JP3825594B2 - イージーピール用蓋材フイルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主に食品の深絞り真空包装において、底材にイージーピール(易開封)性を付与したフイルムを使用した時に用いる蓋材フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
底材にイージーピール(易開封)性を付与したフイルムを用いて深絞り包装する場合、蓋材を簡単に開封するためのきっかけ部(未シール部分)を設けることがなされている。
【0003】
このイージーピールのきっかけ部を作製する方法としては(1)シール時熱がかからない部分を作る(2)蓋材にパートコート(シールできない物質をコーティングする)を施すという方法がある。
上記深絞り包装品をボイルする場合、特に(1)では蓋材のシール層にはイージーピールのきっかけ部の融着の防止のため融点の高いポリエチレン系樹脂が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ボイル用イージーピールタイプのパック品の場合、イージーピールのきっかけ部がボイルの熱により融着しないことが求められるが、前述の(2)の方法の場合はパートコート材が介在することにより蓋材と底材のシール層が直接接触することがないため、シール時の熱でも融着せず、またボイル時の熱でも融着することはなく、イージーピールのきっかけ部分を保持できる。
【0005】
一般にパートコートは高精度の位置合わせが可能なピッチ印刷を必要とするため、ピッチ精度の安定を目的とした延伸フイルム等引張弾性率の高いフイルムの使用が必要である。
【0006】
従って、パートコートは通常深絞り成形性を必要とする底材ではなく、蓋材に付与される。
蓋材にパートコートをするということは、パートコートの分最低1色の印刷が増えるということのみならず、本来はピッチ印刷が必要でない場合、ピッチ印刷により包装機での位置合わせが余分に必要となり作業性が非常に悪くなる。
【0007】
またシール材単体あるいは共押出品単体にピッチ印刷を行うことはピッチの安定性の点から困難であるため、一般にはシール材または共押出品に延伸フイルムをラミネートした後、延伸フイルムの外側に合いマークなどの色印刷を、そしてシール層側にパートコートをする必要がある。
【0008】
また印刷が表にでている状態では、印刷表面がくすんで見栄えが悪く、また傷などにより印刷が剥がれることがあり、通常は印刷面の外側にもう1層ラミネートがなされ、2回以上のラミネートが必要となるという問題があった。
【0009】
前述の(1)の方法ではシール層に融点の高いポリエチレン系樹脂を配するとヒートシール時シール層が一旦溶融し徐冷固化されるため、球晶が発達し易くなりシール部が球晶による内部ヘーズのアップにより透明性が非常に悪くなるという問題があった。
【0010】
また透明性の悪化を防止するためシール材に融点の低いポリエチレン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーαオレフイン共重合体などを使用すると、イージーピールのきっかけ部がボイルの熱により融着するという問題があった。
本発明はパートコートを設けることなく、前記の問題点を解決した新規のイージーピール用蓋材フイルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は以下の手段によって達成される。
【0012】
すなわち、本発明は、シール層である最外層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を1〜15μmの厚さで設け、隣接層に酢酸ビニル含有量3〜15質量%のエチレンー酢酸ビニル共重合体層を配することを特徴とするイージーピール用蓋材フイルム及びシール層である最外層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を1〜15μmの厚さで設け、前記隣接層の次に密度0.87〜0.91g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を配することを特徴とするイージーピール用蓋材フイルムを提案するものであり、 前記隣接層にエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂および/またはポリアミド樹脂の1層以上を共押出してなること、シール層と反対側の最外層に延伸ポリアミドフイルム、延伸ポリプロピレンフイルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムのいずれかを配することを含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、シール層に用いる樹脂は、融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3であるエチレンーαオレフイン共重合体樹脂(以下、LLという。)である。
シール層に用いるエチレンーαオレフイン共重合体樹脂は融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3である必要があるが融点が120℃未満では融点が低いためボイル時イージーピールのきっかけ部が融着する危険性がある。
【0014】
また密度が0.920g/cm3未満でも軟化温度が低くなるため同様に融着の危険性がある。
逆に融点が140℃を越える場合はシール性が悪くなり、特に内容物の油や水分がシール部に介在した場合の夾雑物シール性の点からボイルによって破袋が生じる問題がある。
またシール温度を高くする必要があり、一般に蓋材に接する内容物部分にもシール熱がかかってしまうため、内容物の焼けの問題が生じ易い。
【0015】
また密度が0.940g/cm3を越えると球晶がより発達し易く層の厚みを薄めに配しても透明性が悪くなる。
【0016】
更にLL層の厚さは1〜15μmの範囲である必要があるが3〜10μmとすることがより好ましい。
1μm未満では共押出成形での厚み設定が不安定となり、部分的に隣接する層が表面にでてしまうという問題がある。
【0017】
逆に15μmを越えると透明性を阻害してしまうので本発明の目的とする効果が得られなくなる。
【0018】
本発明に用いるシール層のLLはエチレンとαオレフインの共重合体であるが、αオレフインにはブテン1、ヘキセン1、4メチルペンテン、オクテン1が使用できるが特に限定はされない。
