JP3824992B2 - 意匠性を高めたロッカー - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、転写印刷可能な塗装金属板の特徴を活用し、隣り合うロッカー扉との間で意匠の連続性を高めたロッカーに関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
公共施設のロッカーやコインロッカー等では、多数の利用者が使用できるように複数の収納室を間口方向,垂直方向に配置している。この種のロッカーは、人通りの多い場所に配置されることが多く、金属板等のロッカー構成材料が剥出しのままでは景観が損なわれる。着色塗装金属板の使用によって周囲との調和がある程度測られるが、単一色の塗装金属板では環境への関心や嗜好が高まっている最近のニーズに十分応えていない。
【0003】
ロッカーの意匠性向上や周囲との調和を保つため、所定の印刷模様を付した印刷フィルムをロッカー扉に接着する方法が採用されている。従来法では、ロッカーを組み立てた後で個々のロッカー扉に印刷フィルムを接着するため、作業性が極めて低く、施工コストが高くつく。また、ロッカー扉の前面に印刷フィルムを貼り付けているので、ロッカーを斜め横方から観察すると、印刷フィルムのないロッカー扉の側面が視認される。その結果、全体の印刷フィルムで醸し出される意匠は、ロッカー扉の側面で途切れ、一体感に欠ける意匠になりやすい。更には、ロッカーの据替え時に印刷フィルムが廃棄されるが、環境への悪影響を抑制するために廃棄処理の負担が大きい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、転写印刷模様が付けられた塗装金属板をロッカー扉に使用することにより、個々のロッカー扉で意匠が途切れることなく、印象性の高い意匠を付したロッカーを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の意匠性を高めたロッカーは、その目的を達成するため、間口方向及び/又は垂直方向に複数の収納室が配列されているロッカーにおいて、表面塗膜への昇華性染料の浸透による転写印刷模様が付けられた塗装金属板の折曲げ加工で成形された個々のロッカー扉を備え、前記転写印刷模様が個々のロッカー扉の主面から側面にも回っており、かつ個々のロッカー扉に付した転写印刷模様が全体として一つの意匠を構成していることを特徴とする。
【0006】
【実施の形態】
ロッカー扉の表装材に使用される塗装金属板は、オフセット,シルク,グラビア等で印刷した転写紙を金属板上の塗膜に重ね合わせて加熱圧着することにより昇華性染料をトップ塗膜中に浸透させている。転写紙から塗膜に印刷模様が転写されることにより所定の意匠を発現させた塗装金属板であり、小ロット・多品種生産に適する。本発明者等も、転写印刷可能で加工性,耐磨耗性も良好な塗装金属板を特開平9−239897号公報等で紹介した。
【0007】
本発明者等が開発した塗装金属板の長所を活用し、塗装金属板の折曲げ加工でロッカー扉を成形するとき、従来の印刷フィルムを貼り付ける方式では達成できなかった施工の簡略化が可能となり、個々のロッカー扉で途切れることなく一体感に富む印象の強い意匠が付与される。
公共施設等に配置されるロッカーは、多数の利用者を対象としていることから複数の収納室を間口方向,垂直方向に配列している。以下、間口方向に二つ,垂直方向に四つの収納室を配置したロッカー(図1)を例にとって本発明を具体的に説明する。
【0008】
塗装金属板10は、曲げ加工でロッカー扉の主面部11,側面部12,裏面部13となる展開形状(図2)に切り出されている。ロッカー扉の前面に位置する主面部11の周囲にロッカー扉の側面に当接する側面部12,ロッカー扉の背面に折り返される裏面部13が形成されており、主面部11と側面部12及び側面部12と裏面部13との間に山折れ線14,15が設定される。
【0009】
転写印刷模様20は、装着時の折返しを考慮に入れたマージンで個々の塗装金属板10に転写印刷法で付されている。すなわち、山折れ線14,15に沿って塗装金属板10を折り返したときに転写印刷模様20が互いに連続するように、隣り合うロッカー扉に装着される塗装金属板10の間で転写印刷模様20を一部重複させている。なお、図2以降では、転写印刷模様20と塗装金属板10の形状との関係を明確にするため、単純図形で転写印刷模様20を表示している。
【0010】
周縁部を隣と重複させる転写印刷模様20の付与は、小ロット・多品種生産に適した転写印刷法によって初めて可能となるものであり、印刷フィルムを所定サイズに裁断して貼り付ける従来法では得られない。
