JP3824456B2 - 水底トンネルの構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水底に設置したエレメントを継手鋼材で接続して水底トンネルを構築する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水底トンネルの構築においては、沈埋函を用いる場合は各エレメントをPCケーブルを用いて接続していた。すなわち、沈埋函製作時にPCケーブルを予めそのアンカーとともに函体内に設置しておき,函体を接続後にPCケーブルを引き出し、カップラーで接続していた。
また、シールドトンネルの構築においては、セグメントの接続は、トンネル円周方向及び軸方向において隣り合うセグメントの端面間をそれぞれセグメント継手及びリング継手により接続していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来のトンネルの構築方法における各エレメントの接続方法には、次のような問題点がある。
<イ>地震や不等沈下によってトンネル軸方向に引張力が作用した
場合、エレメント内部に設置した接続部材のアンカーからエレメント本体に軸引張力が作用する。
この結果、エレメントがコンクリート構造の場合、この軸引張力によりエレメントに亀裂が生じ、防水上の問題が生ずるおそれがある。
<ロ>また、沈埋トンネルを構成する各エレメントをPCケーブルで接続する場合においては、PCケーブルの馴染みをとるためジャッキ等により初期緊張力を導入しなければならず、頻雑な作業が必要となる。
【0004】
【発明の目的】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、地震や不等沈下によって構造物に軸引張力が作用してもエレメント本体には軸引張力が作用せず、トンネル全体を柔軟な構造物として容易に一体化できる水底トンネルの構築方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、水底に沈設した多数個のエレメントを接続具により接続して水底トンネルを構築する方法であって、隣接する各々のエレメント内をトンネル軸方向に平行に複数本の継手鋼材を貫通させるとともに、その両端部を露出させ、前記複数本の継手鋼材及び接続具がエレメントの外周方向及びトンネル軸方向に千鳥状の配列となるように接続されることを特徴とする、水底トンネルの構築方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の水底トンネルの構築方法の実施の形態について説明する。
【0007】
<イ>エレメント及び継手鋼材。
エレメント1は、水底トンネルの外殻を構成する部材である。鋼鉄や鉄筋コンクリート製であり、断面形状は円形や矩形等に形成する。
各エレメント1のトンネル軸方向の両側に、凹部2を設ける。また、各エレメント1のトンネル軸方向の両側を貫通するように、スリーブ3を設ける。
さらに、PC鋼棒等の継手鋼材4をスリーブ3内をトンネル軸方向に平行に貫通させ、その両端部を凹部2内に露出した状態で配置する。また、継手鋼材4の両側の端部にはネジを設けておく(図示せず)。
隣接するエレメントとの接触面には、止水のためのシール材としてゴム等を配置する(図示せず)。
【0008】
<ロ>隣接するエレメントの接続。
エレメント1を順次に水底に沈設した後、隣接する数個のエレメントを接続する。
以下においては、隣接する2個のエレメントを接続具を用いて接続する場合について説明する。
まず、エレメントのスリーブ3内をトンネル軸方向に平行に貫通して配置した継手鋼材4の両端部に設けたネジのうち、隣接する2個のエレメント10とエレメント11とが接触しない面のそれぞれのネジに支圧板5を介してナット6を取り付ける。(図3)
次に、2個のエレメント10,11を接続する。このため、隣接する2個のエレメント10,11が接触する側の双方のネジにカップラー7を取り付け、双方の継手鋼材4,4を継ぎ合わせる。(図2及び図3)
接続部を可撓性のある継手構造とするため、カップラー7を極端に締め付けない場合がある。すなわち、エレメント10,11を適度の強さで圧縮して接続するに止どめ、継手鋼材4に過度のプレストレス力を付与しない。
このように構成することにより、隣接するエレメント同士を接続することができるとともに、可撓性のある連接構造とすることができる。
【0009】
<ハ>エレメント全体の構成。
エレメント全体を接続するためには、上記のエレメントの接続方法により隣接する2個のエレメントを継手鋼材4及びカップラー7で接続し、さらに前記の2個のエレメントのうちの1個を含んで、次に隣接するエレメントを継手鋼材で接続する。
このようにして、各エレメントを接続する複数本の継手鋼材4及びカップラー7がエレメントの外周方向及びトンネル軸方向に千鳥状の配列となるように、すべてのエレメントを接続する。
すなわち、図2から図3に示すように、まず最初に隣接する2個のエレメント10,11を継手鋼材4及びカップラー7で接続する。次に隣接する2個のエレメント11,12を接続する。再びエレメント10,11を接続し、さらに11,12を接続する。
このような方法をエレメントの外周方向及びトンネル軸方向において繰り返して行いエレメント全体を接続して水底トンネルを構築する。
なお、継手鋼材4及びカップラー7の配列は、規則性のある千鳥状である必要はなく、ランダムを有する千鳥状であってもよい。
【0010】
上記においては、隣接する2個のエレメントを継手鋼材4及びカップラー7で接続する方法を基本としてすべてのエレメントを接続する場合を説明したが、隣接する数個のエレメントを接続する場合もある。
すなわち、図2乃至図3において、エレメント10からエレメント12の3個あるいはそれ以上の個数の隣接するエレメントを継手鋼材4及びカップラー7で接続することを基本として、継手鋼材4及びカップラー7をトンネル円周方向及びトンネル軸方向に千鳥状に配列して、すべてのエレメントを接続することもできる。
【0011】
<ニ>他の実施例。
本発明は、海底トンネルのエレメントの接続のみならず、不等沈下の生ずる場所における他の地中構造物、例えば地中線上構造物等の接続方法においても適用することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>トンネル軸方向に作用する圧縮力に対しては、エレメント間の支圧で抵抗するとともに、引張力に対しては千鳥上に配置された継手鋼材が負担するのでエレメント本体には引張応力は作用しない。このため、エレメントにはひび割れ等が発生することがなく、水中トンネルの弱点である防水上の問題が生ずることがない。
<ロ>継手鋼材の鋼材量、プレストレス力を調整することにより、接続部は可撓性に富み不等沈下による地盤の変形に追従し易い構造となる。したがって、地震時に構造物全体に生ずる断面力は小さくなる。
<ハ>継手鋼材にプレストレス力を導入しない場合は、頻雑な作業工程を省略することができ、またその設置及び接続は簡単な作業で施工できるので良好な作業効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エレメントとその内部に配置された継手鋼材を説明する斜視図
【図2】 エレメント内に千鳥状に配置された継手鋼材を示す平面断面図
【図3】 スリーブを貫通して継手鋼材を配置し、カップラーで接続した状態を示す図2の拡大図
Claims (1)
- 水底に沈設した多数個のエレメントを接続具により接続して水底トンネルを構築する方法であって、
隣接する各々のエレメント内をトンネル軸方向に平行に複数本の継手鋼材を貫通させるとともに、その両端部を露出させ、
前記複数本の継手鋼材及び接続具がエレメントの外周方向及びトンネル軸方向に千鳥状の配列となるように接続されることを特徴とする、
水底トンネルの構築方法。
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1999
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