【0019】
耐熱シール層として一般的に使用されているものとして他には高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等があるがシール温度が高く、シール性(特に夾雑物シール性)に劣るという問題がある。
【0020】
シール層に隣接する層に用いられる樹脂は酢酸ビニル含有量3〜15質量%のエチレンー酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという。)または密度0.87〜0.91g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体(以下、VLという。)である必要がある。
【0021】
これはシール時一度溶融した状態から徐冷によって冷却固化された場合においても、結晶化度が低く大きな球晶を作り難いためシール部の透明性が良好となり、バック外観が良くなるためである。
【0022】
EVAの酢酸ビニル含有量が3質量%未満であると、結晶化度が大きくなってしまい透明性が不十分となる。
【0023】
逆にEVAの酢酸ビニル含有量が15質量%を越えるとボイル時の耐熱性が不十分となる点や、ボイル後の酢酸ビニル臭がの内容物の食品に移行する問題がある。
VLの場合も同様に密度が0.87g/cm3未満であるとボイル時の耐熱性が不十分となり、0.91g/cm3を越えると結晶化度が大きくなってしまい透明性が不十分となる可能性がある。
【0024】
シール層に隣接する層としては他にもエチレン・アクリル酸共重合体(以下、EAAという。)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(以下、EEAという。)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(以下、EMAという。)、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(以下、EMMAという。)、エチレン・メタクリル酸共重合体(以下、EMAAという。)、アイオノマー等が透明性が良好な樹脂としてあるが、イージーピールのきっかけ部の融着を防止するために配しているシール層であるLLとの層間接着強度が十分でないため、好ましくない。
【0025】
シール層のLLおよび隣接層のEVA、VLは単体で使用しても良いがそれぞれ、透明性、融着性、耐ボイル性、シール性等の要求品質を阻害しない範囲で、少量の物質を添加してもよい。
【0026】
特にLLに低密度ポリエチレン(以下、LDという。)や高密度ポリエチレン(以下、HDという。)を少量添加することにより造核作用等で球晶の発達が抑えられ透明性が良くなる。
【0027】
特にメタロセン系触媒を用いたLLの場合、LDやHDを添加することで透明性の低下を顕著に抑えられるようになり好ましい。
【0028】
本発明のフイルムはシール層の樹脂構成を工夫し、シール部の透明性が良く、耐熱性も十分(特にイージーピールのきっかけ部が融着しない)な底材イージーピールフイルムに対応する蓋材フイルムを提供するものであるが、蓋材としての主な要求品質としては透明性の他にも酸素バリアー性、耐ピンホール強度があるため、当該シール層にエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(以下、EVOHという。)ポリアミド樹脂(以下、Nyという。)を共押出することによりそれら要求品質を兼ね備えたフイルムを得ることが可能である。
【0029】
EVOHはけん化度95%以上、エチレン含有量29〜47モル%のものが好適に使用できるが、酸素バリアー性が付与できれば良く、特に限定されない。
Nyについても6Ny、6ー66Nyが好適に使用できるが、耐ピンホール強度が良好であれば良く、特には限定されない。
【0030】
シール層と反対側の最外層には、延伸ポリアミドフイルム(以下、ONyという。)延伸ポリプロピレンフイルム(以下、OPPという。)、延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(以下、OPETという。)を配することが好適とされる。
【0031】
これらの延伸熱固定品を最外層に持ってくることによりシール時の熱板へのとられが防止できる。
【0032】
ここでONy、OPP、OPETには酸素バリアー性の付与のため透明蒸着(二酸化ケイ素、酸化アルミ等)、PVdcコート(ポリ塩化ビニリデンコート)EVOHコート等が施こされても良い。
【0033】
また、イージーピールの開封時においても、引張弾性率の高い延伸熱固定品を持ってくることで蓋材を薄くしても伸びることがなく、安定した開封を可能にする。
【0034】
また、延伸熱固定品のフイルムに印刷を施してからラミネートすることで、ピッチの安定した中間印刷を可能にする。
【0035】
ONy、OPP、OPETはドライラミネートすることが厚み等の品質上好ましいが、特に限定はされない。
本発明のフイルムは主に食品等の深絞り包装におけるボイルイージーピールタイプ底材フイルムに対して好適な蓋材フイルムを提供するものであるが、ボトムイージーピール底材は特に限定されず、蓋材のシール層LLとのシール性が良好で、イージーピールのきっかけ部が融着しない耐熱性を備えていれば良い。
【0036】
イージーピール材(以下、EPという。)として例を挙げると、LLとポリブテン1のブレンド品、LLとPPのブレンド品等がある。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し、下記構成からなる複合フイルムを得た。
【0039】
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/接着性樹脂(以下、ADという)(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムのEVOH側にOPPをドライラミネ−トして以下の構成の本発明の蓋材用複合フイルムを得た。
【0040】
OPP(厚み20μm) //EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は8質量%であった。またLLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3であった。
【0041】
(実施例2)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し下記構成からなる複合フィルムを得た。
