JP3826583B2 - 制御弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制御弁に関する。より詳しくは、制御流体の圧力に応答する圧力応答手段を備えた制御弁であり、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲を拡大し、また小型で耐久性を備える技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアコン等(冷房装置)に用いられる可変容量型の圧縮機において、例えば回転軸に対し揺動して所定の角度に設定される斜板の軸方向変位をピストンの往復動に変換して冷媒を圧縮する斜板式の圧縮機では、斜板の角度が一定に固定された場合、入力される回転数の変化に応じて冷房能力が変化してしまう。
【0003】
従って、斜板の回転数や必要とされる冷房能力に応じて斜板の角度を変え、ピストンの往復動ストロークを変更して冷房能力の調整を行なうことが行なわれている。
【0004】
この冷房能力の調整においては、例えば、冷媒が気化して吸熱作用を伴うエバポレータを通過する冷風の吹き出し温度(冷風の吹き出し量及び冷却前の温度にも関係する)と圧縮機の冷媒の吸入圧力Psは、相関関係を有することから(冷風温度が上がると吸入圧力Psは上昇し、冷風温度が下がると吸入圧力Psは下降する)、吸入圧力Psの変化を利用して斜板を所定の角度に設定する制御が行なわれている。
【0005】
尚、以降において用いられる圧縮機から出力される冷媒の圧力を吐出圧力Pd、斜板を所定の角度に設定するために斜板が配置される圧縮機のクランク室の圧力をクランク室圧力Pcとする。
【0006】
(従来技術1)
図7は、このような制御を行なうための制御弁500の断面構成説明図であり、図8はその模式図である。
【0007】
制御弁500は、有底円筒状のバルブボディ501と、バルブボディ501の開口部501aに嵌合されるバルブシート502とを備える。
【0008】
バルブボディ501の内部はベローズ室501bとなっている。
【0009】
ベローズ室501bに配置されるベローズ組立体503は、保持プレート503a,503bと、その封止部に両端部が封止固定され、内部を真空あるいは一定圧力(P0 )に密封された圧力応答部材としてのベローズ503cとから構成され、バネ504により伸長方向に付勢されている。
【0010】
保持プレート503aはバルブボディ501の端面部501cに設けられた窪み501dに嵌合し、保持プレート503bはバルブシート502のシート面502aに当接し、バルブ部505を開閉する弁体として機能する。
【0011】
保持プレート503bには、吐出感圧ロッド506が接続している。
【0012】
流体を制御するポートとしては、ベローズ室501bに開口しベローズ503cにかかる雰囲気圧力をクランク室圧力Pcとするポート507、吸入圧力Psがかかるポート508が形成され、バルブ505が開弁した際には、クランク室圧力Pcが吸入圧力Ps側へと逃がされる。
【0013】
このような構成の制御弁500により、吸入圧力Psの検知にクランク室圧力Pcを雰囲気圧力としたベローズ組立体503の付勢力をバルブ部505の閉弁圧力(保持プレート503bの押圧力)とし、吸入圧力Psの変化を受けてバルブ部505の開閉弁力を調整する。
【0014】
そして、クランク室圧力Pcから吸入圧力Psへの流量制御を行ない、クランク室圧力Pcを調圧し圧縮機の斜板の角度を変えて冷房能力の調整(吐出圧力Pdの調圧)を行ない、結果的に吸入圧力Psを制御している。
【0015】
この制御弁500による圧力制御のバランス式を以下の数式1に示す。
【0016】
但し、
f0:ベローズ付勢力
S1:ベローズ受圧面積
S2:バルブ部受圧面積
S3:吐出感圧ロッド受圧面積
P0:ベローズ内圧力
Ps:吸入圧力
Pc:クランク室圧力
Pd:吐出圧力
とする。
【0017】
【数1】
f0−S1(Pc−P0)+S2(Pc−Ps)−S3(Pd−Ps)=0
また、ベローズ503cにおいて、クランク室圧力Pcに対してその付勢力を保つためには、バネ付勢力f1(f1はf0に含まれる付勢力)を数式2に示された条件とする必要がある。
【0018】
【数2】
f1>S1(Pc−P0)
このようなバランス式の下、従来のフロン系の冷媒(R134a)では、クランク室圧力Pcは最大でも8kgf /cm2 程度となっているが、冷媒を炭酸ガスや炭化水素等の凝縮圧力が高圧で、クランク室圧力Pcが20kgf /cm2 を越えるような制御が必要となった場合、数式2を正立させるためには、f1を大きくするか、あるいはベローズ受圧面積S1を小さくする必要がある。
【0019】
