JP4398009B2 - 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法 - Google Patents

分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、樹脂粒子重合用分散安定剤およびこれを用いてなる樹脂粒子の製法に関する。詳しく述べると本発明は、懸濁重合時における懸濁液の増粘を抑制することにより、良好な作業性で、均一な懸濁液を得ることのできる樹脂粒子重合用分散安定剤、およびこれを用いてなる樹脂粒子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真の現像に用いられるトナーは、一般に熱可塑性樹脂中に着色剤およびその他添加剤(電荷制御剤、オフセット防止剤、潤滑剤等)を溶融混合して分散した後、固化物を微粉砕、分級して所望の粒径の着色粒子として製造してきた。
【0003】
しかしながら、上記の粉砕によりトナーを製造する方法は、種々の欠点、例えば、多くの工程とそれに伴う多種の装置が必要でありトナーは必然的に高価格となる、鮮明でかぶりの少ない画像を形成するための最適な粒子径範囲のトナーを得るために分級する工程は必須の要件であるが、生産性かつ収率の上において問題がある、混練する工程において着色剤やその他の添加剤が樹脂に均一に分散するのは極めて困難であり、故に得られるトナーは、着色剤、電荷制御剤等が分散不良のために各粒子の摩擦帯電特性が異なり、解像度の低下につながる等、種々の欠点が存在する。このような問題は今後、画像の高画質化のための必須条件となるトナーの小粒子径化に伴なって更に顕著なものとなる。
【0004】
このような粉砕法によるトナーにみられるさまざまの欠点を改良するために、懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、重合性単量体にカーボンブラック等の着色剤物質、その他の添加剤を加え懸濁重合せしめて、着色剤物質を含有するトナーを一気に合成する方法である。この方法により、従来の粉砕法の欠点をかなり改善することが可能である。すなわち、粉砕工程を全く含まないため脆性の改良は必要ではなく、形状が球形で流動性に優れるために摩擦帯電性が均一である。
【0005】
またポリオレフィンフィルムは、包装材料として食品を始めとして種々の物品の包装に使用されているが、該フィルムを積層した場合フィルムがお互いに密着する、いわゆるブロッキングを起こし、包装などの作業性を著しく低下させるという欠点を有している。従来、ポリオレフィンフィルム中のブロッキングを防止し、滑り性を向上させる手段として、微粉末のシリカ、タルク等の無機物の微粒子をフィルム中に均一に混合する方法が一般的に実施されているが、このような無機物を使用してポリオレフィンフィルムに十分な耐ブロッキング性および滑り性を付与するためには、多量の無機物を混合する必要があり、また無機物を混合したポリオレフィンフィルムを延伸処理する場合、無機物の周囲にボイドが発生し、フィルムの透明性および機械的強度の低下を引き起こすという問題があった。このような観点から、ポリオレフィンフィルム等のフィルム成形品に、ブロッキング防止剤および滑り性向上剤、さらには、透光性(透明性)樹脂の光拡散剤、艶消し剤といった目的から、樹脂粒子を配合することも検討されている。上記ブロッキング防止剤等のフィルム成形品への添加物として用いられる樹脂粒子としては、ポリアミドや、トリアジン環を有する縮合型樹脂等が提唱されているが、多量混合の必要性、配合したフィルムの透明性の低下などの問題があり、懸濁重合により得られる樹脂粒子の使用も検討されている。
【0006】
さらに、懸濁重合により得られる樹脂粒子は、液晶表示板用スペーサー、タッチパネル用絶縁スペーサー、エレクトロニクスデバイスにおける導電性粒子、その他、クロマトグラフィーのカラム充填剤、コールターカウンターの表示粒子、免疫診断薬用担体、化粧品用充填剤、紙処理剤、着色剤を含有した態様おける熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の着色剤、被覆組成物、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤などとして用いられている。
【0007】
しかしながら、以上のような各種用途に使用されるこのような懸濁重合法による樹脂粒子の製造において、単量体組成物の液滴の合一のない安定に懸濁した系で重合を行うこと、また、重合によって均一な粒径分布を有する微細な樹脂粒子を得ることは、技術的に困難なことである。
【0008】
そのため重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合するに際し、重合の進行に伴い重合体粒子の合一を防止するために分散安定剤を使用することが従来行われている。
【0009】
分散安定剤としては、従来、難溶性の微粉末状の無機化合物、例えば、BaSO4、CaSO4、MgCO3、BaCO3、CaCO3、Ca(PO42のような難溶性塩類;珪藻土、タルク、珪酸、粘土のような無機高分子、金属酸化物の粉末、あるいはポリビニルアルコール、ゼラチン、澱粉などの水溶性高分子が用いられている。
【0010】
しかしながら、難水溶性の無機物質を用いる場合、比較的粒径分布が狭くなる可能性があるが、2〜30μm程度といった所望の粒径を得ようとするとその使用量が比較的多くなってしまい、また分散安定助剤として用いる界面活性剤(乳化剤)のため、乳化重合の併発によって生じる微小粒子の発生といった粒径分布制御上での問題があった。さらに、重合工程後の酸洗、水洗処理による分散安定剤の除去操作が必要であり、これが不十分である場合には電気的特性の低下といった問題が生じるといった欠点があった。
【0011】
また、水溶性高分子を用いた場合には、懸濁重合によって得られた粒子は、微小粒径のものを多く含むため、粒径分布が広いものとなってしまい、粒径分布の狭い樹脂粒子を得るには、複数回の煩雑な分級等の操作が必要となる。加えて、粒子表面に付着した分散安定剤の除去が困難であるため、電気的特性が極めて悪くなる、粒子同士の接着、合一が起こるという欠点があった。
【0012】
また特開昭62−266561号公報には、重合性単量体を水相中で重合して得られるトナーの製造方法であって、該水相中にシリカと水溶性無機塩を含むことを特徴とする重合トナーの製造方法が開示されている。同公報によれば、分散安定剤としてシリカを用いる場合、シリカ単独で加えると水中で一部シリカ間で凝集が生じ、得られるトナーは粗粉が多いものとなるが、水溶性無機塩を併用すると、水溶性無機塩が水相中でイオン解離し、表面に極性基を有しているシリカに対してイオンが吸着し、シリカ間の水素結合を阻止する働きをなし、上記したようなシリカの凝集が制御され、その結果、トナーとしては巨大である20μm以上の粒子の生成が顕著に減少するということである。しかしながら、同公報に開示されるシリカは、すべて親水性シリカである。親水性シリカを用いた場合には、最終的に得られる樹脂粒子表面に残存する親水性シリカによって、トナーの耐湿性、帯電安定性などといった特性が損なわれてしまう恐れが大きいものであった。
【0013】