Ny(厚み5μm)/AD(厚み5μm)/Ny(厚み10μm)/EVOH(厚み5μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み35μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムのNy側にOPPをドライラミネ−トして以下の構成の本発明の蓋材用複合フイルムを得た。
OPP(厚み20μm)//Ny(厚み5μm)/AD(厚み5μm)/Ny(厚み10μm)/EVOH(厚み5μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み35μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は5質量%であった。
【0042】
またLLの融点は125℃、LLの密度は0.935g/cm3であった。
【0043】
(実施例3)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み15μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み30μm)/LL(厚み10μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にONyをドライラミネ−トして
以下の構成の本発明の蓋材用の複合フイルムを得た。
ONy(厚み25μm)//EVOH(厚み15μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み30μm)/LL(厚み10μm)
なお、LLの融点は121℃、LLの密度は0.921、VLの密度は0.903g/cm3であった。
【0044】
(実施例4)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
Ny(厚み20μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み35μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のNy側にOPETをドライラミネ−トして
以下の構成の本発明の蓋材用の複合フイルムを得た。
OPET(厚み12μm)//Ny(厚み20μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み35μm)/LL(厚み5μm)
なお、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3、VLの密度は0.890g/cm3であった。
【0045】
(比較例1)
OPPと酸化アルミを透明蒸着したPET(以下、VMPETという。)とEVAとをドライラミネートし、以下の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0046】
OPP(厚み20μm)//VMPET(厚み12μm)//EVA(厚み50μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は5質量%であった。
【0047】
(比較例2)
OPPとVMPETとLLとをドライラミネートし、以下の構成の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0048】
OPP(厚み20μm)//VMPET(厚み12μm)//LL(厚み50μm)
なお、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3であった。
【0049】
(比較例3)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み25μm)/LL(厚み20μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0050】
OPP(厚み20 μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み25μm)/LL(厚み20μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は8質量%であった。また、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3であった。
【0051】
(比較例4)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成からなる包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0052】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は8質量%であった。また、LLの融点は117℃、LLの密度は0.921g/cm3であった。
【0053】
(比較例5)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0054】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み20μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は8質量%であった。また、LLの融点は122℃、LLの密度は0.910g/cm3であった。
【0055】
(比較例6)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0056】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は8質量%であった。また、LLの融点は130℃、LLの密度は0.945g/cm3であった。
【0057】
(比較例7)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0058】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は2質量%であった。また、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3であった。
【0059】
