JP3816009B2 - 着色樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
カーボンブラックに代表される各種の顔料を各種樹脂材料に分散配合してなる着色樹脂粒子は、例えば、塗料、樹脂成形体の意匠性付与のため添加剤、電子写真用トナーの原材料、電気泳動型表示装置用の表示粒子等として広く用いられている。
このような着色樹脂粒子の製造方法としては、顔料成分を樹脂材料に配合し、溶融混練後に粉砕して着色樹脂粒子とする溶融混練法、重合性単量体中に顔料成分を分散配合し水系媒体中で懸濁重合を行なうことにより着色樹脂粒子を製造する懸濁重合法等が知られている。
【0003】
このうち、懸濁重合法は、比較的粒径分布の均一でかつ形状が球形の粒子が得られるため近年多く用いられるようになってきている。例えば、特許第2872876号公報では、ピロリン酸マグネシウムと亜リン酸ジエステル又はリン酸の部分エステルとからなる分散剤の存在下で懸濁重合することで、粒径の揃った粒子を得る方法が提案されている。
しかしながら、カーボンブラック等の着色剤の多くは、粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば、水、有機溶剤あるいは有機高分子といったものとの親和力が弱く、二次凝集を生じやすい。従って、上記したような懸濁重合を行なう際、着色剤をいかに均一に分散させるかが問題となる。
【0004】
特開昭60−254050号公報には、カーボンブラック、電荷制御剤等の添加剤を加えた場合の懸濁重合系の安定性を向上する目的で、フェノール・テルペン共重合体を添加する方法が開示されている。
また、特開平7−199536号公報には、油相に極性官能基を有するモノマーあるいはポリマー、特にスチレンスルフォン酸ナトリウム及びp−カルボキシスチレンのモノマー及びポリマーの添加で、着色剤の分散性を向上させる方法が開示されている。
【0005】
これらの物質を添加することで、懸濁重合の安定性の向上又は重合性単量体への着色剤の分散が、未添加のものに比べ向上するが、それでも充分な安定性ではなく、すぐに凝集が始まる。このため重合性単量体中での分散安定性が不充分で、懸濁時及び重合途中の分散安定性が劣り、局在又は凝集するため、重合後の着色樹脂粒子中の着色剤の分散が不均一であるばかりでなく、個々の粒子間の着色剤の存在量の均一性低下の原因にもなる。また懸濁時及び重合時に水相へ着色剤が移行するため着色樹脂粒子中への着色剤の残存率が低下し、着色力の低下、原材料のロス、水相に移行した遊離着色剤による着色樹脂粒子の汚染と排水の汚染等の問題の原因ともなる。特にカーボンブラックの様に親水性基を有する着色剤の場合、この問題は顕著であった。
【0006】
カーボンブラックの分散性を向上させるために、チタンを中心金属とする特定構造の配位化合物を分散助剤として使用する技術が特許第2996785号公報で報告されている。しかし、この技術でも着色剤の分散が十分でなく、更なる分散性の向上が望まれていた。
また、電気泳動表示装置は、一般に少なくとも一方が透明な2枚の基板を、スペーサーを介して所定間隔があくように対向配置して密閉空間を形成し、この密閉空間に表示用着色粒子をこれと色調の異なる色に着色された分散媒中に分散させた表示液を充填して表示パネルとし、この表示パネルに電界を印加して表示を得ようとするものであり、透明な基板面が表示面になるものである。この表示液に電界を印加することにより、表示液中の分散粒子が透明板側に移動し、表面には分散粒子の色が現れる。これと逆方向の電界を印加することにより、分散粒子は背面側に移動し、表面には染料により着色された分散媒の色が現れる。
【0007】
このような電気泳動表示装置は、電界の向きを制御することにより所望の表示を得るものであり、表示液が比較的入手容易な低コスト材料である、視野角が通常の印刷物並みに広い、消費電力が小さい、メモリー性を有するなどの長所をもつことから、安価な表示装置として注目されている。また、一層コントラストのある像を生じさせるためには、透明な媒体中に懸濁した黒色粒子をバックライトで照らす等の方法が望ましいと考えられる。一方、トナー等の分野では、黒色粒子はカーボンブラック等の原料を着色剤とし、一般に製造されている。しかし、従来の技術により得られるカーボンブラック等の着色剤により着色された樹脂粒子は、着色剤の粒子内部での不均一性及び水相に移行した遊離着色剤の付着により、上記のような電気泳動型表示装置の表示用粒子として用いた場合には、着色剤の不均一性によりコントラストの均一性の低下あるいは導電性を有するカーボンブラック等の遊離着色剤の影響により長期の表示安定性において十分な性能を有するものが得られていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、少なくとも重合性単量体に着色剤を分散してなる重合性単量体組成物を懸濁安定剤を含む水系分散媒に懸濁し重合することにより着色樹脂粒子を製造するに際して、着色剤が、着色剤分散剤としてのアルミニウム系カップリング剤亜燐酸モノエステル、亜燐酸ジエステル、燐酸モノエステル及び燐酸ジエステルから選択される着色剤水相移行防止剤の存在下で重合性単量体へ分散されることを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、懸濁重合により着色樹脂粒子を製造する方法において、着色剤の重合性単量体への分散が、着色剤分散剤と着色剤水相移行防止剤の存在下で行なうことで、着色剤の重合性単量体中での分散安定性の向上を図ったものである。