さらに特開平10−237216号公報には、例えば、疎水性シリカ粒子などといった疎水性無機酸化物を、アルコールなどといった親水性有機化合物の存在下で水性媒体中に均一分散させ、このような水性分散体(分散安定剤)中で、重合性単量体組成物を懸濁重合する樹脂粒子の製造方法が開示されている。同公報によれば、疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下で水性媒体中に均一分散させた水性分散体中で、重合性単量体組成物を所定粒径に分散、懸濁し、懸濁重合を行うと重合過程における液滴の合一が実質的に生起せず極めて粒径分布の狭い樹脂粒子を得ることができ、粒径分布が狭いため、得られた樹脂粒子を乾燥粒子として取り出した時の流動性が優れ、粒子の接着、合一がみられず、環境特性が良好で、さらに液中への分散が必要な場合は、非常に再分散性に優れており、また分級工程が簡略化でき、且つ歩留まりが高く生産性に優れており、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面には分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電荷像現像用トナーとして用いた場合に、極めて狭い粒径分布と良好な電気的特性に基づき、画像は安定し、細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れた静電荷像現像用トナー材料として好適に使用できるという特徴がある。
【0014】
しかし、疎水性シリカなどの疎水性無機酸化物をアルコールなどの親水性有機化合物と共に分散安定剤として用いて懸濁重合を行った場合、重合途中、特に重合初期に懸濁液の増粘が見られ、その結果、均一撹拌が困難である、作業性が悪い等の問題が生じ、改善の余地があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、新規な分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法を提供することを目的とするものである。
【0016】
本発明はまた、懸濁重合時の懸濁粒子の安定性を、懸濁液の増粘させることなく向上させることのできる分散安定剤、およびそれを用いることで作業性良く、粒度分布のシャープで形状の優れた樹脂粒子を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
本発明はさらに、極めて狭い粒径分布と良好な電気的特性に基づき、画像は安定し、細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れた負または正に帯電した静電荷像現像用トナーとして有用な樹脂粒子およびこれを用いた静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
【0018】
本発明はまた、粒径分布が狭いため、重合体フィルムのブロッキング防止剤ないしは滑り性向上剤として有用である樹脂粒子並びにこれを配合してなるポリオレフィン系重合体組成物およびポリオレフィン系重合体フィルムを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、疎水性無機酸化物、親水性有機化合物、並びにベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および塩化アンモニウムからなる群から選択される水溶性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組成物を懸濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使用することを特徴とする樹脂粒子重合用分散安定剤である。
本発明はまた、前記水溶性中性塩が、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される上記記載の分散安定剤である。
本発明はまた、前記水溶性中性塩が、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される上記記載の分散安定剤である。
【0020】
本発明はまた、疎水性無機化合物が疎水性シリカであり、親水性有機化合物がアルコール類である上記記載の分散安定剤を示すものである。
【0021】
前記課題を解決する本発明は、また、上記記載の分散安定剤の存在下で、水性媒体中に分散された重合性単量体を含む単量体組成物を、重合させることを特徴とする樹脂粒子の製造方法である。
【0022】
本発明はまた、上記単量体組成物が、重合性単量体と、着色剤、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤および難燃剤からなる群から選ばれた1ないしそれ以上の添加物とを含む組成物であることを特徴とする上記記載の樹脂粒子の製造方法を示すものである。
【0023】
本発明はさらに、上記記載の製造方法により得られる樹脂粒子を示すものである。
【0024】
本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子を含有してなる樹脂組成物を示すものである。
【0025】
本発明はまた、上記記載の樹脂粒子を含有してなる静電荷像現像用トナーを示すものである。
【0026】
本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子をポリオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体組成物を示すものである。
【0027】
本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子をポリオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体フィルムを示すものである。
【0028】
【作用】
本発明者らは、重合性単量体の水系懸濁重合を行なう際における重合性単量体組成物の液滴の安定性を向上させ、粒径分布の狭い樹脂粒子を得ることのできる分散安定剤として、疎水性シリカ粒子などといった疎水性無機酸化物を、アルコールなどといった親水性有機化合物の存在下で水性媒体中に均一分散させたものを用いる際に、さらに水溶性中性塩を添加することで、懸濁重合途中における懸濁液の増粘が抑制されることを見い出し本発明に至ったものである。懸濁重合中における懸濁液の増粘がないため、懸濁液の均一撹拌が容易で、作業性が良好であり、粒径分布が狭く、異形粒子を含まない均一性の高い樹脂粒子を得ることができる。
【0029】
また、得られた樹脂粒子は、粒径分布が狭くかつ形状的にも異形粒子を含まない均質なものであり、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面には分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電荷像現像用トナーとして用いた場合に、画像は安定し、細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れたものとなる。
【0030】
また、粒径分布が狭く、微小粒子を含まないため、ポリオレフィン系重合体に配合してフィルムとした場合に、少量の配合にて、当該ポリオレフィン系フィルムの十分な耐ブロッキング特性ないしは滑り性の向上が期待できるものとなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
【0032】
本発明の重合用無機分散安定剤は、疎水性無機酸化物、親水性有機化合物および水溶性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組成物を懸濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使用することを特徴とするものである。
