JP3824487B2 - 触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の製造方法に係わり、特にメタノール燃料電池用電極など、炭化水素を分解し、電子およびプロトンを生成する用途に好適な触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、電池内で水素やメタノール等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、火力発電のように燃料の燃焼によるNOxやSOxなどの発生がないため、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。特に、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池に比べ、小型軽量化が可能なため、宇宙船用電源として開発され、最近では自動車などの電源として盛んに研究されている。
【0003】
従来の燃料電池の電極構造は、例えば、カソード用集電体/カソード/プロトン伝導性膜/アノード/アノード集電体の5層サンドイッチ構造と成っている。この燃料電池用の電極つまりアノード及びカソードを作製するに当たり特に重要な点は、一酸化炭素などによる電極の被毒防止と単位触媒当たりの活性と高めることである。従来から前記被毒回避及び高活性化のため、担持触媒金属を選択し、単一又は合金として担体に担持することが試みられ、高性能の燃料電池触媒及び電極が実用化されている。合金等の粒子径についての検討され、数nm程度のものが良いとされている。
【0004】
一方、燃料電池用触媒の製造方法における最も一般的な方法は、塩化白金酸と炭酸ナトリウムとを白金微粒子の原料として用い、これらの原料を用いてカーボン担体表面に白金微粒子を担持させる方法である(例えば特公平4−63732号公報)。具体的には、カーボン担体が分散された水中に塩化白金酸を溶解し、得られた水溶液を煮沸しながらこの水溶液中に炭酸ナトリウム(沈殿剤)を加える。その結果、H2PtCl6+3Na2CO3+H2O→Pt(OH)4+6NaCl+33CO2の反応により、 Pt(OH)4が沈殿しカーボン担体表面に担持される。その後、この水溶液をろ過・洗浄し、カーボン担体を乾燥後、カーボン担体表面のPt(OH)4を水素ガスによって還元して白金微粒子を生成することで、カーボン担体表面に白金微粒子を担持する触媒を製造している。
【0005】
この製造方法を採用した場合、反応生成物のナトリウムイオン(NaCl)がPt(OH)4に吸着され、洗浄を繰り返し行っても、還元後の触媒に多量にナトリウムイオンが不純物として残ってしまう。
【0006】
一方、メタノールなどを原料として用いた燃料電池では、メタノールを分解して得られたプロトンが電極間を移動することで電池反応を可能にしているが、通常使用されるふっ素系樹脂を用いたプロトン伝導性高分子は、金属イオンによって汚染されるとプロトン伝導性が低下してしまう。そのため前述した製造方法で得られた触媒を電極に使用した場合、電極に残存するナトリウムイオンによって、電極に隣接して配置されたプロトン伝導性高分子が汚染され、電池性能を低下させてしまうという問題が生じる。
【0007】
また、ナトリウムなどの金属イオンが白金微粒子中に混入しにくい触媒の製造方法として以下のような方法が知られている。
【0008】
一つは、塩化白金酸などの白金化合物の水溶液中に担体を含浸させ、乾燥した後、水素ガスでの還元を高温化で行う方法である。しかしながら還元温度が高温化すると焼結により白金微粒子が粗大化して触媒活性を低下させる。特に、担体表面に多量の白金微粒子を担持させようとすると焼結がより進んでしまうため活性な触媒を得ることが困難である。
【0009】
他の方法としては、担体が分散した液中に白金化合物の一種であるジニトロジアミン白金とアルコールを加え、加熱還流して作製する方法である。しかし、この方法に使用するジニトロジアミン白金は、塩化白金酸と比較して非常に高価な化合物であること、加えて、アルコール中で還元されるため、担体に担持されずに溶液に金属コロイドとして存在したり、ろ過できなくなるなどの理由で担持収率を高めることが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の製造方法で得られた触媒は、触媒中に金属イオンが混入するために燃料電池の電極用に使用するとプロトン伝導体を汚染し電池性能を劣化させてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、不純物金属イオンの混入のない触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の触媒の製造方法は、溶媒中に触媒担体、白金化合物および一般式(1)で示される沈殿剤を添加し、前記白金化合物および前記沈殿剤によって生成する白金元素を含有する沈殿物を前記触媒担体に付着させる工程と、
【化4】
