JP3825557B2 - 有機物処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厨芥等の有機物を微生物の活動により分解処理する有機物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭、飲食店の厨房内に発生する厨芥(生ごみ)等の有機物を処理するための一方法として、微生物による分解を利用する方法がある。この方法による有機物処理装置は、微生物の担体(木質細片、おが屑、活性炭等)を収納する処理槽の上部に投入口を開設し、また内部に攪拌手段を配して構成され、前記投入口を経て処理槽内に投入される有機物を攪拌手段の動作により前記担体中に取り込んだ状態で放置し、該担体中に生息する微生物の活動により分解処理する構成となっている。
【0003】
担体中に取り込まれた有機物は、自然界において日常的に行われている如く、堆肥化した少量の残留物を残し、炭酸ガスを主成分とするガスと水とに分解される。この分解を有効に行わせるためには、適量の水分を含み適温に保たれた担体中に適正量の空気(酸素)を供給し、該担体の内部を微生物の活動に適した環境に保つことが重要である。
【0004】
そこで従来から、処理槽の内部を換気するための給排気手段と、処理槽の内部を加熱する加熱手段とを備え、給排気手段の動作により、処理槽内に外気を供給すると共に、前記分解処理の結果として担体中から放出される水分を含んだガスを処理槽外に排気し、また、前記加熱手段の加熱動作により処理槽の内部を適温に保ち、更に、前記攪拌手段の動作により前記担体を周期的に攪拌して、担体の内部に空気を取り込むと共に、分解により生成された余剰水分を排出する運転制御が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、処理槽内部の担体中での微生物の活性を高めるためには、担体の内部温度、水分量及び空気量を適正に保つと共に、担体の内部を可及的に中性に保つことが重要であり、特に、担体内部が酸性化した場合、微生物の活動が大きく阻害されることが知られている。また担体内部がアルカリ性化した場合には、酸性化した場合と比較して影響は少ないが、PH値が10以上となったとき微生物の活動が同様に阻害されることが知られている。
【0006】
前述した如く行なわれる従来の運転制御においては、担体内部のPH値を適正に保つことが省みられておらず、PH値の不適により本来の処理能力が十分に発揮されないという難点があった。
【0007】
特開平8-318252号公報(B09B 3/00)には、処理槽の内部にPH調整剤を投与する手段を備えた有機物処理装置(生ゴミ処理装置)が開示されているが、この装置においては、PH調整剤を投与するタイミング、使用されるPH調整剤の種類等の具体的な開示がなされておらず、処理槽内部のPH値の不適による処理能力の低下を防止することはできないという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、担体の内部が酸性化又はアルカリ性化することにより微生物の活動が阻害され、本来の処理能力が得られなくなることを未然に防止し、担体の内部温度、水分量及び空気量の適正化と合わせて実施することにより、所望の処理能力を安定して発揮し得る有機物処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係る有機物処理装置は、処理槽の内部に投入された有機物を該処理槽に収納された担体と共に攪拌し、該担体中に生息する微生物の活動により分解処理する有機物処理装置において、前記処理槽からの排気中に含まれる酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスの濃度を検出するガスセンサと、該ガスセンサの検出濃度に基づいて前記担体内部のPH値を求めるPH値算出手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
