JP3821747B2 - ジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類の新規な製造方法に関する。より詳しくは、感熱紙用顕色剤として有用な化合物である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類の製造法としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンとハロゲン化アルキル等のハロゲン化物をジメチルホルムアミドまたはアルコール等の極性溶媒を使用してアルカリ存在下で反応させる方法が知られている(特開昭58−20493号公報、特開昭58−82788号公報、特開昭60−13852号公報、特開昭60−56949号公報等)。
【0003】
しかし、この方法では、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンジエーテル誘導体が副生し易く、4−ヒドロキシ−4’−アルコキシ−ジフェニルスルホンの収率が低いという問題がある。
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンと臭化イソプロピルを1.5〜3倍モル量のアルカリ及び0.3〜1.5倍重量の水溶媒中で反応させる方法(特開平4−210955号公報)、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンと臭化イソプロピルを反応させる際、水、トルエンの混合溶媒中でpH=7.5〜9.5に保持しながら行なう方法(特開平5−255234号公報)が提案されているが、これらの方法においても4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンジエーテルが副生し、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテルの収率も満足のいくものとは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の課題は、ジヒドロキシフェニルスルホンモノエーテル類を収率良く得るための新規な製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(1)で表わされる化合物のアルカリ金属塩と一般式(2)で表されるアルコールとをアルカリの存在下で反応させることにより、一般式(3)で表わされる化合物が収率良く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1]一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表されるアルコールとをアルカリの存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(3)で表される化合物の製造方法であり、
【化4】
(式中、Xは塩素原子または臭素原子を示す。)
【化5】
(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐していてもよいアルキル基を示す。)
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐していてもよいアルキル基を示す。)
[2]前記[1]記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法において、一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させ、次いで、アルカリの存在下、一般式(2)で表されるアルコールを反応させる方法であり、[3]一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させ、得られる反応混合物中の水分濃度を3000ppm以下とし、次いで、アルカリの存在下で一般式(2)で表されるアルコールを反応させる一般式(3)で表される化合物の製造方法であり、
[4]有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒及び水と共沸混合物を形成する有機溶媒を併用する前記[1]1〜前記[3]のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法であり、
[5]アルカリがアルカリ金属の水酸化物である前記[1]〜前記[4]のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法であり、
[6]一般式(2)で表わされるアルコールが2−プロパノールである前記[1]〜前記[5]のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる一般式(1)で表わされる化合物とは、ジフェニルスルホンの一方の芳香環の炭素原子の任意の位置に水酸基(−OH)が結合し、もう一方の芳香環の炭素原子の任意の位置に塩素原子または臭素原子が結合している化合物を意味する。
【0008】
一般式(1)で表わされる化合物は、いかなる方法で合成されたものでも用いることができる。例えば、ジフェニルカーボネートとモノクロルベンゼンスルホニルクロライドをルイス酸の存在下で縮合させた後、加水分解することにより合成することができる(特開昭47−2921号公報)。
【0009】
一般式(1)で表わされる化合物として具体的な化合物を例示するとすれば、例えば、4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−クロロ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−クロロ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−ブロモ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−ブロモ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−ブロモ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−ブロモ−ジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0010】
本発明の方法に用いられる一般式(2)で表わされるアルコールにおいて、Rは炭素数1から炭素数4の直鎖状または分岐状のアルキル基から選択することができる。
【0011】
本発明に用いられる一般式(2)で表わされるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノ−ル、イソプロパノール(2−プロパノール)、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。
【0012】
一般式(1)で表される化合物に対する一般式(2)で表わされるアルコールの使用量は、一般式(1)で表される化合物1当量に対して、1〜10当量、好ましくは2〜5当量である。1当量以上用いることは目的物への転化率の点において好ましい。また、10当量以下用いることは使用量当たりの反応効率の点において好ましい。
【0013】
本発明に用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。なかでもアルカリ金属の水酸化物は好ましく、水酸化カリウムは特に好ましい。また、これらのアルカリは含水率の低いものが好ましく、含水率が5重量%以下のものが好ましい。
