JP3758473B2 - 免振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は免振装置にかかり、とりわけ空気ばねを用いて構造物の効果的な長周期化を可能とする上下方向の免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
免振装置は、地盤や床などの振動が入力されるベースと、このベース上に設置される建物や精密機器、その他の振動を嫌う設備や装置、物品などの免振対象物との間に、いわゆる長周期化手段を設け、この長周期化手段によって免振対象物側の固有周期をベースに入力される振動の周期よりも長周期化して、ベースから免振対象物へと入力される振動を低減するようになっている。
【0003】
長周期化手段としては、積層ゴムやコイルばね、更には空気ばねなどに代表される各種の弾性体が採用されている。特に空気ばねは空気の圧縮弾性を利用したばねであるため、他のばねに比べて柔らかく、免振対象物の長周期化に優れた特性を示す。このため、空気ばねを免振装置として用いることが好ましく、該空気ばねの上下ばね力や水平ばね力(横剛性)を利用することにより優れた免振装置を提供することができる。この場合、上下ばね力を用いることにより上下免振装置が構成され、また、上下ばね力と水平ばね力の両者を用いることにより三次元免振装置が構成される。
【0004】
ところで、上記空気ばねとしては一般的にはベローズ型空気ばねが用いられ、その代表的な構造は、山および谷が周方向に形成されて蛇腹状となった筒状のゴムベローズと、その上下を覆う金属製の面板と、ゴムベローズの谷部分に嵌合される中間リングとを備えて構成される。そして、該空気ばねの上下ばねは、ゴムベローズ内に封入された空気が該ゴムベローズの伸縮を伴って圧縮されるときの弾性力によって得られる一方、水平ばねは、封入された空気圧に依存して発生する復元力とゴムベローズの剛性的性質とによって得られる。
【0005】
ところで、上記ベローズ型空気ばねは大荷重の免振対象物の支持性を高めるためゴムベローズの高さ、つまり蛇腹の段数を少なくしたものを使用すると、空気室の容積が小さくなるため、ベースと免振対象物との間の相対的な上下振幅に対して空気圧が過剰に上昇し、ゴムベローズが許容量を超えて膨出するなどして耐久性に問題が生ずる。そこで、空気圧の過剰な上昇を抑えるために空気室の容積を増大しようとすると、ゴムベローズの段数を増やして空気ばねを高くすることになる。しかし、このように空気ばねを高くするとゴムベローズは座屈を起こし易くなり、大地震を対象とした大荷重や大振幅に対処するのが困難になってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記ゴムベローズの座屈を回避する方法として、本発明者は上記ベローズ型空気ばねに代えてローリングシール型空気ばねを用いることを提案するもので、このローリングシール型空気ばねは、相互に適宜間隔を設けて同心配置される中実の内側部材および中空筒体状の外側部材と、これら内側部材の外周と外側部材の内周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置される可撓性筒状のローリングシール部材とを備えて構成される。ローリングシール部材はその中間部分を折り返し、その内周部分を内側部材外周に沿わせてその端部を該内側部材の上端部に気密に取り付けるとともに、外周部分を外側部材内周に沿わせてその端部を該外側部材の上端部に気密に取り付け、内側部材と外側部材との間に形成される空気室を密封する。
【0007】
そして、振動入力により内側部材と外側部材とが上下方向に相対変位すると、ローリングシール部材は水平方向隙間で折り返し部分が繰り上げられたり、繰り下げられるようになっている。このとき、該空気室に作用する圧力はローリングシール部材に作用するのであるが、該ローリングシール部材の折り返し部分は内側部材と外側部材との水平方向隙間を閉塞する部分であり、この折り返し部分で空気室内圧を受け止めることになる。
【0008】
ところで、上記ローリングシール型空気ばねを免振装置の長周期化手段として用いる場合、過大地震の大きな振動振幅に対応させるためには内側部材と外側部材との間に形成される空気室の容積を大きくすることが望ましい。この場合、空気ばねを高くすることなく空気室の容積を増大するためには、中実の内側部材と中空筒体状の外側部材との間の水平方向隙間を大きくすることになる。しかしながら、このように内側部材と外側部材との間の水平方向隙間が大きくなると、これら内側部材と外側部材との間を閉塞しているローリングシール部材の受圧面積が増大する。そしてこの受圧面積が増大したローリングシール部材に空気室内の圧力がすべて作用することになり、当該ローリングシール部材で受け止めるべき力がきわめて大きくなる。
