JP3819373B2 - 光用架体及び光配線方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の光ファイバを別の光ファイバへ分岐又は接続する光用架体及び光配線方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来例の光配線ユニットとしての光用架体1を示す概略図であり、(a)は前面図、(b)は(a)中のX−X矢視図である。また、図13は、前記光用架体1の一例を示す配線図である。
なお、ここでは、図12(a)紙面手前,図12(b)の左側(光用架体1の左側)を光用架体1の前面側と称し、図12(b)の右側(光用架体1の左側)を光用架体1の背面側と称することとする。
【0003】
図12中、符号2は、光用架体1を構成する架本体2(架体フレーム)であり、図12中左側の成端部3と、図12中右側の光ファイバ配線部4とにほぼ2分された構成になっている。
成端部3には、外観薄板状のケース構造である光モジュール31(成端モジュール)が縦置き横並びに複数配列収納されている接続ユニット32が、上下に多段に搭載されている。各光モジュール31には、光ファイバケーブル8端末に口出しされた光ファイバ81が架体背面側から引き込まれており、さらに、この光ファイバ81先端をコネクタ接続可能に成端する光コネクタアダプタ33が、架前面側に向けて配置される側部に備えられている。
【0004】
一方、前記光ファイバ配線部4には、搭載枠41が上下に多段に収納されている。この搭載枠41は、薄板状のジャンパユニット42と、やはり薄板状の配線用エレメント43との対を、上下に多段に収納するラックである。ジャンパユニット42と配線用エレメント43とは、配線用エレメント43が、ジャンパユニット42に対して架体前面側に配置されるようにして、搭載枠41に収納される。
【0005】
図13に示すように、前記ジャンパユニット42には、光ファイバ44の一端が固定されており、さらに、この光ファイバ44をコネクタ接続可能に成端する光コネクタアダプタ45が取り付けられている。光ファイバ44の他端、すなわち、ジャンパユニット42とは逆の側の端部は、光コネクタ46によってコネクタ接続可能に成端されており、成端部3に引き込んで、光モジュール31の光コネクタアダプタ33に対して切り替え可能にコネクタ接続(ジャンパ接続)される。光ファイバ44は、いわゆるジャンパコードとして用いられる。
このジャンパユニット42は、光コネクタアダプタ45を架体背面側に臨ませて搭載枠41に収納される。
【0006】
配線用エレメント43は、搭載枠41に収納されたジャンパユニット42から架体前面側に延出される前記光ファイバ44の配線方向(換言すれば、搭載枠41からの引き出し方向)を設定(配線方向設定機能)するものであり、例えば、架体前面側にて光ファイバ44を保持したまま回転することで光ファイバ44の配線方向を変更、設定する可動アーム(図示略)を備える構造や、架体前面側に突出されたアーム(図示略)の複数箇所に設けられている光ファイバ保持部を選択して、光ファイバ44を保持することで、光ファイバ44の配線方向を設定できる構造を有するものである。
【0007】
この光用架体1では、光ファイバ配線部4に引き込んだ光ファイバ91(この光ファイバ91は光ファイバケーブル9から口出しされている)を、ジャンパユニット42の光コネクタアダプタ45に接続し、この光コネクタアダプタ45を介して光ファイバ91と接続された光ファイバ44を、成端部3の光モジュール31の光コネクタアダプタ33に接続することで、光ファイバ91が光ファイバケーブル8側の目的の光回線(光ファイバ81)に対して接続される。また、搭載枠41から架体前面側に引き出されている光ファイバ44の本数が多数本であっても、配線用エレメント43の配線方向設定機能を利用することで、成端部3への引き込みに適した方向への光ファイバ44の配線を整然と行うことができる。さらに、配線用エレメント43の機能により、成端部3への配線とは異なる方向、例えば、別の架体への配線や、成端部3の光モジュール31の光コネクタアダプタ33への接続を待機している光ファイバ44を保留するための保留部47(図では、保留部47は、搭載枠41の設置位置を介して成端部3と対向する側にある)への配線なども、整然と行うことができ、しかも、光ファイバ44を取り出して配線方向を変更する作業(例えば、保留部から取り出した光ファイバ44を成端部3に配線することなど)等も効率良く行える。
なお、上述した構成の光用架体に関する技術を開示する先行技術文献としては、例えば以下の特許文献1,2がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−329943号公報
【特許文献2】