【0014】
アルカリの使用量は、一般式(2)で表されるアルコール1当量に対して、1〜10当量、好ましくは2〜5当量である。1当量以上用いることは目的物への転化率の点において好ましい。また、10当量以下用いることは使用量当たりの反応効率の点において好ましい。
【0015】
本発明で用いられる有機溶媒としては、非プロトン性極性溶媒、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミド、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ブチルベンゼン、キュメン、メシチレン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等が挙げられる。なかでも、非プロトン性極性溶媒は好ましい。
【0016】
これらの有機溶媒は1種または2種以上混合して使用することができる。これらの有機溶媒を2種以上混合して用いる場合、非プロトン性極性溶媒とその他の有機溶媒を併用するのが好ましい。非プロトン性極性溶媒と併用する有機溶媒としては、水と共沸混合物を形成する有機溶媒が好ましく、なかでも芳香族炭化水素系溶媒は好ましい。特に、ジメチルスルホキシドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとトルエンを組合せるのが好ましい。
【0017】
非プロトン性極性溶媒と、水と共沸混合物を形成する有機溶媒とを併用する場合、非プロトン性極性溶媒はこれらの混合溶媒中で30〜90重量%となる量を使用する。この範囲内で使用することで良好な攪拌状態が得られる場合が多い。
【0018】
有機溶媒の使用量は、一般式(1)で表される化合物のアルカリ金属塩に対して、1〜200倍量である。好ましくは3〜50倍量である。1倍量以上用いると反応速度の点において好ましい。また、200倍量以下用いると容積効率の点において好ましい。
【0019】
一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表されるアルコールとをアルカリの存在下、有機溶媒中で反応させることにより一般式(3)で表される化合物が得られる。
【0020】
反応の温度は、50〜200℃、好ましくは80〜150℃の温度で行なうことができる。50℃以上であると反応の進行の点で好ましい。また、200℃以下であると目的物の収率の点で好ましい。
【0021】
反応の圧力は、特に制限されない。常圧下、減圧下または加圧下で反応させても何ら問題はない。
【0022】
上述の反応の具体的な実施方法を例示すれば、例えば、▲1▼一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びアルカリを有機溶媒と混合して反応させる方法、▲2▼一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させ、次いで、アルカリの存在下で、一般式(2)で表されるアルコールを反応させる方法などが挙げられる。
【0023】
本発明者らは、これらの実施方法のうち、▲2▼の方法を検討している過程で、一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させて得られる反応混合物中の水分濃度が低いほど、一般式(2)で表されるアルコールを反応させ得られる一般式(3)で表される化合物の収率が向上する傾向があることを見出した。
【0024】
すなわち、一般式(1)で表わされる化合物とアルカリを有機溶媒中で反応させて得られる反応混合物中に存在する水を除去し、次いで、アルカリの存在下で一般式(2)で表されるアルコールと反応させることにより、水を除去しない前述の▲1▼の方法に比べ、一般式(3)で表される化合物の収率が向上することが判明した。
【0025】
一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させて得られる反応混合物中の水分濃度は3000ppm以下にすることが好ましい。1000ppm以下にすることはより好ましく、500ppmにすることはさらに好ましい。
【0026】
一般式(1)で表わされる化合物とアルカリを反応させて得られる反応混合物中の水を除去する方法としては、一般式(1)で表わされる化合物とアルカリとの反応に用いる溶媒として水と共沸混合物を形成する有機溶媒を用い、これらの混合物を加熱して、水及び水と共沸混合物を形成する有機溶媒の共沸混合物を還流させ、分離する水を反応系外に排出して有機溶媒を反応系に戻す方法が好ましい。また、有機溶媒を反応系に戻す際に、乾燥剤を用いて脱水した有機溶媒を戻すこともできる。
【0027】
一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させる際のアルカリの使用量は、一般式(1)で表わされる化合物1当量に対して0.8〜1.5当量が好ましく、1〜1.2当量がより好ましい。0.8当量以上用いることは反応速度の点において好ましい。1.5当量以下で用いることは一般式(1)で表わされる化合物の加水分解などの副反応を抑制する点において好ましい。
【0028】
また、反応に用いられる有機溶媒及びその使用量としては、既述した有機溶媒及びその使用量を用いることができる。
【0029】
前述の反応混合物から水を除去する方法として、水と共沸混合物を形成する有機溶媒を用いる方法を採用する場合は、特に非プロトン性極性溶媒と水と共沸混合物を形成する有機溶媒を併用することが好ましい。非極性プロトン性溶媒と芳香族炭化水素系溶媒を併用することはさらに好ましい。特に、ジメチルスルホキシドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとトルエンを併用するのが好ましい。
【0030】
一般式(1)で表わされる化合物をアルカリと反応させた後の反応に用いる一般式(2)で表されるアルコールの使用量は、既述の使用量を用いることができる。
【0031】
一般式(2)で表されるアルコールを反応させる際に用いるアルカリの使用量は、一般式(1)で表わされる化合物をアルカリと反応させる際に使用したアルカリの量を併せてその全使用量が10当量以下となる量を用いる。
【0032】
上述の製造方法により、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表されるアルコールを用いて種々の一般式(3)で表わされる化合物が得られる。例えば、一般式(1)で表される化合物である4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホンと一般式(2)で表されるアルコールであるイソプロパノールからは、一般式(3)で表される化合物である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが得られる。
【0033】
