JP3828412B2 - 閉断面部付きパネル部材の成形方法及び閉断面部付きパネル部材の成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、閉断面部付きパネル部材を構成するパネル及び閉断面部を一体の状態で所望形状に成形することができる閉断面部付きパネル部材の成形方法及び閉断面部付きパネル部材の成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のダッシュボードパネルやフロアパネルは、平板を所望の形状にプレス成形したパネルを備え、このパネルを補強するために、パネルの一端に中空部を備える。以下、パネルに中空部を備えた中空部付きパネル部材の製造方法を、ダッシュボードパネルを例に挙げて次図で説明する。
【0003】
図15(a),(b)は従来のダッシュボードパネルを製造する例を説明する図である。
(a)において、パネル100と閉断面部(中空部)101とを別々に準備し、パネル100をプレス装置で所望の形状にプレス成形するとともに、中空部101を曲げ装置で所望の形状に曲げ成形する。
このように、パネル100及び中空部101をそれぞれ個別にプレス成形や曲げ成形することで、パネル100や中空部101を所望の形状に成形することができる。
【0004】
(b)において、個別に成形したパネル100と中空部101とを、一例としてスポット溶接102・・・によりパネル100に中空部101を固定して、自動車のダッシュボードパネル103を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図15(b)のダッシュボードパネル103はパネル100と中空部101とを個別に成形した後、一体に連結するので部品点数が多くなり、そのことが部材の管理の簡素を妨げる要因になっていた。
【0006】
また、パネル100と中空部101とを個別に成形するので、パネル100のプレス工程と中空部101の曲げ工程とを個別に実施する必要があり、そのことが生産性を高める妨げる要因になっていた。
【0007】
さらに、パネル100と中空部101とを個別に成形するために、パネル100をプレス成形するプレス装置と、中空部101を曲げ加工する曲げ装置との二種の装置を備える必要がある。
加えて、パネル100に中空部101をスポット溶接103するための溶接設備を備える必要があり、そのことが設備費を抑える妨げる要因になっていた。
【0008】
一方、中空部付きパネル部材のパネル及び中空部を一体にした状態で、パネルと中空部とを所望の形状に成形させる例が、特開平7−47420号公報「自動車用フレームの製造方法」に開示されている。
この技術によれば、パネルに閉断面部を一体形成した閉断面部付きパネル部材を所望の形状にプレス成形する内容が提案されている。
【0009】
しかし、この技術は、パネルに閉断面部を一体形成した閉断面部付きパネル部材を構成するパネルと閉断面部とを比較的緩やかな湾曲状にプレス成形するものである。
これに対して、ダッシュボードパネルはパネルと中空部とをそれぞれ別々の形状に形成する必要があり、上記公報の技術をダッシュボードパネルに適用することはできない。
【0010】
一方、特開昭58−84620号公報「絞りプレス型」には、パネルを絞り成形する際に、上型の昇降動作に対応させてポンチを上下動させ、このポンチでパネルの端部にフランジを成形する技術が提案されている。
この技術はパネルを絞り成形する際に、併せてパネルの端部にフランジを成形するという、2種の成形を可能にしている。
【0011】
この技術を流用すれば、中空部付きパネル部材のパネルをプレス成形するとともに、中空部を曲げ加工してダッシュボードパネルを成形することが可能なように思われる。
しかし、この公報には、パネルのプレス成形と中空部の曲げ加工とを同時におこなう内容について記載はなく、この技術からパネルのプレス成形と中空部の曲げ加工とを同時に実施してダッシュボードパネルを成形することはできない。
【0012】
このため、自動車用のダッシュボードパネルやフロアパネルは、図14で説明したように、パネル100と中空部101とを別々に準備し、パネル100をプレス装置で所望の形状にプレス成形するとともに、中空部101を曲げ装置で所望の形状に曲げ成形し、個別に成形したパネル100と中空部101とをスポット溶接103・・・で固定する方法を採用している。
この方法を採用すると、上述したように部品点数、成形工程、設備が多くなるため、ダッシュボードパネル103やフロアパネルなどを部品点数、成形工程、設備を少なくした状態で成形することができる技術の実用化が望まれている。
【0013】
そこで、本発明の目的は、部品点数を減らすことができ、また成形工程を減らすことができ、さらに設備を減らすことができる閉断面部付きパネル部材の成形方法及び閉断面部付きパネル部材の成形装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
閉断面部付きパネル部材を構成するパネル部材と閉断面部を併せて成形する方法として、パネルをプレス成形する際に、併せて閉断面部もプレス成形するという方法が考えられる。
【0015】
しかしながら、この方法で閉断面部付きパネル部材を成形してみると、閉断面部からプレス力を除去した際に、閉断面部がプレス成形した状態からプレス成形前の状態に戻ってしまうという弾性的はね返り(以下、「スプリングバック」という)が発生し、この方法は採用できないことが判明した。
閉断面部にスプリングバックが発生する理由を次図で説明する。
【0016】
図1(a)〜(c)は中空部をプレス成形する例を示した図である。
(a)は、プレス成形型10で中空部11をプレス成形した状態を示す。プレス成形型10の上型12を矢印の如く下降して、上型12と下型13とで中空部11を湾曲状にプレス成形する。