特開2000−329945号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の光用架体は、架背面側の光ファイバ91を、光ファイバ配線部4の搭載枠41に収納したジャンパユニット42の光コネクタアダプタ45に接続し、光コネクタアダプタ45を介して光ファイバ91と接続された光ファイバ44を架前面側にて所望の方向に配線することで、成端部3側の光ファイバ81に対する光ファイバ91の光接続等を実現する構造であり、部品点数が多い、光線路の接続点が増加する、といった不満があった。
【0010】
本発明の目的は、上記した事情に鑑みなされたものであり、配線用エレメントが設けられる搭載枠に背面側から引き通すようにして挿通した光ファイバを、搭載枠前面側にて引き回し配線する構成により、部品点数の削減、接続点の減少等を実現できる光用架体及び光配線方式を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願における請求項1に係る発明は、複数本の光ファイバを別の光ファイバへ分岐又は接続する光用架体において、背面側から前面側まで貫通する開口部が形成されている搭載枠と、該搭載枠の背面側から開口部に挿通して前面側に引き出された光ファイバに別の光ファイバを接続した接続部が設けられる接続ユニットとを備え、前記搭載枠には、前記開口部に挿通された光ファイバを保持する薄板状の光ファイバ保持体と、該光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを保持するとともに、前記搭載枠内を引き通された光ファイバの該搭載枠からの引き出し方向を設定する配線用エレメントとが上下に多段に収納されるようになっており、前記光ファイバ保持体は、光ファイバを保持したまま前記搭載枠の背面側から前記開口部を通って前記搭載枠の前面側に取り出すことができ、さらに、前記搭載枠の前面側にて前記配線用エレメントと合体されて、前記配線用エレメントと合体したまま前記搭載枠の前面側から前記搭載枠内に収納されるようになっていることを特徴とする光用架体である。
【0012】
本願における請求項2に係る発明は、前記搭載枠の開口部に挿通された光ファイバが、光コネクタによってコネクタ接続可能に成端された光ファイバであり、前記接続ユニットには、前記搭載枠から前面側に引き出された前記光ファイバに対して前記別の光ファイバをコネクタ接続可能に成端した光コネクタアダプタ(33)が複数、配列設置されていることを特徴とする請求項1に記載の光用架体である。
本願における請求項3に係る発明は、前記光ファイバ保持体には、搭載枠の開口部に挿入したときに搭載枠に係合して、該光ファイバ保持体の搭載枠背面側への移動を規制するストッパ用係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光用架体である。
本願における請求項4に係る発明は、前記係合部が前記光ファイバ保持体の背面側の一方の角部に設けられており、前記配線用エレメントと合体させた光ファイバ保持体を前面側から搭載枠内へ挿入した時に、該係合部が前記搭載枠の開口部に係合すると同時に、光ファイバ保持体の背面側の他方の角部が開口部に当接して係合するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の光用架体である。
本願における請求項5に係る発明は、前記光ファイバ保持体の前後方向の寸法が、左右方向の寸法よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光用架体である。
本願における請求項6に係る発明は、前記光ファイバ保持体の前後方向の寸法が、前記搭載枠の背面側の開口部の寸法よりも短いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光用架体である。
本願における請求項7に係る発明は、前記配線用エレメントが、薄板状のエレメント本体と、可動アームとを有しており、前記エレメント本体には、前記光ファイバ保持体へ合体させるための係合部と、該光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを収納する溝が設けられており、前記可動アームは、前記エレメント本体に設けられた回転軸によって該エレメント本体に対して回転自在に枢着され、配線用エレメントを搭載枠に収納した時に搭載枠の前後方向に直交する方向の軸線を以て回転可能であり、さらに前記光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを保持する光ファイバ保持部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光用架体である。
