JP3826574B2 - 金装飾品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,陶磁器又はセラミックスに金装飾を施した金装飾品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
陶磁器には,金装飾を施したものが多い。中でも立体的金装飾は,艶がある明るいブライト調を呈する部分(B)と,艶が少なく落ち着いたマット調を呈する部分(M)との組合せによって,ブライト調部分をマット調部分よりも盛り上がっているように認識させる。このため,立体的金装飾は,豪華な印象を与え,高級食器類に施されていることが多い。
立体的金彩装飾技法としては,従来,種々のものがある。
【0003】
▲1▼本腐らし転写法(セラミックス辞典第2版,日本セラミックス協会編,丸善p.173)
図6に示すごとく,スクリーン印刷法により,施釉後の陶磁器92のブライト形成部分を,アスファルトからなるマスク93により被覆する(図6(a))。マスク93により被覆されていない釉面922を,フッ化水素またはサンドブラスト法によりエッチングして,エッチング面921を形成する(図6(b))。次に,洗浄処理を行うことによりマスク93を除去した後(図6(c)),金液又は金転写にて,陶磁器92の表面に金層91を形成し,焼成する(図6(d))。これにより,金層91における釉面922の上の部分が艶がある明るいブライト調(B)の金色を呈し,エッチング面921の上の部分が艶が少ない落ち着いたマット調(M)の金色を呈する。
【0004】
▲2▼マット絵具と盛絵具とを用いる方法
図7(a)に示すごとく,印刷台紙の表面にマット絵具を印刷し,次いでその上のブライト形成部分に対応する部分に盛絵具を印刷する。次に,転写法により,施釉後の陶磁器92の金装飾部の全体に上記マット絵具を,その上のブライト形成部分に上記盛絵具を転写する。これにより,陶磁器92の金装飾部分全体に,μmオーダーの凹凸のあるマット絵具層941を形成するとともに,その上のブライト形成部分に,平滑面を有する盛絵具層942を形成する。次いで,図7(b)に示すごとく,金液又は金転写にて,マット絵具層941及び盛絵具層942の表面に,金層91を形成し,焼成する。これにより,マット絵具層941の上がマット調(M)の金色を,盛絵具層942の上がブライト調(B)の金色を呈する。
【0005】
▲3▼マット絵具印刷法
図8(a)に示すごとく,スクリーン印刷法により,施釉後の陶磁器92の表面にマット絵具を印刷して,μmオーダーの凹凸のあるマット絵具層943を形成する。次いで,図8(b)に示すごとく,金液又は金転写にて,及びマット絵具層943の表面及び陶磁器92の釉面922に,金層91を形成し,焼成する。これにより,マット絵具層943の上がマット調(M)の金色を,陶磁器92の釉面922の上がブライト調(B)の金色を呈する。
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の立体金彩装飾技法には,種々の問題点がある。
▲1▼の方法は,人手がかかり,高級品にしか採用することができない。
▲2▼の方法は,▲1▼の方法よりは簡易な方法であるが,転写紙に凹凸があり厚みもあるので,転写後の焼成によって,金彩飾模様がチヂレて,変形してしまうおそれがある。
▲3▼の方法は,マット調(M)を呈する部分と,ブライト調(B)を呈する部分との高低が,▲1▼の方法と逆になるため,異質な金模様にみえる。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,焼成による変形がなく,簡便で本腐らしの金模様に近い立体的金装飾を施すことができる,金装飾品及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
本発明は,陶磁器又はセラミックスからなる被装飾体に,マット調の金模様とブライト調の金模様との組合せにより金装飾を施してなる金装飾品を製造する方法であって,
ガラス屈伏点520〜630℃の釉ガラス層を焼き付けた被装飾体に,金粉を含まないブライト金ペーストよりなるブライト層と金粉を含むマット金ペーストよりなるマット層とを隣接して形成し,750〜900℃で焼成して,上記ブライト層とマット層との境界部分にV字状溝を形成することを特徴とする金装飾品の製造方法である。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,ブライト金ペーストとマット金ペーストとを用いて2色印刷を行うこと,金装飾が施される釉ガラス層のガラス屈伏点及び上記2色印刷後の焼成の温度が上記の範囲内にあることである。
