JP3818276B2 - スピン注入素子及びそれを用いた磁気装置 - Google Patents

スピン注入素子及びそれを用いた磁気装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スピン注入素子及びそれを用いた磁気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属や半導体に外部磁界を印加したときに、その抵抗が変化する磁気抵抗効果は、磁気ヘッドや磁気センサなどに使用されている。
磁気抵抗効果を大きくするために、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層からなる巨大磁気抵抗(GMR)効果素子が開発されている。GMRは界面でのスピン依存散乱を起因としており、外部磁場によって2つの強磁性層の磁化を互いに平行又は反平行に制御することにより、その抵抗が互いに異なる。
【0003】
GMR素子はすでに磁気センサーやハードデイスク装置の再生ヘッドなどに実用化されている。この場合、電流は膜面内に流しており、このGMRはCIP(Current In Plane)−GMRと呼ばれている。CIP−GMR素子は通常、一方の強磁性体に反強磁性体を近接させ、その強磁性体のスピンを固定するスピンバルブ型と呼ばれる素子が使用されている。一方、膜面に垂直に電流を流すCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMRと呼ばれるGMR素子も知られている。
【0004】
より大きな磁気抵抗を得るために、トンネル接合を用いた磁気抵抗効果素子があり、強磁性スピントンネル接合(MTJ)素子及びスピン注入素子が注目されている。近年、これらのトンネル接合を用いた磁気抵抗効果素子が、新しい磁界センサや不揮発性磁気メモリ(MRAM)のメモリ素子として注目されている。
【0005】
従来のMTJ素子では、強磁性層/絶縁体層/強磁性層の順に積層した積層構造からなる強磁性スピントンネル接合を有している。
外部磁界によって2つの強磁性層の磁化を互いに平行あるいは反平行に制御することにより、膜面垂直方向のトンネル電流の大きさが互いに異なる、いわゆるトンネル磁気抵抗(TMR)効果が室温で得られる(非特許文献1参照)。このトンネル接合におけるTMRは、用いる強磁性体と絶縁体との界面におけるスピン分極率Pに依存し、二つの強磁性体のスピン分極率をそれぞれ、P1 ,P2 とすると、一般に下記式で与えられることが知られている(非特許文献2参照)。
TMR=2P1 2 /(1−P1 2
ここで、強磁性層のスピン分極率Pは、0<P≦1の値をとる(非特許文献3参照)。現在、MTJ素子において、室温で得られているTMRの最大値は、スピン分極率が約0.5のCoFe合金を用いたときの約50%である(非特許文献4参照)。
【0006】
MTJ素子は、ハードディスク用読み出しヘッドやMRAMへの応用が期待されている。MRAMではMTJ素子をマトリックス状に配置し、別に設けた配線に電流を流して磁界を印加することで,各MTJ素子を構成する二つの磁性層を互いに平行及び反平行に制御することにより、1,0を記録させる。読み出しはTMR効果を利用して行う。
【0007】
一方、強磁性体から非磁性金属に電流を流すと、非磁性金属の長さがスピン拡散長より十分短い場合には、非磁性金属中にスピンが溜まること、すなわち、スピン蓄積が知られている。このように、強磁性体から非磁性金属に電流を流すことをスピン注入という。これは、強磁性体が一般にフェルミ準位において異なるスピン密度(アップスピン電子とダウンスピン電子の数が違う)をもつため、強磁性体から非磁性金属に電流を流すとスピン偏極電子が注入され、アップスピン電子とダウンスピン電子のケミカルポテンシャルが異なることに起因していることが報告されている(非特許文献5参照)。
【0008】
このスピン注入が生じる強磁性金属/非磁性金属からなる系において、この非磁性金属に接して第2の強磁性体を配置すると、非磁性金属にスピンが溜まっている場合、非磁性金属と第2の強磁性金属の間に電圧が誘起される。この電圧は、第1の強磁性体と第2の強磁性体の磁化を互いに平行あるいは反平行に制御することで、電圧の極性が正と負に反転することが報告されている。そして、この原理を利用したスピントランジスタが提案されている(非特許文献参照6)。
【0009】
従来のスピン注入を用いたスピントランジスタにおいては、強磁性金属と非磁性金属からなる系の各々の電極は、スピン注入に対する固有の抵抗(以下、適宜スピン注入抵抗と呼ぶ)を有している。
各電極の断面積が同じで、後述するが、異種の金属が接触した界面に生じる接触抵抗RC が無視できる場合には、非磁性導電体のスピン注入抵抗RN は強磁性体のスピン注入抵抗RF の約10倍程度となり、RF ≪RN である。
