内側部材との間にわたって気体封入空間を形成する可撓性筒状の第1シール部材と、
    前記第1シール部材の外側に設けられた第2シール部材であって、前記外側部材の内周と前記内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、上記ベースと上記免振対象物との上下相対変位に伴うこれら内側部材と外側部材との上下相対変位に応じて該水平方向隙間内で繰り上げ繰り下げ変位されるとともに、前記第1シール部材との間に副気体封入空間を形成する可撓性筒状の第2シール部材と、
    を備え、
    前記副気体封入空間は、前記気体封入空間の気圧よりも低い気圧となるように構成されており、
    前記ベースと前記免振対象物との間に、該免振対象物に発生するロッキング振動の揺動中心の両側に一対、水平方向に適宜間隔を隔てて上下方向に油圧シリンダー装置を配置し、一方の油圧シリンダー装置の上方油室と他方の油圧シリンダー装置の下方油室、かつ該一方の油圧シリンダー装置の下方油室と該他方の油圧シリンダー装置の上方油室をそれぞれ連通したことを特徴とする免振装置。
  2. 前記油圧シリンダー装置と上記ベースまたは上記免振対象物との間に、これらの水平方向相対移動を案内する水平移動案内手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の免振装置。
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