JP3826577B2 - 搬送車用の床材及び床 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送車の軌道を変更することができる搬送車用の床材及び床に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、物品の搬送作業の無人化や作業効率化を図るべく、予め決められた軌道に沿って搬送車を移動させ、その搬送車によって物品を搬送する搬送システムが提案されている。この種の搬送システムの一例として、床面に設けた案内溝(ガイドレール)に搬送車の操舵部をはめ入れ、その操舵部を案内溝の壁面に接触させながら搬送車を操舵させるものがある。
【0003】
すなわち、搬送車は例えば走行方向に対して横方向に二つの走行輪を有し、該走行輪が床面上を転動する。また、前記二つの走行輪の間には、床面の案内溝(ガイドレール)に案内される案内輪が設けられ、案内輪が案内溝内を移動することで所定の軌道に沿って搬送車が走行する。こうしたガイドレール方式の搬送システムによれば、磁気誘導方式や光誘導方式等、他の搬送システムに比べて高速で搬送車を走行させることが可能となる。
【0004】
一方近年では、自動搬送システムの採用に際し、予め決められた所定の直線経路、又は周回経路のみで搬送車を走行させるだけでなく、進路切り換えを任意に行って軌道パターンを多様化させることが思案されており、上記ガイドレール方式の搬送システムにおいても進路切り換えを任意に行うことのできる構成が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガイドレール方式の搬送システムにおいて、多数の軌道パターンを設定して各パターンに応じて搬送経路を切り換える場合、仮に搬送車の走行輪が案内溝(ガイドレール)上を横切ると搬送車がショックを受けてがたつく。搬送車ががたつくと、搬送される物品が荷崩れしたり、物品が落下したりするおそれが生ずる。特に、半導体製造用のクリーンルームで使用される搬送車の場合、精密な半導体部品を搬送するため、搬送車ががたつくと半導体製造時に不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、進路切り換えを行いつつ、搬送車を振動なく滑らかに走行させることができる搬送車用の床材及び床を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明では、走行方向に対して横方向に二つの走行輪を有し該走行輪が床面上を転動する搬送車に適用され、床面に筋状の軌道部を有すると共に、前記搬送車に設けられた操舵部を前記軌道部に案内して同搬送車を走行させるための床材であって、他の床材と各々繋ぎ合わされる床本体と、該床本体に対して回転可能に支持される回転体とを備え、前記回転体には選択的に切換可能な複数の軌道部が形成され、前記搬送車の進路変更に際し、前記複数の軌道部が前記走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられるよう前記回転体が所定角度で回転する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記回転体の上面には、前記搬送車の二つの走行輪の間隔よりも狭い範囲に前記複数の軌道部が形成される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記床本体には円形の凹部が形成されると共に、その凹部には床本体と面一の状態で前記回転体が配設される。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記回転体にはその中心部から外周側へ延びる溝部が設けられると共に、前記床本体には前記溝部に係合し且つ所定半径で円運動する移動部材が設けられる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記回転体と前記床本体との間には、前記走行輪の走行経路近傍に支持部材が設けられる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、進路切り換えが可能な請求項1に記載の第1の床材と、進路切り換えができない第2の床材とが同一寸法にて形成され、進路切り換え点にて前記第1の床材が配設されると共に、前記第1,第2の床材を繋ぎ合わせることで床が形成される。
【0013】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、前記第1,第2の床材に設けられる軌道部は床面上に連続して接続される。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、搬送車の走行に際し、走行輪が床面上を転動すると共に、操舵部が軌道部に沿って移動する。進路変更時には、回転体が回転することにより複数の軌道部が走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられる。これにより、複数の軌道部が選択的に切り換えられる。かかる場合、走行輪が軌道部上に乗って搬送車が振動するといった不都合が回避される。つまり、進路切り換えを行いつつ、搬送車が滑らかに走行する。また併せて、進路切り換え点において、搬送車の走行速度を低下させる必要もない。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、進路変更をする、又はしないに拘わらず、搬送車の走行輪は、回転体上面の複数の軌道部を跨ぐようにして走行する。そのため、走行輪が軌道部上に乗って搬送車が振動するといった不都合が回避される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、床本体の凹部内で回転体が回転することにより、搬送車の軌道が変更される。この場合、回転体は床本体と面一の状態で回転するため、床面上にズレ(段差)を生ずることはない。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、進路変更時において、移動部材が所定半径で円運動すると、その移動部材と係合関係にある溝部内を同移動部材が移動する。移動部材が円運動する時、同移動部材が溝部の壁面に押し付けられることで、回転体が所定方向に回転する。この場合、移動部材の円運動は所定半径で規制されるため、回転体の回転角度も前記所定半径で規制される。従って、回転体が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、搬送車の走行に際し、何れの走行輪においても同走行輪にかかる荷重は回転体下面側の支持部材により支えられる。そのため、回転体が常に滑らかに回転する。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、第1及び第2の床材を繋ぎ合わせることで、床に設けられる軌道パターンの多様化が図られる。この場合、第1,第2の床材が同一寸法であるため、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、搬送車が床面上を走行する際、第1及び第2の床材に設けられる軌道部に沿って滑らかに移動する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、半導体製造用のクリーンルームに敷設される床と、その床上を走行する搬送車とを備える搬送システムについて説明する。本搬送システムにおいて、クリーンルーム内の床は、床材としての多数のグレーチングを繋ぎ合わせて形成され、そのグレーチングに個々に設けられた軌道に沿って搬送車が走行する。
【0021】
図1は搬送システムの概要を示す平面図である。図1において床10には、軌道部としての案内溝14により連続的に形成された軌道R1が設けられ、その軌道R1の両側は、搬送車20の走行輪23が転動するための軌道R2となっている。搬送車20は、軌道R1,R2沿いに設置された各種設備(図示せず)間を移動して例えば半導体ウェハ等の物品を搬送する。
