JP3817253B1 - ニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法 - Google Patents

ニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ローラを嵌合させるための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができるニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法を提供する。
【解決手段】モータの回転駆動により円板部材37が回転することで、溝部37aに保持されたローラ11が円板部材37とガイド部材38との対抗面間に形成される供給経路に沿って誘導されると共に、新たに供給パイプから供給されるローラ11が溝部37aに保持される。ローラ11は円板部材37の回転駆動により嵌合穴12aまで誘導され、リテーナ12の嵌合穴12aに嵌合される。嵌合穴12aに嵌合されたローラ11と溝部37aとの係合を保持しつつ円板部材37が回転駆動することにより、リテーナ12が図中時計回りに従動回転する。同時に、新たに嵌合穴12aまで誘導されたローラ11が嵌合穴12aに嵌合される。
【選択図】図5

Description

本発明は、ニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法に関し、特に、ローラを嵌合させるための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができるニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法に関するものである。
ベアリングとは、荷重を受けながら回転する軸を支持するためのものであり、軸を面で支持しつつその面と軸とのすべり接触により軸を支持するすべり軸受や、ボール又はローラ等で構成される転動対と軸とのころがり接触により軸を支持するころがり軸受等がある。
ここで、特開平5−50341号公報には、すべり軸受を製造するためにニードル(ローラ)を仮組立する技術が記載されている。この技術によれば、一軸方向に往復移動するニードルプッシャーが、保持軸の外周面に凹設されたニードル保持溝にニードル(ローラ)が一本押入される。次に、保持軸が回転して、再度、ニードル保持溝にニードル(ローラ)が一本押入される。
上述したニードルプッシャーの往復移動及び保持溝の回転を繰り返すことにより、環状配列されたニードルは、挿入筒の降下によってその上端部が下方へ向けて押圧され、ワーク(外輪)の内部に挿入される。以上のようにして、すべり軸受を製造するためのニードル(ローラ)の仮組立が行われる。
また、一般に、ころがり軸受(ニードルローラベアリング)を製造するためのベアリング製造装置では、一軸方向に往復移動する押圧部が、リテーナに穿設される嵌合穴にローラを一本嵌合させる。次に、リテーナが回転して、再度、嵌合穴にローラが一本嵌合される。これら押圧部の往復移動及びリテーナの回転を繰り返すことにより、ころがり軸受が製造される。
特開平5−50341号公報(段落[0025]、図3など)
しかしながら、従来のベアリングの製造装置においては、リテーナを回転させてローラを一本づつ嵌合させる必要がある。そのため、ローラを嵌合させるための作業時間が増大し、作業能率が低下するという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ローラを嵌合させるための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができるニードルローラベアリング製造装置及びニードルローラベアリング製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のニードルローラベアリング製造装置は、円筒状のローラと、そのローラが嵌合される嵌合穴を有するリテーナと、そのリテーナと共に前記ローラを保持する外輪部材とを備えて構成されるニードルローラベアリングを製造するものであり、前記外輪部材を保持する保持部と、その保持部に保持される前記外輪部材の内周側に位置すると共に回転可能に構成される円板部材と、その円板部材を回転駆動する回転駆動手段とを備え、前記円板部材の軸心は、前記保持部に保持される前記外輪部材の軸心に対して偏心して配置され、前記円板部材の外周面部には、径方向に凹設され前記ローラを保持する複数の溝部が周方向等間隔に配置され、前記円板部材を前記回転駆動手段により回転させることで、前記溝部に保持された前記ローラが前記リテーナの嵌合穴に嵌合されて、前記ニードルローラベアリングが組み立てられる。