このようなスピン注入抵抗の違いは、スピン注入における抵抗ミスマッチと呼ばれている。金属系接合における抵抗ミスマッチは主にスピン拡散長の大きな違いからきている。抵抗ミスマッチが大きい電極を金属接触の接合に用いると、抵抗ミスマッチはスピン注入効率を著しく阻害する。これはスピン注入抵抗が小さい強磁性金属から抵抗の大きい非磁性金属へスピン注入を行うために起こる。このようなスピン注入に対する抵抗ミスマッチの阻害要因は、電極間にトンネル障壁を挿入することで解消されることが知られている。
【0010】
このようなスピン注入に伴う抵抗ミスマッチのないトンネル障壁を用いたトンネル磁気抵抗素子として、スピン注入素子が提案されている(非特許文献4参照)。
図9は従来のスピン注入素子の構成と動作原理を説明する断面図である。図9に示すように、従来のスピン注入素子50は、スピン注入をさせる第1のトンネル接合51と、スピン電流による電圧を検出する第2のトンネル接合52とがスピン拡散長Lsよりも短い間隔Lで、共通の電極となる非磁性金属53上に配設されている。第1のトンネル接合51は、非磁性金属53上に絶縁体54と第1の強磁性体55とが順次積層された構造からなり、第2のトンネル接合52は、非磁性金属53上に絶縁体54と第2の強磁性体56とが順次積層された構造からなっている。直流電源58は、第1のトンネル接合51の非磁性金属53側を正とし、強磁性体55側を負とするように印加され、このとき第1のトンネル接合に流れる電流がIである。一方、電圧検出側の第2のトンネル接合の強磁性体56と、非磁性金属53には、電圧計59が接続されている。
【0011】
図10は図9の平面図であり、基板57上にスピン注入素子50が配設されている。そして、外部磁界60が基板57の面内に平行に印加されている。この外部磁界60が印加されたときに、第1のトンネル接合51の強磁性体55と、第2のトンネル接合52の強磁性体8に生じる磁化が、それぞれ、磁化61、磁化62である。図示するように、第1のトンネル接合51と第2のトンネル接合52と非磁性金属53のパターンの長辺は、それぞれ、L1,L2,L3であり、短辺は、それぞれW1,W2,W3である。
【0012】
次に、上記の従来のスピン注入素子の動作について説明する。従来のスピン注入素子50の第1のトンネル接合51に直流電源58を印加して、トンネル電子によりスピンを注入する。このスピン注入されたスピン電流(図5のIS )は、スピン拡散長よりも短い距離Lにある第2のトンネル接合52と電圧計59の接続された閉回路に流れる。それに伴う誘起電圧が、第2のトンネル接合52における強磁性金属56と非磁性金属体53に接続した電圧計59により検出される。ここで、二つのトンネル接合51,52に用いられる強磁性体55,56の磁化62,63が、互いに平行及び反平行になるように外部磁界60を制御することで、誘起電圧の符号を変えることができるために、電圧検出が容易となる。このため、従来のスピン注入素子は、雑音に強いトンネル接合を用いた磁気抵抗効果素子として期待されている。
【0013】
【非特許文献1】
T. Miyazaki et. al, "Spin polarized tunneling in ferromagnet/insulator/ferromagnet junctions", 1995, J. Magn. Magn. Mater., Springer, Vol. 151, p.403
【非特許文献2】
M. Julliere, "Tunneling between ferromagnetic films", 1975, Phys. Lett., Vol. 54A, p.225
【非特許文献3】
J.Bass and Pratt Jr.," Current-perpendicular (CCP) magnetresistance in magnetic metallic multilayers",1999, J.Magn. Magn. Mater., Vol.200, pp.274-278
【非特許文献4】
J.S.Moodera and G.Mathon, "Spin polarized tunneling in ferromagnetic junctions", 1999, J.Magn. Magn. Mater., Vol.200, pp.274-278
【非特許文献5】
M. Johnson et. al,"Interfacial Charge-Spin Coupling: Injectionand Detection of Spin Magnetism in Metal", 1985, Phys. Rev. Lett., American Physical Soceiety, Vol. 55, p.1790
【非特許文献6】
M. Johnson et. al, "Spin Accumulation",1993, Phys. Rev. Lett., American Physical Soceiety, Vol. 70, p.2142
【非特許文献7】
F. E. Jedema 他4名, "Electrical detection of spin precessionin a metallic mesoscopic spin valve", 2002, Nature, Vol. 416, p.713-715