一般式(3)で表わされる化合物を例示するとすれば、例えば、4−ヒドロキシ−4´−メトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−メトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−エトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−エトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−n−プロポキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−n−プロポキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−n−ブトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−n−ブトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4´−イソブトキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−2´−イソブトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−メトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−メトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−エトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−エトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−n−プロポキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−n−プロポキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−n−ブトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−n−ブトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4´−イソブトキシ−ジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−2´−イソブトキシ−ジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0034】
一般式(3)で表される化合物は、上述の反応で得られる最終反応混合物から公知の手段を用いて分離回収することができる。例えば、最終反応混合物に希塩酸を添加し、一般式(3)で表される化合物を有機溶媒相に抽出し、有機溶媒相を乾燥後、乾燥剤を除去した有機溶媒相から有機溶媒を留去して、目的物を得ることができる。最終反応混合物中に一般式(3)で表される化合物のアルカリ金属塩が析出している場合、固形分を濾過して回収する。次いで、固形分を水に溶解し、希塩酸等で中和すると通常、一般式(3)で表される化合物の結晶が析出してくる。この結晶を濾過し、水洗後、乾燥することにより一般式(3)で表される化合物の結晶を得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、製造例及び実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する。)分析及び水分分析は次の条件及び装置を用いて行った。
【0036】
分析条件(HPLC)
カラム:YMC−Pack ODS−A A−312
展開液:アセトニトリル/水=1800:1000(pH=5.5)
流速:0.9ml/min
波長:265nm
水分分析:カールフィッシャー水分計
製造例1 (4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホンの製造)
ジフェニルカーボネート42.8(0.2モル)gと4−クロロベンゼンスルホニルクロライド84.4g(0.4モル)と無水塩化第鉄1.2gをニトロベンゼン300.0gと共に仕込み、窒素雰囲気下、125℃まで昇温し同温度で10時間攪拌し、その間に塩酸ガスを放出させた。反応マスを50℃まで放冷したのちにイソプロピルアルコール300.0gを装入して析出した結晶を濾過、乾燥し白色粉末61.4gを得た。この白色粉末を200.0gの水と93%NaOH29.6g(0.68モル)の存在下に、90℃で4時間攪拌したのちに冷却し、塩酸水による中和を行ないpH=5に調整した。析出した結晶を濾過、乾燥して45.6gの白色結晶を得た。この結晶を、HPLC分析したところ、ほぼ純粋な4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホンであった。
(実施例1)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコ内に製造例1で得られた4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を、85%水酸化カリウム23.1g(0.35モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)、ジメチルスルホキシド100.0gとトルエン20.0gの混合溶媒と共に一括して仕込み、30℃で30分攪拌した。次にこの混合物を120℃まで昇温し、同温度で12時間加熱した。
【0037】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが85.1モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は12.9モル%であった。
(実施例2)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコ内に製造例1で得られた4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を、85%水酸化カリウム23.1g(0.35モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン120.0gと共に一括して仕込み、30℃で30分攪拌した。次にこの混合物を120℃まで昇温し、同温度で12時間加熱した。
【0038】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが85.7モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は14.0モル%であった。
(実施例3)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコ内に、製造例1で得られた4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を、85%水酸化カリウム7.3g(0.11モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン80.0gとトルエン30.0gの混合溶媒と共に仕込み、130℃まで昇温した。この間トルエンとともに留出してくる水はディーンスタックトラップで分液して抜き出し、トルエンは反応系内に循環させた。さらに130〜135℃で2時間加熱した。この時点でほぼ水の留出が見られなくなった。反応マスは白濁したスラリー状となっていた。反応マスの一部を取り出し、固体を除去した溶液部分の水分濃度を測定したところ2600ppmであった。
【0039】
この反応マスに85%水酸化カリウム15.8g(0.24モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)を装入し125〜130℃の温度で10時間加熱した。