本願における請求項8に係る発明は、背面側から前面側まで貫通する開口部が形成されている搭載枠の前記開口部に、光ファイバの途中に取り付けた薄板状の光ファイバ保持体と、この光ファイバ保持体から前記搭載枠の前面側に延出された光ファイバを保持して光ファイバの前記搭載枠からの引き出し方向を設定する配線用エレメントとが上下に多段に収納されるようになっており、光ファイバの途中に取り付けた光ファイバ保持体を、搭載枠の背面側から該搭載枠の前記開口部を経由して前記搭載枠の前面側に取り出すことで、光ファイバを前記搭載枠の前記開口部に引き通して挿通せしめるとともに、前記搭載枠の前面側にて、前記光ファイバ保持体と前記配線用エレメントとを合体して、前記光ファイバ保持体を前面側から前記搭載枠内に収納することにより、前記搭載枠から前面側へ引き出される光ファイバが前記配線用エレメントによって保持されることを特徴とする光配線方式である。
【0013】
請求項1、3〜8に係る発明の構成によれば、光ファイバを搭載枠の背面側から前面側へ搭載枠に引き通すようにして配線して、前記光ファイバの搭載枠からその前面側に引き出した部分を所望の方向に配線する構造であるため、コネクタ接続や中継用の光ファイバを介する従来構造に比べて、光ファイバの配線に関わる部品点数の削減、低コスト化を容易に実現できる。複数本の光ファイバが搭載枠の開口部を通って搭載枠の前面側から引き出されて、接続ユニットで別の光ファイバと接続するので、従来のような中継の光ファイバを用いる必要がなくて部品点数を少なくでき、簡単な構成の光用架体又は光配線方式を提供できる。
【0014】
また、これらの構成によれば、前記光ファイバ保持体は、光ファイバを保持したまま前記搭載枠の背面側から前記開口部を通って前記搭載枠の前面側に取り出すことができ、さらに、前記搭載枠の前面側にて前記配線用エレメントと合体されて、前記配線用エレメントと合体したまま前記搭載枠の前面側から前記搭載枠内に収納されるようになっているので、光ファイバ保持体と配線用エレメントとの合体が、搭載枠内ではなく搭載枠の前面側でなされるので、合体作業が容易となる。
【0015】
請求項2に係る発明の構成によれば、容易に光ファイバを搭載枠から目的の接続部へコネクタ接続することができ、更に、光ファイバの接続位置の変更も同様に容易に行えるため、配線の切り換えも簡便に行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。図1(a)は、本発明に係る光用架体の概要を示す前面図であり、図1(b)は図1(a)中のX−X矢視図を示したものである。また、図2(a)はその背面図であり、図2(b)は図2(a)中のY−Y矢視図を示したものである。なお、以下の説明において参照する図面中、従来例の構成と同一構成については同一の符号を付すこととする。
【0017】
光用架体100は、架本体2内に、成端部3と光ファイバ配線部4Aとを備えて構成されており、図1中左側の成端部3と、図1中右側の光ファイバ配線部4Aとに2分された構造になっている。
なお、図1(a),(b)、図2(a),(b)において、上側が上、下側が下である。また、ここでは、図1(a)紙面手前,図1(b)の左側,図2(b)の右側を前面側と称し、図1(b)の右側,図2(a)紙面手前,図2(b)の左側を背面側と称することとする。
【0018】
成端部3は、図15等を参照して説明した光用架体1の成端部3と同様の構造であり、各接続ユニット32に収納された光モジュール31の光コネクタアダプタ33は、架前面側に臨ませて設けられている。
【0019】
前記光ファイバ配線部4Aには、搭載枠5が上下に多段に収納されている。搭載枠5は、背面側(図1(a)紙面奥側)から前面側(図1(a)紙面手前側)に貫通する開口部51を有している。なお、光ファイバ配線部4Aは、その上下全体に渡って1つの搭載枠5が収納されたものでも構わない。
【0020】
この搭載枠5は、薄板状の光ファイバ保持体6と、やはり薄板状の配線用エレメント7を、上下に多段に収納するラックである。光ファイバ保持体6と配線用エレメント7とは、合体されて、一枚の薄板状の光ファイバ保持ユニット10を構成しており、搭載枠5には、前記光ファイバ保持ユニット10が上下に多段に搭載される。光ファイバ保持体6は、背面側から搭載枠5の開口部51内に挿入して、前面側に取り出すことができる。配線用エレメント7は、前面側から搭載枠5の開口部51内に挿入するようにして、光ファイバ保持体6に合体することができる。各光ファイバ保持ユニット10は、配線用エレメント7が、光ファイバ保持体6に対して架体前面側に配置されるようにして、搭載枠5に搭載される。
【0021】
