JP3828162B2 - 染色された織物繊維の耐漂白性を改善する方法、及びこれによって製造された製品 - Google Patents
染色された織物繊維の耐漂白性を改善する方法、及びこれによって製造された製品 Download PDFInfo
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Description
【関連出願】
この出願は、1992年4月30日に出願された連続出願番号07/876,493号の一部継続出願である。この記載は上記先の出願日の利益を得るためのものである。
【0002】
【発明の背景】
本発明は、脱色(特に塩素漂白溶液の化学的作用による)を防止し、色褪せしない性質を改善するために、染色された織物繊維上に、ポリアミン及びポリカルボン酸から誘導された不揮発性ポリマー塩の膜を形成することに関する。
【0003】
ポリマーコーティングは、広範な問題を解決するために織物繊維に対して適用されている。皺を生じない性質を与え、収縮を防止し、また染料を固定するために、セルロース繊維に対して、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、チオ尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびフェニル/ホルムアルデヒド樹脂が適用され得ることは周知である。加えて、これらの樹脂は、染色されたセルロース織物が塩素溶液に曝されたときに、該織物を脱色から保護することが知られている。ランドルト(Landolt) の米国特許第2,373,191 号には、上記樹脂の一つで処理して硬化された染色繊維(例えば綿糸)を、塩素溶液中で処理されるべき繊維(例えばウール糸)と組み合わせて、収縮を防止することが開示されている。この混合繊維に対して塩素溶液を適用しても、染色綿糸は脱色されない。最近、ホルムアルデヒドは作業場における有害な化学物質として注目されており、その使用は厳しく制限されている。尿素/ホルムアルデヒト型樹脂の他の欠点として、処理された繊維の黄ばみ及び堅さが挙げられる。
【0004】
ウール繊維、並びにウール繊維と或る種のポリマー膜との混合物に対して、永久的なプレス及び抗収縮性を与えることを目的として、公知の多くの方法が試みられている。例えば、インターマコム社(Intermacom A.G.) の英国特許第1,259,082 号には、織物繊維上に、その場でポリアミド膜を形成することが開示されている。その場での膜形成は、ジアミンと、二酸塩化物またはジエステルとを用いた界面重合によって達成され得る。或いは、コウ(Coe) の米国特許第2,890,097 号に開示されたように、ポリアミドのエマルジョンまたは溶液を織物繊維に塗布し、硬化させてもよい。これらの方法は、最終製品に粗い手触りを与える傾向があり、また染色された織物繊維に耐漂白性を与えることが示されていないので、その適用はカーペットに対する適用に制限されている。
【0005】
織物の床被覆材、特にポリアミドのパイルカーペットは、種々の保護処理の対象にされてきた。スルホン化フェノール/ホルムアルデヒドの縮合物、スチレン/無水マレイン酸の共重合体、並びにメタクリル酸の重合体および共重合体は、ポリアミド繊維の汚れを防止するために適用されており、「汚れ防止剤(stain blocker) 」の技術になっている。N,N´−ジ置換チオ尿素、ポリチオ尿素、エポキシドとアミンとの反応により形成された三級アミン、及び有機ホスファイトのうちの一以上で、ポリアミド繊維をコーティングすることにより、オゾンに対する保護が研究されている。また、膜形成性のポリ塩化ビニルおよび水不溶性の有機燐酸エステルの組み合わせが、難燃性を付与するためにポリアミドに適用されている。
【0006】
上記の処理が利用可能であるにもかかわらず、床被覆材を漂白による脱色から保護する上で、重大な欠点が残っている。この問題は、家具、装置、備品および建物の内部を消毒するために漂白溶液がルーチンに使用される場合の、健康管理(health care installation)において特に重要である。次亜塩素酸ナトリウムの0.05重量%の次亜塩素酸ナトリウムのような、稀薄な漂白溶液をこぼすだけで、カーペットの一部が破損され得る。
【0007】
