JP3823359B2 - 内燃機関用バルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方の開閉タイミングを運転条件に応じて変更自在な内燃機関用バルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関用バルブタイミング制御装置に関連する先行技術文献としては、特願平7−268832号公報にて開示されたものが知られている。このものでは、加工が容易で部材強度及びシール性が確保され、最適に小型化されたベーン式のバルブタイミング制御機構(バルブタイミング調整装置)が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のベーン式のバルブタイミング制御機構において、相対回転角の移動方向が切替わった際には、その時点まで油圧を付与している側の圧力は直ちに低下し、新たに油圧を付与する側の圧力の上昇は遅れてしまう。このため、進角油圧室及び遅角油圧室の両方の圧力が一瞬抜けてしまい、双方共に圧力がかかっていない状態が存在することとなる。すると、ベーンをハウジング部材側に固定して動かないようにする低油圧時(内燃機関停止時等)以外には、常時、油圧が付与されその飛出しが抑えられているはずのストッパピストンの飛出状態が現出し、ハウジング部材側への接触による異音の発生や双方の摩耗が促進されたり、移動しようとする方向に対する摩擦抵抗になってしまうという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、上述のようなベーン式のバルブタイミング制御機構を用い、相対回転角の移動方向が切替わった際、その時点まで油圧を付与している側の圧力の低下を抑えてストッパピストンが飛出状態となることを防止可能な内燃機関用バルブタイミング制御装置の提供を課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1または請求項4の内燃機関用バルブタイミング制御装置によれば、相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との相対回転角の遷移状態、または目標相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との目標相対回転角の遷移状態に基づき移動方向判定手段で相対回転角の移動方向が切替わったと判定されると、出力値保持設定手段でバルブタイミング制御機構側へのそのときの出力値が所定期間同じ値に保持される。これにより、相対回転角の移動方向が切替わった際、異音の発生や摩耗促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがないという効果が得られる。
【0006】
請求項2または請求項5の内燃機関用バルブタイミング制御装置によれば、相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との相対回転角の遷移状態、または目標相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との目標相対回転角の遷移状態に基づき移動方向判定手段で相対回転角の移動方向が切替わったと判定されると、出力値変更制限手段でバルブタイミング制御機構側へのそのときの出力値からの変化量が制限される。これにより、相対回転角の移動方向が切替わった際、異音の発生や摩耗促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがないという効果が得られる。
【0007】
請求項3のまたは請求項6の内燃機関用バルブタイミング制御装置によれば、相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との相対回転角の遷移状態、または目標相対回転角演算手段で算出された駆動軸の回転角と従動軸の回転角との目標相対回転角の遷移状態に基づき移動方向判定手段で相対回転角の移動方向が切替わったと判定されると、出力値変更設定手段でバルブタイミング制御機構側へのそのときの出力値が所定量ずつ変化される。これにより、相対回転角の移動方向が切替わった際、異音の発生や摩耗促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがないという効果が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0009】
〈実施例1〉
図1は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダブルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。また、図2は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を示す断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4は図2のB−B線に沿う断面図、図5は図3の一部拡大断面図である。
【0010】
図1において、10は内燃機関であり、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11からチェーン12を介して一対のチェーンスプロケット13,14に駆動力が伝達される。このクランクシャフト11と同期して回転される一対のチェーンスプロケット13,14には従動軸としての一対のカムシャフト15,16が配設され、これらのカムシャフト15,16によって図示しない吸気バルブ及び排気バルブが開閉駆動される。
【0011】
クランクシャフト11にはクランクポジションセンサ21、カムシャフト15にはカムポジションセンサ22がそれぞれ配設されている。このクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 はECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)30に入力される。なお、ECU30は、周知の中央処理装置としてのCPU、制御プログラムを格納したROM、各種データを格納するRAM、入出力回路及びそれらを接続するバスライン等からなる論理演算回路として構成されている。