また、搭載枠5の開口部51には、光ファイバ配線部4A側に導入された光ファイバケーブル9の端末から口出しされた多数本の光ファイバ91が、背面側から前面側に貫通させて挿通されており、この光ファイバ91の架本体2の前面側へ引き出された部分は光コネクタ92(図11参照)によってコネクタ接続可能に成端されており、成端部3の光モジュール31へ前面側より導入して光コネクタアダプタ33に切り替え可能にコネクタ接続することができる。搭載枠5内に挿通された光ファイバ91は、搭載枠5内に収容された光ファイバ保持体6と配線用エレメント7とに保持されており、配線用エレメント7から架前面側の所望の方向に引き出すようにして配線される。
前記光ファイバ91は、成端部3内の各光モジュール31の光コネクタアダプタ33に対して選択的にコネクタ接続できる。これにより光モジュール31にて、光ファイバ配線部4A側の光ファイバケーブル9から口出ししている光ファイバ91と、成端部3側の光ファイバケーブル8から口出ししている光ファイバ81とが光接続される。
【0022】
なお、光ファイバ91は、この実施形態では、多心又は単心の光ファイバコードであるが、これに限定されず、多心又は単心の光ファイバ心線等であっても良い。図2(a)等に示すように、光ファイバ81,91は、光ファイバ配線部4の背面側に導入された光ファイバケーブル8,9から口出しされたものであるが、本発明において、これら光ファイバ81,91は、必ずしも、光ファイバケーブルから口出しされたものである必要はなく、例えば、光用架体に外側から引き込まれた光ファイバ(例えば、光ファイバコード、光ファイバ心線等)自体であっても良い。また、これら光ファイバ81,91を架体に引き込むための、光ファイバケーブル8,9の架本体への導入位置も、図2(a)に例示したものに限定されるものではない。
【0023】
図1(a)中、符号21は、搭載枠5と成端部3との間に確保された余長収納空間であり、搭載枠5から成端部3へ引き込み配線した光ファイバ91の余長93が取り出し可能に収納される。この余長収納空間21では、光ファイバ91の余長93が、湾曲維持用部材(図示略)等によって、光特性に悪影響を与えない湾曲半径を維持して収納される。
図2(a)に示すように、架体背面側に設置された余長収納ボックス22は、光ファイバケーブル8から口出しされた光ファイバ81に確保した余長83を取り出し可能に収納するものである。
【0024】
本発明では、このように、光ファイバケーブル9から口出しされている光ファイバ91に、別途、ジャンパコードを接続する従来構成とは異なり、光ファイバ91は、搭載枠5の開口部51に挿通されて搭載枠5を貫通して配線されて、背面側から前面側に引き出されており、直接成端部3に引き込んで、光モジュール31の光コネクタアダプタ33に対して切り替え可能にコネクタ接続できるようになっている。
【0025】
次に本発明の要旨となる光ファイバ配線部4Aを構成する搭載枠5、光ファイバ保持体6、配線用エレメント7について、光ファイバ保持体6と配線用エレメント7の搭載枠5への収納方法も含めてより詳しく説明する。
図3は、光ファイバ保持体6と配線用エレメント7が搭載枠5に収容された状態を示す概略上面図である。図3において、紙面上側が架本体2の背面側であり、紙面下側が架本体2の前面側である。
【0026】
図4は、搭載枠5の一例を示す背面図であり、図5は、図4中A−A線での断面図を示す。搭載枠5は、背面側から前面側まで貫通した開口部51を有する角筒状のものである。なお、この搭載枠5は、ボルト等の固定手段によって架本体2に固定したり、架本体2に設けられた棚上に搭載することなどによって、架本体2に搭載される。
また、図4に示されたように、搭載枠5の背面側には、保持体係合部53と孔開き板54とが設けられている。これら保持体係合部53と孔開き板54とは、搭載枠5の開口部51を介して両側に対向位置されている。
【0027】
図4において、左右を横方向、上下を縦方向とすると、保持体係合部53と孔開き板54は開口部51を介して横方向に対向して位置する。保持体係合部53は、図4右側の搭載枠5側壁から開口部51内に張り出す板状の部材であって、搭載枠5の右側壁部52aに沿って該右側壁部52aの上下方向全体に渡って延在している。また、孔開き板54は、図4左側の搭載枠5の左側壁部52bから開口部51内に張り出す板状の部材であり、左側壁部52bに沿って該左側壁部52bの上下方向全体にわたって延在している。この孔開き板54には、複数の孔54aが該左側壁部52bの延在方向に沿って配列して形成されている。
前記保持体係合部53と孔開き板54は、搭載枠5に挿入、収納した光ファイバ保持体6に対して、搭載枠5の背面側への移動を規制するストッパ部として機能するとともに、この実施形態では、孔開き板54は、光ファイバ保持体6を搭載枠5内でガタ付かないように安定支持するための保持手段としても機能する。
