JP3824791B2 - 眼内レンズの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白内障手術等で水晶体の代わりに挿入される折り曲げ可能な眼内レンズに関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年の白内障手術においては、水晶体の代わりとして眼内レンズが多く使用されている。眼内レンズの基材となる材料には、非含水性で硬質のメタクリル酸や、含水性で水を含むと軟質になる2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などが知られている。
【0003】
硬質の眼内レンズは、含水性の折り曲げ可能な軟質の眼内レンズと比べ、眼内挿入時に切開創が大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで従来から、メタクリル酸やアクリル酸などのアクリル系の硬いポリマーが持つカルボキシル基(−COOH)に、アルコール(R-OH)を脱水反応により付加させるエステル化により硬質の基材を軟化させて使用する眼内レンズが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記エステル化は可逆反応であるため、高収率で反応を進めることは困難であり、かつ時間もかかるといった問題があった。
【0006】
また、従来のエステル化に換えて塩素などのハロゲンを利用して、前記カルボキシル基(-COOH)をハロゲン化することで得られる酸ハロゲン化物(-COX)を、アルコール(R-OH)と反応させエステル化処理する方法も考えられているが、基材となるポリマーが持つカルボキシル基をハロゲン化することは、立体障害的に非常に困難であるため、あまり現実的ではない。さらに、アクリル系のモノマーを先にハロゲン化して重合させるという方法も別に考えられるが、酸ハロゲン化物は非常に不安定な物質であるため、加熱することでカルボキシル基へと戻りやすく、これも現実的ではない。
【0007】
また一方で、含水性のレンズは非含水性のレンズを挿入した場合と比べ、後発白内障になるケースが比較的多く見られるという報告もされている。
【0008】
そこで本発明では上記従来技術の問題点を鑑み、眼内レンズの基材の軟化を短時間かつ高収率で行え、また含水性のレンズに起こりやすい後発白内障を抑制する折り曲げ可能な眼内レンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0010】
(1) ヒドロキシル基を持つ含水性モノマーと含水性モノマー又は非含水性モノマーとを架橋剤により重合させ基材を製造する工程と、該基材を切削して眼内レンズの形状に加工する工程と、を持つ折り曲げ可能な眼内レンズの製造方法において、前記基材を切削して眼内レンズの形状に加工する工程の後、前記基材が持つヒドロキシル基の部分を、酸ハロゲン化物によってエステル化するか、無機塩基を用いて金属塩にした後に酸ハロゲン化物によってエステル化し、式Iで示されるエステル化合物とするエステル化処理工程と、を有することを特徴とする。
【化2】
式中、R1はH、若しくはCH3を表し、R2は炭素数2〜20までの直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキレンよりなる群より選択され、R3は炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル、またはフッ素を含むアルキルよりなる群より選択される。
(2) (1)のヒドロキシル基を持つ含水性モノマーと共重合させるモノマーは、フェニル基を含むことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
(1)眼内レンズの基材製作
本発明では、眼内レンズの基材となるポリマーが持つヒドロキシル基の部位を、酸ハロゲン化物でエステル化し基材を軟化させる方法を用いる。よって使用するポリマーの組成分中に、式(II)で示されるヒドロキシル基を持ったビニル系モノマーを挙げることができる。
【化3】
式中、R1はH、若しくはCH3を表し、R2は炭素数2〜20までの直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキレンよりなる群から選択される。
【0023】
また、式(II)で示されるビニル系モノマー以外にも以下のものを使用することができる。なお、表記上「…(メタ)アクリレート」とあるのは「…アクリレート」または「…メタクリレート」を表わす。
【0024】
ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸類などのヒドロキシル基を持つビニル系モノマー(以下、単に含水性モノマーという)を挙げることができる。
【0025】