これにより,本発明により得られた金装飾品は,立体的に見える。その理由は,以下のように考えられる。
【0010】
即ち,焼成過程でブライト金は,軟化した釉ガラス層の上で焼成収縮を起こすため,ブライト金を通常の適性温度よりも高い温度で焼成すると,焼成時に金模様の輪郭部分が釉面に食い込む現象や,金模様の途中で割れが発生する現象が起こる。
【0011】
本発明はかかる食い込み現象に着目し,焼成温度を所定範囲内に設定することにより,立体感のある金模様を形成するものである。上記焼成温度は,収縮しようとする金膜が収縮するために必要十分な粘性になる温度である。
つまり,本発明において,ブライト金ペーストは,上記の焼成収縮を起こす性質を有するため,釉面に供給した後に,上記特定範囲内の温度で焼成することにより,ブライト層の輪郭部分が釉面に食い込む。これにより,ブライト層の輪郭部分がV字状溝,ブライト層の中心部分が若干盛り上がる。
【0012】
一方,マット金ペーストはこのような焼成収縮がおこらない組成からなるため,マット層は焼成後に平坦のまま釉面に焼き付く。即ち,マット金は金粉を含むためブライト金のように一層の均質な金膜とはならず,顕微的には微小な独立した金粉の集合体となるため,焼成時に釉とのストレスが無く,食込み現象はおこりにくい。
【0013】
従って,ブライト層がマット層よりも若干盛り上がることになる。若干盛り上がったブライト層は艶のある明るいブライト調金色を発色し,平坦なマット層は艶の少ない落ち着いたマット調金色を発色して,これらの組み合わせにより金模様が立体的にみえる。また,本発明により得られた金装飾は,本腐らしに近い高級感のある金模様である。
【0014】
上記ブライト層とマット層との境界部分における釉ガラス層には,V字状溝が形成されている。そのため,ブライト層が盛り上がって見え,金装飾がより立体的に見える。
【0015】
また,焼成は,上記の範囲内の温度で行うため,ブライト金が焼成で有機金属から均一な金属膜になる際に収縮をおこしても,ブライト金の収縮力と釉ガラス層の粘度とのバランスがとれるので,収縮による割れが発生するおそれもない。
【0016】
また,本発明は,人手がかからず,工程数も少ないため,低コストで簡便な方法である。
以上のように,本発明の方法は簡便であり,また,焼成による変形がなく,簡便で本腐らし法で作製した金模様に近い立体的金装飾を施すことができる。
【0017】
次に,本発明の詳細について説明する。
金装飾を施す被装飾体の表面には,予め釉ガラス層を焼付けておく。釉ガラス層のガラス屈伏点は,金の焼成温度より120〜270℃低いことが好ましい。その理由は,焼成の際に金だけでなく釉ガラス層も適度に軟化する必要があるからである。具体的には,この釉ガラス層のガラス屈伏点は,520〜630℃である。これにより,後工程の焼成によって,釉ガラス層のガラス成分が軟化して,ブライト層の輪郭部分の食い込み現象が起こりやすくなる。一方,520℃未満の場合には,釉としての実用性に欠ける。また,630℃を超える場合には上記食い込み現象が起こらないおそれがある。
【0018】
上記の屈伏点を有する釉ガラス層としては,例えば,低火度釉(フリット釉)と称される釉薬でSK6以下1200℃以下の焼成に適する釉を用いることができる。焼成適性温度が1200℃を超える高火度釉では陶磁器絵付温度ではブライト金が釉ガラス層に食込みにくくなる。上記低火度釉の組成の例を表1に示した。
【0019】
【表1】
Figure 0003826574
【0020】
釉ガラス層の表面には,ブライト層とマット層とが互いに隣接して形成される。
ブライト層とマット層とは互いに重なることなく接した状態で釉ガラス層表面に形成することが好ましく,印刷位置制御の都合上などのため,重なり部分があったとしても重なり幅は0〜0.4mmであることが好ましい。その理由は,上記重なり部分の幅が広いと,マット・ブライトのコントラストがシャープではなくなり,装飾外観上好ましくないからである。
【0021】
更には,ブライト層とマット層との重なり幅は0〜0.2mmであることが望ましい。これにより,ブライト・マットのコントラストがシャープで,外観のよい金装飾模様を形成できる。
【0022】