【0012】
ECU30ではこれらの信号の他に内燃機関10の運転状態を表す機関回転数、冷却水温、スロットル開度等の各種信号に基づき後述のクランクシャフト11に対するカムシャフト15の相対回転角VT及び目標相対回転角VTTが算出される。そして、ECU30からの駆動信号によりスプールバルブ40のリニアソレノイド41がDuty(デューティ比)制御され、油タンク45内の油がポンプ46により供給油通路47を通って一方のカムシャフト15に設けられたバルブタイミング制御機構50(図1の斜線部)に圧送される。このバルブタイミング制御機構50に供給される油の油量が調整されることで、カムシャフト15がチェーンスプロケット13、即ち、クランクシャフト11に対し所定の位相差を有して回転自在であり、カムシャフト15が目標相対回転角VTTに設定可能である。なお、バルブタイミング制御機構50からの油は排出油通路48を通って油タンク45内に戻される。
【0013】
ここで、クランクシャフト11が1回転してクランクポジションセンサ21からのパルス数がN個発生するとき、カムシャフト15の1回転でカムポジションセンサ22からのパルス数がN個発生するようにする。また、カムシャフト15のタイミング変換角最大値をθmax °CA(クランク角)とすると、N<(360/θmax )となるようにパルス数Nを設定する。これによって、相対回転角VTの算出時、クランクポジションセンサ21のパルス信号θ1 と、このパルス信号θ1 の次に続いて発生するカムポジションセンサ22のパルス信号θ2 とを使用することができる。
【0014】
次に、バルブタイミング制御機構50の構造について図2、図3、図4及び図5を参照して詳細に説明する。ここで、チェーンスプロケット13及びカムシャフト15は図3に示す矢印X方向から見て時計方向に回転される。以下、この回転方向を進角方向とする。
【0015】
図2及び図3に示すように、バルブタイミング制御機構50のハウジング部材であるチェーンスプロケット13とシューハウジング51とフロントプレート52とはボルト53により同軸上に固定されている。チェーンスプロケット13のボス部13aの内周壁はカムシャフト15の先端部15aに相対回転可能に嵌合されている。フロントプレート52とシューハウジング51とはノックピン55aにより、シューハウジング51とチェーンスプロケット13とはノックピン55bによりそれぞれ回転角度方向の位置決めがなされている。
【0016】
図2に示すように、シューハウジング51は互いに対向する台形状のシュー51a及び51bを有している。シュー51a及び51bのそれぞれの対向面は、断面円弧状に形成されており、シュー51a及び51bの周方向の2箇所の間隙にはそれぞれベーン56a及び56bの収容室としての扇状空間部が形成されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、ベーンロータ56は支持部56fと、支持部56f外周の径方向両端に支持部56fと一体に形成され支持部56fと共に回転するベーン56a及び56bとからなる。支持部56fはボルト54によりカムシャフト15に一体に固定されている。ベーン56a及び56bは扇形状に形成され、このベーン56a及び56bがシュー51a及び51bの周方向の間隙に形成されている扇状空間部内に回転可能に収容されている。インロー部56cはカムシャフト15の先端部15aに同軸に嵌合し、ベーンロータ56とカムシャフト15とはノックピン57により回転角度方向の位置決めがなされている。ベーンロータ56と一体に固定される円筒突出部58は、フロントプレート52の内周壁に相対回転可能に嵌合されている。
【0018】
図2に示すように、ベーンロータ56の外周壁とシューハウジング51の内周壁との間に微小なクリアランス59a及び59bが設けられており、ベーンロータ56はシューハウジング51と相対回転可能である。シュー51aとベーン56aとの間には遅角油圧室61が形成され、シュー51bとベーン56bとの間には遅角油圧室62が形成され、シュー51aとベーン56bとの間には進角油圧室63が形成され、シュー51bとベーン56aとの間には進角油圧室64が形成されている。また、ベーンロータ56の外周壁に形成された回転軸方向の溝部56dとシュー51a及び51bとの間にはシール部材65が挿嵌されている。
【0019】
図2、図3及び図4に示すように、ベーンロータ56の支持部56fの軸方向両端面には、円筒突出部58との当接部において溝通路としての油路71、カムシャフト15との当接部において溝通路としての油路72がそれぞれC字状に周方向にずらして設けられている。油路71は、油路73,74により遅角油圧室61,62と連通し、油路75により油圧室83と連通されている。油路72は油路76,77により進角油圧室63,64と連通されている。油路78は支持部56fとカムシャフト15との軸方向当接部においてカムシャフト15内に形成された油路79と連通されており、油路71は支持部56fと円筒突出部58との軸方向当接部において油路78と連通されている。油路72は支持部56fとカムシャフト15との軸方向の当接部においてカムシャフト15内に形成された油路81と連通している。このように支持部56fの軸方向両端面に油路71,72が形成されたことにより、各油圧室への油圧の分配が容易になる。また、支持部56f内の油路の構成が単純化することにより、支持部56f内で油路が互いに干渉することを防止すると共に支持部56fを小径化可能である。更に、支持部56fにおける油路の加工が容易になる。
【0020】
ベーン56a,56bの軸方向の長さは、フロントプレート52とチェーンスプロケット13との間に挟まれたシューハウジング51の軸方向の長さより僅かに短く設定されている。上述の構成により、カムシャフト15及びベーンロータ56はチェーンスプロケット13、シューハウジング51及びフロントプレート52に対して同軸に相対回転可能である。
【0021】