中空部11を湾曲状にプレス成形した後、上型12を上昇させて型開きすると、中空部11にスプリングバックが発生して中空部11の両端11a,11bが想像線で示す状態から、実線で示す状態に矢印の如く弾性的にはね返る。
【0017】
(b)は、プレス成形型10でプレス成形した中空部11の拡大図を示す。プレス成形型10で中空部11を湾曲状にプレス成形すると、中空部11は、中立軸11cにおいて歪みが0になり、この中立軸11cを境界として外周側(上半分)に引張り応力σtが発生し、内周側(下半分)に圧縮応力σcが発生する。
【0018】
(c)は、プレス成形型10でプレス成形した際に中空部11に発生した応力と歪みの関係をグラフで示し、縦軸を応力σ、横軸を歪みεとしたものである。このグラフG1は、中空部11の外周側に発生する引張り応力σtを縦軸の+側に示し、中空部11の内周側に発生する圧縮応力σcを縦軸の−側に示したものである。
このグラフG1によれば、中空部11をプレス成形した際に中空部11の上半分に引張り応力σtが発生し、中空部11の下半分に圧縮応力σcが発生して、比較的大きな弾性歪みε1が発生することが判る。
【0019】
このように、除荷前(すなわち、プレス圧を除去する前)の中空部11に比較的大きな弾性歪みε1が発生するので、中空部11からプレス力を除去した際に、弾性歪みε1が0に近づこうとして比較的大きなスプリングバックが発生する。このスプリングバックが比較的大きいことが、中空部11の両端11a,11bが弾性的にはね返る要因になる。
【0020】
図2(a)〜(c)は中空部の両端に引張り力を作用させながら曲げ成形する例を示した図である。
(a)は、曲げ型15で中空部11を曲げ成形した状態を示す。中空部11の両端11a,11bをチャック16,16で把持し、チャック16,16で中空部11の両端11a,11bに引張り力をかけながら、中空部11を曲げ型15に押し付けることにより中空部11を曲げ加工する。
【0021】
(b)は、曲げ型15で曲げ加工した中空部11の拡大図を示す。中空部11の曲げ加工をおこなう際に中空部11の両端11a,11bに引張り力を付加することで、中空部11の応力の中立軸11cが中空部11の内周側に移動する。これにより、中空部11における引張り応力σtの占める領域が圧縮応力σcより大きくなる。
【0022】
(c)は、曲げ型15で曲げ加工した際に中空部11に発生した応力と歪みの関係をグラフで示し、縦軸を応力σ、横軸を歪みεとしたものである。グラフG1は、図1(c)に示す引張り力を付加しない場合の応力と歪みとの関係を示し、グラフG2は、中空部11の両端11a,11bに引張り力を付加した場合の応力と歪みとの関係を示す。
中空部11の両端11a,11bに引張り力を付加することにより、中空部11に引張り歪みdεが発生する。このため、中空部11に発生する応力σと歪みεとの関係はグラフG1からグラフG2に変化する。
【0023】
このように、グラフG1をグラフG2に変えることで、グラフG2の弾性歪みε2をグラフG1の弾性歪みε1より小さく抑えることができる。ここで、弾性歪みが大きいことがスプリングバックの発生要因になるので、グラフG2のように弾性歪みε2を小さく抑えることにより、中空部11に発生するスプリングバック量を低減することがきることが判明した。
【0024】
このことから、閉断面部付きパネル部材を成形する際に、平板状のパネルをプレス成形で加工し、中空部などの閉断面部の両端に引張り力をかけながら、閉断面部曲げ加工することで課題が解決できるとの見通しを得た。
【0025】
具体的には請求項1は、平板状のパネルに中空部などの閉断面部を一体形成した閉断面部付きパネル部材を準備し、この準備した閉断面部付きパネル部材を型開きした成形装置内に配置し、この成形装置の型締めにより、前記閉断面部の両端を把持した状態で閉断面部の両端に引張り力をかけながら前記閉断面部を曲げ成形し、この曲げ成形時あるいは曲げ成形後に、前記型締めを継続しておこなうことにより前記平板状のパネルをプレス成形することを特徴とする。
【0026】
閉断面部の両端を把持した状態で閉断面部を曲げ成形することで、閉断面部の両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形(引張り曲げ成形)する。このように、両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することにより、曲げ成形した後に、閉断面部の両端から引張り力を除去しても、スプリングバックにより閉断面部がはね返ることを防止して、閉断面部を所定の曲げ形状に保つことができる。
続いて、閉断面部の曲げ成形時あるいは曲げ成形後にパネルをプレス成形する。これにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部とパネルとをそれぞれ所望の形状に成形することができる。
【0027】
また、閉断面部とパネルとを一体にまとめた閉断面部付きパネル部材の状態で成形することができるので、閉断面部の成形とパネルの成形とを同じ成形作業でおこなうことができる。
加えて、プレス成形装置で閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部の成形型とパネルの成形型とを個別に備える必要はない。
また、閉断面部付きパネル部材の状態で閉断面部とパネルとを成形することができるので、閉断面部とパネルとを成形した後、各部材を溶接などで一体に形成する必要がない。
【0030】
