JP3817898B2 - 垂直搬送システムおよび搬送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レール軌道上を自律走行する無人搬送車により荷物搬送する垂直搬送システムおよび搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、施設内に敷設された所定のレール軌道に沿って、荷物等を積載可能な自走台車を走行させ、施設内の任意の部署から任意の部署へ荷物を運搬する搬送システムが提案され、実用化されている。該搬送システムにおける無人搬送車は、レール軌道による経路情報(マップ情報)を有するとともに、レール軌道上に設けられた所定の軌道情報発信手段からレール軌道の状態(カーブ、分岐点等)を取得し、上記マップ情報を参照し、ある程度の自律走行が可能なように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の搬送システムにおいては、平面走行だけではなく、レール軌道(主線)から垂直方向への走行も可能にしたリフタを設ける構成もある。リフタは、建築構造物に設けられたリフタシャフト内に、上下方向に移動可能なリフタゲージを備え、該リフタゲージにレール軌道からの無人搬送車を一旦格納し、所定の階まで上下移動した後、その階に設けられた、荷物の搬入/搬出を行うステーションへ無人搬送車を搬送する。
【0004】
しかしながら、従来の無人搬送車システムでは、リフタゲージには、一度に1台の無人搬送車しか格納しないため、その間、他の無人搬送車を受け入れることができず、搬送効率を著しく低下させるという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、搬送効率を向上させることができる垂直搬送システムおよび搬送システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した問題点を解決するために、本発明による垂直搬送システムは、軌道上を走行して荷物を搬送する無人搬送車を上下方向に搬送し、所定の場所へ搬送する垂直搬送システムにおいて、荷物を積載している実荷無人搬送車を収容するための第1のリニア軌道と、荷物を積載していない空荷無人搬送車を収容するための第2のリニア軌道とを上下に積重して備える収容手段と、前記空荷無人搬送車を待機させておくための待機レールと、前記実荷無人搬送車を搬送する場合には、前記第1のリニア軌道と搬送元の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、当該実荷無人搬送車を前記第1のリニア軌道に収納し、その後、前記第1のリニア軌道と搬送先の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記第1のリニア軌道に収容された実荷無人搬送車を当該軌道に送り出し、前記空荷無人搬送車の呼び込み要求があった場合には、前記第2のリニア軌道と搬送先の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記第2のリニア軌道に収容された空荷無人搬送車を当該軌道に送り出し、その後、前記待機レールと前記第2のリニア軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記待機レールに収納された空荷無人搬送車を前記第2のリニア軌道に補填する昇降手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、前記収容手段は、上下n段(n≧2)の合計n台分の複数のリニア軌道を有し、各リニア軌道に前記無人搬送車を独立して収容し、前記複数のリニア軌道のうち、少なくとも1つが前記第2のリニア軌道であり、他のリニア軌道が前記第1のリニア軌道であることを特徴とする。
本発明の更に好ましい態様においては、前記収容手段は、さらに、前記無人搬送車の進行方向に対して直交する方向にm列(m≧2)の合計n×m台分のリニア軌道を有し、各リニア軌道に前記無人搬送車を独立して収容し、前記複数のリニア軌道のうち、少なくとも1つが前記第2のリニア軌道であり、他のリニア軌道が前記第1のリニア軌道であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の更に好ましい態様においては、前記収容手段は、収容した無人搬送車を少なくとも2方向に対して収容または搬出可能な出入り口を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明では、収容手段に上下n段(n≧2)の合計n台分の収容空間を設け、各収容空間に無人搬送車を独立して収容し、該収容手段を上下方向に搬送することで、無人搬送車を所定の場所へ搬送する。例えば、上下2段の構造とし、一方には、常時、空荷搬送車を待機させておき、他方で実荷搬送車を搬送するようにすれば、垂直搬送システム上のステーションからの呼び込みが生じても迅速に空荷搬送車を搬送でき、また、他方では、実荷搬送車を常時搬送できるように空けておくので状況に応じて柔軟に対応できるため、搬送効率を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