図3に示すように、カムシャフト15のジャーナル部91はシリンダヘッド90に設けられた軸受部90aにより回転可能に支持されると共に回転軸方向への移動を規制されている。ジャーナル部91の外周壁の周方向には外周溝通路92,93が設けられている。油タンク45内の油をポンプ46により圧送する供給油通路47と油タンク45内へ油を排出する排出油通路48とは、スプールバルブ40の切替操作により外周溝通路92,93と選択的に連通または遮断可能である。本実施例ではスプールバルブ40は後述の4ポート案内バルブである。
【0022】
図4に示すように、外周溝通路92はカムシャフト15の油路80,81により、支持部56fとカムシャフト15との軸方向当接部において油路72と連通されている。図3に示すように、外周溝通路93はカムシャフト15内の油路79により、支持部56fとカムシャフト15との軸方向当接部において支持部56fの油路78と連通されている。このような構成により、外周溝通路92,93にポンプ46からの圧油をスプールバルブ40により選択的に供給し、遅角油圧室61,62及び油圧室83と進角油圧室63,64及び油圧室84にポンプ46からの圧油の供給が可能になると共に油タンク45への油の排出が可能となる。
【0023】
図3に示すように、連結部材であるストッパピストン85はベーンロータ56のベーン56aの内部に収容されている。ストッパピストン85は小径部85aと大径部85bとで構成されており、小径部85aの先端部85cは反大径部85b側、つまりストッパピストン85がストッパ穴86に嵌合する方向にいくにしたがい僅かに先細りのテーパ形状に形成されている。ストッパピストン85の大径部85bは、ベーン56aの収容孔87に収容されており、収容孔87を形成するベーン56aの内壁にカムシャフト15の軸方向に摺動可能に支持されている。ストッパピストン85の図3に示す軸方向右側の収容孔87にはスプリング88が組込まれている。ガイドリング89は、収容孔87を形成するベーン56aの内壁と遊嵌または圧入されており、ストッパピストン85の小径部85aの外壁と遊嵌している。したがって、ストッパピストン85はカムシャフト15の軸方向に摺動可能にベーン56aに収容され、且つスプリング88によりフロントプレート52側に付勢されている。
【0024】
図5に示すように、ストッパピストン85の先端部85cのテーパ面はストッパ穴86のテーパ面と当接し、ストッパピストン85の先端面85dはストッパ穴86の底面と当接していない。したがって、ストッパピストン85の軸心とストッパ穴86の中心との位置関係が部品の精度誤差等でばらついても、スプリング88の付勢力にて自動的にストッパピストン85が軸方向に位置修正され嵌合ミスまたはガタの発生が防止される。
【0025】
図2及び図3はシューハウジング51に対してベーンロータ56が最遅角側に位置する状態を示し、ベーン56bのストッパ部56eがシュー51aの側面に当接されている。図5に示すように、この状態において、ストッパピストン85の先端部85cはフロントプレート52のテーパ形状のストッパ穴86に嵌合され、スプリング88により先端部85cのテーパ側面がストッパ穴86のテーパ側面に付勢されている。ストッパピストン85の先端部85cのテーパ角度とストッパ穴86のテーパ角度とは同一に設定されている。
【0026】
図3に示すように、収容孔87を形成するベーン56aのチェーンスプロケット13側の側壁にはドレン孔56gが設けられており、ベーンロータ56が最遅角側に位置する状態において、チェーンスプロケット13の大気孔13bとドレン孔56gとの位置がほぼ一致しているので、収容孔87の一部であるストッパピストン85のスプリング88側の空間部は大気圧相当である。図3に示すように、ガイドリング89とストッパピストン85の大径部85bとの間には油圧室83が形成されている。フロントプレート52のストッパ穴86とストッパピストン85の小径部85aとの間には油圧室84が形成され、油圧室84と進角油圧室64とはフロントプレート52の油路82により連通されている。
【0027】
ベーン56a,56bの最外径部のクリアランス59aを微小に設定することで、ベーン56a,56bの周方向の長さが比較的長いことにより、遅角油圧室61と進角油圧室64、遅角油圧室62と進角油圧室63がクリアランス59aを介して連通することが極力防止されている。また、シュー51a,51bの最小径部に形成される微小クリアランス59bにはシール部材65が支持部56fの外周壁に形成された溝部56dに挿嵌されており、遅角油圧室61と進角油圧室63、遅角油圧室62と進角油圧室64がクリアランス59bを介して連通することが極力防止されている。また、シューハウジング51に対してベーンロータ56が相対回転するために、ベーンロータ56の軸方向両端面とチェーンスプロケット13及びフロントプレート52の内側面との間には摺動クリアランスが設定されている。この摺動クリアランスから油圧室間に油がリークする可能性があるが、シューハウジング51の軸方向長さに対してベーンロータ56の軸方向長さを僅かに短くすることにより、ベーンロータ56の軸方向両端面に形成される摺動クリアランスを微小に設定できる。また、ベーン56a,56bの周方向の長さが比較的長く、つまりベーン56a,56bの横断面積が大きいことにより、油圧室間の油のリークを極力防止することができる。このため、各油圧室の油圧を所定値に保持できるので、シューハウジング51に対するベーンロータ56の相対回転を高精度に制御することができる。また、ベーン56a,56bの横断面積が大きいのでストッパピストン85を容易に収容することができる。
【0028】
図6は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で用いられているスプールバルブ40による油の流路の切替状態を示す説明図である。なお、図6(a)はリニアソレノイド41によりスプールバルブ40が図1の右側位置への切替状態、図6(b)は図1の中央位置への切替状態、図6(c)は図1の左側位置への切替状態をそれぞれ示している。
【0029】