この発明においては、処理槽からの排気中に含まれる酢酸ガス等の酸性ガスの濃度、及びアンモニアガス等のアルカリ性ガスの濃度の一方又は両方を、夫々に対応するガスセンサにより検出し、この検出濃度を用い、例えば、予め設定された変換マップを参照することにより正確なPH値を算出する。微生物の活動を阻害する虞れがあるPH値が算出されたとき、例えば、処理槽の内部にPH調整剤を供給し、また処理槽の内部に分解促進材を供給し微生物の活性を高めて、担体内部の酸性化又はアルカリ性化に起因する処理能力の低下を防止する。PH調整剤としては、担体の内部が酸性側にあるときには、リン酸水素2カリウム(K2 HPO4 )を用い、担体の内部がアルカリ性側にあるときには、リン酸2水素カリウム(KH2 PO4 )を夫々用いる。分解促進材としては、例えば、バチルス属、シュードモナス属、ミクロコッカス属、及びアルカリゲネス属の微生物と、2種類のカビの混合物を用いることができる。
【0014】
またPH値の算出結果を表示して、この表示を確認した使用者に、PH調整剤又は分解促進材の投入等の適宜の対策を促し、担体内部の酸性化又はアルカリ性化に起因する処理能力の低下を防止する。使用者は、PH値の表示により担体内部の現状の状態を確実に把握することができ、適正なタイミングにて前記対策を行なうことができる。PH値の算出結果の表示は、LEDの点灯、警報の発生等、適宜の手段を採用することができる。
【0017】
また本発明の第2発明に係る有機物処理装置は、第1発明の構成に加えて、前記PH値算出手段によるPH値の算出は、前記担体の攪拌時に行なう構成としてあることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、担体の内部に空気を取り込むべく運転中に所定の周期毎に行なわれる担体の攪拌時に、該担体の内側の雰囲気が処理槽の内部に放出されることから、この攪拌時のタイミングに合わせてPH値を算出し、高精度のPH値を得る。
【0019】
更に本発明の第3発明に係る有機物処理装置は、第1又は第2発明の構成に加えて、前記処理槽の内部への有機物の投入を検出する手段と、該手段による検出時点から所定の時間が経過するまでの間、前記PH値算出手段によるPH値の算出を禁じる手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
この発明においては、処理対象となる有機物の投入直後には、未処理の有機物の存在により担体内部のPH値が大きく変化することから、前記投入の後に所定時間が経過するまでの過渡期にPH値の算出を禁じ、この算出結果に基づいてPH調整剤又は分解促進材の無為な供給がなされることを防止する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る有機物処理装置の正面断面図、図2は、図1のII−II線による側断面図、図3は、同じく III−III 線による側断面図である。
【0022】
図において1は、有機物を分解処理する処理槽である。該処理槽1は、図2に示す如く、下半部を半円形とした側断面形状を有し、上部の略全面に有機物投入のための開口を備える中空容器であり、矩形箱形をなす外装ケース2の内部に支持されている。処理槽1の上部開口には、図2に示す如く、外装ケース2の天板から垂下された投入シュート20が差し込まれ、処理対象となる有機物の投入口が形成されており、この投入口の上部は、外装ケース2の上面に取付けた上蓋21により開閉自在に覆ってある。
【0023】
図4は、図2のIV−IV線による横断面図である。本図に示す如く処理槽1の上部には、適宜の幅に亘って内側に折り返され、矩形に開口する投入口の周囲を縁取る折り返し部10が形成されており、該折り返し部10には、これを内外に貫通する複数の吸気孔11,11…が形成されている。
【0024】
また図1に示す如く、処理槽1の上部一側には、運転制御のための制御基板3を支持する支持板30が取り付けてあり、該制御基板3の上部を覆うカバー板31と、同側の投入シュート20の背面との間に、該投入シュート20の壁面を貫通する多数の排気孔22,22(図2参照)を介して処理槽1の内部に連通する排気風路32が形成されている。この排気風路32は、図3に示す如く、外箱2の後壁面に形成された排気口33に連通させてあり、処理槽1の内部の空気は、前記排気口33の上流側に取り付けた換気ファンFの動作により、排気孔22及び排気風路32を経て後方に導かれ、排気口33を経て外部に排気されるようになしてある。