しかしながら、ベローズの生産加工上の問題から、ベローズ有効受圧面積Sを極度に小さくすることは困難であり、現在の一般的な生産加工技術では、最小のベローズ有効受圧面積Sは0.2cm2 程度(コストや生産性を度外視した場合には、ベローズ有効受圧面積Sをこれ以下とすることも可能である。)となっている。
【0020】
従って、仮にクランク室圧力Pcを20kgf /cm2 、ベローズ内圧力P0を0kgf /cm2 、ベローズ受圧面積S1を0.2cm2 とした場合、数式2は数式3のようになる。
【0021】
【数3】
f1>0.2×(20−0)=4kgf
その結果、各圧力をバランスさせようとした場合、バルブ部等に大きな荷重が作用し、耐久性が低下する懸念がある。また、耐久性を補うために強度を大きくした場合には、サイズの大型化や重量増となってしまう。
【0022】
(従来技術2)
図9は、上記従来技術と同様に圧縮機の制御を行なうための制御弁550の断面構成説明図であり、図10はその模式図である。
【0023】
制御弁550は、ベローズ室551に吸入圧力Psがかかり、吸入圧力Psに基づいてバルブ部552が開閉し、吐出圧力Pdからクランク室圧力Pcへと送られる冷媒の流量制御を行なうことにより、結果的に吸入圧力Psを制御する構成のものである。
【0024】
制御弁550において、ベローズ組立体553は、ベローズ553aの内部に配置されたバネ553bとベローズ553aの外周に配置されるバネ554により伸長方向に付勢される。
【0025】
バルブ部552のボールバルブ552aには、ベローズ出力ロッド555と吐出感圧ロッド556により、軸方向に対向する荷重がかけられている。吐出感圧ロッド556は、バネ557による閉弁方向の付勢力が加えられている。
【0026】
また、ベローズ室551とバネ557を収容しているバネ室558はバルブボディ559を軸方向に貫通する通路560により接続され、バネ室558には吸入圧力Psがかかっている。
【0027】
この制御弁550による圧力制御のバランス式を以下の数式4に示す。
【0028】
但し、
f0:ベローズ内バネ付勢力
F1:バネ554の付勢力
F2:バネ557の付勢力
S1:ベローズ受圧面積
S2:ベローズ出力ロッド受圧面積
S3:バルブ部受圧面積
S4:吐出感圧ロッド受圧面積
P0:ベローズ内圧力
Ps:吸入圧力
Pc:クランク室圧力
Pd:吐出圧力
とする。
【0029】
【数4】
F1+f0−S1(Ps−P0)−S2(Pc−Ps)−S3(Pd−Pc)
+S4(Pd−Ps)=F2
また、ベローズ組立体553の圧力バランス式を数式5に示す。
【0030】
【数5】
f0=S1(Ps−P0)
この従来技術2において、従来技術1と同様に冷媒を凝縮圧力の高い炭酸ガスや炭化水素等を使用し、吸入圧力Psが20kgf /cm2 を越えるような制御が必要となった場合には、数式5のバランスを保つ為には、ベローズ内バネ付勢力f0が大きくなり(f0=0.2×(20−0)=4kgf )、その結果、各圧力をバランスさせようとした場合、バルブ部等に大きな荷重が作用し、耐久性が低下する懸念がある。また、耐久性を補うために強度を大きくした場合には、サイズの大型化や重量増となってしまう。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記の従来技術1及び2における制御弁において、冷媒を炭酸ガスや炭化水素等の凝縮圧力の高い冷媒を用いた場合、吸入圧力Psやクランク室圧Pc等の圧力応答対象となる制御流体の圧力の可変幅が大きくなり、ベローズ組立体の受圧面積を小さくする必要が生じる。
【0032】
しかし、ベローズ有効受圧面積を所定値よりも小さくすることは困難であることから、ベローズの出力特性(圧力差に対する付勢力の大きさ)を自由に設定したり、制御弁を構成するバルブやスプリング等に作用する力を小さくして制御弁の耐久性を高め、かつ小型化を達成することは困難となっていた。
【0033】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲を拡大し、また小型で耐久性を備えた制御弁を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、軸方向に対向配置された一対の圧力応答手段により囲まれた領域によって密閉された内部圧力を有する密閉圧力領域を構成し、前記密閉圧力領域内の内部圧力と前記密閉圧力領域外の外部圧力の圧力差に応じて軸方向に変位する可動部をそれぞれ有する前記一対の圧力応答手段と、前記一対の圧力応答手段の可動部同士を接続する接続手段と、前記一対の圧力応答手段の各可動部と共に軸方向に移動する弁手段と、を備えた制御弁において、前記一対の圧力応答手段には同一の外部圧力が作用するように構成されると共に、一方の圧力応答手段の有効受圧面積