JP3825038B2 - 集束用突条を備えた電界放出構造 - Google Patents

集束用突条を備えた電界放出構造 Download PDF

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Description

本発明は、電子放出性デバイスに関する。本発明は、特に、フラットパネル型CRTディスプレイのような製品における使用に適するゲート制御式電界放出デバイスに関する。
ゲート制御式電界放出デバイス(または電界エミッタ)は、十分な強度の電界を受けたとき電子を放出する電子デバイスである。ゲート電極によって電子放出性素子から引き出された電子は、電子放出性素子及びゲート電極から離隔されて設けられたアノードに集められる。面積方向配列型電界エミッタ(area field emitter)は、支持構造上全体にわたって分散するように配置された多数の独立した電子放出性素子からなる電子放出性素子群(多くの場合、非常に大きな素子群)を含む。面積方向配列型電界エミッタは、フラットパネル型テレビのCRTにおいて用いられる。
図面を参照すると、図1には、電界放出バックプレート(またはベースプレート)構造体10及び電子受容フェースプレート構造体12を含む従来のフラットパネル型CRTの一部の概略が示されている。バックプレート構造体10は一般に、電気的に絶縁性のバックプレート14、エミッタ(またはベース)電極16、電気的絶縁性層18、パターニングされたゲート電極20、及び絶縁性層18を通して設けられた開口部分の内部に設置された円錐形の電子放出性素子22からなる。電子放出性素子22の先端部は、それに対応するゲート電極20の開口部を通して露出されている。エミッタ電極16と電子放出性素子22とで、図示されたCRTの一部分におけるカソードを構成する。またフェースプレート構造体12は、電気的に絶縁性のフェースプレート24、アノード26、及び蛍光体28の被覆により形成される。
アノード26は、カソード16/22に対して常に正の電位にあるようにされている。アノードの電位は、構造体10と12との間の間隔が100〜200μmである従来の場合に対して、典型的には300〜700Vである。アノード26は蛍光体28に接触しているので、アノード電圧は蛍光体28に印加される。ゲート電極20に適切なゲート電圧が印加されると、さまざまなオフノーマル放出角θ(垂直方向に対する電子が放出される方向の角度)で電子放出性素子22から電子が放出される。放出された電子は、図1のライン30で示された放物線軌道に沿って進み、蛍光体28の標的部分28Tに衝当する。放出された電子が衝当した蛍光体は選択された色の光を発する。
蛍光体28は、画素(“ピクセル”)の一部である。画素は、蛍光体28が発する光とは異なる色の光を発する他の蛍光体(図示せず)も有する。更に、蛍光体28を含むピクセルは、CRT内において1または2以上の他のピクセルに隣接して配置されている。蛍光体28に向けられた電子の中に、(同一のピクセル、または他のピクセル内に存在する)他の蛍光体に一貫して衝当するものがある場合は、映像の解像度及び色純度が劣化する。
蛍光体の標的部分28Tのサイズは、印加される電圧及びCRTの幾何学的形状/寸法の特徴によって決まる。図1の従来のフラットパネル型ディスプレイにおけるアノード/蛍光体電圧は典型的には300〜700Vであったが、蛍光体の電位を1,500〜10,000Vにすると、電力効率及び蛍光体の寿命の双方が著しく高められる。しかし、図1のCRTにおいてアノード/蛍光体電圧を1,500〜10,000Vに高めるためには、バックプレート構造体10とフェースプレート構造体12の間隔を、従来の100〜200μmより非常に大きくする必要がある。このように蛍光体の電位を1,500〜10,000Vに高めるために必要な両構造体間の間隔の拡大を行うと、蛍光体の標的部分28Tのサイズが、市販されるフラットパネル型CRTディスプレイ用としては大き過ぎるものとなってしまう。
映像の解像度を改善すべく、上述のゲート電極に集束電極(focusng electrode)が設けられてきた。これについては、例えば米国特許第4,178,531号、及び第5,070,282号明細書を参照されたい。しかし残念ながら、上述の集束電極を形成するためには、マイクロメータースケール若しくは準マイクロメータースケールの寸法での複雑な加工プロセスが必要である。従って、高いアノード/蛍光体電圧の下で高解像度かつ高色純度の映像を得ることができる比較的単純な構造のゲート制御式電界放出構造が求められている。
