JP3818556B2 - クレーンの旋回減速制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停止領域の所定角度手前からブームを旋回減速させて自動停止させるクレーンの旋回減速制御装置に関し、特には旋回制動領域内でのブームの起伏駆動や伸縮駆動により作業可能な作業半径を適正化できるクレーンの旋回減速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋回体上に起伏自在に及び/又は伸縮自在にブームを設けたような移動式クレーンは、通常、例えば車体の前後部の左右にそれぞれ張り出し可能なアウトリガを備えており、吊り荷作業中はこのアウトリガを所定長張り出して、移動式クレーンが転倒しないようにアウトリガによって支持している。一般的に、このような移動式クレーンには、吊り荷条件及びアウトリガの張出量等に応じて設定された限界作業領域を作業状態が超えた場合に強制的にクレーンを自動停止させる安全装置が備えられている。
【0003】
従来、この種の移動式クレーンの安全装置としては、例えば特公平8−5623号公報に開示されたものが知られている。図11〜図13は同号公報に記載された安全装置を表しており、以下、同図に基づいて説明を行う。
図11は、移動式クレーンの一例を表す側面図である。同図において、移動式クレーン100は、鉛直方向の旋回軸101の回りに旋回可能なブームフット102(本発明の実施形態での旋回体(3) に相当する)を備え、このブームフット102に、伸縮可能なブームB(本発明の実施形態でのブーム(5) に相当する)が取り付けられている。このブームBは水平方向の回動軸103を中心に起伏可能に構成され、その先端部にロープ104で吊り荷Cが吊り下げられている。また、この移動式クレーン101のロアフレーム(本発明の実施形態での下部走行体2に相当する)の前後左右の4隅には、側方に張り出されるアウトリガジャッキ105(本発明の実施形態でのアウトリガ11に相当する)が配設されている。
【0004】
この移動式クレーン101には安全装置の演算制御装置(ここでは図示せず)が備えられており、この演算制御装置の所定の演算処理により、吊り荷Cの荷重(以後、吊上げ荷重と言う)W及び作業半径Rが算出され、またこの作業半径Rと、ブーム長LBと、所定の安全係数と、旋回角θと、各アウトリガジャッキ105のそれぞれの張出量とに基づいて定格荷重を算出し、これらの算出データに基づいて旋回角度に応じた作業半径を求めて限界作業領域、すなわち安全な範囲でブーム先端が移動できる領域を求めている。
【0005】
図12は、このようにして吊り上げ荷重Wの大きさ、及びアウトリガジャッキ105の各張出量の違いに応じて求められた限界作業領域を示している。同図において、61〜64はそれぞれ吊上げ荷重Wの大きさに応じた限界作業領域を表しており、吊上げ荷重Wが大きい程この限界作業領域の作業半径が小さくなる。また、FL,FR,RL,RRは各アウトリガジャッキ105の張出位置を表しており、張出量が小さい側(同図では移動式クレーン100の左側)の作業半径は小さくなっている。
【0006】
そして、実際の作業時には、この限界作業領域を超えないように、かつ、吊り荷Cが振れないように、ブーム先端部が前記限界作業領域の境界線に近づいたら旋回角速度を所定の角加速度で減速させて、前記境界線上に停止させるようにしている。すなわち、現在の吊り荷Cのロープ長に基づいて荷振れ周期Tを求め、減速開始した時点から前記荷振れ周期Tの整数倍の時間nT後に停止させることにより、荷振れなく停止させている。さらに、現在の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域(図12において、例えば限界作業領域62)の内側(例えば、同図の位置A1)で旋回している場合、このときの旋回角速度(制動前の角速度)から減速して前記所定の時間nT後に停止するのに要する所要旋回角度|θr|を算出し、また現在の作業半径で旋回したとき停止させるべき前記境界線上の位置(ここでは位置A2)を算出し、この位置A2よりも前記算出した所要旋回角度|θr|だけ手前の位置A3から前記旋回制動処理を開始することにより、前記境界線上(位置A2)で停止させることができる。
【0007】
、また、この旋回制動中に、作業半径が大きくなる方向、すなわちブームBの伸長方向又は伏せ方向に駆動すると、最終的な停止位置が限界作業領域を超えてしまうので、旋回制動中はこの方向の駆動を強制的に停止させている。なお、縮小方向又は起こし方向の駆動は安全性を損なう恐れが無いので、旋回制動中は強制停止しないようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特公平8−5623号公報に開示されているような従来の安全装置においては、以下のような問題が生じる。
図13は、所定の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域(例えば、前記限界作業領域62)を表している。いま、限界作業領域62の境界線近傍の位置Pにブーム先端部を移動させるように、図示の矢印K1に沿ってブームの伏せ方向及び/又は伸長方向の操作を行いながら旋回しているとする。このとき、ブーム先端部の作業半径が位置Pの作業半径Rpと等しくなる前に、前記境界線上の停止すべき位置Q2より前記所要旋回角度|θr|だけ手前の減速開始位置Q1に到達したとすると、この後は前述の方法によって伸長方向及び/又は伏せ方向の駆動は強制的に停止し、作業半径R1が一定のままで旋回制動を行う。したがって、図示の点線で表された移動が停止するので、ブーム先端部を所望のP位置まで移動できない。この結果、現在の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域内を最大限に使用して能率的に作業することができないと言う問題が生じている。
【0009】
また、図示の矢印K2で表すように、例えばブーム先端部が所定の作業半径R2で(ここでは、限界作業領域62の最大半径に相当する境界線上を)旋回し、前記境界線上の停止すべき位置Q4より前記所要旋回角度|θr|だけ手前の減速開始位置Q3に到達した後、旋回制動中に限界作業領域62の前記停止位置Q4を回避するためにブームBを縮小方向及び/又は起こし方向に駆動したとする。この場合、前記旋回制動制御によると、図13に示すように前記停止位置Q4に対応した旋回角度の位置Q5に到達したら一旦旋回を停止させており、この後、旋回の駆動が行われるようになっている。しかしながら、停止したときの位置Q5は限界作業領域の境界線よりも充分に旋回中心側にあるので、本来は旋回駆動を停止する必要がない位置で停止していることになる。この結果、作業能率が損なわれてしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、旋回制動中であっても限界作業領域の境界線近傍まで最大限にクレーン作業ができ、作業能率を向上できるクレーンの旋回減速制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、旋回自在な旋回体3と、旋回体3の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム5と、旋回体3を旋回させる旋回モータ41と、旋回体3の旋回角度を検出する旋回角センサ26と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー51と、ブーム5の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム5の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体3の旋回動作、及び、ブーム5の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域ACを演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー51の操作指令に基づいて旋回モータ41を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ26から入力する旋回角度が前記停止領域ACよりも所定制動角度手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1,θd2に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御し、旋回体3を自動停止させる制御器30とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、
ブーム5の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ21、及び/又は、ブーム5の起伏角を検出するブーム起伏角センサ22を設け、
前記制御器30は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径Rnを演算する作業半径算出部36と、
この所定時間毎の作業半径Rnに基づいて現在の作業半径変化速度VRを演算する作業半径変化速度算出部37と、
前記旋回制動領域Gでの制動に要する制動時間t1及び角加速度を演算する目標減速角加速度算出部34と、
前記作業半径変化速度VR及び前記制動時間t1に基づいて、制動時間t1後の予測作業半径Reを予測する予測作業半径算出部38と、
前記停止領域ACの旋回方向の境界線73,74上で、かつ、作業半径が前記予測作業半径Reと等しい停止位置を求め、この停止位置よりも前記旋回制動に要する所定制動角度だけ手前の減速開始旋回角度θd1,θd2に旋回角度が到達したとき、前記ブーム5の起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動を継続させて所定速度で制御すると共に、旋回体3を前記旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から前記算出した角加速度で漸次減速して停止させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御する旋回制御量算出部35とを備えた構成としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によると、旋回制動領域に入っても、旋回のみ減速させ、ブームの起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動は継続させておく。このとき、作業半径の変化速度に基づいて制動時間後の作業半径を予測し、停止領域の境界線上の前記予測作業半径に対応した停止位置よりも所定制動角度手前の減速開始旋回角度から減速させるので、前記停止位置を超えないように確実に停止させることができる。したがって、起伏や伸縮の駆動により限界作業領域の境界線近傍まで最大限に使用することができ、クレーン作業性が良くなるので、作業能率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときに、前記旋回制御量算出部35が制御するブーム5の起伏方向及び/又は伸縮方向の所定速度は、それぞれ、起伏操作レバー及び/又は伸縮操作レバーの操作量に応じた速度としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、前記旋回制動中の起伏方向及び/又は伸縮方向の速度は、それぞれの操作レバーの操作量に応じた速度に制御されているので、オペレータが所望する作業半径の位置までブーム先端部を移動できる。よって、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、旋回自在な旋回体3と、旋回体3の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム5と、旋回体3を旋回させる旋回モータ41と、旋回体3の旋回角度を検出する旋回角センサ26と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー51とブーム5の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム5の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体3の旋回動作、及び、ブーム5の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域ACを演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー51の操作指令に基づいて旋回モータ41を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ26から入力する旋回角度が前記停止領域ACよりも所定角度手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1,θd2に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御し、旋回体3を自動停止させる制御器30とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、