【0009】
一方、空気ばねは、許容される空気圧を大きくすればするほど支持荷重が増大するため、その設置個数を削減することができる。ところが、原子力構造物などのように大重量の免振対象物を、少ない空気ばねの個数で支持しようとした場合、個々の空気ばねに作用する荷重が著しく大きくなって、ローリングシール部材で負担すべき空気圧が一般に想定される許容限界値をはるかに超えてしまい、そのような大重量物に対して適用することができない。
【0010】
他方、仮にローリングシール部材が破損すると空気ばねによる支持力が無くなり、免振対象物の支持能力が失われてしまうという課題もあった。
【0011】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、大きな支持荷重に対してローリングシール部材の支持能力を高めるとともに、空気ばねの耐久性および安全性を確保するようにした免振装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の免振装置は、振動が入力されるベースと該ベース上方の免振対象物との間に設けられ、これらベースまたは免振対象物の一方から他方へ向かって突出される内側部材と、上記ベースまたは上記免振対象物の他方から一方へ向かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて上記内側部材の外周を囲繞する中空筒体状の外側部材と、これら外側部材の内周と内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、その内部に内圧がかけられる気体封入空間を形成する可撓性筒状のローリングシール部材とを備え、該ローリングシール部材を上記水平方向隙間に上下に多段に設けてこれらローリングシール部材相互間には補助気体封入空間を形成し、これら補助気体封入空間にかける内圧を、上記気体封入空間から離れるに従って順次低く設定したことを特徴とする。
【0013】
この場合、免振対象物としては建物などの大荷重の構造物のみならず、精密機器やその他の振動を嫌う設備、装置、並びに物品を対象とすることもできる。
【0014】
また、本発明の免振装置では、上記複数のローリングシール部材のうち少なくともいずれかのローリングシール部材には、上記外側部材および上記内側部材にその両端をそれぞれ取り付けて、該ローリングシール部材の輪郭に沿って紐状の補強部材を配設することが好ましい。
【0015】
更に、本発明の免振装置では、上記外側部材の内周および上記内側部材の外周にはそれぞれ、それらの周方向にスライド自在に、上記補強部材を係脱自在に収納するガイドを配設することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図4は本発明の免振装置の一実施形態を示し、図1はローリングシール型空気ばねの縦断面図、図2は図1中のA−A線断面図、図3は図1中のB部拡大断面図、図4は図1中のC−C線からの拡大断面図である。
【0017】
本実施形態の免振装置10は、図1,図2に示すように空気ばね11を用いて、これの上方に設置される図外の建物の固有周期を長周期化するもので、基本的には、振動が入力されるベース12とベース12上方の免振対象物との間に設けられ、これらベース12または免振対象物の一方から他方へ向かって突出される内側部材13と、ベース12または免振対象物の他方から一方へ向かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて内側部材13の外周を囲繞する中空筒体状の外側部材14と、これら外側部材14の内周と内側部材13の外周との水平方向隙間Sに垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を内側部材13外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材13に気密に取り付けるとともに、その外周部分を外側部材14内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材14に気密に取