前記触媒担体に担持された前記沈殿物を還元し、前記担体表面に白金系金属微粒子を担持する工程とを有することを特徴とする触媒の製造方法。
【0013】
また、前記沈殿剤と共に、前記溶媒中に第4周期〜第6周期遷移金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を添加することもできる。
【0014】
本発明の触媒の製造方法は、カーボン粒子からなる触媒担体を水中に分散する工程と、触媒担体が分散した水中に白金化合物を添加し、前記白金化合物を溶解した水溶液を調整する工程と、前記水溶液中に一般式(1)で示す沈殿剤を添加し、白金の水酸化物を前記触媒担体表面に付着させる工程と、
【化5】
前記白金の水酸化物を還元し、前記担体表面に白金微粒子を担持させる工程とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の触媒の製造方法は、カーボン粒子からなる触媒担体を水中に分散する工程と、触媒担体が分散した水中に白金化合物および、第4周期〜第6周期遷移金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を溶解し、水溶液を調整する工程と、前記水溶液中に一般式(1)で示す沈殿剤を添加し、第4周期〜第6周期遷移金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属および白金の水酸化物を前記触媒担体表面に付着させる工程と、
【化6】
前記水酸化物を還元し、前記担体表面に第4周期〜第6周期遷移金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する白金合金微粒子を担持させる工程とを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る触媒は、触媒担体表面に白金系金属微粒子を担持させたものである。
【0017】
前記白金系金属微粒子を構成する白金系金属は、白金の他に、通常メタノールなどを分解し、電子とプロトンを生成する白金合金を指す。白金と合金化される金属元素としては例えばRu、Rh、Ir、OsあるいはPdなどの白金族元素や、第4周期〜第6周期の遷移金属などが挙げられ、具体的にはPt−Ru、Pt−Ru−Ir、Pt−Ru−Ir−Os、Pt−Ir、Pt−Mo、Pt−Fe、Pt−Co、Pt−Ni、Pt−W、Pt−Sn、Pt−CeあるいはPt−Reなどの合金が挙げられるが特にこれらに制限されるものではない。白金合金中の白金とその他の元素の比率は、その組合わせによって異なるが、通常その他の元素比率は、白金中に固溶する範囲内となるように調整される。
【0018】
このような材料で構成される白金系金属微粒子は、通常1〜10nm程度の平均粒径のものが用いられる。
【0019】
触媒担体は、メタノールなどを分解して生成される電子の伝導性を考慮して、通常カーボン粒子などの導電性粒子が使用される。但し、電極材料として使用しない場合、あるいは触媒を導電材料と混合して使用する場合などにおいては特に触媒担体として導電性粒子を使用する必要はなく、前述した白金系金属微粒子を担持できるものであれば特に制限されることなく使用できる。
【0020】
具体的な材料としては、グラファイト、カーボン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料や、 SiO2、Al2O3、WO3、MoO3、RuO2、ZrO2、TiO2などの金属酸化物系の絶縁材料が挙げられる。
【0021】
また触媒担体の平均粒径は、通常10〜1000nm程度のものが使用される。また、触媒担体は比表面積が10〜2500m2/gの範囲のものが通常使用される(BET法での測定による比表面積)。比表面積が10m2/g以下だと白金系金属微粒子の担持量が少なくなり、2500m2/g以上のものは製造が困難である。
【0022】
このような触媒はメタノールなどの炭化水素系材料を分解し、プロトンと電子を生成する。例えばメタノールの場合には、メタノールと水を触媒に接触させると、以下の化学式(2)に示す反応によりプロトン(H+)と電子(e-)を生成する。
【0023】
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (2)
以下、本発明の触媒の製造方法、すなわち、前述した触媒の製造方法を詳細に説明する。
【0024】
本発明の触媒の製造方法は、溶媒中に触媒担体、白金化合物および一般式(1)で示される沈殿剤を添加し、前記白金化合物および前記沈殿剤によって生成される白金元素を含有する沈殿物を前記触媒担体に付着させる工程と(以下第1工程と呼ぶ)、前記触媒担体に担持された前記沈殿物を還元し、前記担体表面に白金を含有する微粒子を担持・生成する工程(以下第2工程と呼ぶ)とを有する。
【化7】
以下に、本発明の触媒の製造方法の一例を工程毎に具体的に説明する。
【0025】
(第1の工程)
