JP3829090B2 - メロディ送出機およびメロディ送出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メロディを送出するメロディ送出機に関し、特に、複数のトーン発生手段より出力されるトーン信号を合成してからエンベロープをつけるタイプの和音メロディ送出機に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設け、複数のトーン発生器より出力されるトーン信号を合成してからエンベロープをつけるタイプの和音メロディ送出機がある。このタイプの和音メロディ送出機は、トーン発生器毎にエンベロープ発生器を設け、複数のトーン発生器より出力されるトーン信号各々にエンベロープをつけるタイプの和音メロディ送出機に比べ、エンベロープ発生器が1つで済むため、コスト的に有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、和音メロディ送出機は、複数のトーン発生器のうちの1つを、主旋律(メロディ)を構成する音を表すトーン信号を出力するために使用し、残りのそれぞれを、伴奏を構成する音を表すトーン信号を出力するために使用している。
【0004】
ここで、複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設けたタイプの従来の和音メロディ送出機では、エンベロープ長を、主旋律を構成する音の種類(例えば、ピアノ、ギターといった楽器の種類)に応じて一定にしている。そして、合成トーン信号に含まれる主旋律を構成する音を表すトーン信号に同期して、合成トーン信号にエンベロープをつけている。このため、例えば、主旋律を構成する音の変化タイミングおよび伴奏を構成する音の変化タイミング間のずれが大きくなると、伴奏が聴き取り難くなるという問題がある。
【0005】
図5(a)は、複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設けたタイプの従来の和音メロディ送出機において、各トーン発生器より出力されるトーン信号を示している。ここで、トーン発生器Aは、主旋律を構成する音を表すトーン信号を順次出力しており、トーン発生器B、Cは、それぞれ伴奏1、2を構成する音を表すトーン信号を順次出力している。伴奏を構成する各音の音符長つまりトーン信号の出力時間は、リズムをとるために、主旋律のそれの2〜4倍程度に設定されている。
【0006】
図5(b)は、図5(a)に示す各トーン信号を合成することで得られた合成トーン信号に、この合成トーン信号に含まれる主旋律を構成する音を表すトーン信号に同期して、主旋律を構成する音の種類に応じて一定となるエンベロープ長を持つエンベロープをつけた場合における、エンベロープ後の合成トーン信号に含まれる各トーン発生器のトーン信号成分を示している。
【0007】
図5より明らかなように、伴奏を構成する音の変化タイミングが、主旋律を構成する音の変化タイミングから大きくずれると(図5(b)のA部を参照)、エンベロープによる減衰効果により伴奏を構成する音の変化点での音量が小さくなり、このため、伴奏が聴き取り難くなってしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設けたタイプのメロディ送出機において、伴奏が聴き取り易い、自然な和音メロディを送出できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のメロディ送出機は、トーン信号を発生する複数のトーン発生手段と、前記複数のトーン発生手段各々よりのトーン信号を合成するトーン合成手段と、前記トーン合成手段よりの合成トーン信号にエンベロープをつけるエンベロープ発生手段と、前記複数のトーン発生手段からのトーン信号の出力を制御する制御手段と、を有する。
【0010】
そして、前記制御手段は、前記複数のトーン発生手段のうちの所定のトーン発生手段から順次出力されるトーン信号各々に同期させて、この同期するトーン信号の出力時間に応じた(例えば比例した)エンベロープ長となるように、前記エンベロープ発生手段を制御する。
【0011】
ここで、前記所定のトーン発生手段は、例えば、主旋律(メロディ)を構成する音を表すトーン信号を順次出力する。この場合、残りのトーン発生手段の各々が、前記主旋律の伴奏を構成する音を表すトーン信号を順次出力する。
【0012】
本発明のメロディ送出機によれば、合成トーン信号につけられるエンベロープのエンベロープ長が、例えば主旋律を構成する音を表すトーン信号に同期して、この同期するトーン信号に出力時間に応じた長さに設定される。したがって、主旋律を構成する音の変化タイミングおよび伴奏を構成する音の変化タイミング間のずれが大きい場合は、主旋律を構成する音を表すトーン信号の出力時間が長くなるので、エンベロープ長も長くなる。これにより、エンベロープによる減衰効果の影響が小さくなるので、伴奏を構成する音の変化点での音量が小さくなるの防ぐことができる。このため、自然な和音メロディを送出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態であるメロディ送出機の概略構成図である。
【0015】
図示するように、本実施形態のメロディ送出機は、トーン信号を発生する複数のトーン発生部11a〜11bと、トーン発生部11a〜11bよりのトーン信号を合成するトーン合成部12と、トーン合成部12よりの合成トーン信号にエンベロープをつけるエンベロープ発生部13と、制御部14と、を有する。ここでは、3つのトーン発生部11a〜11bを用いているが、当然のことながら、トーン発生部11a〜11bの数はこれに限定されず、複数であればよい。
【0016】
制御部14には、例えばマイクロプロセッサユニット等の情報処理装置が用いられる。また、トーン発生部11a〜11b、トーン合成部12およびエンベロープ発生部13は、例えば1チップ化された集積回路が用いられる。
【0017】
さて、制御部14は、トーン発生部11a〜11c毎に、対応するトーン発生部から順次出力すべきトーン信号を特定するためのトーン信号テーブル(TL)141a〜141cを有している。