と他方の圧力応答手段の有効受圧面積が異なるように構成され、外部圧力がこれら一対の圧力応答手段に作用することによって生じる軸方向の力が、有効受圧面積の差と外部圧力との積となるように構成されることを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、制御弁の補強や弁体の位置を保持する付勢手段等の付勢力を増加させることなく、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲を拡大し、また小型化と耐久性を備えることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、制御弁1の断面構成説明図であり、図2は制御弁1の開閉制御に関係して弁体部に作用する付勢力(以降、fx又はFxと記載)と、各構成部材における制御流体の圧力を受ける有効受圧面積(以降、Sxと記載)及び圧力(以降、Pxと記載)の状態を説明する模式図である。
【0040】
この制御弁1は、従来技術で説明した制御弁と同様に、例えば、エアコン等(冷房装置)に用いられる可変容量型の圧縮機へと導入される冷媒を圧力応答対象となる制御流体として、圧縮機への吸入圧力Psに応答した制御を行なう。
【0041】
尚、圧縮機としては、斜板が配置されるクランク室のクランク室圧力Pcに応じて斜板の角度が変わり、圧縮機から出力される冷媒の吐出圧力Pdすなわち冷房能力を調整としているものである。
【0042】
制御弁1は、有底円筒状のバルブボディ2と、バルブボディ2の開口部2aに嵌合されるバルブシート部3とを備える。
【0043】
バルブボディ2の内部はベローズ室2bとなっている。
【0044】
ベローズ室2bに配置されるベローズ組立体4は、有効受圧面積が異なる2つの圧力応答手段としてのベローズ5,6を環状スリーブ7を介して同軸的に対向配置している。環状スリーブ7はベローズ室2b内部に固定されている。
【0045】
ベローズ5,6は、一方の端部が固定端部5a,6aとなり、環状スリーブ7に密封して嵌合固定されている。また、他方の端部は可動部としての可動端部5b,6bとなり、これが2つの圧力領域としてのベローズ5,6の外部雰囲気圧力と、内部圧力の圧力差に応じて変位する。
【0046】
可動端部5bは軸受部材8に嵌合固定され、可動端部6bは弁体9に嵌合固定されている。そして、軸受部材8と弁体9は、弁体9に一体的に設けられた接続手段としてのロッド10により接続されている。
【0047】
ベローズ6の内部には、ベローズ6を伸ばす方向に付勢すると共に、弁体9をバルブシート部3のシート面3aに付勢するバネ11が配置されている。
【0048】
また、ベローズ5,6の有効受圧面積に比例的関係を有する蛇腹部の直径は、それぞれD1,D2であり、この実施の形態ではD1<D2の関係となっている。そして、ベローズ5,6により囲まれた領域を、内部圧力P0となる密閉圧力領域12としている。
【0049】
内部圧力P0となる密閉圧力領域12内の圧力は、ベローズ組立体4の使用条件等に合わせて適宜な値に設定されるものであるが、雰囲気圧力が大気圧程度の圧力からもたらされる場合には、圧力差を発生させるために負圧(真空)として設定される。
【0050】
バルブシート部3には軸方向孔3bが設けられ、吐出圧力Pdによる付勢力を弁体9に当接して与える吐出感圧ロッド13が配置されている。
【0051】
流体を制御するポートとしては、ベローズ室2bに開口しベローズ5,6にかかる雰囲気圧力をクランク室圧力Pcとするポート14,15、吸入圧力Psがかかるポート16が形成され、弁体9が開弁した際には、クランク室圧力Pcが吸入圧力Ps側へと逃がされる。
【0052】
従って、ベローズ組立体4は、対向して設けられたベローズ5,6により発生する付勢力の一部がロッド10により相殺されることによって、有効受圧面積の小さなベローズ組立体に相当する付勢力を発生するものとなり、弁体9はこの付勢力に応じて開閉制御がなされることになる。
【0053】
そして、この制御弁1を備えた圧縮機においては、クランク室圧力Pcから吸入圧力Psへの流量制御を行ない、クランク室圧力Pcを調圧し圧縮機の斜板の角度を変えて冷房能力の調整(吐出圧力Pdの調圧)を行ない、結果的に吸入圧力Psを制御可能としている。
【0054】
この制御弁1による圧力制御のバランス式を以下の数式6に示す。
【0055】
但し、
f0:ベローズ付勢力
S1:ベローズ6の受圧面積
S2:バルブ部(弁体9)受圧面積
S3:吐出感圧ロッド13の受圧面積
S4:ベローズ5の受圧面積
P0:ベローズ内圧力
Ps:吸入圧力
Pc:クランク室圧力
Pd:吐出圧力
とする。
【0056】
【数6】
f0−(S1−S4)(Pc−P0)+S2(Pc−Ps)