まず、触媒担体としてのカーボン粒子をホモジナイザーなどの分散機を用いて水中に懸濁させる。得られた懸濁液を加熱還流可能な装置に移し、懸濁液を加熱還流させながら塩化白金酸(H2PtCl6:白金化合物)を添加して塩化白金酸水溶液を調整した後、さらに加熱還流させながら上記一般式(1)で示される沈殿剤を投入する。塩化白金酸と一般式(1)で示される沈殿剤とは、以下の一般式(3)に示す中和反応を起こす。
【化8】
その結果、沈殿・生成されたPt(OH)4はカーボン粒子表面に担持される。。なお、場合によってはさらにPt(OH)4は脱水反応によりPtO2−nH2O化する場合もある。
【0026】
触媒担体は、前述した触媒担体が使用され、通常製造工程中に変形させることがない限り、その形状も触媒の説明において記載した通りのものを使用すれば良い。
【0027】
白金化合物は、白金微粒子の原材料となるものであり、塩化白金酸(H2PtCl6)の他に、ジニトロジアミノ白金、塩化第二白金、塩化第一白金、ビスアセチルアセトナート白金、ジクロロジアンミン白金、ジクロロテトラミン白金、硫酸第二白金などを用いても同様にして白金の水酸化物などを生成できる。またこれらの白金化合物を溶媒中に溶解することで酸性溶液ができる。なお、溶媒としては通常水が使用される。
【0028】
また白金系金属として、前述の白金とその他の元素とからなる白金合金を製造する場合には、前記その他の元素を含有する化合物を溶媒中に添加する。その他の元素の化合物の具体例としては、塩化ルテニウム、塩化イリジウム、塩化オスニウム、塩化ロジウム、塩化第二鉄、塩化コバルト、塩化クロム、塩化金、硝酸銀、硝酸ロジウム、塩化パラジウム、硝酸ニッケル、硫酸鉄、塩化銅などを挙げることができる。
【0029】
一般式(1)で示される沈殿剤は、白金化合物あるいは白金族元素を含有する化合物(以下、両者を原料化合物と呼ぶ)中の白金成分を沈殿させ、触媒担体表面に付着させるためのものである。具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム及びこれのオリゴマー、コリンなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを挙げることができる。また、沈殿剤中の炭化水素基(R1〜R4)は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基、、フェニル基、ベンジル基、アリル、などがも使用することができるし、またR1〜R4は全て同じ炭化水素基であっても、異なる炭化水素基であっても構わない。
【0030】
前述した第1の工程の例示では分散機を用いてカーボン粒子を水中に懸濁させたが、これは疎水性であるカーボン粒子を水中に均一分散させるためである。このように、溶媒に対して触媒担体の分散性が悪い時には、分散機などによって予め均一分散させることが好ましいが、溶媒に対する触媒担体の分散性が良好であれば前述したような分散機の使用は不要である。
【0031】
また、沈殿剤と原料化合物を反応させる際に加熱還流させたのは、加熱によって反応速度を向上させるためである。また、還流させたのは、反応に時間がかかるために、溶媒成分の気散を防ぐためである。
第1の工程は、例示したように、溶媒中へ触媒担体、原料化合物、沈殿剤の順で添加することが好ましい。触媒担体を始めに添加する理由は、前述の通り触媒担体を溶媒に均一分散させるためである。また、原料化合物などを沈殿剤よりも先に投入することで、沈殿生成される白金の水酸化物(場合によっては酸化物)、あるいは第4周期〜第6周期遷移金属の水酸化物(場合によっては酸化物、以下、両水酸化物あるいは両酸化物を白金系金属微粒子前駆体と呼ぶ)が溶液中で均一に沈殿し、各触媒担体に均一で、微細粒径の白金系金属微粒子前駆体が触媒担体に担持されるためである。
【0032】
沈殿剤の添加量は、添加した原料化合物から白金系金属微粒子前駆体を生成するのに必要な化学量論量に対して1〜1.5倍程度を添加することで、白金属元素含有原料に対する白金系金属微粒子前駆体の収集効率を高めることができる。なお、過剰に添加された沈殿剤は錯体を形成するので反応後、弱酸などで中和すればよい。
【0033】
原料化合物の量は、生成される白金系金属微粒子前駆体の中の金属原子量が触媒担体100重量部に対して10〜400重量部の範囲内になるような量に調整することが好ましい。この範囲よりも少ないと最終的に得られる白金系金属微粒子の量が少なくなり触媒としての機能が十分に発揮できなくなり、この範囲よりも多くすることは技術的に困難であり、原料化合物量に対する白金系金属微粒子の収集効率が低下する恐れがある。具体的には、触媒担体100重量部に対してに対して原料化合物の量を15〜300重量部の範囲内とすればよい。
【0034】
また、原料化合物と沈殿剤との反応時間は、選択される材料によって異なるが、通常1分程度以上行えば十分である。
【0035】
また、第1の工程において、さらに溶媒中に凝集剤を加え、白金の水酸化物(あるいは酸化物)が触媒担体へ担持するのを促進させることも可能である。凝集剤としては例えば過酸化水素などが挙げられる。
【0036】