着色剤分散剤の存在下において重合性単量体への着色剤の分散処理すると、重合性単量体中での着色剤の分散安定性が良好となり、得られる着色樹脂粒子中の着色剤の分散が均一でかつ、着色樹脂粒子間での着色剤含有量の均一性も高くなる。また、着色剤水相移行防止剤を添加することで、水系媒体への懸濁時及び重合過程で水相への着色剤の移行を少なくできるため、得られる着色樹脂粒子中への着色剤の残存率が高くなり、かつ水系分散媒に移行した遊離着色剤による汚染の問題も抑制することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0010】
本発明の着色樹脂粒子の製造方法において用いられる重合性単量体としては、懸濁重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的に用いられている各種のビニル系単量体を使用することができる。例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系樹脂、アクリル酸、メタアクリル酸、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン等を1種又は2種以上組合せて用いることができる。
【0011】
例えば、塗料、樹脂成形体の意匠性付与のための添加剤として樹脂粒子を用いる場合には、耐候性、耐熱性の面から(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とするものが好ましく用いることができる。
【0012】
更に、耐溶剤性を付与する目的で、架橋剤として例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のごときジエチレン性不飽和カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸の全てのジビニル化合物及び3個以上のビニル基を有する化合物を共重合することもできる。
【0013】
また、トナーとして用いる場合にはスチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とするものが好ましく用いることができる。更にスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いてスチレン系−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を形成することが、低温定着性、貯蔵安定性等の面から望まく、更に得られる結着樹脂を用いてなるトナーの熱特性の点からスチレンを50重量%以上含有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル混合物が好ましい。
【0014】
このようにして重合性単量体成分を懸濁重合させて着色樹脂粒子を得る際に、該単量体成分中に他の重合体、例えばポリエステル等を存在させてもよく、更に重合度を調整するための連鎖移動剤等公知の添加剤を適宜配合してもよい。また懸濁重合時に、架橋剤を使用してもよい。
重合性単量体に分散させる着色剤は、当業者に周知の顔料及び染料等を使用することができる。例えば、有機顔料でも、無機顔料でも、あるいはそれらの混合物であっても構わない。
【0015】
無機顔料としては、例えば、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、各種無機酸化物顔料、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ微粉体、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、酸化セリウム等の粉末ないし粒子が挙げられる。
【0016】
また有機顔料としては、例えばカーボンブラック、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザーイエローG、ハンザーイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料、キリブデンオレンジ、パーマネントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオミンレーキ、ローダミンレーキB、ブザリンレーキ、ブリリアントカーミンB等の赤色顔料、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等の青色顔料、ピラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエログリーンG等の緑色顔料等が挙げられる。
【0017】