【0025】
処理槽1の内部は、前記折り返し部10に形成された多数の吸気孔11,11…により外装ケース2の内側に連通しており、換気ファンFの動作により前述した排気が行われた場合、処理槽1の内部には、前記吸気孔11,11…を経て外装ケース2上部の空気が吸込まれる。
【0026】
外装ケース2の内面には、その高さ方向の略中央において、処理槽1の外面全周に一体的に張り出された当て板12が当接せしめてあり、外面からの押圧による変形を防ぐ構成となっており、外装ケース2の内部は、この当て板12により上下に仕切られている。前記当て板12は、制御基板3の支持板30の下部において、外装ケース2との間の他部よりも広い隙間を埋めるべく幅広となっており、この幅広部分には、図4に示す如く、円孔状をなす複数の通気孔13,13…が貫通形成されている。
【0027】
これにより、換気ファンFの動作による処理槽1の内部への吸気は、図1中に矢符により示す如く、外装ケース2の底面から吸い込まれた外気が、前記当て板12に形成された複数の通気孔13,13…を通って外装ケース2の上半部に達し、前記吸気孔11,11…を経て処理槽1の内部に導入される経路を辿って行なわれる。なお、以上の如き吸気及び排気を生ぜしめる換気ファンFは、前記制御基板3上に構成された運転制御部7(図6参照)からの動作指令に応じて、処理槽1の内部に十分な空気を送り込むべく、連続的又は断続的に駆動される。
【0028】
前記当て板12の幅広部分には、上方に向けて円錐形をなす支持脚14が立設してあり、この支持脚14の先端は、前記制御基板3の支持板30にねじ止め固定され、処理槽1の折り返し部10にその一縁を片持ち支持された前記支持板30を下から支える構成となっている。
【0029】
また処理槽1の内側下部には、両側壁間に横架された攪拌軸40に軸長方向に所定の間隔毎に複数の攪拌棒41,41…を放射状に突設してなる攪拌体4が配してあり、処理槽1の一側外部への攪拌軸40の突出端は、図3に示す如く、伝動ベルト及び歯車の組み合わせにより構成された減速機構42を介して、外箱2の同側底部に配された攪拌モータMの出力軸に連結されている。
【0030】
図2に示す如く処理槽1の内部には、おが屑、木質細片等を用いてなる微生物の担体Aが、攪拌軸40の架設位置よりもやや上の所定の深さを有して収納されており、この担体Aは、前記攪拌モータMにより減速機構42を介して回転駆動される攪拌体4の回転により、幅方向及び深さ方向の略全域に亘って攪拌されるようになしてある。
【0031】
図1に示す如く、攪拌モータM及び減速機構42は、前記当て板12の幅広部分の下側において、処理槽1と外装ケース2との間に確保されたスペースを利用して配してある。この配置により攪拌モータM及び減速機構42は、前記換気ファンFの動作により外装ケース2の底面から前述の如く吸い込まれた外気との接触により冷却され、これらが過熱する虞れがなく、攪拌動作を安定して行なわせることが可能となる。
【0032】
このような担体Aの攪拌は、制御基板3上に構成された運転制御部7からの動作指令に応じて、上部の投入口から処理槽1内へ有機物が投入されたとき、この有機物を担体A中に取り込むべく行なわれ、また、その後の運転中においては、有機物の分解により担体A中に生成される水分及びガスを処理槽1の上部空間に排出する一方、処理槽1の内部への吸気を担体A中に取り込み、該担体Aの内部環境を適正に維持すべく所定の周期毎に実施される。
【0033】
このような攪拌により担体Aから処理槽1の上部空間に排出されるガスは、前述した換気ファンFの動作により排気風路32を経て排出される。図3に示す如く排気風路32の中途には、換気ファンFの上流側に、処理槽1からの排気中に含まれる酸性ガスの濃度を検出する酸性ガスセンサ34と、同じくアルカリ性ガスの濃度を検出するアルカリ性ガスセンサ35とが取り付けてあり、これらの出力は、前記運転制御部7に与えられている。
【0034】
酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35は、処理槽1の内部の担体A中において生じる有機物の分解処理の過程で発生し、担体Aの内部環境を悪化させるガスを検出対象とするものであり、酸性ガスセンサ34としては、、酢酸ガスを検出対象とする定電位電解式のガスセンサを、またアルカリ性ガスセンサ35としては、アンモニアガスを検出対象とするガルバニ電池式のガスセンサを夫々用いることができる。
【0035】
また半円形断面をなす処理槽1の底面の一側(前側)には、内部に収納された担体Aの排出口が、図2に示す如く、引出し式のシャッタ15により開閉自在に覆って開設してあり、この排出口を下側から臨む外装ケース2の底部には、前方に向けて傾斜する排出シュート23が一体形成され、該排出シュート23の前部には、担体Aの取り出し口が、外装カバー16により開閉自在に覆って形成されている。この構成により処理槽1内部の担体Aは、シャッタ15及び外装カバー16を取り外すことにより、前記排出シュート23を経て外装ケース2の前側に取り出し得るようになしてある。
【0036】
また、処理槽1の底部外面には、図2に示す如く、内部加熱のためのシート状のヒータHが、前記排出口の形成域を避けて被着されている。このヒータHによる処理槽1の内部加熱は、担体Aの内部温度を微生物の活動に適した温度に保つべく、処理槽1の内部温度の検出結果に基づいて前記運転制御部7から発せられる動作指令に応じて実施される。
【0037】
図2に示す如く、処理槽1の上部に開口する前記投入口の周囲を縁取る態様に形成された折り返し部10の適宜位置には、前記処理槽1の内部にPH調整剤を供給するための一対の調整剤供給装置5,5が取り付けられている。
【0038】
図5は、調整剤供給装置5の構成を模式的に示す縦断面図である。図示の如く調整剤供給装置5は、前記折り返し部10の上面にこれと略平行をなして支持された供給筒50と、該供給筒50の内部に同軸上での回転自在に支持された供給スクリュー51と、供給筒50の一端側上部にこれと軸心を交叉させて着脱自在に取り付けられた調整剤タンク52とを備えてなる。
【0039】
調整剤タンク52は、その内部にPH調整剤が収納された中空の容器であり、その内部を供給管50の内部に連通させて取り付けられ、前記PH調整剤は、重力の作用により供給筒50内に落下するようになしてある。供給筒50内部の供給スクリュー51は、調整剤タンク52の取り付け側の端部において供給モータM1 の出力端に連結されており、該供給モータM1 により回転駆動され、この回転により調整剤タンク52との連通部に前述の如く供給されるPH調整剤を他側に向けて搬送する作用をなす。
【0040】
供給筒50の他側は、前記折り返し部10の該当位置を貫通する連通孔53を介して処理槽1の内部に連通させてあり、供給スクリュー51の回転により前述の如く搬送されたPH調整剤は、前記連通孔53を通過して処理槽1の内部に落下、供給されるようになしてある。
【0041】
調整剤供給装置5,5の一方には、酸性に対して中和作用をなすリン酸水素2カリウム(K2 HPO4 )が収納された調整剤タンク52が、同じく他方には、アルカリ性に対しての中和作用をなすリン酸2水素カリウム(KH2 PO4 )が収納された調整剤タンク52が夫々取り付けてあり、これらのPH調整剤の供給は、前記運転制御部7から発せられる動作指令により夫々の供給モータM1 ,M1 を駆動することにより各別に実行される。
【0042】
以上の如く構成された有機物処理装置は、処理対象となる厨芥等の有機物を、上蓋21の開放により開口する投入シュート20を経て処理槽1の内部に投入して使用される。処理槽1内に投入された有機物は、攪拌モータMの駆動による攪拌体4の正逆回転により担体A中に取り込まれ、該担体A中に生息する微生物の活動により分解処理される。この間、制御基板3上に構成された運転制御部7の動作により、換気ファンFの駆動制御、攪拌モータMの駆動制御、及びヒータHへの通電制御が前述した如くに行われる。
【0043】
この制御動作により、前記担体Aの内部は、適量の空気及び水分の供給と、適正な温度の維持とにより、微生物の活動に適した環境に保たれ、該担体A中に取り込まれた有機物は、堆肥化した少量の残留物を残し、炭酸ガスを主成分とするガスと水とに分解される。
【0044】