り付けて、その内部に内圧がかけられる気体封入空間としての主空気室16を形成する可撓性筒状のローリングシール部材15とを備え、当該ローリングシール部材15を第1シール部材20および第2シール部材21とから構成して、これらを水平方向隙間Sに上下に多段に設けてこれら第1シール部材20および第2シール部材21相互間には補助気体封入空間として副空気室22を形成し、これら副空気室22にかける内圧を、主空気室16から離れるに従って順次低く設定して構成され、また、複数のシール部材20,21のうち少なくともいずれかの第2シール部材21には、外側部材14および内側部材13にその両端をそれぞれ取り付けて、第2シール部材21の輪郭に沿って紐状の補強部材としてのケーブル30が配設され、さらに、外側部材14の内周および内側部材13の外周にはそれぞれ、それらの周方向にスライド自在に、ケーブル30を係脱自在に収納するガイド31が配設される。
【0018】
すなわち、免振装置10は図外の建物基礎と上記建物との間に介在されて、この建物を地震などの入力振動から免振する。上記空気ばね11はローリングシール型空気ばね(以下、単に空気ばねと称する)として構成され、この空気ばね11は振動が建物基礎から入力されるベース12を備え、該ベース12から上方に突設される内側部材13と、この内側部材13の上方端部を適宜間隔をもって覆う外側部材14と、これら内側部材13と外側部材14との間を両者の相対移動を許容しつつ密封するローリングシール部材15とを備えて構成される。
【0019】
上記内側部材13は、上記外側部材14に対向する上端部が開口部13aをもって開放されるとともに、該開口部13aに連通する中空部13bが形成されて中空円筒状に形成される。そして、該内側部材13の下端部は上記ベース12に一体に固定されて閉塞される。一方、上記外側部材14は内側部材13の上端に適宜間隔をもって対向される端板14aと、この端板14aの外周から環状に垂下される周壁14bとによって断面逆U字状に形成され、周壁14bが上記内側部材13の上端部外周を同心円状に囲繞するようになっており、かつ端板14aが図外の建物の下面に固定される。
【0020】
上記ローリングシール部材15は、上記内側部材13と上記外側部材14との水平方向隙間S内に上下に並列に配置される第1シール部材20と第2シール部材21とによって構成される。これら第1,第2シール部材20,21は繊維補強されたゴムを素材として自然状態で円筒状を成すようにそれぞれ成形され、その中間部分を折り返して片側が裏返される状態で上記内側部材13と上記外側部材14とに跨って取り付けられる。
【0021】
即ち、上記第1,第2シール部材20,21は中間部分で折り返されることにより、裏返される側の一端部が外周部分20a,21aとなり、その反対側の他端部が内周部分20b,21bとなる。そして、内周部分20b,21bが上記内側部材13の上端部外周に沿わされるとともに、外周部分20a,21aが上記外側部材14の周壁14b内周に沿わされる。このとき、上記内周部分20b,21bおよび外周部分20a,21aの各端部は、それぞれが内側部材13および外側部材14に気密に固定される。この状態で上記第1,第2シール部材20,21は、その折り返し部分20c,21cが内側部材13の外周と外側部材14の内周との間に垂れ下がった状態でそれら両者間を密封し、これら内側部材13および外側部材14と第1シール部材20とで囲まれた空間部が主空気室16として構成されるとともに、第1シール部材20と第2シール部材21で囲まれた空間部が補助気体封入空間である副空気室22として構成される。
【0022】
従って、このように構成された空気ばね11は地震などの振動が入力されることにより、ベース12と建物とが相対的に上下変位すると、これに伴って内側部材13と外側部材14が上下方向に相対変位して、これら両者間に形成される主空気室16内の容積変化を伴いつつ空気圧が変化される。このように主空気室16が容積変化される際、第1,第2シール部材20,21は内周部分20b,21bと外周部分20a,21aが水平方向隙間Sで繰り上げられたり、繰り下げられることになる。
【0023】