また、磁性トナーを得ようとする場合においては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉体、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の金属化合物の粉体等の磁性粉を添加することも可能である。これらの磁性粉は、着色剤としても作用するので、磁性トナーを得ようとする場合、これら磁性粉は単独で又は前記顔料と併用して着色剤として使用することができる。
【0018】
本発明において、重合性単量体組成物中における着色剤の配合量としては、特に限定されるものではなく、また使用する着色剤の種類等によっても左右されるが、重合性単量体100重量部に対し、着色剤1〜100重量部が好ましく、より好ましくは3〜50重量部程度である。着色剤が1重量部未満では、得られる着色樹脂粒子における着色度が充分なものとならず、一方、100重量部を超えると、添加量を増加させた効果があまり見られず、また重合性単量体組成物の重合が充分に進行しない恐れがあるため好ましくない。
【0019】
本発明においては、このような着色剤の前記重合性単量体組成物への分散を、着色剤分散剤の存在下で行う。着色剤分散剤としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤を挙げることができる。具体的には、アルミニウム9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドステアリルアセトアセテート等を挙げることができる。なかでも、下記式(1)で示されるアルミニウム(III)ジイソプロポキサイドステアリルアセトアセテートがよい。
【0020】
【化1】
Figure 0003816009
【0021】
また、本発明で用いられる着色剤分散剤の中で、アルミニウム系カップリング剤は表面処理を担う官能基が多く存在し、特にカーボンブラック系の有機系顔料の粒子表面に対して皮膜を作るように広がりやすい傾向にあり、他のカップリング剤(例えばシラン系カップリング剤)に比べて効果が高く、本発明において最も好ましい。
このような着色剤分散剤の添加量としては、例えば、着色剤100重量部に対し、着色剤分散剤1〜20重量部が好ましく、より好ましくは2〜15重量部程度が適当である。着色剤分散剤1重量部未満では、その添加による着色剤の分散安定性の向上、及び懸濁時及び重合過程での水相への着色剤の移行防止効果が充分に期待できず、また30重量部を超えるものであると、添加量を増加させてもその効果はさほど向上しないため好ましくない。
【0022】
本発明は、懸濁重合を行う際に重合性単量体組成物に、着色剤水相移行防止剤が添加される。着色剤水相移行防止剤を添加することにより、更に効果的に懸濁時及び重合時に水相への着色剤の移行を抑制できる。着色剤水相移行防止剤としては、酸性有機変性リン酸化合物が挙げられ、これらの酸性有機変性リン酸化合物として例えば、亜燐酸モノエステルあるいは亜燐酸ジエステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステルが挙げられる。これらの亜燐酸モノエステルあるいは亜燐酸ジエステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステルは、特には限定されないが、ラウリルリン酸、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(6)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(8)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエーテル(4)ノニルフェニルエーテルリン酸、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。これら化合物の内、ラウリルリン酸、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレートが好ましい。
【0023】
これら、着色剤水相移行防止剤は、重合性単量体、着色剤及び着色剤分散剤を含む重合性単量体組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部を用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部、更に好ましくは0.01〜2重量部である。
また懸濁重合においては、懸濁粒子の安定化を図るために懸濁安定剤を水系分散媒に添加することができる。
【0024】
懸濁安定剤は、目的とする樹脂粒子が得られるものであれば何ら制限されるものではないが、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ等難水溶性無機化合物の分散安定剤が挙げられる。なかでも、重合終了後に系のpHを調整することにより容易に溶解し、除去可能な無機化合物を用いるのがよい。例えば、第三リン酸カルシウムや複分解生成法によるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、コロイダルシリカを使用すると、目的とする樹脂粒子をより安定して得ることが可能であるため好ましい。
また、水系分散媒には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤が添加されていてもよい。
