JP3828372B2 - 水系インクの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系インクの製造法に関する。更に詳しくは、インクジェット記録用水系インク等に好適に使用しうる水系インクの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、カラー化が容易であり、記録部材として普通紙を使用することができるので、近年広く用いられている。
【0003】
インクジェットに使用されるインクには、ノズルにインクが目詰まりするのを防止するために、水溶性染料及び多価アルコールが用いられている。しかし、このインクには、耐水性や耐光性に劣り、特に熱ジェット方式のインクとして使用した場合には、ヒーター面の熱により染料が酸化され、インクがヒーター面に焦げつきやすく、吐出性が低下するという欠点がある。
【0004】
この欠点を解消するために、顔料インクが提案されている。顔料インクには、界面活性剤や水溶性ポリマーにより顔料を水中へ分散させた顔料分散型インクと、水不溶性ポリマーのポリマー粒子に顔料を含有させ、水中に分散させた顔料内包型インクが提案されている。
【0005】
しかしながら、顔料分散型インク用いた場合には、前記欠点がかなり改善されるものの、耐水性及び耐光性が不十分であるという欠点がある。
【0006】
一方、顔料内包型インクは、耐水性及び耐光性に優れる反面、顔料分散型インクと対比してポリマーの添加量が多く、しかも顔料の表面がポリマーで覆われているため、顔料の分散が困難という欠点がある。
【0007】
一般に、顔料の分散は、分散液の製造法を利用して行なわれており、撹拌機によるミキシングは、通常、10Pa程度の低剪断応力で行なわれている。しかし、このような低剪断応力では、分散不良を生じたり、インク特性が悪くなるという欠点がある。
【0008】
また、分散させる際には、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等の分散機によるメディアを用いた分散方法も提案されている。しかし、この分散方法は、メディアとベッセルやメディア同士の衝突によって発生する無機不純物量が多く、吐出速度が低下する等の欠点があるため、機能面から好ましくない。
【0009】
前記欠点を解消するために、高圧ホモジナイザーを用いた顔料インクの製造法が提案されている。例えば、特公平8−30158号公報には、分散剤及び顔料を少なくとも含む混合物を複数のオリフィスを有するチャンバーを通過させ、処理液同士を衝突させて微粒子化する顔料インクの製造法が提案されている。
【0010】
しかしながら、この顔料インクの製造法には、顔料含有ポリマー粒子の水分散体に関する記載がないので、この分散体を分散させるのに必要な剪断応力値の記載もなく、低剪断応力で分散させると分散工程に長時間を要し、また分散安定性や濾過性が良好な分散体が得られないおそれがある。また、処理液同士を衝突させるため、チャンバーが磨耗しやすく、耐久性に劣るという欠点がある。
【0011】
一方、特開平8−109344号公報には、顔料及び分散剤を少なくとも含む混合液を、変角部を少なくとも2カ所有する1本の流路のチャンバーに通過させ、混合物を壁に衝突させてその衝突エネルギー及び混合物と流路内壁面との摩擦効果を利用した高圧ホモジナイザーによる顔料インクの製造法が提案されている。
【0012】
しかしながら、この顔料インクの製造法には、顔料含有ポリマー粒子の水分散体に関する記載がないので、この分散体を分散させるのに必要な剪断応力値の記載もなく、低剪断応力で分散させると分散工程に長時間を要し、また分散安定性や濾過性が良好な分散体が得られないおそれがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分散安定性、濾過性及び印字特性に優れた水系インクを効率よく製造しうる水系インクの製造法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分散媒と、顔料と、水不溶性ビニル系ポリマーとを混合した後、単一の流路をもつチャンバーを有する高圧ホモジナイザーを用いて1.0×105 Pa以上の剪断応力で顔料及び水不溶性ビニル系ポリマーを分散媒中に分散させ、これにより顔料を含有したポリマー粒子の水分散体を得る分散工程を含む、顔料含有ポリマー粒子の水分散体を含有する水系インクの製造法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要により、この顔料と体質顔料とを併用することもできる。
【0016】
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色系インクでは、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0017】
有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタノン顔料等が挙げられる。
【0018】
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0019】
分散媒は、水を必須とし、水単独であってもよく、あるいは水と有機溶媒とを併用してもよい。
【0020】
有機溶媒の中では、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒及びハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
【0021】
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0022】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0023】
エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0024】
芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
【0025】
脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0026】
ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、1,1,1 −トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2 −ジクロロエタン等が挙げられる。
【0027】
これらの有機溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
【0028】
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性の、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの水不溶性ポリマーの中では、水不溶性ビニル系ポリマーが好ましい。水不溶性ビニル系ポリマーとしては、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸アミドからなる群より選ばれた1種以上のモノマーの重合体が挙げられる。
【0029】
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、吐出性、プリンタヘッドの焦げ付きの防止、印刷後のインクの耐久性及び溶液又は分散液の安定性の観点から、3000〜200000、好ましくは10000〜100000であることが望ましい。
【0030】
なお、水不溶性ポリマーは、塩生成基を有し、さらに中和剤で中和されていることが分散安定性の観点から好ましい。
【0031】
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、及び酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸、ポリエチレングリコール酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0032】
水不溶性ポリマーの中和度は、特に制限されないが、通常、顔料含有ポリマー粒子の水分散体の液性が中性、例えば、pH4.5〜10となるように調整することが好ましい。
【0033】
水不溶性ポリマーの量は、印字濃度及び吐出安定性の観点から、顔料100質量部に対して、5〜400質量部、好ましくは10〜150質量部であることが望ましい。
【0034】
また、分散媒の量は、混合物の粘度の観点から、顔料と水不溶性ポリマーとの合計量100質量部に対して、100〜2000質量部、好ましくは150〜1000質量部であることが望ましい。
【0035】
本発明においては、まず、分散媒と、顔料と、水不溶性ポリマーとを混合する。これらの成分の混合の程度には特に限定がなく、これらの成分が単に混ざり合っていてもよく、あるいは均一な組成となるように混合されていてもよい。
【0036】
混合の際には、プロペラ式攪拌装置等の通常の混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ディスパー等の高速撹拌混合装置が好ましい。
【0037】
次に、分散媒と、顔料と、水不溶性ポリマーとの混合物は、分散工程に供される。この分散工程では、1.0×105 Pa以上の剪断応力で顔料及び水不溶性ポリマーを分散媒中に分散させる。
【0038】
分散工程で使用することができる分散機としては、
▲1▼ ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、
▲2▼ ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼(株)製、商品名〕、エバラマイルダー〔荏原製作所(株)製、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー〔以上、特殊機化工業(株)製、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック(株)製、商品名〕等のローター型高速剪断分散機、
▲3▼フィルミックス〔特殊機化工業(株)製、商品名〕等の攪拌羽根型高速剪断分散機、
▲4▼ 高圧ホモゲナイザー〔(株)イズミフードマシナリ製、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔ラニー(Rannie)社製、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、
▲5▼ マイクロフルイダイザー〔マイクロフルイディクス(Microfluidics) 社製、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー(株)製、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン(株)製、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学(株)製、商品名〕、DeBEE2000〔日本ビーイーイー(株)製、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
【0039】
分散機の中では、作業性及び高剪断応力が容易に得られる観点から、高圧ホモジナイザーが好ましく、チャンバー式の高圧ホモジナイザーがより好ましい。
【0040】
チャンバー式の高圧ホモジナイザーには、複数の流路をもつチャンバーを有する高圧ホモジナイザーと、単一の流路をもつチャンバーを有する高圧ホモジナイザーとがある。これらの中では、単一の流路をもつチャンバーを有する高圧ホモジナイザーは、チャンバーの耐久性の観点から好ましい。