ここで、上記第1,第2シール部材20,21間に構成される副空気室22には、上記主空気室16の空気圧P1より低い空気圧P2、望ましくは建物の静荷重が作用した状態で設定される主空気室16の空気圧P1の略半分程度の空気圧P2が封入されるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では上記第1,第2シール部材20,21それぞれにそれらの輪郭に沿って、複数本の紐状の補強部材としてケーブル30が配置され、これらケーブル30によって第1,第2シール部材20,21に作用する主空気室16内の圧力および副空気室22内の圧力がそれぞれ受け止められるようになっている。
【0025】
第1,第2シール部材20,21それぞれに設けられた各ケーブル30は、内側部材13と外側部材14との間でそれらの周方向に等間隔に配置され、折り返し部分20c,21cから上方に立ち上がるそれぞれの両端部は、第1,第2シール部材20,21の取り付け部位と略同位置で内側部材13および外側部材14に取り付けられる。そして、各ケーブル30は、内側部材13と外側部材14が上下方向に相対変位して、第1,第2シール部材20,21の内周部分20b,21bと外周部分20a,21aが水平方向隙間S内で交互に繰り上げ下げされる際に、これと同期して繰り上げ繰り下げされるようになっている。
【0026】
各シール部材20,21に配設される各ケーブル30の両端部と内側部材13および外側部材14との間には、ガイド31が介在される。ガイド31はケーブル30の1本1本に対応して独立して設けられている。これらガイド31はゴムを素材として図4に示すように断面が山形状に形成される。そして、それぞれのガイド31の底面31aは、内側部材13の外周および外側部材14の内周にスライド自在に配置される。
【0027】
また、上記第1,第2シール部材20,21の内周部分20b,21bおよび外周部分20a,21aが、主空気室16および副空気室22の空気圧で内側部材13の外周および外側部材14の内周に圧着される際に、それら両者間に上記ガイド31が介在されることになるが、第1,第2シール部材20,21はこれらガイド31の表面に滑らかな曲線をもって接するようになっている。
【0028】
また、上記山形となった各ガイド31の頂部には、上記ケーブル30を収納する溝部32が形成される。このとき、各溝部32の内側はゴム面でその滑りが悪いため、これら溝部32内にケーブル30を滑らかに収納するために断面コ字状の金属製のチャンネル部材33が嵌着される。該チャンネル部材33には、図3に示したようにゴム製のガイド31に備わった可撓性を拘束しないように、幅方向に延びる多数のスリット33aが長さ方向に細かい間隔をもって形成されている。
【0029】
更に、上記ガイド31と内側部材13および外側部材14との間には、これら内側部材13の外周および外側部材14の内側を取り巻くように、テフロンシートなどの低摩擦材34が取付けられ、上記ガイド31が該低摩擦材34によって滑らかに移動できるようになっている。
【0030】
ところで、上記ガイド31は、図2に示したように内側部材13に配置されるガイド31の突出量L1を、外側部材14に配置されるガイド31の突出量L2より大きく設定し、それぞれのガイド31を含めた内側部材13の外回りの長さと外側部材14の内回りの長さとが略等しくなるように調整して、第1,第2シール部材20,21の内周部分20b,21bの周囲の長さと外周部分20a,21aの周囲の長さとを略等しくしてある。これによって、上下振動の入力により内側部材13に沿う内周部分20b,21bが外側部材14の内周に引き寄せられる際、およびこれとは逆に外側部材14に沿う外周部分20a,21aが内側部材13の外周に引き寄せられる際に、その繰り上げ繰り下げの挙動を滑らかに行わせることができる。特に、上記外周部分20a,21aが外側部材14に沿っている状態から内側部材13に引き寄せられる際に、第1,第2シール部材20,21にシワが寄るのを防止することができる。
【0031】
以上の構成により本実施形態の免振装置10にあっては、空気ばね11は入力振動の上下振動成分により内側部材13と外側部材14とが上下方向に相対変位されると、これに伴って主空気室16内が圧力変化され、このときの空気の圧縮弾性により上下ばね機能が発揮されて、建物の上下方向の固有周期を長周期化して効果的な上下免振性能を発揮する。一方、上記入力振動の水平振動成分により内側部材13と外側部材14とが水平方向に相対変位されると、主空気室16に封入された空気圧に依存して発生する復元力と第1,第2シール部材20,21の剛性的性質(本実施形態ではケーブル30の剛性も含まれる)とによって水平ばね機能が発揮され、建物の水平方向の固有周期を長周期化して効果的な水平免振性能を発揮する。従って、上記空気ばね11は上記上下免振と上記水平免振とによって効果的な三次元免振を達成することができる。