漂白によって生じる脱色の危険を除去するための一つの方法は、溶液染色された繊維を与えることであった。こうして、紡糸に前の溶融されたポリマー中に染料が組み込まれる。この着色剤は、繊維の全断面に亘って均一に分布する。
【0008】
にもかかわらず、溶液染色された繊維は幾つかの欠点を有し、その中で軽視できないことは、製造費用が高くなることである。加えて、溶液染色された繊維は、製造プロセスに更なる複雑さをもたらす。後で所望の色に染色され得る未染色の繊維の単一の在庫ではなく、各色の繊維の膨大な在庫を維持しなければならない。パターンニングが望まれるときは、二以上の異なった色の糸でカーペットをタフト(tuft)し、又は基本色に重ねてパターンを印刷しなければならない。第一の選択肢は非常に高価である。典型的には重ね印刷されたパターンが用いられるが、このパターンは繊維の表面に適用されるのみであり、漂白を受ける。
【0009】
漂白を受ける問題に加えて、多くの染色されたテキスタル繊維(特に床被覆材に組み込まれたもの)は、湿気による損傷を受け易い。この問題は、シャンプー(機械的撹拌と洗浄剤とが特に過酷に組み合わせられる)をしている間に屡々生じる。
【0010】
【発明の概要】
従って、本発明の一つの目的は、塩素漂白による脱色に対して耐性を有し且つ経済的な、染色されたテキスタル繊維を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、染色された後の繊維またはパターンが印刷された織物に対して漂白耐性を付与するための処理方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、漂白耐性を付与するための処理方法であって、ホルムアルデヒドを含まず、且つ織物繊維の脱色または手に対する不都合な衝撃を含まない処理方法を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、特に湿気およびシャンプーに際して、染色されたテキスタイル繊維の着色堅牢性を付与する処理方法を提供することである。
【0014】
従って、本発明によれば、染色された織物繊維を処理する方法であって:染色された織物繊維に対して、不揮発性であり、且つポリマー塩を形成する多官能モノマーの溶液を塗布する工程;この織物繊維を、前記モノマーを重合させるのに充分であり、且つ前記織物繊維の軟化点よりも低い温度で乾燥して、水不溶性で且つ不揮発性のポリマー塩の膜を、前記織物繊維上に形成する工程とを具備した方法が提供される。上記方法に従って製造された織物製品もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0015】
本発明は、パッディング(padding) 、浴(baths) またはスプレーのような従来の技術による処理溶液の塗布を特徴としている。この溶液は水溶液であり得、これによって有機溶媒の揮発を回避することができる。該処理液は、既に設置されたカーペットに対して適用してもよく、このとき不揮発性のポリマー塩は周囲温度で平衡化される。
【0016】
【発明の好ましい実施例の説明】
以下に本発明の好ましい特徴および実施態様を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。本発明の目的は、塩素漂白による化学的攻撃(染料の漂白として知られている)から保護され且つ着色堅牢性が改善された、染色された織物繊維を提供することである。損傷に曝される最も普通の経路は、次亜塩粗餐ナトリウムを含む洗浄剤溶液または消毒剤がカーペット上にこぼされることである。床被覆材の表装材としては、主にナイロン繊維またはポリアミド繊維が用いられており、本発明の関心はこれら繊維に向けられている。
【0017】
勿論、処理を評価する最も重要な基準は、塩素漂白溶液に曝されたときに、織物繊維が脱色から保護される程度である。消毒の目的に関して、病気コントロールセンターでは、カーペットトップのような非多孔性表面については次亜塩素酸ナトリウムの0.05%溶液、グラウト(grout) のような多孔性表面についてはその0.5 %溶液を推奨している。ここでは一般に、次亜塩素酸ナトリウムを塩素漂白剤または漂白剤という。気付かれることなく、漂白溶液がカーペット上に数時間または数日間残留することがあり、この場合には何等かの処理にを施しても、汚れ(染み)が加えられる。