A.第1実施形態
A―1.第1実施形態の構成
図1は、本発明による無人搬送車システム(レール軌道)の略構成を示す概念図である。図において、1は、レール軌道であり、該レール軌道上を無人搬送車5a,5bが走行する。レール軌道1には、所定の箇所から施設内の各部署へ無人搬送車5a,5bを導くための分岐レール2a〜2eが設けられている。これら分岐レール2a〜2eには、無人搬送車5a,5bが荷物の搬入・搬出を行うためのステーション3a〜3eが設けられている。ステーション3a〜3e(以下、総称して呼ぶ場合、ステーション3という)は、各部署に対応して配置されており、無人搬送車5a,5bを図示しないストレージから呼び出したり、荷物を積載した無人搬送車へ行き先や発進の指示を行ったりする。
【0017】
次に、無人搬送車5a,5b(以下、総称して呼ぶ場合、無人搬送車5という)は、通常、マップ情報やレール軌道上に設けられた軌道情報発信手段(図示略)から取得した情報を参照しながら、指示された行き先の部署に対応するステーションへ移動することで荷物を搬送する。また、シフタ6a〜6gは、レール軌道1と分岐レール、または分岐レールと分岐レールとの間に設けられ、該無人搬送車5a,5bがレール軌道1から分岐レール2a〜2eへ進入する際、あるいは分岐レール2a〜2eからレール軌道1へ進入する際に、回転または平行移動することにより軌道を切り替え、無人搬送車5a,5bの進行方向を変更するためのものである。
【0018】
次に、リフタシャフト10は、前述したように、平面軌道であるレール軌道1に対して、垂直方向への荷物の搬送を可能にした垂直軌道である。ここで、図2は、本第1実施形態によるリフタシャフト10の内部の略構成を示す斜視図である。リフタシャフト10は、建築構造物から構成されており、内部に上下方向に移動可能なリフタゲージ11を備えている。また、リフタシャフト10には、異なる階にステーション3f,3gが配置されているとともに、さらに、荷物を積載していない無人搬送車(以下、空荷搬送車という)5を待機させておく待機レール15が配置されている。
【0019】
本第1実施形態によるリフタゲージ11は、2台の無人搬送車5を収納可能なように、上下2段にリニア軌道12a,12bを配置している。下段のリニア軌道12aは、常時空いており、通常の荷物を積載した無人搬送車(以下、実荷搬送車という)5を搬送するために用いられる。また、上段のリニア軌道12bは、待機バッファとして荷物を積載していない無人搬送車(以下、空荷搬送車という)5が収納されており、例えばリフタシャフトに接続されたステーション3f,3gからの呼び込み要求があった場合に搬送される。また、リフタゲージ11は、上段のリニア軌道12bに収納している空荷搬送車5が上述した理由等によりなくなると、待機レール15に待機している別の空荷搬送車を上段のリニア軌道12bに補充するようになっている。
【0020】
A―2.第1実施形態の動作
次に、上述した第1実施形態の動作について説明する。レール軌道1を走行している実荷搬送車5を、例えばリフタシャフト10のステーション3fへ搬送する場合、これと平行して、ステーション3gから空荷搬送車の呼び込み要求があったとする。まず、図2に示すように、レール軌道1に接続される位置で、リフタゲージ11の下段のリニア軌道12aに実荷搬送車5を収納する。次に、ステーション3gの階で、上段のリニア軌道12bがステーション3gの軌道と一致するように停止させ、上段に待機していた空荷搬送車を降ろす。これにより、まず、ステーション3gへ空荷搬送車を搬送することができる。
【0021】
空荷搬送車を降ろすと、続いて、目的のステーション3fまで上昇し、下段のリニア軌道12aがステーション3fの軌道と一致するように停止させ、下段に収納していた実荷搬送車を降ろす。これにより、ステーション3fへ実荷搬送車を搬送することができる。その後、リフタゲージ11を上昇させ、上段のリニア軌道12bが待機レール15に一致したところで停止させ、待機レール15で待機している空荷搬送車5を収納する。
【0022】