−S3(Pd−Ps)=0
また、ベローズ組立体4に必要なバネ付勢力f1(f1はベローズ付勢力f0に含まれている)は数式7に示される。
【0057】
【数7】
f1>(S1−S4)(Pc−P0)
この数式7より、ベローズ組立体4に必要なバネ付勢力f1は、ベローズ5,6の受圧面積の差(S1−S4)により決定する。
【0058】
従って、クランク室圧力Pcが高圧になっても受圧面積の差を小さくすることにより、バネ付勢力f1を小さくすることが可能となり、弁体9に大きな付勢力が作用することを防止できる。
【0059】
従って、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲が拡大した場合でも、弁体9を適切な開閉弁力で行ない、小型化と耐久性を図ることが可能となる。
【0060】
また、ベローズ組立体4としての有効受圧面積をベローズ5,6の組み合わせによって任意に設定可能となり、制御弁1の制御特性の設定の変更を容易に行なうことができる。
【0061】
例えば、受圧面積の差(S1−S4)を各ベローズ5,6の受圧面積の10分の1とすることができた場合には、それによって制御弁1を構成する弁体9やバネ11等に作用する力も小さく(例えば10分の1)なるので、理論上その分だけ小型化が可能である。
【0062】
また、この場合において例えば小型化を5分の1にすれば強度が相対的に2倍となるので、高圧に対する作動耐久性を向上させることができる。
【0063】
(実施の形態2)
図3は、第2の実施の形態における本発明を適用した制御弁21の断面構成説明図である。
【0064】
制御弁21は、ベローズ組立体の代わりにダイアフラム組立体22を備えた構成であり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の構成には同じ符号が付されている。
【0065】
ダイアフラム組立体22は、有効受圧面積が異なる2つの圧力応答手段としてのダイアフラム23,24(ダイアフラム23の有効受圧面積<ダイアフラム24の有効受圧面積)を、環状のハウジング25を介して同軸的に対向配置している。
【0066】
ダイアフラム23,24は、膜中央部が可動部となり内部圧力P0とクランク室圧力Pcが導入される雰囲気圧力の圧力差により変位する。そして可動部は一体的な構成の弁体26により接続されている。
【0067】
また環状ハウジング25には内向きフランジ部25aが形成され、弁体26のフランジ部26aとの間にバネ27が装着されている。
【0068】
このような構成のダイアフラム組立体22を備えた制御弁21においても、第1の実施の形態の制御弁1と同様の作用・効果を得ることが可能である。
【0069】
尚、圧力応答手段の組み合わせにおいて、第1の実施の形態ではベローズとベローズ、第2の実施の形態ではダイアフラムとダイアフラムとなっているが、この組み合わせに限定されるものではなく、ベローズとダイアフラムを組み合わせたり、ピストン等の可動部を有する他の圧力応答手段を採用することも可能である。
【0070】
(実施の形態3)
図4は、本発明を適用した第3の実施の形態における制御弁31の断面構成説明図であり、図5はその模式図である。
【0071】
制御弁31は、ベローズ室32に吸入圧力Psがかかり、吸入圧力Psに基づいてベローズ組立体33により発生した付勢力がバルブ部34を開閉し、吐出圧力Pdからクランク室圧力Pcへと送られる冷媒の流量制御を行なうことにより、結果的に吸入圧力Psを制御可能とする構成の制御弁である。
【0072】
制御弁31において、ベローズ組立体33は、第1の実施の形態のベローズ組立体4と同様の構成を備えたものであり、有効受圧面積が異なる2つのベローズ33a,33b及びバネ33cを備えている。
【0073】
バルブ部34のボールバルブ34aには、ベローズ出力ロッド35と吐出感圧ロッド36により、軸方向に対向する荷重がかけられている。吐出感圧ロッド36は、バネ37による閉弁方向の付勢力が加えられている。
【0074】
また、ベローズ室32とバネ37を収容しているバネ室38はバルブボディ39を軸方向に貫通する通路39aにより接続され、バネ室38には吸入圧力Psがかかっている。
【0075】
この制御弁31による圧力制御のバランス式を以下の数式8に示す。
【0076】
但し、
f0:ベローズ内バネ33cの付勢力
F2:バネ37の付勢力
S1:ベローズ33bの受圧面積
S2:ベローズ出力ロッド35の受圧面積
S3:バルブ部34の受圧面積
S4:吐出感圧ロッド36の受圧面積
S5:ベローズ33aの受圧面積
P0:ベローズ内圧力
Ps:吸入圧力
Pc:クランク室圧力
Pd:吐出圧力
とする。
【0077】
【数8】
f0−(S1−S5)(Ps−P0)−S2(Pc−Ps)