【0018】
図2は、制御部14が保持するトーン信号TL141a〜141cの登録内容例を示す図である。図示するように、トーン信号TL141a〜141cには、出力音の周波数データ1421および出力時間データ1422を有するトーン信号データ142が、トーン信号の出力順(時系列)に登録されている。制御部14は、トーン信号TL141a〜141cに従ってトーン発生部11a〜11cからトーン信号が順次出力されるように制御する。
【0019】
なお、本実施形態では、トーン発生器11aから主旋律を構成する音を表すトーン信号を順次出力させ、トーン発生器11b、11cから、それぞれ伴奏1、2を構成する音を表すトーン信号を順次出力させるように、トーン信号TL141a〜141cを用意している。ここで、伴奏1、2を構成する各音の音符長つまりトーン信号の出力時間は、リズムをとるために、主旋律のそれの2〜4倍程度に設定している。
【0020】
また、制御部14は、主旋律を構成する音を表すトーン信号各々に同期させて、つまり、トーン発生部11aから順次出力するトーン信号各々に同期させて、この同期するトーン信号の出力時間データ1422が示す値に応じた(比例した)エンベロープ長となるように、エンベロープ発生部13を制御する。
【0021】
例えば、トーン発生部11aから出力しようとしているトーン信号を特定するトーン信号データ142中の出力時間データ1422に、所定の係数を乗算して、このトーン信号に同期させるエンベロープのエンベロープ長を算出する。そして、エンベロープ発生部13を、このトーン信号のトーン発生部11aからの出力に同期して、トーン合成部12より出力される合成トーン信号に、算出したエンベロープ長を持つエンベロープをつけるように制御する。
【0022】
図3は、図1に示す制御部14の動作フローを説明するための図である。
【0023】
先ず、制御部14は、トーン信号TL141a〜141c各々から、最初のトーン信号データ142を取り出す。それから、トーン信号TL141aから取り出したトーン信号データ142をトーン発生部11aに、トーン信号TL141bから取り出したトーン信号データ142をトーン発生部11bに、そして、トーン信号TL141cから取り出したトーン信号データ142をトーン発生部11cに、それぞれ設定する(S401)。これにより、トーン発生部11a〜11cは、自身に設定されたトーン信号データ142に含まれる周波数データ1421が示す周波数を持つトーン信号を、当該トーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を継続出力するように、動作を開始する。そして、トーン発生部11a〜11cより出力されたトーン信号は、トーン合成部12で合成される。
【0024】
また、制御部14は、トーン信号TL141aから取り出したトーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を基に、エンベロープ長を算出し、このエンベロープ長データをエンベロープ発生部13に設定する(S402)。これにより、エンベロープ発生部13は、トーン合成部12より出力される合成トーン信号に、自身に設定されたエンベロープ長データにより特定されるエンベロープ長を持つエンベロープをつける。そして、エンベロープ後の合成トーン信号が、和音メロディ信号として、外部へ出力される。
【0025】
さて、制御部14は、トーン発生部11aに設定したトーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を経過したならば(S403でYes)、トーン信号TL141aから、出力順番上、当該トーン信号データ142の次のトーン信号データ142を取り出して、トーン発生部11aに設定する(S404)。これにより、トーン発生部11aは、自身に新たに設定されたトーン信号データ142に含まれる周波数データ1421が示す周波数を持つトーン信号を、当該トーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を継続出力するように動作する。
【0026】
次に、制御部14は、トーン信号TL141aから取り出したトーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を基に、エンベロープ長を算出し、このエンベロープ長データをエンベロープ発生部13に設定する(S405)。これにより、エンベロープ発生部13は、トーン合成部12より出力される合成トーン信号に、自身に新たに設定されたエンベロープ長データにより特定されるエンベロープ長を持つエンベロープをつける。そして、エンベロープ後の合成トーン信号が、和音メロディ信号として、外部へ出力される。
【0027】
また、制御部14は、トーン発生部11bに設定したトーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を経過したならば(S406でYes)、トーン信号TL141bから、出力順番上、当該トーン信号データ142の次のトーン信号データ142を取り出して、トーン発生部11bに設定する(S407)。これにより、トーン発生部11bは、自身に新たに設定されたトーン信号データ142に含まれる周波数データ1421が示す周波数を持つトーン信号を、当該トーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を継続出力するように動作する。
【0028】
また、制御部14は、トーン発生部11cに設定したトーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を経過したならば(S408でYes)、トーン信号TL141cから、出力順番上、当該トーン信号データ142の次のトーン信号データ142を取り出して、トーン発生部11cに設定する(S409)。これにより、トーン発生部11cは、自身に新たに設定されたトーン信号データ142に含まれる周波数データ1421が示す周波数を持つトーン信号を、当該トーン信号データ142に含まれる出力時間データ1422が示す出力時間を継続出力するように動作する。