スプールバルブ40は4ポート案内バルブであり、ECU30からの出力信号で駆動されるリニアソレノイド41とスプリング43の付勢力とによって、リニアソレノイド41と一体的な2箇所の大径部42a,42bを有するソレノイド軸42がスプールバルブ40内で移動され、大径部42a,42bにより4ポート44a,44b,44c,44dのうちの3ポート44b,44c,44dが適宜開閉されて油の流路が矢印にて示すように切替えられる。
【0030】
次に、本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30におけるバルブ制御のためのフラグ設定の処理手順を図7に示すフローチャートに基づき、図9のタイムチャートを参照して説明する。
【0031】
まず、ステップS101で、バルブタイミング制御機構50において、進角側から遅角側または遅角側から進角側に移動方向が変化したことを示す移動方向変化時制御フラグがオンであるかが判定される。ステップS101の判定条件が成立せず、移動方向変化時制御フラグがオフであるときにはステップS102に移行し、目標相対回転角VTTに変化が有ったかが判定される。ステップS102の判定条件が成立しないときには、ステップS103に移行し、進角側に移動していることを示す進角移動フラグ及び遅角側に移動していることを示す遅角移動フラグが共にオフとされ、本ルーチンを終了する。
【0032】
一方、ステップS102の判定条件が成立するときには、ステップS104に移行し、目標相対回転角変化量が0より大きいかが判定される。ステップS104の判定条件が成立するときには、ステップS105に移行し、進角側に移動しているとして進角移動フラグがオンとされる(図9の時刻t0 )。また、ステップS104の判定条件が成立しないときには、ステップS106に移行し、遅角側に移動しているとして遅角移動フラグがオンとされる(図9の時刻t1 )。そして、ステップS107に移行し、進角移動フラグ及び遅角移動フラグが共にオンであるかが判定される。ステップS107の判定条件が成立しないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0033】
ここで、ステップS107の判定条件が成立するときには、ステップS108に移行し、移動方向変化時制御フラグがオンとされる(図9の時刻t1 )。次にステップS109に移行して、進角側から遅角側または遅角側から進角側に移動方向が変化したときの制御期間を設定する移動方向変化時制御カウンタがクリアされ、本ルーチンを終了する。
【0034】
一方、ステップS101の判定条件が成立するときには、ステップS110に移行し、移動方向変化時制御カウンタがカウントアップされる。次にステップS111に移行して、移動方向変化時制御カウンタ値が制御期間を設定する所定値α以上であるかが判定される。ステップS111の判定条件が成立しないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。ここで、ステップS111の判定条件が成立するときには、ステップS112に移行し、移動方向変化時制御フラグがオフとされる(図9の時刻t2 )。そして、ステップS113に移行し、進角移動フラグ及び遅角移動フラグが共にオフとされ(図9の時刻t2 )、本ルーチンを終了する。
【0035】
次に、本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30のバルブ制御値演算の処理手順を図8に示すフローチャートに基づき、図10のクランクポジションセンサ21及びカムポジションセンサ22の出力信号を示す説明図を参照して説明する。
【0036】
ステップS201で、移動方向変化時制御フラグがオンであるかが判定される。ステップS201の判定条件が成立しないときには、ステップS202に移行し、各種センサ信号としてクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 、内燃機関10の運転状態を表す機関回転数、冷却水温、スロットル開度等が読込まれる。次にステップS203に移行して、図10に示すように、ステップS202で読込まれたクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 から相対回転角VT(=θ1 −θ2 )が算出される。
【0037】
次にステップS204に移行して、ステップS202で読込まれた内燃機関10の運転状態を表す各種センサ信号に基づき目標相対回転角VTTが算出される。次にステップS205に移行して、ステップS204で算出された目標相対回転角VTTがステップS203で算出された相対回転角VTに等しいかが判定される。ステップS205の判定条件が成立するときには、このときの目標相対回転角VTTに相対回転角VTを一致させ保持するため、ステップS206に移行して、バルブタイミング制御機構50への油路を制御するスプールバルブ40のリニアソレノイド41の駆動に必要な出力Duty(デューティ比)値としての保持学習Duty 値が算出される。一方、ステップS205の判定条件が成立せず、目標相対回転角VTTと相対回転角VTとに偏差があり相違しているときには、ステップS207に移行し、目標相対回転角VTTが相対回転角VTを越えているかが判定される。ステップS207の判定条件が成立するときには、ステップS208に移行し、目標相対回転角VTTに対して相対回転角VTを偏差分だけ進角させ一致させるための進角制御値が算出される。
【0038】
一方、ステップS207の判定条件が成立せず、目標相対回転角VTTが相対回転角VT未満であるときには、ステップS209に移行し、目標相対回転角VTTに対して相対回転角VTを偏差分だけ遅角させ一致させるための遅角制御値が算出される。また、ステップS201の判定条件が成立するときには、出力Duty 値がステップS206と同様に算出される保持学習Duty 値とされる。ステップS206、ステップS208、ステップS209またはステップS210の処理ののちステップS211に移行し、出力Duty 値としての保持学習Duty 値、進角制御値または遅角制御値に基づく制御信号が出力され、本ルーチンを終了する。