ブーム5の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ21、及び/又は、ブーム5の起伏角を検出するブーム起伏角センサ22を設け、
前記制御器30は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径Rnを演算する作業半径算出部36と、
前記旋回制動領域Gでの旋回制動により旋回が自動停止するまでの間に、前記現在の作業半径Rnが前記旋回制動領域Gの旋回中心側の限界作業半径Raより小さくなったとき、前記旋回制動を中断して旋回操作レバー51の操作量に基づく旋回角速度の制御を開始する旋回制御量算出部35とを備えた構成としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によると、旋回制動中に、ブームの起こしや縮小により作業半径が旋回制動領域の限界作業半径より小さくなって旋回制動領域の外部に脱出したときは、旋回制動を中断して旋回操作レバーの操作量による通常の旋回角速度制御が行われる。したがって、従来の如く旋回制動により一旦停止することなく、継続して旋回、起伏及び伸縮の速度を制御できるので、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
前記旋回制御量算出部35は、前記旋回制動を中断した後、その時の旋回角速度から旋回操作レバー51の操作量に応じた旋回角速度まで所定角加速度で増速させるようにしている。
【0018】
請求項4に記載の発明によると、旋回制動領域を脱出して旋回制動を中断した後には、旋回角速度を旋回操作レバーの操作量に応じた旋回角速度まで所定角加速度で滑らかに加速させるので、ブームに過大な横荷重がかからなくなる。よって、ブームの破損防止及び寿命向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる移動式クレーン1の側面図を示している。同図において、下部走行体2の略中央部には旋回自在な旋回体3が配設されており、この旋回体3の上部には、起伏シリンダ4により起伏自在に駆動され、かつ、図示しない伸縮シリンダにより伸縮自在に駆動される多段ブーム5(以後、ブーム5と言う)が取着されている。そして、ブーム5の先端部にはシーブ6が回転自在に取着されており、旋回体3上に配設された図示しないウインチからのロープ7がこのシーブ6を経由して導出されている。ロープ7の先端にはフック8が取り付けられており、フック8により荷9が吊り下げられるようになっている。また、下部走行体2の前後部の左右側面には、それぞれ側方に張り出し可能で、かつ、地面に対して垂直方向に伸縮自在な車体支持用シリンダを有するアウトリガ11が配設されており、吊り荷作業時にはこのアウトリガ11が張り出されて車体の安定が図られる。
【0020】
図2は第1実施形態の本旋回減速制御装置に係わる限界作業領域、旋回制動領域及び停止領域の説明図であり、移動式クレーン1の平面図により表している。同図は現在の吊上げ荷重に対応した限界作業領域及び停止領域を表わしているものである。また、図示で右側のアウトリガ11の張出量Saが左側の方よりも小さい場合を示しており、この場合には右側側方に停止領域ACが設定される。すなわち、現在のブーム5の伸長長さ、ブーム5の起伏角度、荷9の吊上げ荷重、及びアウトリガ11の各張出量などに基づいて、ブーム5の先端部が移動できない停止領域ACが設定される。この停止領域ACの内側、つまり旋回中心Oa寄りの境界線71の限界作業半径をRaとしており、この限界作業半径Raはブーム5が全周において旋回可能な半径となっている。また、この停止領域ACと反対側、すなわち前記張出量が大きい左側には、現在の吊上げ荷重での最大許容作業半径Rmを有する境界線72が設定されている。
【0021】
また、境界線72と停止領域ACとが交差する位置をM1、M2とする。すなわち、この位置M1、M2は、最大許容作業半径Rmで旋回時に停止すべき停止領域ACの境界線上の停止位置である。同様にして、前記限界作業半径Raで旋回時に停止すべき停止領域ACの境界線上の停止位置をM3、M4とする。停止位置M1と停止位置M3を結ぶ境界線73、及び停止位置M2と停止位置M4を結ぶ境界線74はそれぞれ停止領域ACの旋回方向両端部の境界線を表している。作業半径Rnが大きくなるにつれて停止領域ACの旋回角度範囲が大きくなっており、逆に言うと旋回可能な旋回角度範囲が小さくなっている。このとき、停止位置M3から停止位置M1への旋回角度、及び停止位置M4から停止位置M2への旋回角度はそれぞれ所定角度β設定される。また、これらの境界線71,72,73,74により囲まれた領域が限界作業領域AKとして設定される。
【0022】
そしてまた、前記境界線73及び境界線74を境に停止領域ACに隣接して、すなわち旋回方向の手前に旋回制動領域Gを設けており、旋回時にブーム先端部がこの旋回制動領域Gの両端の旋回方向から侵入したときは、この旋回制動領域G内において所定の角加速度で減速して境界線73又は境界線74で停止するようにしている。
【0023】
図3は、本旋回減速制御装置に係わるブロック図を示している。本旋回減速制御装置に係わる以下の各種センサは、それぞれ移動式クレーン1の所定位置に配設されている。ブーム長センサ21はブーム5の起伏基端部から先端部までのブーム長La(図1参照)を検出しており、例えば、ブーム5内に内蔵された図示しないブーム伸縮用シリンダのストローク長を検出するリニアセンサ、又はブーム5内に内蔵された図示しないワイヤの伸縮時の繰出し量を検出するセンサなどで構成することができる。ブーム起伏角センサ22はブーム5の水平面に対する起伏角θa、すなわち俯仰角度を検出しており、例えばブーム5の起伏中心軸の回転角度を検出するエンコーダ等で構成することができる。また、ブーム起伏シリンダ圧力センサ23は起伏シリンダ4のボトム室側圧力及びヘッド室側圧力を検出するものであり、両圧力の差に基づいて起伏シリンダ4にかかる荷重値及び荷9の吊上げ荷重が算出される。また、アウトリガ張出量センサ25は、前記各アウトリガ11のそれぞれの張出量Saを検出しており、例えばエンコーダ等で構成される。そして、旋回角センサ26は旋回角度の基準位置(例えば下部走行体2の前方方向)に対する旋回角度を検出しており、例えば旋回中心に配設された図示しない旋回スイベル装置などに取着されるポテンショメータやエンコーダ等で構成される。
【0024】
旋回角速度センサ27は、例えば後述する旋回モータの回転軸、あるいは前記旋回スイベル装置の回転軸などに取着されるエンコーダ等によって構成され、この旋回角速度センサ27から出力されるパルス列の単位時間当たりパルス数を計数することにより旋回角速度を算出することができる。また、ロープ長センサ28は図示しないウィンチから繰出されるロープ7の長さを検出しており、例えばこのウィンチの回転数を検出するエンコーダやパルス発生器等で構成することができる。これらの各センサの検出信号は後述する制御器30に入力されるようになっている。
【0025】
旋回制御油圧回路40は、旋回操作レバー51の操作量に応じて旋回モータ41の回転速度及び方向を制御すると共に、後述する制御器30からの制御量に基づいて旋回モータ41の回転速度を制御するように構成された油圧回路である。この旋回制御油圧回路40において、チャージポンプ48は管路61を経由して手動操作弁52にパイロット1次圧力を供給している。手動操作弁52はこのパイロット1次圧力を入力して旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力を出力する操作弁(PPC弁)であり、右旋回操作時又は左旋回操作時にこのパイロット2次圧力をそれぞれ管路62,63に出力する。これらの管路62,63は、それぞれ圧力制御弁45,46を介して方向切換弁42のパイロット操作部42d,42eに接続されている。圧力制御弁45,46からの戻り油は管路66を介してタンク50へドレーンされるようになっている。また、管路61と管路66との間には、チャージポンプ48からのパイロット油圧の圧力が所定圧力値でリリーフするようにリリーフ弁が接続されている。
【0026】
メインポンプ43から吐出された圧油は管路64及び方向切換弁42を介して旋回モータ41に供給され、旋回モータ41からの戻り油は方向切換弁42及び管路65を介してタンク47にドレーンするようになっている。方向切換弁42のスプールが中立位置aにあるときは、メインポンプ43からの圧油はタンク47にドレーンし、パイロット操作部42d又はパイロット操作部42eに前記パイロット2次圧力が入力されてスプールが位置b又は位置cに移動したときは、このパイロット圧力の大きさに比例した油量が旋回モータ41に供給され、旋回モータ41はこの油量に応じた回転速度で右旋回方向又は左旋回方向に回転するようになっている。又、管路64と管路65との間にはメインリリーフ弁44が接続されており、メインリリーフ弁44はメインポンプ43の吐出圧油を所定圧力でリリーフする。
【0027】
又、管路62及び管路63にはそれぞれ圧力スイッチ53,54が接続されている。この圧力スイッチ53,54は旋回操作レバー51の操作方向を検出するものであり、手動操作弁52が出力した右旋回操作又は左旋回操作のパイロット2次圧力が所定値以上になったときにそれぞれの出力接点信号をオンして制御器30に出力する。また、両管路62,63の間にはチェック弁を介して圧力センサ55が接続されている。この圧力センサ55は旋回操作レバー51の右旋回操作時及び左旋回操作時の操作量を検出するものであり、この操作量に応じたパイロット2次圧力の圧力値を制御器30に出力する。
【0028】
圧力制御弁45,46はそれぞれソレノイド操作部45a,46bに入力された指令値に応じてパイロット2次圧力を制御しており、各ソレノイド操作部45a,46bには制御器30から制御量が出力されるようになっている。
【0029】
また、以上の旋回制御油圧回路と同様に、ブーム5の起伏駆動や伸縮駆動のための制御油圧回路(図示せず)を備えている。すなわち、ブーム5の起伏速度を制御するために起伏シリンダ4を駆動する起伏制御手段、及び、ブーム5の伸縮速度を制御するために伸縮シリンダ(図示せず)を駆動する伸縮制御手段を備えている。
【0030】
制御器30は例えばマイクロコンピュータなどを主体にしたコンピュータ装置から構成されており、前記各センサからの検出信号を入力して後述する所定の演算処理を行い、前記旋回制御油圧回路40への所定の制御指令を演算して出力する。この制御器30は、限界域算出部31、吊荷振れ周期算出部32、目標減速角速度算出部34、旋回制御量算出部35、作業半径算出部36、作業半径変化速度算出部37及び予測作業半径算出部38を備えている。
【0031】