米国特許第4178531号明細書 米国特許第5070282号明細書
本発明に基づき、放出された電子を狭帯域に集束させる集束用突条(focusing ridge)をゲートの両側に備えたゲート制御式電界放出構造が提供される。本発明の電界放出構造を用いたフラットパネル型CRTにおいては、電力効率が高く蛍光体寿命が長くなる1,500〜10,000Vの蛍光体電圧の下で、高解像度で高色純度の映像を得ることができる。この集束用突条の形成には、マイクロメータースケール若しくは準マイクロメータースケールの寸法での複雑な加工プロセスは不要であり、簡単に形成することができる。従って、本発明は従来技術からの実質的な進歩をもたらすものである。
詳述すると、本発明の電界放出構造は、エミッタ電極、上層をなす絶縁性層、及び絶縁性層を通して延在してエミッタ電極に達する1または2以上の開口部分内に設置された、1または2以上の電子放出性素子の組を有する。ゲート電極は絶縁性層の上に設置される。ゲート電極には1または2以上の開口部が設けられ、各電子放出性素子を露出している。
一対の集束用突条が、ゲート電極を挿んで両側の絶縁性層上に設置される。集束用突条はゲート電極から横方向に離隔されているが、各電子放出素子から放出された電子の軌跡に影響を及ぼす程度には、ゲート電極に近づけられて設けられている。集束用突条の高さは通常ゲート電極より高い。集束用突条の電位は、電子の軌跡が高いパーセンテージで狭い帯域に向けて曲げられるように制御される。従って、この電界放出構造がフラットパネル型CRTに備えられていると、解像度及び色純度が高くなる。
本発明の構造は、面積方向配列型電界エミッタにたやすく拡張できる。この場合、ゲート電極の形態は、絶縁性層上で一方向に延びる複数のゲートラインとなる。電子放出性素子は、絶縁性層を貫通する開口部分内に設置され、ゲートライン内の開口部を通して露出される。複数の集束用突条は絶縁層上でゲートラインと平行に延在する。集束用突条は、各ゲートラインが一対の集束用突条の間にそこから横方向に離隔されて配置されるように、ゲートラインと櫛歯状に組み合わされた形で配置される。エミッタ電極の形態は、ゲートライン及び集束用突条と平行でない方向に延在する複数のエミッタラインとなる。
適切な形態で設けられた集束用突条は、大きなオフノーマル放出角で放出された電子の進み方を制御することができる。また、電流を制限する抵抗が存在するために生ずるエネルギーの分散も、集束用突条を用いて、解像度や色純度を著しく損なうことなく、うまく制御することができる。
図面及び好適実施例の説明において、同一の、または概ね共通する構成要素には同一の符号を付して示した。
図2には、本発明に基づく、映像の解像度及び色純度を改善する集束用突条を備えたフラットパネル型CRTの一部が示されている。図2のCRTは、電界放出バックプレート(またはベースプレート)構造体40及び電子受容発光フェースプレート構造体42を有する。構造体40と構造体42の内側表面は互いに対向し、典型的には0.1〜2.5mmの間隔をおいて設けられている。図3は、図2のバックプレート構造体40の一部の平面図である。
一部が図示されたバックプレート構造体40は、電気的に絶縁性のバックプレート44、金属製エミッタ(またはベース)電極46、電気的絶縁性層48、金属製ゲート電極50、非常に多数の電子放出性素子52、及び一対の集束用突条54から形成される。バックプレート44は、典型的にはガラス、セラミック、若しくはシリコン製の平面プレートである。エミッタ電極46は、バックプレートの上側(内部)表面に設けられ、典型的にはモリブデンまたはクロムから形成される。エミッタ電極の形状は、幅Wが典型的には100mmのライン形状である。絶縁性層48は、エミッタ電極46の上、及びバックプレート44のエミッタ電極に横方向に隣接する部分の上に設けられる。層48は、典型的には二酸化シリコン製である。構成要素44〜48の典型的な厚みは、それぞれ1.0mm、0.5μm、及び1.0μmである。
ゲート電極50は絶縁性層48の上に設置される。図3に示すように、ゲート電極50に形状は、エミッタ電極46に対して直行する向きに延びるライン形状である。ゲート電極50の幅Wは、好ましくは30μmである。ゲート電極50の典型的な平均高さ(または厚み)hは、0.02〜0.2μmである。ゲート電極50は典型的にはチタン−モリブデン複合材料からなる。