請求項2記載のニードルローラベアリング製造装置は、請求項1記載のニードルローラベアリング製造装置において、前記円板部材の外周面部に一定距離を隔てつつ湾曲して構成されるガイド部材を備え、そのガイド部材と前記円板部材との対向面間に前記ローラの供給経路が形成される。
請求項3記載のニードルローラベアリング製造装置は、請求項1又は2に記載のニードルローラベアリング製造装置において、前記円板部材に対する前記リテーナの相対的な回転位置を位置決めする位置決め手段を備える。
請求項4記載のニードルローラベアリング製造装置は、請求項2記載のニードルローラベアリング製造装置において、前記ローラの直径に対応した内径を有すると共に前記ローラを前記供給経路へ供給する供給パイプと、その供給パイプの内部を開放及び封止するスライド可能なシャッタとを備えている。
請求項5記載のニードルローラベアリング製造装置は、請求項4記載のニードルローラベアリング製造装置において、前記供給パイプは、水平面に対して傾斜を有して構成され、前記供給パイプと水平面とがなす傾斜角は、5度以上かつ85度未満の範囲内に設定されている。
請求項6記載のニードルローラベアリング製造方法は、円筒状のローラと、そのローラが嵌合される嵌合穴を有するリテーナと、そのリテーナと共に前記ローラを保持する外輪部材とを備えて構成されるニードルローラベアリングを製造するものであり、前記外輪部材を保持する保持部と、その保持部に保持される前記外輪部材の内周側に位置すると共に回転可能に構成される円板部材と、その円板部材を回転駆動する回転駆動手段とを備え、前記円板部材の軸心は、前記保持部に保持される前記外輪部材の軸心に対して偏心して配置され、前記円板部材の外周面部には、径方向に凹設され前記ローラを保持する複数の溝部が周方向等間隔に配置されて構成されるニードルローラベアリング製造装置の前記保持部に前記外輪部材及びリテーナを載置する載置工程と、その載置工程により前記外輪部材及びリテーナの内周側に位置する前記円板部材の溝部に前記ローラを供給する供給工程と、その供給工程により前記ローラが供給された前記円板部材を前記回転駆動手段により回転させて前記ローラを前記嵌合穴に嵌合させる回転工程と、その回転工程により前記ローラが嵌入された前記ニードルベアリングを前記保持部から取り出す取り出し工程とを備えている。
請求項1記載のニードルローラベアリング製造装置によれば、保持部に保持される外輪部材の内周側に位置すると共に回転可能に構成される円板部材は、その軸心が保持部に保持される外輪部材の軸心に対して偏心して配置され、かつ、その外周面部に径方向に凹設されローラを保持する複数の溝部が周方向等間隔に配置されている。そして、回転駆動手段により円板部材が回転することで、溝部に保持されたローラがリテーナの嵌合穴に嵌合されて、ニードルローラベアリングが組み立てられる。このように、円板部材の回転によりローラを嵌合穴に嵌合させることができるので、従来のようにローラを嵌合させるために押圧部を往復移動させることが不要となる。その結果、ローラを嵌合させるための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができるという効果がある。
また、嵌合穴に嵌合されたローラと溝部とが係合するので、円板部材の回転に追動してリテーナが摺動する。これにより、ローラを嵌合穴に順次嵌合させるためにリテーナの回転機構を別途配設することが不要となり、部品コストの低減を図ることができるという効果がある。
請求項2記載のニードルローラベアリング製造装置によれば、請求項1記載のニードルローラベアリング製造装置の奏する効果に加え、円板部材の外周面部に一定距離を隔てつつ湾曲して構成されるガイド部材と円板部材との対向面間にローラの供給経路が形成されるので、円板部材とガイド部材とによりローラを嵌合穴まで誘導して、ローラを嵌合穴に確実に嵌合させることができるという効果がある。