限界域算出部31は、ブーム起伏シリンダ圧力センサ23からの圧力信号と、ブーム長センサ21からのブーム長信号と、ブーム起伏角センサ22からの起伏角度信号とに基づいて、現在の荷9の吊上げ荷重及び実負荷モーメントを算出する。さらに、この求めた吊上げ荷重及び実負荷モーメントと、アウトリガ張出量センサ25からの張出量とに基づいて、移動式クレーン1が転倒しないための、あるいは外部との干渉を防止するための安全率を考慮した旋回及び起伏の前記停止領域AC(図2参照)を求めて、この停止領域ACに対応した旋回停止位置に相当する境界線71,72,73,74の旋回角度、限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmを算出する。この算出された旋回角度、限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmは旋回制御量算出部35に出力される。
【0032】
吊荷振れ周期算出部32は、ブーム長センサ21からのブーム長信号と、ロープ長センサ28からのロープ長信号とに基づいて、ロープ長とブーム長の差を演算してシーブ6から荷9までのロープ7の長さMa(図1参照)を算出する。そして、算出したロープ7の長さMaに基づいて、以下のような数1により、吊っている荷9の振れ周期Taを算出する。この振れ周期Taは、目標減速角加速度算出部34に出力される。
【数1】
【0033】
目標減速角加速度算出部34は、この振れ周期Taに基づいて制動に要する時間(以後制動時間という)t1を算出する。この制動時間t1は、図4に示すように前記振れ周期Taの整数倍に設定される。このことは、例えば特公平8−5623号公報に記載されているように、制動開始直前の吊り荷の振れ角度及び振れ角速度が共に零である、すなわち荷9の振れが無いと言う初期条件の下では、制動開始した時点から時間nTa(nは自然数)後に旋回が完全停止するように旋回角加速度を設定すれば、荷9の振れを発生させずに旋回を停止させることができるという技術的な根拠に基づくものである。このとき、自然数nの大きさは、ブーム5に対して過大な横荷重をかけないように、所定の許容最大角加速度αm以下となるように設定される。すなわち、旋回角速度センサ27により現在の旋回角速度ω0(図4を参照)を検出し、この角速度が上記制動時間t1後に零になるように角加速度を演算し、この演算した角加速度が前記許容最大角加速度αm以下となるような前記自然数nを求めて、目標の角加速度を算出する。この算出した制動時間t1及び角加速度は旋回制御量算出部35に出力され、また制動時間t1は予測作業半径算出部38にも出力される。
【0034】
作業半径算出部36は、ブーム長センサ21から入力したブーム長と、ブーム起伏角センサ22から入力した起伏角とに基づいて、所定時間ΔT毎に現在の作業半径Rnを演算する。この演算された作業半径Rnは、作業半径変化速度算出部37及び旋回制御量算出部35に出力される。
作業半径変化速度算出部37は、この所定時間毎の作業半径Rnに基づいて作業半径の変化速度を算出する。例えば、今回の演算時に入力した作業半径RnをR1とし、所定時間ΔT前の演算処理時に入力した作業半径RnをR0とすると、前記作業半径変化速度VRは以下の数2により求められる。
【数2】
この演算された作業半径変化速度VRは、予測作業半径算出部38に出力される。
【0035】
予測作業半径算出部38は、前記演算された作業半径変化速度VRと制動時間t1とに基づいて、ブーム先端が現在位置から制動時間t1後に到達する作業半径を予測する。図5において、現在位置B1から制動時間t1後の予測作業半径をReとすると、予測作業半径算出部38は時々刻々対応する予測作業半径Reを演算して旋回制御量算出部35に出力する。
【0036】
旋回制御量算出部35は、旋回角センサ26からの旋回角度信号と、限界域算出部31からの旋回停止角度θc1,θc2及び限界作業半径Raとを入力し、さらに、目標減速角加速度算出部34から現在の旋回角速度ω0に対する制動時間t1及び目標の角加速度を、予測作業半径算出部38から予測作業半径Reを入力する。そして、現在の旋回角速度ω0から前記目標の角加速度で減速する場合に必要な制動角度θeを角速度の積分により算出する。これと共に、旋回制御量算出部35は、前記予測作業半径Reにおける停止領域ACの停止位置、すなわち、右旋回時は境界線73上で、かつ、半径が予測作業半径Reと等しい位置B2を求める。そして、この停止位置B2より前記算出した制動角度θeだけ手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1を算出する。また、同様にして、左旋回時は、境界線74上で、かつ、半径が予測作業半径Reと等しい停止位置(図示せず)、及びこの停止位置より前記制動角度θeだけ手前の減速開始旋回角度θ(図示せず)を算出する。なお、上記のように、減速開始旋回角度θd1,θd2は予測作業半径Reの大きさによって異なることになる。
【0037】
次に、旋回制御量算出部35は、圧力スイッチ53,54からの出力信号、又は旋回角速度センサ27からの出力信号により右旋回か左旋回かを判断し、旋回角センサ26から入力した現在の旋回角度が、この判断した旋回方向に該当する前記算出した減速開始旋回角度θd1,θd2(例えば、右旋回の場合はθd1)に到達したか否かを判断し、到達してない間は通常の旋回角速度制御処理を行う。すなわち、圧力センサ55から前記旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力の圧力値(旋回角速度の操作指令に対応する)を入力し、この圧力値以上の制御量を前記圧力制御弁45,46のソレノイド操作部45a,45bに出力する。これによって、旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力が方向切換弁42のパイロット操作部42d,42e(右旋回時は、パイロット操作部42d)に入力され、旋回モータ41が回転して旋回体3は前記操作量に比例した角速度で旋回する。
【0038】
また、現在の旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときは、旋回の自動制動制御を行い、ブームの起伏駆動及び伸縮駆動はそのまま続行する。すなわち、前記目標減速角加速度算出部34により算出された目標の角加速度で減速するように旋回の角速度指令値を演算し、この角速度指令値に基づく制御量を前記圧力制御弁45,46のソレノイド操作部45a,45bに出力する。これによって、方向切換弁42のパイロット操作部42dには、減速開始直前の旋回操作レバー51の操作量に比例したパイロット2次圧力から上記減速のカーブに沿った所定勾配で漸減するパイロット圧力が入力され、旋回モータ41が徐々に減速して旋回体3は滑らかに停止する。また、起伏方向及び伸縮方向については、例えば対応する各操作レバーの操作量に応じた角速度で駆動されるように、それぞれの角速度指令値が演算され、起伏制御手段及び伸縮制御手段に出力される。
なお、これらの角速度制御時には、各角速度センサ(例えば旋回角速度センサ27等)から入力する角速度信号をフィードバック信号として、前記演算された角速度指令値とこのフィードバック信号との差が小さくなるように制御量を演算し出力する。
【0039】
また、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも速くなった場合、旋回が完全に停止する以前にブーム先端部が前記予測作業半径Reの位置B3(図5参照)に到達することになるが、この場合には、ブームの伏せ方向及び伸長方向の駆動を停止する。そして、この後、旋回制動制御のみを行い、前記予測作業半径Re上の軌跡を位置B3から右旋回時は境界線73(左旋回時は境界線74)上の位置B2に向かって減速させるようにしている。
【0040】
この旋回制動時の旋回速度及び作業半径変化速度VRのカーブを、図6に示している。ブーム先端が減速開始旋回角度θd 1,θd 2に達した後、その時の旋回角速度ω0から所定のカーブで減速して境界線73,74上の停止位置(ここでは、停止位置B2)で停止するように、図示の2点鎖線のように旋回角速度は自動的に制御される。なお、この旋回自動制動中に、オペレータが旋回操作レバー51の操作量を小さくして角速度をこの自動減速カーブより遅くなるように操作した場合には、旋回制御量算出部35は通常の旋回操作レバー51による旋回制御処理に切り換える。これによって、旋回角速度は図示の実線で示すように減速され、ブーム先端部は前記停止位置B2よりも手前で停止する。このときの作業半径変化速度VRは、旋回制動中に例えばそれぞれの操作レバーにより指令されたブームの起伏指令及び伸縮指令に基づいて制御されており、例えばオペレータが前記停止位置近傍の所望の作業位置U(図5参照)まで操作レバーによる手動で駆動した場合には、図示の実線のようになる。したがって、旋回制動中でも作業半径を変化させることができる。
【0041】
また、旋回制御量算出部35は、前記旋回制動中に、現在の作業半径Rnを常時監視しており、この作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくならないかをチェックしている。これは、図7に示したように、旋回制動中にブームの起こし及び/又は縮小の方向に駆動した場合に相当している。そして、作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくなった場合、つまり図示で位置B4にブーム先端が達した場合は、現在実行中の旋回制動制御を中断する。つぎに、図8に示すように、旋回制動終了時の旋回角速度ω1から旋回操作レバー51の操作量に応じた角速度ω0まで所定の角加速度で滑らかに加速した後、通常の旋回角速度制御処理を行うようにしている。このとき、ブームの起こし及び/又は縮小の方向に駆動は継続して行われる。
【0042】
つぎに、図9に基づいて、以上の構成による制御処理手順を説明する。図9は本旋回減速制御装置の制御フローチャートの一例を示しており、各ステップ番号にはSを付して表わしている。
S1で、限界域算出部31は停止領域ACの旋回方向両端の停止位置を表わす境界線73,74を演算する。つぎに、S2で、作業半径算出部36は所定時間ΔT毎の作業半径Rnを演算し、作業半径変化速度算出部37はこの算出した所定時間ΔT毎の作業半径Rnに基づいて現在の作業半径変化速度VRを演算する。この後、S3で、吊荷振れ周期算出部32は現在のロープ長に基づき制動時間t1を演算し、目標減速角加速度算出部34はこの制動時間t1及び現在の旋回角加速度に基づいて旋回制動時の目標角加速度を演算する。そして、S4で、予測作業半径算出部38は、前記作業半径変化速度VR及び制動時間t1に基づいて、現在のブーム先端部の位置から前記制動時間t1後に到達する予測作業半径Reを算出する。
【0043】
つぎに、S5で、旋回制御量算出部35は、前記算出された予測作業半径Reにおける前記境界線73,74上の停止位置を算出した後、S6で、旋回制動に要する所定の制動角度θeだけ上記算出した停止位置よりも手前の減速開始旋回角度θd1,θd2を演算する。そして、旋回制御量算出部35は、S7で現在の旋回角度がこの減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したか否かを判断し、到達してないときは、S8で通常の旋回制御処理、すなわち旋回操作レバー51の操作量に応じた角速度になるように旋回モータ41の角速度を制御する指令を演算して出力する処理を行い、この後S2に戻って以上の処理を繰り返す。
【0044】
また、旋回制御量算出部35は、上記S7で旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときは、S9で、旋回のみ自動制動制御を行い、前記求められた目標角加速度で旋回体3が減速し停止するように旋回モータ41の角速度を制御する指令を演算して出力する。またS9では、ブームの起伏方向及び伸縮方向の駆動を継続する。つぎに、S10で、現在の作業半径Rnが限界作業半径Raより小さくなったか否かを判断し、小さくないときはS9に戻って自動制動制御を継続させ、小さくなったときはS11で、自動制動制御を解除して旋回操作レバー51の操作量に相当する角速度ω0まで漸次滑らかに加速させるような指令を演算して出力する。この後、S8へ処理を移行して前記通常の旋回制御処理を行う。