電子放出性素子52は、絶縁性層48に設けられた開口部分内で延在しており、エミッタ電極46に接触している。電子放出性素子52の先端部(または上側端部)は、対応するゲート電極50の開口部を通して露出される。電子放出性素子52の形状はさまざまなものが可能である。図2においては、電子放出性素子52が針状の素子として示されているが、(例えば)円錐形のものも可能である。電子放出性素子52の形状は、ここでは、良好な電子放出特性を有するものである限り、材料によって特定されない。
電子放出性素子52は、エミッタ電極46の上層をなすゲート電極50の一部または全体に分散するように配置される。図3に示すのは、素子52が、エミッタ電極46の上層をなすゲート電極50の一部50Aを占めている場合である。図3のアクティブなエミッタ領域のゲート部分50Aの幅Wは、電極50の幅Wより狭く、アクティブな領域の長さlは、エミッタ電極46の幅Wと概ね等しい。更に、図3のアクティブ領域の幅W方向の中心は、ゲートの幅W方向の中心と概ね一致している。図3において符号bが示すのは、電極50の縁の一方と、部分50Aの対応する長手方向の縁の間隔である。素子52の面密度は、典型的には1μm当り1素子である。素子52は、エミッタ電極46とともにCRTのカソードの一部を構成する。
電子放出性素子52は、さまざまなプロセスによって形成することが可能であるが、プロセスの一例が、マコーレー(Macaulay)等を発明者とする、“パッキング密度の高い電子放出デバイスの構造及び製造方法(Fabrication and Structure of Electron-Emitting Devices Having High Emitter Packing Density)”なる名称の1994年9月8日出願の、出願番号PCT/US94/09762(本邦での出願番号は、平成7年特許願第508713号)のPCT出願の明細書に開示されており、ここではこの内容を参照されたい。
素子52の形成方法によっては、開口部58が、絶縁性層48が直接バックプレート44の上層をなす部位において、ゲート電極50を貫通して延在する形となることもある。この場合、開口部58はエミッタ電極46の上層をなしていないので、電子放出素子が開口部58を通して露出される形とはならない。従って、このとき開口部58がデバイスの動作に著しい影響を及ぼすことはない。
集束用突条54は絶縁性層48の上に設けられる。図3に示すように、集束用突条54はゲート電極50と同じ側に設けられ、ゲート電極と同一の方向に延びる棒状の要素である。従って、集束用突条54も、エミッタ電極46に対して垂直に延びている。
各集束用突条54の幅Wは概ね25μmである。また、集束用突条54は、各ゲート電極50から等距離となるように離隔されている。ゲート電極と集束用突条との間隔Sは好ましくは25μmである。集束用突条54間の距離Sは全体としてW+2Sとなり、従って好ましくは80μmである。
集束用突条54は、通常絶縁層48からの高さがゲート電極50のそれより著しく高い。好ましくは、集束用突条54の平均高さhは、ゲート電極50の平均高さ平均高さhの少なくとも10倍である。集束用突条の高さの集束用突条間の距離に対する比h/Sは、好ましくは少なくとも0.1であり、少なくとも0.4であるのが特に好ましい。典型的にはhは20〜50μmである。
フェースプレート構造体42の図示した部分は、電気的に絶縁性のフェースプレート60、一対の暗色の非反射性ライン62、パターニングされた蛍光体64の皮膜、及び薄い光反射層66から形成されている。フェースプレート60は、典型的にはガラス製の平坦なプレートである。
暗色ライン62は、フェースプレート60の下側(内側)表面上の、集束用突条54に対向する各部位に設けられる。ライン62は黒色または黒色に近い色で、電子が衝当しても、蛍光体64と比較して実質的に光を反射しない。ライン62の幅Wは、集束用突条54の幅Wと概ね等しい。
蛍光体64は、フェースプレート60の下側表面上の残りの部分に存在する。蛍光体64の標的部分64Tは、ゲート電極50に対向する、暗色ライン62間の部分に配置されている。蛍光体標的部分64Tの幅Wは幅Sと概ね等しい。蛍光体64の部分64Sの位置は、暗色ライン62を挿んで部分64Tの反対側である。