【0039】
このように、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11から吸気バルブを開閉する従動軸としてのカムシャフト15に駆動力を伝達するチェーン12等からなる駆動力伝達系に設けられ、カムシャフト15を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構50と、クランクシャフト11の回転角θ1 を検出する駆動軸回転角検出手段としてのクランクポジションセンサ21と、カムシャフト15の回転角θ2 を検出する従動軸回転角検出手段としてのカムポジションセンサ22と、クランクポジションセンサ21で検出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムポジションセンサ22で検出されたカムシャフト15の回転角θ2 との位相差である相対回転角VTを算出するECU30にて達成される相対回転角演算手段と、内燃機関10の運転状態に基づきクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との目標とする位相差である目標相対回転角VTTを算出するECU30にて達成される目標相対回転角演算手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTと前記目標相対回転角演算手段で算出された目標相対回転角VTTとの偏差に応じてバルブタイミング制御機構50によりカムシャフト15を相対回転するECU30にて達成される相対回転角制御手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTの遷移状態に基づき相対回転角VTの移動方向の切替わりを判定するECU30にて達成される移動方向判定手段と、前記移動方向判定手段で相対回転角VTの移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段におけるバルブタイミング制御機構50側への出力Duty 値を所定期間同じ値に保持するECU30にて達成される出力値保持設定手段とを具備するものである。
【0040】
したがって、相対回転角演算手段としてのECU30で算出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との相対回転角VTが移動方向判定手段としてのECU30でその遷移状態に基づき移動方向が切替わったと判定されると、出力値保持設定手段としてのECU30でバルブタイミング制御機構50側へのそのときの出力Duty 値が図9に示す時刻t1 〜t2 の間、保持学習Duty 値に保持される。つまり、相対回転角VTの移動方向の切替わり時点では、バルブタイミング制御機構50で機関停止時にベーンロータ56をシューハウジング51側に係止しておくためのストッパピストン85がスプリング88の付勢力にて飛出さないように、保持学習Duty 値に所定期間保持される。
【0041】
故に、ベーンロータ56の移動方向が切替わった際、ストッパピストン85の先端部85cがシューハウジング51と一体的なフロントプレート52側に接触することが防止され、異音の発生や双方の摩耗の促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがない。
【0042】
〈実施例2〉
図11は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30のバルブ制御値演算の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置の構成は上述の第1実施例における図1〜図6と同一であるためその説明を省略する。
【0043】
図11のステップS301で、各種センサ信号としてクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 、内燃機関10の運転状態を表す機関回転数、冷却水温、スロットル開度等が読込まれる。次にステップS302に移行して、ステップS301で読込まれたクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 から相対回転角VT(=θ1 −θ2 )が算出される。
【0044】
次にステップS303に移行して、ステップS301で読込まれた内燃機関10の運転状態を表す各種センサ信号に基づき目標相対回転角VTTが算出される。次にステップS304に移行して、ステップS303で算出された目標相対回転角VTTがステップS302で算出された相対回転角VTに等しいかが判定される。ステップS304の判定条件が成立するときには、ステップS305に移行し、このときの目標相対回転角VTTに相対回転角VTを保持するために必要な保持学習Duty 値が算出される。一方、ステップS304の判定条件が成立せず、目標相対回転角VTTと相対回転角VTとに偏差があり相違しているときには、ステップS306に移行し、目標相対回転角VTTが相対回転角VTを越えているかが判定される。ステップS306の判定条件が成立するときには、ステップS307に移行し、目標相対回転角VTTに対して相対回転角VTを偏差分だけ進角させ一致させるための進角制御値が算出される。
【0045】
一方、ステップS306の判定条件が成立せず、目標相対回転角VTTが相対回転角VT未満であるときには、ステップS308に移行し、目標相対回転角VTTに対して相対回転角VTを偏差分だけ遅角させ一致させるための遅角制御値が算出される。ステップS305、ステップS307またはステップS308の処理ののちステップS309に移行し、後述のガード制御処理が実行される。そして、ステップS310でガード制御処理された出力Duty 値に基づく制御信号が出力され、本ルーチンを終了する。
【0046】
図12は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30のガード制御処理における上限ガード値または下限ガード値演算の処理手順を示すフローチャートであり、図13の移動方向変化時制御カウンタ値からガード補正値を設定するテーブルを参照して説明する。