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスピン注入素子の第2のトンネル接合52で検出される出力抵抗RS は、下式で測定される。
S =(VAP−VP )/IS =VS /IS
ここで、VAP及びVP はそれぞれ、二つのトンネル接合の強磁性層55,56の磁化が反平行及び平行のときの誘起電圧である。そしてVS =VAP−VP であり、IS は第2のトンネル接合52を流れる電流である。
従来のスピン注入素子においては、共通電極である非磁性金属53の抵抗が小さいことと、第2のトンネル接合52の構造が非磁性金属と絶縁体と強磁性体とが順次積層された構造であるために、検出される出力抵抗RS が10mΩ以下と小さく、実用上十分大きな信号電圧が得られないという課題がある。
【0015】
また、従来の平面内に配置した(プレーナ型)スピン注入素子においては、スピン注入だけでは磁化反転はできず、外部磁界が必要であった。このため、外部磁界を印加しないで、第1の接合からのスピン注入だけで第2の接合側を磁化反転するという素子機能は実現されていないという課題がある。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑み、スピン注入効率を高めることでスピン注入磁化反転が可能である新規なスピン注入素子及びそれを用いた磁気装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スピン注入素子において、スピン注入電極及びスピン電流を検出する電極の理論研究を行い、共通電極となる非磁性導電体上の平面内に配置した二つの磁性素子(以下、適宜、接合と呼ぶ)の一方をスピン注入源とし、それによって他方の磁性素子のスピンを反転させる、即ち、スピン注入磁化反転ができる新規なスピン注入素子に関する本発明を完成するに至った。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明のスピン注入素子は、非磁性導電体を共通の電極とし他方の電極を強磁性体とするトンネル接合を有する第1の接合と、非磁性導電体を共通の電極とし他方の電極を強磁性体とする第2の接合と、を備え、第1の接合及び第2の接合が、非磁性導電体のスピン拡散長よりも短い間隔を置いて配置され、第1の接合は強磁性体から非磁性導電体にスピンを注入するトンネル接合であり、第2の接合の強磁性体は注入されたスピン電流の吸収体であり、第1の接合を通して非磁性導電体に注入されたスピン電流によって、第2の接合の強磁性体の磁化を反転させることを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、第2の接合の強磁性体のスピン注入抵抗が、非磁性導電体のスピン注入抵抗よりも十分小さい。
また、第2の接合が、強磁性体と非磁性体と強磁性体とがこれらの順に積層された3層構造からなり、二つの強磁性体は上記非磁性体を介して反強磁性的に結合している。
【0019】
上記構成によれば、トンネル接合を有する第1の接合から非磁性導電体に注入されるスピン電流が、第2の接合の強磁性体に効率よく吸収されるので、従来のスピン注入素子に比べて第2の接合の強磁性体の磁化を効率よく反転させることができる。
また、第2の接合は、強磁性体を有するトンネル接合やCPP−GMR構造の磁気抵抗効果素子であるので、スピン注入磁化反転を感度よく検出することができる。
【0020】
また、本発明のスピン注入素子を用いた磁気装置は、上記構成のスピン注入素子における第2の接合の強磁性体の磁化反転を検出するための素子が設けられていることを特徴とする。上記磁化反転を検出する素子は、好ましくは、トンネル磁気抵抗効果を利用する素子である。また、磁化反転を検出する素子は、好ましくは、CPP−GMR効果を利用する素子である。また、好ましくは、上記構成のスピン注入素子を用いた磁気装置がメモリである。この構成によれば、本発明のスピン注入素子は、スピン注入効率を高めると共に、大きな信号電圧が得られるので、高感度の磁界センサ、高感度磁気ヘッド、信号電圧の大きい大容量MRAMなどの磁気装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明のスピン注入素子は、非磁性導電体を共通の電極とし、非磁性導電体上に他方の電極となる第1の強磁性体と第2の強磁性体とを備え、第1の強磁性体及び第2の強磁性体が、非磁性導電体のスピン拡散長よりも短い間隔を置いて配置され、第1の強磁性体から非磁性導電体にスピン電流を注入し、第2の強磁性体は注入されたスピン電流の吸収体であり、第1の強磁性体のスピン注入抵抗が非磁性導電体のスピン注入抵抗と同程度あるいはそれ以上であることを特徴とする。
上記第2の磁性体は、好ましくは、強磁性体と非磁性体と強磁性体がこれらの順に積層された3層構造からなり、二つの強磁性体は非磁性体を介して反強磁性的に結合している。
