JP3816248B2 - レーザ加工機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光によりワークの切断加工を行うことのできるレーザ加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より様々なタイプのレーザ加工機が使用されており、このようなレーザ加工機に共通の課題として更なる加工の高速化が望まれている。加工の高速化は、加工ヘッドを動かして実際にワークの切断を行う加工工程での高速化、或いは集光レンズなどを点検又は交換するといったメンテナンス工程での高速化によって実現されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように更なる加工の高速化が望まれており、本発明は加工の高速化を実現するレーザ加工機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明のうち第1の発明は、レーザ光(RZ)が通過自在なレーザ光路(RK)が内部に形成された加工ヘッド本体(11)及び、該加工ヘッド本体(11)に設けられ、前記レーザ光路(RK)を通過したレーザ光(RZ)を外部に射出するトーチ(26)を有したレーザ加工機(1)において、
前記レーザ光路は、該レーザ光路上において、少なくとも1箇所の光路屈曲部を有しており、
前記少なくとも1箇所の光路屈曲部は、反射ミラーを、該光路屈曲部に進入するレーザ光を所定の方向に反射させる形で有し、
前記加工ヘッド本体は、第1ヘッド部及び、円筒部を介して該第1ヘッド部に、所定の回転軸を中心に前記第1ヘッド部に対して回転自在な形で接続され、かつ他方の側で前記トーチと接続された第2ヘッド部を有しており、
前記少なくとも1箇所の光路屈曲部は、該光路屈曲部の前記反射ミラーが前記所定の回転軸と交差する形で前記第2ヘッド部に配置されており、
前記第2ヘッド部の、前記円筒部に隣接した位置に集光レンズ装着部を、該円筒部と前記反射ミラーとの間の前記レーザ光路途中に設け、
前記集光レンズ装着部(30)に集光レンズ装着口(30b)を形成し、前記集光レンズ装着部(30)に、集光レンズ(33)を、前記集光レンズ装着口(30b)を介して着脱自在に設けて構成される。
【0008】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0009】
【発明の効果】
以上の構成により第1の発明では、集光レンズの集光レンズ装着部に対する着脱は集光レンズ装着口を介して行えるので、集光レンズの点検や交換などを行うメンテナンス時には、従来のようにトーチ(或いは加工ヘッド本体)等を分解する必要なく、集光レンズの着脱が簡単に行える。これによりメンテナンス工程にかかる時間が短縮され、加工の高速化が実現する。
【0010】
また、トーチから射出されたレーザ光がワークに当たって反射してくる紫外線等は該トーチ中に戻ってくる。しかし、この紫外線等は集光レンズ装着部の集光レンズに到達する前に、集光レンズ装着部とトーチの間に少なくとも1箇所配置された光路屈曲部の反射ミラーに照射され、この反射ミラーで紫外線等のエネルギーが吸収されるので、この紫外線等は集光レンズに極力到達せず(或いは到達しても集光レンズに極力エネルギーを与えず)、従って、集光レンズにスパッタが付着することが防止される。これにより集光レンズのメンテナンスサイクルを長くでき、その分、メンテナンスに時間をとられないので更なる加工の高速化が実現する。また、集光レンズにスパッタが付着することが防止されるため、加工性能の低下が防止され好都合である。
【0011】