また,ブライト層は,細幅のパターンであることが好ましい。広幅の場合には,ブライト層が焼成によって割れが生じるおそれがあるからである。具体的には,ブライト層の線幅は4mm以下であることが好ましく,望ましくは2mm以下である。これにより,ブライト層の焼成欠陥を効果的に防止することができる。
一方,マット層はその幅,形状は問わない。
【0023】
釉ガラス層に形成するブライト層の焼成前の厚みは,5〜15μmであることが好ましい。5μm未満の場合には,均一厚みの層形成が困難となるおそれがある。また,15μmを超える場合には,ブライト層の光沢が損なわれたり,細い金割れの発生の原因となる。
【0024】
また,釉ガラス層に形成するマット層の焼成前の厚みは,5〜15μmであることが好ましい。5μm未満の場合には,均一厚みの層形成が困難となるおそれがある。また,15μmを超える場合には,製造コストが高くなるおそれがある。
【0025】
ブライト層を構成するブライト金ペーストは,公知のレジネート金と微量添加金属レジネート(ビスマス,ロジウム,銀など)と溶剤と印刷用ビヒクルとを混練してペースト状にしたものである。ブライト金は,焼成により金属金で艶(鏡面光沢)があり明るい色調(ブライト調)の金色を呈する。ブライト金は,一般に焼成収縮を生じ易い性質を有する。かかるブライト金としては,公知のものを用いることができる。
ブライト金の含金量はブライト金ペースト中8〜18重量%であることが好ましい。これにより,均一なブライト層を形成できる。
【0026】
マット層を構成するマット金ペーストは,公知のレジネート金と金粉と微量添加金属レジネート(ビスマス,ロジウム,銀など)と溶剤と印刷用ビヒクルとを混練してペースト状にしたものである。
マット金ペーストは金粉を含む点で,金粉を含まないブライト金ペーストと異なる。
マット金は,焼成により金属金の発色をし,艶が少なく落ち着いた色調(マット調)の金色を呈する。かかるマット金としては,公知のものを用いることができる。
【0027】
釉ガラス層の表面にブライト層及びマット層を形成するに当たっては,たとえば,転写法,直接印刷法などの方法がある。
転写法の場合,転写紙には,ブライト層とマット層とが隣接して形成されるため,これらの表面凹凸はほぼ平坦である。また厚みも薄い。そのため,転写後の焼成の際に,金模様のチヂレが発生しにくくなる。
【0028】
釉ガラス層表面にブライト層とマット層とを形成した後には,これらを750〜900℃で焼成する。これにより,ブライト層の輪郭部分が釉面に食い込む食込み現象と,焼成収縮によりブライト層の中心部分が若干盛り上がる隆起現象が生じる。これにより,ブライト層が,マット層から若干盛り上がり,立体的な金装飾模様が形成される。
【0029】
一方,焼成温度が750℃未満の場合には,上記食込み現象及び隆起現象は起こらず,また金の焼付き強度も低い。また900℃を超える場合には,ブライト層に割れが生じるおそれがある。
【0030】
更には,被装飾体の焼成温度は,800〜860℃であることが望ましい。これにより,食込み現象及び隆起現象を効果的に起こすことができ,またブライト層に割れが生じることもない。
【0031】
ブライト層とマット層との境界部分には,V字状溝を形成する。V字状溝の開き角度α,即ちV字状溝の頂点をブライト層表面の頂点とマット層の頂点とをそれぞれ直線で結んだときにできる開き角度αが180°よりも小さいことが好ましい。これにより,金装飾模様が立体的にみえる。
【0032】
被装飾体は,陶磁器又はセラミックスからなるものであれば,特に限定されないが,例えば,食器,置物,タイル,ホヤ,ガラス器などがある。
【0033】
次に,上記の製造方法により得られる金装飾品としては,例えば,陶磁器又はセラミックスからなる被装飾体に,マット調の金模様とブライト調の金模様との組合せにより金装飾を施してなる金装飾品であって,
上記金装飾品は,上記被装飾体の表面に焼付けられたガラス屈伏点520〜630℃の釉ガラス層を有するとともに,該釉ガラス層の表面には金粉を含まないブライト金からなるブライト層と金粉を含むマット金からなるマット層とが隣接して焼き付けられており,かつ上記ブライト層とマット層との境界部分にV字状溝が形成されていることを特徴とする金装飾品がある。
【0034】