請求項3記載のニードルローラベアリング製造装置によれば、請求項1又は2に記載のニードルローラベアリング製造装置の奏する効果に加え、円板部材に対するリテーナの相対的な回転位置を位置決めする位置決め手段を備えているので、ローラを嵌合する位置に嵌合穴を配置して、ローラを嵌合穴に確実に嵌合させることができるという効果がある。
請求項4記載のニードルローラベアリング製造装置によれば、請求項2記載のニードルローラベアリング製造装置の奏する効果に加え、ローラの直径に対応した内径を有すると共にローラを供給経路へ供給する供給パイプの内部は、シャッタのスライドにより開放及び封止されるので、供給経路へ供給するローラの数を調整して、既にローラが嵌合された嵌合穴にローラが供給されることを防止することができるという効果がある。
請求項5記載のニードルローラベアリング製造装置によれば、請求項4記載のニードルローラベアリング製造装置の奏する効果に加え、供給パイプは水平面に対して傾斜を有して構成され、供給パイプと水平面とがなす傾斜角は5度以上かつ85度未満の範囲内に設定されているので、供給経路へ供給されるローラの上端面と供給パイプの内部に貯留されるローラの下端面との当接面積を減少させて、ローラを供給経路へスムーズに供給することができるという効果がある。
請求項6記載のニードルローラベアリング製造方法によれば、供給工程により、ローラが円板部材の外周面部に径方向に凹設された複数の溝部に供給される。そして、回転工程において、回転駆動手段により回転駆動する円板部材が複数の溝部に保持されたローラを嵌合穴に嵌合させる。これにより、従来のように押圧部を一軸方向に往復移動させることなく、円板部材の回転駆動によりローラを嵌合穴に嵌合させることができる。その結果、ローラを嵌合させるための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができるという効果がある。
更に、嵌合穴に嵌合されたローラと溝部との係合を保持しつつ、円板部材の回転駆動よりリテーナを従動回転させることができる。これにより、供給工程により新たに供給されたローラを嵌合穴に嵌合するために、リテーナを回転させるための機構を別途配設することを不要として、部品コストの低減を図ることができるという効果がある。
また、回転工程によりローラが嵌入されたニードルローラベアリングが取り出し工程により保持部から取り出される。これにより、保持部に保持されたニードルローラベアリングを容易に取り出して、作業能率の向上を図ることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態におけるニードルローラベアリング製造装置1の概略図である。まず、図1を参照して、ニードルローラベアリング製造装置1の全体構成について説明する。
ニードルローラベアリング製造装置1は、ローラ11の貯留及び供給を行う供給部2と、その供給部2により供給されたローラ11を後述する嵌合穴12a(図2参照)に嵌合してニードルローラベアリング10(図2参照)を組み立てる組立部3と、その組立部3に動力を供給するための動力部4とを主に備えて構成されている。
供給部2は、貯留したローラ11を組立部3へ供給するためのものであり、所定数のローラ11を貯留するための中空筒状の供給パイプ21と、その供給パイプ21の上端に配設されたシャッタ22とを主に備えて構成されている。
供給パイプ21は、その内径寸法がローラ11の外径寸法と略同等に設定され、供給パイプ21内のローラ11を長手方向に整列しつつ貯留すると共に、ローラ11の向きを保持しつつ組立部3へ供給する。なお、ローラ11は、供給パイプ21上部に配設されたエアー供給部23の空圧により押出される。また、エアー供給部23の上方には、多量のローラ11を貯留すると共にそのローラ11をエアー供給部23に供給するローラ貯留部(図示せず)が配設されている。
また、供給パイプ21の下端部には、パイプ固定部24が配設されており、そのパイプ固定部24の側面にはガイド溝24aが形成されている。そして、供給パイプ21は、そのガイド溝24aに沿ってローラ11を供給する供給位置から退避位置にスライド可能に構成される。これにより、組立部3により組み立てられたニードルローラベアリング10を排出する際に、供給パイプ21が供給位置から退避位置にスライドして、供給パイプ21の先端部がニードルローラベアリング10の排出を阻害することを防止することができる。