(第2の工程)
前述したようにして得られた触媒担体表面に担持された白金系金属微粒子前駆体を還元することで白金系金属微粒子が生成する。その方法は、例えば、白金系金属微粒子前駆体を乾燥させ、表面の溶媒成分を除去した後に白金系金属微粒子前駆体を還元する方法と、溶媒中に存在する状態で白金系金属微粒子前駆体を還元する方法とが挙げられる。
【0037】
まず、溶媒を除去した後に白金系金属微粒子前駆体を還元する方法について説明する。
【0038】
まず、溶媒中に分散した白金系金属微粒子前駆体を担持した触媒担体を濾過することによって触媒担体と塩化テトラアルキルアンモニウム水溶液などの液体成分とを分離する。必要に応じ、さらに濾過された触媒担体を純水などで洗浄する。すなわち濾過された触媒担体を純水中に投入し、再度濾過することで、より確実に塩化テトラアルキルアンモニウムなどの不純物成分を除去することができる。このような洗浄をさらに複数回繰り返すことが好ましい。
【0039】
また、前述のそれぞれの濾過作業は、溶媒あるいは純水を加熱した後に行うことで濾過時間を短縮することが可能になる。
【0040】
濾過(必要に応じ更に洗浄)を行った後、触媒担体を乾燥させる。この乾燥は通常40℃〜120℃程度で行うが、この温度は特に限定されるものではない。
【0041】
このようにして乾燥した白金系金属微粒子前駆体を担持した触媒担体を雰囲気炉に入れ、水素などの還元ガスを流しながら加熱する。
【0042】
この時の還元温度は、100℃〜900℃の範囲が良く、特に150℃〜500℃が良い。100℃よりも還元温度が低いと、電極に使用した際に白金系金属微粒子の粒子径の増大が起こる傾向がある。この理由は明らかではないが、還元温度が低いと白金系金属微粒子の結晶化が十分に為されないために化学的に不安定になり、電極として使用している間に隣接する白金系金属微粒子同士が凝集するためと推測される。さらに白金系金属微粒子として白金合金を生成する場合には、合金成分が固溶せず合金化しない恐れがある。また、900℃以上になると白金系金属微粒子同士が焼結し、粒子径の増大が起こる。このようにして白金系金属微粒子の粒子径が増大する結果、触媒活性が低下してしまう。
【0043】
このように白金の水酸化物(あるいは酸化物)を還元することで、白金系金属微粒子を触媒担体表面に担持させた触媒を製造することが可能であるが、この触媒を雰囲気炉から取り出すときには次の点を注意する必要がある。
【0044】
還元ガスとして水素を含有するガスを使用した場合、還元後、白金系触媒微粒子表面には多量の水素が吸着している。水素が吸着した状態で触媒を高温状態で空気中に取り出すと、担体として炭素材料を使用している場合は触媒担体が発火し燃焼してしまう。これは、安定上大きな問題である。そこで、まず、還元後、雰囲気炉の温度を室温以下に冷却すると共に、触媒表面の水素を取るため不活性ガス中に酸化剤ガスを低濃度混入した混合ガスを雰囲気炉内に導入し、吸着水素を反応させ取り除く。この際に使用する酸化性ガスとして、酸素、エチレン、窒化酸素、アセチレン、シクロヘキサン、などが挙げられるがこれらに限定するわけではない。担体が金属酸化物の場合は、冷却するだけで、上記の酸化剤ガスを流して水素を取り除く操作は行わなくとも良いが、還元した触媒量が多い場合は、上記の同様の操作を行うほうが良い。
【0045】
また、簡易的な方法として、炉が約40℃程度にまで冷却できたとき、空気中で炉をあけ、ドライアイスで素早く触媒を急冷却し、ドライアイスと共に炉外に取り出し、そのまま空気中で放置する方法もある。このとき触媒は、非常に低温であるため、触媒表面の吸着水素が徐々に反応するため、発火しない。
【0046】
次に、溶媒中に存在する状態で白金の水酸化物(あるいは酸化物)を還元する方法について説明する。
【0047】
この方法においては、前述したようにして得られた白金の水酸化物などを担持する触媒担体を分散保持する溶媒中に、直接還元剤を添加することによって、この白金の水酸化物などを還元し白金系金属微粒子を生成する。
【0048】
このとき使用する還元剤としては、例えば、ヒドラジン、ヒドキシルアミン、蟻酸、アルコール類、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、水素、一酸化炭素などが挙げられるがこれらに限定されるわけでない。反応温度は、加える還元剤にも依存するが、水の還流温度以下であればよい。次に、還元後、反応溶液をろ過し、イオン交換水で洗浄して加熱乾燥又は減圧乾燥で乾燥し、触媒を得ることが可能である。
【0049】
このようにして得られる触媒は、製造過程において水酸化ナトリウムなどを使用していないために、触媒への金属元素不純物の吸着を無くすことが可能なため、例えばメタノールなどを燃料とした燃料電池などのように、触媒とプロトン伝導体とを隣接させて用いても、プロトン伝導体への金属不純物による汚染を回避することが可能になる。
【0050】
次に、この触媒の応用用途として、前述したメタノールを燃料とした燃料電池について説明する。