また、集光レンズから、トーチの前方に形成されるレーザ光の焦点までの距離は、所定の焦点距離を確保する必要があるため短縮が困難であるが、本発明のように集光レンズ(集光レンズ装着部)とレーザ光の焦点の間に反射ミラーを設け、集光レンズ(集光レンズ装着部)と反射ミラーとの間の距離を確保することで、該反射ミラーからレーザ光の焦点までの距離を極力短縮できる。また、レーザ光の焦点を所定の回転軸を中心にして回転移動させる場合の回転半径は、前記所定の回転軸と交差する形で配置された反射ミラーから前記レーザ光の焦点までの、該所定の回転軸に直角な方向の距離となるので、本発明の場合にはこの回転半径を極力小さくできるようになっている。これにより、トーチ等の旋回移動において小回りがきき、加工工程での高速化が実現し、高速な加工が実現する。また通常では、加工ヘッド本体(第1ヘッド部側)がワークに対して限られたストローク内でのみ移動できることから、本発明では上述したようにトーチ等の移動において小回りがきくので、その分、最大加工ワーク寸法が大きくなり、ワーク加工上のデッドゾーンが削減されるという利点もある。
【0012】
また、集光レンズ装着部の清掃や修理は第2ヘッド部を第1ヘッド部より取り外して行うことができるので作業がスムーズに行える。これによりメンテナンスに時間をとられないので更なる加工の高速化が実現する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のレーザ加工機による利点を従来のものと比較することにより、本発明をよりよく理解するため、まず従来のレーザ加工機の一例を図を参照して簡単に説明しておく。図6は従来のレーザ加工機の一例を示した図であり、図6(a)はその加工ヘッド本体付近を示した側面図、図6(b)は加工ヘッド本体の移動量を説明する模式図、図6(c)は最大加工ワーク寸法を説明する模式図である。
【0014】
従来、三次元加工を行うことのできるレーザ加工機の加工ヘッド本体は、例えば図6に示すレーザ加工機50の加工ヘッド本体51のように構成されている。即ち加工ヘッド本体51は、所定のY軸方向に移動自在な図示しないサドル側に設けられた上下方向のスリーブ部材52及び、該スリーブ部材52の先端に設けられた回転先端部材53及び、該回転先端部材53に設けられたトーチ56で構成されている。スリーブ部材52は図示しないサドルに対して該スリーブ部材52の中心軸CT1(所定のZ軸に平行な軸)を中心に図の矢印G、H方向に回転駆動自在となっており、回転先端部材53はスリーブ部材52に対して、中心軸CT1に直角な中心軸CT2を中心に図の矢印J、K方向に回転駆動自在となっている。トーチ56は中心軸CT2に直角な方向に伸びている。
【0015】
レーザ光RZは,スリーブ部材52中を中心軸CT1に沿って矢印F方向に進み、該スリーブ部材52中の第1ミラー52aで反射され中心軸CT2に沿って進み回転先端部材53まで供給される。また回転先端部材53に供給されたレーザ光RZは、該回転先端部材53中の第2ミラー53aで反射され該中心軸CT2に直角な方向にトーチ56に供給され、該トーチ56の先端から外部に射出されるようになっている。集光レンズ57は回転先端部材53中で、第2ミラー53aよりトーチ56側の位置に設けられており、該集光レンズ57を通ったレーザ光RZはトーチ56の外部前方で焦点FCを形成するようになっている。
【0016】
ところで上述したレーザ加工機50のような従来のレーザ加工機では以下に述べる(1)(2)(3)(4)のような不都合があった。
【0017】
(1)メンテナンス時等に集光レンズ57を取り出すには、トーチ56等を分解・調整するなどの複雑な作業が必要であった。そのためメンテナンスに多大な手間と時間がかかっていた。これによりメンテナンス工程での時間がかかり、加工の高速化が妨げられていた。
【0018】
(2)更に、ワークにレーザ光RZが射出されると紫外線等が該ワークから反射され、トーチ56中の集光レンズ57に照射される。これにより集光レンズ57にスパッタが付着する。スパッタの付着により集光レンズ57の点検や交換が頻繁に必要になると、その分、メンテナンスに要する時間がかかり加工の高速化が妨げられる。また、スパッタ付着により加工性能が低下するといった不都合も生じる。
【0019】
