JP2002021925A - 免振装置 - Google Patents

免振装置

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JP2002021925A
JP2002021925A JP2000199508A JP2000199508A JP2002021925A JP 2002021925 A JP2002021925 A JP 2002021925A JP 2000199508 A JP2000199508 A JP 2000199508A JP 2000199508 A JP2000199508 A JP 2000199508A JP 2002021925 A JP2002021925 A JP 2002021925A
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horizontal
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JP2000199508A
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English (en)
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Mitsuru Kageyama
満 蔭山
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Obayashi Corp
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Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高さを低く抑制することができる空気ばねを
用いて免振対象物の長周期化を達成しつつ、ロッキング
振動を簡単な構造をもって効果的に防止することができ
る免振装置を提供する。 【解決手段】 空気ばね13は、基板14aから上方に
突設される内側部材14と、内側部材14の上方端部を
適宜間隔をもって覆う外側部材15と、これら内側部材
14と外側部材15との間を両者の相対移動を許容しつ
つ密封するローリングシール部材16とを備える。空気
ばね13で設定される上下固有振動数(fv)と水平固
有振動数(fh)との比(fv/fh)を4程度以上に設
定するとともに、各空気ばね13をこれの上下方向中心
軸の延長線Cが上記建物11の重心Gを通る鉛直線Lと
交わるように傾斜させて取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免振装置にかかり、
とりわけ空気ばねを用いて構造物の効果的な長周期化を
可能にするとともに、その場合の免振対象物のロッキン
グ振動を防止するようにした免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】免振装置は、地盤や床などの振動が入力
されるベースと、このベース上に設置される建物や精密
機器、その他の振動を嫌う設備や装置、物品などの免振
対象物との間に、いわゆる長周期化手段を設け、この長
周期化手段によって免振対象物側の固有周期をベースに
入力される振動の周期よりも長周期化して、ベースから
免振対象物へと入力される振動を低減するようになって
いる。
【0003】長周期化手段としては、積層ゴムやコイル
ばね、更には空気ばねなどに代表される各種の弾性体が
採用されている。特に空気ばねは空気の圧縮弾性を利用
したばねであるため、他のばねに比べて柔らかく、免振
対象物の長周期化に優れた特性を示す。このため、空気
ばねを免振装置として用いることが好ましく、該空気ば
ねの上下ばね力や水平ばね力(横剛性)を利用すること
により優れた免振装置を提供することができる。
【0004】ところで、上記空気ばねとしては一般的に
はベローズ型空気ばねが用いられ、その代表的な構造
は、山および谷が周方向に形成されて蛇腹状となった筒
状のゴムベローズと、その上下を覆う金属製の面板と、
ゴムベローズの谷部分に嵌合される中間リングとを備え
て構成される。そして、該空気ばねの上下ばねは、ゴム
ベローズ内に封入された空気が該ゴムベローズの伸縮を
伴って圧縮されるときの弾性力によって得られる一方、
水平ばねは、封入された空気圧に依存して発生する復元
力とゴムベローズの剛性的性質とによって得られる。
【0005】ところで、上記ベローズ型空気ばねは大荷
重の免振対象物の支持性を高めるためゴムベローズの高
さ、つまり蛇腹の段数を少なくしたものを使用すると、
空気室の容積が小さくなるため、ベースと免振対象物と
の間の相対的な上下振幅に対して空気圧が過剰に上昇