【0033】
疎水性無機酸化物としては、疎水性シリカ、疎水性アルミナ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニア、疎水性マグネシア、疎水性酸化亜鉛、疎水性酸化クロム、各種疎水性無機酸化物顔料等が例示できるが、このうち特に好ましくは疎水性シリカである。これらの疎水性無機酸化物は単独であるいは2種以上併用して用いることができる。
【0034】
さらに、本発明に係る分散安定剤を用いて製造される樹脂粒子を静電荷像現像用トナー材料として用いようとする場合においては、必要とされる帯電性に応じて疎水性負帯電性シリカ、あるいは疎水性正帯電性シリカを好ましく用いることができる。
【0035】
なお、本明細書において用いられる疎水性無機酸化物の疎水化度としては、特に限定されるものではないが、例えば、疎水性指数(Mw:メタノールウェッタビリティー)が5以上のものが得られる樹脂粒子に良好な耐環境性を付与できることからより好ましい。さらに樹脂粒子を静電荷現像用トナーとして応用する場合には帯電安定性の上からも有利である。
【0036】
ここで本発明でいう疎水性指数とは、以下の手順で得られた数値をいう。
【0037】
1)試料0.2gを200mlビーカーに秤取し純水50mlを加える。
【0038】
2)電磁攪拌しながら、液面下へメタノールを加える。
【0039】
3)液面上に試料が認められなくなった点を終点とする。
【0040】
4)要したメタノール量から次式により疎水化度を算出する。
【0041】
疎水性指数(%)={x/(50+x)}×100
注) x=メタノール使用量(ml)
さらに本発明の重合用無機分散安定剤において用いられる疎水性無機酸化物としては、その粒子径が0.001〜1μm程度、より好ましくは0.005〜0.5μm程度であることが望ましい。疎水性無機酸化物の粒子径が0.001μmより小さい、あるいは1μmより大きいと重合性単量体組成物液滴の水系媒体中における分散安定性の向上効果がいずれも小さくなるおそれが大きいためである。
【0042】
なお、懸濁重合に際しての、本発明に係る分散安定剤における疎水性無機酸化物の重合性単量体組成物に対する配合量としては、特に限定されるものではないが、最終的な懸濁重合系における使用形態において、疎水性無機酸化物が重合性単量体組成物100重量部に対し、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部程度が適当である。すなわち、疎水性無機酸化物が重合性単量体組成物100重量部に対して0.1重量部未満であると重合過程における重合性単量体組成物の液滴の分散安定性が十分なものとならないおそれがあり、一方、20重量部を越えてもその効果の向上は望めず経済的でないばかりでなく、得られる樹脂粒子に固着する疎水性無機酸化物が増えてしまい樹脂粒子の特性を低下させてしまうおそれがあるためである。
【0043】
このような疎水性無機酸化物は、そのままでは水性媒体中に均一分散させることが困難であるため、本発明においては、親水性有機化合物の存在下で疎水性無機酸化物を水性媒体中に分散させ、均一分散体として、懸濁重合における分散安定剤として疎水性無機酸化物を有効に作用させるものである。
【0044】
親水性有機化合物としては、水性媒体中に疎水性無機酸化物を均一分散化できるものであれば特に限定されず、各種のものを用いることができるが、望ましくは懸濁重合後に得られた樹脂粒子より容易に除去可能であるものが好ましく、具体的には例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどといったアルコール類、テトラヒドロフランなどといったエーテル・アセタール類、アセトン、ジアセトンアルコールなどといったケトン・アルデヒド類、乳酸メチルなどといったエステル類、グリセリン、エチレングリコールなどといった多価アルコール誘導体類、プロピオン酸などといったカルボン酸・無水物類、N,N−ジメチルホルムアミドなどといった含窒素化合物類、ジメチルスルホキシドなどといった含硫黄化合物類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどといったフッ素化合物類などが好ましく例示できるが、特に好ましくは、水性媒体中への疎水性無機酸化物の均一分散性が優れる、疎水性無機酸化物が均一分散された水系媒体中において重合性単量体を懸濁させた際に所望の粒径の液滴(重合性単量体組成物粒子)に制御しやすい、懸濁重合途中に重合性単量体組成物への影響が少なく安定に重合が行える、懸濁重合後に得られる樹脂粒子の物性への影響が少なくかつ容易に除去可能である等の点からアルコール類、中でもメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールである。
【0045】
本発明に係る分散安定剤における親水性有機化合物の配合量としては、特に限定されるものではないが、最終的な懸濁重合系における使用形態において、疎水性無機酸化物100重量部に対し、1〜3000重量部、より好ましくは10〜1000重量部程度が適当である。すなわち、親水性有機化合物の配合量が疎水性無機酸化物100重量部に対して1重量部未満であると、懸濁重合系において疎水性無機酸化物が均一分散できず、結果的に重合過程における重合性単量体組成物の液滴の分散安定性が十分なものとならないおそれがあり、一方3000重量部を越えても疎水性無機酸化物の均一分散の向上は望めず経済的でないばかりでなく、重合性単量体組成物の液滴の形成が不十分であったり、重合安定性が不十分なものとなる虞れがあるためである。
【0046】
さらに本発明に係る分散安定剤においては、上記したような疎水性無機酸化物および親水性有機化合物に加え、水溶性中性塩を配合するものである。
【0047】
水溶性中性塩としては、試料1gをイオン交換水1000gに溶解した状態において示すpH値が、好ましくはpH4.5〜pH8.5、より好ましくはpH5〜pH8を呈するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムなどが例示できる。このうち好ましくは、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどであり、特に好ましくは、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムである。
【0048】
本発明に係る分散安定剤における水溶性中性塩の配合量としては、特に限定されるものではないが、最終的な懸濁重合系における使用形態において、水溶性中性塩が疎水性無機酸化物100重量部に対し、0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部程度が適当である。すなわち、水溶性中性塩の配合量が疎水性無機酸化物100重量部に対して0.1重量部未満であると、懸濁重合反応途中における懸濁液の増粘を十分に抑制できない虞れがあり、一方100重量部を越えても懸濁液の増粘抑制作用の向上は望めず経済的でないばかりでなく、重合安定性が不十分なものとなる虞れがあるためである。
【0049】
なお、本発明に係る樹脂粒子の製法においては、親水性有機化合物の存在下で疎水性無機酸化物を水性媒体中に分散させ、均一分散体とした後、この均一分散体中ないしは必要に応じてこの均一分散体にさらに水系媒体を添加したもの中において、重合性単量体組成物を懸濁させることが必要である。