(3)また例えば図6(b)に示すように、ポジションP1でワーク70の一方の側部70aを加工した後、加工ヘッド本体51をポジションP2に水平移動させて、この側部70aに背向(図6ではY軸方向に背向)した他方の側部70bを加工するような場合、図示しないサドル或いはテーブルを移動させることにより加工ヘッド本体51(スリーブ部材52)を移動させる移動量のうち、側部70a、70bの背向方向(図6ではY軸方向)における移動量M1は、側部70a、70b間の距離W1に、第2ミラー53a(回転中心)から焦点FCまでの距離L10の2倍を加えた量であることが知られている。従って、この移動量M1をなるべく小さくして軸の高速化を実現し、高速な加工を実現するには距離L10をなるべく小さくし、小回りのきく構造としたい。しかし、この距離L10のうち集光レンズ57から焦点FCまでの距離は焦点距離であり所定の大きさを確保する必要があることから距離L10を短縮することは困難であった。
【0020】
(4)また、距離W1でY軸方向に背向する側部70a、70bを加工するのに加工ヘッド本体51を上述した移動量M1だけ移動させねばならないということは、図6(c)に示すように加工ヘッド本体51がY軸方向に移動できる最大ストローク(図示しないサドルの最大移動ストローク)が最大ストロークSTであるなら、側部70a、70bを加工可能なワーク70の最大加工ワーク寸法(距離W1)は、最大ストロークSTから距離L10の2倍を減じた大きさとなる。従って、この最大加工ワーク寸法をなるべく大きく、またデッドゾーンの削減を実現するには距離L10をなるべく小さくしたい。しかし、既に上述したようにこの距離L10を短縮することは困難であった。
【0021】
続いて、以上のような従来の問題点を解決できる本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明によるレーザ加工機の一例を示した全体斜視図、図2は図1のレーザ加工機における加工ヘッド本体付近を示した側断面図(一部側面図)、図3はレンズカートリッジの着脱を説明した加工ヘッド本体付近の斜視図、図4は加工ヘッド本体の移動量を説明する模式図、図5は、最大加工ワーク寸法を説明する模式図である。
【0022】
レーザ加工機1は図1に示すようにベース2を有しており、ベース2には、上面に水平なワーク設置面3aが形成されたテーブル3が、水平方向である図の矢印A、B方向(X軸方向)に移動駆動自在に設けられている。ベース2には、前記テーブル3を、上述した矢印A、B方向とは直角な矢印C、D方向(Y軸方向)に跨ぐ形でコラム5が設けられており、コラム5にはサドル用レール5a、5a等を介してサドル6が、該サドル用レール5a、5aに沿って矢印C、D方向に移動駆動自在に設けられている。またコラム5には、前記サドル6よりも図1の矢印B側(即ち図1の紙面奥側)の位置において、図示しないレーザ発振器が設けられており、このレーザ発振器とサドル6の間は、該サドル6の動きに合わせて移動・伸縮等が自在になった公知の光路管であるレーザ光路管7によって接続されている。
【0023】
またサドル6には図示しないヘッド用レール等を介して、該サドル6に対し、矢印A、B方向(X軸方向)及び矢印C、D方向(Y軸方向)に直角で鉛直な矢印E、F方向(Z軸方向)に移動駆動自在な形で加工ヘッド本体11が設けられている。加工ヘッド本体11は、上述したサドル6に対して矢印E、F方向(Z軸方向)に移動自在に設けられた形のスリーブ部材12を有しており、スリーブ部材12は矢印E、F方向(Z軸方向)に伸延した形になっている。なおサドル6に接続されているレーザ光路管7とスリーブ部材12の間は、サドル6に対する該スリーブ部材12の動きに合わせて伸縮等が自在になった公知の光路管であるサドル側光路管9によって接続されている。スリーブ部材12は、図2に示すように、基本的に外スリーブ12aと内スリーブ12bとで構成されており、外スリーブ12aの内側に円筒形の内スリーブ12bが入り子状に挿入されている。この外スリーブ12aは、図示しないモータ及び適宜な動力伝達機構により、サドル6に対して、Z軸に平行な所定の中心軸CT1を中心に矢印G、H方向(A軸方向)に軸回転駆動自在となっており、また内スリーブ12bは、図示しないモータ及び適宜な動力伝達機構により、外スリーブ12aに対して前記中心軸CT1を中心に矢印G、H方向(A軸方向)に軸回転駆動自在な形で配置されている。
【0024】