【0051】
図1はメタノール燃料電池の断面図を概略的に示した図面である。
【0052】
燃料電池は、電解質膜1は、燃料極(アノード)2と酸化剤極(カソード)3とにより挟持されており、この電解質膜1、燃料極2および酸化剤極3によって起電部4が形成されている。また、燃料極2には気化部7を介して燃料浸透部6が接続されており、メタノールなどの炭化水素系燃料を含んだ燃料が燃料タンク(図示せず)から、燃料浸透部6、気化部7を通じて燃料極2へ供給される。さらに起電部4、気化部7、燃料浸透部6は2枚のセパレータ5によって挟持されている。酸化剤極3に隣接するセパレータ5にはガス供給溝8が設けられており、燃料電池外部の空気(酸素)をガス供給溝8を通して酸化剤極3に供給している。
【0053】
また、このような燃料電池を複数積層して使用することも可能である。
【0054】
燃料極2および酸化剤極3は、それぞれ集電体表面に、所定の触媒、導電剤およびプロトン伝導剤が均一に付着されており、全体として多孔質形状をしている。燃料極2および酸化剤極3の製造方法については後に説明する。
【0055】
電解質膜1はプロトン伝導性の材料で形成されており、例えばスルホン酸を有するフッ素系高分子や、タングステン酸、リンタングステン酸などの無機物が使用できる。
【0056】
燃料浸透部6は、微細孔を有する多孔質体で形成されており、燃料タンク内の液体燃料と接触することで、毛管現象によって気化部7との界面まで液体燃料を搬送する。
【0057】
気化部7は、空隙あるいは燃料浸透部6よりも細孔径の大きな多孔質体で形成される。そして、起電部4における発熱などにより、燃料浸透部6と気化部との界面に存在する液体燃料が気化し、気体の状態で燃料は燃料極2に供給される。
【0058】
例えばメタノールと水とを燃料として用いた場合燃料極(触媒表面)においては、以下に示す化学式(4)の反応を示す。
【0059】
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- (4)
触媒表面で生成された電子は、導電剤あるいは触媒担体を介して集電体へ移動する。また触媒表面で生成されたプロトンはプロトン伝導剤を介して電解質膜へ移動する。
【0060】
一方、酸化剤極(触媒表面)においては、以下に示す化学式(5)の反応を示す。
【0061】
3/2O2+6H++6e― → 3H2O (5)
すなわち、集電体から供給される電子と、燃料極で生成されたプロトンと、ガス供給口から供給される酸素とから水を生成する。
【0062】
このような反応により、燃料極2と酸化剤極3とを抵抗を介して接続することで抵抗中に電流が流れる。
【0063】
次に、電極(燃料極あるいは酸化剤極)の製造方法について説明する。
【0064】
前述したように電極は、触媒、導電剤およびプロトン伝導剤が均一に分散した電極組成物を集電体表面に付着させた構造であり、全体として多孔質形状をしている。通常集電体表面に、この電極組成物を塗布することで作製する。
【0065】
プロトン伝導剤は、プロトンを伝達できる物なら何でも良く、例えば前述した電解質膜と同様な材質のものが使用できる。プロトン伝導剤は、触媒100重量部に対して、1〜1000重量部であり、特に10重量部から200重量部がよい。1重量部以下だと、プロトン伝導性物質が足りず、電池特性が低下し、1000重量部以上では、抵抗が高くなり、電池特性が低下する。
【0066】
触媒担体が金属酸化物であるとき、電気導電性を得るために、導電剤を加えることが好ましいが、触媒担体が導電材料の場合には別途導電剤を添加する必要はない。この導電剤は、耐酸性の金属及びカーボンからなるかそれをコートした物質からなり、例えば、カーボン粒子、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ及び貴金属金属微粒子、貴金属金属を表面メッキした金属及び樹脂、カーボンコートした金属などを挙げることができる。この導電剤と触媒との比は、触媒100重量部に対して、10重量部〜1000重量部の範囲がよい。特に、50〜500重量部が良い。10重量部以下では、導電性が確保できず、1000重量部以上だと触媒性能が低下し、電池性能が悪くなる。
【0067】
これらの電極組成物を持つ電極を作製する方法として湿式法と乾式法があり、以下にその方法ついて述べる。
【0068】
まず、湿式法から述べると、上記の組成物を含有するスラリーを作製する必要がある。その作製方法として、第一の方法は、まず触媒に水を加え良く攪拌した後、プロトン伝導性の溶液を加え、有機溶媒を加え良く攪拌した後、導電剤を加え、分散してスラリーを作製する方法である。他方、触媒を水に入れプロトン伝導剤性物質の溶液を加え分散液を作製し、別に疎水性である導電性物質を有機溶媒中にプロトン伝導性物質の溶液とで分散溶液を作製した後、この二つの分散液を混合し、再分散してスラリーを作製方法が考えられるが限定されるわけではない。また、使用する有機溶媒は、単一溶媒又は、2種以上の溶剤混合物から成る。前述の分散に際しては、一般的なに使用されている分散機(ボールミル、サウンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ナノマイザーなど)を用いて、分散液であるスラリー組成物を作製すればよい。