請求項2は、パネルに中空部などの閉断面部を一体成形した閉断面部付きパネル部材を成形するプレス成形装置において、このプレス成形装置は、前記パネルを型締めによりプレス成形する上型及び下型と、上型及び下型間に設けられ前記上型とともに前記パネルを挟むブランクホルダと、このブランクホルダに設けられ、前記閉断面部を曲げ成形するための曲げ型と、この曲げ型に対向させて前記閉断面部を配置可能に閉断面部の両端を把持するチャック部と、このチャック部を曲げ型に向けて移動自在に支えるガイド手段と、前記上型に設けられ、前記ガイド手段に押圧力をかけてチャック手段を曲げ型に向けて移動させる上カムドライバと、を備え、前記型締めの際に、前記上カムドライバで前記チャック手段を前記曲げ型に向けて移動させて曲げ型に前記閉断面部を押し付けることで、前記チャック手段で閉断面部の両端に引張り力をかけながら前記閉断面部を曲げ型で曲げ成形し、この閉断面部の曲げ成形時あるいは曲げ成形後に、前記型締めを継続しておこなうことにより前記上型及び下型で前記パネルをプレス成形することを特徴とする。
【0031】
プレス成形装置のブランクホルダに、曲げ型、チャック手段及びガイド手段を備え、ガイド手段でチャック手段を支え、チャック手段で閉断面部の両端を挟持するように構成した。これにより、上型をブランクホルダまで移動することにより、上型のカムドライバでチャック手段を移動して、チャック手段で両端を把持した閉断面部を曲げ型に押し付けることができる。
よって、閉断面部の両端をチャック手段で把持した状態で閉断面部を曲げ成形することで、閉断面部の両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することができる。
【0032】
このように、両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することにより、曲げ成形した後に、閉断面部の両端から引張り力を除去しても、スプリングバックにより閉断面部がはね返ることを防止することができる。
これにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部をプレス成形装置を使用して成形することができるので、閉断面部とパネルとを2部品に分ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0033】
また、プレス成形装置を型締めすることにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部とパネルとをそれぞれ個別に成形する必要はない。
加えて、プレス成形装置で閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部の成形型とパネルの成形型とを個別に備える必要はない。
さらに、閉断面部付きパネル部材の状態で閉断面部とパネルとを成形することができるので、閉断面部とパネルとを成形した後、各部材を溶接などで一体に形成する必要はない。
請求項3は、前記下型に下カムドライバを設け、前記上型および前記下型で前記パネルにゆとりをもたせて成形するために、この下カムドライバで前記ガイド手段および前記曲げ型を移動させることを特徴とする。
これにより、パネルに亀裂が発生することや、パネルが破損することを防ぐことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図3は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の側面図である。
閉断面部付きパネル部材の成形装置20は、上型21と下型24との間にブランクホルダ27を設け、ブランクホルダ27に曲げ加工用ユニット30を設け、曲げ加工用ユニット30で閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を曲げ加工し、上型21と下型24とで閉断面部付きパネル部材17のパネル19をプレス成形する装置である。
【0035】
図4は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の斜視図である。
閉断面部付きパネル部材の成形装置20は、ブランクホルダ27に、閉断面部を曲げ成形するための曲げ型33と、この曲げ型33に対向させて閉断面部を配置可能に閉断面部の両端を把持するチャック手段35と、このチャック手段35を曲げ型33に向けて移動自在に支えるガイド手段40とを備え、上型21にチャック手段35を移動させるための一対の上カムドライバ(カムドライバ)50,50を備え、下型24に曲げ型33、チャック手段35及びガイド手段40を一体にまとめた曲げ加工用ユニット30を移動する一対の下カムドライバ52,52を備える。
【0036】
上型21は、ブランクホルダ27に対向する面に上成形面22を形成し、上成形面22の後方に凹部23を形成し、凹部23に上カムドライバ50,50を前後方向にスライド自在に取付け、上カムドライバ50,50を押圧開始位置P1(図1に示す)に保持する圧縮スプリング51a,51aを備える。圧縮スプリング51a,51aは、引きボルト51b,51bに取付けられている。
下型24は、上成形面22に対向する部位に下成形面25を備え、下成形面25の後方に一対の下カムドライバ52,52を備える。
【0037】
ブランクホルダ27は、下成形面25に対向する部位に下成形面25を嵌入可能な嵌入孔28を備え、嵌入孔28の後方に曲げ加工用ユニット30を備え、曲げ加工用ユニット30の後方に下カムドライバ52が挿入可能な一対のガイド溝29,29を備える。
【0038】
曲げ加工用ユニット30は、ブランクホルダ27に形成した凹部27aに基台31を前後方向にスライド自在に取付け、基台31の前端に曲げ型33を備え、曲げ型33の後方にガイド手段40を備え、ガイド手段40でチャック手段35を支えるように構成したものである。
【0039】
基台31は後端部を後方に向けて上り勾配となるテーパ面32に形成する。これにより、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型締めすることにより、基台31のテーパ面32に、下型24の下カムドライバ52,52に形成したテーパ面53,53を当接することにより、下カムドライバ52,52で基台31を前方に向けて移動することができる。