【0047】
図12のステップS401で、移動方向変化時制御カウンタがカウントアップされたのち、ステップS402に移行し、ステップS401でカウントアップされた移動方向変化時制御カウンタ値に基づき、図13の移動方向変化時制御カウンタ値に対するガード補正値を示すテーブルが検索され、移動方向変化時制御カウンタ値からガード補正値が設定される。次にステップS403に移行して、進角側に移動しているかが判定される。ステップS403の判定条件が成立するときには、ステップS404に移行し、保持学習Duty 値にガード補正値が加算されて上限ガード値とされ、本ルーチンを終了する。一方、ステップS403の判定条件が成立しないときには、ステップS405に移行し、保持学習Duty 値からガード補正値が減算されて下限ガード値とされ、本ルーチンを終了する。
【0048】
図14は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30におけるガード制御のための出力Duty 値設定の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
まず、ステップS501で、移動方向に変化が有ったかが判定される。ステップS501の判定条件が成立しないときには、ステップS502に移行し、移動方向変化時制御カウンタがクリアされたのち、本ルーチンを終了する。一方、ステップS501の判定条件が成立するときには、ステップS503に移行し、進角側に移動しているかが判定される。ステップS503の判定条件が成立するときには、ステップS504に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された出力Duty 値としての演算値が、上述の図12のステップS404で算出された上限ガード値を越えているかが判定される。ステップS504の判定条件が成立するときには、ステップS505に移行し、上限ガード値が出力Duty 値とされ本ルーチンを終了する。一方、ステップS504の判定条件が成立しないときには、ステップS506に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された演算値が出力Duty 値とされる。そして、ステップS507に移行し、移動方向変化時の制御を終了させたのち本ルーチンを終了する。
【0050】
一方、ステップS503の判定条件が成立しないときには、ステップS508に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された出力Duty 値としての演算値が、上述の図12のステップS405で算出された下限ガード値未満であるかが判定される。ステップS508の判定条件が成立するときには、ステップS509に移行し、下限ガード値が出力Duty 値とされ本ルーチンを終了する。一方、ステップS508の判定条件が成立しないときには、ステップS510に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された演算値が出力Duty 値とされる。そして、ステップS511に移行し、移動方向変化時の制御を終了させたのち本ルーチンを終了する。
【0051】
このように、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11から吸気バルブを開閉する従動軸としてのカムシャフト15に駆動力を伝達するチェーン12等からなる駆動力伝達系に設けられ、カムシャフト15を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構50と、クランクシャフト11の回転角θ1 を検出する駆動軸回転角検出手段としてのクランクポジションセンサ21と、カムシャフト15の回転角θ2 を検出する従動軸回転角検出手段としてのカムポジションセンサ22と、クランクポジションセンサ21で検出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムポジションセンサ22で検出されたカムシャフト15の回転角θ2 との位相差である相対回転角VTを算出するECU30にて達成される相対回転角演算手段と、内燃機関10の運転状態に基づきクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との目標とする位相差である目標相対回転角VTTを算出するECU30にて達成される目標相対回転角演算手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTと前記目標相対回転角演算手段で算出された目標相対回転角VTTとの偏差に応じてバルブタイミング制御機構50によりカムシャフト15を相対回転するECU30にて達成される相対回転角制御手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTの遷移状態に基づき相対回転角VTの移動方向の切替わりを判定するECU30にて達成される移動方向判定手段と、前記移動方向判定手段で相対回転角VTの移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段におけるバルブタイミング制御機構50側への出力Duty 値からの変化量を制限するECU30にて達成される出力値変更制限手段とを具備するものである。
【0052】
したがって、相対回転角演算手段としてのECU30で算出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との相対回転角VTが移動方向判定手段としてのECU30でその遷移状態に基づき移動方向が切替わったと判定されると、出力値変更制限手段としてのECU30でバルブタイミング制御機構50側へのそのときの出力Duty 値からの変化量が制限される。つまり、相対回転角VTの移動方向の切替わり時点では、バルブタイミング制御機構50で機関停止時にベーンロータ56をシューハウジング51側に係止しておくためのストッパピストン85がスプリング88の付勢力にて飛出さないように、保持学習Duty 値からガード補正値を加減した上限ガード値、下限ガード値以内となるように出力Duty 値からの変化量が制限される。