【0050】
親水性有機化合物の存在下で疎水性無機酸化物を水性媒体中に分散させ、均一分散体とするための乳化分散装置としては、特に限定されるものではないが、例えばT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)などといった高速剪断タービン型分散機、ピストン型高圧式均質化機(ゴーリン社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)などといった高圧ジェットホモジナイザー、超音波ホモジナイザー((株)日本精機製作所製)などといった超音波式乳化分散機、アトライター(三井鉱山(株)製)などといった媒体撹拌型分散機、コロイドミル((株)日本精機製作所製)などといった強制間隙通過型分散機等の乳化分散装置を用いることにより均一分散処理することが望ましい。
【0051】
また、本発明の分散安定剤における水溶性中性塩は、遅くとも重合性単量体組成物の懸濁重合の際に、水系媒体中に存在していれば良く、(1)上記したような疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下に水性媒体中に分散させ、均一分散体とする際に同時に水溶性中性塩を添加し、その後、この均一分散体中またはこの均一分散体にさらに水系媒体を添加したものの中に重合性単量体組成物を配合し、当該単量体組成物の液滴形成を行った後重合反応を行う方法、(2)疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下に水性媒体中に分散させて均一分散体を調製し、この均一分散体中またはこの均一分散体にさらに水系媒体を添加したものの中に重合性単量体組成物を配合し、後述するような液滴形成を行った後に水溶性中性塩を添加し、重合反応を行う方法、あるいは(3)疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下に水性媒体中に分散させて均一分散体を調製し、この均一分散体中またはこの均一分散体にさらに水系媒体を添加したものの中に水溶性中性塩を添加し、その後重合性単量体組成物を配合し、後述するような液滴形成を行った後重合反応開始を行う方法など、いずれの方法によっても良好な結果が得られる。
【0052】
本発明の樹脂粒子の製法において、使用される重合性単量体としては、懸濁重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸あるいはメタクリル酸系モノマー、さらには、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルといったその他のビニル系重合性単量体を単独でまたは2種以上組合せて用いることが可能である。このうち特に、スチレン系モノマー、アクリル酸あるいはメタアクリル酸系モノマー、またはこれらの組合せを用いることが望ましい。
【0053】
さらに分子間に架橋構造を有する樹脂粒子を得ようとする場合、例えば、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の重合性二重結合基を分子中に複数個有する(メタ)アクリル系モノマー、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等の架橋剤、さらに、ポリブダジエン、ポリイソプレン不飽和ポリエステルおよび特公昭57−56,507号公報、特開昭59−221,304号公報、特開昭59−221,305号公報、特開昭59−221,306号公報、特開昭59−221,307号公報等に記載される反応性重合体などを使用することも可能である。
【0054】
さらに重合性単量体組成物中に、重合性単量体組成と同様のものよりなる(共)重合体あるいはその他の(共)重合体、例えば、スチレン系樹脂、スチレン・アクリレート系樹脂、ロジン誘導体、芳香族系石油樹脂、ピネン系樹脂、エポキシ系樹脂、クマロン系樹脂などを添加することで粒径分布の均一化を図ることができる。重合体としては特に限定されるものではないが、例えば重量平均分子量500〜100000程度、より好ましくは1000〜50000程度が適当である。このような(共)重合体の添加量は重合性単量体100重量部に対し0〜50重量部程度が適当である。
【0055】
さらに重合性単量体組成物中には、必要に応じて顔料、染料などの着色剤、あるいはその他の添加剤、例えば磁性粉、オフセット防止剤、電荷制御剤、可塑剤、重合安定剤、帯電防止剤、難燃剤などを配合ないし添加することもできる。
【0056】
顔料としては、例えば、鉛白、鉛丹、黄鉛、カーボンブラック、群青、酸化亜鉛、酸化コバルト、二酸化チタン、酸化鉄、シリカ、チタン黄、チタンブラック等の無機顔料、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザーイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロン、レッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオミンレーキ、ローダミンレーキB、アザリンレーキ、ブリリアントカーミンB等の赤色顔料、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、ジオキサンバイオレット等の紫色顔料、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファストスカイブルー、インダンスブルーBC等の青色顔料、ビグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等の緑色顔料、その他、イソインドリノン、キナクリドン、ペリノン顔料、ペリレン顔料、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染色レーキ等の有機顔料が用いられる。
【0057】
また染料としては、例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料等が用いられる。
【0058】
また、磁性粉としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉体、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の金属化合物の粉体等が挙げられる。なお。これら磁性粉は着色剤としても作用する。
【0059】
なお、これらの着色剤及びその他の添加剤は、重合性単量体への分散性の向上を目的として種々の方法により表面処理されたものであってもよい。表面処理方法としては、ステアリン酸、オレイン酸等の長鎖の炭化水素で処理する方法、アクリル酸、メタクリル酸等の極性基を有する重合性単量体で処理する方法、トリメチロールプロパン等の多価アルコールで処理する方法、トリエタノールアミン等のアミン類等で処理する方法、各種カップリング剤で処理する方法、あるいは着色剤またはその他の添加剤とこれらの表面の官能基と反応し得るアジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、ケイ素系加水分解基、アミノ基等の反応基を有する重合体を20〜350℃の温度で反応させ、着色剤またはその他の添加剤の表面に重合体をグラフト化する方法などを挙げることができる。特に、例えば、着色剤としてカーボンブラックを用いた場合は、特開昭63−270,767号および特開昭63−265,913号に記載のカーボンブラックグラフトポリマーが好適である。具体的には次の2種の方法が好ましい。