し、ゴムベローズが許容量を超えて膨出するなどして耐
久性に問題が生ずる。そこで、空気圧の過剰な上昇を抑
えるために空気室の容積を増大しようとすると、ゴムベ
ローズの段数を増やして空気ばねを高くすることにな
る。しかし、このように空気ばねを高くするとゴムベロ
ーズは座屈を起こし易くなり、大地震を対象とした大荷
重や大振幅に対処するのが困難になってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記ゴムベロ
ーズの座屈を回避する方法として、本発明者は上記ベロ
ーズ型空気ばねに代えてローリングシール型空気ばねを
用いることを提案するもので、このローリングシール型
空気ばねは、相互に適宜間隔を設けて同心配置される中
実の内側部材および中空筒体状の外側部材と、これら内
側部材の外周と外側部材の内周との水平方向隙間に垂れ
下がるように折り返されて配置される可撓性筒状のロー
リングシール部材とを備えて構成される。ローリングシ
ール部材はその中間部分を折り返し、その内周部分を内
側部材外周に沿わせてその端部を該内側部材の上端部に
気密に取り付けるとともに、外周部分を外側部材内周に
沿わせてその端部を該外側部材の上端部に気密に取り付
け、内側部材と外側部材との間に形成される空気室を密
封する。
【0007】そして、振動入力により内側部材と外側部
材とが上下方向に相対変位すると、ローリングシール部
材は水平方向隙間で折り返し部分が繰り上げられたり、
繰り下げられるようになっている。このとき、該空気室
に作用する圧力はローリングシール部材に作用するので
あるが、該ローリングシール部材の折り返し部分は内側
部材と外側部材との水平方向隙間を閉塞する部分であ
り、この折り返し部分で空気室内圧を受け止めることに
なる。これにより、上記空気室の容積変化が許容され、
ローリングシール形空気ばねでは、その全高を低く抑え
つつ長周期化を達成することができる。
【0008】一方、このように空気ばねを用いた場合、
これの柔らかいばねは免振対象物の長周期化に有利に働
くのであるが、その反面、免振対象物にロッキング振動
が発生し易くなってしまうという課題があった。
【0009】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたもので、高さを低く抑制することができる空
気ばねを用いて免振対象物の長周期化を達成しつつ、そ
のロッキング振動を簡単な構造をもって効果的に防止す
ることができる免振装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の免振装置は、振動が入力されるベースと該
ベース上方の免振対象物との間に設けられ、これらベー
スまたは免振対象物の一方から他方側に向かって突出さ
れる内側部材と、上記ベースまたは上記免振対象物の他
方から一方側に向かって突出され、上下方向および水平
方向に適宜間隔を隔てて上記内側部材の外周を囲繞する
中空筒状体の外側部材と、これら外側部材の内周と内側
部材の外周との水平方向隙間に垂れ下がるように折り返
されて配置され、その内周部分を該内側部材外周に沿わ
せてその内側端部を当該内側部材に気密に取り付けると
ともに、その外周部分を該外側部材内周に沿わせてその
外側端部を当該外側部材に気密に取り付けて、上記ベー
スと上記免振対象物との上下相対変位に伴うこれら内側
部材と外側部材との上下相対変位に応じて該水平方向隙
間内で繰り上げ繰り下げ変位されるとともに、当該水平
方向隙間から該外側部材と該内側部材との間にわたって
気体封入空間を形成する可撓性筒状のローリングシール
部材と、を備えた空気ばねを複数設け、これら空気ばね
で設定される上下固有振動数(fv)と水平固有振動数
(fh)との比(fv/fh)を4程度以上に設定すると
ともに、上記免振対象物のロッキング振動の刺激関数を
ゼロに設定するために、これら空気ばねを、それらの上
下方向中心軸の延長線を互いに平行に、かつ上記免振対
象物の重心を通る鉛直線に交わるように傾斜させて上記
ベースに取り付けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を添付
図面を参照して詳細に説明する。図1〜図3は本発明の
免振装置の一実施形態を示し、図1は免振装置の全体構
成を示す断面正面図、図2は空気ばねの拡大断面図、図
3は図2中のA−A線断面図である。
【0012】本実施形態の免振装置10は建物11を免
振対象物とした場合を例にとって示し、図1に示すよう
に該建物11とベースとしての基礎12との間に、空気
などの気体が封入される空気ばね13を複数配置して建
物11の上下方向および水平方向の固有周期を長周期化
し、かつ、これら空気ばね13で設定される上下固有振
動数(fv)および水平固有振動数(fh)を適宜調整す
