JP3828621B2 - 有機el発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、有機化合物を用いた有機EL発光素子(以下、有機EL素子ともいう)に関し、さらに詳細には、発光層に電子を供給する陰電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機EL発光素子が盛んに研究されている。これは、錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの透明電極(陽電極)上にテトラフェニルジアミン(TPD)などのホール輸送材料を蒸着等により薄膜とし、さらにアルミキノリノール錯体(Alq3 )などの蛍光物質を発光層として積層し、さらにMgなどの仕事関数の小さな金属電極(陰電極)を形成した基本構成を有する素子で、10V 前後の電圧で数100〜1000cd/cm2ときわめて高い輝度が得られることで注目されている。
【0003】
このような有機EL素子の陰電極として用いられる材料は、発光層へ電子を多く注入するものが有効であると考えられている。換言すれば、仕事関数の小さい材料ほど陰電極として適していると言える。仕事関数の小さい材料としては種々のものがあるが、EL発光素子の陰電極として用いられるものとしては、例えば特開平4−233194号公報に記載されているMgAg、AlLiが一般的である。この理由として、有機EL発光素子の製造プロセスが、抵抗加熱を用いた蒸着を主としているため、蒸着源は低温で蒸気圧の高いものに自ずと制限されてしまうという事情がある。また、このような抵抗加熱を用いた蒸着プロセスを用いているため、膜界面での密着性が悪くなり、これが素子寿命を律する要因ともなっていた。
【0004】
真空成膜の一つとして、スパッタ法を用いることも考えられる。しかし、従来のスパッタ法の場合、Ar等の不活性ガスを用いて、ガス圧0.5〜1.0Paの条件により行われるが、蒸着の場合と比較してスパッタされる原子や原子団は数10〜数100倍程度の高い運動エネルギーを有する。このため、有機物から形成された発光層等に直接スパッタ成膜すると、エレクトロンによるダメージを与えることになる。より具体的には、電離されたエレクトロンが多数有機EL素子構造体に衝突して、素子構成膜がダメージを受け、静電破壊電圧が低下し、陰陽電極間に電圧を印加するとリークを生じてしまい、素子として機能しなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、陰電極の成膜時に、低しきい値電圧で、しかもエレクトロンによる素子の構成膜へのダメージを与えない有機EL発光素子の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。
(1) 基板上に形成された有機EL発光素子構造体上に、スパッタガスにKrおよび/またはXeを用いるか、あるいはこれとAr、HeおよびNeのうちの1種以上との混合ガスを用い、スパッタ法にて陰電極を成膜する有機EL発光素子の製造方法。
(2) スパッタガスの動作圧力が10Pa以上である上記(1)の有機EL発光素子の製造方法。
(3) 前記スパッタガスのKrおよびXe含有率が、90〜100%である上記(1)または(2)の有機EL発光素子の製造方法。
(4) スパッタ法がDCスパッタ法である上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL発光素子の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0008】
本発明の有機EL発光素子の製造方法は、基板上に形成された有機発光素子構造体上に、スパッタガスにKrまたはXe、あるいはこれらの混合ガス、さらにはこれらとAr、HeおよびNeのうちの1種以上との混合ガスを用い、好ましくはDCスパッタ法にて陰電極を成膜し、さらにスパッタガスの動作圧力を好ましくは10Pa以上とする。
【0009】
スパッタガスは、任意の量比のKr+Xeであってよいが、KrまたはXeが好ましく、特にKr単体が好ましい。Kr、Xeを用いることにより、スパッタガスがイオン化し難くなり、エレクトロンの発生も少なくなる。また、KrまたはXeとAr、He、Neのうちの1〜3種との混合ガスを用いても良く、このような混合ガスを用いる場合、KrまたはXeの分圧は90%以上とする。このように混合ガスを用いることにより、投入電力が少なくて済む。
【0010】
このようなスパッタガスのスパッタ時における動作圧力としては、好ましくは10Pa以上、さらには12〜50Pa程度が好ましい。動作圧力は可能な限り高い圧力とすることが好ましい。スパッタガスの圧力が高いと、ターゲットより飛来してくる金属原子や原子団がスパッタガスと衝突して散乱されやすくなり、自由工程が少なくなることから運動エネルギーも小さくなる。動作圧力を10Pa以上とするときには、有機EL素子構造体へのダメージが低下するが、スパッタガスはAr、Ne、He、Kr、Xe等の1種以上であってもよい。ただし、Kr、Xeを含む前記スパッタガスを用いるとダメージはより少なくなる。ここで有機EL素子構造体とは、陰電極形成前の有機EL素子をいう。
【0011】
スパッタ法としてはRF電源を用いた高周波スパッタ法も可能であるが、有機EL素子構造体へのダメージを少なくするためにはDCスパッタ法を用いることが好ましい。DCスパッタ装置の電力としては、好ましくは0.1〜4W/cm2 、特に0.5〜1W/cm2 の範囲である。
【0012】
このようなスパッタ法にて成膜される陰電極の構成材料としては、電子注入を効果的に行うために、低仕事関数の物質として、例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.5〜10at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:5〜20at%)等が好ましい。したがって、ターゲットとしては、通常このような陰電極構成金属、合金を用いる。
【0013】
また、陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすればよく、50nm以上、好ましくは100nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は100〜500nm程度とすればよい。
【0014】
本発明の方法により製造される有機発光素子は、基板上に陽電極と、この上に陰電極とを有し、これらの電極に挟まれて、それぞれ少なくとも1層の電荷輸送層および発光層を有し、さらに最上層として保護層を有する。なお、電荷輸送層は省略可能である。そして、陰電極は、前述のとおり、スパッタ法で成膜される仕事関数の小さい金属または合金で構成されたものである。
【0015】
本発明により製造される有機発光素子の構成例を図1に示す。同図に示されるEL素子は、基板21上に、陽電極22、正孔注入・輸送層23、発光および電子注入輸送層24、陰電極25を順次有する。
【0016】
本発明のEL素子は、図示例に限らず、種々の構成とすることができ、例えば発光層を単独で設け、この発光層と金属電極との間に電子注入輸送層を介在させた構成とすることもできる。また必要に応じ、正孔注入・輸送層23と発光層とを混合してもよい。
【0017】
陰電極は前述のように成膜し、発光層等の有機物層は真空蒸着等により、陽電極は蒸着やスパッタ等により成膜することができるが、これらの膜のそれぞれは、必要に応じてマスク蒸着または膜形成後にエッチングなどの方法によってパターニングでき、これによって、所望の発光パターンを得ることができる。さらには、基板が薄膜トランジスタ(TFT)であって、そのパターンに応じて各膜を形成することでそのまま表示および駆動パターンとすることもできる。最後に、SiOX 等の無機材料、テフロン等の有機材料からなる保護層を形成すればよい。