また、供給パイプ21は水平面100に対して傾斜を有して構成されており、供給パイプ21と水平面100とがなす傾斜角αが5度以上かつ85度以下の範囲内に設定されている。これにより、組立部3へ供給されるローラ11の上端面と供給パイプ21内のローラ11の下端面との当接面積を減少させて、ローラ11と組立部3との摩擦係数が減少し、スムーズに供給することができる。なお、水平面100とは、重力方向(図1上下方向)に垂直な面を意味するものである。
また、傾斜角αは、30度以上かつ60度以下の範囲内に設定することがより好ましい。これにより、ローラ11と組立部3との摩擦係数をより減少させることができる。
シャッタ22は、エアー供給部23内に配設されると共に、ローラ11の供給方向と略直交する方向にスライド可能に構成され、そのスライドにより供給パイプ21内の開放及び封止を行う。これにより、組立部3へ供給されるローラ11の数を調整して、既にローラ11が嵌合された嵌合穴12aにローラ11が供給されることを防止することができる。
なお、本実施の形態におけるシャッタ22は、供給パイプ21の上方(図1上方)に配設されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、供給パイプ21の下端に配設してローラ11の供給を調整するように構成しても良い。
組立部3は、供給部2により供給されたローラ11を後述する嵌合穴12aに嵌合させてニードルローラベアリング10を組み立てるためのものであり、外輪部材13(図2参照)を保持するための保持板31と、上方(図1上方)にスライド可能に構成される押出部32と、ローラ11を嵌合穴12aに嵌合させるための円板部材37(図3参照)と、その円板部材37に連設される駆動軸33と、ニードルローラベアリング10を排出するための排出部34とを主に備えて構成されている。
保持板31は、ボルト36により支持軸35に締め付け固定され、その略中央には、外輪部材13を保持するためにその外輪部材13の外径と略同一の内径を有する保持部31a(図3参照)が凹設されている。なお、詳細については後述する(図3参照)。
一対の押出部32は、上方にスライド可能に構成され、また、その上端面が保持部31aに保持された外輪部材13と当接する位置にそれぞれ配設されている。これにより、各押出部32が上方にスライドした場合には、各押出部32の上端面が保持部31aに保持された外輪部材13を上方へ押出する。そして、上方へ押出された外輪部材13(ニードルローラベアリング10)は、保持板31の上端面を下方(図1下方)へ向けて滑動しつつ排出部34を介して排出される。
駆動軸33は、後述する円板部材37に連設されると共に、動力部4に連結されている。これにより、動力部4の回転力が駆動軸33を介して円板部材37へ伝達され、円板部材33が回転駆動する。
動力部4は、円板部材37を回転駆動させるためのものであり、モータ取付板43を介してフレーム5に取付け固定される。上述したように、モータ41の回転力は、連結部42を介して駆動軸33へ伝達され、円板部材37が回転駆動する。
次いで、図2を参照して、ニードルローラベアリング10の詳細について説明する。図2は、ニードルローラベアリング10の断面図である。
ニードルローラベアリング10は、円筒状のローラ11と、そのローラ11が嵌合される嵌合穴12aを有するリテーナ12と、そのリテーナ12と共にローラ11を保持する外輪部材13とを備えて構成されている。
ローラ11は、円筒状の転動部材であり、ニードルローラベアリング10が取り付けられる軸(図示せず)と当接する部位である。
リテーナ12は、外輪部材13に保持されて周方向に摺動可能に構成され、また、その側面には、ローラ11が嵌合される嵌合穴12aが周方向等間隔(24度)に穿設されている。
嵌合穴12aは、その幅方向(図2周方向)寸法が、ローラ11の外径寸法よりも小さく設定されている。これにより、嵌合穴12aに嵌合されたローラ11が脱落することを防止する。なお、ローラ11が嵌合穴12aに嵌合される際には、リテーナ12の弾性変形することで、ローラ11が嵌合穴12aに嵌合される。
次いで、図3を参照して、組立部3の詳細について説明する。図3は、組立部3の上面図である。
組立部3は、上述したように、供給部2(図1参照)により供給されたローラ11(図2参照)を嵌合穴12a(図2参照)に嵌合してニードルローラベアリング10(図2参照)を組み立てるためのものであり、保持板31に凹設された保持部31aと、その保持部31aの軸心に対して偏心して配置された円板部材37と、その円板部材37の外周面部に一定距離を隔てて配置される三日月状のガイド部材38と、保持部31aの底面から突出する検出ピン39とを主に備えて構成されている。