【0022】
床10は、直進走行のための軌道R1を形成するグレーチング(以下、直進用グレーチングという)11と、軌道R1を切り換えるためのグレーチング(以下、進路切換用グレーチング)12と、軌道R1を持たないグレーチング13とからなる。グレーチング11〜13はそれぞれ、例えば600mm四方の正四角形状をなす。各グレーチング11〜13の四隅には図示しない支柱が立設されており、これによりグレーチング11〜13がクリーンルームのコンクリート床面に対して所定高さ(本実施の形態では、600mm程度)に敷き詰められる。なお、直進用グレーチング11が第2の床材に相当し、進路切換用グレーチング12が第1の床材に相当する。
【0023】
図2(a),(b)に示されるように、搬送車20は本体21の上方から水平に延出するアーム22を備え、アーム22を駆動させることにより図示しない設備との間で例えば半導体ウェハが収納されたカセットの受渡し作業を行う。搬送車20は4つの走行輪23を備え、走行輪23の一つ又は二つが走行用モータによって駆動される。また、搬送車20は本体21の底部中央前後に2組の操舵機構24を備え、各操舵機構24には、操舵部としての3個の案内輪25が縦列に配置されている。
【0024】
この場合、軌道R1を形成する案内溝14内を案内輪25が移動し、これにより、操舵機構24が軌道R1に沿うように操舵される。また、グレーチング11,12の軌道R2上を走行輪23が転動する。すなわち、走行輪23の走行経路は軌道R2である。なお以下の記載では便宜上、案内輪25を案内するための軌道R1を「案内輪軌道」と称し、走行輪23の軌跡を示す左右2本の軌道R2を「走行輪軌道」と称する。
【0025】
次に、いわゆる転てつ機を構成する進路切換用グレーチング12の構成を図3〜図7を用いて詳細に説明する。ここで、図3は進路切換用グレーチング12を拡大して示す平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。また、進路切換用グレーチング12は床板31と回転板33とを重ねて構成されるが、図6には同グレーチング12から回転板33を取り除いた構成を示し、図7には回転板33のみの構成を示す。
【0026】
図3及び図4に示されるように、床本体としての床板31には円形の凹部32が形成され、その凹部32内には、回転体としての回転板33が支軸34及び軸受35により回転可能に支持されている。床板31は他のグレーチング11,113と同じ外形寸法を有する。なお本実施の形態では、床板31及び回転板33が何れもアルミ製で構成される。
【0027】
回転板33には、軌道部としての二本の案内溝36,37が設けられ、そのうち直進用案内溝36は直進走行時に用いられ、カーブ用案内溝37はカーブ走行用に用いられる。これら案内溝36,37は、搬送車20の二つの走行輪23の間隔よりも狭い範囲に設けられる。
【0028】
詳細には、直進用案内溝36は、床板31の溝部31a,31b間を接続し、他の直進用グレーチング11の案内溝14と接続されることで前記案内輪軌道R1を構成する(図示の状態)。また、カーブ用案内溝37は、床板31の溝部31a,31c間を接続し、同じく他の直進用グレーチング11の案内溝14と接続されることで前記案内輪軌道R1を構成する。直進用案内溝36とカーブ用案内溝37との切り換えは、回転板33を所定角度α(本実施の形態では、約20°)だけ回転させることにより達成される。
【0029】
床板31には円形の穴部38が三ヶ所に設けられ、各穴部38には回転板33の下面を支持するための支持部材39が配設されている。支持部材39は、上下二枚の支持板40とその間に配設される調整板41と四本の調整ネジ42とから構成され、搬送車20の重量など、回転板33に上方からかかる力を受け止める役割をなす。特に、支持部材39は、回転板33の回転中心から均等位置に、且つ走行輪軌道R2のほぼ真下に位置するように配される。これにより、左右の走行輪23にかかる荷重が常に何れか二つの支持部材39にて支えられるようになっている。
【0030】
次に、回転板33を所望の位置に回転させるべく床板31に設けられた駆動機構の構成について説明する。図5及び図6に示されるように、床板31の下面にはモータ45が取り付けられ、その出力軸45aには第1ギア46が固定されている。また、床板31には支軸47が固定され、同支軸47には軸受48を介して第2ギア49が回転自在に取り付けられている。第1,第2ギア46,49は、床板31に形成された段差部44に配設される。
【0031】
第2ギア49の上面には円板50が固定され、その円板50の外周部付近に突設されたピン51にはブロック52が回転自在に取り付けられている。この場合、第2ギア49が回転すると、それに伴いピン51及びブロック52が一体的に回転する。但し図5では便宜上、ピン51及びブロック52を図6のC−C線断面図で示す。なお、ピン51及びブロック52が移動部材に相当し、これら各部材51,52は円板50で規定される所定半径で円運動する。
【0032】
また、床板31には支軸53が固定され、同支軸53には軸受54を介して第3ギア55が回転自在に取り付けられている。前記ギア46,49,55は互いに噛み合わされている。従って、前記モータ45の駆動に伴う第1ギア46の回転が第2ギア49に伝達されると、同第2ギア49の回転が第3ギア55に伝達される。
【0033】
第3ギア55には、二ヶ所の切欠き部56aを有するドグ56が取り付けられ、ドグ56に対向配置された反射式のセンサ57により前記切欠き部56aが検知される。本実施の形態では、センサ57の検出結果により回転板33の回転位置が決定される。第3ギア55の上方にはカバー58が取り付けられている。
【0034】
また、図7に示されるように、回転板33にはその裏面側に溝部60が形成されている。溝部60は回転板33の半径方向に等幅で延設され、この溝部60には、前記円板50上のブロック52が移動可能に収容される(図3,図5参照)。つまり、溝部60とブロック52とは係合関係にある。
【0035】
一方、図3,図7に示されるように、回転板33の外周には二つの切欠き部61,62が設けられ、床板31には切欠き部61,62に対向するように二つの光電スイッチ63,64が設けられている。例えば直進用案内溝36が使われる場合、切欠き部61と光電スイッチ63とが対向し、それにより直進走行状態である旨が検知される(図示の状態)。また、カーブ用案内溝37が使われる場合、切欠き部62と光電スイッチ64とが対向し、それによりカーブ走行状態である旨が検知される。
【0036】
図8は、搬送ユニットの制御系の構成を示すブロック図である。同図において、コントローラ70は例えば周知のマイクロコンピュータにて構成され、多数の進路切換用グレーチング12から各々、前記センサ57や光電スイッチ63,64の検出値を入力する。またその他に、図1に示す搬送車20を直進走行させるか、或いはカーブ走行させるかといった指令信号を操作機器71から入力する。そして、コントローラ70は、搬送車20を直進走行させる旨の指令信号が入力され、且つ現時点での進路切換用グレーチング12がカーブ走行の状態にあれば、該当する進路切換用グレーチング12のモータ45に対して駆動信号を出力する。
【0037】
また、コントローラ70は、搬送車20をカーブ走行させる旨の指令信号が入力され、且つ現時点での進路切換用グレーチング12が直進状態にあれば、該当する進路切換用グレーチング12のモータ45に対して駆動信号を出力する。進路切り換えに際し、搬送車20が進路切換用グレーチング12に到達する以前にモータ45が駆動される。但し、進路切換用グレーチング12が指令信号の状態に予めあれば、モータ45は駆動されない。
【0038】
次に、上記の如く構成される搬送ユニットの作用を説明する。