【0018】
加えて、保護処理は持続性でなければならず、歩行および何回もの洗濯に耐えことができ、且つ着色堅牢性を改善するものでなければならない。熱水抽出のような湿式技術でのカーペットの洗浄に関しては、当該処理が水不溶性であることが重要である。当該保護処理は、織物繊維の物性に対しする影響が最小限のものでなければならない。従って、保護処理は該繊維に対して粗い手触りを与えてはならず、またマッティング(matting) または黄ばみを生じてはならない。環境的な認識が高まっているため、保護処理に使用するに際して許容され得るモノマー類、ポリマー類および溶媒類は制限されている。例えば、ホルムアルデヒドおよび有機溶媒を含む樹脂、特に芳香族を含むものは望ましくない。低毒性の有機溶媒を用いる処理であっても、揮散の抑制が必要とされるときは、製造コストがかなり増大する。
【0019】
本発明の漂白耐性処理は、天然および合成の織物繊維の両者に対して適用可能である。従って、例えば以下の材料から製造された繊維は、ここに開示された方法に従って効果的に処理され得る:ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、及び綿またはレーヨンのようなセルロース繊維。この処理方法は、特にポリアミド繊維、就中、ナイロン6及びナイロン6,6に対して特に有用である。「繊維」の用語は広範な意味で用いられ、ステープルファイバー及びフィラメントの両者も含まれることが意図されている。本発明の実施においては、まず最初に繊維が染色される限り、該繊維の処理が、織物製品に加工された後に行なわれるか、或いは加工される前に行なわれるかは重要ではない。従って、繊維はステープルファイバー、フィラメント、ヤーン、織布、編み物または不織布の形、或いはタフティング若しくは接着により基材に結合された形で処理され得る。
【0020】
製造の観点からいえば、殆どの繊維が織物製品に加工された後に染色されるので、通常は、漂白耐性処理はファブリック製品または床被覆材製品に対して適用される。
【0021】
本発明の処理方法は、塩素漂白剤による脱色を受けやすい何れの染料を用いて織物繊維を着色するときにも適用され得る。染料は、例えば化学反応、イオン会合またはバインダによって織物繊維の表面に固定され得る。本発明の処理によって保護され得る代表的な染料タイプの例には、酸性染料、塩基性染料、カチオン性染料、直接染料、分散染料、繊維反応性染料、メタライズ染料、前メタライズ染料およびバット染料(vat dyes)が含まれる。
【0022】
これらカテゴリーの夫々に含まれる染料の分類のうち、次亜塩素酸イオンによる攻撃を特に受け易いのは酸性染料および繊維反応性染料である。特定のタイプの繊維について適切な染料を選択することは、当業者がその知識に基づいて容易に行なえる事項である。同様に、特定の織物製品に対する染料の適用法はルーチンに属する事項であり、ヤーン染色、レンジ染色(range dyeing)、ジェット染色(jet dyeing)、溶液染色または他の従来の技術が含まれる。溶液染色された合成繊維製の織物のようなベースの色を含む織物製品であって、インクジェット印刷、スクリーン印刷またはグラビア印刷によってパターンを重ね印刷された織物製品は、本発明に従って処理され、漂白耐性が与えられる。織物繊維に対して漂白耐性を付与する方法は、繊維表面に不揮発性ポリマー塩の膜を形成する工程を具備しているので、染料および染色技術は重要ではない。
【0023】
一般に、織物繊維に対する漂白耐性の付与は、モノマー類の溶液を塗布し、該モノマー類を反応させて繊維表面に保護膜を形成することにより行なわれる。このモノマー類には、末端官能基を含むオリゴマー類または反応性低分子量「ポリマー類」が含まれる。該モノマー類は、不揮発性ポリマー塩の膜を形成し、少なくとも二官能性であることを必要とする化合物によって特徴付けられる。ブタン四カルボン酸とジアミンとの組み合わせのような、より高い官能性のモノマー類も効果的に使用され得る。
【0024】