光反射層66は、蛍光体64及び暗色ライン62の下側(または内部)表面上に設けられる。層66の厚みは典型的には50〜100nmであって、電子放出性素子から放出された殆ど全ての電子がエネルギーを損失することなく通過できる程度の十分な薄さである。蛍光体64から発せられた光の一部は、層66で反射されてフェースプレート60を通過してゆく。更に、層66は金属、好ましくはアルミニウムからなり、CRTのアノードとしての役目を果たす。
CRTの設計によっては、各集束用突条54の電圧が一定に保持されることもあれば、異なる電圧に保持されることもある。典型的には、各集束用突条54の電圧はエミッタ電極46の電圧と概ね等しい。即ち、エミッタ電極の電圧に対する光反射層66及び蛍光体64の電圧は1,500〜10,000V、好ましくは4,000〜10,000Vに保持される。電子放出性素子52が活動しているとき、ゲート電圧は、エミッタ電圧と比較して典型的には10〜40V高くなる。
ゲート電極50が、エミッタ電極の電圧に対する適切な正の電位を与えられている場合、オフノーマル放出角θ(垂直方向に対する電子が放出される方向の角度)で電子放出性素子52から電子が放出される。放出された電子は、図においてライン68で示された軌道に沿って蛍光体64(及び暗色ライン62)に向かって進む。この電子が衝当すると、蛍光体64は選択された色の光を発する。
実質的に全ての特定の最大放出角θMAX以下の放出角θで放出された電子が蛍光体の標的部分64Tに衝当するように、集束用突条64は軌道68に対して作用する。θMAXは、典型的には40〜60°である。このことにより、標的部分64Tの幅を、同型の従来のフラットパネル型CRTにおける電子の標的領域の幅より小さくすることができるので、1,500〜10,000Vの蛍光体電圧における解像度及び色純度が上昇する。
集束用突条の高さhをゲートの高さhより高く設定することにより、いくつかの利点がもたらされる。hがhと等しい場合に必要となる大きな負の集束電圧(典型的には数百ボルト)が、著しく低い電圧ですむ。ゲートエミッタ領域50Aの幅Wを増加させることが可能となり、従って電子放出性素子52の面密度を増加させることも可能となる。また、内部支持体(図示せず)が、典型的にはバックプレート構造体とフェースプレート構造体との間に配置されて、CRTにおける内部構造体間の一定の間隔を保持する役目を果たす。hをhより大幅に高くすることにより、集束用突条52がバックプレート40の内部支持体との接触部位となり、内部支持体がゲート電極50等の繊細な薄膜に接触して損傷を与えることが防止される。
本発明のCRTの完全な実施形態においては、バックプレート構造体40は、エミッタ電極ライン46のアレイ、ゲート電極ライン50、及び集束用突条54を含む。図4を参照すると、構造体40のエミッタライン46、ゲートライン50、及び集束用突条54によって構成されたアレイのレイアウトの全体が示されている。ゲートライン50と集束用突条54とは、櫛歯状に組み合わされた形で、かつエミッタライン46に対して垂直に延びるように配置される。ゲートライン50はアレイの一端の壁に達する形で延在し、一方、集束用突条54はアレイの反対側の一端の壁に達する形で延在する。
図4に模式的に示されているように、集束用突条54は電子集束制御回路(focus control circuitry)70に接続されている。電子集束制御回路70は、2つの方法のうちCRTの設計によって決まるいずれか一方を用いて、集束用突条54の電位を制御する。
制御方法の一つは、各集束用突条54を互いに接続することによって同一の電位におく方法である。この場合、回路70は単に1つの集束用突条電圧値を制御すればよい。
制御方法のもう一方は、集束用突条54を、多数の同形の連続したものからなる複数のグループに分割する方法である。この集束用突条54のグループの1つである第1電極(即ち図の最も左側の電極)のそれぞれは、互いに接続されて、その値が可変であり得る電圧を与えられる。集束用突条のグループの第2電極も互いに接続されて、第1電極をは異なる電圧を与えられる。グループの数が3またはそれ以上である場合は、第3電極も互いに接続されて第3の可変電圧を与えられ、以下同様に構成される。更に、回路70は、適当な制御信号に応じて集束用突条電圧値を制御するマルチプレクサとして機能する。この制御方法については、以下図5及び図6を参照しつつ詳述する。