スリーブ部材12の下端付近には、図2に示すように、該スリーブ部材12の側部に配置された形で回転先端部材20が設けられており、回転先端部材20のうち図2左端側は、前記中心軸CT1と直角な中心軸CT2を中心とした基本的に円筒形に形成された円筒部21となっている。円筒部21はスリーブ部材12の外スリーブ12aに対して中心軸CT2を中心に図の矢印J、K方向(B軸方向)に回転自在に軸支されており、円筒部21の端部側(図2の紙面左側)は外スリーブ12a内に嵌入している。この円筒部21の端部側には傘歯車21aが設けられており、上述した内スリーブ12bの下端(外スリーブ12a内に存在)にも傘歯車12cが設けられている。これら円筒部21の傘歯車21aと内スリーブ12bの傘歯車12cは互いに噛合している。即ち、内スリーブ12bの中心軸CT1を中心とした矢印G、H方向における回転により、上述した傘歯車12c、21aを介して回転先端部材20が中心軸CT2を中心として矢印J、K方向に回転駆動されるようになっている。なお、回転先端部材20は、中心軸CT2に直角な図2の矢印T方向に向いた形でトーチ取付部22を有しており、該トーチ取付部22には矢印T方向に伸延した形のトーチ26が接続して設けられている。
【0025】
以上のような構成により、図示しないレーザ発振器により発振されたレーザ光RZは、レーザ光路管7及びサドル側光路管9を介して加工ヘッド本体11内に形成されたレーザ光路RKに進入し、該レーザ光路RK内を通過する。まずレーザ光RZは、スリーブ部材12におけるレーザ光路RKである内スリーブ12b内を中心軸CT1に沿って進み、該スリーブ部材12の先端付近(図2では内スリーブ12bの下方外側で外スリーブ12aの内部)に設けられている第1ミラー13で反射されて中心軸CT2に沿って進み回転先端部材20に供給される(即ち、第1ミラー13の部位ではレーザ光路RKは直角に屈曲した光路屈曲部KP1となっている)。回転先端部材20に供給されたレーザ光RZは、該転先端部材20内のレーザ光路RK、即ち円筒部21内を中心軸CT2に沿って進み、回転先端部材20のうち該円筒部21の図2紙面右側に、中心軸CT2と交差した形で設けられている第2ミラー23で反射されて中心軸CT2に直角な矢印T方向に進みトーチ26に供給される(即ち、第2ミラー23の部位ではレーザ光路RKは直角に屈曲した光路屈曲部KP2となっている)。トーチ26に供給されたレーザ光RZは、該トーチ26を介して矢印T方向外部に射出されるようになっている。
【0026】
ところで回転先端部材20には、図2及び図3に示すように、円筒部21の図2紙面右側に隣接した形で、従って円筒部21と第2ミラー23との間の位置にカートリッジ装着部30が形成されている。カートリッジ装着部30内にはレンズ設置空間30aが形成されており、該レンズ設置空間30aはレーザ光路RK上に位置している。カートリッジ装着部30の側部には開口部30bが形成されており、レンズ設置空間30aは該開口部30bを介して前記中心軸CT2に直角な方向(図3の矢印P方向)に外部に開口している。図2では、カートリッジ装着部30にはレンズカートリッジ31が着脱自在に装着されており、レンズカートリッジ31はレンズ設置空間30aに整合挿入された環状のレンズフレーム部32を有している。このレンズフレーム部32はレンズ設置空間30aに対し図3の矢印P、Q方向に抜き取り・挿入自在になっている。
【0027】
レンズフレーム部32には集光レンズ33が設置されており、レンズフレーム部32がレンズ設置空間30aに挿入された状態で該集光レンズ33は、レーザ光路RK上に配置されるようになっている。レンズフレーム部32の側部には蓋部35が設けられており、レンズフレーム部32がレンズ設置空間30aに挿入された状態では、該蓋部35はレンズ設置空間30aの外部に配置され、開口部30bを確実に塞いだ状態になる。即ち、この蓋部35によりレンズ設置空間30a内への塵埃等の進入を防止できる。また、この蓋部35はレンズカートリッジ31を着脱させる際のつまみとしての役割も有している。
【0028】
なお上述した加工ヘッド本体11には、トーチ26等にアシストガスを供給するアシストガス供給手段が設けられており、またトーチ26には、ワークまでの距離を検地する距離センサ等が設けられており、その他、各種の部材が設けられているが、本発明とは直接関係ないので図示及び説明は省略している。