更に運転制御部7は、担体Aの内部の酸性化又はアルカリ性化による微生物の生息環境の悪化を防ぐべく、以下の如き制御動作を行なう。図6は、この制御動作を行なわせるための制御系の構成を示すブロック図である。
【0045】
図示の如く制御基板3上に構成された運転制御部7には、排気風路32の中途に取り付けた酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力が夫々与えられており、運転制御部7は、酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35からの入力により、夫々の検出対象となる酸性ガス及びアルカリ性ガスの濃度を認識し得るようになしてある。また運転制御部7の入力側には、前記上蓋21の開閉に応じてオンオフする開閉スイッチ36が接続されており、運転制御部7は、開閉スイッチ36からの入力により前記上蓋21を開放して行なわれる有機物の投入の有無を認識する。
【0046】
一方運転制御部7の出力は、前記調整剤供給装置5,5、より具体的には、これらの供給モータM1 ,M1 に各別の給電回路を介して与えられており、調整剤供給装置5,5は、運転制御部7が出力する動作指令に応じて駆動される前記供給モータM1 ,M1 の回転により、夫々の調整剤タンク52,52内部のPH調整剤を処理槽1の内部に供給する動作をなす。
【0047】
図7は、運転制御部7の動作内容を示すフローチャートである。運転制御部7は、有機物処理装置を電源に接続することにより動作を開始し、この動作中、入力側の接続された開閉スイッチ36のオンオフ状態を監視し、処理対象となる有機物が投入されたか否かを判定する(ステップ1)。投入がなされたと判定された場合、以後、内蔵タイマの計時により所定時間が経過するまで、以降の動作を行なうことなく待機する(ステップ2)。
【0048】
有機物の投入がなされていないと判定された場合、又は前記待機時間が経過した場合、次いで運転制御部7は、担体Aの攪拌中であるか否かを調べ(ステップ3)、攪拌中でない場合にはステップ1に戻り、前述した動作を繰り返す。なおステップ3での判定は、前記攪拌モータMへの動作指令の出力が行なわれているか否かにより行なわれる。
【0049】
一方、ステップ3において攪拌中であると判定された場合、運転制御部7は、入力側に接続された酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力を取り込み(ステップ4)、両ガスセンサ34,35の出力から、処理槽1からの排気中に含まれる夫々の検出対象となる酸性ガス(酢酸ガス)、及びアルカリ性ガス(アンモニアガス)の濃度を認識し、得られた検出濃度を用い、予め記憶させてある変換マップを参照してPH値に変換する(ステップ5)。
【0050】
ステップ4における酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力の取り込みは、ステップ1の判定、及びステップ2の待機により、処理槽1の内部に有機物が投入された後、所定の時間が経過するまでの間には行なわれない。有機物の投入直後は、担体A中に未処理の有機物が多く存在し、この影響により担体A中のPH値が大きく変動する過渡的な状態であり、このような過渡状態下でのガスセンサ34,35の検出結果を採用しないことにより、PH調整のための以下に示す制御動作が無為に行なわれることを防止することができる。ステップ2における待機時間は、前記PH変動が安定するために必要な時間に設定すればよく、例えば、3時間前後に設定することにより良好な結果が得られる。
【0051】
またステップ4における酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力の取り込みは、ステップ3の判定により、担体Aが攪拌中であることを条件として、即ち、運転中に所定の周期毎に行なわれる担体Aの攪拌時のタイミングに合わせて行なわれる。この攪拌は、処理槽1の内部の空気を担体A中に取り込むべく実施されるものであり、この取り込みに伴って、担体Aの内側に発生しているガスが処理槽1の上部空間に放出されて排気風路32に排出される。従って、攪拌タイミングに合わせて取り込まれたガスセンサ34,35の出力は、担体Aの内部の雰囲気に精度良く対応するものとなり、これを用いた前記ステップ5での変換により、担体A内部のPH値を精度良く知ることが可能となる。