【0018】
保護層は、基板1側から発光した光を取り出す構成では透明でも不透明であってもよい。透明にする場合は、透明な材料(例えばSiO2 、SIALON等)を選択して用いるか、あるいは厚さを制御して透明(好ましくは発光光の透過率が80%以上)となるようにすればよい。一般に、保護層の厚さは50〜1200nm程度とする。保護層は一般的なスパッタ法、蒸着法等により形成すればよい。
【0019】
さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐために素子上に封止層を形成することが好ましい。封止層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封する。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0020】
次に、本発明のEL素子に設けられる有機物層について述べる。
【0021】
発光層は、正孔(ホール)および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好ましい。
【0022】
電荷輸送層は、陽電極からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、正孔注入輸送層とも称される。
【0023】
このほか、必要に応じ、例えば発光層に用いる化合物の電子注入輸送機能がさほど高くないときなど、前述のように、発光層と陰電極との間に、陰電極からの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能および正孔を妨げる機能を有する電子注入輸送層を設けてもよい。
【0024】
正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0025】
なお、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに別個に設けてもよい。
【0026】
発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜100nm程度、特に10〜100nmとすることが好ましい。
【0027】
正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。電子もしくは正孔の、各々の注入層と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で100nm程度、輸送層で100nm程度である。このような膜厚については注入輸送層を2層設けるときも同じである。
【0028】
また、組み合わせる発光層や電子注入輸送層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合領域・発光領域を自由に設計することが可能であり、発光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にできる。
【0029】
本発明のEL素子の発光層には発光機能を有する化合物である蛍光性物質を含有させる。この蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報等に開示されているようなトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の金属錯体色素が挙げられる。この他、これに加え、あるいは単体で、キナクリドン、クマリン、ルブレン、スチリル系色素、その他テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等を用いることもできる。発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これらの蛍光性物質を蒸着等すればよい。
【0030】
また、必要に応じて設けられる電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。上述のように、電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成も発光層と同様に蒸着等によればよい。
【0031】
なお、電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陰電極側から電子親和力の値の大きい化合物の層の順に積層することが好ましい。このような積層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
【0032】
また、正孔注入輸送層には、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号公報、特開平8−100172号公報、EP0650955A1等に記載されている各種有機化合物を用いることができる。例えば、テトラアリールベンジシン化合物(テトラアリールジアミンないしテトラフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0033】
正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陽電極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ましい。また陽電極表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好ましい。このような積層順については、正孔注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、正孔注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。
【0034】
正孔注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着すればよい。
【0035】
本発明において、陽電極として用いられる透明電極は、好ましくは発光した光の透過率が80%以上となるように陽電極の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、SnO2 、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽電極に用いることが好ましい。また、陽電極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要である。
【0036】
基板材料としては、基板側から発光した光を取り出す構成の場合、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0037】
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパルス駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、5〜20V 程度とされる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0039】
<実施例1>