【0040】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが85.6モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は12.5モル%であった。
(実施例4)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラス4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を、85%水酸化カリウム7.3g(0.11モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン80.0gとトルエン30.0gの混合溶媒と共に仕込み、130℃まで昇温した。この間トルエンとともに留出してくる水はディーンスタックトラップで分液して抜き出し、トルエンは反応系内に循環させた。さらに130〜135℃で2時間加熱した。この時点でほぼ水の留出が見られなくなった。反応マスは白濁したスラリー状となっていた。さらに2時間130〜135℃で加熱し、反応マスの一部を取り出してその水分濃度を測定したところ950ppmであった。
【0041】
この反応マスに85%水酸化カリウム15.8g(0.24モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)を装入し125〜130℃で10時間加熱した。
【0042】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、目的の4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが91.4モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は8.0モル%であった。
(実施例5)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラスコ内に製造例1で得られた4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を95%水酸化カリウム6.5g(0.11モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン80.0gとトルエン30.0gの混合溶媒と共に仕込み、130℃まで昇温した。この間トルエンとともに共沸して留出してくる水はディーンスタックトラップで分液した後抜き出し、トルエンは反応系内に循環させた。130〜135℃で2時間加熱還流した。この時点でほぼ水の留出が見られなくなった。反応マスは白濁したスラリー状となっていた。さらに4時間同温度で加熱還流させた後、系内の水分濃度を測定したところ470ppmであった。
【0043】
この反応マスに95%水酸化カリウム14.1g(0.24モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)を装入し125〜130℃で10時間加熱した。
【0044】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが92.5モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は7.0モル%であった。
【0045】
この反応マスにトルエン100.0gを装入して室温まで冷却したのちに、析出している結晶を濾過し、乾燥して100.0gの水に溶解させた。この水溶液のpHを攪拌しながらpH=5になるまで調整していくと、白色の結晶が析出してきたので結晶を濾過、水洗、乾燥して4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンの白色結晶24.3g(収率82.3%、純度99.0%)を得た。
(実施例6)
攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた300mlの4つ口フラス4−ヒドロキシ−4´−クロロ−ジフェニルスルホン26.9g(0.1モル)を85%水酸化カリウム7.3g(0.11モル)、ジメチルスルホキシド80.0gとトルエン30.0gの混合溶媒と共に仕込み、130℃まで昇温した。この間トルエンとともに留出してくる水はディーンスタックトラップで分液して抜き出し、トルエンは反応系内に循環させた。さらに130〜135℃で2時間加熱した。この時点でほぼ水の留出が見られなくなった。反応マスは白濁したスラリー状となっていた。さらに2時間130〜135℃で加熱し、反応マスの一部を取り出してその水分濃度を測定したところ980ppmであった。
【0046】
この反応マスに85%水酸化カリウム15.8g(0.24モル)、イソプロピルアルコール12.2g(0.2モル)を装入し125〜130℃で10時間加熱した。
【0047】
加熱終了後、反応マスを冷却し、反応マスをHPLC分析したところ、目的の4−ヒドロキシ−4´−イソプロポキシ−ジフェニルスルホンが89.9モル%の収率で生成していた。また副生物である4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホンの生成量は9.0モル%であった。
【0048】
【発明の効果】
従来の方法には、ジヒドロキシジフェニルスルホンジエーテルが副生し易く、目的物の収率が低いという問題、また、目的物の収率は改善されるが反応時にpH調製する必要があるため操作が煩雑であるという問題があるのに対し、本発明によれば、目的物であるジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類を収率良く、かつ反応時にpH調製を行うことなく製造することができる。すなわち、本発明はジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル類を工業的に製造する方法として、非常に有用である。
Claims (6)
- 請求項1記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法において、一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させ、次いで、アルカリの存在下、一般式(2)で表されるアルコールを反応させる方法。
- 一般式(1)で表わされる化合物を有機溶媒中でアルカリと反応させ、得られる反応混合物中の水分濃度を3000ppm以下とし、次いで、アルカリの存在下で一般式(2)で表されるアルコールを反応させる一般式(3)で表される化合物の製造方法。
- 有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒及び水と共沸混合物を形成する有機溶媒の混合溶媒を用いる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
- アルカリがアルカリ金属の水酸化物である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
- 一般式(2)で表わされるアルコールが2−プロパノールである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の一般式(3)で表される化合物の製造方法。
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