【0025】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0026】
懸濁安定剤は、得られる着色樹脂粒子の粒子径が所定の大きさ、例えば1〜100μm、好ましくは3〜20μmとなるように、その組成や使用量を適宜調節して使用すべきものであり、重合性単量体組成物100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部である。界面活性剤は、重合性単量体組成物100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。
【0027】
また、重合に用いる重合開始剤としては、通常懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3,3−トリアゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等がある。重合開始剤の添加量は、重合性単量体組成物100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、特に、0.1〜5重量部が好ましい。
また、電子写真用トナーとして用いる場合には、重合性単量体組成物中に、オフセット防止剤、荷電制御剤等を配合することも可能である。
【0028】
必要に応じて重合性単量体組成物中に添加されるオフセット防止剤としては、特に限定されるものではないが、軟化点80〜180℃の重合体、例えば、重量平均分子量1000〜45000、より好ましくは2000〜6000程度のポリオレフィン、いわゆるポリオレフィンワックスを用いることができる。例えば、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、あるいは、オレフィンとその他の単量体、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルアセテート、ビニルブチレート等のビニルエステル類、弗化ビニル、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラクロロエチレン等のハロオレフィン類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリル酸誘導体、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の有機酸類、ジエチルフマレート、β−ピネン等との共重合体等が挙げられる。
【0029】
更に、オフセット防止剤としては、上記したようなポリオレフィン以外にも、天然あるいは合成のパラフィンワックス類、特に融点60〜70℃の高融点パラフィンワックス類、ステアリン酸の亜鉛塩、バリウム塩、鉛塩、コバルト塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩及びマグネシウム塩、オレフィン酸の亜鉛塩、マンガン塩、鉄塩、鉛塩、並びにパルチミン酸の亜鉛塩、コバルト塩、マグネシウム塩等といった脂肪酸金属塩、特に炭素数17以上の高級脂肪酸塩類、同様にミリシルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸グリセリド、パルミチン酸グリセリド等の多価アルコールエステル類、ミリシルステアレート、ミリシルパルミテート等の脂肪酸エステル類、モンタン酸部分ケン化エステル等の肪酸部分ケン化エステル類、ステアリン酸、パルミチン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸類、エチレンビスステアロイルアミド等の脂肪酸アミド及びこれらの混合物等が用いられる。
【0030】
更に、電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルサクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステル又はアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリアジン、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。なお、このような電荷制御剤は、懸濁重合時に添加するよりも、懸濁重合後に得られた樹脂粒子に対し外部添加する方が望ましい。
【0031】
次に、本発明における重合性単量体組成物、着色剤、着色剤分散剤、着色剤水相移行防止剤及び懸濁安定剤の添加順序について説明する。
まず、懸濁重合法においては、予め重合性単量体に着色剤及びその他の添加物(例えば、重合開始剤、架橋剤等)が添加され混合され、得られた混合物は、水系分散媒に懸濁され、重合処理されることで着色樹脂粒子が得られる。
【0032】
まず、着色剤分散剤は、それを重合性単量体に予め溶解ないし分散させた後、着色剤を重合性単量体組成物に添加するか、あるいは着色剤分散剤を着色剤と同時に添加し、その後適当な攪拌装置等を用いて着色剤の分散処理を行なうことが好ましい。重合性単量体組成物に着色剤を分散後に着色剤分散剤を添加すると、着色剤の十分な分散安定性が得られず、着色剤の凝集、水系への移行を効果的に抑制できないため好ましくない。