ガラス基板上にITOを厚さ200nmにスパッタ法にて透明電極としてパターニングし、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、次いで煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。この透明電極表面をUV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0040】
次いで減圧状態を保ったまま、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD)を蒸着速度0.2nm/secで55nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0041】
さらに、減圧を保ったまま、Alq3 :トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層とした。
【0042】
次いで、真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にてAg・Mg合金(Mg:5at%)をターゲットとして陰電極を200nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスにはKrを用い、ガス圧は15Paとした。また、投入電力は400Wであった。
【0043】
最後にSiO2 を200nmの厚さにスパッタして保護層として、有機薄膜発光素子(EL素子)を得た。この有機EL発光素子は、それぞれ2本ずつの平行ストライプ状陰電極と、8本の平行ストライプ状陽電極を互いに直交させ、2×2mm縦横の素子単体(画素)を互いに2mmの間隔で配置し、8×2の16画素の素子としたものである。
【0044】
この有機薄膜発光素子にN2 雰囲気中で直流電圧を印加し、10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初期には、9V 、200cd/cm2の緑色(発光極大波長λmax =520nm)の発光が確認できた。輝度の半減時間は500時間で、その間の駆動電圧の上昇は2V であった。
<実施例2>
実施例1と同様にして得た有機EL素子10シートについて、画素160個あたりの電流リークを調べた。なお、電流リークは抵抗が10 KΩ以下のものをリーク発生とした。その結果を表1に示す。
【0045】
<実施例3>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをKrからXeにかえた他は同様にして有機EL素子を得た。発光量、および半減時間は実施例1と同様であった。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調べた。その結果を表1に示す。
【0046】
<実施例4>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをKrにAr1%を添加したもの用い、スパッタ時のガス圧を20Pa、投入電力200Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。発光量、および半減時間は実施例1と同様であった。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調べた。その結果を表1に示す。
【0047】
<実施例5>
実施例4の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをKrに添加するガスをArからNe、Heのそれぞれに変えて同様に陰電極を成膜したところ、実施例4とほぼ同様の結果を得た。
【0048】
<実施例6>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをXeにAr1%を添加したもの用い、スパッタ時のガス圧を20Pa、投入電力200Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。発光量、および半減時間は実施例1と同様であった。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調査した。その結果を表1に示す。
【0049】
<実施例7>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスKrのガス圧を5Pa、投入電力300Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。リークの無い素子では発光量は実施例1と同等であったが、半減時間は実施例1より低下した。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調査した。その結果を表1に示す。
【0050】
<実施例8>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスにArを用い、そのガス圧を15Pa、投入電力200Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。リークの無い素子では発光量は実施例1と同等であったが、半減時間は実施例1より低下した。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調査した。その結果を表1に示す。
【0051】
<実施例9>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをKrにAr20%を添加したもの用い、スパッタ時のガス圧を20Pa、投入電力200Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。リークの無い素子では発光量は実施例1と同等であったが、半減時間は実施例1より低下した。このようにして形成した有機EL素子について、実施例2と同様にして電流リークによる破壊個数を調査した。その結果を表1に示す。
【0052】
<比較例1>
実施例1の有機EL素子の製造方法において、スパッタガスをAr100%に変更し、スパッタ時のガス圧を3Pa、投入電力200Wとした他は同様にして有機EL素子を得た。このようにして形成した有機EL素子について、実施例1と同様にして電流リークによる破壊個数を調査した。その結果を表1に示すが、電流リークが多く素子として使用できなかった。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、陰電極界面での膜の密着性が改善され、有機EL素子構造体へのダメージが低減し、有機EL素子の静電破壊が防止でき、素子の長寿命化が可能となる。また、材料の蒸気圧等に制限されることなく前記陰電極が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
21 基板
22 陽電極
23 正孔注入・輸送層
24 発光層
25 陰電極
Claims (4)
- 基板上に形成された有機EL発光素子構造体上に、スパッタガスにKrおよび/またはXeを用いるか、あるいはこれとAr、HeおよびNeのうちの1種以上との混合ガスを用い、スパッタ法にて陰電極を成膜する有機EL発光素子の製造方法。
- スパッタガスの動作圧力が10Pa以上である請求項1の有機EL発光素子の製造方法。
- 前記スパッタガスのKrおよびXe含有率が、90〜100%である請求項1または2の有機EL発光素子の製造方法。
- スパッタ法がDCスパッタ法である請求項1〜3のいずれかの有機EL発光素子の製造方法。
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