【0045】
以上説明したように、旋回角度が減速開始旋回角度θd1,θd2を超えて旋回制動領域内に入っても、ブームの起伏方向及び伸縮方向の駆動は停止せずに、旋回のみの制動制御を行うので、最大許容作業半径Rmの境界線72又は停止領域ACの境界線73,74の近傍までブーム先端部を移動させることができる。これによって、実質的な作業可能領域が広くなるので、クレーン作業性が向上する。また、さらに、旋回制動時にブームが起こし方向及び/又は縮小方向に駆動され、実際の作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくなって旋回制動領域Gの外部に脱出した場合には、自動的に上記の旋回制動が中断され、このとき旋回、起伏及び伸縮の各駆動が停止することなく継続して行われるので、作業性が非常に良くなり、作業能率の向上が図られる。
【0046】
つぎに、第2の実施形態を図10に基づいて説明する。本実施形態は、停止領域ACと旋回制動領域Gとの境界線73,74を直線とするのではなく、作業半径Rnの大きさの所定範囲毎に区切って段階的に境界線を持つようにしたものである。図10は、その停止領域AC及び旋回制動領域Gの説明図である。
停止領域ACの旋回方向両端部には旋回制動領域Gが隣接しており、この境界線は、通常前述のように作業半径Rnが大きくなると停止領域ACが大きくなるように、停止領域の外側に広がっている。したがって、作業半径Rnの大きさを所定範囲毎に区切り、この各範囲毎に旋回制動領域Gとの境界線を設ける。例えば、ここでは2つの範囲、すなわち最大許容作業半径Rm〜所定作業半径R1までと、所定作業半径R1〜限界作業半径Raまでの範囲を設定するものとし、それぞれの範囲に対して右旋回方向の許容される境界線73a,73bが旋回中心Oaを通る半径方向の直線として設定される。そして、各範囲の境界線73a,73b間は、前記区切りの作業半径R1上の円弧75aにより境界線(以後境界線75aと呼ぶ)が設定されている。なお、同様にして、左旋回方向の境界線74a,74bが旋回中心Oaを通る半径方向の直線として、また両境界線間の円弧状の境界線76aが設定される。また、境界線73a、74aの最大許容作業半径Rmの位置をそれぞれM1、M2とし,また境界線73b、74bの限界作業半径Raの位置をそれぞれM3、M4とすると、これらの位置M1、M2、M3、M4は前述の第1の実施形態でのそれぞれの位置M1、M2、M3、M4に相当する。
【0047】
また、制御器30内の各部の処理内容は略同様であるが、ここでは、上記のような境界線に対応して前述と異なった処理を行う限界域算出部31及び旋回制御量算出部35の処理方法を特に説明する。
限界域算出部31は、前述と同様にして算出した現在の荷9の吊上げ荷重及び実負荷モーメントと、アウトリガ11の張出量とに基づいて、停止領域ACを算出し、この停止領域ACに対応する前記境界線71,72,73a,73b,74a,74b,75a,76aを求める。そして、境界線73a,73b,74a,74bをそれぞれ表わす旋回角度θf1,θf2,θf3,θf4、及び限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmを算出し、旋回制御量算出部35に出力する。
【0048】
旋回制御量算出部35は、現在の作業半径変化速度VRに対応する制動時間t1後の予測作業半径Reを入力し、この予測作業半径Reと前記各境界線73a,73b,74a,74bに対応する作業半径Rnの範囲とを比較する。そして、予測作業半径Reに応じた境界線を特定する。いま、右旋回時で、予測作業半径Reが図10に示したように境界線73aに対応するとした場合、この境界線73aの旋回角度θf1より前記所定の制動角度θeだけ手前の旋回制動領域G1の減速開始旋回角度θg1を算出する。
【0049】
そして、旋回角度がこの算出した減速開始旋回角度θg1に到達したとき、前述と同様の旋回の自動停止制御を行い、所定の角加速度で滑らかに減速するように旋回モータ41の指令値を演算する。また、ブームの起伏駆動及び伸縮駆動はそのまま継続させ、例えばそれぞれの操作レバーの操作量に応じた速度で起伏方向及び伸縮方向にブーム先端部を移動させる。
【0050】
なお、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも速くなって、旋回が完全に停止する以前にブーム先端部が前記予測作業半径Reの位置B3(図10参照)に到達した場合には、ブームの伏せ方向及び伸長方向の駆動を停止する。そして、この後、旋回制動制御のみを行い、前記予測作業半径Re上の軌跡を位置B3から境界線73a上の位置B2に向かって減速させるようにする。また、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも遅くなって、予測作業半径Reの位置B2に到達する以前に境界線73a上の位置B5(図10参照)で旋回停止した場合には、ブームの伏せ方向及び/又は伸長方向の駆動によって境界線73a上を位置B5から位置B2まで移動できるようにしている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態においても、旋回制動領域Gに侵入する直前の作業半径変化速度VRに基づいて制動時間t1後の予測作業半径Reを求め、この予測作業半径Reにおける停止位置に対応した旋回制動領域Gで旋回を自動停止させるようにしている。そして、この旋回制動中に、ブームの起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動ができるようにしているので、停止領域ACの境界線近傍の位置まで作業半径を広げることができる。したがって、許容作業領域を最大限使用することができ、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0052】
なお、上記の実施形態では移動式クレーン1を例にとって説明しているが、本発明に係わる旋回減速制御装置及びその制御方法の制御対象は移動式クレーン1に限定されるものではない。すなわち、ブームの旋回範囲において、ブームと障害物との干渉防止やクレーン転倒防止等のために、旋回できない停止領域ACを有すると共に、この停止領域ACに侵入する手前で旋回角速度を自動的に減速させて停止させるような旋回自動停止機能を有するクレーンであればよい。
【0053】
また、以上の説明では、旋回制御回路において、旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力を出力する手動操作弁52、及びこのパイロット2次圧力により制御される方向切換弁42を採用している例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電気的な操作指令信号を出力する電気式旋回操作レバー、及び電気的な指令信号により駆動されるソレノイド式切換弁を採用し、前記操作指令信号に基づいて旋回自動制動時の減速の制御信号をソレノイド式切換弁に出力するような電気制御回路を構成することによっても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる移動式クレーンの概要を説明する側面図である。
【図2】本発明に係わる移動式クレーンの停止領域及び旋回制動領域の説明図である。
【図3】本発明に係わる移動式クレーンの旋回減速制御装置の制御ブロック図を示す。
【図4】本発明に係わる移動式クレーンの旋回制動制御時の角速度カーブを表す。
【図5】本発明に係わる作業半径予測の説明図である。
【図6】本発明に係わる旋回制動領域での旋回及び作業半径変化の説明図である。
【図7】本発明に係わる旋回制動領域でのブームの起こし及び/又は縮小時の作業半径の説明図である。
【図8】本発明に係わる旋回制動領域でのブームの起こし及び/又は縮小時の旋回及び作業半径変化の説明図である。
【図9】本発明に係わる制御フローチャートの例を示す。
【図10】本発明に係わる第2実施形態における制動制御の説明図である。
【図11】従来技術に係わる移動式クレーンの概要側面図を示す。
【図12】従来技術に係わる限界作業領域及び旋回停止領域の説明図を示す。
【図13】従来技術に係わる旋回減速制御動作の説明図である。
【符号の説明】
1…移動式クレーン、2…下部走行体、3…旋回体、5…ブーム、9…荷、11…アウトリガ、21…ブーム長センサ、22…ブーム起伏角センサ、23…ブーム起伏シリンダ圧力センサ、25…アウトリガ張出量センサ、26…旋回角センサ、27…旋回角速度センサ、28…ロープ長センサ、30…制御器、31…限界域算出部、32…吊荷振れ周期算出部、34…目標減速角加速度算出部、35…旋回制御量算出部、36…作業半径算出部、37…作業半径変化速度算出部、38…予測作業半径算出部38、41…旋回モータ、43…メインポンプ、45,46…圧力制御弁、51…旋回操作レバー、52…手動操作弁、53,54…圧力スイッチ、55…圧力センサ、71,72,73,74…境界線、G…旋回制動領域、AC…停止領域。AK…限界作業領域、Ra…限界作業半径。
【発明の属する技術分野】
本発明は、停止領域の所定角度手前からブームを旋回減速させて自動停止させるクレーンの旋回減速制御装置に関し、特には旋回制動領域内でのブームの起伏駆動や伸縮駆動により作業可能な作業半径を適正化できるクレーンの旋回減速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋回体上に起伏自在に及び/又は伸縮自在にブームを設けたような移動式クレーンは、通常、例えば車体の前後部の左右にそれぞれ張り出し可能なアウトリガを備えており、吊り荷作業中はこのアウトリガを所定長張り出して、移動式クレーンが転倒しないようにアウトリガによって支持している。一般的に、このような移動式クレーンには、吊り荷条件及びアウトリガの張出量等に応じて設定された限界作業領域を作業状態が超えた場合に強制的にクレーンを自動停止させる安全装置が備えられている。
【0003】
従来、この種の移動式クレーンの安全装置としては、例えば特公平8−5623号公報に開示されたものが知られている。図11〜図13は同号公報に記載された安全装置を表しており、以下、同図に基づいて説明を行う。
図11は、移動式クレーンの一例を表す側面図である。同図において、移動式クレーン100は、鉛直方向の旋回軸101の回りに旋回可能なブームフット102(本発明の実施形態での旋回体(3) に相当する)を備え、このブームフット102に、伸縮可能なブームB(本発明の実施形態でのブーム(5) に相当する)が取り付けられている。このブームBは水平方向の回動軸103を中心に起伏可能に構成され、その先端部にロープ104で吊り荷Cが吊り下げられている。また、この移動式クレーン101のロアフレーム(本発明の実施形態での下部走行体2に相当する)の前後左右の4隅には、側方に張り出されるアウトリガジャッキ105(本発明の実施形態でのアウトリガ11に相当する)が配設されている。
【0004】
この移動式クレーン101には安全装置の演算制御装置(ここでは図示せず)が備えられており、この演算制御装置の所定の演算処理により、吊り荷Cの荷重(以後、吊上げ荷重と言う)W及び作業半径Rが算出され、またこの作業半径Rと、ブーム長LBと、所定の安全係数と、旋回角θと、各アウトリガジャッキ105のそれぞれの張出量とに基づいて定格荷重を算出し、これらの算出データに基づいて旋回角度に応じた作業半径を求めて限界作業領域、すなわち安全な範囲でブーム先端が移動できる領域を求めている。
【0005】
図12は、このようにして吊り上げ荷重Wの大きさ、及びアウトリガジャッキ105の各張出量の違いに応じて求められた限界作業領域を示している。同図において、61〜64はそれぞれ吊上げ荷重Wの大きさに応じた限界作業領域を表しており、吊上げ荷重Wが大きい程この限界作業領域の作業半径が小さくなる。また、FL,FR,RL,RRは各アウトリガジャッキ105の張出位置を表しており、張出量が小さい側(同図では移動式クレーン100の左側)の作業半径は小さくなっている。
【0006】