また、第2の強磁性体のスピン注入抵抗は、好ましくは、非磁性導電体のスピン注入抵抗よりも十分小さい。また、好ましくは、第1の強磁性体から非磁性導電体に注入されたスピン電流によって、第2の強磁性体の磁化を反転させる。また、好ましくは、第1の強磁性体はハーフメタルである。
【0022】
上記構成によれば、本発明のスピン注入素子は、第1の強磁性体のスピン注入抵抗が非磁性導電体のスピン注入抵抗と同程度あるいはそれ以上であるので、第1の強磁性体から非磁性導電体へ効率よくスピン注入を行うことができ、かつ、非磁性導電体に注入されるスピン電流が、第2の接合の強磁性体に効率よく吸収されるので、従来のスピン注入素子に比べて第2の接合の強磁性体の磁化を効率よく反転させることができる。また、第2の接合は、強磁性体を有するトンネル接合やCPP−GMR構造の磁気抵抗効果素子であるので、スピン注入磁化反転を感度よく検出することができる。
【0023】
また、本発明のスピン注入素子を用いた磁気装置は、上記構成のスピン注入素子における第2の接合の強磁性体の磁化反転を検出するための素子が設けられていることを特徴とする。上記磁化反転を検出する素子は、好ましくは、トンネル磁気抵抗効果を利用する素子である。また、磁化反転を検出する素子は、好ましくは、CPP−GMR効果を利用する素子である。また、好ましくは、上記構成のスピン注入素子を用いた磁気装置がメモリである。この構成によれば、本発明のスピン注入素子は、低電流でスピン注入効率が高く、スピン注入素子磁化反転ができ、かつ、大きな信号電圧が得られるで、高感度の磁界センサ、高感度磁気ヘッド、信号電圧の大きい大容量MRAMなどの磁気装置を提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面により詳細に説明する。各図において同一または対応する部材には同一符号を用いる。
図1は、本発明の第1の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。本発明のスピン注入素子1は、スピン注入をさせる第1の接合2と、スピン電流を検出する第2の接合3が、スピン拡散長Lsよりも短い間隔Lで、共通の電極となる非磁性導電体4上に配設されている。第1の接合1は、非磁性導電体4上に、絶縁体5と、第1の強磁性体6と、が順次積層されたトンネル接合からなっている。第1の接合2はトンネル接合を介して、第1の強磁性体6から非磁性導電体4へスピンを注入する。
第2の接合3は、非磁性導電体4上に、第2の強磁性体7が積層された構造からなっている。第2の接合3は金属接触の接合であり、スピン注入により生じた非磁性導電体4中のスピンの流れ(スピン流)を第2の強磁性体7へ引き込む接合である。この第2の接合3の第2の強磁性体7は、後述するが、注入されたスピン流の吸収体として動作する。
直流電源9は、第1の接合2の非磁性導電体4を正とし、第1の強磁性体6側を負とするように印加され、このとき第1の接合2に流れる電流がIである。一方、検出側の第2の接合3の第2の強磁性体7と非磁性導電体4には、電圧計10が接続されている。
【0025】
図2は図1の平面図であり、例えば、絶縁物で被覆された基板41上に、本発明のスピン注入素子1が配設されている。図示するように、第1の接合2と第2の接合3と非磁性導電体4のパターンの長辺は、それぞれ、L1,L2,L3であり、短辺は、それぞれW1,W2,W3である。また、図2には、第1の接合2からスピン注入されることにより第1の強磁性体6に生じる磁化42と、第2の接合3に引き込まれたスピン流により第2の強磁性体7に生じる磁化43が示されている。
ここで、本発明のスピン注入素子10が従来のスピン注入素子50と異なるのは、後述するが、外部磁場(図10の60参照)を用いないで、第1の接合2からスピン注入することで、第2の接合3の強磁性体7を磁化反転できることである。
【0026】
図1のスピン注入素子10の積層構造の各層の膜厚はナノメータサイズで形成されている。ここで、ナノメータサイズとは電子がその運動量とスピンを保存したまま伝導可能な膜厚を意味する。なお、金属の場合、電子の平均自由行程は1μm以下であり、この程度のサイズの素子ではスピンは緩和することなく他方に流れ込むことができる。
ここで、非磁性導電体4は、CuまたはAlなどのスピン拡散長の長い非磁性金属を用いる。第1の強磁性体6はNiFe(パーマロイ合金)やCoFe等のスピン分極率の大きい強磁性金属を用いる。また、第2の強磁性金属7は、NiFeやCoFe等のスピン拡散長が非常に短い強磁性金属とする。また、絶縁体5は、Al酸化膜などを用いることができる。
【0027】
次に、本発明のスピン注入素子の動作を説明する。最初にスピン注入抵抗について説明する。
第1の強磁性体6のスピン注入抵抗はRF =ρF λF /AF である。ここで、ρF は第1の強磁性体6の電気抵抗率、λF はスピン拡散長、AF はスピン伝導の方向に垂直なFの断面積である。AF は、図2で示した素子パターンにおいては、AF =W1×W3である。
また、非磁性導電体4のスピン注入抵抗はRN =ρN λN /AN である。ここで、ρN は非磁性導電体4の電気抵抗率、λN はスピン拡散長、AN はスピン伝導の方向に垂直なFの断面積である。AN は、図2で示した素子パターンにおいては、AN =W2×W3である。