図5に示すのは、バックプレート構造体40のレイアウトが図4に示したようなものである場合の、構造体40及び構造体42の断面図である。図5に示すように、外壁72は、アクティブ映像領域の外部において構造体40と構造体42との間に設けられている。外壁72は構造体40及び構造体42を支持し、両者を互いに離隔された状態におくための補助となる。CRT構造全体には上述の内部支持体(図示せず)を含まれているのが一般的であり、これによりCRTのアクティブ領域全体に亘って構造体40と構造体42の間隔を均一に保てるようにする。CRT内部の圧力は、典型的には10−7トル(torr)未満である。
構造体40及び構造体42は、ピクセルの行及び列からなる
アレイに更に細かく分けられる。典型的なピクセル74の境界は、図4の点線、及びこの点線に対応する図5の境界を示す記号によって示される。各エミッタライン46は、ピクセルの行の1つに対応する行方向に延びる電極である。各ピクセルの列は3つのゲートライン50を有し、それぞれ(a)赤(R)のライン、(b)緑(G)のライン、及び(c)青(B)のラインである。各ピクセル列は、4つの集束用突条54を利用する。この集束用突条54の内2つはピクセル列の内部に位置する。残りの2つのピクセル列の一方または双方は、隣接する列のピクセルと共有される。
図6は、図2のCRTにおけるフェースプレート構造体42のレイアウトの一部について、横幅方向全体に亘ってその特徴を示した図である。構造体42は、暗色ライン62のグループ及び前述のものとは異なる配置パターンを有するストライプ形状の蛍光体のグループを含む。暗色ライン62は、“ブラックマトリクス(black matrix)”を構成する。図6に示す典型的なピクセル74のように、各ピクセルの列は、赤色光を発する蛍光体64のストライプと、緑色光を発する蛍光体64のストライプと、青色光を発する蛍光体64のストライプとを含む。
ピクセルの長さlは通常その幅Wに等しい。図2〜図6の実施例についての考察から、WPは3(W+W)に等しく、更に3(W+S)に等しい。好ましくは、W及びlはともに315〜320μmである。
図4〜図6に示す実施例における集束用突条54により、図2及び図3に関して上述したように、行方向に沿って(即ちピクセル行に沿って)解像度及び色純度が改善される。蛍光体の標的部分64Tの長さlは、各ゲートライン50のアクティブ領域部分50Aの長さlよりはいくらか長い程度であるが、各ピクセルの一辺の長さlと比較すると著しく長いので、列方向の解像度はあまり重要ではない。好ましくは、lは概ね200μmである。従って、lは100μm以上で、かつ、長さlより短いものとなる。また、ピクセル列の各蛍光体ストライプ64に沿って同色が続くので、列方向については色純度は問題にならない。
前述の制御方法のうち第2のもの(即ち、電子集束制御回路70をマルチプレクサとして機能させる方法)が、図4〜図6に示す実施例のCRTにおいて用いられる場合、“赤色”ゲートライン50のすぐ左側に設置された集束用突条54は集束用突条電圧の1つを与えられる。“緑色”ゲートライン54のすぐ左側に配置された集束用突条54は異なる集束用突条電圧を与えられる。最後に、“青色”ゲートライン50のすぐ左側に設置された集束用突条54には第3の収束隆起部電圧が印加される。
電子集束制御回路70は、上述の三色のうち一つの色のゲートライン50を貫通して延びている電界エミッタ52から放出された電子が対応するその色の標的蛍光体64Tに向けられるように、3つの電子集束用突条電圧を制御する。他の二色のゲートラインを貫通して延びている各電界エミッタ52からの電子は、そのゲートライン50間に設けられた集束用突条54に同時に集められる。集束用突条54を上述のように用いて電子集束機能及び電子収集機能の両機能を発揮させることにより、エミッタ52から一回に供給される電子は、蛍光体64を特定の一色で発光させる役目を果たす電子のみとなる。三色全てを得るために、CRTは連続した画像フレーム式に動作する。
集束用突条54を、列方向の解像度を改善するように構成することもできる。図7を参照すると、完全なピクセル74を含むバックプレート構造体40の一部の、前のものとは異なるレイアウトが示されている。この別実施形態においては、集束用突条54は、そのエミッタライン46間の部位において広幅部分54Wを有している。広幅部分54Wの存在によって、電子放出性素子から発せられた電子を、各蛍光体標的部分64Tの垂直方向の中心部により集中させることができる。図7には、電子放出性素子52がゲートライン50の一部50Aに配置されているのが示されている。この部分50Aは、(a)各部分50Aの幅Wはゲートライン50の幅Wよりも狭く、及び/若しくは、(b)各部分50A長さlがエミッタライン46の幅Wより短い、という特徴を有する。