【0041】
剪断応力は、分散安定性、濾過性及び印字特性に優れた水系インクを効率よく製造する観点から、1.0×105 Pa以上とされるが、より迅速に分散させるためには1.5×105 Pa以上であることが好ましく、5×105 Pa〜1×107 Paであることがより好ましい。なお、剪断応力は、1×107 Pa以下であることが、分散機の部材の摩耗を抑制し、長期間の使用に耐えられるようにする観点から好ましい。
【0042】
次に、本発明の製造法に用いられる分散機を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の製造法に用いられる分散機に使用される単一の流路をもつチャンバーの一実施態様を示す概略説明図である。
【0043】
図1において、混合物を矢印Aで示されるように、高圧下で間隙の狭いオリフィス1に通過させることにより、混合物とオリフィス1の流路内壁面との剪断応力により、混合物を微粒子化させることができる。更に、チャンバーの流路内における混合物の流動方向が強制的に変化させられるので、混合物と壁面との衝突による衝撃力で微粒子化させるという効果もある。
【0044】
図2は、本発明の製造法に用いられる分散機に使用されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザーのホモバルブ部における一実施態様を示す概略説明図である。
【0045】
図2において、加圧された混合物を矢印A方向に導入し、狭小なクリアランス2を通過させる際の剪断応力により、混合物を微粒化させることができる。
【0046】
図3は、本発明の製造法に用いられる分散機が3本ロールミルである場合の一実施態様を示す概略説明図である。
【0047】
図3において、矢印B方向に回転させ、3本のロール3a −ロール3b 間及びロール3b−ロール3c 間に混合物5をかみこませることにより、剪断応力を付与するとともに、圧縮応力も付与することにより、混合物が微粒子化される。処理後には、混合物は、スクレーバ4でロール3cから剥離することができる。
【0048】
図4は、本発明の製造法に用いられる攪拌羽根型の高速剪断分散機の一実施態様を示す概略説明図である。
【0049】
図4においては、混合物10を撹拌容器9内に入れた後、モーター6の回転力をシャフト7を介して撹拌羽根8に伝達することによって発生する遠心力により、混合物10を膜状態で攪拌容器9の内壁に沿って旋回させ、撹拌羽根8と攪拌容器9の内壁との間における剪断によって混合物10を微粒化させることができる。
【0050】
図5は、本発明の製造法に用いられるローター型の高速剪断分散機の一実施態様を示す概略説明図である。
【0051】
図5に示された高速剪断分散機においては、混合物(図示せず)を高速回転するローター11と静止状態のステーター12との間のクリアランスを通過させる際の剪断応力によって混合物を微粒化させることができる。
【0052】
ところで、本明細書にいう剪断応力(τ)は、式(I):
τ=μ・ u/y (I)
〔式中、μは混合物の粘度(Pa・s)、uは流速(m/s)、yは移動面に対する垂直方向の距離(m)を示す〕
にしたがって求めることができる。
【0053】
流速(u)は、チャンバー式の高圧ホモジナイザーには、チャンバー内のオリフィスを通過する混合物の平均流速の2倍、ホモバルブ式の高圧ホモジナイザーの場合には、ホモバルブのクリアランスを通過する混合物の平均流速の2倍に相当する。
【0054】
また、流速(u)は、高速剪断型分散機の場合には、回転体(ローター)の先端速度に相当し、ロールミルの場合には、相対するロールの周速度の差に相当する。
【0055】
移動面に対する垂直方向の距離(y)は、チャンバー式の高圧ホモジナイザーの場合には、オリフィス径の0.5倍、ホモバルブ式の高圧ホモジナイザーの場合には、ホモバルブのクリアランスの0.5倍に相当する。
【0056】
また、移動面に対する垂直方向の距離(y)は、高速剪断分散機の場合には、攪拌羽根又はローターの先端から固定部分(ステーター又は槽の内壁)までの距離に相当し、3本ロールミルの場合には、相対するロール間のクリアランスに相当する。
【0057】
各種分散機に対する剪断応力は、式(I)に基づいて求められる。高圧ホモジナイザーは、分散条件として処理圧力を用いることがあるが、処理圧力が同じでもオリフィスの間隔等の他の条件によっても剪断応力が変化するので、分散条件として処理圧力よりも剪断応力を用いることがよい。
【0058】
以上のようにして、1.0×105 Pa以上の剪断応力で顔料及び水不溶性ポリマーを分散媒中に分散させることにより、顔料及び水不溶性ポリマーが微細化され、所望の平均粒子径を有する顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。
【0059】
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒子径は、分散安定性及び印字特性の観点から、0.05〜1μmが好ましく、0.05〜0.2μmがより好ましい。
【0060】
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒子径は、コールターカウンターN4(コールター社)によって測定したときの値である(以下同じ)。
【0061】
なお、顔料含有ポリマー粒子の水分散体に有機溶媒が含まれている場合には、減圧蒸留等により、有機溶媒を除去して水系とすることができる。
【0062】
次に、顔料含有ポリマー粒子の水分散体に、必要に応じて湿潤剤、分散剤、消泡剤、キレート剤、防黴剤等の添加剤を適量で添加することにより、水系インクを得ることができる。
【0063】
かくして得られる水系インクは、分散安定性、濾過性及び印字特性に優れたものである。
【0064】