【0028】
また、異種の金属が接触した場合、その界面にはいわゆる接触抵抗RC が生じる。これまでのCPP−GMRの研究の蓄積から種々の強磁性体と非磁性導電体の接触抵抗RC の大きさが見積もられており、その面積あたりの大きさは、おおむねARC 〜2×10-12 Ωcm2 である(非特許文献3参照)。この値は、非磁性導電体電極の面抵抗AN N =ρN λN 〜10- 10Ωcm2 に比べて約2桁小さいので、接触抵抗の寄与は一応無視して差し支えない。
以下では、RC ≪RN の場合の接合を金属接触接合と呼び、他方、接合抵抗がRN より十分大きい場合はトンネル接合と呼ぶ。
【0029】
非磁性導電体であるCuの電気抵抗率は、強磁性体であるNiFeやFeCoの電気抵抗率より約10倍小さい。実際、低温での電気抵抗率は、ρCu=1.4μΩcm、ρNiFe=8μΩcmである(非特許文献7参照)。
これに対して、非磁性導電体であるCuのスピン拡散長は、強磁性体であるNiFeやFeCoのスピン拡散長より約100 倍大きい。Cu、NiFe、FeCoのスピン拡散長は、それぞれ、λCu=1000nm(非特許文献7参照)、λNiFe=5nm (非特許文献3参照)、λCoFe=12nm (非特許文献3参照)であることが報告されている。
従って、電極の断面積が同じ場合(AN =AF )、強磁性体のスピン注入抵抗RF は非磁性導電体のスピン注入抵抗RN の約1/10である(RF ≪RN )。
【0030】
次に、第1の接合2から注入されるスピン電流と、第2の接合3に注入されるスピン流について説明する。第1の接合2であるトンネル接合から注入されるスピン流はIS (F1/N1)=P1 Iである。ここで、P1 は、第1の強磁性体6のトンネル・スピン分極率、Iはトンネル接合2に印加されるバイアス電流である。注入されたスピン流は非磁性金属4に沿って拡散し、スピン拡散長λN (CuではλN 〜1μm)の範囲にわたってスピン流を生じる。非磁性導電体4中を流れるスピン流は、次の(1)式で与えられる。
【数1】
Figure 0003818276
ただし、接合2の位置を原点とした。また、因子1/2は注入されたスピン流が非磁性導電体4の左右に等しい大きさで拡散することからきている。
【0031】
いま、第1の強磁性体6と第2の強磁性体7との間隔をスピン拡散長より短くし、かつ非磁性導電体4と金属接触になるように第2の強磁性体7を設置すると、RF ≪RN であるために、非磁性導電体4中を流れてきたスピン流は金属接触接合である第2の接合3の界面を横切って第2の強磁性体7に流れ込むようになる。
【0032】
また、金属接触接合である第2の接合3の界面を横切るスピン流の大きさは、次の(2)式で与えられる。
【数2】
Figure 0003818276
ここで、pF =(ρF ↑−ρF ↓)/ρF が第1の強磁性体6のスピン流の分極率であり、ρF ↑とρF ↓は、それぞれ、アップスピン電子とダウンスピン電子に伴う抵抗率である。
【0033】
この際、スピン注入抵抗で説明したように、接合2及び非磁性導電体4の各電極間のスピン注入抵抗に大きなミスマッチがある場合(RF ≪RN )には、上記(2)式のスピン流の大きさは、次の(3)式で与えられる。
【数3】
Figure 0003818276
この値は、(1)式のx=Lの位置でのスピン流の大きさの2倍である。これは、第2の強磁性体7より右側にある非磁性導電体4のスピン流はほとんどゼロとなることである。即ち、RF ≪RN を満たす第2の強磁性体7と非磁性導電体4を金属接触させることにより、非磁性導電体4中を流れてきたスピン流が全て第2の強磁性体7の方に流れ出ていくと共に、第2の強磁性体7がスピン流を引き込む効果によりスピン流が最大2倍に増強されることを意味している。これから、金属接触接合におけるスピン注入抵抗のミスマッチは、強磁性金属から非磁性導電体へのスピン流の流れを阻害するが、逆に非磁性導電体から強磁性金属へのスピン流の流れを増強することが分かる。
【0034】
図3は、非磁性金属4から第2の強磁性体7へ流れ込むスピン流IS に対する第1の強磁性体6及び第2の強磁性体7の間隔(L)依存性を計算した結果を示す図である。図において、横軸は上記間隔(L)を非磁性導電体4のスピン拡散長(λN )で規格した規格化距離を示し、縦軸は上記(2)式で表わされるスピン流をバイアス電流Iで規格した規格化スピン流を示している。
計算において、pF =0.7(非特許文献3参照)及びP1=0.5(非特許文献4参照)という値を用いた。また、計算パラメータとしたスピン注入抵抗比RF2/RN1は、0.02〜1とした。
ここで、強磁性体及び非磁性導電体が同じ面積であり、かつ、非磁性導電体がCuで、強磁性体がCoFe、Coの場合のスピン注入抵抗比RF2/RN1は、それぞれ、0.1、0.5である(抵抗率、スピン拡散長データは、非特許文献3の参照)。
図3から明らかなように、スピン注入抵抗比RF2/RN1の値が小さくなるほど、第2の強磁性体7へ流れ込むスピン流が増大することが分かる。