搬送車20を直進走行させる場合、図9(a)の如く、床板31側の溝部31a,31bと回転板33側の直進用案内溝36とを接続させるよう、回転板33の回転位置を操作する。これにより、搬送車20の案内輪25は、溝部31a→直進用案内溝36→溝部31bの経路(又はその逆)に沿って進む。つまり、この経路が案内輪軌道R1となる。この場合、搬送車20の走行輪23は図9(a)中の走行輪軌道R2上を転動する。但しこの際、カーブ用案内溝37は走行輪軌道R2に干渉しない位置にある。図1で言えば、例えばX1側からY1側へ(又はその逆Y1→X1へ)或いはX2側からY2側へ(又はその逆Y2→X2へ)搬送車20が走行することとなる。
【0039】
また、搬送車20をカーブ走行させる場合、図9(a)の状態から図9(b)の状態へと移行させる。すなわち、モータ45を駆動してブロック52の位置を図9(a)の位置から図9(b)の位置に移動させ、回転板33を所定角度αだけ回転させる。これにより、床板31側の溝部31a,31cと回転板33側のカーブ用案内溝37とが接続される。従って、搬送車20の案内輪25は、溝部31a→カーブ用案内溝37→溝部31cの経路(又はその逆)に沿って進む。つまり、この経路が案内輪軌道R1となる。この場合、搬送車20の走行輪23は、図9(b)中の走行輪軌道R2上を転動する。但しこの際、直進用案内溝36は走行輪軌道R2に干渉しない位置にある。図1で言えば、例えばX1側からY2側へ(又はその逆Y2→X1へ)搬送車20が走行することとなる。
【0040】
因みに、案内輪軌道R1を直進の状態に戻すには、モータ45を逆転させる。すると、ブロック52が図9(b)の位置から図9(a)の位置に復帰し、再び床板31側の溝部31a,31bと直進用案内溝36とが接続される。
【0041】
以上詳述したように本実施の形態によれば、以下に示す効果を得る。
(a)進路切換用グレーチング12において、搬送車20の進路変更に際し、複数の案内溝36,37が走行輪軌道R2を横切ることなく切り換えられるよう回転板33を所定角度αで回転させるようにした。そのため、搬送車20の走行輪23が案内溝36,37に乗って搬送車20が振動するといった不都合が回避される。つまり、進路切り換えを行いつつ、搬送車20が滑らかに走行する。また併せて、進路切り換え点において、搬送車20の走行速度を低下させる必要もない。
【0042】
(b)回転板33の上面には、搬送車20の二つの走行輪23の間隔よりも狭い範囲に案内溝36,37が形成されるので、進路変更をする、又はしないに拘わらず、搬送車20は左右の走行輪23間で常に案内溝36,37を跨ぐようにして走行する。そのため、搬送車20が振動するといった不都合がより確実に回避される。
【0043】
(c)床板31に形成される円形の凹部32に、床板31と面一の状態で回転板33が配設されるので、進路切換用グレーチング12の床面上にズレを生ずることはない。
【0044】
(d)ピン51及びブロック52が、円板50にて規定される所定半径で円運動しつつ回転板33の溝部60内を移動するため、回転板33の回転角度が前記所定半径で規制される。すなわち、回転板33は、その回転中心とピン51の移動位置とがなす角度しか回転できない。従って、回転板33が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消される。
【0045】
(e)搬送車20の走行に際し、何れの走行輪23においても同走行輪23にかかる荷重は回転板33下面側の支持部材39により支えられる。そのため、回転板33が常に滑らかに回転する。またこの場合、三つの支持部材39を前記図3の通り配置することで、左右の走行輪23にかかる荷重を支えるという役目を果たしつつ、同支持部材39を必要最小個数(本実施の形態では3個)とすることが可能となる。
【0046】
(f)直進用グレーチング11と進路切換用グレーチング12とが同一寸法にて形成され、進路切り換え点にて進路切換用グレーチング12が配設されると共に、各グレーチング11,12を繋ぎ合わせることで床10が形成される。この場合、床10に設けられる軌道パターンの多様化が図られる。また、グレーチング11,12が同一寸法であるため、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となり、クリーンルームの有効利用を図ることができる。
【0047】
(g)グレーチング11,12は、軌道部としての案内溝14,36,37を一体的に形成したので、搬送車20を走行させるための案内輪軌道R1を床10に敷設する工事が非常に簡単になる。
【0048】
(h)半導体製造用のクリーンルームに適用される場合に、精密な半導体部品を搬送しても、搬送車20のがたつきが防止されて不具合の発生が大幅に抑制される。
【0049】
(i)センサ57と、二つの光電スイッチ63,64を使って回転板33の回転位置が制御されるため、進路切り換えが誤って行われるといった不具合が回避され、信頼性の高い搬送システムが実現できる。
【0050】
なお、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することができる。
○進路切換用グレーチング12の回転板33を回転させるための駆動機構は、既述のものに限られず、回転板33を正逆何れにも回転可能な他の機構に変更してもよい。例えば、
・床板31に、回転板33の溝部60に係合し且つ同溝部60に略直交する方向に直線運動する移動部材を設ける。移動部材としては、前述のピン51やブロック52等の構成でよい。かかる場合、移動部材の直線運動が回転板33の回転運動に変換され、当該回転板33を所望の位置まで容易に回転させることができる。移動部材の直線運動を実現には、リニアモータを使う構成やラック&ピニオンを使う構成が適用できる。
・回転板33の外周面にギア歯を設け、このギア歯にモータ出力軸に固定されるピニオンギアを噛み合わせる。そして、ピニオンギアの回転に伴い回転板33を回転させる。
・モータ等の駆動機構を使わず、手動にて回転板33を回転させて進路切換を行う構成としてもよい。
【0051】
○搬送車の操舵部を案内するための軌道部は、溝形状に限定されない。例えば床面上に突出する突条により軌道部が形成されると共に、前記突条に合わせて搬送車の操舵部が設けられる。この場合にもやはり、床面上の突条と搬送車の走行輪とが干渉することはないので、搬送車の滑らかな走行が実現できる。
【0052】
○カーブ走行用の二本の軌道部(案内溝)を回転体に設ける。要は、二股に分岐するための案内輪軌道を作るものであればよい。
○回転体の回転角度を図3,図9の所定角度αよりも小さくする。回転角度を小さくすることにより進路変更の角度は小さくなるが、搬送車の走行輪が回転体上の軌道部を踏むといった不具合は回避される。但しこの場合、搬送車の走行輪が床本体側の軌道部(図3の溝部31a〜31c)を踏まないように設計する必要がある。
【0053】
○床本体(床板31)の一辺の長さと回転体(回転板33)の外径とを略一致させる。この場合、例えば図3の溝部31a,31bをなくすことができ、搬送車の走行輪がこの溝部31a,31bを踏んで衝撃を受けるといった問題が回避される。
【0054】
○進路切換用グレーチングの回転体に3つの案内溝(軌道部)を設ける。この場合、3つの案内溝が走行輪軌道を横切ることなく切り換えられるには、案内溝が拡がる角度、すなわち回転体の回転角度を規制することが必要になる。回転体の回転角度を例えば最大で20°程度に規制する。
【0055】
○進路切換用グレーチングの回転体に位置決め機構を設ける。例えば回転体が所定角度α(図3,図9参照)以上回転しないような規制部材を設けたり、所定角度αだけ回転したときに作動するストッパ部材を設けたりしてもよい。この場合、機械的に動作させることで、位置検出のためのセンサ部材を取り除くことが可能となる。
【0056】
○回転板33に設けた溝部60の長さを回転板33の中心側に延ばす。これにより、図5,6等に示す円板50を一方向にのみ回転させるだけで回転板33の二位置の切り換えが可能となる。
【0057】
○進路切換用グレーチング1枚のみで所望の進路への切り換えを行う必要は必ずしも無く、2枚以上の進路切換用グレーチングを組み合わせて進路切り換えを行うようにしてもよい。