【0028】
この搭載枠5の内側面55には、図5に示されたように、搭載枠5の前面から背面に向かって延びるガイド突条56が上下に多段に設けられている。上下のガイド突条56の間に形成された収納溝57は、搭載枠5の前面から背面に向かって延在形成されている。搭載枠5の開口部51に挿入された光ファイバ保持ユニット10(本実施形態において具体的には光ファイバ保持体6)は、横方向両端部を搭載枠5の横方向両側の収納溝57によってほぼ水平に支持されるようになっている。これにより、搭載枠5には、複数の光ファイバ保持ユニット10を上下に多段に搭載できるようになっている。
【0029】
なお、搭載枠としては、収納溝、あるいは、搭載枠の開口部に挿入された光ファイバ保持体6を支持するための支持突起(前述のガイド突条等)が形成された一対の側壁部を有し、この両側の側壁部の収納溝あるいは支持突起によって、該一対の側壁部の間の開口部(換言すれば光ファイバ保持体が挿入、収容される空間)に挿入された光ファイバ保持体6を保持できる構成であればよく、前述した角筒状の構成に限定されない。また、この実施の形態では、搭載枠として、上下方向に延在する一対の側壁部(右側壁部52aと左側壁部52b)に、光ファイバ保持ユニット10を支持するための収納溝57が上下に多段に形成されたものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、収納溝57が形成される一対の側壁部の延在方向が例えば水平方向になっているもの等でも良く、一対の側壁部の延在方向の向きには限定は無い。また、収納溝57は、搭載枠の前後方向(背面側と前面側とを結ぶ方向。図5(a)奥行き方向、図5(b)左右方向)に沿って延在するものであれば良く、必ずしも、側壁部の延在方向に対して直交する方向に延在するものである必要は無い。
【0030】
収納溝57や支持突起は、搭載枠5の一対の側壁部に直接形成されたものに限定されず、例えば、搭載枠は、スチール板等の金属板によって形成された一対の側壁部に接合したインナープレートに形成されたもの等であっても良い。この場合は、インナープレートが接合された側壁部によって、搭載枠の側壁部が構成される。インナープレートは、例えばプラスチック等の樹脂製のもの等を採用できる。例えば、インナープレートとして、保持体係合部53又は孔開き板54が一体に形成されたものを採用することができ、この場合は、インナープレートを搭載枠の側壁部に取り付けるだけで、これに一体の保持体係合部53や孔開き板54も搭載枠に簡単に設けることができる。
また、光ファイバ保持体6や、配線用エレメント7の構成や寸法等に対応して、適宜、これら光ファイバ保持体6や、配線用エレメント7の安定支持に適したインナープレートを選択使用することも可能である。
【0031】
図6は、光ファイバ保持体6の一例を示す平面図であり、図7は、図6中B−B’線での断面図を示す。光ファイバ保持体6は、プラスチック等の合成樹脂によって薄板状に形成された保持体本体6Aを有している。この保持体本体6Aの上面6B上には、該保持体本体上面6Bから窪んだ形状の光ファイバ配線溝63が、保持体本体6Aの背面側端面61(搭載枠5に設置したときに架背面側に向けられる端面)から前面側端面62(搭載枠5に設置したときに架前面側に向けられる端面)にわたって貫通して形成されている。符号63aは光ファイバ配線溝63が背面側端面61に開口する開口部である。光ファイバ配線溝63内には、多数本の光ファイバ91を収納可能である。
【0032】
また、符号65のクランプ65は、光ファイバ配線溝63内に収容された光ファイバ91が光ファイバ配線溝63から飛び出ないように押さえ込む機能を果たすものであり、保持体本体6Aに対して着脱可能になっている。
【0033】
また、光ファイバ保持体6の背面側の一方の角部には、搭載枠5の角部に設けられた孔開き板54の孔54aに係合する係合突部68cが設けられている。
係合突部68cは、保持体本体6Aに設けられた係合突部基部68a、及び係合突部基部68aの先端部に一体として設けられており、孔開き板54の孔54aに係合する部分である係合突部係合部68bとを備えている。
【0034】
係合突部68cは、後述する光ファイバ保持体6を搭載枠5に連結するためのものである。
また、光ファイバ保持体6の前面側の他方の角部には、配線用エレメント7の係合突起76が係合する孔部79が設けられている。
【0035】
前記した光ファイバ保持体6の前面側には、図3に示すように、配線用エレメント7が接続、合体できるようになっている。この配線用エレメント7は、プラスチック等の合成樹脂によって薄板状に形成されたエレメント本体7Aと、このエレメント本体7Aに設けられた回転軸71によってエレメント本体7Aに対して回転自在に枢着された可動アーム72とを有している。