集束用突条54は、電気的に絶縁性の物質から金属に至るさまざまな異なるタイプの材料から形成され得る。また、集束用突条54の形成プロセスにもさまざまなものがある。図8.1〜図8.6に示すのは、集束用突条54の典型的な構造である。
図8.1において、各集束用突条54は金属の棒状部材54Mからなる。図8.2においては、各集束用突条54は金属の棒状部材54M及び抵抗の高い導電性皮膜54RCから形成されている。
図8.3に示すのは、各集束用突条54が誘電体の棒状部材54Dからなる実施例である。図8.4においては、各集束用突条54が、誘電体の棒状部材54D及び抵抗性皮膜54RCから形成されている。図8.5においては、各集束用突条54が、誘電体の棒状部材54D、及び棒状部材の頂部に取着された金属皮膜54MFからなる。図8.6においては、各集束用突条54が誘電体の棒状部材54D及び金属皮膜54MCから形成される。
本発明のCRTの製造に当っては、バックプレート構造体40における構成要素44〜52は、従来の製造方法に従って形成され得る。構成要素44〜52は、前に引用したMacaulay等の発明の技術に基づいた方法で製造することも可能である。
図8.1及び図8.2に示すように、金属の棒状部材を用いて集束用突条54を形成する実施例においては、金属棒状部材の薄い底部はゲートラインと同一の金属から形成され得る。即ち、初めに絶縁性層48上に適当な金属の層を被着し、次に適当なフォトレジストマスクを用いて金属をパターニングすることによって、ゲートライン50及び金属棒状部材の底部を同時に形成することができる。金属棒状部材の残りの部分は、フォトレジストマスクを用いてゲートライン50を被覆した上で、金属棒状部材の底部の上に電気めっきを施すことによって形成することができる。別の方法としては、金属棒状部材の底部の上に、予めパターニングされた適当な金属スクリーンを置くことによって形成することもできる。このとき、金属棒状部材の残りの部分を形成するスクリーンワイヤは、断面が矩形若しくは円形のものであり得る。
バックプレート構造体42における構成要素60〜64は、従来の製造方法に従って形成され得る。構成要素60〜64を形成するための別の方法として挙げられるのは、ファーレン(Farlen)等を発明者とする、“内部支持構造体及び/若しくは隆起したブラックマトリクスを有するフラットパネル装置(Flat Panel Device with Internal Support Structure and/or Raised Black Matrix)”なる名称の1994年2月1日出願の、出願番号PCT/US94/00602(本邦での出願番号は、平成6年特許願第518052号)のPCT出願の明細書に開示されている方法であり、ここではこの明細書を参照されたい。
CRTを大気圧に対して支持し、構造体40と構造体42との間の均一な間隔を維持するために、CRTは上述の内部支持体(図示せず)を備えていることが好ましい。内部支持体は、従来のように、即ち前に引用したファーレン等による発明に基づいて製造することができる。更に、CRTの基本的な構造の形成を完了すべく、外壁72が設けられる。
本発明の特定の実施例について説明してきたが、この実施例についての記述は本発明の内容を例示するためのもので、下記の請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定することを意図したものではない。例えば、ゲートライン50は、集束用突条54に対する適当な交差式接続部を設けることにより、アレイの両端の壁を通して延在する形とすることもできる。また、集束用突条54を形成するための予め形成されたスクリーンワイヤも、断面が矩形または円形以外の形のものでもよい。
光反射層66の代わりに、または光反射層66とともに、フェースプレート60に隣接するアノードを用いることができる。典型的には、このようなアノードは、アノード/蛍光体伝あるが1,500〜4,000Vの場合に用いられる。
フェースプレート構造体42における電子受容発光部位において、蛍光体64以外の素子を用いることも可能である。バックプレート44及びフェースプレート60は、平坦でなく曲がった形状のものでもよい。