【0053】
故に、ベーンロータ56の移動方向が切替わった際、ストッパピストン85の先端部85cがシューハウジング51と一体的なフロントプレート52側に接触することが防止され、異音の発生や双方の摩耗の促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがない。
【0054】
〈実施例3〉
図15は本発明の実施の形態の第3実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30におけるガード制御のための出力Duty 値設定の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置の構成は上述の第1実施例における図1〜図6と同一であるためその説明を省略する。また、本発明の実施の形態の第3実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30のバルブ制御値演算ルーチンについては上述の第2実施例と同じであるためその説明を省略する。
【0055】
ステップS601で、移動方向に変化が有ったかが判定される。ステップS601の判定条件が成立しないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。一方、ステップS601の判定条件が成立するときには、ステップS602に移行し、進角側に移動しているかが判定される。ステップS602の判定条件が成立するときには、ステップS603に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された出力Duty 値としての演算値が、前回の出力Duty 値に所定値βが加算された値を越えているかが判定される。ステップS603の判定条件が成立するときには、ステップS604に移行し、前回の出力Duty 値に所定値βが加算された値が出力Duty 値とされ本ルーチンを終了する。一方、ステップS603の判定条件が成立しないときには、ステップS605に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された演算値が出力Duty 値とされる。そして、ステップS606に移行し、移動方向変化時の制御を終了させたのち本ルーチンを終了する。
【0056】
一方、ステップS602の判定条件が成立しないときには、ステップS607に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された出力Duty 値としての演算値が、前回の出力Duty 値から所定値βが減算された値未満であるかが判定される。ステップS607の判定条件が成立するときには、ステップS608に移行し、前回の出力Duty 値から所定値βが減算された値が出力Duty 値とされ本ルーチンを終了する。一方、ステップS607の判定条件が成立しないときには、ステップS609に移行し、上述の図11のステップS305、ステップS307またはステップS308で算出された演算値が出力Duty 値とされる。そして、ステップS610に移行し、移動方向変化時の制御を終了させたのち本ルーチンを終了する。
【0057】
このように、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11から吸気バルブを開閉する従動軸としてのカムシャフト15に駆動力を伝達するチェーン12等からなる駆動力伝達系に設けられ、カムシャフト15を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構50と、クランクシャフト11の回転角θ1 を検出する駆動軸回転角検出手段としてのクランクポジションセンサ21と、カムシャフト15の回転角θ2 を検出する従動軸回転角検出手段としてのカムポジションセンサ22と、クランクポジションセンサ21で検出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムポジションセンサ22で検出されたカムシャフト15の回転角θ2 との位相差である相対回転角VTを算出するECU30にて達成される相対回転角演算手段と、内燃機関10の運転状態に基づきクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との目標とする位相差である目標相対回転角VTTを算出するECU30にて達成される目標相対回転角演算手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTと前記目標相対回転角演算手段で算出された目標相対回転角VTTとの偏差に応じてバルブタイミング制御機構50によりカムシャフト15を相対回転するECU30にて達成される相対回転角制御手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転角VTの遷移状態に基づき相対回転角VTの移動方向の切替わりを判定するECU30にて達成される移動方向判定手段と、前記移動方向判定手段で相対回転角VTの移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段におけるバルブタイミング制御機構50側への出力Duty 値を所定量ずつ変化させるECU30にて達成される出力値変更設定手段とを具備するものである。
【0058】
したがって、相対回転角演算手段としてのECU30で算出されたクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との相対回転角VTが移動方向判定手段としてのECU30でその遷移状態に基づき移動方向が切替わったと判定されると、出力値変更設定手段としてのECU30でバルブタイミング制御機構50側へのそのときの出力Duty 値が所定量ずつ変化される。つまり、相対回転角VTの移動方向の切替わり時点では、バルブタイミング制御機構50への出力Duty 値が、機関停止時にベーンロータ56をシューハウジング51側に係止しておくためのストッパピストン85がスプリング88の付勢力にて飛出さないように前回の出力Duty 値から所定量が加減された値以内とされる。