本発明の金装飾品においては,上記所定温度での焼成によって,ブライト層がマット層よりも若干盛り上がる。若干盛り上がったブライト層は艶のある明るいブライト調金色を発色し,平坦なマット層は艶の少ない落ち着いたマット調金色を発色して,これらの組み合わせにより金模様が立体的にみえる。また,本発明の金装飾は,本腐らしに近い高級感のある金模様である。また,金装飾品は,上記の範囲内の温度で焼成したものであるため,焼成収縮がおこる性質を有するブライト金に,収縮による割れが発生するおそれもない。
【0035】
上記ブライト層とマット層との境界部分における釉ガラス層には,V字状溝が形成されている。そのため,ブライト層が盛り上がって見え,金装飾がより立体的に見える。
上記V字状溝の開き角度αは,上記と同様の理由により,180°より小さいことが好ましい。
【0036】
上記ブライト層の上面は,上記マット層の上面よりも高いことが好ましい。これにより,ブライト層が盛り上がって見え,金装飾がより立体的に見える。
上記ブライト層の上面と上記マット層の上面との高低差Hは5μm以上であることが好ましい。これにより,ブライト層が盛り上がって見え,金装飾がより立体的に見える。一方,5μm未満の場合には,金装飾の立体感が薄れるおそれがある。
【0037】
上記ブライト層とマット層とは,0〜0.4mmの重なり部分を有することが好ましい。その理由は,マット・ブライトのコントラストがシャープではなくなり,外観に劣るおそれがある。
更には,ブライト層とマット層との重なり幅は0〜0.2mmであることが望ましい。これにより,ブライト・マットのコントラストがシャープな,外観のよい金装飾模様を形成できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例に係る金装飾品について,図1〜図5を用いて説明する。本例は,図3(i)に示すごとく,皿5の縁部に立体的な金装飾1を形成する方法である。その方法の概要は,図1に示すごとく,皿5に釉ガラス層2を焼き付け,その表面に,転写法により,ブライト金ペーストよりなるブライト層12とマット金ペーストよりなるマット層11とを隣接して形成し(図1(a)),焼成することである(図1(b))。以下,これを詳細に説明する。
【0039】
まず,図2に示すごとく,スライド転写用の印刷台紙7を準備し(図2(a)),その表面にブライト層形成用のマスク601を用いて,ブライト金ペーストをスクリーン印刷する(図2(b))。ブライト金ペーストは,レジネート金と微量添加金属レジネートと印刷用ビヒクルと溶剤とからなり,その中の金の含有量は18重量%である。
【0040】
マスク601は,印刷台紙のブライト層形成部分に対応する部分に開口部62を,その他の部分には被覆部611を設けている。開口部62の最大幅Dは1.2mmである。かかるマスク601を用いてスクリーン印刷を行うと,ブライト金ペーストは開口部62を通じて印刷台紙7の表面に付着する。これにより,印刷台紙7にブライト層12(厚み8μm)を形成する(図2(c))。
【0041】
次に,マット層形成用のマスク602を用いて,マット金ペーストをスクリーン印刷する(図2(d))。マット金ペーストは,レジネート金と微量添加金属レジネートと金粉と溶剤とからなり,ペースト中における金の含有量は22重量%である。
【0042】
マット層形成用のマスク602は,上記ブライト層形成用のマスク601とはネガの関係のパターンを有する。つまり,マット層形成用のマスク602は,ブライト層形成用のマスク601の開口部62(最大幅D1.2mm)に対応する部分に幅dが1.0mmの被覆部612を,該被覆部612の周囲に対向する部分に開口部61を設けている。そして,マット層形成用の開口部62は,ブライト層形成用の開口部61との境界部分の両側が0.1mmずつ重なるようになっている。
【0043】
このマスク602を用いてマット金ペーストのスクリーン印刷を行うと,印刷台紙7のブライト層形成部分以外の部分にマット層11(厚み8μm)が形成される。これにより,ブライト層12とマット層11とからなる金装飾1が印刷台紙7に形成される(図2(e))。また,ブライト層12とマット層11との境界部分には,後述のように幅0.1mmの重なり部分が形成される。
【0044】
次に,印刷台紙7の上に,転写用のフィルム70を印刷形成する(図3(f))。次いで,フィルム70を金装飾1とともに印刷台紙7から剥離して転写紙700を形成する。
【0045】
次に,転写紙700を,皿5の表面に被覆して,金装飾1を皿5に転写する(図3(g))。皿5としては,屈伏点600℃の釉ガラス層2が形成されたフリット釉市販陶磁器である。