【0033】
なお、着色剤の分散処理を行なう装置としては特に限定されるものではないが、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア型分散装置、ホモミキサー、ホモジナイザー、バイオミキサー等の剪断型分散装置、超音波分散装置等が好ましく例示できる。
次に、着色剤水相移行防止剤は、着色剤分散剤の存在下で着色剤を分散処理すると同時に、又は着色剤分散剤と着色剤の分散後に重合性単量体組成物に添加することが好ましい。
【0034】
着色剤分散剤及び着色剤水相移行防止剤により着色剤が分散された重合性単量体組成物は、水系分散媒に懸濁される。ここで、懸濁した粒子の安定化を図るために、重合性単量体組成物100重量部に対して、水系分散媒は100〜1000重量部使用するのが好ましい。ここで、水系分散媒は、水、又は水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物が挙げられる。
懸濁安定剤は、重合性単量体組成物の添加前に水系分散媒へ添加することが好ましい。
懸濁重合は、水系分散媒を、例えば40〜120℃、好ましくは45〜110℃の温度に加熱することにより行うことができる。懸濁重合が完了した後、得られた着色樹脂粒子を水系分散媒中より分離、洗浄、乾燥した後、必要に応じて分級工程を経て、所望粒径、例えば平均粒子径1〜100μm、より好ましくは1〜20μm程度の着色樹脂粒子を得ることができる。
【0035】
本発明に係る着色樹脂粒子は、着色剤の分散が極めて良好であり、各粒子間における分散の均一性も高いものとなる。従って、塗料の意匠性付与等のための添加剤として好適に用いることが可能である。また、上記のようにして得られた着色樹脂粒子を、そのまま、あるいは、必要に応じて、電荷調整のための電荷制御剤、流動化剤等といった通常の静電荷現像用トナーに常用させる添加剤を適宜外部添加する等といった処理を行なうことで電子写真用トナーとして好適に用いることができる。
流動化剤としては、例えば、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニア、タルク等の無機微粒子、その他、ポリスチレンビーズ、(メタ)アクリル樹脂ビーズ等の有機微粒子等が用いられ得る。
【0036】
このようにして得られる着色樹脂粒子は、平均粒子径が、例えば、2〜20μm、好ましくは3.5〜15μm程度のものであり、そして各粒子中には着色剤が充分な含有量をもって均一に分散してなり、かつ各粒子間における着色剤含有量が均一である。そのため、この樹脂粒子をトナーとして用いて画像形成を行なった際に、得られる画像は充分な着色化度ないし黒化度をもっており、またトナー間における帯電量が均一でかつ安定したものとなるため、かぶり等のない安定した画像を得ることができる。
更に、本発明により得られる着色樹脂粒子は、着色剤の均一性が高く、更に遊離着色剤がないことから電気泳動型表示装置用の表示粒子として好適に用いることができる。
【0037】
本発明の着色樹脂粒子を電気泳動表示装置用の表示用粒子として用いる場合、一般に少なくとも一方が透明の2枚の基板をスペーサーを介して所定間隔を開けて配置して密閉空間を形成し、この密閉空間に着色樹脂粒子を分散媒中に分散させた表示液を充填して表示パネルとし、この表示パネルに電界を印加して表示を得ようとするもので、透明な基板面が表示面になるものであるが、表示パネルの構成については特に限定されない。
【0038】
例えば、密閉空間に充填される電気泳動表示用表示液は、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ジイソプロピルナフタレン、ナフテン系炭化水素等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類等の分散媒、表示粒子、分散媒に対して溶解又は、分散状態に混ざり合うことのできるノニオン(非イオン)系界面活性剤及び、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤のイオン系界面活性剤等の界面活性剤及び荷電付与剤等の添加剤から構成されるが、これらに限定されるものではない。この表示液に電界を印加することにより表示液中の分散粒子が移動し表示粒子の色が現れる。これと逆方向の電界を印加することにより、分散粒子は移動し、表示の形態を変化させることが可能となる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお以下において、特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重量%を意味するものである。
実施例1
メタクリル酸メチル85部、ジエチレングリコールジメタクリレート15部、カーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100)7部、着色剤分散剤としてのアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート;味の素ファインテクノ(株)製;商品名プレンアクトAL−M)0.4部を用いて重合性単量体組成物を調製した。