【0040】
曲げ型33は、後方に向けて湾曲した水平曲げ成形面34aを備え、水平曲げ成形面34aの上方に向けて湾曲した鉛直曲げ成形面34b(図7に示す)を備える。
ガイド手段40は、曲げ型33の左右端側にそれぞれ左右のガイド部41,42を備え、チャック手段35は、左右のガイド部41,42に支えられた左右のチャック部36,37を備える。
【0041】
図5は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の要部を示す要部拡大図である。
右ガイド部42は、基台31に固定した固定ガイド部材43を備え、固定ガイド部材43の前面に後方に向けて上り勾配に形成したガイド面43aを備え、ガイド面43aに湾曲状のカム溝43bを形成し、カム溝43bにカムフォロア44及び補助ローラ45を配置し、これらカムフォロア44及び補助ローラ45を支え部材46に取付け、支え部材46の上端に押圧部材47をボルト47bを介して揺動自在に取付け、支え部材46の下端に支え部材46を把持位置P2に戻すとともに、支え部材46を把持位置P2に保持する支えシリンダ48をボルト48aを介して備える。
【0042】
支え部材46には、チャックホルダ49を介して右チャック部37を備える。右チャック部37は、チャック38を閉じることで閉断面部の右端を把持することができ、チャック38を開くことで閉断面部の把持を解除することができるように構成したものである。
【0043】
右ガイド部42をこのように構成することにより、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型締めした際に、上型21の上カムドライバ50の下面50a(図1に示す)が押圧部材47の上面47aに当接し、上カムドライバ50で押圧部材47を押し下げることにより、カム溝43bに沿ってカムフォロア44及び補助ローラ45が移動する。
【0044】
これにより、支え部材46がカムフォロア44及び補助ローラ45と一緒にカム溝43bに沿って湾曲状に下降するとともに、支え部材46が固定ガイド部材43のガイド面43aに沿って曲げ型33(図1に示す)に向けて移動する。
よって、右チャック部37が支え部材46と一緒にカム溝43bに沿って湾曲状に下降するとともに、ガイド面43aに沿って曲げ型33に向けて移動する。
【0045】
図6は図5の6−6線断面図であり、固定ガイド部材43の前面に上り勾配のガイド面43aを備え、ガイド面43aに湾曲状のカム溝43bを形成し、カム溝43bにカムフォロア44及び補助ローラ45を配置し、これらカムフォロア44及び補助ローラ45を支え部材46に取付け、支え部材46の上端に押圧部材47をボルト47bを介して揺動自在に取付け、支え部材46の下端に支えシリンダ48をボルト48aを介して備えた状態を示す。
【0046】
カムフォロア44は、ボルト44aで支え部材46に取付け、このボルト44aでローラ44bを回転自在に支え、鍔44cでローラ44bがカム溝43bから抜け出すことを阻止するように構成した部材である。
補助ローラ45は、ボルト45aで支え部材46に取付け、このボルト45aでローラ45bを回転自在に支え、鍔45cでローラ45bがカム溝43bから抜け出すことを阻止するように構成した部材である。
【0047】
なお、カムフォロア44のローラ44bはカム溝43bの両側壁に接触するように、ローラ44bの外径をカム溝43bの幅より僅かに小さく形成したもので、補助ローラ45のローラ45bはカム溝43bの内側壁のみに接触するように、ローラ45bの外径をローラ44bの外径より小径に形成したものである。
【0048】
図7は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の要部を示す要部拡大図である。
曲げ型33は、後方に向けて水平方向に湾曲した水平曲げ成形面34aを備え、水平曲げ成形面34aの後方に、上方に向けて鉛直方向に湾曲した鉛直曲げ成形面34bを備える。
水平曲げ成形面34aは、半径R1の湾曲形状に形成した成形面であり、鉛直曲げ成形面34bは、半径R2の湾曲形状に形成した成形面である。
【0049】
水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を押し付けることにより、所望の形状に曲げ加工する。
ここで、閉断面部18は、鉛直曲げ成形面34bで主曲げ加工をおこない、水平曲げ成形面34aで付加的な曲げをおこなう。
なお、水平曲げ成形面34aで主曲げをおこない、鉛直曲げ成形面34bで付加的な曲げをおこなうことも可能である。
【0050】
次に、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を使用した閉断面部付きパネル部材の成形方法を図8〜図12に基づいて説明する。
図8(a)〜(c)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第1作用説明図である。
(a)において、平板状のパネル19に中空部などの閉断面部18を一体形成した閉断面部付きパネル部材17を準備する。
ここで、閉断面部18を、一例として5角形の中空部材として説明するが、閉断面部18の形状は任意であり、五角形の中空部材の他に四角形の中空部材などを使用することも可能である。
【0051】
(b)において、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型開きした状態で、ブランクホルダ27に閉断面部付きパネル部材17を載せる。
(c)において、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18の両端18a,18bを左右のチャック部36,37で把持する。
【0052】
図9(a),(b)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第2作用説明図である。