好ましい態様においては、ポリマー塩を形成する反応に用いられる該ジアミンは、ジカルボン酸のエステルまたはジカルボン酸塩化物1モルを、2モルのジアミンと反応させて得られた低分子量の「ポリマー性」ジアミンである。例えば、アジピン酸、グルタル酸またはコハク酸のメチルエステル1モルを、2モルのヘキサメチレンジアミンと反応させることにより、低分子量のポリアミド・ジアミンが形成される。この「ポリマー性」ジアミンは、ヘキサメチレンジアミンよりも実質的に低揮発性であり、従って、健康上の危険を生じない。この「ポリマー性」ジアミンには、ジカルボン酸エステルに共有結合してアミド結合を形成するジアミンが含まれており、ポリアミドを形成しない条件下において、ジアミンとジカルボン酸との反応により繊維表面に形成されたポリマー塩の膜から区別される。
【0025】
ポリマー塩の形成に用いられるモノマー類は、好ましくは、水溶性であるか、または水溶液中に容易にエマルジョン化もしくは分散されるものである。1,000 未満の分子量を有するモノマー類が好ましく、750 未満の分子量を有するものが最も好ましい。
【0026】
従って、ここで有用な重要な基の1つは、C2-20のポリアミン及びポリカルボン酸の組み合わせである。例として、適切なポリアミンには、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン及びピペラジンが含まれる。更に、適切なポリカルボン酸の例には、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、ブタンテトラカルボン酸、テレフタル酸が含まれる。これらポリカルボン酸の代わりに炭酸を用いてもよい。特に有用であるのは、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせであり、特に好ましいのは、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の組み合わせである。ジアミンとジカルボン酸の反応で形成されるポリマーは、AABB型のポリマー塩といわれる。
【0027】
他のクラスのポリマーは、AB型のポリマー塩を形成するC2-20のアミノ酸である。これらのタイプのモノマーの例には、6−アミノヘキサン酸、アミノウンデコノイックアシッド(aminoundeconoic acid)、2−ピロリジンカルボン酸、グリシン、シスチン、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、チロシン、及びアミノドデコノイックアシッド(aminododeconoic acid)が含まれる。又、有用なモノマーの範囲に含まれるものには、前述のアミノ酸から形成されるラクタムであり、ラクタムが水の存在下で加熱され、アミノ酸塩を形成する条件下では、可能ならば、特にε−カプロラクタムである。
【0028】
処理溶液は、2から30wt%、好ましくは5から20wt%の全モノマー濃度を有する。溶媒自信は、好ましくは周囲温度で、モノマーとの溶液を形成する能力を基にして選択される。しかし、織物繊維自体は、溶媒に溶解されないか、又は溶媒によって可塑化されることが重要である。溶媒は、水性であるかC1 −C8 アルコールが好ましい。他の極性溶媒及び有機溶媒を使用することができるが、毒性若しくは排気に関する他の制限で問題があるので、これらの使用はあまり望ましくない。
【0029】
処理溶液は、短繊維、フィラメント、ヤーン、ファブリックの形態、又は基材への付着物でありうる着色された織物繊維に塗布される。液状溶液で織物繊維を湿らせるための多数の従来技術の何れでも使用しうる。例えば、処理溶液は、パディング、スプレー、又は浴に浸すことによってパイルカーペットに塗布しうる。処理溶液は、すでに設置されたカーペットに塗布し得、完全に湿らせることを保証するために機械的に振動を加えることもできる。ウエットピックアップ(wet pick up )は典型的には、織物繊維の乾燥重量(基材を含まない)を基準にして5から50wt%処理液である。織物繊維の約25%重量のウエットピックアップが典型的である。
【0030】
織物繊維に塗布される処理溶液の量は、繊維の重量あたりの固体モノマーの重量パーセントで都合よく測定される。これは、反応した場合には、繊維上のポリマー塩膜の重量パーセントで表わされる。少なくともわずかな保護を与えると信じられる塗布の低限は、繊維の重量あたり約1重量パーセントの固体である。塗布されるモノマーの量は、労働者への不都合な影響、及び織物材料のマッティング(matting )が観測される点まで増加されうる。実際問題として、増加された保護対コストの収穫逓減は、繊維の重量あたり約10wt%の固体モノマーに達した後に見られる。好ましくは、織物繊維あたり2から7wt%の固体モノマーが、処理溶液の塗布で達成される。