【0032】
このとき、本実施形態では上記主空気室16の空気圧P1が第1シール部材20に作用し、これの折り返し部分20cは外方に膨出しようとするが、該第1シール部材20の外側には第2シール部材21によって副空気室22が構成されているため、この副空気室22の空気圧P2を上記主空気室16の空気圧P1に対抗して上記折り返し部分20cに作用させることができる。副空気室22の空気圧P2は主空気室16の空気圧P1より低く設定されているため、上記折り返し部分20cにはそれらの差圧(P1−P2)が作用し、結果的に該折り返し部分20cが負担する実質的な圧力が低減される。
【0033】
また、第2シール部材21の折り返し部分21cには、主空気室16の昇圧の影響を受けた副空気室22の空気圧P2が作用するが、この空気圧P2は上述したように、そもそも主空気室20の空気圧P1よりも低いため、該折り返し部分21cが負担する圧力は小さい。ここで、P2≒(1/2)P1とした場合には、第1シール部材20の折り返し部分20cと第2シール部材21の折り返し部分21cとがそれぞれ負担する実質的な圧力はおおよそ等しくなり、これら第1,第2シール部材20,21としてほぼ同一の肉厚のものを用いることもできる。
【0034】
このようにローリングシール部材15を複数段で構成することにより、第1,第2シール部材20,21それぞれが負担する実質的な圧力を小さくできることから、ローリングシール部材15の耐久性を向上することができるとともに、1つの空気ばね11の支持荷重を高めることができる。従って、重量設備の設置などにより建物が大荷重となる場合にも、空気ばね11の設置個数を削減してコストダウンを図り、かつ、免振装置10の耐久性および安全性を確保することができる。
【0035】
また、上記第1,第2シール部材20,21にはそれぞれの外側に沿ってケーブル30が設けられているため、このケーブル30によって第1,第2シール部材20,21を支持することができる。上記ケーブル30の両端部は内側部材13および外側部材14に固定されるため、各シール部材20,21に作用する空気圧の一部を該ケーブル30で受け止めて内側部材13や外側部材14へ逃がすことができる。従って、本実施形態では上記ケーブル30を設けたことによっても、ローリングシール部材15が負担する圧力を低減し、空気ばね11の支持荷重を更に増大することができる。
【0036】
ところで、上記ケーブル30の両端部はガイド31の溝部32に収納されるため、該ケーブル30が突起物となって第1,第2シール部材20,21に局部的な応力が発生するのを防止して、その耐久性を高めることができる。
【0037】
一方、このようにケーブル30の両端部がガイド31の溝部32に収納されて係止されることによって、該ケーブル30の移動が拘束されることになり、このケーブル30の剛性が内側部材13と外側部材14との水平方向の相対変位に大きな抵抗を与えることになる。この抵抗は水平免振に悪影響を及ぼすが、本実施形態では上記ガイド31が内側部材13および外側部材14に対してそれらの周方向へスライド自在となっているため、水平振動に対してガイド31が容易に移動して上記ケーブル30の剛性による影響を著しく低減することができる。特に、本実施形態では低摩擦材34を介してガイド31が容易に移動できるため、内側部材13と外側部材14の水平変位が十分に許容されることになり、水平振動に対する免振効果をさらに向上することができる。
【0038】
そして、内側部材13と外側部材14との径差を大きくした場合にも上述したように、第1,第2シール部材20,21の繰り上げ下げの挙動の円滑性を保証できて、主空気室16の拡大が可能となり、これによりベース12と建物との上下方向および水平方向の大きな相対変位に対応できるようになる。そしてこのことは、空気ばね11の高さを高くすることなく、上下ばね力および水平ばね力を確実に得ることができ、建物の安定性を確保しつつ三次元免振の機能を向上することができる。
【0039】