【実施例】
製造例1
スチレン25質量部、ラウリルメタクリレート5質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート〔新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM−40G〕30質量部、及びスチレン−アクリロニトリル共重合マクロマー〔東亜合成(株)製、商品名:AN−6、スチレン含量:70重量%、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基〕10質量部からなる共重合体(以下、ポリマーAという)を得た。得られたポリマーAの重量平均分子量は、12000であった。
【0065】
実施例1
ポリマーAのメチルエチルケトン溶液(樹脂固形分量:50重量%)1800g、カーボンブラック〔キャボット(Cabot)社製、商品名:モナーク880〕1100g、50%グルコン酸水溶液790g及びイオン交換水7300gをディスパーで25℃、60分間混合し、イオン交換水(分散媒)と顔料とポリマーの混合物を得た。
【0066】
得られた混合物から減圧蒸留によりメチルエチルケトン及び一部の水を除去し、固形分濃度が25%の脱溶媒物を得た。得られた脱溶媒物の粘度は、25mPa・sec(25℃)であった。
【0067】
この脱溶剤物をチャンバー式の高圧ホモジナイザー〔マイクロフルイディクス(Microfluidics)社製、商品名:マイクロフルイダイザーM―210C、Z型チャンバー〕を用い、以下の条件で剪断応力1.8×105 Paで分散させ、水分散体を得た。
【0068】
処理圧力:200×106 Pa
分散パス数(高圧ホモジナイザーでの処理回数):7パス
チャンバーオリフィス径:250μm
処理液平均流速:440m/s
【0069】
得られた水分散体は、平均粒子径0.13μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布もシャープで、凝集物もなく長期間(25℃、3カ月間)にわたって安定な分散性を示した。
【0070】
次に、この水分散体を平均孔径5μmのメンブランフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム(株)製〕で濾過したところ、フィルター1枚で分散体200gを濾過することができ、濾過性は良好であった。
【0071】
得られた濾過物40質量部に対し、グリセリン5質量部、尿素10質量部、アセチレングリコール・ポリエチレンオキサイド付加物〔川研ファインケミカル(株)製、商品名:アセチレノールEH〕1質量部及びイオン交換水44質量部を混合し、得られた混合液を平均孔径0.5μmのメンブランフィルターで濾過し、粗大粒子を除去し、水系インクを得た。
【0072】
得られた水系インクをインクジェットプリンター(ヒューレット・パッカード社製、商品名:Desk Jet-720C)を用いて印字特性として印字物のヨレ及び印字物のかすれを以下の評価方法にしたがって調べた。その結果、安定した吐出が可能でノズルの目詰まりがないことから、印字特性が良好であった。
【0073】
(1)印字物のヨレ
上記プリンターを用い、罫線を印刷したときのヨレの度合を目視で観察した。
【0074】
(2)印字物のかすれ
上記プリンターを用い、ベタ印字した際のかすれを目視で観察した。
【0075】
実施例2
実施例1で得られた脱溶剤物を、チャンバー式の高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザーM―140K、Z型チャンバー)を用いて、以下の条件で剪断応力5.1×105 Paで分散した。
【0076】
処理圧力:200×106 Pa
分散パス数:5パス
チャンバーオリフィス径:87μm
処理液平均流速:440m/s
【0077】
得られた分散体は、平均粒子径0.12μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布もシャープで、凝集物もなく、長期間にわたって安定な分散性を示した。
【0078】
次に、得られた分散体を実施例1と同様にして平均孔径が5μmのメンブランフィルターで濾過したところ、フィルター1枚で分散体280gを濾過することができ、濾過性は良好であった。
【0079】
得られた濾過物を用い、実施例1と同様にして水系インクを調製し、印字特性を評価した。その結果、その結果、安定した吐出が可能でノズルの目詰まりがないことから、印字特性が良好であった。
【0080】
実施例3(参考例である)
実施例1で得られた脱溶剤物を、ホモバルブ式の高圧ホモジナイザー〔ラニー(Rannie)社製、商品名:ミニラボ8.3H型〕を用いて、以下の条件で剪断応力3.3×107 Paで分散した。
【0081】
処理圧力:100×106 Pa
分散パス数:5パス
ホモバルブクリアランス:1μm
処理液平均流速:330m/s
【0082】
得られた分散体は、平均粒子径0.13μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布もシャープで、凝集物もなく、長期間にわたって安定な分散性を示した。
【0083】
次に、得られた分散体を実施例1と同様にして平均孔径が5μmのメンブランフィルターで濾過したところ、フィルター1枚で分散体320gを濾過することができ、濾過性は良好であった。
【0084】
得られた濾過物を用い、実施例1と同様にして水系インクを調製し、印字特性を評価した。その結果、安定した吐出が可能でノズルの目詰まりがないことから、印字特性が良好であった。
【0085】
実施例4(参考例である)
ポリマーAのメチルエチルケトン溶液(非蒸発成分含量:50重量%)300g、カーボンブラック〔キャボット(Cabot)社製、商品名:モナーク880〕225g及びメチルエチルケトン305gをビーカー内で手混ぜにより混合し、顔料とポリマーの混合物を得た。混合物の粘度は、2000mPa・s(25℃)であった。