保持板31は、その略中央に保持部31aが凹設され、また、保持部31aの外周に穿設された支持溝31bを介してボルト36により支持軸35(図1参照)に締め付け固定される。
保持部31aは、外輪部材13(図2参照)を保持するためのものであり、上述したように、その内径寸法が外輪部材13の外径寸法と略同等に設定されている。また、保持部31aの内周側には一対の押出部32が配設され、その押出部32は上方(図3紙面手前方向)へ向けてスライド可能に構成されている。
なお、本実施の形態の押出部32は、2つで構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、1つで構成しても良く、3つ以上で構成しても良い。即ち、上述したように、外輪部材13を上方へ押出するための押出力を確保できる数であれば良い。
円板部材37は、その軸心が保持部31aの軸心に対して偏心して配置されると共に、上述したモータ41の回転駆動により図中時計回りに回転可能に構成されている。また、円板部材37の外周面には、その円板部材37の径方向に凹設される複数の溝部37aが周方向等間隔(36度間隔)に配置されている。
溝部37aは、供給部2により供給されたローラ11を保持するためのものであり、略円弧状に凹設されると共に、その円弧半径がローラ11の半径と略同等に設定されている。
なお、本実施の形態における溝部37aは略円弧状に構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、略矩形状に構成しても良い。即ち、ローラ11を保持できる形状であれば良い。
また、溝部37a同士の離間寸法は、嵌合穴12a(図2参照)の離間寸法と略同等に設定されている。これにより、円板部材37は、溝部37aに保持されるローラ11(図2参照)を嵌合穴12aへ順次嵌合させることができる。
なお、本実施の形態における溝部37aは10個で構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、円板部材37の外径寸法に応じて適宜変更可能である。
ガイド部材38は、円板部材37の一端側(図3左側)の外周面から一定距離を隔てて配設され、また、円板部材37を覆うように三日月状に形成されている。そして、ガイド部材38と円板部材37との離間距離は、溝部37aに保持されたローラ11の外周面とガイド部材38とがわずかに離間するように設定されている。これにより、円板部材37が回転する際には、溝部37aに保持されたローラ11が溝部37aから脱落及び倒れることを防止しつつ、ローラ11を供給経路に沿って誘導させることができる。
なお、請求項2記載の供給経路とは、円板部材37とガイド部材38との対向面間に形成される経路を意味するものである。
検出ピン39は、保持部31aに保持された外輪部材13に対するリテーナ12の相対的な回転位置を位置決めするためのものであり、上下方向(図3紙面垂直方向)にスライド可能に構成されている。これにより、円板部材37に保持されるローラ11の内の最初のローラ11が嵌合穴12aに嵌合される際に、その嵌合位置における嵌合穴12aの有無を検出すると共に、周方向にリテーナ12を摺動させて、嵌合位置に嵌合穴12aを配置することができる。
次いで、図4から図6を参照して、ニードルローラベアリング10の製造方法について説明する。図4(a)は、保持部31aの上面図であり、図4(b)は、外輪部材13が保持された保持部31aの上面図である。図5(a)は、ローラ11が溝部37aに保持された保持部31aの上面図であり、図5(b)は、ローラ11が嵌合穴12aに嵌合される際の保持部31aの上面図である。図6(a)は、嵌合穴12aに嵌合されたローラ11と溝部37aとが係合した際の保持部31aの上面図であり、図6(b)は、全てのローラ11が嵌合穴12aと嵌合した際の保持部31aの上面図である。なお、図4から図6では、理解を容易とするために検出ピン39の図示が省略されている。
ニードルローラベアリング製造装置1によりニードルローラベアリング10を製造するに当たっては、まず、載置工程が行われる。載置工程では、図4(a)に示した保持部31aに、外輪部材13及びリテーナ12が載置される。この際、図4(b)に示したように、押出部32は外輪部材13により覆い隠される、即ち、押出部32の上端面と外輪部材13の側面とが当接する。また、円板部材37及びガイド部材38は、リテーナ12と離間するように配置されている。