可動アーム72は、配線用エレメント7を搭載枠5に収納したとき(図1(b)に示す状態)に、エレメント本体7Aに対して架前面側に配置されるようになっており、しかも、図3に示すように、前記回転軸71を中心として搭載枠5の前後方向にほぼ直交する方向の軸線を以て回転(この実施形態では上下方向の軸線を中心とする回転)することによって、搭載枠5に対する可動アーム72の向きを変更できる。
【0036】
可動アーム72には、配線用エレメント7に合体される光ファイバ保持体6から前面側端面62の側に延出されている光ファイバ91を保持する光ファイバ保持部73が設けられている。
前記光ファイバ保持部73は、可動アーム72に形成された光ファイバ収容溝74と、この光ファイバ収容溝74に収容された光ファイバ91が光ファイバ収容溝74から飛び出ないように押さえ込む保持片75とを有して構成されている。前記光ファイバ収容溝74は、可動アーム72を貫通して形成されており、しかも、多数本の光ファイバ91を収容できるようになっている。保持片75は、光ファイバ収容溝74上を覆うように配置された小片であり、この保持片75を光ファイバ収容溝74から押し上げるようにして、光ファイバ収容溝74を開放することで、光ファイバ収容溝74に対する光ファイバ91の収容や取り出し等の作業を行うことが可能である。
【0037】
配線用エレメント7は、光ファイバ保持体6から架体前面側に引き出される光ファイバ91を、可動アーム72の光ファイバ保持部73に保持し、しかも、前記回転軸71を中心とする可動アーム72の回転によって、光ファイバ91の搭載枠5から架体前面側に引き出された部分の配線方向(換言すれば、搭載枠から架前面側への引き出し方向)の選択、切り替え、変更等を容易に行えるようにする機能を果たす。
なお、配線用エレメント7としては、搭載枠5から架体前面側に引き出された光ファイバの配線方向の選択、切り替え、変更を簡単に行えるようにする構成であれば良く、前述した可動アーム72のように、架体前面側にて光ファイバを保持したまま回転することで光ファイバの配線方向を変更、設定する部材を備える構造の他、例えば、架体前面側に突出されたアーム(図示略)の複数箇所に設けられている光ファイバ保持部を選択して、光ファイバを保持することで、光ファイバの配線方向を設定できる構造を有するもの等、各種構成を採用できる。
【0038】
次に、前記光ファイバ保持体6と配線用エレメント7を搭載枠5へ収納する方法(換言すれば、本発明に係る光用架体、光配線方式における、光ファイバ保持体6や配線用エレメント7を用いた、光ファイバの配線手順)を、図8〜図10等を参照して説明する。
まず、図8に示すように、光ファイバ保持体6の光ファイバ配線溝63(図6,図7参照)に光ファイバ91を収容して、クランプ65を用いて押さえ込み、光ファイバ91の途中に光ファイバ保持体6を取り付けた状態とする。
【0039】
それから、図8に示されたように、光ファイバ保持体6が搭載枠5に収容される位置に対し、光ファイバ保持体6を反時計回りに90°回転させた状態で、光ファイバ保持体6を搭載枠5の背面側の開口部51から前面側に向かって挿入する。
光ファイバ保持体6の側面長さLより、搭載枠5の背面側の開口部長さWが大きいため、光ファイバ保持体6は搭載枠5の開口部51に挿入可能である。
尚、図8において、光ファイバ保持体6を反時計回りに90°回転させた状態で、光ファイバ保持体6を搭載枠5の背面側の開口部51から前面側に向かって挿入しているが、光ファイバ保持体6の回転方向、回転角度は問題とされず、光ファイバ保持体6の側面長さLより、搭載枠5の背面側の開口部長さWが大きければ、光ファイバ保持体6の挿入が可能となる。
【0040】
このとき、光ファイバ保持体6から引き出された光ファイバ91は、光ファイバ保持体6の挿入方向後方に位置することとなるため、光ファイバ91が邪魔にならずに容易に光ファイバ保持体6を搭載枠5に挿入することができる。
【0041】
そして、図9に示されたように光ファイバ保持体6を搭載枠5の開口部51に通し、この光ファイバ保持体6が完全に搭載枠5の前面より外方の位置にもってくる。
次に、光ファイバ保持体6を搭載枠5の前面側の外方で回転させて、この状態で光ファイバ保持体6の孔部69に配線用エレメント7の係合突起76を係合させて、両者を合体させる。
尚、合体のための構造には、特に限定はなく、嵌合、連結用クリップ等を用いた結合等、各種が採用可能である。
【0042】
そして、配線用エレメント7の溝78内に光ファイバ91を嵌めると共に、保持片75を開けて、図3に示されたように光ファイバ保持体6から引き出された光ファイバ91の途中の経路を光ファイバ収容溝74に収容する。
【0043】