また基材には上記モノマーと、酸ハロゲン化物と反応せずレンズの硬さを調整させるための非含水性のモノマーとの共重合の組み合せを利用することも可能である。これら非含水性のモノマーは、式(III)に表されるものを使用することができる。
【化4】
式中、R1はH、若しくはCH3を表し、R4は炭素数1〜20までの直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキルよりなる群から選択される。
【0026】
式(III)で示される基材には、例えば以下のものを使用することができる。なお、表記上「…(メタ)アクリレート」とあるのは「…アクリレート」または「…メタクリレート」を表わす。
【0027】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル(メタ)アクリレート類、シリコン含有(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
【0028】
本実施の形態にて製造(合成)される眼内レンズの1基材には、上記に挙げた含水性モノマーと非含水性モノマーとの共重合物が使用され、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとエチルメタクリレートの組み合せ等が挙げられる。当然、含水性モノマーのみを眼内レンズの基材として使用することもできる。また、これらの重合体の安定性を考慮して、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート等に代表される架橋剤を添加することもできる。これらの架橋剤は通常3〜10重量%の範囲で使用され、好ましくは5重量%前後が望ましい。また、10重量%を超えると基材が脆くなる原因となる。基材の重合は、重合開始剤を使用して行う。重合開始剤には例えばアゾイソグチロバレロニトリルなどが挙げられる。
【0029】
次に上記に挙げたモノマー等を用いて眼内レンズ用の基材を合成する。含水性モノマーと非含水性モノマー、架橋剤を所定の割合にて容器に入れ混合する。一般に、これらの共重合物を構成するための含水性モノマーと非含水性モノマーとの配合比はそれぞれの物性に応じて適宜選択されるが、含水性モノマーにHEMAを用いた例では、含水性モノマーと非含水性モノマーとの配合比は7:3程度が好ましくかつ、HEMAの配合比が45重量%を下回るとエステル化を行っても適度な柔らかさが出ず、眼科手術用のセッシでの折り曲げが容易でなくなる。
【0030】
また、重合に使用する容器は、出来上がった基材を次の工程の切削加工にて眼内レンズの形状に切削するため、眼内レンズの外周よりも若干大きめの径を持った円筒形のものを使用する。
【0031】
含水性モノマー、非含水性モノマーと架橋剤の混合が終了したら、次に重合開始剤を入れ常温、常圧下で反応させ重合を開始させる。その後50℃、60℃、70℃の水浴に順次6時間ずつ入れて重合させる。重合は高い温度(例えば70℃、80℃)のみにて行うこともできるが、このように段階的に温度を上昇させるとより安定した重合を行うことができる。このような手順で重合開始から約18時間経った後、重合済の基材を容器から取り出し、脱水のためオーブンに入れ100℃、24時間で乾燥させる。
【0032】
(2)切削加工
次にこのように重合して得られた基材を、眼内レンズの形状に加工する切削加工を行う。ここでは具体的に1ピースレンズの製造方法を述べる。まず、基材を一定の厚さの板状にし、そこから眼内レンズの基(コア)となるものを円盤状に切り抜いていく。つぎに円盤状に切り抜いたコアをジグに取付ける。取付けが終わったらコアの片面を実際の眼内レンズの形状に切削加工していく。片面の加工が終了したらジグからコアを取り外し、反対面を切削加工できるようにもう一度ジグに取付ける。取付けが終わったら反対面を先程と同じように眼内レンズの形状に切削加工していく。両面が仕上がったら研磨し、洗浄を行い、表面、寸法、光学特性、外観等の検査を経て完成となる。
【0033】
(3)エステル化処理
以上のような過程を経て眼内レンズの形状となった基材を、次にエステル化によって軟化させる方法を説明する。本発明では基材のヒドロキシル基をエステル化するのに、式(IV)に示すような酸ハロゲン化物を使用する。式中Xはハロゲンであり、R3は炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル、またはフッ素を含むアルキルよりなる群から選択される。
【化5】
使用する酸ハロゲン化物の量は基材が酸ハロゲン化物に浸るくらいの量でよい。
【0034】
エステル化は常温、常圧下で酸ハロゲン化物に5時間程眼内レンズを浸漬させる。その結果、含水性モノマーが持っているヒドロキシル基がアルコールとしてとして作用し、酸ハロゲン化物と反応してエステル化が行われる。エステル化が行われると含水性モノマー側に酸ハロゲン化物のハロゲンを除いた成分が付加され、式(I)に示すようなエステル化物が得られる。
【化6】
【0035】