(a)において、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型開きした状態から上型21を矢印▲1▼の如く下降する。
【0053】
(b)において、上型21に備えた上カムドライバ50の下面50a((a)に示す)が押圧部材47の上面47aに当接し、上カムドライバ50で押圧部材47を押し下げることにより、カム溝43bに沿ってカムフォロア44及び補助ローラ45(図6に示す)が移動する。
これにより、曲げ型33の水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34b(図7に示す)に閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を押し付ける。
【0054】
図10(a)〜(c)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第3作用説明図である。
(a)において、上型21を引続き下降させることにより、上型21をブランクホルダ27に当接する。
【0055】
(b)において、上カムドライバ50で押圧部材47を所定位置まで押し下げる。これにより、曲げ型33の水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を押し付ける。
ここで、水平曲げ成形面34aに押し付ける閉断面部18の部位18c((a)も参照)は、図示の上では幅狭に示してあるが、部位18cの幅は水平曲げ成形面34aに十分にかかる広さに形成されているものとする。部位18cの幅を広く確保することで、閉断面部18を水平曲げ成形面34aに十分に押し付けることが可能になる。
【0056】
このように、水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに閉断面部18を押し付けることで、閉断面部18の両端18a,18bを左右のチャック部36,37で把持しているので、左右のチャック部36,37で閉断面部18の両端18a,18bに引張り力F,Fをかけながら、閉断面部18を曲げ型33の水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに押し付ける。
【0057】
(c)において、閉断面部18の両端18a,18bに引張り力F,Fをかけながら水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bで曲げ加工することで、閉断面部18の両端18a,18bがスプリングバックで弾性的はね返りが発生することを防止できる。
(a)に戻って、上型21をブランクホルダ27に当接することで、閉断面部付きパネル部材17のパネル19を上型21とブランクホルダ27とで挟持する。
【0058】
図11(a)〜(c)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第4作用説明図である。
(a)において、上型を継続してさらに下降することにより、ブランクホルダを下型に当接する。これにより、閉断面部付きパネル部材の成形装置20が型締めした状態になり、閉断面部付きパネル部材17のパネル19を上型21の上成形面22と下型24の下成形面25とで所定の形状にプレス成形する。
【0059】
ここで、閉断面部付きパネル部材17のパネル19をプレス成形する際にゆとりを持たせるために、ブランクホルダ27に備えた曲げ加工用ユニット30を下型24から下カムドライバ52,52で前方向にスライドさせる。
これにより、パネル19に亀裂が発生することや、パネル19が破損することを防ぐことができる。
【0060】
(b)において、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型締めすることで、パネル19をプレス成形した後、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型開きする。
(c)において、閉断面部付きパネル部材の成形装置20を型開きした後、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を曲げ加工し、パネル19をプレス成形してダッシュボードパネル55とした製品を閉断面部付きパネル部材の成形装置20から取り出す。
ここで、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18は、水平方向に半径R1の湾曲状に曲げ成形され、鉛直方向に半径R2で曲げ形成されている。
【0061】
図12(a)〜(b)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置のカム溝の曲げ形状(曲率)を決める方法を説明する図である。
(a)において、閉断面部付きパネル部材の成形装置20(図4に示す)で閉断面部18を矢印の如く曲げ型33の水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに押し付ける。曲げ加工する際に、閉断面部18の両端18a,18bを左右のチャック部36,37で把持することにより、閉断面部18に白抜き矢印の如く引張り力をかけることができる。
【0062】
ここで、曲げ加工の際の、曲げ開始位置をP1、曲げ終了位置をP3とし、曲げ開始位置P1から曲げ終了位置P3までのスライドストロークをL1とする。本実施形態では、一例としてスライドストロークL1を200mmとして説明する。なお、スライドストロークL1の値は任意に変えることが可能である。
【0063】
(b)において、カム溝43b(図5も参照)の湾曲形状の例を、第1カム溝A1、第2カム溝A2、第3カム溝A3として説明する。