光ファイバ保持体6と配線用エレメント7を合体させた状態で、搭載枠5の前面側から搭載枠5の開口部51へ挿入し、搭載枠5に設けられた孔開き板54の孔54aに光ファイバ保持体6の係合突部68cを係合させる。
以上により、図3に示されたように、光ファイバ保持体6及び配線用エレメント7が搭載枠5の背面側に連結された状態となる。
【0044】
以上のようにして、本発明の光用架体1は、図11に示されたように、ジャンパーコードを用いず、光ファイバ91は、搭載枠5を通り、背面側から前面側に引き出される。
【0045】
本発明の一例として説明した光用架体100及び光配線方式では、該光用架体100の背面側に導入された光ファイバ91を、搭載枠5の背面側から前面側へ搭載枠5に引き通すようにして配線して、コネクタ接続や中継用の光ファイバを介することなく、搭載枠5からその前面側に引き出した光ファイバ91を所望の方向に配線する構造であるため、コネクタ接続や中継用の光ファイバを介する従来構造に比べて、光ファイバの配線に関わる部品点数の削減、低コスト化が容易である。また、接続箇所の減少によって、接続による光損失を抑えることができる利点もある。
【0046】
なお、光ファイバ保持体や配線用エレメントや搭載枠等の具体的構造、形状等は、前述した実施形態に記載したものに限定されず、適宜変更可能である。
光用架体の成端部は、光モジュールの光コネクタアダプタ(接続部)によって、光ファイバ同士の接続を実現する構成に限定されず、光ファイバ同士の接続部が設置される構成であれば良く、例えば、光ファイバ同士の接続部として採用した融着接続部等を収納する構造等、各種構成を採用可能である。
本発明に係る光配線方式は、光用架体に限定されず、光ファイバを保持する光ファイバ保持体と、光ファイバの配線方向を設定する配線用エレメントとを具備して構成される光ファイバ保持ユニットを搭載する搭載枠を有する各種構成の光配線設備に適用できる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、光ファイバを搭載枠の背面側から前面側へ搭載枠に引き通すようにして配線して、前記光ファイバの搭載枠からその前面側に引き出した部分を所望の方向に配線する構造であるため、コネクタ接続や中継用の光ファイバを介する従来構造に比べて、光ファイバの配線に関わる部品点数の削減、低コスト化を容易に実現できる。複数本の光ファイバが搭載枠の開口部を通って搭載枠の前面側から引き出されて、接続ユニットで別の光ファイバと接続するので、従来のような中継の光ファイバを用いる必要がなくて部品点数を少なくでき、簡単な構成の光用架体又は光配線方式を提供できる。
【0048】
また、本発明によれば、前記光ファイバ保持体は、光ファイバを保持したまま前記搭載枠の背面側から前記開口部を通って前記搭載枠の前面側に取り出すことができ、さらに、前記搭載枠の前面側にて前記配線用エレメントと合体されて、前記配線用エレメントと合体したまま前記搭載枠の前面側から前記搭載枠内に収納されるようになっているので、光ファイバ保持体と配線用エレメントとの合体が、搭載枠内ではなく搭載枠の前面側でなされるので、合体作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光用架体の一例を示す概略図であり、(a)は前面図であり、(b)は(a)中のX−X矢視図である。
【図2】 本発明の光用架体の一例を示す概略図であり、(a)は背面図であり、(b)は(a)中のY−Y矢視図である。
【図3】 搭載枠に収容された光ファイバ保持体と薄板状の配線用エレメントの一例を示す概略図である。
【図4】 搭載枠の一例を示す背面図である。
【図5】 図4中A−A線での断面図である。
【図6】 光ファイバ保持体の一例を示す上面図である。
【図7】 図6中B−B’線での断面図である。
【図8】 搭載枠の背面側にて、光ファイバ保持体を光ファイバに取り付けた状態を示す平断面図である。
【図9】 図8の光ファイバ保持体を搭載枠の開口部に挿入、通過させて、搭載枠の前面側に取り出した状態を示す平断面図である。
【図10】 図9の光ファイバ保持体を搭載枠前面側から搭載枠の開口部に挿入した状態を示す平断面図である。
【図11】 本発明の光用架体の一例を示す配線図である。
【図12】 従来の光用架体の一例を示す概略図であり、(a)は前面図であり、(b)は(a)中のX−X矢視図である。
【図13】 従来の光用架体の一例を示す配線図である。
【符号の説明】
5‥‥搭載枠、6‥‥光ファイバ保持体、7‥‥配線用エレメント、8,9‥‥光ファイバケーブル、31‥‥接続部(成端モジュール)、32‥‥接続ユニット、33‥‥光コネクタアダプタ、51‥‥開口部、81,91‥‥光ファイバ、92‥‥光コネクタ、100‥‥光用架体