【0060】
(イ)カーボンブラックの有する官能基と反応し得る反応性基(X)を有する重合体(P)で、カーボンブラックを表面処理する方法、および
(ロ)カーボンブラックの存在下で二重結合基1個を有するビニル系単量体(A)を重合してカーボンブラックを表面処理する方法。
【0061】
最初に、(イ)の方法について説明する。
【0062】
カーボンブラックの有する官能基と反応し得る反応性基(X)としては、カーボンブラックの官能基と反応し得るものであれば、特に限定はされないが、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基などの複素環基;イソシアネート基、N−ヒドロキシアルキルアミド基およびアミノ基などが例示できる。中でも、複素環基が好ましく、特に、カーボンブラックの有する官能基との反応性を考慮すると、エポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基が好ましい。反応性基(X)の数は、カーボンブラックの有する官能基の数との関係にもよるが、重合体1分子当り平均して50〜1、好ましくは20〜1程度であることが望ましい。
【0063】
反応性基(X)を有する重合体(P)としては、カーボンブラックの有する官能基と反応し得る反応性基(X)を備えるものであれば特に限定はされない。重合体(P)としては、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン構造、ポリアミド系構造、ポリイミド系構造、ポリウレタン系構造およびポリスチレン系構造あるいはこれらの共重合体などが挙げられ、直鎖状、分岐状の構造であってもよい。
【0064】
特に、二重結合基を2個以上有するビニル系単量体(B)への分散性を高くできる点で重合体(P)は、ビニル系重合体、ビニル系重合体とブロックまたはグラフト型の重合体を形成する共重合体などが好ましい。ビニル系重合体としては、特に限定されないが、好ましくはカーボンブラックの有する官能基と反応し得る反応性基(X)を有するビニル系モノマー単独または該モノマーと共重合可能なその他のビニル系モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、スチレン類など)とを(共)重合することによって得られるビニル系重合体(ポリ(メタ)アクリル系、ポリスチレン系)が挙げられる。
【0065】
また、重合体(P)中に二重結合基を2個以上有するビニル系単量体(B)と反応し得る反応性基(Y)を有していると、ビニル系単量体(B)と反応性基(Y)が反応する結果、得られる粒子中にカーボンブラックが固定化されるため、粒子の強度や硬度がギャップコントロールし易いものになり、顔料やそれに由来する不純物のブリードが少なくなって高信頼性の着色スペーサーが得られるため好ましい。
【0066】
かかる重合体(P)の分子量は、特に限定はされないが、カーボンブラックに対する顕著な処理効果やカーボンブラックの作業性の面からMn=200〜1x106とするのが好ましく、より好ましくは300〜1x105、さらに好ましくは1000〜5×104である。
【0067】
二重結合基を2個以上有するビニル系単量体(B)と反応し得る反応性基(Y)は、特に限定されないが、二重結合基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種または2種以上のものであることが好ましく、特に、ビニル系単量体(B)との反応性の点から、二重結合基が好ましい。また、反応性基(Y)の数は、特に限定されるものではないが、重合体1分子当り平均して20〜1が好ましく、さらに10〜1程度有することが好ましい。
【0068】
これらの反応性基(X)を有する重合体(P)は、対応する単量体から従来公知の方法、例えば塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合法、溶液重合法などにより重合できる。また、予め、重合体を形成したのち反応性基をかかる重合体に導入してもよい。
【0069】
カーボンブラックとカーボンブラックの有する官能基と反応し得る反応性基(X)を有する重合体(P)との処理は、種々の方法で行うことができ、例えば、カーボンブラックと重合体(P)とを常温〜350℃の温度条件下で撹拌混合することにより反応させることができる。この方法によれば、原料に用いた二次凝集状態にあるカーボンブラックが撹拌混合して反応する際に、効率よく解砕されて微細かつ均一な粒子径となり、しかも反応効率も向上する。
【0070】
また、必要により、上記の反応は、分散媒液の存在下に行うこともできる。使用される分散媒としては、沸点が150℃以下の非極性溶媒が反応性基(X)と反応しないために好ましい。
【0071】
このような分散媒液存在下におけるカーボンブラックと重合体(P)との反応は、例えば、50〜150℃、好ましくは70〜140℃の温度下に、0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間撹拌混合することにより行われる。
【0072】
カーボンブラックと重合体(P)との割合は、特に限定されないが、カーボンブラック100重量部に対して重合体(P)を1〜5000,好ましくは1〜1000、さらに好ましくは2〜250重量部とすることが望ましい。すなわち、重合体(P)の割合が1重量部未満であると、カーボンブラックの性状、特に表面性状を十分に改質することが困難となるおそれがあり、一方、5000重量部を越えると、カーボンブラックに結合する重合体の割合が多くなり、経済的でないのみならず、要求されるカーボンブラックの特性を損なうおそれがある。
【0073】
次に、(ロ)の方法について説明する。
【0074】
二重結合基1個を有するビニル系単量体(A)としては、特に限定されないが、好ましくは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類などが挙げられる。これらビニル系単量体(A)が重合する際に、重合中の成長末端のラジカルがカーボンブラックのベンゼン環にトラップされて、カーボンブラック表面にビニル系単量体(A)の重合物がグラフトされる。ビニル系単量体(A)には、上記のような反応性基(X)がなくても前述の機構によりカーボンブラック表面がビニル系単量体(A)の重合物で処理される。
【0075】
カーボンブラックの存在下でビニル系単量体(A)を重合する方法としては、対応する単量体から従来公知の方法、例えば塊状重合法、溶液重合法などが挙げられるが、ビニル系単量体(A)の重合物がカーボンブラック表面に効率よくグラフトされる点で、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、塊状重合法が最も好ましい。水を用いる懸濁重合法や乳化重合法ではカーボンブラックが水中に存在するためグラフト効率が悪くなる。例えば、重合は、カーボンブラックとビニル系単量体(A)とをそのままあるいは溶媒の存在下、重合開始剤とともに、常温〜350℃、好ましくは50〜200℃の温度条件下で撹拌、混合することにより行われる。
【0076】
この方法により、原料に用いた二次凝集状態にあるカーボンブラックが撹拌混合して反応する際に、効率よく解砕されて微細かつ均一な粒子径となる。
【0077】