【0052】
なおステップ4でのガスセンサ34,35の出力の取り込みは、所定の時間間隔にて複数回行い、これらの出力の平均値を用いてステップ5での変換を行いPH値を求めるようにすることにより、センサ出力のバラつき等の外乱要因が排除され、より正確なPH値の検出が行なえるようになる。
【0053】
運転制御部7は、以上の如くPH値を求めた後、このPH値が予め設定された下限値を下回っているか否かを調べ(ステップ6)、下回っている場合、担体Aの内部が酸性化していると判定し、一方の調整剤供給装置5に動作指令を発してこれを所定時間動作させ、酸性に対して中和作用をなすPH調整剤(リン酸水素2カリウム)を処理槽1の内部に供給し(ステップ7)、所定時間待機(ステップ8)した後にステップ1に戻り、前述した動作を繰り返す。
【0054】
一方、求めたPH値が下限値以上である場合、次いで、このPH値が予め定めた上限値を上回っているか否かを調べ(ステップ9)、上回っている場合、担体Aの内部がアルカリ性化していると判定し、他方の調整剤供給装置5に動作指令を発してこれを所定時間動作させ、アルカリ性に対して中和作用をなすPH調整剤(リン酸2水素カリウム)を処理槽1の内部に供給し(ステップ10)、同様に所定時間待機(ステップ8)した後にステップ1に戻り、前述した動作を繰り返す。
【0055】
また、ステップ9での判定の結果、前記PH値が上限値以下である場合、担体Aの内部が中性に近い良好な環境にあると判定し、ステップ1に戻って前述した動作を繰り返す。
【0056】
以上の如きステップ6〜ステップ10の動作により、担体Aの内部のPH値が前記下限値と上限値との間になるように、処理槽1の内部にPH調整剤が供給されることとなる。前記下限値及び上限値は、担体A内部の微生物の活性を阻害しない範囲において適宜に設定すればよく、例えば、下限値を6に、上限値を8に夫々設定した場合、担体Aの内部は、微生物の活動に適した中性(PH=7)に近い状態に保たれることとなり、酸性化又はアルカリ性化に起因する処理能力の低下を未然に防止することができる。
【0057】
なお、以上の実施の形態においてPH調整剤として用いられているリン酸水素2カリウム、及びリン酸2水素カリウムは、生態系に対する影響が小さい中和剤として広く用いられている薬剤であり、これらの供給が担体Aの内部における微生物の活性に悪影響を与える虞れは小さい。
【0058】
また以上の実施の形態においては、調整剤供給装置5,5を所定時間駆動することにより、一定量のPH調整剤を供給する構成としてあるが、求められたPH値に応じて調整剤供給装置5,5の駆動時間を変え、酸性化又はアルカリ性化の程度によってPH調整剤の供給量を変更するようにしてもよい。
【0059】
図8は、本発明に係る有機物処理装置の他の実施の形態を示す制御系のブロック図であり、この実施の形態においても運転制御部7の入力側には、排気風路32の中途に取り付けた酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力が夫々与えられ、また上蓋21の開閉に応じてオンオフする開閉スイッチ36が接続されている。
【0060】
一方運転制御部7の出力は、処理槽1の内部に分解促進材を供給すべく設けられた促進材供給装置6に与えられている。促進材供給装置6は、担体A中にて前述の如く行なわれる分解を促進するための分解促進材を収納する促進材タンクを前記調整剤タンク53の代わりに備えることを除いて、図5に示す調整剤供給装置5と実質的に同一の構成を有し、処理槽1上部の折り返し部10の上面に同様に取り付けられ、モータにより駆動される供給スクリューの回転により、前記促進材タンク内部の分解促進材を搬送して処理槽1内に供給する動作をなす。
【0061】
前記分解促進材は、バチルス属、シュードモナス属、ミクロコッカス属、アルカリゲネス属等、担体A中に生息する微生物と同等の微生物に、2種類のカビを加えてなる混合物であり、これが処理槽1の内部に供給されることにより、担体A中の微生物の数を増し、処理能力の向上を図ることができる。