載置工程の後は、供給工程へ移行する。供給工程では、図4(b)に示した供給経路にローラ11が供給される。ここで、供給パイプ21は、保持部31aの軸心よりも図4(b)下側に配設されているので、ローラ11はその供給パイプ21(図1参照)の下方に位置する溝部37aに保持される。
また、図5(a)に示したように、ローラ11が供給パイプ21から供給される際に、円板部材37が図中時計回りに回転駆動するので、溝部37aに保持されたローラ11が供給経路に沿って誘導されると共に、新たに供給パイプ21から供給されるローラ11が溝部37aに保持される。ここで、ガイド部材38は、溝部37aに保持されたローラ11とわずかに離間するように配置されているので、ローラ11が溝部37aから脱落及び倒れることを防止している。
供給工程の後は、回転工程へ移行する。回転工程では、供給経路に沿って誘導されたローラ11が、円板部材37の回転駆動により嵌合穴12aまで誘導される。そして、図5(b)に示したように、嵌合穴12aまで誘導されたローラ11は、円板部材37の回転駆動により嵌合穴12aに嵌合される。
なお、上述した検出ピン39(図3参照)は、上方(図5(b)紙面手前方向)にスライドし、ローラ11が嵌合可能な位置にリテーナ12の嵌合穴12aを配置した後、下方(図5(b)紙面奥方向)にスライドする。これにより、ローラ11と嵌合穴12aとの嵌合を適正に行うことができる。
そして、嵌合穴12aに嵌合されたローラ11と溝部37aとの係合を保持しつつ円板部材37が回転駆動することにより、図6(a)に示すように、リテーナ12が図中時計回りに従動回転する。同時に、新たに嵌合穴12aまで誘導されたローラ11が嵌合穴12aに嵌合される。そして、円板部材37が更に回転駆動されることで、新たなローラ11が嵌合穴12aに嵌合され、図6(b)に示すように全ての嵌合穴12aにローラ11が嵌合され、ニードルローラベアリング10の製造が完了する。
なお、上述したように、供給パイプ21から供給経路に供給されるローラ11の数は、シャッタ22の動作により嵌合穴12aの数と同数(本実施の形態では15個)に調整される。
このように、円板部材37の回転駆動によりローラ11を嵌合穴12aに嵌合することができるので、従来のように押圧部の往復移動が不要となる。その結果、ローラ11を嵌合するための時間を大幅に短縮して、作業能率の向上を図ることができる。
また、円板部材37の回転駆動に追動してリテーナ12が摺動するので、リテーナ12を摺動させるための機構を別途配設することが不要となり、部品コストの低減を図ることができる。
なお、従来のニードルローラベアリング装置では、押圧部を一軸方向に一往復させると共にリテーナを回転させて1個のローラを嵌合させるための所要時間は約0.4秒であり、15個のローラを全て嵌合穴に嵌合させるための所要時間は約6秒(0.4秒×15個)であった。これに対して、本実施の形態におけるニードルローラベアリング装置1では、上述した回転工程により15個のローラ11を全て嵌合穴12aに嵌合させる所要時間は約2秒(即ち、円板部材37が1.5回転するのに要する時間)であり、大幅に作業時間を短縮することができた。
回転工程の後は、取り出し工程へ移行する。取り出し工程では、上述したように、押出部32(図4(a)参照)が上方(図6紙面手前方向)へスライドして外輪部材13を押圧し、ニードルローラベアリング10を保持部31aから押出する。かかるニードルローラベアリング10は、保持板31(図1参照)の上面を滑動しつつ、排出部34から排出される。そして、再度、外輪部材13及びリテーナ12が保持部31aに載置される載置工程から取り出し工程(図4(a)から図6(b))までの工程が繰り返されることで、ニードルローラベアリング10が順次製造される。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施の形態におけるリテーナ12は、15個の嵌合穴12aが穿設されて構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、14個以下で構成しても良く、また、16個以上で構成しても良い。