【0031】
本方法の次のステップは、モノマーを反応し、織物繊維上で、保護的で不揮発性のポリマー塩膜を形成させることである。処理溶液は、周囲の条件、少なくとも20℃で反応される。しかし、設置されたカーペットに処理溶液を塗布する場合、これは、保護を達成する実行可能な方法である。加えて、設置されたカーペットを処理する場合、処理溶液に対して選択される溶媒を考慮することが重要である。モノマーが反応するような塗布の後、溶媒が蒸発するので、水溶液は、健康、安全性、及び環境の関係から好ましい。
【0032】
当業者は、モノマーを溶解、乳化又は分散するために、処理溶液のpHを調節しなければならないことを明確に理解している。例えば、シスチン、アルギニン及びアスパラギンのようなアミノ酸は、水溶液中において11〜12のpHで容易に分散される。織物繊維に処理溶液を塗布した後、クエン酸のような酸を加え、pHをより低くし、モノマーを沈殿させる。pH6〜7、好ましくは7で漂白剤の攻撃に対する保護が最も効果的であることがこの処理で見い出されているので、好ましくは、処理溶液のpHを中性に戻す。これに関して、クエン酸ナトリウムのようなバッファーが、中性のpHを維持するのに有効であり、これには、クエン酸が添加されうる。
【0033】
好ましい態様では、サリチル酸が処理溶液に添加され、これは、処理された織物の耐漂白性を増加させることが見い出されている。独特な理論に結びつけることなく、酸の−OH基が、次亜過塩素酸イオンとの反応に関与すると信じられている。他のフェノール性化合物とは異なって、サリチル酸は織物繊維を黄色くするようには思われない。処理溶液のpHは、塗布の前にサリチル酸を溶解するために11〜12に調節されうる。織物繊維の重量あたり0.1から7wt%、好ましくは0.5から5.0wt%のサリチル酸が加えられる。
【0034】
2モルのヘキサメチレンジアミン及び上記の1モルの二塩基性のエステルを含有する「ポリメリック」ジアミン("polymeric" diamine )のような幾つかのモノマーが、乳化剤として作用し、中性のpHでサリチル酸を分散しうることが見い出されている。従って、「ポリメリック」ジアミン若しくは他の乳化剤、及びサリチル酸を含有する処理溶液は、織物繊維に溶液を塗布する前に中性化されうる。
【0035】
単一の処理溶液で織物繊維にモノマーの全てを塗布することが好ましいが、本発明は、そのように制限されない。例えば、ジアミンの溶液が、まず織物繊維に塗布され、次いでジアシッドを含有する第二の溶液を塗布し得、またその逆も可能である。上述したように、1以上のモノマーを含有する処理溶液のpHは、処理溶液を織物繊維に塗布した後に調整されうる。
【0036】
保護性で不揮発性のポリマー塩膜の耐久性は、より高温で処理溶液を反応することによって増加されうる。例えば、ふさ状のパイルカーペットの形態のポリアミド繊維は、オーブン中で繊維の軟化点温度以上に加熱される。これによって、100℃から繊維の軟化温度までの反応温度が使用されうる。典型的には、織物繊維は、100℃から200℃の温度、好ましくは120℃から160℃にさらされる。さらされる長さは、溶媒を蒸発、及び反応を完結させるのに必要な時間で決定される。
【0037】
処理がより低温で行われる場合、特に反応が、周囲の条件で起こる場合、触媒が、繊維表面上の不揮発性のポリマー塩の配置を改善するために処理溶液中で使用されうる。保護膜が、通常のカーペットクリーニングで洗い流される場合、耐漂白性がなくなりうるので、水に不溶性の膜が織物繊維に形成される程度に反応が進行することが好ましい。
【0038】
特別な理論に関連づけることなく仮説として取り上げられるのは、織物繊維に形成される不揮発性のポリマー塩膜が、漂白液によって損なわれる一級アミンの機能性を提供するということである。特に、不揮発性のポリマー塩膜のアミノ窒素が漂白液の次亜過塩素酸イオンと反応する。
【0039】