るとともに、建物11のロッキング振動の刺激関数をゼ
ロに設定するために、これら空気ばね13を、それらの
上下方向中心軸Cの延長線を互いに平行に、かつ建物1
1の重心を通る鉛直線Lに交わるように傾斜させて基礎
12に取り付けるようになっている。
【0013】即ち、上記空気ばね13はローリングシー
ル型空気ばね(以下、単に空気ばねと称する)として構
成され、この空気ばね13は図2に示すように基礎12
側から上方へ向けて突設された内側部材14と、建物1
1側から下方へ向けて突設され、上下方向および水平方
向に適宜間隔を隔てて内側部材14の外周を囲繞する中
空筒状体の外側部材15と、これら内側部材14と外側
部材15との間を両者の相対移動を許容しつつ密封する
ローリングシール部材16とを備えて構成される。
【0014】上記内側部材14は、基礎12に固定され
る基板14a上に突設され、前記外側部材15に対向す
る上端部が開口部14bをもって開放されるとともに、
該開口部14bに連通する中空室14cが形成されて中
空円筒状に形成され、かつ該内側部材14の下端部は上
記基板14aに一体に固定されて閉塞される。
【0015】一方、上記外側部材15は内側部材14の
上端に適宜間隔を隔てて対向される端板15aと、この
端板15aの外周から環状に垂下される周壁15bとに
よって断面逆U字状に形成され、図3に示すように該周
壁15bが上記内側部材14の上端部外周を適宜間隔を
隔てて同心円状に囲繞するようになっており、かつ上記
端板15aは建物11の下面に固定される。そして、前
記内側部材14の中空室14cから開口部14bを経て
前記外側部材15の端板15aおよび上記ローリングシ
ール部材16によって閉塞される空間部が主気体封入空
間17として構成される。
【0016】上記ローリングシール部材16は、上記内
側部材14の外周と上記外側部材15の周壁15bの内
周との間の水平方向隙間に配置されるもので、前記主気
体封入空間17側から外方(図中下方)に向かって並列
に配置される第1シール部材18と第2シール部材19
とによって構成される。これら第1,第2シール部材1
8,19は繊維補強されたゴムを素材として自然状態で
円筒状を成すようにそれぞれ成形され、その中間部分を
片側が裏返されるように折り返して、その折り返し部分
が上記内側部材14と上記外側部材15とに跨って取り
付けられる。
【0017】即ち、上記第1,第2シール部材18,1
9は中間部分で折り返されることにより、裏返される側
の一端部が外周部分18a,19aとなり、その反対側
の他端部が内周部分18b,19bとなる。そして、内
周部分18b,19bを上記内側部材14の上端部外周
に沿わせるとともに、外周部分18a,19aを上記外
側部材15の周壁15b内周に沿わせる。このとき、上
記内周部分18b,19bおよび外周部分18a,19
aの各端部は、それぞれが沿う内側部材14および外側
部材15に気密に固定される。この状態で上記第1,第
2シール部材18,19は、その折り返し部分18c,
19cが内側部材14の外周と外側部材15の内周との
間に垂れ下がった状態でそれら両者間を密封し、これら
内側部材14および外側部材15と第1シール部材18
とで囲まれた空間部が上記主気体封入空間17として構
成されるとともに、第1シール部材18と第2シール部
材19で囲まれた空間部が副気体封入空間20として構
成される。
【0018】従って、このように構成された空気ばね1
3は、地震などの振動が入力されることにより、基礎1
2と建物11とが相対的に上下変位すると、これに伴っ
て内側部材14と外側部材15が上下方向に相対変位し
て、これら両者間に形成される主気体封入空間17内の
容積変化を伴いつつ空気圧が変化される。このように主
気体封入空間17が容積変化される際、第1,第2シー
ル部材18,19は内周部分18b,19bと外周部分
18a,19aが内側部材14外周と外側部材15内周
に交互に繰り上げ繰り下げされることになる。
【0019】また、上記第1,第2シール部材18,1
9間に構成される副気体封入空間20には、上記主気体
封入空間17の空気圧P1より低い空気圧P2を封入し
て、第1シール部材18の折り返し部分18cにそれら
の差圧(P1−P2)を作用させるとともに、第2シール
部材19の折り返し部分19cに低い空気圧P2を作用
させるようにして、これら折り返し部分18c,19c
が負担する実質的な圧力を低減するようになっている。
これによりローリングシール部材18の耐久性を向上
し、ひいては空気ばね13の支持荷重を高めることがで
きるようになっている。
【0020】このように構成された上記空気ばね13
は、入力振動の上下振動成分により内側部材14と外側