(比較例8)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0060】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/EVA(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、EVA中の酢酸ビニルの含有量は27質量%であった。また、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3であった。
【0061】
(比較例9)
以下に示した層構成の複合フィルムを共押出しによって製膜し
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
この複合フイルムの最外側のEVOH側にOPPをドライラミネ−トして
下記の構成の包装体の蓋材用の複合フイルムを得た。
【0062】
OPP(厚み20μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み5μm)/VL(厚み40μm)/LL(厚み5μm)
なお、LLの融点は123℃、LLの密度は0.925g/cm3、VLの密度は0.915g/cm3であった。
【0063】
上記実施例1〜4、比較例1〜9の複合フイルムを蓋材に用い、下記構成からなる複合フイルムを共押出しにより製膜し、
PP(厚み30μm)/AD(厚み10μm)/EVOH(厚み20μm)/Ny(厚み20μm)/AD(厚み10μm)/EVA(厚み50μm)/EP(厚み10μm)
この複合フイルムを底材として使用し深絞り包装機FV6300(大森機械工業社製)にてパック品を作製し、テスト評価を実施した。
なお、イージーピールきっかけ部はシール熱板を部分的にくりぬきシール熱をかけないようにすることにより付与した。
EPとしてはLL70質量部とPP30質量部のブレンド品を使用した。
【0064】
<評価方法>
・耐融着性
ハンバーグのパック品を、95℃で20分間ボイルし、イージーピールのきっかけ部が融着するかどうかを評価した。全く融着しないものを○印とした。融着し開封しずらいものを×印とした。
【0065】
・透明性
パック品のシール部の面シール部のヘーズを測定した。透明性の良いヘーズが7%以下のものを○印とした。7%を越えるものを×印とした。
・シール性
底材シール面にサラダ油を塗リ、適正なイージーピール強度が得られる範囲でシールを実施した。シールが可能であったものを○印とした。シールが不可のものを×印とした。
・耐ボイル性
ハンバーグのパック品を、95℃で20分間ボイルし、耐破袋性を評価した。破袋、あるいはシール部の侵食が全く発生しなかったものを○印とした。破袋、シール部の侵食が発生したものを×印とした。
【0066】
【表1】
Figure 0003825594
表1に示すようにシール層と反対側の最外側にOPPを設けシール層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3であるのLLを1〜15μmの厚さで設け、隣接層に酢酸ビニル含有量3〜15質量%のEVAを設けた実施例1、2はいずれも耐融着性、透明性、シール性、耐ボイル性が極めて良好であった。
またシール層と反対側の最外側にONy、0PETを設け、シール層に実施例1、2と同様に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3であるLLを1〜15μmの厚さで設け、シール層の隣接層に密度0.87〜0.91g/cm3のVLを用いた実施例3、4も耐融着性、透明性、シール性、耐ボイル性が極めて良好であった。
シール層としてLLを用いない比較例1は、耐融着性、透明性、シール性、耐ボイル性のうち、透明性、シール性、耐ボイル性は良好であるが耐融着性が劣り、シール層の隣接層に酢酸ビニル含有量3〜15質量%のEVAまたは密度0.87〜0.91g/cm3のVLを用いない比較例2およびLLの厚みが15μmを越える比較例3は透明性が劣る。
【0067】
また、LLの融点が120℃より低い比較例4およびLLの密度が0.920g/cm3より小さい比較例5は耐融着性が劣る。
【0068】
さらに、LLの密度が0.940g/cm3を越える比較例6はシール性が劣り、EVA中の酢酸ビニル含有量が3質量%より少ない比較例7およびVLの密度が0.91g/cm3を越える比較例9は透明性に劣り、EVA中の酢酸ビニル含有量が15質量%を越える比較例8は耐ボイル性が劣る。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように、シール層である最外層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を1〜15μmの厚さで設け、隣接層に酢酸ビニル含有量3〜15質量%のEVAまたは密度0.87〜0.91g/cm3のVLを配することにより耐融着性、透明性、シール性、耐ボイル性の優れたイージーピール用蓋材フイルムが得られる。

Claims (4)

  1. シール層である最外層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を1〜15μmの厚さで設け、隣接層に酢酸ビニル含有量3〜15質量%のエチレンー酢酸ビニル共重合体層を配することを特徴とするイージーピール用蓋材フイルム。
  2. シール層である最外層に融点120〜140℃、密度が0.920〜0.940g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を1〜15μmの厚さで設け、隣接層に密度0.87〜0.91g/cm3のエチレンーαオレフイン共重合体層を配することを特徴とするイージーピール用蓋材フイルム。
  3. 隣接層の次にエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂および/またはポリアミド樹脂の1層以上を共押出してなる請求項1または2に記載のイージーピール用蓋材フイルム。
  4. シール層と反対側の最外層に延伸ポリアミドフイルム、延伸ポリプロピレンフイルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムのいずれかを配する請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のイージーピール用蓋材フイルム。
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