不揮発性のポリマー塩の形成を妨害しない限り、織物繊維の特製を改善するために使用される追加の化合物を処理溶液に混合しうる。例えば、耐汚損性及び発水性を与えるフルオロカーボンポリマー、並びにスルホン化されたフェノールを含有する縮合生成物のような汚れ防止剤が使用されうる。
【0040】
本発明は、以下の例を参照して更に理解されうるが、本発明がこれによって不当に制限されると解釈されてはならない。特に示されない限り、すべての部及びパーセンテージは重量である。
【0041】
例1
ループパイル、ナイロン6,6カーペットを含金属、標準の酸性染料で染色された平方ヤード当たり26オンスの加工素材は、8重量%のヘキサメチレンジアミドおよび8重量%のアジピン酸を含む均質な水溶液を前記パイルに噴霧することによって前処理される。水分含浸量は、ナイロン表面ファイバの乾燥重量当たり約25%である。前記カーペットは、それから275゜Fの温度で7分間の間乾燥される。処理されたカーペットは、外観において目に見えるほどの変化を示さない。前記処理されたカーペットおよび未処理の対照品は、それから次亜塩素酸ナトリウムの0.5%水溶液(多孔表面を消毒するために病害防除濃度に推奨される中心)に24時間処理され、その後前記カーペットは水洗、乾燥された。未処理の対照試料と処理されたカーペットとを目視で比較することにより、処理されたカーペットが優れた耐色喪失性を有することが明白に示された。
【0042】
例1
ループパイル、ナイロン6,6カーペットを含金属、標準の酸性染料で染色された平方ヤード当たり26オンスの加工素材は、8重量%のヘキサメチレンジアミンおよび8重量%のアジピン酸を含む均質な水溶液を前記パイルに噴霧することによって前処理される。水分含浸量は、ナイロン表面ファイバの乾燥重量当たり約25%である。前記カーペットは、それから275゜Fの温度で7分間の間乾燥される。処理されたカーペットは、外観において目に見えるほどの変化を示さない。前記処理されたカーペットおよび未処理の対照品は、それから次亜塩素酸ナトリウムの0.5%水溶液(多孔表面を消毒するために病害防除濃度に推奨される中心)に24時間処理され、その後前記カーペットは水洗、乾燥された。未処理の対照試料と処理されたカーペットとを目視で比較することにより、処理されたカーペットが優れた耐色喪失性を有することが明白に示された。
【0043】
例3
ナイロン6,6カーペットを染色した平方ヤード当たり26オンスの加工素材が、前述の処理溶液の塗布に先立って、例1と同様な酸性染料を用いて所定のパターンで重ね印刷される点を除き、全ての点で例1の手順が繰返される。例1と同様な結果が得られる。
【0044】
例4
カーペットが溶液染色ナイロン6,6ファイバからなり、前述の処理溶液の塗布に先立って、所定のパターンで重ね印刷される点を除き、全てについて例1の手順が繰返される。例1のそれらと同様な結果が重ね印刷パターンで得られ、溶液染色の色は処理されたカーペットおよび対照カーペットの両者において変化がない。
【0045】
例5
カーペットが10重量%のカプロラクタムおよび10重量%の尿素を含む均質な溶液で処理される点を除き、全てについて例1の手順が繰返される。例1のそれらと同様な結果が得られる。
【0046】
例6
ブタンテトラカルボン酸がアジピン酸に置き換えられる以外、全てについて例1の手順が繰返される。例1のそれらと同様な結果が得られる。
【0047】
例7
処理されたカーペットが次亜塩素酸塩水溶液に曝される前に、5年間の疑似着用およびクリーニングに委ねられる点を除き、全てについて例2の手順が繰返される。例1のそれらと同様な結果が得られる。
【0048】
例8
例8は、処理された試料が空気乾燥された点を除き、全てについて例2が繰返される。未処理対照品と処理された試料との目視比較によって、処理された試料では色喪失の低減を示すが、未処理対照品と同様なほど十分ではない。
【0049】
次の例は、本発明により処理され、かつ市販クリーニング溶液または水に委ねられた染色テキスタイルファイバの改善された耐変色性を証明する。
【0050】
例9