【0040】
なお、上記重合性単量体組成物のアルミニウム系カップリング剤は、予めメタクリル酸メチル及びジエチレングリコールジメタクリレートからなる単量体混合物に溶解した後、カーボンブラックを添加した後、1.5mmガラスビーズ100gと共に500ml容器に入れ、卓上型サンドミルで20分間分散混合した。この重合性単量体組成物の分散混合液を光学顕微鏡で観察した結果、カーボンブラックが均一に微分散されていることを確認した、また分散安定性も良好であった。
【0041】
この重合性単量体組成物の分散混合液から、1.5mmガラスビーズ全量を除去し、ABNR(日本ヒドラジン工業(株)製)1部、及びABNV(日本ヒドラジン工業(株)製)0.5部及びアルキルリン酸(ラウリルリン酸 商品名HLP 日光ケミカル(株)製)を上記重合性単量体組成物に添加、溶解した。次に、あらかじめ調整された0.04%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと4%のピロリン酸マグネシウムを分散した水400重量部に投入し、ホモミキサー(特殊機化工(株)製)を用い8000rpmで5分間撹拌し、懸濁液を得た。
この懸濁液を光学顕微鏡で観察した結果、個々の粒子が一様に黒く着色されており、着色されていない透明な粒子は見あたらなかった。
【0042】
この懸濁液を窒素雰囲気下で、重合粒子が沈降しない程度に全体を均一撹拌しながら昇温し、50℃で8時間重合を行った。更に、80℃に昇温し、4時間重合を継続した。この重合液の粒子径をコールターマルチサイダーII(コールター社製)で測定した結果重量平均粒子径が5.3μmであった。
次いで常温まで冷却し、塩酸を添加して懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウムを溶解した後、固液分離、水洗浄を繰り返し行った後、70℃の熱風乾燥機で24時間乾燥し、本発明の着色樹脂粒子を得た。
【0043】
この着色樹脂粒子中のカーボンブラック量を熱分析装置(高感度Tg、TGA−50S島津製作所製)で測定した。測定方法は、昇温速度l0℃/分で常温から500℃まで窒素雰囲気下で加熱しポリマー成分を完全分解した後、空気雰囲気下で1000℃まで同昇温速度で加熱し、空気雰囲気中での減量%をカ−ボンブラック量とした。その結果、着色樹脂粒子中のカーボンブラック量は6.4%であった。カ−ボンブラックの着色粒子中への残存率は99%である。
この着色樹脂粒子におけるカーボンブラックの分散状態を光学顕微鏡で観察した結果、個々の粒子が一様に黒く着色されており、着色されていない透明な粒子は見あたらなかった。
【0044】
実施例2
スチレン85部、ジビニルベンゼン15部カーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100)10部、着色剤分散剤としてのアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート 味の素ファインテクノ(株)製)0.7部を用いて重合性単量体組成物を調製した。
なお上記重合性単量体組成物のアルミニウム系カップリング剤は予めスチレン及びジビニルベンゼンからなる単量体混合物に溶解した後、カーボンブラックを添加した後、1.5mmガラスビーズ100gと共に500ml容器に入れ、卓上型サンドミルで20分間分散混合した。この重合性単量体組成物分散混合液を光学顕微鏡で観察した結果、カ−ボンブラックが均一に微分散されていることを確認した、また分散安定性も良好であった。
【0045】
この重合性単量体組成物分散混合液から、1.5mmガラスビーズ全量を除去し、ABNR(日本ヒドラジン工業(株)製)1部、及びABNV(日本ヒドラジン工業(株)製)1部及びアルキルリン酸(ラウリルリン酸 商品名HLP 日光ケミカル(株)製)を上記重合性単量体組成物に添加、溶解した。
この重合性単量体組成物分散液を、あらかじめ調整された0.04%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと4%のリン酸カルシウムを含む水500重量部に投入し、ホモミキサー(特殊機化工(株)製)を用い8000rpmで5分間撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液を光学顕微鏡で観察した結果、個々の粒子が一様に黒く着色されており、着色されていない透明な粒子は見あたらなかった。
【0046】
この懸濁液を窒素雰囲気下で、重合粒子が沈降しない程度に全体を均一撹拌しながら昇温し、80℃で6時間重合を行った。次いで、更に、90℃に昇温し、4時間重合を継続した。この重合液の粒子径をコールターマルチサイダーII(コールター社製)で測定した結果重量平均粒子径が7.3μmであった。
次いで常温まで冷却し、塩酸でリン酸カルシウムを溶解後、固液分離、洗浄を繰り返し行い充分洗浄した後、60℃の熱風乾燥機で24時間乾燥し本発明の着色樹脂粒子を得た。
【0047】
この着色樹脂粒子を実施例1と同じ方法で着色樹脂粒子中のカーボンブラックを測定した。その結果着色樹脂粒子中のカーボンブラック量は7.1%であった。カ−ボンブラックの着色樹脂粒子中への残存率は100%である。