【0058】
○回転板33と床板31との間に設けられる支持部材39を4個以上設けてもよい。要は、走行輪23の走行経路近傍に設けられ、左右の走行輪23にかかる荷重を支えるものであればよい。
【0059】
○グレーチング11〜13の材質はアルミに限定はされず、強度が得られれば他の材質を用いてもよい。例えば、鋼材やチタンなどの他の金属であってもよいし、ABS等の樹脂であってもよい。或いは、陶器(セラミック)であってもよい。
【0060】
○床材の形状は四角に限定されない。繋ぎ合わせにより所定形状の床を埋め尽くせられるのであればよい。例えば菱形,三角,台形,六角形などの多角形であってもよい。また、全てが同形状であることに限定されず、複数種の形状が混在していても構わない。
【0061】
○グレーチング11,12において走行輪軌道R2を形成するためのレール部材を組み付けてもよい。つまり、グレーチング表面に溝部を設け、その溝部内にレール部材を嵌合により組み付ける。なお、レール部材はグレーチング11,12の表面から突出しない面一の状態で組み付けられる。この場合、レール部材をグレーチング11,12の境界を跨ぐように長さ設定すれば、当該レール部材によって各グレーチング11,12の繋ぎ合わせのずれが補正される。
【0062】
○搬送車の走行輪や案内輪は前記実施の形態の個数に限定されず、他の個数であっても勿論よい。走行輪は1輪以上、案内輪も1〜2輪、或いは4輪以上であってもよい。
【0063】
○駆動輪は、走行輪のうちの1輪或いは2輪に限定されず、3輪以上の走行輪を駆動輪としてもよい。また、走行輪の一部を駆動輪にする場合は勿論、走行輪の全てを駆動輪としてもよい。
【0064】
○駆動を走行輪以外で行なってもよい。例えば、軌道部(案内溝)に案内される案内輪を駆動輪と兼ねてもよいし、駆動輪ではなく車両を牽引して駆動してもよい。この場合、軌道部(案内溝)内に牽引機構を設ける構造が考えられる。要は、グレーチングの設置により、走行経路に関連する装置の設置が容易に行なえれば、走行車両の走行構造がどのようなものにでも適用可能である。
【0065】
○床材は、クリーンルーム用のグレーチングに限定されない。クリーンルーム以外の工場などで、搬送車を走行させるための床を形成するために使用される床材に適用することもできる。
【0066】
前記各実施の形態から把握され、特許請求の範囲に記載されていない技術的思想(発明)を、その効果と共に以下に記載する。
(イ)請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記回転体には、直進走行用の軌道部とカーブ走行用の軌道部とが設けられる床材。この場合、一つの床材で直進走行とカーブ走行との切り換えが可能となる。
【0067】
(ロ)請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記回転体にはその中心部から外周側へ延びる溝部が設けられると共に、前記床本体には前記溝部に係合し且つ同溝部に略直交する方向に直線運動する移動部材が設けられる床材。かかる場合、移動部材の直線運動が回転体の回転運動に変換され、当該回転体を所望の位置まで容易に回転させることができる。
【0068】
(ハ)請求項1〜請求項5に記載の発明において、半導体製造用のクリーンルームのグレーチングとして使用される床材。この場合、精密な半導体部品を搬送しても、搬送車のがたつきが防止されて不具合の発生が抑制される。
【0069】
(ニ)請求項1〜請求項7に記載の発明が適用される搬送システムにおいて、前記回転体を回転させるためのモータと、該モータの駆動を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、進路切り換えの旨の操作信号を受けた際に、前記搬送車が到達する以前にモータを駆動させて搬送車の進路を変更する。この場合、搬送車の走行速度を低下させることなく、進路切り換えを行わせることができる。
【0070】
(ホ)上記(ニ)に記載の搬送システムにおいて、前記回転体の回転位置を検出するための検出手段を設け、前記コントローラは検出手段による検出結果に基づき前記モータを駆動させる。この場合、進路切り換えが誤って行われるといった不具合が回避され、信頼性の高い搬送システムが実現できる。なお、センサ57及び光電スイッチ63,64が検出手段に相当する。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1,2に記載の発明によれば、複数の軌道部が走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられるので、進路切り換えを行いつつ、搬送車を振動なく滑らかに走行させることができる。
【0072】
請求項3に記載の発明によれば、回転体は床本体と面一の状態で回転するため、床面上にズレを生ずることはなく、床面上を走行する搬送車がショックを受けることはない。
【0073】
請求項4に記載の発明によれば、回転体の回転角度は、移動部材が円運動する所定半径で規制されるため、回転体が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消できる。
【0074】
請求項5に記載の発明によれば、何れの走行輪においても同走行輪にかかる荷重が回転体下面側の支持部材により支えられるため、回転体が常に滑らかに回転する。
【0075】
請求項6に記載の発明によれば、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となり、床に設けられる軌道パターンの多様化を図ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、搬送車を滑らかに走行させるための床が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における搬送システムの概要を示す平面図。
【図2】搬送車の構成を示す図。
【図3】進路切換用グレーチングの構成を示す平面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】図3のB−B線断面図。
【図6】進路切換用グレーチングから回転板を取り除いた状態を示す平面図。
【図7】回転板のみの構成を示す平面図。
【図8】搬送システムの制御系の構成を示すブロック図。
【図9】進路切換用グレーチングの動作を示す平面図。
【符号の説明】
10…床、11…床材(第2の床材)としての直進用グレーチング、12…床材(第1の床材)としての進路切換用グレーチング、14…軌道部としての案内溝、20…搬送車、23…走行輪、25…操舵部としての案内輪、31…床本体としての床板、31a〜31c…軌道部としての溝部、32…凹部、33…回転体としての回転板、36…軌道部としての直進用案内溝、37…軌道部としてのカーブ用案内溝、39…支持部材、45…モータ、51…移動部材としてのピン、52…移動部材としてのブロック、57…センサ、60…溝部、63,64…光電スイッチ、70…コントローラ、R1…案内輪軌道、R2…走行輪軌道。
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送車の軌道を変更することができる搬送車用の床材及び床に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、物品の搬送作業の無人化や作業効率化を図るべく、予め決められた軌道に沿って搬送車を移動させ、その搬送車によって物品を搬送する搬送システムが提案されている。この種の搬送システムの一例として、床面に設けた案内溝(ガイドレール)に搬送車の操舵部をはめ入れ、その操舵部を案内溝の壁面に接触させながら搬送車を操舵させるものがある。
【0003】