非磁性導電体4としてスピン拡散長の長いCuを用い、第2の強磁性体7としてスピン拡散長の短いNiFeやCoFeを用いると、第2の強磁性体7はスピン流に対して強力な吸収体(シンク:sink)として働くようになり、スピン流が非磁性導電体4から第2の強磁性体7へ勢いよく流れ込むようになる。このスピン流によって運ばれた角運動量の横成分が、第2の強磁性体7に遷移(transfer)されることにより、第2の強磁性体7にトルクが働き磁化の反転が生じる(図2参照)。
【0035】
これにより、第1の強磁性体6及び第2の強磁性体7は、反強磁性配列から強磁性配列に変化する。第1の接合2に印加するバイアス電流を逆に流せば、上記と逆の現象が起こるため強磁性配列から反強磁性配列に戻すことができる。このようにしてスピン注入により、第1の強磁性体6及び第2の強磁性体7の磁化反転ができる。したがって、本発明のスピン注入素子においては、従来のスピン注入素子で必要であった磁化反転のための外部磁場が不要となる。
このように、本発明のスピン注入デバイスは、スピン流が効率よく第2の接合3に吸収されることで、第2の接合の電極である強磁性体7の磁化反転を効率よく発現できる。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。第2の実施形態のスピン注入素子20が、図1に示す第1の実施形態のスピン注入素子1と異なるのは、第2の接合10である。第2の接合10は、非磁性導電体4上に、第2の強磁性体7と絶縁体11と第3の強磁性体8が順次積層された構造からなっている。ここで、絶縁体11は、Al酸化膜などを用いることができる。
第2のトンネル接合10は、トンネル接合を用いた磁気抵抗効果素子であり、第2の強磁性体7の磁化反転がトンネル磁気抵抗により検出されるので、スピン流を高感度で検出できる。これにより、本発明のスピン注入素子は、より小さなスピン注入電流で第2の強磁性体7の磁化反転が可能になり、出力電圧の大きいスピン注入素子が得られる。また、低磁界で非常に大きな出力電圧が得られるので、従来のスピン注入素子よりもはるかに微細化が可能である。
【0037】
図5は、本発明の第3の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。第3の実施形態のスピン注入素子25が、図1に示す第1の実施形態のスピン注入素子1と異なるのは、第2の接合15である。第2の接合15は、非磁性導電体4上に、第2の強磁性体7と非磁性体13と第3の強磁性体8が順次積層された構造からなっている。
第2の強磁性体7と第3の強磁性体8は、非磁性体12を介して反強磁性的に結合している、所謂CPP型の巨大磁気抵抗効果素子(GMR)であるので、スピン流を高感度で検出できる。
ここで、非磁性体13として、非磁性金属や非磁性半導体が利用可能である。具体的には、非磁性体13として、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、クロム(Cr)のうちの一種又は二種以上を用いることができる。二種以上を用いるときは積層した結合体としてもよいし、合金としてもよい。さらにFeSi合金や半導体のSiが利用可能である。これにより、小さなスピン注入電流で第2の強磁性体7と第3の強磁性体8の磁化反転が可能になり、出力電圧の大きいスピン注入素子が得られる。
【0038】
図6は、本発明の第4の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。第4の実施形態のスピン注入素子30が、図1に示す第1の実施形態のスピン注入素子1と異なるのは、第2の接合22である。第2の接合22は、非磁性導電体4上に、第2の強磁性体7と非磁性体13と第3の強磁性体8と絶縁体11と第4の強磁性体14が順次積層されたトンネル接合からなっているので、スピン流を高感度で検出できる。これにより、小さなスピン注入電流で第2の強磁性体7と第4の強磁性体14との磁化反転が可能になり、出力電圧の大きいスピン注入素子が得られる。
【0039】
図7は、本発明の第5の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。図7に示す第5の実施形態のスピン注入素子35が図4に示す第2の実施形態のスピン注入素子20と異なるのは、第1の接合24を第1の強磁性体7とした点である。この構成においては、第1の強磁性体7から直接、非磁性導電体4にスピン注入を行い、それによって生じた第2の強磁性体7の磁化反転を第2の接合であるトンネル接合10を介して検出する。
【0040】
ここで、第1の強磁性体7のスピン注入抵抗RF は、非磁性金属のスピン注入抵抗RN と同程度かそれ以上(RF ≧RN )として、スピン注入抵抗RF 及びスピン注入抵抗RN 間のミスマッチを解消している。通常の強磁性体では同一面積の場合には、RN 〜10RF であり、RN がRF が小さいが、第1の強磁性体7のスピン注入抵抗RF をRF ≧RN とするために、材料の抵抗率、電極面積、厚さなどを変えればよい。