その後,これを,830℃で3時間,10分保持後2時間昇温の条件で焼成する(図3(h))。
以上により,図3(i)に示すごとく,皿5の縁部に立体的な金装飾1が形成される。
【0046】
図1(b)に示すごとく,金模様1におけるブライト層12の上面とマット層11の上面との高低差Hは10μmである。また,ブライト層12の中心部分122が若干盛り上がる。
また,図1(c)に示すごとく,マット層11とブライト層12との境界部分102には,V字状溝100が形成される。V字状溝100の開き角度αは,120°である。
【0047】
本製造方法により製造された金装飾品の金模様が立体的にみえるのは,以下の理由によるものと考えられる。
ブライト金ペーストは,焼成収縮を起こす性質を有するため,転写後に,上記温度で焼成することにより,図1(c)に示すごとく,ブライト層12の輪郭部分101が釉面に食い込む。これにより,ブライト層12の輪郭部分にV字状溝121が形成されるとともに,ブライト層12の中心部分122が若干盛り上がる。
一方,マット金ペーストは金粉を含むためこのような焼成収縮がおこらず,マット層11は焼成後に平坦のまま釉面に焼き付く。
【0048】
従って,ブライト層12がマット層11よりも若干盛り上がることになる。若干盛り上がったブライト層12は艶のある明るいブライト調金色Bを発色し,平坦なマット層11は艶の少ない落ち着いたマット調金色Mを発色して,これらの組み合わせにより金模様1が立体的にみえる。また,金装飾1は,本腐らしに近い高級感がある。
【0049】
また,焼成は,上記の温度で行うため,焼成収縮がおこる性質を有するブライト金に,収縮による割れが発生するおそれもない。
また,図3(f)に示すごとく,転写紙700には,ブライト層12とマット層11とが隣接して形成されているため,これらの表面凹凸はほぼ平坦である。また厚みも薄い。そのため,転写後の焼成の際に,金模様のチヂレが発生しにくくなる。
また,本例の方法は,人手がかからず,工程数も少ないため,低コストで簡便な方法である。
【0050】
本例では,印刷台紙にブライト層をマット層よりも先に印刷したが,その逆であってもよい。
また,本例では,ブライト層12とマット層11との境界部分に重なり部分が形成されている。つまり,印刷用マスクの開口部61,62が0.1mm程度重なるようにして,ブライト層12をマット層11よりも先に印刷している(図2(b)〜(e))。このため,皿5に転写したときには,図4に示すごとく,ブライト層12の上にマット層11が若干重なり合う。この重なり部分10は,焼成前では図4(a)に示すごとく,平坦なブライト層12の平坦面に沿った平坦な形状となり,焼成後では,図4(b)に示すごとく,ブライト層12が隆起するため,その隆起に沿って若干反り上がった状態となる。
【0051】
図4に示すごとく,ブライト層12とマット層11との重なり部分10は,0〜0.4mmであることが好ましい。その理由は,上記重なり部分10の幅が広いと,ブライト部分の輪郭部分101と,ブライト層12とマット層11との境界部分102とが一致せず,マット・ブライトのコントラストがシャープではなくなるおそれがある。
【0052】
一方,本例とは逆に,マット層11をブライト層12よりも先に印刷した場合には,図5に示すごとく,マット層11の上にブライト層12が重なり合う。この重なり部分10は,焼成前では,図5(a)に示すごとく,平坦なマット層11の周縁部にその平坦面に沿ってブライト層12が重なり合うが,焼成後では,図5(b)に示すごとく,ブライト層12の重なり部分10がマット層11から立ち上がるように隆起する。
【0053】
図5に示すごとく,マット層11をブライト層12よりも先に印刷した場合にも,マット層11とブライト層12との重なり部分10の重なり幅Wは,0.4mm以下であることが好ましい。その理由は,上記重なり部分10の幅が広いと,重なり部分10では内部のマット層11に起因してマット調の金色を呈するため,マット・ブライトのコントラストがシャープではなくなるからである。
【0054】
実施形態例2
本発明の金装飾品の製造方法と,従来技術の金装飾品の製造方法との比較を行った。
本発明の金装飾品の製造方法は,実施形態例1の方法と同様である。従来技術の金装飾品の製造方法は,上記【従来技術】で説明した従来技術▲1▼〜▲3▼である。
これらの特徴点を表2にまとめた。
【0055】