【0069】
作製した分散液(スラリー組成物)を撥水処理した集電体(例えばカーボンペーパーやカーボンクロス)上に種種の方法を用いて塗布したのち乾燥して上記電極組成物を持つ電極が作製できる。このときのスラリー組成物中の溶媒量は、固形分が5〜60%に成るように調整する。5%以下だと塗膜が剥がれやすく、60%以上だと塗布しにくくなる。上記のカーボンペパーやカーボンクロスの撥水処理は、スラリー組成物が等できる範囲なら良い。
【0070】
次に電極作製の乾式法について述べる。
【0071】
まず、触媒、導電剤、バインダ樹脂及び造孔剤からなる組成物について説明する。
【0072】
触媒、導電剤については前述したような材料を使用する。造孔剤としては、酸やアルカリ、水に溶ける物質なら特に限定されることなく使用できる。具体例としては炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、フッ化リチウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、リンタングテン酸又とその塩、リンモリブテン酸とその塩、塩化アンモニウムなどが挙げられる。
【0073】
組成物中に占める造孔剤の組成比は、1wt%〜50wt%、さらには5〜30wt%の範囲内にすることが望ましい。1wt%以下なら、造孔効果が現れず、プロトン伝導剤が含浸できなくなる。50wt%以上の場合は、電極作製に造孔過程の際に、電極が脆くなりうまく作製できなくなるため。
【0074】
また、バインダー樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、フッ素樹脂、ポリケトン、ポリエーテル、ポリサルフォンなどの熱可塑性樹脂なら何でもよい。バインダー樹脂の量は、触媒と導電性物質の合計100重量部に対して、10〜200重量部の範囲でよい。10重量部以下では、シート状に形成するのが困難となり、200以上だとバインダー樹脂が抵抗となり電池特性を低下させることになる。
上記に述べた触媒にバインダー樹脂と造孔剤を加え、ロール等で混練して、均一に分散して、均一に分散した組成物を得る。この混練の際に熱を加えても良い。
【0075】
次に前述の組成物を用いた電極作製の乾式法について述べる。
上記の組成物を網上又は多孔上の集電体上に貼り付け、シート状とする。また、ロール等でシート化したのち集電体に貼り付けてもよい。
【0076】
前述の造孔剤を含んだ触媒組成物を酸又はアルカリ性水溶液中に浸し、造孔剤を溶解させた後、よくイオン交換水で洗浄した後、プロトン伝導性物質を溶解させた溶液中に浸して、プロトン電動物質を触媒層に含浸させ溶剤を揮発乾燥させ、電極を作製することができる。
【0077】
【実施例】
触媒の作製
実施例1(カソード触媒1の合成)
触媒担体であるカーボン粒子(デグサ・ヒュルス社製 製品名Printex25 平均粒径150nm 比表面積50m2/g)を準備した。この触媒担体10gを、溶媒としての水1000mlと共にホモジナイザーに投入し、攪拌混合することで懸濁液を調整した。
【0078】
得られた懸濁液をメカニカルスターラー、還流冷却管、滴下漏斗が取り付けられた3つ口フラスコに移し、メカニカルスタラーで攪拌しながら1時間還流した後、白金化合物である塩化白金酸の水溶液(Pt 42mg/ml)を120ml添加し、20分間還流と攪拌を続け、白金化合物を溶媒中に均一に溶解した。
【0079】
沈殿剤としてのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド57.5gを40mlの水に溶かした水溶液を準備し、先に得られた水溶液(触媒担体が分散された白金化合物水溶液)に、この沈殿剤を徐々に滴下した(添加速度は一定で30分かけて滴下した)。
【0080】
沈殿剤を滴下し終わってから、さらに2時間還流を続け、白金化合物と沈殿剤とを十分に反応させ、白金の水酸化物などを沈殿させると共にこの沈殿物を触媒担体に担持させた。
【0081】
この触媒担体が分散した水溶液をろ過し、ろ過された触媒を純水で洗浄した後、さらに白金の水酸化物などが担持された触媒を純水を入れたフラスコに移し、これを2時間還流させた後に、もう一度ろ過した。
【0082】
このようにして洗浄を繰り返した後に、白金の水酸化物が担持された触媒担体を乾燥機にかけ100℃で乾燥した。
【0083】
乾燥後の触媒担体を高純度ジルコニアボートに移して円筒炉に収納し、この円筒炉内に3%H2/N2の還元ガスを流量129ml/minで流しながら200℃で10時間加熱して触媒担体表面に担持された白金の水酸化物を還元して白金化し、触媒担体表面に白金微粒子を担持させた触媒を合成した。
【0084】