処理試料および未処理の対照試料が、サービス・マスター社のフィバア・フレッシの5%溶液でごしごし洗い落とされる点を除き、全てについて例3が繰返される。これらの試料は、テスト・ファブリックス社で市販されている積層ファイバ試験帯で被覆された。前記試験帯は、次に1/4インチのプレキシグラスで覆われ、100゜Fのオーブンに置かれた。5ポンドの円筒状重りは、前記プレキシグラス上に置かれた。前記試料は、前記オーブン中に18時間放置され、その後、前記積層ファイバ試験帯に滲んだ染料は5点線繊化学染色協会グレースケールで等級付けされた。前記処理された試料は、4.0の合格評価を示し、ところが未処理試料は3.0の落第評価を有した。
【0051】
例10
例4のカーペットが用いられた点を除き、全てについて例9が繰返される。同様な結果が、重ね印刷パターンについて得られた。
【0052】
例11
未処理の対照試料および処理試料がビーカ中の脱イオン水に15分間委ねられた点を除き、全てについて例3が繰返される。次に、これら試料は水から取り出され、水残量が前記カーペットの初期乾燥重量の2.5〜3倍になるまで振蘯される。前記試料は、積層ファイバ試験帯で被覆され、1/4インチのプレキシグラス(plexiglass)で覆われ、そして100゜Fのオーブンに置かれた。5ポンドの円筒状重りが、前記プレキシグラス上に置かれた。前記試料は、前記オーブン中に18時間放置された後、前記積層ファイバ試験帯に滲んだ染料が5点線繊化学染色協会グレースケールで等級付けされた。前記処理された試料は4.5の合格評価を示したが、未処理試料は3.5の落第評価を有した。
【0053】
例12
例4のカーペットが用いられた点を除き、全てについて例11が繰返される。同様な結果が、重ね印刷パターンについて得られた。
【0054】
勿論、特許請求の範囲内に含められるべき多くの代替の実施形態および変形例が存在する。
Claims (4)
- 染色された織物繊維の耐漂白性を向上させるための処理方法において:
(a)染色された繊維に対して、一級アミンとカルボン酸との反応により形成された( A )少なくとも二官能性で且つ( B )1,000未満の分子量を有する、ポリマー塩形成性モノマー類の溶液を適用する工程であって、
該ポリマー塩形成性モノマー類は
( i )ジアミンとポリカルボン酸又は炭酸との組合せ;
( ii )アミノ酸;および
( iii )前記アミノ酸のラクタム
から選択される工程と;
(b)前記織物繊維を20℃〜200℃の温度で乾燥して、ポリアミドを形成することなく、前記繊維の重量に基づいて1〜10重量%の量で存在する不揮発性ポリマー塩の膜を形成する工程と;
を具備する方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記織物繊維がポリアミド繊維およびポリエステル繊維から選択され、また前記モノマー類は、
(i)ジアミンとポリカルボン酸又は炭酸との組合せ;
(ii)アミノ酸;および
(iii)前記アミノ酸のラクタム
から選択され、前記モノマーは750未満の分子量を有する方法。 - 耐漂白性の染色された織物繊維であって:該織物繊維の重量に基づいて1〜10重量%の不揮発性ポリマー塩を含有し、該ポリマー塩は、
(i)ジアミンとポリカルボン酸又は炭酸との組合せ;
(ii)アミノ酸;および
(iii)前記アミノ酸のラクタム
から選択される分子量が1,000未満のモノマー類の反応によって、ポリアミドを形成することなく形成されるものである、耐漂白性の染色された織物繊維。 - 請求項3に記載の織物繊維であって、前記モノマー類が、
(i)炭酸、又はシュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸およびテレフタル酸からなる群から選択されたジカルボン酸と;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、および分子量が750未満のポリアミドであるジアミンからなる群から選択されたジアミンとの混合物;
(ii)6−アミノヘキサン酸、アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、グリシン、シスチン、アスパラギン、グルタミン、リシン、アルギニン、チロシン及び2−ピロリジンカルボン酸からなる群から選ばれたアミノ酸;および
(iii)前記アミノ酸のラクタム
からなる群の中から選ばれる請求項3に記載の織物繊維。
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