−S3(Pd−Pc)+S4(Pd−Ps)=F2
この数式8によると、ベローズ組立体33の付勢力は、各ベローズの有効受圧面積の差(S1−S5)により決定することになる(S2,S3,S4を等しく設定した場合に、Ps,Pc,Pdの圧力項は相殺される)。
【0078】
その結果、ベローズ組立体33の雰囲気圧力となる吸入圧力Psが高圧(20kgf /cm2 )となっても、ベローズ組立体33の付勢力を抑えることが可能となる。
【0079】
(実施の形態4)
図6は、第4の実施の形態における本発明を適用した制御弁41の断面構成説明図である。
【0080】
制御弁41は、ベローズ組立体の代わりに第2の実施の形態と同様のダイアフラム組立体42を備えた構成であり、その他の構成及び作用・効果は第3の実施の形態と同様である。
【0081】
【発明の効果】
上記のように説明された本発明によると、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲を拡大し、また小型で耐久性を備えた制御弁を提供することが可能となる。すなわち、圧力応答対象となる制御流体の圧力に応じ、かつ一対の圧力応答手段のそれぞれよりも小さな有効受圧面積に相当した付勢力で弁手段の開閉制御を行なうことが可能となる。
【0082】
従って、制御弁の補強や弁体の位置を保持する付勢手段等の付勢力を増加させることなく、圧力応答対象となる制御流体の圧力範囲を拡大し、また小型化と耐久性を備えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1の実施の形態に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図2】図2は第1の実施の形態に係る制御弁の付勢力の状態を説明する模式図である。
【図3】図3は第2の実施の形態に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図4】図4は第3の実施の形態に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図5】図5は第3の実施の形態に係る制御弁の付勢力の状態を説明する模式図である。
【図6】図6は第4の実施の形態に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図7】図7は従来技術1に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図8】図8は従来技術1に係る制御弁の付勢力の状態を説明する模式図である。
【図9】図9は従来技術2に係る制御弁の断面構成説明図である。
【図10】図10は従来技術2に係る制御弁の付勢力の状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 制御弁
2 バルブボディ
2a 開口部
2b ベローズ室
3 バルブシート部
3a シート面
3b 軸方向孔
4 ベローズ組立体
5,6 ベローズ(圧力応答手段)
5a,6a 固定端部
5b,6b 可動端部(可動部)
7 環状スリーブ
8 軸受部材
9 弁体
10 ロッド(接続手段)
11 バネ
12 密閉圧力領域
13 吐出感圧ロッド
14,15,16 ポート
21 制御弁
22 ダイアフラム組立体
23,24 ダイアフラム
25 ハウジング
25a,26a フランジ部
26 弁体
27 バネ
31 制御弁
32 ベローズ室
33 ベローズ組立体
33a,33b ベローズ
33c バネ
34 バルブ部
34a ボールバルブ
35 ベローズ出力ロッド
36 吐出感圧ロッド
37 バネ
38 バネ室
39 バルブボディ
39a 通路
41 制御弁
42 ダイアフラム組立体

Claims (1)

  1. 軸方向に対向配置された一対の圧力応答手段により囲まれた領域によって密閉された内部圧力を有する密閉圧力領域を構成し、前記密閉圧力領域内の内部圧力と前記密閉圧力領域外の外部圧力の圧力差に応じて軸方向に変位する可動部をそれぞれ有する前記一対の圧力応答手段と、
    前記一対の圧力応答手段の可動部同士を接続する接続手段と、
    前記一対の圧力応答手段の各可動部と共に軸方向に移動する弁手段と、を備えた制御弁において、
    前記一対の圧力応答手段には同一の外部圧力が作用するように構成されると共に、
    一方の圧力応答手段の有効受圧面積と他方の圧力応答手段の有効受圧面積が異なるように構成され、外部圧力がこれら一対の圧力応答手段に作用することによって生じる軸方向の力が、有効受圧面積の差と外部圧力との積となるように構成されることを特徴とする制御弁。
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