【0029】
レーザ加工機1は上述したように構成されているので、該レーザ加工機1により三次元立体的なワーク70を加工するには、図1に示すようにテーブル3のワーク設置面3aにワーク70を設置しておき、テーブル3を矢印A、B方向(X軸方向)に移動駆動させ、またサドル6を移動駆動手段を介して矢印C、D方向(Y軸方向)に移動駆動させ、また加工ヘッド本体11を矢印E、F方向(Z軸方向)に移動駆動させ、更に加工ヘッド本体11のうちスリーブ部材12を矢印G、H方向に回転駆動させ、また第1スリーブ部材12に対して回転先端部材20を矢印J、K方向に回転駆動させることにより、トーチ26の先端とワーク70との相対位置をX軸、Y軸、Z軸による三次元座標上で三次元的に変化させると共に、ワーク70に対するトーチ26の先端の角度を三次元的に変化させるようにする。
【0030】
上述したように、トーチ26の先端とワーク70との相対位置を三次元的に変化させると共に、ワーク70に対するトーチ26の先端の角度を三次元的に変化させながら、トーチ26の先端からレーザ光RZを射出するようにしてワーク70への加工が施される。レーザ光RZは、回転先端部材20中のカートリッジ装着部30におけるレンズ設置空間30a内を通過する際に、該カートリッジ装着部30に装着されたレンズカートリッジ31の、レンズ設置空間30a内に配置された集光レンズ33を通過することにより集光され、トーチ26の外部で焦点FCを形成する。この焦点FCをワーク70における加工位置に合わせる形で加工を行う。
【0031】
ところで、集光レンズ33からレーザ光RZの焦点FCまでのレーザ光路RK上の距離は、所定の焦点距離を確保する必要があるため短縮が困難であるが、集光レンズ33と第2ミラー23との間の距離を確保することで該第2ミラー23から焦点FCまでの距離L1を極力短縮できる。レーザ光RZの焦点FCを中心軸CT2を中心にして回転移動させる場合の回転半径は上述した距離L1であるので、本実施例の場合には前記回転半径を極力小さくできるようになっている。これにより、トーチ26等の移動において小回りがきき、高速な移動により加工工程での高速化が実現し、高速な加工が実現する。また通常では、加工ヘッド本体11がワーク70に対して限られたストローク内でのみ移動できることから、本実施例では上述したようにトーチ26等の移動において小回りがきくので、その分、最大加工ワーク寸法が大きくなり、ワーク加工上のデッドゾーンが削減されるという利点もある。
【0032】
例えば具体的には図4に示すように、あるポジションP1でトーチ26を水平方向(図4では矢印D方向)に向けワーク70の一方の側部70aを加工した後、この側部70aに対して水平方向(図4ではY軸方向)に背向した他方の側部70bを加工する場合には、まずスリーブ部材12を中心軸CT1を中心に矢印G、H方向に180度回転させる(或いは、回転先端部材20を中心軸CT2を中心に矢印J、K方向に180度回転させてもよい)。これによりトーチ26の向きは、側部70aを加工していた状態での向き(図4では矢印D方向)と反対の向きになった。次いで、ワーク70に対して加工ヘッド本体11を水平方向に移動(即ち、サドル6のY軸方向での移動或いはテーブル3のX軸方向での移動により行う)させて所定のポジションP2に位置決め配置する。これによりトーチ26がワーク70の側部70bを向いた形で配置された。ところでポジションP2に移動する際の加工ヘッド本体11の移動量のうち、側部70a,70bの背向方向(図4ではY軸方向)における移動量M2は、側部70a、70b間の距離W1(図4ではY軸方向の距離)に、第2ミラー23(具体的には回転中心である中心軸CT2との交点位置K1)から焦点FCまでの距離L1の2倍を加えた量となる。上述したように本実施例では距離L1を極力小さくできるので、移動量M2をなるべく小さくし、軸の高速化を実現し、高速な加工を実現することができる。
【0033】