カーボンブラックとビニル系単量体(A)との割合は、特に限定されないが、カーボンブラック100重量部に対してビニル系単量体(A)を1〜5000、好ましくは10〜5000,さらに好ましくは20〜5000重量部とすることが望ましい。ビニル系単量体(A)の割合が1重量部未満であると、カーボンブラックの性状、特に表面性状を十分に改質することが困難となるおそれがあり、一方、5000重量部を越えると、重合の発熱を抑制できなくなるとともに、カーボンブラックに結合する重合体の割合が多くなり、経済的でないのみならず、要求されるカーボンブラックの特性を損なうおそれがある。
【0078】
上記のような(イ)および(ロ)の方法により得られる、重合体(P)で表面処理されたカーボンブラックはそのまま使用してよいが、カーボンブラック表面に反応していない重合物を除去する方が望ましい。
【0079】
また、カーボンブラック以外の着色剤を用いる場合も、特開平1−118,573号に記載の方法により得れる表面処理された着色剤が好適である。
【0080】
さらに重合性単量体組成物中に、低分子量ポリマーを添加することでカーボンブラック等の重合性単量体への分散性の向上を図ることができる。低分子量ポリマーとしては特に限定されるものではないが、例えば重量平均分子量500〜100000程度、より好ましくは1000〜50000程度のスチレン系樹脂、スチレン・アクリレート系樹脂、ロジン誘導体、芳香族系石油樹脂、ピネン系樹脂、エポキシ系樹脂、クマロン系樹脂などが挙げられる。低分子量ポリマーの添加量はカーボンブラック等の配合量にも左右されるが重合性単量体100重量部に対し0〜50重量部程度が適当である。
【0081】
また、本発明の樹脂粒子の製法により静電荷像現像用トナー粒子母材を製造しようとする場合には、上記したような着色剤および/または磁性粉に加えてオフセット防止剤を添加することが望まれる。オフセット防止剤としては、特に限定されるものではないが、環球法軟化点80〜180℃の重合体、例えば、重量平均分子量1000〜45000、より好ましくは2000〜6000程度のポリオレフィン、いわゆるポリオレフィンワックスが用いられ得る。例えば、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどの単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体などのオレフィン共重合体、あるいは、オレフィンとその他の単量体、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルアセテート、ビニルブチレート等のビニルエステル類、弗化ビニル、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラクロロエチレン等のハロオレフィン類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリル酸誘導体、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の有機酸類、ジエチルフマレート、β−ピネン等との共重合体など挙げられる。
【0082】
さらにオフセット防止剤としては、上記したようなポリオレフィン以外にも、天然あるいは合成のパラフィンワックス類、特に融点60〜70℃の高融点パラフィンワックス類、ステアリン酸の亜鉛塩、バリウム塩、鉛塩、コバルト塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩及びマグネシウム塩、オレフィン酸の亜鉛塩、マンガン塩、鉄塩、鉛塩、並びにパルチミン酸の亜鉛塩、コバルト塩、マグネシウム塩などといった脂肪酸金属塩、特に炭素数17以上の高級脂肪酸塩類、同様にミリシルアルコールなどの高級アルコール類、ステアリン酸グリセリド、パルミチン酸グリセリド等の多価アルコールエステル類、ミリシルステアレート、ミリシルパルミテート等の脂肪酸エステル類、モンタン酸部分ケン化エステル等の肪酸部分ケン化エステル類、ステアリン酸、パルミチン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸類、エチレンビスステアロイルアミド等の脂肪酸アミド及びこれらの混合物などが用いられる。
【0083】
さらにまた、オフセット防止剤として、特開昭6−148936号、特開昭6−194874号および特開昭6−194877号などに記載されるような結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを使用することも可能である。結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを使用すると、耐オフセット性、離型性、流動性、帯電立ち上り性等の諸特性の向上が期待できる。
【0084】
オフセット防止剤として用いられる結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーとしては、例えば、下記一般式(I)で示される単量体を構成単位として含有する、好ましくは100〜50モル%、より好ましくは100〜60モル%、さらに好ましくは100〜70モル%含有するものが挙げられる。
【0085】
【化1】
Figure 0004398009
【0086】
上記一般式(I)で示される単量体として具体的には、例えば、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ノナデシル、メタクリル酸ノナデシル、アクリル酸アラキル、メタクリル酸アラキル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸ペンタシル、メタクリル酸ペンタシル、アクリル酸ヘプタシル、メタクリル酸ヘプタシル、アクリル酸ノナシル、メタクリル酸ノナシル、アクリル酸ドテリアシル、メタクリル酸ドテリアシル等がある。このうち特に好ましくは、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸ペンタシル、メタクリル酸ペンタシル等である。
【0087】
また、このような一般式(I)で示される単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の非晶性アクリル酸エステル系または非晶性メタアクリル酸エステル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸系モノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン系モノマー;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物系モノマー;その他、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの各種ビニル系モノマーなどが挙げられる。
【0088】
そして、このような結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの重量平均分子量としては、35000〜500000、より好ましくは35000〜450000、さらに好ましくは35000〜400000程度のものとされる。すなわち、重量平均分子量が35000未満であると、溶融粘度が低くすぎて、所望のオフセット防止効果が得られず、またトナー粒子中における結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの良好な分散性およびトナーの良好な貯蔵安定性が得られない虞れがあり、一方、重量平均分子量が500000を越えるものであると、溶融粘度が高すぎて、溶融特性が低下し、耐オフセット性が発揮できなくなる虞れが大きいためである。