このように、本第1実施例では、リフタゲージ11を上下2段の構造とし、一方には、常時、空荷搬送車5を待機させておき、他方で実荷搬送車5を搬送するようにしたので、リフタシャフト10のステーションからの呼び込みに応じて迅速に空荷搬送車5を搬送でき、また、他方では、実荷搬送車5を常時搬送できるように空けておくので、状況に応じて柔軟に対応できるため、搬送効率を向上させることができる。特に、空荷搬送車の呼び込み時間(空荷搬送車を呼び出してから到着するまでの時間)が格段に短縮することができ、例えば、従来では30秒〜60秒程度要していた呼び込み時間を10秒程度に短縮することができた。
【0023】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、前述した第1実施例おけるリフタゲージ11の上下2段のリニア軌道12a,12bを、常時、空けておき、空荷搬送車または実荷搬送車をその時々の状況に応じて格納して搬送することにより、より柔軟に状況に対応できるようにするものである。例えば、2台の実荷搬送車5をリフタシャフト10に配置されたステーション3f,3gに連続して搬送しなければならないような場合、第1実施形態のように、上段に常に空荷搬送車5が待機していると、搬送効率が一時的に低下する。そこで、上下2段とも空けておけば、リフタゲージ11が空くのを待つことなく、目的を達成することができる。また、2台の空荷搬送車5をリフタシャフト10に配置されたステーション3f,3gに連続して搬送しなければならないような場合でも同様に実行できる。なお、第1実施形態および第2実施形態は、用途に応じて適宜プログラムで変更可能としておいてもよい。
【0024】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態は、リフタシャフト10におけるリフタゲージ11の出入り口を1方向でなく、両方向に拡張したものである。ここで、図3は、第3実施形態による無人搬送車システムおよびリフタの略構成を示す斜視図である。なお、図2に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。待機レール21aは、ステーション3fに対向して設けられており、一時的に実荷搬送車または空荷搬送車を待機させることが可能となっている。リフタシャフト10の該当箇所には、待機レール21a,ステーション3fの双方に出入り口が設けられている。
【0025】
また、待機レール21bは、ステーション3gに対向する位置に設けられており、待機レール21aと同様に、一時的に実荷搬送車または空荷搬送車を待機させる。リフタシャフト10の該当箇所には、待機レール21b,ステーション3gの双方に出入り口が設けられている。したがって、リフタゲージ11に格納された実荷搬送車または空荷搬送車は、待機レール21a,21bまたはステーション3f,3gのいずれの方向にも走行することが可能であり、搬送効率を向上させることができる。
【0026】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態では、第1ないし第3実施形態で説明したリフタゲージ11を拡張し、縦方向に、3段以上の複数段のレール軌道を設け、一度に収納する無人搬送車5を増加させることを可能にしたものである。ここで、図4(a)、(b)は、本第4実施形態によるリフタゲージの構成例を示す斜視図である。図4(a)では、リフタゲージ11aに、縦方向に3段のリニア軌道12a〜12cを設け、例えば、下段のリニア軌道12aを、前述したように、実荷搬送車5の搬送用に用いて、中段のリニア軌道12b、上段のリニア軌道12cを、空荷搬送車5の待機用に用いる。
【0027】
また、図4(b)では、リフタゲージ11bに、縦方向に4段のリニア軌道12a〜12dを設け、例えば、下段のリニア軌道12aを、前述したように、実荷搬送車5の搬送用に用いて、中段のリニア軌道12b,12c、上段のリニア軌道12cを、空荷搬送車5の待機用に用いる。但し、いずれの場合においても、どのリニア軌道を空荷搬送車用、実荷搬送車用のいずれに用いるかは、用途に応じて適宜決めればよく、さらに、状況に応じて随時変更するようにしてもよい。
【0028】
E.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本第5実施形態では、第1ないし第3実施形態で説明したリフタゲージ11を、横方向に2列以上設け、一度に収納する無人搬送車5を増加させることを可能にしたものである。ここで、図5は、本第5実施形態によるリフタゲージの構成例を示す斜視図である。図において、リフタゲージ11cには、横方向(軌道レールと直交する方向)に、上下にリニア軌道12e,12fが配置された2段のリフタゲージが設けられている。