【0062】
図9は、図8に示す運転制御部7の動作内容を示すフローチャートであり、このフローチャートにおけるステップ11〜ステップ15の各ステップは、図7におけるステップ1〜ステップ5と同じであり、これらのステップの実行により担体A内部のPH値を精度良く求めることができる。
【0063】
運転制御部7は、以上の如くPH値を求めた後、このPH値が予め設定された下限値と上限値との間にあるか否かを調べ(ステップ16)、この範囲にない場合、担体Aの内部が酸性化又はアルカリ性化した状態にあり、処理能力の低下の虞れがあると判定して、前記促進材供給装置6に動作指令を発してこれを所定時間動作させ、処理槽1の内部に分解促進材を供給し(ステップ17)、所定時間待機(ステップ18)した後にステップ1に戻り、前述した動作を繰り返す。
【0064】
一方、求めたPH値が前記下限値と上限値との間にある場合、担体Aの内部が良好な環境にあると判定し、ステップ1に戻って前述した動作を繰り返す。
【0065】
以上の如きステップ16〜ステップ18の動作により、担体Aの内部のPH値が微生物の活動を阻害する範囲にあり処理能力の低下を招く虞れがある場合、分解促進材が供給されて微生物の活性が促進される結果、有機物の分解能力が増し、分解処理が迅速に行なわれるようになり、処理能力の低下を未然に防止することができる。またこれにより担体Aの内部環境が改善され、微生物の活動に適した中性(PH=7)に近い状態に保たれる。なお、以上の如き分解促進材の供給は、調整剤供給装置5,5によるPH調整剤の供給と併せて行なわせることも可能である。
【0066】
図10は、本発明に係る有機物処理装置の更に他の実施の形態を示す制御系のブロック図である。この実施の形態においても運転制御部7の入力側には、排気風路32の中途に取り付けた酸性ガスセンサ34及びアルカリ性ガスセンサ35の出力が夫々与えられ、また上蓋21の開閉に応じてオンオフする開閉スイッチ36が接続されている。
【0067】
一方運転制御部7の出力は、表示部8に与えられており、運転制御部7は、図7に示すフローチャートにおけるステップ1〜ステップ5、図9に示すフローチャートにおけるステップ11〜ステップ15と同様のステップにより、運転中における担体A内部のPH値を求め、求められたPH値を表示部8に出力し、該表示部8に表示させる動作を行なう。
【0068】
図11は、表示部8の構成例を示す図である。図示の表示部8は、外装ケース2の一側上面に、表示すべきPH値の夫々に対応させて複数のLEDを取り付けた構成となっており、これらのいずれかを運転制御部7からの出力に応じて点灯させ、担体A内部の現状を使用者に報知する構成となっている。図中の 21aは、処理槽1の内部状態の確認のための覗き窓であり、投入口の上部を覆う上蓋21の略中央に開設されている。
【0069】
なお、担体Aの内部が中性(PH=7)であることを示すLEDは配されておらず、このときには、前記LEDの全てが消灯することにより良好な運転状態にあることを使用者に報知する構成となっている。表示部8の構成は、図11に示す構成に限らず、液晶パネル等の表示手段を用い、PH値を数値表示するようにしてもよく、また警報ブザーの鳴動によりPH値の悪化を報知する構成としてもよい。
【0070】
また図11に示す表示部8の近傍には、酸性側にあることを表示する2つのLED(PH5及びPH6)と、アルカリ性側にあることを表示する2つのLEDとに夫々対応するように操作スイッチ81,82が設けてある。これらは、前述の如く構成された調整剤供給装置5,5の操作スイッチであり、表示部8の表示を視認した使用者が対応する側の操作スイッチ81,82を操作することにより、一方の調整剤供給装置5,5が所定時間駆動され、酸性側又はアルカリ性側にて中和作用をなすPH調整剤が処理槽1の内部に供給されるように構成されている。このような構成により、表示部8の表示に従って担体Aの内部環境を容易に適正化することができ、処理能力の低下を未然に防止することができる。
【0071】