【0059】
故に、ベーンロータ56の移動方向が切替わった際、ストッパピストン85の先端部85cがシューハウジング51と一体的なフロントプレート52側に接触することが防止され、異音の発生や双方の摩耗の促進が起こることなく、移動方向に対する摩擦抵抗も生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダブルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を示す断面図である。
【図3】 図3は図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】 図4は図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】 図5は図3の一部拡大断面図である。
【図6】 図6は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で用いられているスプールバルブによる油流れ方向の切替状態を示す説明図である。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるバルブ制御のためのフラグ設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 図8は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるバルブ制御値演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 図9は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における各種信号の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図10】 図10は本発明の実施の形態の第1実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における相対回転角算出を示す説明図である。
【図11】 図11は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるバルブ制御値演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 図12は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるガード値演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】 図13は図12のガード補正値を設定するテーブルである。
【図14】 図14は本発明の実施の形態の第2実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるガード制御のための出力Duty 値設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】 図15は本発明の実施の形態の第3実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるガード制御のための出力Duty 値設定の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
11 クランクシャフト(駆動軸)
12 チェーン
13 チェーンスプロケット
15 カムシャフト(従動軸)
21 クランクポジションセンサ
22 カムポジションセンサ
30 ECU(電子制御装置)
40 スプールバルブ
41 リニアソレノイド
50 バルブタイミング制御機構
Claims (6)
- 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制御機構側への出力値を所定期間同じ値に保持する出力値保持設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制御機構側への出力値からの変化量を制限する出力値変更制限手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制御機構側への出力値を所定量ずつ変化させる出力値変更設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制 御機構側への出力値を所定期間同じ値に保持する出力値保持設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制御機構側への出力値からの変化量を制限する出力値変更制限手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、
前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて前記バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角の遷移状態に基づき前記相対回転角の移動方向の切替わりを判定する移動方向判定手段と、
前記移動方向判定手段で前記相対回転角の移動方向が切替わったと判定されたときには、そのときの前記相対回転角制御手段における前記バルブタイミング制御機構側への出力値を所定量ずつ変化させる出力値変更設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。
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JPH09217610A (ja) | 1997-08-19 |
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