そして、実際の作業時には、この限界作業領域を超えないように、かつ、吊り荷Cが振れないように、ブーム先端部が前記限界作業領域の境界線に近づいたら旋回角速度を所定の角加速度で減速させて、前記境界線上に停止させるようにしている。すなわち、現在の吊り荷Cのロープ長に基づいて荷振れ周期Tを求め、減速開始した時点から前記荷振れ周期Tの整数倍の時間nT後に停止させることにより、荷振れなく停止させている。さらに、現在の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域(図12において、例えば限界作業領域62)の内側(例えば、同図の位置A1)で旋回している場合、このときの旋回角速度(制動前の角速度)から減速して前記所定の時間nT後に停止するのに要する所要旋回角度|θr|を算出し、また現在の作業半径で旋回したとき停止させるべき前記境界線上の位置(ここでは位置A2)を算出し、この位置A2よりも前記算出した所要旋回角度|θr|だけ手前の位置A3から前記旋回制動処理を開始することにより、前記境界線上(位置A2)で停止させることができる。
【0007】
、また、この旋回制動中に、作業半径が大きくなる方向、すなわちブームBの伸長方向又は伏せ方向に駆動すると、最終的な停止位置が限界作業領域を超えてしまうので、旋回制動中はこの方向の駆動を強制的に停止させている。なお、縮小方向又は起こし方向の駆動は安全性を損なう恐れが無いので、旋回制動中は強制停止しないようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特公平8−5623号公報に開示されているような従来の安全装置においては、以下のような問題が生じる。
図13は、所定の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域(例えば、前記限界作業領域62)を表している。いま、限界作業領域62の境界線近傍の位置Pにブーム先端部を移動させるように、図示の矢印K1に沿ってブームの伏せ方向及び/又は伸長方向の操作を行いながら旋回しているとする。このとき、ブーム先端部の作業半径が位置Pの作業半径Rpと等しくなる前に、前記境界線上の停止すべき位置Q2より前記所要旋回角度|θr|だけ手前の減速開始位置Q1に到達したとすると、この後は前述の方法によって伸長方向及び/又は伏せ方向の駆動は強制的に停止し、作業半径R1が一定のままで旋回制動を行う。したがって、図示の点線で表された移動が停止するので、ブーム先端部を所望のP位置まで移動できない。この結果、現在の吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域内を最大限に使用して能率的に作業することができないと言う問題が生じている。
【0009】
また、図示の矢印K2で表すように、例えばブーム先端部が所定の作業半径R2で(ここでは、限界作業領域62の最大半径に相当する境界線上を)旋回し、前記境界線上の停止すべき位置Q4より前記所要旋回角度|θr|だけ手前の減速開始位置Q3に到達した後、旋回制動中に限界作業領域62の前記停止位置Q4を回避するためにブームBを縮小方向及び/又は起こし方向に駆動したとする。この場合、前記旋回制動制御によると、図13に示すように前記停止位置Q4に対応した旋回角度の位置Q5に到達したら一旦旋回を停止させており、この後、旋回の駆動が行われるようになっている。しかしながら、停止したときの位置Q5は限界作業領域の境界線よりも充分に旋回中心側にあるので、本来は旋回駆動を停止する必要がない位置で停止していることになる。この結果、作業能率が損なわれてしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、旋回制動中であっても限界作業領域の境界線近傍まで最大限にクレーン作業ができ、作業能率を向上できるクレーンの旋回減速制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、旋回自在な旋回体3と、旋回体3の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム5と、旋回体3を旋回させる旋回モータ41と、旋回体3の旋回角度を検出する旋回角センサ26と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー51と、ブーム5の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム5の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体3の旋回動作、及び、ブーム5の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域ACを演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー51の操作指令に基づいて旋回モータ41を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ26から入力する旋回角度が前記停止領域ACよりも所定制動角度手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1,θd2に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御し、旋回体3を自動停止させる制御器30とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、
ブーム5の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ21、及び/又は、ブーム5の起伏角を検出するブーム起伏角センサ22を設け、
前記制御器30は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径Rnを演算する作業半径算出部36と、
この所定時間毎の作業半径Rnに基づいて現在の作業半径変化速度VRを演算する作業半径変化速度算出部37と、
前記旋回制動領域Gでの制動に要する制動時間t1及び角加速度を演算する目標減速角加速度算出部34と、
前記作業半径変化速度VR及び前記制動時間t1に基づいて、制動時間t1後の予測作業半径Reを予測する予測作業半径算出部38と、
前記停止領域ACの旋回方向の境界線73,74上で、かつ、作業半径が前記予測作業半径Reと等しい停止位置を求め、この停止位置よりも前記旋回制動に要する所定制動角度だけ手前の減速開始旋回角度θd1,θd2に旋回角度が到達したとき、前記ブーム5の起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動を継続させて所定速度で制御すると共に、旋回体3を前記旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から前記算出した角加速度で漸次減速して停止させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御する旋回制御量算出部35とを備えた構成としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によると、旋回制動領域に入っても、旋回のみ減速させ、ブームの起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動は継続させておく。このとき、作業半径の変化速度に基づいて制動時間後の作業半径を予測し、停止領域の境界線上の前記予測作業半径に対応した停止位置よりも所定制動角度手前の減速開始旋回角度から減速させるので、前記停止位置を超えないように確実に停止させることができる。したがって、起伏や伸縮の駆動により限界作業領域の境界線近傍まで最大限に使用することができ、クレーン作業性が良くなるので、作業能率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときに、前記旋回制御量算出部35が制御するブーム5の起伏方向及び/又は伸縮方向の所定速度は、それぞれ、起伏操作レバー及び/又は伸縮操作レバーの操作量に応じた速度としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、前記旋回制動中の起伏方向及び/又は伸縮方向の速度は、それぞれの操作レバーの操作量に応じた速度に制御されているので、オペレータが所望する作業半径の位置までブーム先端部を移動できる。よって、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、旋回自在な旋回体3と、旋回体3の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム5と、旋回体3を旋回させる旋回モータ41と、旋回体3の旋回角度を検出する旋回角センサ26と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー51とブーム5の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム5の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体3の旋回動作、及び、ブーム5の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域ACを演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー51の操作指令に基づいて旋回モータ41を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ26から入力する旋回角度が前記停止領域ACよりも所定角度手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1,θd2に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー51の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ41を制御し、旋回体3を自動停止させる制御器30とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、
ブーム5の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ21、及び/又は、ブーム5の起伏角を検出するブーム起伏角センサ22を設け、
前記制御器30は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径Rnを演算する作業半径算出部36と、
前記旋回制動領域Gでの旋回制動により旋回が自動停止するまでの間に、前記現在の作業半径Rnが前記旋回制動領域Gの旋回中心側の限界作業半径Raより小さくなったとき、前記旋回制動を中断して旋回操作レバー51の操作量に基づく旋回角速度の制御を開始する旋回制御量算出部35とを備えた構成としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によると、旋回制動中に、ブームの起こしや縮小により作業半径が旋回制動領域の限界作業半径より小さくなって旋回制動領域の外部に脱出したときは、旋回制動を中断して旋回操作レバーの操作量による通常の旋回角速度制御が行われる。したがって、従来の如く旋回制動により一旦停止することなく、継続して旋回、起伏及び伸縮の速度を制御できるので、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
前記旋回制御量算出部35は、前記旋回制動を中断した後、その時の旋回角速度から旋回操作レバー51の操作量に応じた旋回角速度まで所定角加速度で増速させるようにしている。
【0018】