【0029】
さて、制御部14は、外部より動作停止が指示されるまで(S410)、あるいは、トーン信号TL141a〜141cに登録されている全てのトーン信号データ142について、トーン発生部11a〜11cへの設定が完了するまで(S411)、上記S403〜S409の処理を繰り返す。
【0030】
なお、トーン信号TL141a〜141cに登録されている全てのトーン信号データ142について、トーン発生部11a〜11cへの設定が完了した場合において、外部より繰返し動作が指示されている場合(S412でYes)、S401に戻って処理を続ける。
【0031】
図4(a)は、図1に示すメロディ送出機が、図2に示すトーン信号TL141a〜141cの登録内容に従って各トーン発生部11a〜11cより出力するトーン信号を示している。上述したように、トーン発生部11aは、主旋律を構成する音を表すトーン信号を順次出力しており、トーン発生部11b、11cは、それぞれ伴奏1、2を構成する音を表すトーン信号を順次出力している。
【0032】
図4(b)は、図1に示すメロディ送出機が、図2に示すトーン信号TL141a〜141cの登録内容に従ってエンベロープ発生部13より出力する和音メロディ信号(エンベロープ後の合成トーン信号)に含まれる各トーン発生部11a〜11cのトーン信号成分を示している。
【0033】
図4より明らかなように、伴奏を構成する音の変化タイミングが、主旋律を構成する音の変化タイミングから大きくずれた場合でも(図4(b)のA部を参照)、主旋律を構成する音を表すトーン信号の出力時間長に応じてエンベロープ長が長くなるため、エンベロープによる減衰効果による影響が小さくなる。このため、伴奏を構成する音の変化点にて十分な音量を確保でき、自然な和音メロディを送出することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0035】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上記の実施形態では、制御部14に、トーン発生部11aから順次出力するトーン信号各々に同期させて、この同期するトーン信号の出力時間データ1422が示す値に応じた(比例した)エンベロープ長となるように、エンベロープ発生部13を制御している。しかし、同期するトーン信号の出力時間データ1422のみならず、周波数データ1421が示す値をも考慮して、エンベロープ長を決定するようにしてもよい。例えば、出力時間が同じならば、周波数が低いほど長くなるように、エンベロープ長を決定してもよい。
【0037】
また、上記の実施形態において、主旋律を構成する音を表す各トーン信号を決定するトーン信号TL141aの登録内容に基づいて、前記各トーン信号に同期させて適用するエンベロープのエンベロープ長を予め算出もしくは決定しておき、これをトーン信号TL141aに登録しておいてもよい。そして、トーン信号TL141aからトーン信号データ142を読み出して、このデータに基づいてトーン発生部11aを制御すると共に、このトーン信号データ142に対応するエンベロープ長のデータを読み出して、このデータに基づいてエンベロープ発生器13を制御してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設けたタイプのメロディ送出機において、伴奏が聴き取り易くすることができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたメロディ送出機の概略構成図である。
【図2】図1に示す制御部14に保持されるトーン信号テーブル141a〜141cの登録内容例を示す図である。
【図3】図1に示す制御部14の動作フローを説明するための図である。
【図4】図1に示すメロディ送出機における、トーン信号およびエンベロープ後の合成トーン信号の状態を説明するための図である。
【図5】複数のトーン発生器に対してエンベロープ発生器を1つ設けたタイプの従来の和音メロディ送出機における、トーン信号およびエンベロープ後の合成トーン信号の状態を説明するための図である。
【符号の説明】
11a〜11b…トーン発生部
12…トーン合成部
13…エンベロープ発生部
14…制御部
141a〜141c…トーン信号テーブル
Claims (3)
- メロディを送出するメロディ送出機であって、
トーン信号を発生する複数のトーン発生手段と、前記複数のトーン発生手段各々よりのトーン信号を合成するトーン合成手段と、前記トーン合成手段よりの合成トーン信号にエンベロープをつけるエンベロープ発生手段と、前記複数のトーン発生手段からのトーン信号の出力を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記複数のトーン発生手段のうちの所定のトーン発生手段から順次出力されるトーン信号各々に同期させて、同期するトーン信号の出力時間に応じたエンベロープ長となるように、前記エンベロープ発生手段を制御すること
を特徴とするメロディ送出機。 - 請求項1記載のメロディ送出機であって、
前記制御手段は、
前記所定のトーン発生手段に、主旋律(メロディ)を構成する音を表すトーン信号を順次出力させると共に、前記所定のトーン発生手段を除く前記複数のトーン発生手段の各々に、前記主旋律の伴奏を構成する音を表すトーン信号を順次出力させること
を特徴とするメロディ送出機。 - 複数のトーン発生手段より出力されるトーン信号を合成し、この合成トーン信号にエンベロープをつけることで和音メロディ信号を生成して送出するメロディ送出方法であって、
前記複数のトーン発生手段のうちの所定のトーン発生手段から順次出力されるトーン信号各々に同期させて、合成トーン信号につけるエンベロープを、同期するトーン信号の出力時間に応じたエンベロープ長とすること
を特徴とするメロディ送出方法。
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