また、RF ≧RN とするためには、強磁性体材料として比抵抗率及びスピン分極率の大きいハーフメタルを用いることができる。ハーフメタルは、理論的にはスピン分極率Pが1の強磁性体である。このようなハーフメタルとしては、NiMnSbなどのハーフホイスラー合金、Co2 MnGe,Co2 Fex Cr1-x Alなどのフルホイスラー合金が使用できる。
ここで、第2の接合10は、他の実施形態で用いた第2の接合25,22を用いてもよい。
これにより、第1の接合に金属接触接合として、強磁性体またはハーフメタルを使用してもスピン注入効率を向上させ、さらに、より小さなスピン電流で第2の接合に用いる強磁性体の磁化反転が可能になる。
【0041】
次に、本発明のスピン注入素子を用いた磁気装置に係る実施の形態を示す。
図1乃至図7に示すように、本発明のスピン注入素子は、スピン注入を効率よくでき、磁化反転を制御でき、かつ、スピン流を高感度で検出できる。本発明のスピン注入素子は、大きな出力電圧が得られ、磁気抵抗センサとして用いれば、感度の高い磁気素子を得ることができる。また、本発明のスピン注入素子は、低電流において大きな出力電圧が得られ、感度の高い読み出し用の磁気装置である磁気ヘッドを構成することができる。
さらに、スピン注入素子を用いた磁気装置において、スピン注入素子における第2の接合の強磁性体の磁化反転を検出するための素子をさらに設けてもよい。このような検出素子は、トンネル磁気抵抗効果やCPP−GMR効果を利用する素子であればよい。これらの検出素子にさらに増幅器を接続してもよい。
【0042】
図8は、本発明のスピン注入デバイスを用いた不揮発性磁気メモリの概略構成を示す、(a)斜視図と(b)メモリセルの断面図である。本発明のスピン注入デバイスを用いた不揮発性磁気メモリ40は、例えば、絶縁物で被覆された基板41上に、メモリセルとなるスピン注入素子20をマトリックス状に配置して構成されている。各スピン注入素子20の第1の接合2は、それぞれ、ワードライン(WL)46に接続されている。スピン流を検出する第2の接合10は、トンネル磁気抵抗素子(TMR)であり、その上部電極である第2の強磁性体がビットライン(BL)47に接続されている。非磁性導電体4は、各列毎に電極48で接続されている。
書き込みはワードライン46に電流を流し、第1の接合2からのスピン注入で行う。そして、読み出しはビットライン47に接続される第2のトンネル接合10(TMR)から電圧Vを測定する。上記の書き込みによる磁化反転を1、0として記録させることで、磁気メモリ、MRAMなどの磁気装置を構成することができる。これにより、本発明のスピン注入を用いた磁気装置においては、外部磁界無しにスピン注入で磁化反転させることで大きな出力電圧が得られる。また、外部磁界を印加する配線が不要ないので、従来のスピン注入素子よりもはるかに微細化が可能であり、MRAMなどのメモリ用の磁気装置の大容量化が達成できる。
【0043】
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施例では、スピン注入素子を構成する強磁性体や非磁性導電体などの材料として種々の例を示したが、他の材料を適用し得ることは勿論である。また、本発明のスピン注入素子を用いた磁気装置は、磁気抵抗センサ、MRAM、磁気ヘッドについて説明したが、他の磁気装置などに適用し得ることは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明のスピン注入素子によれば、スピン注入による磁化反転が可能となる。また、本発明のスピン注入素子は、外部磁界が不要で、大きな出力電圧が得られるので、従来のスピン注入素子よりもはるかに微細化が可能である。
【0045】
さらに、このスピン注入素子は、磁気装置に使用することで新規な磁気装置を提供することができる。このスピン注入素子を磁気装置に使用すれば、高感度磁気ヘッドや信号電圧の大きいMRAMを実現できるほか、各種高感度の磁界センサなどが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】非磁性金属から第2の強磁性体へ流れ込むスピン流IS に対する第1の強磁性体及び第2の強磁性体の間隔(L)依存性を計算した結果を示す図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に係る第3の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る第4の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る第5の実施形態のスピン注入素子の構成と動作原理を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明のスピン注入デバイスを用いた不揮発性磁気メモリの概略構成を示す、(a)斜視図と(b)メモリセルの断面図である。
【図9】従来のスピン注入素子の構成と動作原理を示す断面図である。
【図10】図9の平面図である。