なお、湾曲形状Aは閉断面部18の両端18a,18bに引張り力をかけないで曲げ成形した場合の右端18bの軌跡を示す。
【0064】
湾曲Aの曲げ終了位置P3と、第1〜第3のカム溝A1〜A3の曲げ終了位置P3とを比較すると、第1〜第3のカム溝A1〜A3の曲げ終了位置P3は、湾曲Aの曲げ終了位置P3より距離L2だけ外側に位置する。
これにより、第1〜第3のカム溝A1〜A3を採用することで、閉断面部18が距離L2だけ伸ばすことができ、その伸びに対応する引張り力を閉断面部18にかけることができる。
【0065】
(c)は、第1〜第3のカム溝A1〜A3を採用して閉断面部18に引張り力をかけた場合の、引張り力FとスライドストロークL1との関係を示したグラフであり、縦軸に引張り力F、横軸にスライドストロークL1(200mm)を示す。
【0066】
第1カム溝A1は、曲げ終了位置P3から100mm手前の位置で最終引張り力Fの25%の引張り力(0.25×F)をかけるように曲げ加工するカム溝形状を示す。
第2カム溝A2は、曲げ終了位置P3から100mm手前の位置で最終引張り力Fの50%の引張り力(0.5×F)をかけるように曲げ加工するカム溝形状を示す。
【0067】
第3カム溝A3は、曲げ終了位置P3から140mm手前の位置(すなわち、曲げ開始位置P1から60mmの位置)で最終引張り力Fをかけるようにし、この位置から曲げ終了位置P3まで最終引張り力Fをかけた状態を保つように曲げ加工するカム溝形状を示す。
【0068】
次に、第1〜第3のカム溝A1〜A3の湾曲形状を決める方法を説明する。
(b)に戻って、第1カム溝A1の湾曲形状は、曲げ開始位置P1から中間位置A1(P2)までを単一半径の円弧で結び、中間位置A1(P2)から曲げ最終位置P3までを単一半径の円弧で結ぶことにより得ることができる。
【0069】
また、第2カム溝A2の湾曲形状は、曲げ開始位置P1から中間位置A2(P2)までを単一半径の円弧で結び、中間位置A2(P2)から曲げ最終位置P3までを単一半径の円弧で結ぶことにより得ることができる。
【0070】
さらに、第3カム溝A3の湾曲形状は、曲げ開始位置P1から中間位置A3(P2)までを単一半径の円弧で結び、中間位置A3(P2)から曲げ最終位置P3までを単一半径の円弧で結ぶことにより得ることができる。
なお、第1〜第3のカム溝A1〜A3の湾曲形状を決める方法は、この方法に限らないで適宜決めることができる。
【0071】
次に、閉断面部付きパネル部材の成形装置20でその他の部材を成形する例を図13に基づいて説明する。
図13は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置で製造したリアパーセルシェルフを示す斜視図である。なお、リアパーセルシェルフは自動車のリヤトランクルームと室内とを仕切る部材である。
第1実施形態では閉断面部付きパネル部材の成形装置20でダッシュボードパネルを成形する例について説明したが、閉断面部付きパネル部材の成形装置20はダッシュボードパネル55に限らないで、リアパーセルシェルフ57などのその他の部材を成形することも可能である。
【0072】
閉断面部付きパネル部材の成形装置20でリアパーセルシェルフ57を成形する際には、第1実施形態のダッシュボードパネル55と同様に、閉断面部59の両端をチャック手段で把持することにより、閉断面部59に引張り力をかけた状態で閉断面部59を曲げ加工する。これにより、閉断面部59がスプリングバックによる弾性的はね返りの発生を防いで所望の形状に曲げ加工することができる。
閉断面部59を曲げ加工した後、パネル58をプレス成形することで、リアパーセルシェルフ57を得ることができる。
なお、閉断面部付きパネル部材の成形方法及び閉断面部付きパネル部材の成形装置20によれば、ダッシュボードパネルやリアパーセルシェルフに限らないで、その他の部材を成形することも可能である。
【0073】
続いて、第2実施形態を図14に基づいて説明する。
図14(a),(b)は本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の第2実施形態を示す説明図である。なお、第2実施形態において第1実施形態と同一部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
(a)に示すブランクホルダ60は、第1実施形態のブランクホルダ27に代えて使用するもので、第1実施形態の曲げ加工用ユニット30(図3に示す)に相当する曲げ加工用ユニット61の後端に備えた曲げ型33の曲げ型33の水平曲げ成形面34aを前向きに配置するとともに、水平曲げ成形面34aの前方に鉛直曲げ成形面34bを上向きに配置し、水平曲げ成形面34aの前方に備えたガイド手段40のガイド面43bを水平曲げ成形面34aに対向するように後向きに配置した。
これにより、ガイド手段40で支えたチャック手段35(図4に示す)で閉断面部を把持することにより、この閉断面部を水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに対向させることができる。
【0075】
すなわち、ブランクホルダ60は、曲げ型33の水平曲げ成形面34aを前向きに配置するとともに、水平曲げ成形面34aの前方に鉛直曲げ成形面34bを上向きに配置し、ガイド手段40のガイド面43aを後向きに配置した点で第1実施形態のブランクホルダ27と異なるだけで、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0076】
このブランクホルダ60を上型と下型との間にセットして、プレス成形を実施することにより、上型の上カムドライバでガイド手段40に備えた押圧部材47の上面47aを白抜き矢印の如く押圧することにより、支え部材46をガイド面43aに沿って矢印の如く移動する。