すなわち、搬送車は例えば走行方向に対して横方向に二つの走行輪を有し、該走行輪が床面上を転動する。また、前記二つの走行輪の間には、床面の案内溝(ガイドレール)に案内される案内輪が設けられ、案内輪が案内溝内を移動することで所定の軌道に沿って搬送車が走行する。こうしたガイドレール方式の搬送システムによれば、磁気誘導方式や光誘導方式等、他の搬送システムに比べて高速で搬送車を走行させることが可能となる。
【0004】
一方近年では、自動搬送システムの採用に際し、予め決められた所定の直線経路、又は周回経路のみで搬送車を走行させるだけでなく、進路切り換えを任意に行って軌道パターンを多様化させることが思案されており、上記ガイドレール方式の搬送システムにおいても進路切り換えを任意に行うことのできる構成が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガイドレール方式の搬送システムにおいて、多数の軌道パターンを設定して各パターンに応じて搬送経路を切り換える場合、仮に搬送車の走行輪が案内溝(ガイドレール)上を横切ると搬送車がショックを受けてがたつく。搬送車ががたつくと、搬送される物品が荷崩れしたり、物品が落下したりするおそれが生ずる。特に、半導体製造用のクリーンルームで使用される搬送車の場合、精密な半導体部品を搬送するため、搬送車ががたつくと半導体製造時に不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、進路切り換えを行いつつ、搬送車を振動なく滑らかに走行させることができる搬送車用の床材及び床を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明では、走行方向に対して横方向に二つの走行輪を有し該走行輪が床面上を転動する搬送車に適用され、床面に筋状の軌道部を有すると共に、前記搬送車に設けられた操舵部を前記軌道部に案内して同搬送車を走行させるための床材であって、他の床材と各々繋ぎ合わされる床本体と、該床本体に対して回転可能に支持される回転体とを備え、前記回転体には選択的に切換可能な複数の軌道部が形成され、前記搬送車の進路変更に際し、前記複数の軌道部が前記走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられるよう前記回転体が所定角度で回転する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記回転体の上面には、前記搬送車の二つの走行輪の間隔よりも狭い範囲に前記複数の軌道部が形成される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記床本体には円形の凹部が形成されると共に、その凹部には床本体と面一の状態で前記回転体が配設される。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記回転体にはその中心部から外周側へ延びる溝部が設けられると共に、前記床本体には前記溝部に係合し且つ所定半径で円運動する移動部材が設けられる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記回転体と前記床本体との間には、前記走行輪の走行経路近傍に支持部材が設けられる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、進路切り換えが可能な請求項1に記載の第1の床材と、進路切り換えができない第2の床材とが同一寸法にて形成され、進路切り換え点にて前記第1の床材が配設されると共に、前記第1,第2の床材を繋ぎ合わせることで床が形成される。
【0013】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、前記第1,第2の床材に設けられる軌道部は床面上に連続して接続される。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、搬送車の走行に際し、走行輪が床面上を転動すると共に、操舵部が軌道部に沿って移動する。進路変更時には、回転体が回転することにより複数の軌道部が走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられる。これにより、複数の軌道部が選択的に切り換えられる。かかる場合、走行輪が軌道部上に乗って搬送車が振動するといった不都合が回避される。つまり、進路切り換えを行いつつ、搬送車が滑らかに走行する。また併せて、進路切り換え点において、搬送車の走行速度を低下させる必要もない。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、進路変更をする、又はしないに拘わらず、搬送車の走行輪は、回転体上面の複数の軌道部を跨ぐようにして走行する。そのため、走行輪が軌道部上に乗って搬送車が振動するといった不都合が回避される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、床本体の凹部内で回転体が回転することにより、搬送車の軌道が変更される。この場合、回転体は床本体と面一の状態で回転するため、床面上にズレ(段差)を生ずることはない。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、進路変更時において、移動部材が所定半径で円運動すると、その移動部材と係合関係にある溝部内を同移動部材が移動する。移動部材が円運動する時、同移動部材が溝部の壁面に押し付けられることで、回転体が所定方向に回転する。この場合、移動部材の円運動は所定半径で規制されるため、回転体の回転角度も前記所定半径で規制される。従って、回転体が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、搬送車の走行に際し、何れの走行輪においても同走行輪にかかる荷重は回転体下面側の支持部材により支えられる。そのため、回転体が常に滑らかに回転する。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、第1及び第2の床材を繋ぎ合わせることで、床に設けられる軌道パターンの多様化が図られる。この場合、第1,第2の床材が同一寸法であるため、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、搬送車が床面上を走行する際、第1及び第2の床材に設けられる軌道部に沿って滑らかに移動する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、半導体製造用のクリーンルームに敷設される床と、その床上を走行する搬送車とを備える搬送システムについて説明する。本搬送システムにおいて、クリーンルーム内の床は、床材としての多数のグレーチングを繋ぎ合わせて形成され、そのグレーチングに個々に設けられた軌道に沿って搬送車が走行する。
【0021】
図1は搬送システムの概要を示す平面図である。図1において床10には、軌道部としての案内溝14により連続的に形成された軌道R1が設けられ、その軌道R1の両側は、搬送車20の走行輪23が転動するための軌道R2となっている。搬送車20は、軌道R1,R2沿いに設置された各種設備(図示せず)間を移動して例えば半導体ウェハ等の物品を搬送する。
【0022】
床10は、直進走行のための軌道R1を形成するグレーチング(以下、直進用グレーチングという)11と、軌道R1を切り換えるためのグレーチング(以下、進路切換用グレーチング)12と、軌道R1を持たないグレーチング13とからなる。グレーチング11〜13はそれぞれ、例えば600mm四方の正四角形状をなす。各グレーチング11〜13の四隅には図示しない支柱が立設されており、これによりグレーチング11〜13がクリーンルームのコンクリート床面に対して所定高さ(本実施の形態では、600mm程度)に敷き詰められる。なお、直進用グレーチング11が第2の床材に相当し、進路切換用グレーチング12が第1の床材に相当する。
【0023】