なお、表示部8に付設された操作スイッチを一つとし、運転制御部7の入力側に接続して、前記操作スイッチが操作されたとき、運転制御部7の動作により対応する側の調整剤供給装置5,5を動作させる構成としてもよい。一方、表示部8による表示だけを行なわせ、PH調整剤の供給等、環境改善のための対策については使用者にまかせるようにしてもよい。この構成によれば、操作スイッチ及び調整剤供給装置5,5を省略でき、構成を簡素化することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の第1発明に係る有機物処理装置においては、処理槽からの排気中に含まれる酸性ガス及びアルカリ性ガスの一方又は両方の濃度を検出し、この検出濃度に基づいて微生物の担体内部のPH値を正確に算出するから、算出されたPH値に応じて、例えば、処理槽の内部にPH調整剤を供給し、また分解促進材を供給して微生物の活動を強化することにより、担体内部の酸性化又はアルカリ性化に起因する処理能力の低下を未然に防止することができ、長期に亘って安定した運転が可能となる。
【0074】
また算出されたPH値を表示して、担体内部の酸性化又はアルカリ性化により処理能力が低下する虞れがあることを使用者に報知し、PH調整剤又は分解促進材の投入等の適宜の対策を促すことができ、処理能力の低下を防止して長期に亘って安定した運転を行わせることができる。
【0076】
また第2発明に係る有機物処理装置においては、担体の内側のガスが放出される該担体の攪拌時にPH値の算出を行なうから、担体内部の実際の状態に高精度に対応するPH値が得られる。
【0077】
更に第3発明に係る有機物処理装置においては、PH値の算出を処理槽の内部への有機物の投入時から所定の時間が経過するまでの間禁じる構成としたから、未処理の有機物の存在により誤った検出がなされる虞れがなく、例えば、PH調整剤又は分解促進材の無為な供給がなされることを防止することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る有機物処理装置の正面断面図である。
【図2】 図1のII−II線による側断面図である。
【図3】 図1の III−III 線による側断面図である。
【図4】 図2のIV−IV線による横断面図である。
【図5】 調整剤供給装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図6】 本発明に係る有機物処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】 図6に示す制御系の動作内容を示すフローチャートである。
【図8】 本発明に係る有機物処理装置の制御系の他の構成例を示すブロック図である。
【図9】 図8に示す制御系の動作内容を示すフローチャートである。
【図10】 本発明に係る有機物処理装置の制御系の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】 表示部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 処理槽
2 外装ケース
4 攪拌体
5 調整剤供給装置
6 促進材供給装置
7 運転制御部
8 表示部
34 酸性ガスセンサ
35 アルカリ性ガスセンサ
36 開閉スイッチ
A 担体
Claims (3)
- 処理槽の内部に投入された有機物を該処理槽に収納された担体と共に攪拌し、該担体中に生息する微生物の活動により分解処理する有機物処理装置において、前記処理槽からの排気中に含まれる酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスの濃度を検出するガスセンサと、該ガスセンサの検出濃度に基づいて前記担体内部のPH値を求めるPH値算出手段とを具備することを特徴とする有機物処理装置。
- 前記PH値算出手段によるPH値の算出は、前記担体の攪拌時に行なう構成としてある請求項1に記載の有機物処理装置。
- 前記処理槽の内部への有機物の投入を検出する手段と、該手段による検出時点から所定の時間が経過するまでの間、前記PH値算出手段によるPH値の算出を禁じる手段とを備える請求項1又は請求項2に記載の有機物処理装置。
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