【0089】
さらに、低温定着用トナーを得ようとする場合には、クマロン樹脂、エポキシ樹脂、低分子量ポリスチレンなどを上記したようなオフセット防止剤に代えてあるいは併用して用いることも望ましい。
【0090】
また静電荷像現像用トナーを得ようとする場合に用いられる電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルサクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリアジン、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。なお、後述するようにこのような電荷制御剤は、懸濁重合時に添加するよりも、懸濁重合後に得られた樹脂粒子に対し外部添加する方が望ましい。
【0091】
また重合に用いる重合開始剤としては、通常懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等がある。該重合開始剤は、重合性単量体に対して、0.01〜20重量%、特に、0.1〜10重量%使用されるのが好ましい。
【0092】
本発明に関わる樹脂粒子の製法は、前記したような重合性単量体およびそのほかの各種配合物を含んでなる重合性単量体組成物を、上記したような本発明に係る分散安定剤ないしはこれを含む水系媒体中に添加し、撹拌して所望の粒径の液滴(重合性単量体組成物粒子)を形成して懸濁重合を行なうものである。なお、上記したように、本発明に係る分散安定剤の各成分、特に水溶性中性塩は、遅くとも懸濁重合反応が開始される前までに懸濁重合系に存在していれば良く、必ずしも各成分を同時に水系媒体中に配合する必要はない。この懸濁重合は、液滴の粒子径の規制を行なった後あるいは粒子径の規制を行ないながら反応を行なうことが好ましいが、特に粒子径の規制を行なった後に反応を行なうことが好ましい。この粒子径の規制は、例えば、所定の成分を水性媒体に分散させた懸濁液をT.K.ホモミクサーにより撹拌して行なう。あるいはラインミキサー(例えばエバラマイルダー)等の高速撹拌機に1回ないし数回通過させることにより行われる。このようにして、上記液滴の粒子径が所定の大きさ、例えば0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは0.5〜50μm程度のものとする。
【0093】
また本発明の樹脂粒子の製法において、懸濁重合時においては、重合安定性の向上を図るために、さらに界面活性剤を添加することも可能である。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれを用いることも可能である。
【0094】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等がある。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等がある。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等がある。
【0095】
これらの界面活性剤は、重合性単量体組成物に対して0〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で添加可能である。
【0096】
また、本発明の樹脂粒子の製法において、懸濁重合時においては、水相中で併発する乳化重合を防ぐために、さらに乳化重合禁止剤を添加することも可能である。乳化重合禁止剤としては、例えばチオシアン酸アンモニウム、塩化第二銅、酢酸銅、五酸化バナジウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、二クロム酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸三ナトリウムといった無機水溶性禁止剤、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、システイン、グルタチオン、ジメルカプロール、1,4−ジチオスレイトール、ジメルカプト琥珀酸、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸といった水溶性メルカプタン化合物、エチレンジアミン化合物、水溶性ニグロシン、ホウ水素化物、モノアゾ染料の金属錯体化合物等がある。また、特開平8−183807号に示される、−SH、−S−S−、−COOH、−NO2および−OHからなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有し、水に対して実質的に不溶性でかつ重合性単量体に対して難溶性の化合物、あるいは特開平7−316209号に示される、少なくとも−NO2、−SO3Naおよび2級アミノ基をそれぞれ一つ以上有する芳香族化合物を含んでなる乳化重合防止剤等がある。
【0097】
なお、重合温度としては、使用する重合性単量体の種類等にも左右されるが、10〜90℃、好ましくは30〜80℃程度が適当である。
【0098】
上記したような本発明の樹脂粒子の製造方法によって得られる樹脂粒子は、懸濁重合の際に、前記したような分散安定剤の作用によって懸濁液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が良好に保たれるため、異形粒子を含まず良好な球形を呈し、かつ体積平均粒径が0.1〜500μm、特に0.5〜100μm、さらに特に0.5〜50μm程度で粒径分布(体積平均粒径/個数平均粒径の比)が1.6以下の極めて狭いものとなる。また、懸濁重合に際しての懸濁液の増粘が実質的に見られず、懸濁重合における良好な作業性が確保できるものである。
【0099】
本発明の製造方法によって得られる樹脂粒子は、上記のごとく異形粒子を含まずかつ粒径分布が極めて狭いため、得られた樹脂粒子を乾燥粒子として取り出した時の流動性が優れ、粒子の接着、合一がみられず、かつ懸濁重合時に添加された疎水性無機酸化物が樹脂粒子表面に固定化されることで耐湿性等の環境特性が良好で、さらに液中への分散が必要な場合は、非常に再分散性に優れる等、熱的特性、電気的特性、粉体特性といった諸物性に優れるものとなることから、各種の用途において好適に用いられる。また、粒径分布が極めて狭いため、分級工程が簡略化でき、且つ歩留まりが高く生産性に優れる。
【0100】
例えば、懸濁重合において重合性単量体に着色剤を添加して得られた着色樹脂粒子は静電荷像現像用トナーとして用いることができる。
【0101】
このような本発明に係る静電荷像現像用トナーは、粒径分布が狭いため、分級工程が簡略化でき、且つ歩留まりが高く生産性に優れており、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面には分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電荷像現像用トナーとして用いた場合に、極めて狭い粒径分布と良好な電気的特性とに基づき、画像は安定し、細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画質特性に優れた静電荷像現像用トナーとして好適に使用できる。
【0102】