部材15とが上下方向に相対変位されると、これに伴っ
て主気体封入空間17内が圧力変化され、このときの封
入気体の圧縮弾性により柔らかい上下ばねが得られ、こ
れによって建物11の上下方向固有振動数を長周期化し
て効果的に上下免振することができる。
【0021】この場合、前記空気ばね13はローリング
シール型として構成されることにより、内側部材14と
外側部材15とが上下方向に相対変位すると、内側部材
14外周に沿う第1,第2シール部材18,19の内周
部分18b,19bと、外側部材15内周に沿う第1,
第2シール部材18,19の外周部分18a,19aが
交互に繰り上げ繰り下げられて、上記主気体封入空間1
7の容積変化が許容されるため、空気ばね13の高さを
低く抑制しつつ上記長周期化を達成することができる。
【0022】また、入力振動の水平振動成分により内側
部材14と外側部材15とが水平方向に相対変位される
と、主気体封入空間17の封入気体圧に依存して発生す
る復元力と第1,第2シール部材18,19の剛性的性
質によって柔らかい水平ばねが得られ、これによって建
物11の水平方向固有振動数を長周期化して効果的に水
平免振することができる。従って、本実施形態の免振装
置10は、上記空気ばね13による上下免振機能および
水平免振機能を有効に活用して3次元免振を達成するこ
とができる。
【0023】即ち、本実施形態のローリングシール型の
空気ばね13は、従来用いられるベローズ型に比べて水
平方向ばね特性がはるかに内圧に依存することになり、
そのばね特性は大きい振幅に対してもきれいな線形特性
を示し、ばねとしての優れた性能を期待することができ
る。つまり、ローリングシール型の空気ばね13を水平
方向にせん断変形させると、ローリングシール部材16
の折り返し部分18c,19cは圧縮側では水平方向隙
間が狭められて下方に変形し、引張り側では水平方向隙
間が広がって上方に変形する。このため、その間に水平
方向に対する圧力作用有効面積が発生し、内部の気体圧
力が作用して水平方向への復元力となり、これが水平方
向ばね特性となる。
【0024】ここで、3次元免振を行う上記免振装置1
0の振動系で、固有値解析に基づくS−R(スウェイ・
ロッキング)非連成化検討から3次元免振装置傾斜角と
S−Rモード刺激関数の関係を求めることにより、非連
成化できるその傾斜角を設定できることが知られてい
る。そこで、このS−R非連成化検討として、まずS−
R連成を低減する一方法として免振要素、つまり本実施
形態では図1に示すように各空気ばね13を傾斜支持し
て、建物11を剛体3次元6自由度系にモデル化し、固
有値解析、地震応答解析を通じて3次元免振建物として
成立するために必要な免振装置の特性値について考察し
た。即ち、上記空気ばね13の傾斜支持は、これの上下
方向中心軸の延長線Cが上記建物11の重心Gを通る鉛
直線Lと交わるように傾斜させて基礎12に取り付け、
そのときの傾斜角αは全ての空気ばね13において同一
とする。
【0025】このような免振装置10のS−R非連成化
検討を行うと、3次元6自由度系の非減衰振動の連成・
非連成の問題は以下の項目から決定される。 上部建物の諸元(質量、回転慣性) 空気ばねの各ばね定数間(上下方向と水平方向の2方
向)の相対値 空気ばねの幾何学的配置 空気ばねの傾斜角α
【0026】これらの値の調整により、運動方程式中の
剛性マトリックスのS−R連成項をゼロにできれば、ス
ウェイ入力時のロッキング成分刺激関数がゼロになりS
−R非連成化を達成できる。そこで、S−Rの完全非連
成化を達成するためには、全ての空気ばねの減衰定数を
等しくした上で、上記項目について検討対象建物の
諸元を用い、をパラメータとして非減衰固有値解析
を行うと、スウェイ入力時ロッキング成分刺激関数と空
気ばね13の傾斜角αの関係から3つの振動モードが存
在することが認められる。この場合、刺激関数と傾斜角
αの関係はS−R連成の1次モードと2次モードは点対
称の形状となり、ロッキング成分刺激関数がゼロとなる
傾斜角αは1次、2次とも同一となる。また、3次モー
ドは上下並進モードであり2次とは独立となる。
【0027】そして、空気ばね13で設定される上下固
有振動数をfv、水平固有振動数をfhとした場合に、非
連成化の条件はそれらの比(fv/fh)が2.4程度以
上から出現し、10以上では一定の曲線に収束する。一
方、免振効果をより高めるための全体系の長周期化の達
成、また、免振装置軸変形と上下基礎に加わる水平力の
増大を防ぐため、前記傾斜角αを小さく設定することが
望ましい。
【0028】このようにして本実施形態では、かかる固
有値解析に基づくS−R非連成化検討から、空気ばね1
3で設定できるfvおよびfhを考慮して(fv/fh)の