上記エステル化処理後、メタノール抽出法にて眼内レンズに付着している酸ハロゲン化物を洗浄した後、真空オーブン内に置き95℃で6時間乾燥した。エステル化処理前の乾燥状態では、硬く柔軟性を持っていないが、処理が行われた眼内レンズは、基材内の立体障害性が向上しポリマーが柔軟化するため、乾燥状態で眼科手術用のセッシにて容易に折り曲げ可能であった。
【0036】
また、本実施の形態にて得られたエステル化物の収率を求めるため、エステル化処理前と処理後の含水率を求め、この含水率の変化により収率を求めた。含水率を測定するために処理前、処理後ともにオートクレーブ滅菌(121℃で30分間、密封して水の中に入れた後、常温、常圧下で取り出しレンズ周りの水分を拭き取って処理する)と同じ処理をして含水状態の基材の重さを測定した。
【0037】
次に基材に含まれた水分をとばすため95℃で真空状態中に一晩放置し、水分が抜けた状態の基材の重さを測定した。これらのデータからエステル化処理前と処理後の含水率を求めた。
【0038】
従来技術における眼内レンズ用基材の軟化は、基材となるポリマーが持つカルボキシル基にアルコールを脱水付加させるエステル化反応を用いていたため、24時間から場合によっては数週間かかっていたのに対し、同様な眼内レンズ用基材の軟化を行うのに本発明では5時間程で済む。また、酸ハロゲン化物を用いることによって、通常可逆反応であるエステル化が酸ハロゲン化物を利用することで一方的に進むので収率も高くなる。
【0039】
また、エステル化処理をする前の切削加工を経た基材を、121℃で10〜15分間含水させると、基材のポリマー間の間隔が広がり、エステル化をするための処理溶液(酸ハロゲン化物)が基材に含浸しやすくなって反応がより進み易くなる。
【0040】
さらに、エステル化に使用する酸ハロゲン化物は、水と激しく反応するため保管時に脱水剤を加えておき、余分な水を省き酸ハロゲン化物の活性を劣化させないようにするとよい。尚使用する脱水剤は、例えばモレキュラーシーブなど水分の吸収剤として使われているものならなんでもよい。
【0041】
さらにまた、化学反応は加熱をすると反応がよく進むため、エステル化処理中におよそ40〜100℃の間で加熱を行うと反応の進みがよい。
【0042】
この他、エステル化を行う前あるいは反応途中から有機塩基であるピリジン、キノリン、ピペリジンや無機塩基である水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の塩基溶媒を加えると、均一触媒反応によりエステル化がより早く進む。
【0043】
また、含水性モノマーが持つヒドロキシル基を、水酸化ナトリウム水溶液等の無機塩基を用いて金属塩にしておき、それから酸ハロゲン化物で処理を行ってもエステル化がより早く進む。この方法は、エステル化処理後に酸性生成物が残りにくく塩が反応生成物として残るので、より安全な方法である。
【0044】
さらに、含水性モノマーとの共重合成分としてフェニル基を含むモノマー、例えば式(V)に示すようなフェノキシエチルメタクリレートや、その他フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられる。これは、フェニル基を含むとレンズの屈折率が高くなるのでその分レンズが薄くてすみ、結果として手術の際に切開創が小さくて済む。
【化7】
【0045】
さらにまた、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの官能基内にフッ素を含むモノマー、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレートなどを含水性モノマーとの共重合成分としたり、酸ハロゲン化物のアルキル側にフッ素を含ませるとよい。これはフッ素を加えることでレンズ表面のベタつきがなくなり、白内障手術の際に眼内レンズが手術用セッシに吸着することなく扱いやすいという効果が得られるからである。
【0046】
この他、例えば4−メタクリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−(2−アクリロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系の紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を共重合成分として眼内レンズ用基材に使用したり、物理的に混合固化させて眼内レンズ用基材に使用することもできる。
【0047】
以下、具体的に実施例を挙げて説明する。
<実施例1>
まず、眼内レンズの基材を選定する。基材として使用するモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを85重量部、また非含水性で製造する眼内レンズの硬さを調整するためにエチルメタクリレートを12.5重量部とする。これらと架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレートを2.5重量部容器に入れ、よく混合させる。
【0048】