転写印刷模様20の付与後、開閉,施錠用の操作部となる位置に開口16が形成される。転写印刷模様20は、塗装金属板10の塗膜を昇華性染料で染着することにより付けられているので、開口16形成時の打抜き加工によって模様崩れを起こさない。この点、印刷フィルムを貼り付けたラミネート鋼板を打抜き加工すると、加工時の歪みにより印刷フィルムの一部に剥離や浮上りが生じやすい。
【0011】
開口16が形成された塗装金属板10を山折れ線14に沿って側面部12,裏面部13を90度曲げ加工し、更に山折れ線15に沿って裏面部13を90度曲げ加工して袋形状のロッカー扉に成形する。作製されたロッカー扉の裏面側に、必要に応じて補強材を取り付ける。次いで、鍵穴,手掛り等のある操作金具17を開口16に固着する(図3)。裏面部13を更に山折れ線18に沿って折り曲げ、エッジ部19を内側に折り込むこともある。
【0012】
塗装金属板10を曲げ加工してロッカー扉を成形しているので、ロッカー扉の側面にも模様の一部22が、或いは更に背面にも模様の一部23が配置される(図4)。側面部模様22はロッカーを斜め前方から観察され(図5)、背面部模様23は、収納室フレームとロッカー扉とのコーナー部に非模様部分が生じることなく、不連続感なく側面部模様22が背面に回り込む印象を与える。
側面部模様22は、ロッカーを斜め前方から観察したとき、隣り合うロッカー扉に装着した塗装金属板10の主面部模様21に連続し、一体感のある意匠を醸し出す。意匠の連続性は、間口方向,垂直方向に関しても保たれる。このような連続性は、ロッカー扉の前面に印刷フィルムを貼り付ける従来法では得られず、昇華転写法により転写印刷模様20を付与した塗装金属板10で始めて可能となる。
【0013】
操作金具17を固着した個所でも、転写印刷模様20は操作金具17で覆われるだけであり、操作金具17の固着後に印刷フィルムを貼り付ける従来法に比較してロッカーの組立て作業が容易になる。しかも、転写印刷模様20を背景として操作金具17が浮き上がっているように観察されるため、操作金具17の視認性も向上する。更には、印刷フィルムの貼付けで生じるような模様の浮上りがなく、長期間にわたり美麗な転写印刷模様が維持される。
模様替えに際しては、ロッカーからロッカー扉を取り外し、新規な転写印刷模様20を付けた塗装金属板10から成形されたロッカー扉を付け替えるだけで済む。そのため、作業も簡略化され、取り外した塗装金属板10も鉄源としてリサイクルできる。
【0014】
【発明の効果】
以上に説明したように、昇華転写法で印刷模様を付与した塗装金属板から作製したロッカー扉は、それぞれ側面や裏面にも転写印刷模様が配置される。そのため、複数のロッカー扉を観察したとき、ロッカー扉の側面で途切れることなく、全体として一体感がある印象の強い意匠をロッカーに付与できる。その結果、環境との調和に優れ、従来のロッカーに比較して識別性が極めて高い製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 間口方向に二つ,垂直方向に四つの収納室を配置したロッカーの斜視図
【図2】 曲げ加工でロッカー扉に成形される塗装金属板の展開図
【図3】 ロッカー扉の正面側斜視図
【図4】 同ロッカー扉の背面側斜視図
【図5】 印刷模様に連続性があることを説明する図
【符号の説明】
10:塗装金属板 11:主面部 12:側面部 13:裏面部 14,15,18:山折れ線 16:開口 17:操作金具 19:エッジ部転写印刷模様20: 21:主面部模様 22:側面部模様 23:背面部模様

Claims (1)

  1. 間口方向及び/又は垂直方向に複数の収納室が配列されているロッカーにおいて、表面塗膜への昇華性染料の浸透による転写印刷模様が付けられた塗装金属板の折曲げ加工で成形された個々のロッカー扉を備え、前記転写印刷模様が個々のロッカー扉の主面から側面にも回っており、かつ個々のロッカー扉に付した転写印刷模様が全体として一つの意匠を構成していることを特徴とする意匠性を高めたロッカー。
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JP2006161292A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Nisshin Steel Co Ltd 意匠性に優れたスイングドア
JP5942383B2 (ja) * 2011-07-29 2016-06-29 豊國工業株式会社 緩衝機能を備えた扉付き収納庫

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