請求項4に記載の発明によると、旋回制動領域を脱出して旋回制動を中断した後には、旋回角速度を旋回操作レバーの操作量に応じた旋回角速度まで所定角加速度で滑らかに加速させるので、ブームに過大な横荷重がかからなくなる。よって、ブームの破損防止及び寿命向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる移動式クレーン1の側面図を示している。同図において、下部走行体2の略中央部には旋回自在な旋回体3が配設されており、この旋回体3の上部には、起伏シリンダ4により起伏自在に駆動され、かつ、図示しない伸縮シリンダにより伸縮自在に駆動される多段ブーム5(以後、ブーム5と言う)が取着されている。そして、ブーム5の先端部にはシーブ6が回転自在に取着されており、旋回体3上に配設された図示しないウインチからのロープ7がこのシーブ6を経由して導出されている。ロープ7の先端にはフック8が取り付けられており、フック8により荷9が吊り下げられるようになっている。また、下部走行体2の前後部の左右側面には、それぞれ側方に張り出し可能で、かつ、地面に対して垂直方向に伸縮自在な車体支持用シリンダを有するアウトリガ11が配設されており、吊り荷作業時にはこのアウトリガ11が張り出されて車体の安定が図られる。
【0020】
図2は第1実施形態の本旋回減速制御装置に係わる限界作業領域、旋回制動領域及び停止領域の説明図であり、移動式クレーン1の平面図により表している。同図は現在の吊上げ荷重に対応した限界作業領域及び停止領域を表わしているものである。また、図示で右側のアウトリガ11の張出量Saが左側の方よりも小さい場合を示しており、この場合には右側側方に停止領域ACが設定される。すなわち、現在のブーム5の伸長長さ、ブーム5の起伏角度、荷9の吊上げ荷重、及びアウトリガ11の各張出量などに基づいて、ブーム5の先端部が移動できない停止領域ACが設定される。この停止領域ACの内側、つまり旋回中心Oa寄りの境界線71の限界作業半径をRaとしており、この限界作業半径Raはブーム5が全周において旋回可能な半径となっている。また、この停止領域ACと反対側、すなわち前記張出量が大きい左側には、現在の吊上げ荷重での最大許容作業半径Rmを有する境界線72が設定されている。
【0021】
また、境界線72と停止領域ACとが交差する位置をM1、M2とする。すなわち、この位置M1、M2は、最大許容作業半径Rmで旋回時に停止すべき停止領域ACの境界線上の停止位置である。同様にして、前記限界作業半径Raで旋回時に停止すべき停止領域ACの境界線上の停止位置をM3、M4とする。停止位置M1と停止位置M3を結ぶ境界線73、及び停止位置M2と停止位置M4を結ぶ境界線74はそれぞれ停止領域ACの旋回方向両端部の境界線を表している。作業半径Rnが大きくなるにつれて停止領域ACの旋回角度範囲が大きくなっており、逆に言うと旋回可能な旋回角度範囲が小さくなっている。このとき、停止位置M3から停止位置M1への旋回角度、及び停止位置M4から停止位置M2への旋回角度はそれぞれ所定角度β設定される。また、これらの境界線71,72,73,74により囲まれた領域が限界作業領域AKとして設定される。
【0022】
そしてまた、前記境界線73及び境界線74を境に停止領域ACに隣接して、すなわち旋回方向の手前に旋回制動領域Gを設けており、旋回時にブーム先端部がこの旋回制動領域Gの両端の旋回方向から侵入したときは、この旋回制動領域G内において所定の角加速度で減速して境界線73又は境界線74で停止するようにしている。
【0023】
図3は、本旋回減速制御装置に係わるブロック図を示している。本旋回減速制御装置に係わる以下の各種センサは、それぞれ移動式クレーン1の所定位置に配設されている。ブーム長センサ21はブーム5の起伏基端部から先端部までのブーム長La(図1参照)を検出しており、例えば、ブーム5内に内蔵された図示しないブーム伸縮用シリンダのストローク長を検出するリニアセンサ、又はブーム5内に内蔵された図示しないワイヤの伸縮時の繰出し量を検出するセンサなどで構成することができる。ブーム起伏角センサ22はブーム5の水平面に対する起伏角θa、すなわち俯仰角度を検出しており、例えばブーム5の起伏中心軸の回転角度を検出するエンコーダ等で構成することができる。また、ブーム起伏シリンダ圧力センサ23は起伏シリンダ4のボトム室側圧力及びヘッド室側圧力を検出するものであり、両圧力の差に基づいて起伏シリンダ4にかかる荷重値及び荷9の吊上げ荷重が算出される。また、アウトリガ張出量センサ25は、前記各アウトリガ11のそれぞれの張出量Saを検出しており、例えばエンコーダ等で構成される。そして、旋回角センサ26は旋回角度の基準位置(例えば下部走行体2の前方方向)に対する旋回角度を検出しており、例えば旋回中心に配設された図示しない旋回スイベル装置などに取着されるポテンショメータやエンコーダ等で構成される。
【0024】
旋回角速度センサ27は、例えば後述する旋回モータの回転軸、あるいは前記旋回スイベル装置の回転軸などに取着されるエンコーダ等によって構成され、この旋回角速度センサ27から出力されるパルス列の単位時間当たりパルス数を計数することにより旋回角速度を算出することができる。また、ロープ長センサ28は図示しないウィンチから繰出されるロープ7の長さを検出しており、例えばこのウィンチの回転数を検出するエンコーダやパルス発生器等で構成することができる。これらの各センサの検出信号は後述する制御器30に入力されるようになっている。
【0025】
旋回制御油圧回路40は、旋回操作レバー51の操作量に応じて旋回モータ41の回転速度及び方向を制御すると共に、後述する制御器30からの制御量に基づいて旋回モータ41の回転速度を制御するように構成された油圧回路である。この旋回制御油圧回路40において、チャージポンプ48は管路61を経由して手動操作弁52にパイロット1次圧力を供給している。手動操作弁52はこのパイロット1次圧力を入力して旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力を出力する操作弁(PPC弁)であり、右旋回操作時又は左旋回操作時にこのパイロット2次圧力をそれぞれ管路62,63に出力する。これらの管路62,63は、それぞれ圧力制御弁45,46を介して方向切換弁42のパイロット操作部42d,42eに接続されている。圧力制御弁45,46からの戻り油は管路66を介してタンク50へドレーンされるようになっている。また、管路61と管路66との間には、チャージポンプ48からのパイロット油圧の圧力が所定圧力値でリリーフするようにリリーフ弁が接続されている。
【0026】
メインポンプ43から吐出された圧油は管路64及び方向切換弁42を介して旋回モータ41に供給され、旋回モータ41からの戻り油は方向切換弁42及び管路65を介してタンク47にドレーンするようになっている。方向切換弁42のスプールが中立位置aにあるときは、メインポンプ43からの圧油はタンク47にドレーンし、パイロット操作部42d又はパイロット操作部42eに前記パイロット2次圧力が入力されてスプールが位置b又は位置cに移動したときは、このパイロット圧力の大きさに比例した油量が旋回モータ41に供給され、旋回モータ41はこの油量に応じた回転速度で右旋回方向又は左旋回方向に回転するようになっている。又、管路64と管路65との間にはメインリリーフ弁44が接続されており、メインリリーフ弁44はメインポンプ43の吐出圧油を所定圧力でリリーフする。
【0027】
又、管路62及び管路63にはそれぞれ圧力スイッチ53,54が接続されている。この圧力スイッチ53,54は旋回操作レバー51の操作方向を検出するものであり、手動操作弁52が出力した右旋回操作又は左旋回操作のパイロット2次圧力が所定値以上になったときにそれぞれの出力接点信号をオンして制御器30に出力する。また、両管路62,63の間にはチェック弁を介して圧力センサ55が接続されている。この圧力センサ55は旋回操作レバー51の右旋回操作時及び左旋回操作時の操作量を検出するものであり、この操作量に応じたパイロット2次圧力の圧力値を制御器30に出力する。
【0028】
圧力制御弁45,46はそれぞれソレノイド操作部45a,46bに入力された指令値に応じてパイロット2次圧力を制御しており、各ソレノイド操作部45a,46bには制御器30から制御量が出力されるようになっている。
【0029】
また、以上の旋回制御油圧回路と同様に、ブーム5の起伏駆動や伸縮駆動のための制御油圧回路(図示せず)を備えている。すなわち、ブーム5の起伏速度を制御するために起伏シリンダ4を駆動する起伏制御手段、及び、ブーム5の伸縮速度を制御するために伸縮シリンダ(図示せず)を駆動する伸縮制御手段を備えている。
【0030】
制御器30は例えばマイクロコンピュータなどを主体にしたコンピュータ装置から構成されており、前記各センサからの検出信号を入力して後述する所定の演算処理を行い、前記旋回制御油圧回路40への所定の制御指令を演算して出力する。この制御器30は、限界域算出部31、吊荷振れ周期算出部32、目標減速角速度算出部34、旋回制御量算出部35、作業半径算出部36、作業半径変化速度算出部37及び予測作業半径算出部38を備えている。
【0031】
限界域算出部31は、ブーム起伏シリンダ圧力センサ23からの圧力信号と、ブーム長センサ21からのブーム長信号と、ブーム起伏角センサ22からの起伏角度信号とに基づいて、現在の荷9の吊上げ荷重及び実負荷モーメントを算出する。さらに、この求めた吊上げ荷重及び実負荷モーメントと、アウトリガ張出量センサ25からの張出量とに基づいて、移動式クレーン1が転倒しないための、あるいは外部との干渉を防止するための安全率を考慮した旋回及び起伏の前記停止領域AC(図2参照)を求めて、この停止領域ACに対応した旋回停止位置に相当する境界線71,72,73,74の旋回角度、限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmを算出する。この算出された旋回角度、限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmは旋回制御量算出部35に出力される。
【0032】
吊荷振れ周期算出部32は、ブーム長センサ21からのブーム長信号と、ロープ長センサ28からのロープ長信号とに基づいて、ロープ長とブーム長の差を演算してシーブ6から荷9までのロープ7の長さMa(図1参照)を算出する。そして、算出したロープ7の長さMaに基づいて、以下のような数1により、吊っている荷9の振れ周期Taを算出する。この振れ周期Taは、目標減速角加速度算出部34に出力される。
【数1】
【0033】
目標減速角加速度算出部34は、この振れ周期Taに基づいて制動に要する時間(以後制動時間という)t1を算出する。この制動時間t1は、図4に示すように前記振れ周期Taの整数倍に設定される。このことは、例えば特公平8−5623号公報に記載されているように、制動開始直前の吊り荷の振れ角度及び振れ角速度が共に零である、すなわち荷9の振れが無いと言う初期条件の下では、制動開始した時点から時間nTa(nは自然数)後に旋回が完全停止するように旋回角加速度を設定すれば、荷9の振れを発生させずに旋回を停止させることができるという技術的な根拠に基づくものである。このとき、自然数nの大きさは、ブーム5に対して過大な横荷重をかけないように、所定の許容最大角加速度αm以下となるように設定される。すなわち、旋回角速度センサ27により現在の旋回角速度ω0(図4を参照)を検出し、この角速度が上記制動時間t1後に零になるように角加速度を演算し、この演算した角加速度が前記許容最大角加速度αm以下となるような前記自然数nを求めて、目標の角加速度を算出する。この算出した制動時間t1及び角加速度は旋回制御量算出部35に出力され、また制動時間t1は予測作業半径算出部38にも出力される。
【0034】
作業半径算出部36は、ブーム長センサ21から入力したブーム長と、ブーム起伏角センサ22から入力した起伏角とに基づいて、所定時間ΔT毎に現在の作業半径Rnを演算する。この演算された作業半径Rnは、作業半径変化速度算出部37及び旋回制御量算出部35に出力される。
作業半径変化速度算出部37は、この所定時間毎の作業半径Rnに基づいて作業半径の変化速度を算出する。例えば、今回の演算時に入力した作業半径RnをR1とし、所定時間ΔT前の演算処理時に入力した作業半径RnをR0とすると、前記作業半径変化速度VRは以下の数2により求められる。
【数2】