図2(a),(b)に示されるように、搬送車20は本体21の上方から水平に延出するアーム22を備え、アーム22を駆動させることにより図示しない設備との間で例えば半導体ウェハが収納されたカセットの受渡し作業を行う。搬送車20は4つの走行輪23を備え、走行輪23の一つ又は二つが走行用モータによって駆動される。また、搬送車20は本体21の底部中央前後に2組の操舵機構24を備え、各操舵機構24には、操舵部としての3個の案内輪25が縦列に配置されている。
【0024】
この場合、軌道R1を形成する案内溝14内を案内輪25が移動し、これにより、操舵機構24が軌道R1に沿うように操舵される。また、グレーチング11,12の軌道R2上を走行輪23が転動する。すなわち、走行輪23の走行経路は軌道R2である。なお以下の記載では便宜上、案内輪25を案内するための軌道R1を「案内輪軌道」と称し、走行輪23の軌跡を示す左右2本の軌道R2を「走行輪軌道」と称する。
【0025】
次に、いわゆる転てつ機を構成する進路切換用グレーチング12の構成を図3〜図7を用いて詳細に説明する。ここで、図3は進路切換用グレーチング12を拡大して示す平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。また、進路切換用グレーチング12は床板31と回転板33とを重ねて構成されるが、図6には同グレーチング12から回転板33を取り除いた構成を示し、図7には回転板33のみの構成を示す。
【0026】
図3及び図4に示されるように、床本体としての床板31には円形の凹部32が形成され、その凹部32内には、回転体としての回転板33が支軸34及び軸受35により回転可能に支持されている。床板31は他のグレーチング11,113と同じ外形寸法を有する。なお本実施の形態では、床板31及び回転板33が何れもアルミ製で構成される。
【0027】
回転板33には、軌道部としての二本の案内溝36,37が設けられ、そのうち直進用案内溝36は直進走行時に用いられ、カーブ用案内溝37はカーブ走行用に用いられる。これら案内溝36,37は、搬送車20の二つの走行輪23の間隔よりも狭い範囲に設けられる。
【0028】
詳細には、直進用案内溝36は、床板31の溝部31a,31b間を接続し、他の直進用グレーチング11の案内溝14と接続されることで前記案内輪軌道R1を構成する(図示の状態)。また、カーブ用案内溝37は、床板31の溝部31a,31c間を接続し、同じく他の直進用グレーチング11の案内溝14と接続されることで前記案内輪軌道R1を構成する。直進用案内溝36とカーブ用案内溝37との切り換えは、回転板33を所定角度α(本実施の形態では、約20°)だけ回転させることにより達成される。
【0029】
床板31には円形の穴部38が三ヶ所に設けられ、各穴部38には回転板33の下面を支持するための支持部材39が配設されている。支持部材39は、上下二枚の支持板40とその間に配設される調整板41と四本の調整ネジ42とから構成され、搬送車20の重量など、回転板33に上方からかかる力を受け止める役割をなす。特に、支持部材39は、回転板33の回転中心から均等位置に、且つ走行輪軌道R2のほぼ真下に位置するように配される。これにより、左右の走行輪23にかかる荷重が常に何れか二つの支持部材39にて支えられるようになっている。
【0030】
次に、回転板33を所望の位置に回転させるべく床板31に設けられた駆動機構の構成について説明する。図5及び図6に示されるように、床板31の下面にはモータ45が取り付けられ、その出力軸45aには第1ギア46が固定されている。また、床板31には支軸47が固定され、同支軸47には軸受48を介して第2ギア49が回転自在に取り付けられている。第1,第2ギア46,49は、床板31に形成された段差部44に配設される。
【0031】
第2ギア49の上面には円板50が固定され、その円板50の外周部付近に突設されたピン51にはブロック52が回転自在に取り付けられている。この場合、第2ギア49が回転すると、それに伴いピン51及びブロック52が一体的に回転する。但し図5では便宜上、ピン51及びブロック52を図6のC−C線断面図で示す。なお、ピン51及びブロック52が移動部材に相当し、これら各部材51,52は円板50で規定される所定半径で円運動する。
【0032】
また、床板31には支軸53が固定され、同支軸53には軸受54を介して第3ギア55が回転自在に取り付けられている。前記ギア46,49,55は互いに噛み合わされている。従って、前記モータ45の駆動に伴う第1ギア46の回転が第2ギア49に伝達されると、同第2ギア49の回転が第3ギア55に伝達される。
【0033】
第3ギア55には、二ヶ所の切欠き部56aを有するドグ56が取り付けられ、ドグ56に対向配置された反射式のセンサ57により前記切欠き部56aが検知される。本実施の形態では、センサ57の検出結果により回転板33の回転位置が決定される。第3ギア55の上方にはカバー58が取り付けられている。
【0034】
また、図7に示されるように、回転板33にはその裏面側に溝部60が形成されている。溝部60は回転板33の半径方向に等幅で延設され、この溝部60には、前記円板50上のブロック52が移動可能に収容される(図3,図5参照)。つまり、溝部60とブロック52とは係合関係にある。
【0035】
一方、図3,図7に示されるように、回転板33の外周には二つの切欠き部61,62が設けられ、床板31には切欠き部61,62に対向するように二つの光電スイッチ63,64が設けられている。例えば直進用案内溝36が使われる場合、切欠き部61と光電スイッチ63とが対向し、それにより直進走行状態である旨が検知される(図示の状態)。また、カーブ用案内溝37が使われる場合、切欠き部62と光電スイッチ64とが対向し、それによりカーブ走行状態である旨が検知される。
【0036】
図8は、搬送ユニットの制御系の構成を示すブロック図である。同図において、コントローラ70は例えば周知のマイクロコンピュータにて構成され、多数の進路切換用グレーチング12から各々、前記センサ57や光電スイッチ63,64の検出値を入力する。またその他に、図1に示す搬送車20を直進走行させるか、或いはカーブ走行させるかといった指令信号を操作機器71から入力する。そして、コントローラ70は、搬送車20を直進走行させる旨の指令信号が入力され、且つ現時点での進路切換用グレーチング12がカーブ走行の状態にあれば、該当する進路切換用グレーチング12のモータ45に対して駆動信号を出力する。
【0037】
また、コントローラ70は、搬送車20をカーブ走行させる旨の指令信号が入力され、且つ現時点での進路切換用グレーチング12が直進状態にあれば、該当する進路切換用グレーチング12のモータ45に対して駆動信号を出力する。進路切り換えに際し、搬送車20が進路切換用グレーチング12に到達する以前にモータ45が駆動される。但し、進路切換用グレーチング12が指令信号の状態に予めあれば、モータ45は駆動されない。
【0038】
次に、上記の如く構成される搬送ユニットの作用を説明する。
搬送車20を直進走行させる場合、図9(a)の如く、床板31側の溝部31a,31bと回転板33側の直進用案内溝36とを接続させるよう、回転板33の回転位置を操作する。これにより、搬送車20の案内輪25は、溝部31a→直進用案内溝36→溝部31bの経路(又はその逆)に沿って進む。つまり、この経路が案内輪軌道R1となる。この場合、搬送車20の走行輪23は図9(a)中の走行輪軌道R2上を転動する。但しこの際、カーブ用案内溝37は走行輪軌道R2に干渉しない位置にある。図1で言えば、例えばX1側からY1側へ(又はその逆Y1→X1へ)或いはX2側からY2側へ(又はその逆Y2→X2へ)搬送車20が走行することとなる。
【0039】
また、搬送車20をカーブ走行させる場合、図9(a)の状態から図9(b)の状態へと移行させる。すなわち、モータ45を駆動してブロック52の位置を図9(a)の位置から図9(b)の位置に移動させ、回転板33を所定角度αだけ回転させる。これにより、床板31側の溝部31a,31cと回転板33側のカーブ用案内溝37とが接続される。従って、搬送車20の案内輪25は、溝部31a→カーブ用案内溝37→溝部31cの経路(又はその逆)に沿って進む。つまり、この経路が案内輪軌道R1となる。この場合、搬送車20の走行輪23は、図9(b)中の走行輪軌道R2上を転動する。但しこの際、直進用案内溝36は走行輪軌道R2に干渉しない位置にある。図1で言えば、例えばX1側からY2側へ(又はその逆Y2→X1へ)搬送車20が走行することとなる。