本発明の一実施の形態におけるニードルローラベアリング製造装置の概略図である。 ニードルローラベアリングの断面図である。 組立部の上面図である。 (a)は、保持部の上面図であり、(b)は、外輪部材が保持された保持部の上面図である。 (a)は、ローラが溝部に保持された保持部の上面図であり、(b)は、ローラが嵌合穴に嵌合される際の保持部の上面図である。 (a)は、嵌合穴に嵌合されたローラと溝部とが係合した際の保持部の上面図であり、(b)は、全てのローラが嵌合穴と嵌合した際の保持部の上面図である。
符号の説明
1 ニードルローラベアリング製造装置
10 ニードルローラベアリング
11 ローラ
12 リテーナ
12a 嵌合穴
13 外輪部材
21 供給パイプ
22 シャッタ
31a 保持部
37 円板部材
37a 溝部
38 ガイド部材
39 検出ピン(位置決め手段)
41 モータ(回転駆動手段)
100 水平面
α 傾斜角

Claims (6)

  1. 円筒状のローラと、そのローラが嵌合される嵌合穴を有するリテーナと、そのリテーナと共に前記ローラを保持する外輪部材とを備えて構成されるニードルローラベアリングを製造するニードルローラベアリング製造装置であって、
    前記外輪部材を保持する保持部と、その保持部に保持される前記外輪部材の内周側に位置すると共に回転可能に構成される円板部材と、その円板部材を回転駆動する回転駆動手段とを備え、
    前記円板部材の軸心は、前記保持部に保持される前記外輪部材の軸心に対して偏心して配置され、
    前記円板部材の外周面部には、径方向に凹設され前記ローラを保持する複数の溝部が周方向等間隔に配置され、
    前記円板部材を前記回転駆動手段により回転させることで、前記溝部に保持された前記ローラが前記リテーナの嵌合穴に嵌合されて、前記ニードルローラベアリングが組み立てられることを特徴とするニードルローラベアリング製造装置。
  2. 前記円板部材の外周面部に一定距離を隔てつつ湾曲して構成されるガイド部材を備え、
    そのガイド部材と前記円板部材との対向面間に前記ローラの供給経路が形成されることを特徴とする請求項1記載のニードルローラベアリング製造装置。
  3. 前記円板部材に対する前記リテーナの相対的な回転位置を位置決めする位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のニードルローラベアリング製造装置。
  4. 前記ローラの直径に対応した内径を有すると共に前記ローラを前記供給経路へ供給する供給パイプと、その供給パイプの内部を開放及び封止するスライド可能なシャッタとを備えていることを特徴とする請求項2記載のニードルローラベアリング製造装置。
  5. 前記供給パイプは、水平面に対して傾斜を有して構成され、
    前記供給パイプと水平面とがなす傾斜角は、5度以上かつ85度未満の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項4記載のニードルローラベアリング製造装置。
  6. 円筒状のローラと、そのローラが嵌合される嵌合穴を有するリテーナと、そのリテーナと共に前記ローラを保持する外輪部材とを備えて構成されるニードルローラベアリングを製造するニードルローラベアリング製造方法であって、
    前記外輪部材を保持する保持部と、その保持部に保持される前記外輪部材の内周側に位置すると共に回転可能に構成される円板部材と、その円板部材を回転駆動する回転駆動手段とを備え、前記円板部材の軸心は、前記保持部に保持される前記外輪部材の軸心に対して偏心して配置され、前記円板部材の外周面部には、径方向に凹設され前記ローラを保持する複数の溝部が周方向等間隔に配置されて構成されるニードルローラベアリング製造装置の前記保持部に前記外輪部材及びリテーナを載置する載置工程と、
    その載置工程により前記外輪部材及びリテーナの内周側に位置する前記円板部材の溝部に前記ローラを供給する供給工程と、
    その供給工程により前記ローラが供給された前記円板部材を前記回転駆動手段により回転させて前記ローラを前記嵌合穴に嵌合させる回転工程と、
    その回転工程により前記ローラが嵌入された前記ニードルベアリングを前記保持部から取り出す取り出し工程とを備えていることを特徴とするニードルローラベアリング製造方法。
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