【符号の説明】
1,20,25,30,35 スピン注入素子
2,24 第1の接合
3,10,15,22 第2の接合
4 非磁性導電体
5,11 絶縁体
6 第1の強磁性体
7 第2の強磁性体
8 第3の強磁性体
9 直流電源
12 電圧計
13 非磁性体
14 第4の強磁性体
40 スピン注入素子を用いた不揮発性磁気メモリ
41 基板
42 第1の接合に生じる磁化
43 第2の接合に生じる磁化
46 ワードライン
47 ビットライン
48 電極

Claims (16)

  1. 非磁性導電体を共通の電極とし他方の電極を強磁性体とするトンネル接合を有する第1の接合と、上記非磁性導電体を共通の電極とし他方の電極を強磁性体とする第2の接合と、を備え、
    上記第1の接合及び上記第2の接合が、上記非磁性導電体のスピン拡散長よりも短い間隔を置いて配置され、
    上記第1の接合は上記強磁性体から上記非磁性導電体にスピンを注入するトンネル接合であり、
    上記第2の接合の強磁性体は注入されたスピン電流の吸収体であり、
    上記第1の接合を通して上記非磁性導電体に注入されたスピン電流によって、上記第2の接合の強磁性体の磁化を反転させることを特徴とする、スピン注入素子。
  2. 前記第2の接合の強磁性体のスピン注入抵抗が、前記非磁性導電体のスピン注入抵抗よりも十分小さいことを特徴とする、請求項1に記載のスピン注入素子。
  3. 前記第2の接合が、強磁性体と非磁性体と強磁性体とがこれらの順に積層された3層構造からなり、上記二つの強磁性体は上記非磁性体を介して反強磁性的に結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載のスピン注入素子。
  4. スピン注入素子を用いた磁気装置において、
    請求項1〜3の何れかに記載のスピン注入素子における第2の接合の強磁性体の磁化反転を検出するための素子が設けられていることを特徴とする、スピン注入素子を用いた磁気装置。
  5. 前記磁化反転を検出する素子は、トンネル磁気抵抗効果を利用する素子であることを特徴とする、請求項に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置。
  6. 前記磁化反転を検出する素子は、CPP−GMR効果を利用する素子であることを特徴とする、請求項に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置。
  7. 請求項に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置がメモリであることを特徴とする、スピン注入素子を用いた磁気装置。
  8. 非磁性導電体を共通の電極とし、該非磁性導電体上に他方の電極となる第1の強磁性体と第2の強磁性体とを備え、
    該第1の強磁性体及び第2の強磁性体が、上記非磁性導電体のスピン拡散長よりも短い間隔を置いて配置され、
    上記第1の強磁性体から上記非磁性導電体にスピン電流を注入し、
    上記第2の強磁性体は注入されたスピン電流の吸収体であり、
    上記第1の強磁性体のスピン注入抵抗が非磁性導電体のスピン注入抵抗と同程度あるいはそれ以上であることを特徴とする、スピン注入素子。
  9. 前記第2の強磁性体が、強磁性体と非磁性体と強磁性体とがこれらの順に積層された3層構造からなり、上記二つの強磁性体は上記非磁性体を介して反強磁性的に結合していることを特徴とする、請求項に記載のスピン注入素子。
  10. 前記第2の強磁性体のスピン注入抵抗が前記非磁性導電体のスピン注入抵抗よりも十分小さいことを特徴とする、請求項またはに記載のスピン注入素子。
  11. 前記第1の強磁性体から前記非磁性導電体に注入されたスピン電流によって、前記第2の強磁性体の磁化を反転させることを特徴とする、請求項10の何れかに記載のスピン注入素子。
  12. 前記第1の強磁性体は、ハーフメタルであることを特徴とする、請求項または11に記載のスピン注入素子。
  13. スピン注入素子を用いた磁気装置において、
    請求項12の何れかに記載のスピン注入素子における第2の接合の強磁性体の磁化反転を検出するための素子が設けられていることを特徴とする、スピン注入素子を用いた磁気装置。
  14. 前記磁化反転を検出する素子は、トンネル磁気抵抗効果を利用する素子であることを特徴とする、請求項13に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置。
  15. 前記磁化反転を検出する素子は、CPP−GMR効果を利用する素子であることを特徴とする、請求項13に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置。
  16. 請求項1315に記載のスピン注入素子を用いた磁気装置がメモリであることを特徴とする、スピン注入素子を用いた磁気装置。
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