この演算された作業半径変化速度VRは、予測作業半径算出部38に出力される。
【0035】
予測作業半径算出部38は、前記演算された作業半径変化速度VRと制動時間t1とに基づいて、ブーム先端が現在位置から制動時間t1後に到達する作業半径を予測する。図5において、現在位置B1から制動時間t1後の予測作業半径をReとすると、予測作業半径算出部38は時々刻々対応する予測作業半径Reを演算して旋回制御量算出部35に出力する。
【0036】
旋回制御量算出部35は、旋回角センサ26からの旋回角度信号と、限界域算出部31からの旋回停止角度θc1,θc2及び限界作業半径Raとを入力し、さらに、目標減速角加速度算出部34から現在の旋回角速度ω0に対する制動時間t1及び目標の角加速度を、予測作業半径算出部38から予測作業半径Reを入力する。そして、現在の旋回角速度ω0から前記目標の角加速度で減速する場合に必要な制動角度θeを角速度の積分により算出する。これと共に、旋回制御量算出部35は、前記予測作業半径Reにおける停止領域ACの停止位置、すなわち、右旋回時は境界線73上で、かつ、半径が予測作業半径Reと等しい位置B2を求める。そして、この停止位置B2より前記算出した制動角度θeだけ手前の旋回制動領域Gの減速開始旋回角度θd1を算出する。また、同様にして、左旋回時は、境界線74上で、かつ、半径が予測作業半径Reと等しい停止位置(図示せず)、及びこの停止位置より前記制動角度θeだけ手前の減速開始旋回角度θ(図示せず)を算出する。なお、上記のように、減速開始旋回角度θd1,θd2は予測作業半径Reの大きさによって異なることになる。
【0037】
次に、旋回制御量算出部35は、圧力スイッチ53,54からの出力信号、又は旋回角速度センサ27からの出力信号により右旋回か左旋回かを判断し、旋回角センサ26から入力した現在の旋回角度が、この判断した旋回方向に該当する前記算出した減速開始旋回角度θd1,θd2(例えば、右旋回の場合はθd1)に到達したか否かを判断し、到達してない間は通常の旋回角速度制御処理を行う。すなわち、圧力センサ55から前記旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力の圧力値(旋回角速度の操作指令に対応する)を入力し、この圧力値以上の制御量を前記圧力制御弁45,46のソレノイド操作部45a,45bに出力する。これによって、旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力が方向切換弁42のパイロット操作部42d,42e(右旋回時は、パイロット操作部42d)に入力され、旋回モータ41が回転して旋回体3は前記操作量に比例した角速度で旋回する。
【0038】
また、現在の旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときは、旋回の自動制動制御を行い、ブームの起伏駆動及び伸縮駆動はそのまま続行する。すなわち、前記目標減速角加速度算出部34により算出された目標の角加速度で減速するように旋回の角速度指令値を演算し、この角速度指令値に基づく制御量を前記圧力制御弁45,46のソレノイド操作部45a,45bに出力する。これによって、方向切換弁42のパイロット操作部42dには、減速開始直前の旋回操作レバー51の操作量に比例したパイロット2次圧力から上記減速のカーブに沿った所定勾配で漸減するパイロット圧力が入力され、旋回モータ41が徐々に減速して旋回体3は滑らかに停止する。また、起伏方向及び伸縮方向については、例えば対応する各操作レバーの操作量に応じた角速度で駆動されるように、それぞれの角速度指令値が演算され、起伏制御手段及び伸縮制御手段に出力される。
なお、これらの角速度制御時には、各角速度センサ(例えば旋回角速度センサ27等)から入力する角速度信号をフィードバック信号として、前記演算された角速度指令値とこのフィードバック信号との差が小さくなるように制御量を演算し出力する。
【0039】
また、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも速くなった場合、旋回が完全に停止する以前にブーム先端部が前記予測作業半径Reの位置B3(図5参照)に到達することになるが、この場合には、ブームの伏せ方向及び伸長方向の駆動を停止する。そして、この後、旋回制動制御のみを行い、前記予測作業半径Re上の軌跡を位置B3から右旋回時は境界線73(左旋回時は境界線74)上の位置B2に向かって減速させるようにしている。
【0040】
この旋回制動時の旋回速度及び作業半径変化速度VRのカーブを、図6に示している。ブーム先端が減速開始旋回角度θd 1,θd 2に達した後、その時の旋回角速度ω0から所定のカーブで減速して境界線73,74上の停止位置(ここでは、停止位置B2)で停止するように、図示の2点鎖線のように旋回角速度は自動的に制御される。なお、この旋回自動制動中に、オペレータが旋回操作レバー51の操作量を小さくして角速度をこの自動減速カーブより遅くなるように操作した場合には、旋回制御量算出部35は通常の旋回操作レバー51による旋回制御処理に切り換える。これによって、旋回角速度は図示の実線で示すように減速され、ブーム先端部は前記停止位置B2よりも手前で停止する。このときの作業半径変化速度VRは、旋回制動中に例えばそれぞれの操作レバーにより指令されたブームの起伏指令及び伸縮指令に基づいて制御されており、例えばオペレータが前記停止位置近傍の所望の作業位置U(図5参照)まで操作レバーによる手動で駆動した場合には、図示の実線のようになる。したがって、旋回制動中でも作業半径を変化させることができる。
【0041】
また、旋回制御量算出部35は、前記旋回制動中に、現在の作業半径Rnを常時監視しており、この作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくならないかをチェックしている。これは、図7に示したように、旋回制動中にブームの起こし及び/又は縮小の方向に駆動した場合に相当している。そして、作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくなった場合、つまり図示で位置B4にブーム先端が達した場合は、現在実行中の旋回制動制御を中断する。つぎに、図8に示すように、旋回制動終了時の旋回角速度ω1から旋回操作レバー51の操作量に応じた角速度ω0まで所定の角加速度で滑らかに加速した後、通常の旋回角速度制御処理を行うようにしている。このとき、ブームの起こし及び/又は縮小の方向に駆動は継続して行われる。
【0042】
つぎに、図9に基づいて、以上の構成による制御処理手順を説明する。図9は本旋回減速制御装置の制御フローチャートの一例を示しており、各ステップ番号にはSを付して表わしている。
S1で、限界域算出部31は停止領域ACの旋回方向両端の停止位置を表わす境界線73,74を演算する。つぎに、S2で、作業半径算出部36は所定時間ΔT毎の作業半径Rnを演算し、作業半径変化速度算出部37はこの算出した所定時間ΔT毎の作業半径Rnに基づいて現在の作業半径変化速度VRを演算する。この後、S3で、吊荷振れ周期算出部32は現在のロープ長に基づき制動時間t1を演算し、目標減速角加速度算出部34はこの制動時間t1及び現在の旋回角加速度に基づいて旋回制動時の目標角加速度を演算する。そして、S4で、予測作業半径算出部38は、前記作業半径変化速度VR及び制動時間t1に基づいて、現在のブーム先端部の位置から前記制動時間t1後に到達する予測作業半径Reを算出する。
【0043】
つぎに、S5で、旋回制御量算出部35は、前記算出された予測作業半径Reにおける前記境界線73,74上の停止位置を算出した後、S6で、旋回制動に要する所定の制動角度θeだけ上記算出した停止位置よりも手前の減速開始旋回角度θd1,θd2を演算する。そして、旋回制御量算出部35は、S7で現在の旋回角度がこの減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したか否かを判断し、到達してないときは、S8で通常の旋回制御処理、すなわち旋回操作レバー51の操作量に応じた角速度になるように旋回モータ41の角速度を制御する指令を演算して出力する処理を行い、この後S2に戻って以上の処理を繰り返す。
【0044】
また、旋回制御量算出部35は、上記S7で旋回角度が前記減速開始旋回角度θd1,θd2に到達したときは、S9で、旋回のみ自動制動制御を行い、前記求められた目標角加速度で旋回体3が減速し停止するように旋回モータ41の角速度を制御する指令を演算して出力する。またS9では、ブームの起伏方向及び伸縮方向の駆動を継続する。つぎに、S10で、現在の作業半径Rnが限界作業半径Raより小さくなったか否かを判断し、小さくないときはS9に戻って自動制動制御を継続させ、小さくなったときはS11で、自動制動制御を解除して旋回操作レバー51の操作量に相当する角速度ω0まで漸次滑らかに加速させるような指令を演算して出力する。この後、S8へ処理を移行して前記通常の旋回制御処理を行う。
【0045】
以上説明したように、旋回角度が減速開始旋回角度θd1,θd2を超えて旋回制動領域内に入っても、ブームの起伏方向及び伸縮方向の駆動は停止せずに、旋回のみの制動制御を行うので、最大許容作業半径Rmの境界線72又は停止領域ACの境界線73,74の近傍までブーム先端部を移動させることができる。これによって、実質的な作業可能領域が広くなるので、クレーン作業性が向上する。また、さらに、旋回制動時にブームが起こし方向及び/又は縮小方向に駆動され、実際の作業半径Rnが限界作業半径Raよりも小さくなって旋回制動領域Gの外部に脱出した場合には、自動的に上記の旋回制動が中断され、このとき旋回、起伏及び伸縮の各駆動が停止することなく継続して行われるので、作業性が非常に良くなり、作業能率の向上が図られる。
【0046】
つぎに、第2の実施形態を図10に基づいて説明する。本実施形態は、停止領域ACと旋回制動領域Gとの境界線73,74を直線とするのではなく、作業半径Rnの大きさの所定範囲毎に区切って段階的に境界線を持つようにしたものである。図10は、その停止領域AC及び旋回制動領域Gの説明図である。
停止領域ACの旋回方向両端部には旋回制動領域Gが隣接しており、この境界線は、通常前述のように作業半径Rnが大きくなると停止領域ACが大きくなるように、停止領域の外側に広がっている。したがって、作業半径Rnの大きさを所定範囲毎に区切り、この各範囲毎に旋回制動領域Gとの境界線を設ける。例えば、ここでは2つの範囲、すなわち最大許容作業半径Rm〜所定作業半径R1までと、所定作業半径R1〜限界作業半径Raまでの範囲を設定するものとし、それぞれの範囲に対して右旋回方向の許容される境界線73a,73bが旋回中心Oaを通る半径方向の直線として設定される。そして、各範囲の境界線73a,73b間は、前記区切りの作業半径R1上の円弧75aにより境界線(以後境界線75aと呼ぶ)が設定されている。なお、同様にして、左旋回方向の境界線74a,74bが旋回中心Oaを通る半径方向の直線として、また両境界線間の円弧状の境界線76aが設定される。また、境界線73a、74aの最大許容作業半径Rmの位置をそれぞれM1、M2とし,また境界線73b、74bの限界作業半径Raの位置をそれぞれM3、M4とすると、これらの位置M1、M2、M3、M4は前述の第1の実施形態でのそれぞれの位置M1、M2、M3、M4に相当する。
【0047】
また、制御器30内の各部の処理内容は略同様であるが、ここでは、上記のような境界線に対応して前述と異なった処理を行う限界域算出部31及び旋回制御量算出部35の処理方法を特に説明する。
限界域算出部31は、前述と同様にして算出した現在の荷9の吊上げ荷重及び実負荷モーメントと、アウトリガ11の張出量とに基づいて、停止領域ACを算出し、この停止領域ACに対応する前記境界線71,72,73a,73b,74a,74b,75a,76aを求める。そして、境界線73a,73b,74a,74bをそれぞれ表わす旋回角度θf1,θf2,θf3,θf4、及び限界作業半径Ra及び最大許容作業半径Rmを算出し、旋回制御量算出部35に出力する。
【0048】