各ゲートライン50が、3本の(連続した)蛍光体ストライプ64を備える形にすることも可能である。この場合、電子集束制御回路70の制御の下、集束用突条54を用いて電子の進路を曲げて3つの標的部分64にそれぞれに電子を集中させるようにして、CRTを作動させることができる。
図7に示すレイアウトにおいて実現される強化された列方向の電子集束機能以上の、列方向の電子集束機能が求められる場合は、隣り合う集束用突条54の広幅部分54Wを互いに接続して、行方向に延びる集束用突条を形成することができる。この場合、行方向に延在する集束用突条はエミッタライン46と交差するが、追加的な絶縁性層によってそれから離される。このように、当業者は、請求の範囲において定められた本発明の範囲を逸脱することなく、実施例のさまざまな改変及び別の実施形態の実現をなし得るであろう。
ゲート制御式電界エミッタを用いた従来のフラットパネル型CRTディスプレイの一部の断面図。 本発明に基づく集束用突条を備えたゲート制御式電界エミッタを用いたフラットパネル型CRTディスプレイの一部の断面図(図3の面2−2で切った断面)。 図2のCRTにおけるバックプレート構造体の一部の平面図。 図2のCRTにおけるバックプレート構造体の全体の平面図。 図2のCRTにおけるバックプレート構造体及びフェースプレート構造体の全体の断面図(図4及び図6の面5−5で切った断面)。 図2のCRTにおけるフェースプレート構造体の横幅全体に亘る平面図。 本発明に基づく集束用突条を用いたフラットパネル型CRTのバックプレート構造体の、別の実施形態の一部の平面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。 図2及び図7のCRTで使用可能な集束用突条の構造の断面図。

Claims (20)

  1. フラットパネル型ディスプレイで用いられる構造であって、
    エミッタ電極と、
    前記エミッタ電極の上に設けられた電気的に絶縁性の絶縁性層と、
    前記絶縁性層を貫通し前記エミッタ電極に達するまで延在する形で設けられた少なくとも1つの開口部分内に設置された、少なくとも1つの電子放出性素子からなる電子放出性素子の組であって、各電子放出性素子が前記エミッタ電極に接続している、該電子放出性素子の組と、
    前記絶縁性層の上に設けられたゲート電極であって、少なくとも1つの開口部が前記ゲート電極を貫通する形で設けられて各前記電子放出性素子を露出する、該ゲート電極と、
    前記絶縁性層の上で、前記ゲート電極を挟む位置に設けられた、各前記電子放出素子から放出された電子の軌跡を制御するための一対の第1集束用突条部であって、前記第1集束用突条部が、各前記電子放出性素子から放出された電子の軌跡を制御するのに十分な程度に前記ゲート電極に近づけられて設けられている、該一対の第1集束用突条部とを有することを特徴とし、
    前記第1集束用突条部が、
    (a)上面とそれに接する側面とを有する主部と、
    (b)前記第1集束用突条部の少なくとも前記上面の上に設けられた導電性皮膜とを有することを特徴とする構造。
  2. 前記第1集束用突条部が、前記絶縁性層上で前記ゲート電極より高く延在していることを特徴とする請求項1に記載の構造。
  3. 前記第1集束用突条部の前記絶縁性層からの平均高さが、前記ゲート電極の前記絶縁性層からの平均高さの少なくとも10倍であることを特徴とする請求項1に記載の構造。
  4. 前記絶縁性上に設置され、前記第1集束用突条部と交差し、かつ前記ゲート電極と交差する、各前記電子放出素子から放出された電子の軌跡を制御するための第2集束用突条部を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の構造。
  5. 各前記第2収束用突条部が、
    (a)上面とそれに接する側面とを有する主部と、
    (b)前記第2集束用突条部の少なくとも前記上面の上に設けられた導電性皮膜とを有することを特徴とする請求項4に記載の構造。
  6. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、その集束用突条部の前記上面から前記側面に至るまで延在していることを特徴とする請求項1乃至3及び請求項5の何れかに記載の構造。
  7. 各前記集束用突条部の前記主部が、誘電体材料を含むことを特徴とする請求項1乃至3及び請求項5及び6の何れかに記載の構造。