【0029】
この場合、例えば図示の状態からリニア軌道12e,12fに収納された無人搬送車5を出入りさせるためには横方向への移動が必要となる。そこで、リフタゲージ11cを横方向に移動させるためのスライド装置30が設けられている。該スライド装置30は、モータ駆動、油圧駆動、空気圧駆動等の周知の技術で実現可能であり、駆動方法には限定されることはない。また、本第5実施形態においても、どのリニア軌道を空荷搬送車用、実荷搬送車用のいずれに用いるかは、用途に応じて適宜決めればよく、さらに、状況に応じて随時変更するようにしてもよい。本第5実施形態によるリフタゲージ11cは、特に上下に空間が確保できない場合に非常に有効である。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明によれば、軌道上を走行して荷物を搬送する無人搬送車を収容する収容手段に上下n段(n≧2)の合計n台分の収容空間を設け、各収容空間に無人搬送車を独立して収容し、該収容手段を上下方向に搬送することで、無人搬送車を所定の場所へ搬送するようにしたので、搬送効率を向上させることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による無人搬送車システム(レール軌道)の略構成を示す概念図である。
【図2】 第1実施形態によるリフタおよびリフタゲージの構成を示す斜視図である。
【図3】 第3実施形態によるリフタおよびリフタゲージの構成を示す斜視図である。
【図4】 第4実施形態によるリフタゲージの構成を示す斜視図である。
【図5】 第5実施形態によるリフタゲージの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 レール軌道
2a〜2e 分岐レール
3a〜3h ステーション
5,5a,5b 無人搬送車
6a〜6g シフタ
10 リフタシャフト
11,11a〜11c リフタゲージ(収容手段)
12a〜12f リニア軌道
15 待機レール
21a,21b 待機レール
Claims (4)
- 軌道上を走行して荷物を搬送する無人搬送車を上下方向に搬送し、所定の場所へ搬送する垂直搬送システムにおいて、
荷物を積載している実荷無人搬送車を収容するための第1のリニア軌道と、荷物を積載していない空荷無人搬送車を収容するための第2のリニア軌道とを上下に積重して備える収容手段と、
前記空荷無人搬送車を待機させておくための待機レールと、
前記実荷無人搬送車を搬送する場合には、前記第1のリニア軌道と搬送元の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、当該実荷無人搬送車を前記第1のリニア軌道に収納し、その後、前記第1のリニア軌道と搬送先の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記第1のリニア軌道に収容された実荷無人搬送車を当該軌道に送り出し、
前記空荷無人搬送車の呼び込み要求があった場合には、前記第2のリニア軌道と搬送先の軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記第2のリニア軌道に収容された空荷無人搬送車を当該軌道に送り出し、その後、前記待機レールと前記第2のリニア軌道とが接続される位置に前記収容手段を移動させて、前記待機レールに収納された空荷無人搬送車を前記第2のリニア軌道に補填する昇降手段と
を備えることを特徴とする垂直搬送システム。 - 前記収容手段は、上下n段(n≧2)の合計n台分の複数のリニア軌道を有し、各リニア軌道に前記無人搬送車を独立して収容し、
前記複数のリニア軌道のうち、少なくとも1つが前記第2のリニア軌道であり、他のリニア軌道が前記第1のリニア軌道であることを特徴とする垂直搬送システム。 - 前記収容手段は、さらに、前記無人搬送車の進行方向に対して直交する方向にm列(m≧2)の合計n×m台分のリニア軌道を有し、各リニア軌道に前記無人搬送車を独立して収容し、
前記複数のリニア軌道のうち、少なくとも1つが前記第2のリニア軌道であり、他のリニア軌道が前記第1のリニア軌道であることを特徴とする請求項2記載の垂直搬送システム。 - 前記収容手段は、収容した無人搬送車を少なくとも2方向に対して収容または搬出可能な出入り口を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の垂直搬送システム。
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