【0086】
得られた混合物を3本ロールミル〔ノリタケカンパニー(株)製、商品名:NR−84A〕を用いて、以下の条件で剪断応力1.2×106 Paで分散した。
【0087】
ロール周速度差:6m/s
ロール間クリアランス:10μm
処理回数:5パス
【0088】
得られた分散体は、平均粒子径0.13μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布もシャープで、凝集物もなく、長期間にわたって安定な分散性を示した。
【0089】
次に、得られた分散体から減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、顔料含有ポリマー粒子濃度を25%に調整した後、実施例1と同様に平均孔径5μmのメンブランフィルターで濾過したところ、フィルター1枚で分散体180gを濾過することができ、濾過性は良好であった。
【0090】
得られた濾過物を用い、実施例1と同様にして水系インクを調製し、印字特性を評価した。その結果、安定した吐出が可能でノズルの目詰まりがないことから、印字特性が良好であった。
【0091】
比較例1
実施例1で得られた脱溶剤物を、チャンバー式の高圧ホモジナイザー〔マイクロフルイディクス(Microfluidics )社製、商品名:マイクロフルイダイザーM―210C、Z型チャンバー〕を用いて、以下の条件で剪断応力8.8×104 Paで分散した。
【0092】
処理圧力:50×106 Pa
分散パス数:7パス
チャンバーオリフィス径:250μm
処理液平均流速:220m/s
【0093】
得られた分散体は、平均粒子径0.20μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布がシャープでなく、しかも目視可能な凝集物が多量に存在していた。
【0094】
比較例2
実施例1で得られた脱溶剤物を攪拌羽根型高速撹拌型分散機〔特殊機化(株)製、商品名:フィルミックス〕を用いて、下記条件にて剪断応力6.3×102 Paで分散した。
【0095】
撹拌翼先端周速度:50m/s
撹拌翼と槽内壁とのクリアランス:2mm
分散時間:60分間
【0096】
得られた分散体は、平均粒子径0.18μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布がシャープではなく、しかも目視可能な凝集物が多量に存在していた。
【0097】
次に、この分散体を実施例1と同様に平均孔径が5μmのメンブランフィルターで濾過したが、分散体5gを濾過したところで目詰まりが生じたことから、水系インクを調製することができなかった。
【0098】
比較例3
実施例1で得られた脱溶剤物をローター型高速剪断分散機(エム・テクニック社製、商品名:クレアミックス)を用いて、以下の条件で剪断応力1.9×103 Paで分散させた。
【0099】
ローター先端周速度:15m/s
ローターとステーターとのクリアランス:0.2mm
分散時間:60min
【0100】
得られた分散体は、平均粒子径0.18μmの顔料含有ポリマー粒子を有し、粒径分布がシャープではなく、しかも目視可能な凝集物が多量に存在していた。
【0101】
次に、この分散体を実施例1と同様に平均孔径が5μmのメンブランフィルターで濾過したが、分散体15gを濾過したところで目詰まりが生じたことから、水系インクを調製することができなかった。
【0102】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、分散安定性、濾過性及び印字特性及に優れた水系インクを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で用いられるチャンバー式の高圧ホモジナイザーのチャンバーの一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明で用いられるホモバルブ式の高圧ホモジナイザーの一実施態様を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明で用いられる3本ロールミルの一実施態様を示す概略説明図である。
【図4】図4は、本発明で用いられる攪拌羽根型の高速剪断分散機の一実施態様を示す概略説明図である。
【図5】図5は、本発明で用いられるローター型の高速剪断分散機の一実施態様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 オリフィス
2 クリアランス
3a ロール
3b ロール
3c ロール
4 スクレーパ
5 混合液
6 モーター
7 シャフト
8 撹拌羽根
9 撹拌容器
10 混合液
11 ローター
12 ステ−ター
Claims (4)
- 分散媒と、顔料と、水不溶性ビニル系ポリマーとを混合した後、単一の流路をもつチャンバーを有する高圧ホモジナイザーを用いて1.0×105 Pa以上の剪断応力で顔料及び水不溶性ビニル系ポリマーを分散媒中に分散させ、これにより顔料を含有したポリマー粒子の水分散体を得る分散工程を含む、顔料含有ポリマー粒子の水分散体を含有する水系インクの製造法。
- 水不溶性ビニル系ポリマーが、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸アミドからなる群より選ばれた1種以上のモノマーの重合体である請求項1記載の水系インクの製造法。
- 水不溶性ビニル系ポリマーの重量平均分子量が3000〜200000である請求項1又は2記載の水系インクの製造法。
- 水系インクに含まれている顔料含有ポリマー粒子の平均粒子径が0.05〜1μmである請求項1〜3いずれか記載の水系インクの製造法。
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