炉内温度が室温になるまで冷却したところで、ドライアイスで冷却するとともに、CO2により不燃化させながら、円筒炉からサンプルビンに得られた触媒を移した。
【0085】
得られた触媒の量は2.31gであり、この触媒をTEM写真で表面状態を観察したところ数nmの触媒が均一に非常に多く担持されていることが確認できた。
【0086】
また、得られた触媒中に混入するナトリウムの含有量をICPで分析した結果2ppmであった。
【0087】
実施例2(カソード触媒2の合成)
触媒担体であるSiO2粉末(エアロジル社製 製品名M200 平均粒径20nm 比表面積200m2/g)を準備した。この触媒担体10gを、溶媒としての水1000mlと共にホモジナイザーに投入し、攪拌混合することで懸濁液を調整した。
【0088】
得られた懸濁液を、メカニカルスターラー、還流冷却管、滴下漏斗を取り付けた3つ口フラスコに入れ、メカニカルスターラーで攪拌しながら1時間還流した後、原料化合物である塩化白金酸の水溶液(Pt42mg/ml)を120ml添加し、20分間攪拌と還流を続け、白金化合物を溶媒中に均一に溶解した。
【0089】
沈殿剤としての25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(タマ化学社製)54.7gを水40mlに溶かした水溶液を準備し、この沈殿剤を徐々に低下した(滴下速度は一定で60分かけて滴下した)。
【0090】
沈殿剤の滴下が終了してから、さらに2時間還流を続け、沈殿剤を滴下し終わってから、さらに2時間還流を続け、白金化合物と沈殿剤とを十分に反応させ、白金の水酸化物を沈殿させると共にこの沈殿物を触媒担体に担持させた。
【0091】
この触媒担体が分散した水溶液をろ過し、ろ過された触媒を純水で洗浄した後、さらに白金の水酸化物が担持された触媒を純水を入れたフラスコに移し、これを2時間還流させた後に、もう一度ろ過した。
【0092】
このようにして洗浄を繰り返した後に、白金の水酸化物が担持された触媒担体を乾燥機にかけ100℃で乾燥した。
【0093】
乾燥後の触媒担体を高純度ジルコニアボートに移して円筒炉に収納し、この円筒炉内に3%H2/N2の還元ガスを流量109ml/minで流しながら200℃で10時間加熱して触媒担体表面に担持された白金の水酸化物を還元して触媒を作製した。
【0094】
得られた触媒の量は14.1gであり、また得られた触媒中に混入するナトリウムの含有量を実施例1と同様に測定したことを3ppmであった。
【0095】
比較例1(カソード触媒3の合成)
実施例1のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代えて、炭酸水素ナトリウム10.5gを水300mlに溶かして用いた以外実施例1と同様にの方法で触媒を合成した。
【0096】
得られた触媒中に混入するナトリウムの含有量を実施例1と同様にして測定した結果5000ppmであった。
【0097】
実施例3(アノード触媒1の合成)
塩化白金酸の水溶液量を80mlとし、さらに塩化白金酸水溶液と同時に塩化ルテニウムの水溶液(Ru:43mg/ml)を40ml添加したことを除き、実施例1と同様な処理を施し、触媒担体表面に白金/ルテニウム合金微粒子を担持させた触媒を合成した。
【0098】
さらに、得られた触媒中に含有されるナトリウム量を実施例1と同様にして測定した結果、1ppmであった。
【0099】
実施例4(アノード触媒2の合成)
塩化白金酸の水溶液量を80mlとし、さらに塩化白金酸水溶液と同時に塩化ルテニウムの水溶液(Ru:43mg/ml)を40ml添加したことを除き、実施例2と同様な処理を施し、触媒担体表面に白金/ルテニウム合金微粒子を担持させた触媒を合成した。
【0100】
さらに、得られた触媒中に含有されるナトリウム量を実施例1と同様にして測定した結果、3ppmであった。
【0101】
比較例2(アノード触媒3の合成)
塩化白金酸の水溶液量を80mlとし、さらに塩化白金酸水溶液と同時に塩化ルテニウムの水溶液(Ru:43mg/ml)を40ml添加したことを除き、比較例1と同様な処理を施し、触媒担体表面に白金/ルテニウム合金微粒子を担持させた触媒を合成した。
【0102】
さらに、得られた触媒中に含有されるナトリウム量を実施例1と同様にして測定した結果、6300ppmであった。
【0103】
実施例1〜4、および比較例1,2で得られた触媒中のナトリウム混入量を表1に纏める。
【表1】
表1から明らかなように、本発明の触媒の製造方法を採用して得られた実施例1乃至4の触媒は、比較例で得られた触媒に対してナトリウムの混入量が極めて少なくできた。
【0104】
実施例5〜8、比較例3(燃料電池の作製および評価)
電極作製
まず、実施例1〜4、および比較例1,2で合成されたカソード触媒1〜3およびアノード触媒1〜3をそれぞれ用いてカソード電極1〜3と、アノード電極1〜3を以下のようにして作製した。
【0105】