【0040】
因みに、案内輪軌道R1を直進の状態に戻すには、モータ45を逆転させる。すると、ブロック52が図9(b)の位置から図9(a)の位置に復帰し、再び床板31側の溝部31a,31bと直進用案内溝36とが接続される。
【0041】
以上詳述したように本実施の形態によれば、以下に示す効果を得る。
(a)進路切換用グレーチング12において、搬送車20の進路変更に際し、複数の案内溝36,37が走行輪軌道R2を横切ることなく切り換えられるよう回転板33を所定角度αで回転させるようにした。そのため、搬送車20の走行輪23が案内溝36,37に乗って搬送車20が振動するといった不都合が回避される。つまり、進路切り換えを行いつつ、搬送車20が滑らかに走行する。また併せて、進路切り換え点において、搬送車20の走行速度を低下させる必要もない。
【0042】
(b)回転板33の上面には、搬送車20の二つの走行輪23の間隔よりも狭い範囲に案内溝36,37が形成されるので、進路変更をする、又はしないに拘わらず、搬送車20は左右の走行輪23間で常に案内溝36,37を跨ぐようにして走行する。そのため、搬送車20が振動するといった不都合がより確実に回避される。
【0043】
(c)床板31に形成される円形の凹部32に、床板31と面一の状態で回転板33が配設されるので、進路切換用グレーチング12の床面上にズレを生ずることはない。
【0044】
(d)ピン51及びブロック52が、円板50にて規定される所定半径で円運動しつつ回転板33の溝部60内を移動するため、回転板33の回転角度が前記所定半径で規制される。すなわち、回転板33は、その回転中心とピン51の移動位置とがなす角度しか回転できない。従って、回転板33が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消される。
【0045】
(e)搬送車20の走行に際し、何れの走行輪23においても同走行輪23にかかる荷重は回転板33下面側の支持部材39により支えられる。そのため、回転板33が常に滑らかに回転する。またこの場合、三つの支持部材39を前記図3の通り配置することで、左右の走行輪23にかかる荷重を支えるという役目を果たしつつ、同支持部材39を必要最小個数(本実施の形態では3個)とすることが可能となる。
【0046】
(f)直進用グレーチング11と進路切換用グレーチング12とが同一寸法にて形成され、進路切り換え点にて進路切換用グレーチング12が配設されると共に、各グレーチング11,12を繋ぎ合わせることで床10が形成される。この場合、床10に設けられる軌道パターンの多様化が図られる。また、グレーチング11,12が同一寸法であるため、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となり、クリーンルームの有効利用を図ることができる。
【0047】
(g)グレーチング11,12は、軌道部としての案内溝14,36,37を一体的に形成したので、搬送車20を走行させるための案内輪軌道R1を床10に敷設する工事が非常に簡単になる。
【0048】
(h)半導体製造用のクリーンルームに適用される場合に、精密な半導体部品を搬送しても、搬送車20のがたつきが防止されて不具合の発生が大幅に抑制される。
【0049】
(i)センサ57と、二つの光電スイッチ63,64を使って回転板33の回転位置が制御されるため、進路切り換えが誤って行われるといった不具合が回避され、信頼性の高い搬送システムが実現できる。
【0050】
なお、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することができる。
○進路切換用グレーチング12の回転板33を回転させるための駆動機構は、既述のものに限られず、回転板33を正逆何れにも回転可能な他の機構に変更してもよい。例えば、
・床板31に、回転板33の溝部60に係合し且つ同溝部60に略直交する方向に直線運動する移動部材を設ける。移動部材としては、前述のピン51やブロック52等の構成でよい。かかる場合、移動部材の直線運動が回転板33の回転運動に変換され、当該回転板33を所望の位置まで容易に回転させることができる。移動部材の直線運動を実現には、リニアモータを使う構成やラック&ピニオンを使う構成が適用できる。
・回転板33の外周面にギア歯を設け、このギア歯にモータ出力軸に固定されるピニオンギアを噛み合わせる。そして、ピニオンギアの回転に伴い回転板33を回転させる。
・モータ等の駆動機構を使わず、手動にて回転板33を回転させて進路切換を行う構成としてもよい。
【0051】
○搬送車の操舵部を案内するための軌道部は、溝形状に限定されない。例えば床面上に突出する突条により軌道部が形成されると共に、前記突条に合わせて搬送車の操舵部が設けられる。この場合にもやはり、床面上の突条と搬送車の走行輪とが干渉することはないので、搬送車の滑らかな走行が実現できる。
【0052】
○カーブ走行用の二本の軌道部(案内溝)を回転体に設ける。要は、二股に分岐するための案内輪軌道を作るものであればよい。
○回転体の回転角度を図3,図9の所定角度αよりも小さくする。回転角度を小さくすることにより進路変更の角度は小さくなるが、搬送車の走行輪が回転体上の軌道部を踏むといった不具合は回避される。但しこの場合、搬送車の走行輪が床本体側の軌道部(図3の溝部31a〜31c)を踏まないように設計する必要がある。
【0053】
○床本体(床板31)の一辺の長さと回転体(回転板33)の外径とを略一致させる。この場合、例えば図3の溝部31a,31bをなくすことができ、搬送車の走行輪がこの溝部31a,31bを踏んで衝撃を受けるといった問題が回避される。
【0054】
○進路切換用グレーチングの回転体に3つの案内溝(軌道部)を設ける。この場合、3つの案内溝が走行輪軌道を横切ることなく切り換えられるには、案内溝が拡がる角度、すなわち回転体の回転角度を規制することが必要になる。回転体の回転角度を例えば最大で20°程度に規制する。
【0055】
○進路切換用グレーチングの回転体に位置決め機構を設ける。例えば回転体が所定角度α(図3,図9参照)以上回転しないような規制部材を設けたり、所定角度αだけ回転したときに作動するストッパ部材を設けたりしてもよい。この場合、機械的に動作させることで、位置検出のためのセンサ部材を取り除くことが可能となる。
【0056】
○回転板33に設けた溝部60の長さを回転板33の中心側に延ばす。これにより、図5,6等に示す円板50を一方向にのみ回転させるだけで回転板33の二位置の切り換えが可能となる。
【0057】
○進路切換用グレーチング1枚のみで所望の進路への切り換えを行う必要は必ずしも無く、2枚以上の進路切換用グレーチングを組み合わせて進路切り換えを行うようにしてもよい。
【0058】
○回転板33と床板31との間に設けられる支持部材39を4個以上設けてもよい。要は、走行輪23の走行経路近傍に設けられ、左右の走行輪23にかかる荷重を支えるものであればよい。
【0059】
○グレーチング11〜13の材質はアルミに限定はされず、強度が得られれば他の材質を用いてもよい。例えば、鋼材やチタンなどの他の金属であってもよいし、ABS等の樹脂であってもよい。或いは、陶器(セラミック)であってもよい。
【0060】
○床材の形状は四角に限定されない。繋ぎ合わせにより所定形状の床を埋め尽くせられるのであればよい。例えば菱形,三角,台形,六角形などの多角形であってもよい。また、全てが同形状であることに限定されず、複数種の形状が混在していても構わない。
【0061】