旋回制御量算出部35は、現在の作業半径変化速度VRに対応する制動時間t1後の予測作業半径Reを入力し、この予測作業半径Reと前記各境界線73a,73b,74a,74bに対応する作業半径Rnの範囲とを比較する。そして、予測作業半径Reに応じた境界線を特定する。いま、右旋回時で、予測作業半径Reが図10に示したように境界線73aに対応するとした場合、この境界線73aの旋回角度θf1より前記所定の制動角度θeだけ手前の旋回制動領域G1の減速開始旋回角度θg1を算出する。
【0049】
そして、旋回角度がこの算出した減速開始旋回角度θg1に到達したとき、前述と同様の旋回の自動停止制御を行い、所定の角加速度で滑らかに減速するように旋回モータ41の指令値を演算する。また、ブームの起伏駆動及び伸縮駆動はそのまま継続させ、例えばそれぞれの操作レバーの操作量に応じた速度で起伏方向及び伸縮方向にブーム先端部を移動させる。
【0050】
なお、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも速くなって、旋回が完全に停止する以前にブーム先端部が前記予測作業半径Reの位置B3(図10参照)に到達した場合には、ブームの伏せ方向及び伸長方向の駆動を停止する。そして、この後、旋回制動制御のみを行い、前記予測作業半径Re上の軌跡を位置B3から境界線73a上の位置B2に向かって減速させるようにする。また、旋回制動中の作業半径変化速度VRが、前記制動開始直前に算出した作業半径変化速度VRよりも遅くなって、予測作業半径Reの位置B2に到達する以前に境界線73a上の位置B5(図10参照)で旋回停止した場合には、ブームの伏せ方向及び/又は伸長方向の駆動によって境界線73a上を位置B5から位置B2まで移動できるようにしている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態においても、旋回制動領域Gに侵入する直前の作業半径変化速度VRに基づいて制動時間t1後の予測作業半径Reを求め、この予測作業半径Reにおける停止位置に対応した旋回制動領域Gで旋回を自動停止させるようにしている。そして、この旋回制動中に、ブームの起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動ができるようにしているので、停止領域ACの境界線近傍の位置まで作業半径を広げることができる。したがって、許容作業領域を最大限使用することができ、クレーン作業性が良くなり、作業能率の向上を図ることが可能となる。
【0052】
なお、上記の実施形態では移動式クレーン1を例にとって説明しているが、本発明に係わる旋回減速制御装置及びその制御方法の制御対象は移動式クレーン1に限定されるものではない。すなわち、ブームの旋回範囲において、ブームと障害物との干渉防止やクレーン転倒防止等のために、旋回できない停止領域ACを有すると共に、この停止領域ACに侵入する手前で旋回角速度を自動的に減速させて停止させるような旋回自動停止機能を有するクレーンであればよい。
【0053】
また、以上の説明では、旋回制御回路において、旋回操作レバー51の操作量に応じたパイロット2次圧力を出力する手動操作弁52、及びこのパイロット2次圧力により制御される方向切換弁42を採用している例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電気的な操作指令信号を出力する電気式旋回操作レバー、及び電気的な指令信号により駆動されるソレノイド式切換弁を採用し、前記操作指令信号に基づいて旋回自動制動時の減速の制御信号をソレノイド式切換弁に出力するような電気制御回路を構成することによっても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる移動式クレーンの概要を説明する側面図である。
【図2】本発明に係わる移動式クレーンの停止領域及び旋回制動領域の説明図である。
【図3】本発明に係わる移動式クレーンの旋回減速制御装置の制御ブロック図を示す。
【図4】本発明に係わる移動式クレーンの旋回制動制御時の角速度カーブを表す。
【図5】本発明に係わる作業半径予測の説明図である。
【図6】本発明に係わる旋回制動領域での旋回及び作業半径変化の説明図である。
【図7】本発明に係わる旋回制動領域でのブームの起こし及び/又は縮小時の作業半径の説明図である。
【図8】本発明に係わる旋回制動領域でのブームの起こし及び/又は縮小時の旋回及び作業半径変化の説明図である。
【図9】本発明に係わる制御フローチャートの例を示す。
【図10】本発明に係わる第2実施形態における制動制御の説明図である。
【図11】従来技術に係わる移動式クレーンの概要側面図を示す。
【図12】従来技術に係わる限界作業領域及び旋回停止領域の説明図を示す。
【図13】従来技術に係わる旋回減速制御動作の説明図である。
【符号の説明】
1…移動式クレーン、2…下部走行体、3…旋回体、5…ブーム、9…荷、11…アウトリガ、21…ブーム長センサ、22…ブーム起伏角センサ、23…ブーム起伏シリンダ圧力センサ、25…アウトリガ張出量センサ、26…旋回角センサ、27…旋回角速度センサ、28…ロープ長センサ、30…制御器、31…限界域算出部、32…吊荷振れ周期算出部、34…目標減速角加速度算出部、35…旋回制御量算出部、36…作業半径算出部、37…作業半径変化速度算出部、38…予測作業半径算出部38、41…旋回モータ、43…メインポンプ、45,46…圧力制御弁、51…旋回操作レバー、52…手動操作弁、53,54…圧力スイッチ、55…圧力センサ、71,72,73,74…境界線、G…旋回制動領域、AC…停止領域。AK…限界作業領域、Ra…限界作業半径。
Claims (4)
- 旋回自在な旋回体(3) と、旋回体(3) の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム(5) と、旋回体(3) を旋回させる旋回モータ(41)と、旋回体(3) の旋回角度を検出する旋回角センサ(26)と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー(51)と、ブーム(5) の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム(5) の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体(3) の旋回動作、及び、ブーム(5) の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域(AC)を演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー(51)の操作指令に基づいて旋回モータ(41)を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ(26)から入力する旋回角度が前記停止領域(AC)よりも所定制動角度手前の旋回制動領域(G) の減速開始旋回角度( θd1、 θd2) に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー(51)の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ(41)を制御し、旋回体(3) を自動停止させる制御器(30)とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、
ブーム(5) の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ(21)、及び/又は、ブーム(5) の起伏角を検出するブーム起伏角センサ(22)を設け、
前記制御器(30)は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径(Rn)を演算する作業半径算出部(36)と、
この所定時間毎の作業半径(Rn)に基づいて現在の作業半径変化速度(VR)を演算する作業半径変化速度算出部(37)と、
前記旋回制動領域(G) での制動に要する制動時間(t1)及び角加速度を演算する目標減速角加速度算出部(34)と、
前記作業半径変化速度(VR)及び前記制動時間(t1)に基づいて、制動時間(t1)後の予測作業半径(Re)を予測する予測作業半径算出部(38)と、
前記停止領域(AC)の旋回方向の境界線(73,74) 上で、かつ、作業半径が前記予測作業半径(Re)と等しい停止位置を求め、この停止位置よりも前記旋回制動に要する所定制動角度だけ手前の減速開始旋回角度( θd1,θd2) に旋回角度が到達したとき、前記ブーム(5) の起伏方向及び/又は伸縮方向の駆動を継続させて所定速度で制御すると共に、旋回体(3) を前記旋回操作レバー(51)の操作指令に相当する旋回角速度から前記算出した角加速度で漸次減速して停止させる指令を演算して前記旋回モータ(41)を制御する旋回制御量算出部(35)とを備えたことを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。 - 請求項1記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
旋回角度が前記減速開始旋回角度( θd1,θd2) に到達したときに、前記旋回制御量算出部(35)が制御するブーム(5) の起伏方向及び/又は伸縮方向の所定速度は、それぞれ、起伏操作レバー及び/又は伸縮操作レバーの操作量に応じた速度であることを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。 - 旋回自在な旋回体(3) と、旋回体(3) の上部に配設され、かつ、起伏自在及び/又は伸縮自在なブーム(5) と、旋回体(3) を旋回させる旋回モータ(41)と、旋回体(3) の旋回角度を検出する旋回角センサ(26)と、オペレータが操作する操作量に応じた旋回角速度の操作指令を出力する旋回操作レバー(51)とブーム(5) の起伏速度を制御する起伏制御手段、及び/又は、ブーム(5) の伸縮速度を制御する伸縮制御手段と、旋回体(3) の旋回動作、及び、ブーム(5) の伏せ及び/又は伸長を行う時にこれらの旋回、及び、伏せ及び/又は伸長ができない停止領域(AC)を演算し、又は予め記憶しておき、前記旋回操作レバー(51)の操作指令に基づいて旋回モータ(41)を制御する指令を演算して旋回角速度を制御し、前記旋回角センサ(26)から入力する旋回角度が前記停止領域(AC)よりも所定角度手前の旋回制動領域(G) の減速開始旋回角度( θd1,θd2) に達した場合に、この到達直前の旋回操作レバー(51)の操作指令に相当する旋回角速度から所定のカーブで減速させる指令を演算して前記旋回モータ(41)を制御し、旋回体(3) を自動停止させる制御器(30)とを備えたクレーンの旋回減速制御装置において、ブーム(5) の伸縮方向のブーム長さを検出するブーム長センサ(21)、及び/又は、ブーム(5) の起伏角を検出するブーム起伏角センサ(22)を設け、
前記制御器(30)は、
前記ブーム長さ及び前記ブーム起伏角に基づいて所定時間毎にブーム先端部の作業半径(Rn)を演算する作業半径算出部(36)と、
前記旋回制動領域(G) での旋回制動により旋回が自動停止するまでの間に、前記現在の作業半径(Rn)が前記旋回制動領域(G) の旋回中心側の限界作業半径(Ra)より小さくなったとき、前記旋回制動を中断して旋回操作レバー(51)の操作量に基づく旋回角速度の制御を開始する旋回制御量算出部(35)とを備えたことを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。 - 請求項3記載のクレーンの旋回減速制御装置において、
前記旋回制御量算出部(35)は、前記旋回制動を中断した後、その時の旋回角速度から旋回操作レバー(51)の操作量に応じた旋回角速度まで所定角加速度で増速させるようにしたことを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。
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