触媒2gと純水2gとを、直径25mmのジルコニアボール25gと直径10mmのジルコニアボール50gと共にポリ容器に投入し、これらを攪拌混合した。さらにプロトン伝導性材料であるスルホン酸を有するフッ素樹脂が20%溶解した溶液(ナフィオン溶液:デュポン社製)4.5gと2−エトキシエタノール5gを入れ、さらに攪拌した後、卓上型ボールミルで、6時間攪拌・分散し、さらに得られた分散液を篩にかけて2種のジルコニアボールを除去することで、電極用スラリーを6種類作製した。
【0106】
集電体として撥水処理を施したカーボンペーパー(厚さ270μm、東レ社製)を6枚準備し、各集電体に得られた電極用スラリーをそれぞれコントロールコーターで塗布し、さらに風乾して6枚の電極を得た。
【0107】
なお、電極用スラリー塗布時のコントロールコーターのギャップを調整し、得られた電極の触媒層の厚さを、それぞれ110μm(カソード電極1)、130μm(カソード電極2)、100μm(カソード電極3)、170μm(アノード電極1)、150μm(アノード電極2)、130μm(アノード電極3)とした。
【0108】
燃料電池作製および電池評価
得られたカソード電極1あるいは2と、得られたアノード電極1あるいは2を組合わせ、以下のようにして燃料電池起電部を作製した。
【0109】
スルホン酸を有するフッ素樹脂(デュポン社製:製品名 ナフィオン117)からなるプロトン導電膜を準備した。
【0110】
電極面積が10cm2になるよう、各アノード電極および各カソード電極を3.2×3.2cmの正方形に各種電極を切り取り、アノード電極1および2、カソード電極1および2をそれぞれ2枚用意した。
【0111】
表2に示すような組合わせのカソード電極とアノード電極とでプロトン伝導膜を挟持し、125℃、30分、100kg/cm2の圧力を加え、カソード電極/プロトン導電膜/アノード電極の3層を熱圧着して10cm2の起電部を4つ作製した。
【0112】
また、比較のためにカソード電極3とアノード電極3と用いたことを除き、全く同様にして10cm2の起電部を作製した。
【0113】
得られた起電部の燃料極(アノード電極)に燃料としての2Mメタノール溶液を0.6ml/minの流量で供給すると共に、酸化剤極(カソード電極)に空気を60ml/minの流量で供給し、電池評価を行った。この時の初期特性および100時間後の特性(100mA/cm2での電圧)、およびこの燃料電池の閉回路電圧(OCV)を測定した。その結果を表2に併記する。
【表2】
実施例9
本実施例においては乾式法にて電極を作製した。
【0114】
実施例1で作製したカソード触媒1を2gに水2gを加え、メノウ乳鉢で混合した後、導電性物質であるグラファイト2gをジエチレングリコール4g炭酸リチウム0.5gと共に加えて混練し均一に混合した混合物を得た。さらに、この混合物中にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン1.5g(PTEF固形部60wt%)を加えて混練することで、この混合物を一体化した固形物にした。
【0115】
得られた固形物をロールで圧延して膜厚80μmのシートを作製した。
【0116】
このシートを6N硫酸の中に浸漬し、造孔処理をした。造孔処理を施したシートを数度水洗した後に、スルホン酸を有するフッ素樹脂(ナフィオン:デュポン社製)に浸漬して、さらに減圧下で乾燥することで、シート表面にプロトン伝導剤を付着させ、カソード電極4を得た。
【0117】
また、カソード触媒1に代えて、アノード触媒2を使用したことを除き、全く同様にしてアノード電極4を作製した。
【0118】
このカソード電極4およびアノード電極4を使用したことを除き実施例5と全く同様にして起電部を作製すると共に、実施例5と同様にして電池評価を行った。
【0119】
その結果を表2に併記する。
【0120】
表1から、本発明の触媒の製造方法を採用して得られた実施例1〜4の触媒においては、混入するナトリウム量がほとんどないことがわかる。
【0121】
また、実施例1〜4で得られた触媒を用いた燃料電池は、実施例5〜9に示すように、初期特性に対して100時間後の電圧効果がほとんどなく、長期的な性能が、非常に優れていることが分かる
【0122】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、触媒中へのナトリウムの混入を防ぎ、例えば燃料電池の電極にしようした際の長期的な電池性能を向上させることが可能になる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る触媒を使用した燃料電池の概略断面図。
【符号の説明】
1…電解質膜
2…燃料極
3…酸化剤極
4…起電部
5…セパレータ
6…燃料浸透部
7…気化部
8…ガス供給溝
Claims (4)
- 前記沈殿剤と共に、前記溶媒中に第4周期〜第6周期遷移金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を添加することを特徴とする請求項1記載の触媒の製造方法。
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