○グレーチング11,12において走行輪軌道R2を形成するためのレール部材を組み付けてもよい。つまり、グレーチング表面に溝部を設け、その溝部内にレール部材を嵌合により組み付ける。なお、レール部材はグレーチング11,12の表面から突出しない面一の状態で組み付けられる。この場合、レール部材をグレーチング11,12の境界を跨ぐように長さ設定すれば、当該レール部材によって各グレーチング11,12の繋ぎ合わせのずれが補正される。
【0062】
○搬送車の走行輪や案内輪は前記実施の形態の個数に限定されず、他の個数であっても勿論よい。走行輪は1輪以上、案内輪も1〜2輪、或いは4輪以上であってもよい。
【0063】
○駆動輪は、走行輪のうちの1輪或いは2輪に限定されず、3輪以上の走行輪を駆動輪としてもよい。また、走行輪の一部を駆動輪にする場合は勿論、走行輪の全てを駆動輪としてもよい。
【0064】
○駆動を走行輪以外で行なってもよい。例えば、軌道部(案内溝)に案内される案内輪を駆動輪と兼ねてもよいし、駆動輪ではなく車両を牽引して駆動してもよい。この場合、軌道部(案内溝)内に牽引機構を設ける構造が考えられる。要は、グレーチングの設置により、走行経路に関連する装置の設置が容易に行なえれば、走行車両の走行構造がどのようなものにでも適用可能である。
【0065】
○床材は、クリーンルーム用のグレーチングに限定されない。クリーンルーム以外の工場などで、搬送車を走行させるための床を形成するために使用される床材に適用することもできる。
【0066】
前記各実施の形態から把握され、特許請求の範囲に記載されていない技術的思想(発明)を、その効果と共に以下に記載する。
(イ)請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記回転体には、直進走行用の軌道部とカーブ走行用の軌道部とが設けられる床材。この場合、一つの床材で直進走行とカーブ走行との切り換えが可能となる。
【0067】
(ロ)請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記回転体にはその中心部から外周側へ延びる溝部が設けられると共に、前記床本体には前記溝部に係合し且つ同溝部に略直交する方向に直線運動する移動部材が設けられる床材。かかる場合、移動部材の直線運動が回転体の回転運動に変換され、当該回転体を所望の位置まで容易に回転させることができる。
【0068】
(ハ)請求項1〜請求項5に記載の発明において、半導体製造用のクリーンルームのグレーチングとして使用される床材。この場合、精密な半導体部品を搬送しても、搬送車のがたつきが防止されて不具合の発生が抑制される。
【0069】
(ニ)請求項1〜請求項7に記載の発明が適用される搬送システムにおいて、前記回転体を回転させるためのモータと、該モータの駆動を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、進路切り換えの旨の操作信号を受けた際に、前記搬送車が到達する以前にモータを駆動させて搬送車の進路を変更する。この場合、搬送車の走行速度を低下させることなく、進路切り換えを行わせることができる。
【0070】
(ホ)上記(ニ)に記載の搬送システムにおいて、前記回転体の回転位置を検出するための検出手段を設け、前記コントローラは検出手段による検出結果に基づき前記モータを駆動させる。この場合、進路切り換えが誤って行われるといった不具合が回避され、信頼性の高い搬送システムが実現できる。なお、センサ57及び光電スイッチ63,64が検出手段に相当する。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1,2に記載の発明によれば、複数の軌道部が走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられるので、進路切り換えを行いつつ、搬送車を振動なく滑らかに走行させることができる。
【0072】
請求項3に記載の発明によれば、回転体は床本体と面一の状態で回転するため、床面上にズレを生ずることはなく、床面上を走行する搬送車がショックを受けることはない。
【0073】
請求項4に記載の発明によれば、回転体の回転角度は、移動部材が円運動する所定半径で規制されるため、回転体が必要以上に回転してしまうといった不具合が容易に解消できる。
【0074】
請求項5に記載の発明によれば、何れの走行輪においても同走行輪にかかる荷重が回転体下面側の支持部材により支えられるため、回転体が常に滑らかに回転する。
【0075】
請求項6に記載の発明によれば、任意の箇所で進路切り換え点を設けることが可能となり、床に設けられる軌道パターンの多様化を図ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、搬送車を滑らかに走行させるための床が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における搬送システムの概要を示す平面図。
【図2】搬送車の構成を示す図。
【図3】進路切換用グレーチングの構成を示す平面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】図3のB−B線断面図。
【図6】進路切換用グレーチングから回転板を取り除いた状態を示す平面図。
【図7】回転板のみの構成を示す平面図。
【図8】搬送システムの制御系の構成を示すブロック図。
【図9】進路切換用グレーチングの動作を示す平面図。
【符号の説明】
10…床、11…床材(第2の床材)としての直進用グレーチング、12…床材(第1の床材)としての進路切換用グレーチング、14…軌道部としての案内溝、20…搬送車、23…走行輪、25…操舵部としての案内輪、31…床本体としての床板、31a〜31c…軌道部としての溝部、32…凹部、33…回転体としての回転板、36…軌道部としての直進用案内溝、37…軌道部としてのカーブ用案内溝、39…支持部材、45…モータ、51…移動部材としてのピン、52…移動部材としてのブロック、57…センサ、60…溝部、63,64…光電スイッチ、70…コントローラ、R1…案内輪軌道、R2…走行輪軌道。
Claims (7)
- 走行方向に対して横方向に二つの走行輪を有し該走行輪が床面上を転動する搬送車に適用され、床面に筋状の軌道部を有すると共に、前記搬送車に設けられた操舵部を前記軌道部に案内して同搬送車を走行させるための床材であって、
他の床材と各々繋ぎ合わされる床本体と、該床本体に対して回転可能に支持される回転体とを備え、前記回転体には選択的に切換可能な複数の軌道部が形成され、前記搬送車の進路変更に際し、前記複数の軌道部が前記走行輪の走行経路を横切ることなく切り換えられるよう前記回転体が所定角度で回転することを特徴とする搬送車用の床材。 - 前記回転体の上面には、前記搬送車の二つの走行輪の間隔よりも狭い範囲に前記複数の軌道部が形成される請求項1に記載の搬送車用の床材。
- 前記床本体には円形の凹部が形成されると共に、その凹部には床本体と面一の状態で前記回転体が配設される請求項1又は請求項2に記載の搬送車用の床材。
- 前記回転体にはその中心部から外周側へ延びる溝部が設けられると共に、前記床本体には前記溝部に係合し且つ所定半径で円運動する移動部材が設けられる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の搬送車用の床材。
- 前記回転体と前記床本体との間には、前記走行輪の走行経路近傍に支持部材が設けられる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の搬送車用の床材。
- 進路切り換えが可能な請求項1に記載の第1の床材と、進路切り換えができない第2の床材とが同一寸法にて形成され、進路切り換え点にて前記第1の床材が配設されると共に、前記第1,第2の床材を繋ぎ合わせることで形成される床。
- 前記第1,第2の床材に設けられる軌道部は床面上に連続して接続される請求項6に記載の床。
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