下限値を4程度とすることにより、ロッキング成分刺激
関数がゼロとなる小さな傾斜角αを設定することができ
るようになる。また、このように(fv/fh)を4程度
以上に設定した場合にも、本実施形態のローリングシー
ル型とした空気ばね13では水平周期を長くすることが
可能なため、例えば上下免振周期を2秒に設定した場合
にも(fv/fh)を4程度とすることが可能となる。
【0029】従って、このような固有値解析に基づくS
−R非連成化検討により、本実施形態では複数設けた空
気ばね13で設定される上下固有振動数(fv)と水平
固有振動数(fh)との比(fv/fh)を4程度以上に
設定するとともに、各空気ばね13をこれの中心軸の延
長線Cが上記建物11の重心Gを通る鉛直線Lと交わる
ように傾斜させて取り付ける。勿論、空気ばね13の傾
斜は図1に示したように、基礎12上面および建物11
下面に前記傾斜角αとなる傾斜台座30,31を固定
し、これら傾斜台座30,31間に前記空気ばね13を
取り付けるようになっている。
【0030】以上の構成により本実施形態の免振装置1
0にあっては、ローリングシール型の空気ばね13を用
いたことにより、柔らかい上下ばねおよび水平ばねによ
って建物11の固有周期を長周期化して効果的な3次元
免振を達成することができる。また、固有値解析に基づ
くS−R非連成化検討により、空気ばね13で設定され
る上下固有振動数と水平固有振動数との比(fv/fh)
を4程度以上に設定するとともに、各空気ばね13の上
下方向中心軸の延長線Cが上記建物11の重心Gを通る
鉛直線Lと交わるように傾斜させたので、ロッキング振
動の刺激関数をゼロに設定することができる。従って、
上下固有振動数および水平固有振動数を決定する上下ば
ね力および水平ばね力が(fv/fh)≧4となるように
調整して空気ばね13を形成しておくことにより、後は
該空気ばね13を建物11と基礎12との間に傾斜して
取り付けるという簡単な構成により、他の部材や装置を
設けること無くロッキング振動を防止することができ
る。
【0031】図4,図5は他の実施形態を示し、上記実
施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明
を省略して述べる。即ち、図4は免振装置の全体構成を
示す断面正面図、図5は図4中B部の拡大図で、この実
施形態は建物11と基礎12との間に着座緩衝装置40
を設けて、空気ばね13による荷重支持力が無くなった
場合にも建物11を安定的に支持できるようにしたもの
である。
【0032】即ち、上記着座緩衝装置40は、建物11
の下面に固定される積層ゴム41と、この積層ゴム41
の下面およびこれが対向する基礎12の上面にそれぞれ
取付けられる第1,第2滑り材42,43とを備えて構
成される。また、積層ゴム41は、通常用いられる免振
ゴムと同様にゴム41aと鋼板41bとを交互に積層し
て一体化させることにより構成される。そして、該積層
ゴム41を複数設けてそれぞれを建物11の下面全体に
均等に配置し、これら積層ゴム41のみで建物11を安
定良く支持できるようになっている。
【0033】前記積層ゴム41は、建物11が空気ばね
13によって支持された通常状態で、該積層ゴム41と
基礎12との間に所定の隙間δ(図5参照)が設けら
れ、空気ばね13の封入気体が排除された際に、これの
内側部材14と外側部材15とが干渉する前に積層ゴム
41下端の第1滑り材42が基礎12の第2滑り材43
に着座するようになっている。この第2滑り材43は、
積層ゴム41の水平方向の相対移動を許容するために前
記第1滑り材42の下端面積より広くして、これら両者
は相対的に滑動が可能となっている。この場合、積層ゴ
ム41下面と第2滑り材43との間で十分な滑動機能が
得られる場合は、第1滑り材42は必ずしも必要とはし
ない。
【0034】従って、この実施形態では空気ばね13が
破損するなどの事故が発生したり、また、空気ばね13
の点検のためなどにより封入気体を排除する際には、複
数の積層ゴム41が基礎12に均等に着座して、建物1
1に大きな集中荷重を生ずることなくこれを支持するこ
とができる。また、このように積層ゴム41が着座した
状態で地震が起こった場合にも、当該積層ゴム41によ
って最小限の免振機能を確保することができる。
【0035】また、この実施形態では積層ゴム41を建
物11側に設けた場合を開示したが、これとは逆に積層
ゴム41を基礎12側に設けても同様の機能を得ること
ができる。この場合、第2滑り材43は建物11下面に
設けられることになる。
【0036】ところで、本実施形態の免振装置10に用
いた空気ばね13は、ローリングシール部材18を2枚
の第1,第2シール部材18,19で構成したが、勿論
1枚若しくは3枚以上で構成することもできる。また、