ところで、上記空気ばね11はローリングシール部材15を2枚の第1,第2シール部材20,21で構成したが、勿論3枚以上で構成することもでき、この場合はそれぞれのシール部材間に構成される副空気室に封入される空気圧は、主空気室16から外方に離れる程に低く設定されることになる。また、ケーブル30は第1,第2シール部材20,21全てに設けた場合を開示したが、いずれか1つに設けることによっても、ケーブル30を設けたシール部材の耐久性を向上することができる。更に、内側部材13をベース12側、外側部材14を建物側に設けたが、これら内側部材13と外側部材14を逆にして配置しても同様の機能を得ることができる。更にまた、上記実施形態にあっては、入力振動として地震を例示して説明したが、交通振動や日常振動であっても三次元免振できることはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の免振装置は、ローリングシール型空気ばねを用いて三次元免振を行うようになっており、ローリングシール部材を水平方向隙間に上下に多段に設けてこれらローリングシール部材相互間には補助気体封入空間を形成し、これら補助気体封入空間にかける内圧を、気体封入空間から離れるに従って順次低く設定したので、各ローリングシール部材にはこれを挟んだ補助気体封入空間の差圧を作用させることができるため、該ローリングシール部材が負担する実質的な圧力を低減して、空気ばねによる支持能力を高め、かつ空気ばねの耐久性および安全性を確保することができる。
【0041】
また、複数のローリングシール部材のうち少なくともいずれかのローリングシール部材には、外側部材および内側部材にその両端をそれぞれ取り付けて、ローリングシール部材の輪郭に沿って紐状の補強部材を配設したので、ローリングシール部材に作用する圧力の一部を当該補強部材に受け止めさせて、ローリングシール部材の耐久性を向上することができる。
【0042】
更に、外側部材の内周および内側部材の外周にはそれぞれ、それらの周方向にスライド自在に、上記補強部材を係脱自在に収納するガイドを配設したので、紐状の補強部材が突起物となってローリングシール部材に局部的な応力が発生するのを防止することができるとともに、水平振動に対してガイドが移動して内側部材と外側部材との水平変位を許容することができ、これによって空気ばねによる水平免振機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す図1中のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す図1中のB部拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す図1中のC−C線からの拡大断面図である。
【符号の説明】
10 免振装置
11 空気ばね
12 ベース
13 内側部材
14 外側部材
15 ローリングシール部材
16 主空気室
20 第1シール部材
20a 外周部
20b 内周部
20c 折り返し部分
21 第2シール部材
21a 外周部
21b 内周部
21c 折り返し部分
22 副空気室
30 ケーブル
31 ガイド
32 溝部

Claims (3)

  1. 振動が入力されるベースと該ベース上方の免振対象物との間に設けられ、これらベースまたは免振対象物の一方から他方へ向かって突出される内側部材と、
    上記ベースまたは上記免振対象物の他方から一方へ向かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を隔てて上記内側部材の外周を囲繞する中空筒体状の外側部材と、
    これら外側部材の内周と内側部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、その内部に内圧がかけられる気体封入空間を形成する可撓性筒状のローリングシール部材とを備え、
    該ローリングシール部材を上記水平方向隙間に上下に多段に設けてこれらローリングシール部材相互間には補助気体封入空間を形成し、これら補助気体封入空間にかける内圧を、上記気体封入空間から離れるに従って順次低く設定したことを特徴とする免振装置。
  2. 上記複数のローリングシール部材のうち少なくともいずれかのローリングシール部材には、上記外側部材および上記内側部材にその両端をそれぞれ取り付けて、該ローリングシール部材の輪郭に沿って紐状の補強部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の免振装置。
  3. 上記外側部材の内周および上記内側部材の外周にはそれぞれ、それらの周方向にスライド自在に、上記補強部材を係脱自在に収納するガイドを配設したことを特徴とする請求項2に記載の免振装置。
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