支え部材46を矢印の如く移動することで、チャック手段35(図4に示す)で把持した閉断面部を曲げ型33の水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに押し付けることができる。この際に、第1実施形態と同様に、閉断面部の両端に引張り力をかけることができる。
【0077】
(b)は、ブランクホルダ60を使用して成形したダッシュボードパネル65を示す。第1実施形態のブランクホルダ27に代えてブランクホルダ60を使用することにより、閉断面部67を水平曲げ成形面34a及び鉛直曲げ成形面34bに押し付けることで、閉断面部67の曲げを第1実施形態の閉断面部18の曲げと逆向きに曲げ加工することができる。閉断面部67を曲げ加工した後、第1実施形態と同様にパネル66をプレス成形する。
【0078】
このように、第2実施形態のブランクホルダ60を使用することで、閉断面部67の曲げを、第実施形態の閉断面部18の曲げと逆向きに変えることができるので、閉断面部付きパネル部材の成形装置の適用範囲の拡大を図ることができる。
【0079】
なお、前記実施形態では、閉断面部付きパネル部材17のパネル19をプレス成形する際にゆとりを持たせるために、ブランクホルダ27に備えた曲げ加工用ユニット30をスライド自在に構成した例について説明したが、これに限らないで、ブランクホルダ27に曲げ加工用ユニット30を固定させることも可能である。この場合には、下型24から下カムドライバ52,52を除去することができる。
この構成によれば、装置20の構成を簡素化できるので、設備費をより一層抑えることができる。
【0080】
また、前記実施形態では、図5に示すようにガイド面43aを平坦な上り勾配の傾斜面とした例について説明したが、これに限らないで、ガイド面43aを途中から平面視で水平曲げ成形面34aに合せて湾曲させることも可能である。
このように、ガイド面43aを途中から平面視で水平曲げ成形面34aに合せて湾曲させることにより、水平曲げ成形面34aに閉断面部18を押し付けた際に左右のチャック部36,37を水平曲げ成形面34aと略平行に配置することができる。このため、水平曲げ成形面34aに閉断面部18をより一層効率よく押し付けることができる。
【0081】
さらに、前記実施形態では、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18を曲げ成形した後、パネル19をプレス成形した例について説明したが、これに限らないで、閉断面部18を曲げ成形するとともに、閉断面部18の曲げ成形にオーバーラップさせてパネル19をプレス成形することも可能である。
【0082】
また、前記実施形態では、閉断面部付きパネル部材17の閉断面部18とパネル19とを、押出し成形などで一体形成し、この閉断面部付きパネル部材17を使用して閉断面部18の曲げ成形やパネル19のプレス成形を実施する例について説明したが、これに限らないで、閉断面部18とパネル19とをそれぞれ個別に成形した後、それぞれの部材18,19を溶接などで接合して閉断面部付きパネル部材17とし、前記実施形態の成形方法で閉断面部18の曲げ成形やパネル19のプレス成形を実施することも可能である。
【0083】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、閉断面部の両端を把持した状態で閉断面部を曲げ成形することで、閉断面部の両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することができる。このように、両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することにより、曲げ成形した後に、閉断面部の両端から引張り力を除去しても、スプリングバックにより閉断面部がはね返ることを防止して、閉断面部を所定の曲げ形状に保つことができる。
【0084】
続いて、閉断面部の曲げ成形時あるいは曲げ成形後にパネルをプレス成形することができる。これにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部とパネルとをそれぞれ所望の形状に成形することができる。
従って、閉断面部とパネルとを一体にまとめた閉断面部付きパネル部材の状態で成形することが可能になり、部品点数を減らすことができる。
【0085】
また、閉断面部とパネルとを一体にまとめた閉断面部付きパネル部材の状態で成形することができるので、閉断面部の成形とパネルの成形とを同じ成形作業でおこなうことができる。これにより、従来技術のように、閉断面部とパネルとをそれぞれ個別に成形する必要がなく、成形作業の簡素化を図ることができる。
【0086】
加えて、プレス成形装置で閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部の成形型とパネルの成形型とを個別に備える必要がなく、設備を減らすことができる。
【0087】
また、閉断面部付きパネル部材の状態で閉断面部とパネルとを成形することができるので、閉断面部とパネルとを成形した後、各部材を溶接などで一体に形成する必要がない。このため、溶接装置などの設備を不要にできるので、設備をさらに減らすことができる。
【0089】
請求項2は、上型をブランクホルダまで移動することにより、上型のカムドライバでチャック手段を移動して、チャック手段で両端を把持した閉断面部を曲げ型に押し付けることができる。よって、閉断面部の両端をチャック手段で把持した状態で閉断面部を曲げ成形することで、閉断面部の両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することができる。
【0090】
このように、両端に引張り力をかけながら閉断面部を曲げ成形することにより、曲げ成形した後に、閉断面部の両端から引張り力を除去しても、スプリングバックにより閉断面部がはね返ることを防止して、閉断面部を所定の曲げ形状に保つことができる。
これにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部をプレス成形装置を使用して成形することができるので、閉断面部とパネルとを2部品に分ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0091】
また、プレス成形装置を型締めすることにより、閉断面部付きパネル部材の閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部とパネルとをそれぞれ個別に成形する必要がなく、成形作業の簡素化を図ることができる。
【0092】
加えて、プレス成形装置で閉断面部を曲げ成形するとともに、パネルをプレス成形することができるので、従来技術のように、閉断面部の成形型とパネルの成形型とを個別に備える必要がなく、設備を減らすことができる。
【0093】
さらに、閉断面部付きパネル部材の状態で閉断面部とパネルとを成形することができるので、閉断面部とパネルとを成形した後、各部材を溶接などで一体に形成する必要がない。このため、溶接装置などの設備を不要にできるので、設備をさらに減らすことができる。
請求項3は、下型に下カムドライバを設け、上型および下型でパネルにゆとりをもたせて成形するために、この下カムドライバでガイド手段および曲げ型を移動させる。
これにより、パネルに亀裂が発生することや、パネルが破損することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空部をプレス成形する例を示した図
【図2】中空部の両端に引張り力を作用させながら曲げ成形する例を示した図
【図3】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の側面図
【図4】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の斜視図
【図5】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の要部を示す要部拡大図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の要部を示す要部拡大図
【図8】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第1作用説明図
【図9】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第2作用説明図
【図10】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第3作用説明図
【図11】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形方法を示す第4作用説明図
【図12】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置のカム溝の形状を決める方法を説明する図
【図13】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置で製造したリアパーセルシェルフを示す斜視図
【図14】本発明に係る閉断面部付きパネル部材の成形装置の第2実施形態を示す説明図
【図15】従来のダッシュボードパネルを製造する例を説明する図
【符号の説明】
17…閉断面部付きパネル部材、18…閉断面部、18a,18b…両端、19…パネル、20…閉断面部を有するパネル部材の成形装置、21…上型、24…下型、27、60…ブランクホルダ、33…曲げ型、34…曲げ成形面、35…チャック手段、36…左チャック手段、37…右チャック手段、40…ガイド手段、41…左ガイド部、42…右ガイド部、50…上カムドライバ(カムドライバ)、52…下カムドライバ。
Claims (3)
- 平板状のパネルに中空部などの閉断面部を一体形成した閉断面部付きパネル部材を準備し、
この準備した閉断面部付きパネル部材を型開きした成形装置内に配置し、
この成形装置の型締めにより、前記閉断面部の両端を把持した状態で閉断面部の両端に引張り力をかけながら前記閉断面部を曲げ成形し、
この曲げ成形時あるいは曲げ成形後に、前記型締めを継続しておこなうことにより前記平板状のパネルをプレス成形することを特徴とする閉断面部付きパネル部材の成形方法。 - パネルに中空部などの閉断面部を一体成形した閉断面部付きパネル部材を成形するプレス成形装置において、
このプレス成形装置は、
前記パネルを型締めによりプレス成形する上型及び下型と、
上型及び下型間に設けられ前記上型とともに前記パネルを挟むブランクホルダと、
このブランクホルダに設けられ、前記閉断面部を曲げ成形するための曲げ型と、
この曲げ型に対向させて前記閉断面部を配置可能に閉断面部の両端を把持するチャック部と、
このチャック部を曲げ型に向けて移動自在に支えるガイド手段と、
前記上型に設けられ、前記ガイド手段に押圧力をかけてチャック手段を曲げ型に向けて移動させる上カムドライバと、を備え、
前記型締めの際に、前記上カムドライバで前記チャック手段を前記曲げ型に向けて移動させて曲げ型に前記閉断面部を押し付けることで、前記チャック手段で閉断面部の両端に引張り力をかけながら前記閉断面部を曲げ型で曲げ成形し、この閉断面部の曲げ成形時あるいは曲げ成形後に、前記型締めを継続しておこなうことにより前記上型及び下型で前記パネルをプレス成形することを特徴とする閉断面部を有するパネル部材の成形装置。 - 前記下型に下カムドライバを設け、前記上型および前記下型で前記パネルにゆとりをもたせて成形するために、この下カムドライバで前記ガイド手段および前記曲げ型を移動させることを特徴とする請求項2記載の閉断面部を有するパネル部材の成形装置。
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