また、距離W1でY軸方向(或いはX軸方向)に背向する側部70a、70bを加工する際に、加工ヘッド本体11をこの背向方向に上述した移動量M2だけ移動させねばならないということは、図5に示すように加工ヘッド本体11がテーブル3に対してY軸方向(或いはX軸方向)に相対移動できる最大ストロークが最大ストロークSTであるなら、側部70a、70bを加工可能なワーク70の最大加工ワーク寸法(距離W1)は、該最大ストロークSTから距離L1の2倍を減じた大きさとなる。上述したように本実施例のレーザ加工機1では距離L1の短縮が簡単に実現するので、この最大加工ワーク寸法を従来のもの(例えば図5の70x)よりなるべく大きくし、またデッドゾーンの削減を容易に実現することができる。
【0034】
更に本実施例のレーザ加工機1では、ワーク70にレーザ光RZが射出された際に紫外線等が該ワーク70から反射され、トーチ26中に進入してくるが、この紫外線等は第2ミラー23に照射吸収され、集光レンズ33に照射されることは極力防止される。これにより集光レンズ33にスパッタが付着することは防止され、加工性能の低下がなく信頼性が高い。またミラー等に比べて高価な集光レンズをすぐに破損させてしまわずに済み好都合である。
【0035】
また本実施例のレーザ加工機1では、メンテナンス時等に集光レンズ33を着脱する際には、回転先端部材20のカートリッジ装着部30に対してレンズカートリッジ31を着脱させればよく(或いは別の例としてレンズフレーム部32等を設けず集光レンズ33をカートリッジ装着部30等に直接着脱させるような構成としてもよい)、従来のようにトーチ等を分解・調整するなどの複雑な作業が不要である。これによりメンテナンスに手間と時間をかけずに済み好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明によるレーザ加工機の一例を示した全体斜視図である。
【図2】図2は図1のレーザ加工機における加工ヘッド本体付近を示した側断面図(一部側面図)である。
【図3】図3はレンズカートリッジの着脱を説明した加工ヘッド本体付近の斜視図である。
【図4】図4は、加工ヘッド本体の移動量を説明する模式図である。
【図5】図5は、最大加工ワーク寸法を説明する模式図である。
【図6】図6は従来のレーザ加工機の一例を示した図であり、図6(a)はその加工ヘッド本体付近を示した側面図、図6(b)は加工ヘッド本体の移動量を説明する模式図、図6(c)は最大加工ワーク寸法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1……レーザ加工機
11……加工ヘッド本体
12……第1ヘッド部(スリーブ部材)
13……反射ミラー(第1ミラー)
20……第2ヘッド部(回転先端部材)
23……反射ミラー(第2ミラー)
26……トーチ
30……集光レンズ装着部(カートリッジ装着部)
30b……集光レンズ装着口(開口部)
33……集光レンズ
CT2……回転軸(中心軸)
KP1、KP2……光路屈曲部
RK……レーザ光路
RZ……レーザ光

Claims (1)

  1. レーザ光が通過自在なレーザ光路が内部に形成された加工ヘッド本体及び、該加工ヘッド本体に設けられ、前記レーザ光路を通過したレーザ光を外部に射出するトーチを有したレーザ加工機において、
    前記レーザ光路は、該レーザ光路上において、少なくとも1箇所の光路屈曲部を有しており、
    前記少なくとも1箇所の光路屈曲部は、反射ミラーを、該光路屈曲部に進入するレーザ光を所定の方向に反射させる形で有し、
    前記加工ヘッド本体は、第1ヘッド部及び、円筒部を介して該第1ヘッド部に、所定の回転軸を中心に前記第1ヘッド部に対して回転自在な形で接続され、かつ他方の側で前記トーチと接続された第2ヘッド部を有しており、
    前記少なくとも1箇所の光路屈曲部は、該光路屈曲部の前記反射ミラーが前記所定の回転軸と交差する形で前記第2ヘッド部に配置されており、
    前記第2ヘッド部の、前記円筒部に隣接した位置に集光レンズ装着部を、該円筒部と前記反射ミラーとの間の前記レーザ光路途中に設け、
    前記集光レンズ装着部に集光レンズ装着口を形成し、
    前記集光レンズ装着部に、集光レンズを、前記集光レンズ装着口を介して着脱自在に設けて構成したレーザ加工機。
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