  8. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、金属を含むことを特徴とする請求項1乃至3及び請求項5乃至の何れかに記載の構造。
  9. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、抵抗率の高い導電性材料を含むことを特徴とする請求項1乃至3及び請求項5乃至の何れかに記載の構造。
  10. フラットパネル型ディスプレイで用いられる構造であって、
    エミッタ電極と、
    前記エミッタ電極の上に設けられた電気的に絶縁性の絶縁性層と、
    複数の、横向きに離隔されて設置された電子放出性素子の組からなるアレイであって、各前記電子放出性素子の組が、前記絶縁性層を貫通し前記エミッタ電極に達するまで延在する形で設けられた少なくとも1つの開口部分内に、前記エミッタ電極に接続するように設置された、少なくとも1つの前記電子放出性素子を含む、該アレイと、
    前記絶縁性層上で第1方向に延在する複数の導電性のゲートラインであって、前記ゲートライン内に、前記電子放出性素子を露出する開口部が貫通する形で設けられる、複数の該ゲートラインと、
    前記絶縁性層上で前記第1方向に延在する、各前記電子放出素子から放出された電子の軌跡を制御するための複数の第1集束用突条部であって、前記第1集束用突条部が、各前記ゲートラインが各一対の前記第1集束用突条部の間に配置されるように、ゲートラインと櫛歯状に組み合わされた形で配置される、該複数の第1集束用突条部とを有することを特徴とし、
    各前記第1集束用突条部が、
    (a)上面とそれに接する側面とを有する主部と、
    (b)前記第1集束用突条部の少なくとも前記上面の上に設けられた導電性皮膜とを有することを特徴とする構造。
  11. 前記第1集束用突条部が、前記絶縁性層上で前記ゲート電極より高く延在していることを特徴とする請求項10に記載の構造。
  12. 前記第1集束用突条部の前記絶縁性層からの平均高さが、前記ゲート電極の前記絶縁性層からの平均高さの少なくとも10倍であることを特徴とする請求項10に記載の構造。
  13. 前記絶縁性層上に設けられ、前記第1方向とは実質的に異なる第2方向に延在し、前記第1集束用突条部と接し、かつ前記ゲートラインと交差する、各前記電子放出素子から放出された電子の軌跡を制御するための複数の第2集束用突条部を有することを特徴とする請求項10に記載の構造。
  14. 各前記第2収束用突条部が、
    (a)上面とそれに接する側面とを有する主部と、
    (b)前記第2集束用突条部の少なくとも前記上面の上に設けられた導電性皮膜とを有することを特徴とする請求項13に記載の構造。
  15. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、その集束用突条部の前記上面から前記側面に至るまで延在していることを特徴とする請求項10乃至12及び請求項14の何れかに記載の構造。
  16. 各前記集束用突条部の前記主部が、誘電体材料を含むことを特徴とする請求項10乃至12及び請求項14及び15の何れかに記載の構造。
  17. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、金属を含むことを特徴とする請求項10乃至12及び請求項14乃至16の何れかに記載の構造。
  18. 各前記集束用突条部の前記皮膜が、抵抗率の高い導電性材料を含むことを特徴とする請求項10乃至12及び請求項14乃至16の何れかに記載の構造。
  19. 前記ゲートライン及び前記集束用突条部の上方に、それらから離隔された形で設けられた導電性部分であって、前記導電性部分が、各前記電子放出性素子の組に対応する、前記電子放出性素子から放出された電子を受容するための電子受容部位からなるアレイを含む、該導電性部分と、
    前記導電性部分を前記ゲートライン及び前記集束用突条部から離隔された状態に維持するための支持部分とを更に有することを特徴とする請求項10乃至18の何れかに記載の構造。
  20. 前記エミッタ電極が、前記第1方向とは実質的に異なる第2方向に延在する複数のエミッタラインを含むことを特徴とする請求項12乃至19の何れかに記載の構造。
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