次に重合開始剤アゾイソグチロバレロニトリル0.05重量部を容器に入れ、常温、常圧下で混合し、50℃、60℃、70℃の水浴に順次6時間ずつ入れて重合させた後、100℃のオーブンで24時間乾燥させる。乾燥後、重合が完了した基材を容器から取り出して、切削加工により眼内レンズの形状に削り出す。
【0049】
次に眼内レンズの形状に削り出した基材を軟化させるためにエステル化を行う。下準備としてエステル化反応を進めやすくする為に基材をオートクレーブ滅菌と同様の処理にて十分に含水させておく。基材が十分に含水された後、酸ハロゲン化物であるn−ブチリルクロライドに常温、常圧下で5時間浸漬しエステル化処理を行う。
【0050】
エステル化処理後、メタノール抽出法にてn−ブチリルクロライドを洗浄し、真空オーブン内に置き95℃で6時間乾燥した。本レンズは、処理前の乾燥状態では、硬く柔軟性を持っていないが、処理後のレンズは乾燥状態で、眼科手術用のセッシで容易に折り曲げ可能であった。また、含水率はエステル化処理前のレンズが30重量%であるのに対し、処理後は5重量%以下であった。
【0051】
<実施例2>
実施例1と同様にまず基材の重合を行う。フェノキシエチルメタクリレート55重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45重量部、重合開始剤アゾイソグチロバレロニトリル0.05重量部を容器に入れる。前記基材を常温、常圧下で混合し、50℃、60℃、70℃の水浴に順次6時間ずつ入れて重合させた後、100℃のオーブンで24時間乾燥させる。
【0052】
乾燥させた後、重合が完了した基材を容器から取り出して、切削加工により眼内レンズの形状に削り出す。次に眼内レンズの形状に削り出した基材を軟化させるためにエステル化を行う。下準備としてエステル化反応を進めやすくする為に基材をオートクレーブ滅菌と同様の処理にて十分に含水させておく。基材が十分に含水された後、酸ハロゲン化物であるn−ブチリルクロライドに常温、常圧下で5時間浸漬しエステル化処理を行う。
【0053】
エステル化処理後、メタノール抽出法にてn−ブチリルクロライドを洗浄し、真空オーブン内に置き95℃で6時間乾燥した。本レンズは、処理前の乾燥状態では、硬く柔軟性を持っていないが、処理後のレンズは乾燥状態で、眼科手術用のセッシで容易に折り曲げ可能であった。また、含水率はエステル化処理前の基材が15重量%であるのに対し、処理後は5重量%以下であった。
【0054】
上記実施例1、2では、エステル化処理の前に反応を進みやすくする為、基材を含水させたが、含水させなくてもエステル化処理のみでレンズの十分な軟化が見られる。
【0055】
また、比較例1として従来行われていた眼内レンズ基材のエステル化(カルボキシル基とヒドロキシル基との反応)における含水率の変化を記す。使用された基材の組成はエチレングリコールフェニルエチルアクリレートが61重量%、アクリル酸29重量%、エチレングリコールジメタクリレート10重量%として基材の合成を行った後、エステル化処理を行った。エステル化処理方法はn−プロピルアルコールに濃硫酸5%含有させ、そこにエステル化させたいサンプル(上記組成の基材)を入れ95℃に加熱しエステル化を行った。このときのエステル化処理前の含水率は13.3重量%であったのに対し、3日間のエステル化処理後の含水率は5.6%、6日間のエステル化処理後の含水率は4.1%であった。
【0056】
実施例1、2と比較例1との結果より、本発明の製造方法では従来に比べエステル化の速度は格段に早く、得られるエステル化の反応率(収率)も同程度以上の値が得られた。また、基材となるポリマーのヒドロキシル基をエステル化させることにより、含水させること無く軟化が可能となるため、通常の含水性レンズを含水させて使用するのに比べ後発白内障の抑制が得られると考えられる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、操作が簡便かつ高収率で、短時間に眼内レンズ用基材を軟化させることのできる方法を用いて、折り曲げ可能な眼内レンズを提供することができる。
Claims (2)
- ヒドロキシル基を持つ含水性モノマーと含水性モノマー又は非含水性モノマーとを架橋剤により重合させ基材を製造する工程と、該基材を切削して眼内レンズの形状に加工する工程と、を持つ折り曲げ可能な眼内レンズの製造方法において、前記基材を切削して眼内レンズの形状に加工する工程の後、前記基材が持つヒドロキシル基の部分を、酸ハロゲン化物によってエステル化するか、無機塩基を用いて金属塩にした後に酸ハロゲン化物によってエステル化し、式Iで示されるエステル化合物とするエステル化処理工程と、を有することを特徴とする折り曲げ可能な眼内レンズの製造方法。
- 請求項1のヒドロキシル基を持つ含水性モノマーと共重合させるモノマーは、フェニル基を含むことを特徴とする折り曲げ可能な眼内レンズの製造方法。
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