内側部材14を基礎12側、外側部材15を建物11側
に設けたが、これら内側部材14と外側部材15を逆に
して配置しても同様の機能を得ることができる。また、
入力振動として地震を例示して説明したが、交通振動や
日常振動であっても建物11のロッキング振動を防止し
つつ免振できることはもちろんである。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の免振装置
は、高さを低く抑制できるローリングシール型の空気ば
ねを用いて、免振対象物の上下方向および水平方向の長
周期化を達成できるようになっており、この場合にこれ
ら空気ばねで設定される上下固有振動数(fv)と水平
固有振動数(fh)との比(fv/fh)を4程度以上に
設定するとともに、免振対象物のロッキング振動の刺激
関数をゼロに設定するために、これら空気ばねを、それ
らの上下方向中心軸の延長線を互いに平行に、かつ免振
対象物の重心を通る鉛直線に交わるように傾斜させてベ
ースに取り付けたので、前記空気ばねによって効果的な
3次元免振を発揮しつつ、簡単な構造をもって免振対象
物のロッキング振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す全
体構成の断面正面図である。
【図2】本発明にかかる免振装置の一実施形態に用いら
れる空気ばねの拡大断面図である。
【図3】本発明にかかる免振装置の一実施形態を示す図
2中のA−A線断面図である。
【図4】本発明にかかる免振装置の他の実施形態を示す
全体構成の断面正面図である。
【図5】本発明にかかる免振装置の他の実施形態を示す
図4中B部の拡大図である。
【符号の説明】
10 免振装置 11 建物 12 基礎 13 ローリングシール型空気ばね 14 内側部材 15 外側部材 16 ローリングシール部材 18a,19a 外周部分 18b,19b 内周部分 18c,19c 折り返し部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/98 E04B 1/98 R 5/43 5/43 F E04H 9/02 331 E04H 9/02 331Z 331A F16F 9/05 F16F 9/05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動が入力されるベースと該ベース上方
    の免振対象物との間に設けられ、これらベースまたは免
    振対象物の一方から他方側に向かって突出される内側部
    材と、 上記ベースまたは上記免振対象物の他方から一方側に向
    かって突出され、上下方向および水平方向に適宜間隔を
    隔てて上記内側部材の外周を囲繞する中空筒状体の外側
    部材と、 これら外側部材の内周と内側部材の外周との水平方向隙
    間に垂れ下がるように折り返されて配置され、その内周
    部分を該内側部材外周に沿わせてその内側端部を当該内
    側部材に気密に取り付けるとともに、その外周部分を該
    外側部材内周に沿わせてその外側端部を当該外側部材に
    気密に取り付けて、上記ベースと上記免振対象物との上
    下相対変位に伴うこれら内側部材と外側部材との上下相
    対変位に応じて該水平方向隙間内で繰り上げ繰り下げ変
    位されるとともに、当該水平方向隙間から該外側部材と
    該内側部材との間にわたって気体封入空間を形成する可
    撓性筒状のローリングシール部材と、を備えた空気ばね
    を複数設け、 これら空気ばねで設定される上下固有振動数(fv)と
    水平固有振動数(fh)との比(fv/fh)を4程度以
    上に設定するとともに、上記免振対象物のロッキング振
    動の刺激関数をゼロに設定するために、これら空気ばね
    を、それらの上下方向中心軸の延長線を互いに平行に、
    かつ上記免振対象物の重心を通る鉛直線に交わるように
    傾斜させて上記ベースに取り付けたことを特徴とする免
    振装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101463633B (zh) * 2007-12-19 2012-09-12 免震住宅有限会社 使用滑动膨胀管屏蔽材料的空气悬浮式免震装置
CN111305632A (zh) * 2020-02-14 2020-06-19 同济大学 一种带滑动斜弹簧的三维隔振装置
CN115012552A (zh) * 2022-06-17 2022-09-06 江苏科技大学 一种分阶段震后功能可恢复剪力墙结构及其设计方法

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