従来技術▲1▼(図6)は,本発明よりも工程数が3回多い。特にマット・ブライト部の形成工程が複雑である。また,工程が多いだけでなく,焼成が1回多いので,焼成に起因する修正不能の欠陥品の発生が避けられず,生産歩留まりも低くなる。本発明の方が,効率的に製造することができる。
【0056】
従来技術▲2▼(図7)は,焼成工程が本発明よりも2回多い。そのため,焼成に起因する修正不能の欠陥品の発生が避けられず,生産歩留まりも低くなる。また,マットブライト部のための転写紙の厚みが厚く,凹凸があるのでスライド転写の際スキージで完全に押さえることができず,焼成チヂレを起こすことがある。一方,本発明の転写紙の厚みは,金ペースト印刷1層分の厚みしかないので押さえは容易で焼成欠点は出難い。この点でも,本発明の方が有利である。
【0057】
従来技術▲3▼(図8),例えば特開昭62−235234号に開示される技法は,本発明と同じ工程数でマット・ブライト部の装飾が可能である。しかし,完成品の質感が,一般的な金装飾と異質である。従来技術▲1▼,▲2▼及び本発明はマット部が低い位置にありブライト部が高い位置にある。これに対して,従来技術▲3▼は,反対にマット部が高くブライト部が低い位置にある。そのため,高い位置にあるマット部が強調され,異質な感じを与える。
これに対して,本発明では,工程数が少なく,立体的な金装飾を形成することができる。
【0058】
【表2】
Figure 0003826574
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば,焼成による変形がなく,簡便で本腐らしの金模様に近い立体的金装飾を施すことができる,金装飾品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,金装飾品の製造方法の概要説明図。
【図2】実施形態例1における,金装飾品の製造方法の説明図。
【図3】図2に続く,金装飾品の製造方法の説明図。
【図4】実施形態例1における,ブライト層の上にマット層が重なり合う場合の境界部分の,焼成前後の断面図。
【図5】実施形態例1における,マット層の上にブライト層が重なり合う場合の境界部分の,焼成前後の断面図。
【図6】従来技術▲1▼における,本腐らし法による金装飾の形成方法の説明図。
【図7】従来技術▲2▼における,マット絵具と盛絵具とを用いて金装飾を形成する方法の説明図。
【図8】従来技術▲3▼における,マット絵具印刷法による金装飾の形成方法の説明図。
【符号の説明】
1...金装飾,
10...重なり部分,
100...V字状溝,
101...輪郭部分,
102...境界部分,
11...マット層,
12...ブライト層,
122...中心部分,
2...釉ガラス層,
5...皿,
601...ブライト層形成用のマスク,
602...マット層形成用のマスク,
7...印刷台紙,
70...フィルム,
700...転写紙,

Claims (5)

  1. 陶磁器又はセラミックスからなる被装飾体に,マット調の金模様とブライト調の金模様との組合せにより金装飾を施してなる金装飾品を製造する方法であって,
    ガラス屈伏点520〜630℃の釉ガラス層を焼き付けた被装飾体に,金粉を含まないブライト金ペーストよりなるブライト層と金粉を含むマット金ペーストよりなるマット層とを隣接して形成し,750〜900℃で焼成して,上記ブライト層とマット層との境界部分にV字状溝を形成することを特徴とする金装飾品の製造方法。
  2. 請求項1において,上記焼成温度は,800〜860℃であることを特徴とする金装飾品の製造方法。
  3. 陶磁器又はセラミックスからなる被装飾体に,マット調の金模様とブライト調の金模様との組合せにより金装飾を施してなる金装飾品であって,
    上記金装飾品は,上記被装飾体の表面に焼付けられたガラス屈伏点520〜630℃の釉ガラス層を有するとともに,該釉ガラス層の表面には金粉を含まないブライト金からなるブライト層と金粉を含むマット金からなるマット層とが隣接して焼き付けられており,かつ上記ブライト層とマット層との境界部分にV字状溝が形成されていることを特徴とする金装飾品。
  4. 請求項3において,上記ブライト層の上面は,上記マット層の上面よりも高いことを特徴とする金装飾品。
  5. 請求項3又は4において,上記ブライト層とマット層とは,0〜0.4mmの重なり部分を有することを特徴とする金装飾品。
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