Claims (8)

  1. 複数本の光ファイバ(91)を別の光ファイバ(81)へ分岐又は接続する光用架体(100)において、
    背面側から前面側まで貫通する開口部(51)が形成されている搭載枠(5)と、該搭載枠の背面側から開口部に挿通して前面側に引き出された光ファイバ(91)に別の光ファイバ(81)を接続した接続部(31)が設けられる接続ユニット(32)とを備え、
    前記搭載枠には、前記開口部に挿通された光ファイバを保持する薄板状の光ファイバ保持体(6)と、該光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを保持するとともに、前記搭載枠内を引き通された光ファイバの該搭載枠からの引き出し方向を設定する配線用エレメント(7)とが上下に多段に収納されるようになっており、
    前記光ファイバ保持体は、光ファイバを保持したまま前記搭載枠の背面側から前記開口部を通って前記搭載枠の前面側に取り出すことができ、さらに、前記搭載枠の前面側にて前記配線用エレメントと合体されて、前記配線用エレメントと合体したまま前記搭載枠の前面側から前記搭載枠内に収納されるようになっていることを特徴とする光用架体。
  2. 前記搭載枠の開口部に挿通された光ファイバが、光コネクタによってコネクタ接続可能に成端された光ファイバであり、前記接続ユニットには、前記搭載枠から前面側に引き出された前記光ファイバに対して前記別の光ファイバをコネクタ接続可能に成端した光コネクタアダプタ(33)が複数、配列設置されていることを特徴とする請求項1に記載の光用架体。
  3. 前記光ファイバ保持体には、搭載枠の開口部に挿入したときに搭載枠に係合して、該光ファイバ保持体の搭載枠背面側への移動を規制するストッパ用係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光用架体。
  4. 前記係合部が前記光ファイバ保持体の背面側の一方の角部に設けられており、前記配線用エレメントと合体させた光ファイバ保持体を前面側から搭載枠内へ挿入した時に、該係合部が前記搭載枠の開口部に係合すると同時に、光ファイバ保持体の背面側の他方の角部が開口部に当接して係合するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の光用架体。
  5. 前記光ファイバ保持体の前後方向の寸法(L)が、左右方向の寸法よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光用架体。
  6. 前記光ファイバ保持体の前後方向の寸法(L)が、前記搭載枠の背面側の開口部の寸法(W)よりも短いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光用架体。
  7. 前記配線用エレメントが、薄板状のエレメント本体(7A)と、可動アーム(72)とを有しており、
    前記エレメント本体には、前記光ファイバ保持体へ合体させるための係合部と、該光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを収納する溝(78)が設けられており、
    前記可動アームは、前記エレメント本体に設けられた回転軸(71)によって該エレメント本体に対して回転自在に枢着され、配線用エレメントを搭載枠に収納した時に搭載枠の前後方向に直交する方向の軸線を以て回転可能であり、さらに前記光ファイバ保持体から搭載枠前面側に延出されている光ファイバを保持する光ファイバ保持部(73)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光用架体。
  8. 背面側から前面側まで貫通する開口部(51)が形成されている搭載枠(5)の前記開口部に、光ファイバ(91)の途中に取り付けた薄板状の光ファイバ保持体(6)と、この光ファイバ保持体から前記搭載枠の前面側に延出された光ファイバを保持して光ファイバの前記搭載枠からの引き出し方向を設定する配線用エレメント(7)とが上下に多段に収納されるようになっており、
    光ファイバの途中に取り付けた光ファイバ保持体を、搭載枠の背面側から該搭載枠の前記開口部を経由して前記搭載枠の前面側に取り出すことで、光ファイバを前記搭載枠の前記開口部に引き通して挿通せしめるとともに、前記搭載枠の前面側にて、前記光ファイバ 保持体と前記配線用エレメントとを合体して、前記光ファイバ保持体を前面側から前記搭載枠内に収納することにより、前記搭載枠から前面側へ引き出される光ファイバが前記配線用エレメントによって保持されることを特徴とする光配線方式。
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