この着色樹脂粒子のカーボンブラックの分散状態を光学顕微鏡で観察した結果、個々の粒子が一様に黒く着色されており、着色されていない透明な粒子は見あたらなかった。
【0048】
比較例1
実施例1の重合性単量体組成物のアルミニウム系カップリング剤を添加しないこと以外は、実施例1と同じ組成及び操作で、比較用着色樹脂粒子を得た。各工程において実施例1と同じように評価した。その結果、重合性単量体組成物の分散混合液中のカーボンブラックの分散状態を光学顕微鏡で観察した結果、カ−ボンブラックの分散は悪く、1μm以上の粗粒子を含み且つ、分散安定性がないためすぐに2次凝集をすぐに起こした。
【0049】
懸濁液の光学顕微鏡観察した結果は、個々の粒子の黒色度合が不均一で、透明な粒子の存在が認められた。
重合して得られた比較用着色樹脂粒子の重量平均粒子径は5.8μmであった。
この比較用着色樹脂粒子を実施例1と同じ方法で着色樹脂粒子中のカーボンブラックを測定した、その結果着色樹脂粒子中のカーポンプラック量は2.8%であった。カーボンブラックの着色樹脂粒子中への残存率は40%である。
【0050】
比較例2
実施例1の重合性単量体組成物における酸性アルキルリン酸を用いないこと以外は、実施例2と同じ組成及び操作で比較用着色樹脂粒子を得た。各工程において実施例1と同じように評価した。その結果、重合性単量体組成物の分散混合液中のカーボンブラックの分散状態を光学顕微鏡で観察した結果、カーボンブラックの分散は悪く、1μm以上の粗粒子を含み且つ、分散安定性がないためすぐに2次凝集をすぐに起こした。
【0051】
懸濁液の光学顕微鏡観察した結果は、個々の粒子の黒色度合が不均一で、透明な粒子の存在が認められた。
重合して得られた比較用着色樹脂粒子の重量平均粒子径は12.1μmであった、この比較用者色樹脂粒子の粒子中のカーボンブラックの分散を観察した結果、カーボンブラックは個々の粒子の黒色度合が不均一で、透明な粒子の存在が認められた。
この比較用着色樹脂粒子を実施例1と同じ方法で着色樹脂粒子中のカーボンブラックを測定した。その結果樹脂粒子中のカーボンブラック量は3.3%であった。カーボンブラックの着色樹脂粒子中の残存率は46%である。
【0052】
比較例3
実施例1の重合性単量体組成物の着色剤分散剤をp−カルボキシスチレン3部とすること以外は、実施例1と同じ組成及び操作で比較用着色樹脂粒子を得た。各工程において実施例1と同じように評価した。その結果、重合性単量体組成物の分散混合液中のカーボンブラックの分散状態を光学顕微鏡て観察した結果、カーボンブラックは微分散されており、粗粒子は含まないが分散安定性が低く2次凝集の生じ易い分散であった。
【0053】
懸濁液の光学顕微鏡観察した結果は、個々の粒子の黒色度合が不均一であるが透明な粒子の存在は認められなかった。
重合して得られた比較用着色樹脂粒子の重量平均粒子径は6.1μmであった。この比較用着色樹脂粒子の粒子中のカーボンブラックの分散をSEM写真で観察した結果、カーボンブラックが粒子表面に付着し、一部が脱離した分散状態であった。
この比較用着色樹脂粒子を実施例1と同じ方法で着色樹脂粒子中のカーボンブラックを測定した。その結果着色樹脂粒子中のカーボンブラック量は4.2%であった。カーボンブラックの着色樹脂粒子中への残存率は58%である。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように本発明により得られる着色樹脂粒子中の着色剤の分散が均一でかつ、着色樹脂粒子間での着色剤含有量の均一性も高くなる。また、上記したような特定のカップリング剤の存在下において重合性単量体組成物への着色剤の分散処理を行なった重合性単量体組成物は特定の分散剤水系移行防止剤の存在下において、水系媒体への懸濁時及び重合過程で水相への着色剤の移行が少ないため、得られる着色樹脂粒子中への着色剤の残存率が高くなり、かつ水相に移行した遊離着色剤による汚染の問題もなくなるといった製造上での利点も有することとなる。

Claims (4)

  1. 少なくとも重合性単量体に着色剤を分散してなる重合性単量体組成物を懸濁安定剤を含む水系分散媒に懸濁し重合することにより着色樹脂粒子を製造するに際して、着色剤が、着色剤分散剤としてのアルミニウム系カップリング剤亜燐酸モノエステル、亜燐酸ジエステル、燐酸モノエステル及び燐酸ジエステルから選択される着色剤水相移行防止剤の存在下で重合性単量体へ分散されることを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
  2. 着色剤分散剤が、着色剤100重量部に対し、1〜20重量部使用される請求項1に記載の着色樹脂粒子の製造方法。
  3. 着色剤水相移行防止剤が、重合性単量体組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部使用される請求項1又は2に記載の着色樹脂粒子の製造方法。
  4. 懸濁安定剤が、重合性単量体組成物100重量部に対し、0.1〜30重量部使用される請求項1〜3のいずれか1つに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
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