本発明による静電荷像現像用トナーは、前記着色樹脂粒子を用いてなるものであるが、該トナーの帯電性を適正な状態とするためには、その体積平均粒径を3.5〜20μm、好ましくは4〜15μm、粒径分布(体積平均粒径/個数平均粒径の比)が1.6以下とするのが好適である。該着色樹脂粒子はそのまま静電荷像現像用トナーとすることもできる。
【0103】
また、電荷調整のための電荷制御剤や流動化剤等の通常のトナーに常用させる添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0104】
電荷制御剤を配合せしめる方法は特に制限されるものではなく、従来公知のいかなる方法も採用できる。例えば、着色剤を分散せしめた重合性単量体を重合する際に電荷制御剤を予め該単量体内に含ませておく方法や、本発明の着色樹脂粒子を電荷制御剤で後処理して着色樹脂粒子表面に電荷制御剤を付着せしめる方法等を適宜採用できる。なお、本発明の樹脂粒子の製法においては、前記したように使用した疎水性無機酸化物を選択することによって、得られる樹脂粒子は正負のいずれにも帯電させることが可能であり、また正負のいずれにも帯電していないものも得ることができるために、荷電制御剤を使用せずとも、あるいは後者の方法により樹脂粒子表面に荷電制御剤をさらに外添することで、所望の帯電特性を有する正もしくは負のいずれの帯電性にも容易に調整することが可能である。
【0105】
また、本発明に係る樹脂粒子は、フィルム成形品へのブロッキング防止剤、特に、ポリオレフィンフィルムへのブロッキング防止剤として好適である。本発明に係るポリオレフィン系重合体組成物は、上記樹脂粒子をポリオレフィンに配合して成るものである。このポリオレフィン系重合体組成物は、この組成物をそのまま、あるいはこの組成物にさらにポリオレフィンを配合して、フィルム状に成形してポリオレフィン系重合体フィルムを得るために使用できる。また本発明に係るポリオレフィン系重合体フィルムは、上記樹脂粒子をポリオレフィンに配合してなるものである。このように上記樹脂粒子を配合してなるポリオレフィン系重合体フィルムは、耐ブロッキング性、滑り性、透明性および機械的強度等に非常に優れたものとなる。
【0106】
本発明の前記ポリオレフィン系重合体組成物における樹脂粒子の配合量は、ポリオレフィンに対して0.001〜40重量%、好ましくは0.005〜35重量%程度が適当である。また、前記ポリオレフィン系重合体フィルムにおける樹脂粒子の配合量は、ポリオレフィンに対して0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%程度が適当である。本発明のポリオレフィン系重合体フィルムは、本発明に係る樹脂粒子が前記したように粒径分布が極めて狭く、均一性が高いものであるため、上記のような比較的少量の樹脂粒子の添加によって良好な耐ブロッキング性および滑り性を得ることができる。上記のような樹脂粒子の添加量が0.001重量%よりも少ない場合、フィルムの耐ブロッキング性および滑り性が発現しにくく、また添加量が5重量%よりも多いと、フィルム強度の低下を引き起こす。
【0107】
また、このようなブロッキング防止剤として使用する場合、本発明の樹脂粒子の平均粒子径は、0.1〜30μm、好ましくは0.3〜25μm、さらに好ましくは0.5〜20μmであることが望ましい。平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合、耐ブロッキング効果および滑り性向上効果が十分に発現しないために多量の添加を必要としフィルムの機械的強度が損なわれる虞れがある。一方、平均粒子径が30μmよりも大きい場合、フィルムから粒子が脱落し易くなり、機械的強度の低下を引き起こす虞がある。
【0108】
本発明のポリオレフィン系重合体組成物ないしポリオレフィン系重合体フィルムにおいて使用されるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらのうちエチレンおよび/またはプロピレンを主成分とする重合体が好適に用いられる。また本発明のポリオレフィン系重合体組成物ないしポリオレフィン系重合体フィルムには、前記樹脂粒子の配合による効果に悪影響を及ぼさない範囲で種々の添加剤を配合することも可能である。これらの添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤および無機充填剤等が挙げられる。また、シリカ等の従来用いられているブロッキング防止剤を併用しても良い。
【0109】
本発明に係る樹脂粒子をポリオレフィン樹脂に混合分散させるためには、例えば、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、押出機等の従来から知られている混合機を使用すれば良く、樹脂粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度のマスターバッチを製造し、このマスターバッチをポリオレフィン樹脂で希釈しフィルム化する方法が、樹脂粒子がより均一に分散するので好ましい。
【0110】
本発明のポリオレフィン系重合体フィルムは、例えば、インフレーション加工、カレンダー加工、Tダイ加工等の従来公知の種々の製法によって得ることができ、単一組成を有する単層フィルムあるいは同種または異種のフィルムと積層した積層フィルムとしても良い。積層フィルムを得る方法としては、それぞれのフィルムを形成後、ドライラミネート法、ヒートラミネート法などにより積層化する方法、予め形成したフィルムに樹脂を押出しラミネートする方法、多層共押出法により積層フィルムを同時に形成する方法などが挙げられる。
【0111】
これらの方法によって得られたフィルムをさらに延伸加工を行い、延伸ポリオレフィンフィルムとすることも可能である。さらに、必要であれば、ポリオレフィン系重合体フィルムの少なくとも片面を、コロナ放電処理しても良い。コロナ放電処理により、耐ブロッキング性、滑り性等の特性が良好なものとなる場合がある。
【0112】
また、用途によって重合用分散安定剤として用いた疎水性無機酸化物が好ましくない場合は除去すればよく、除去する方法としては好ましくは酸洗浄またはアルカリ洗浄処理により容易に溶解でき、除去可能である。例えば、疎水性無機酸化物として疎水性シリカを使用した場合は、重合反応が完結した後の懸濁液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加する、あるいは瀘過又は遠心分離を含むすべての適当な技術により水性媒体から分離した樹脂粒子をアルカリで洗浄する等によって容易に除去される。次いで樹脂粒子をさらに水中で洗浄して残留する水酸化ナトリウム等のアルカリを除去する。これにより、粒子表面に疎水性無機酸化物が固定化されていない樹脂粒子を得ることも可能である。
【0113】
また、例えば、懸濁重合において、重合性単量体として、二重結合基を分子中に複数有する単量体を単独、もしくは50重量%以上用いて得られる樹脂粒子は液晶表示板用スペーサーとして用いることができる。
【0114】
また、上記重合性単量体に着色剤を添加して得られた着色樹脂粒子は、液晶表示板用着色スペーサーとして用いることができる。さらに、カーボンブラックグラフトポリマーを着色剤として用いて得られた着色樹脂粒子は、信頼性の高い液晶表示板用着色スペーサーとして用いることができる。
【0115】
また、例えば、懸濁重合において、ビニル系重合性単量体を単独でまたは2種以上組み合わせて用いて得られる樹脂粒子はタッチパネル用スペーサーとして用いることができる。また、重合性単量体として、二重結合基を分子中に複数個有する単量体を用いても良い。
【0116】
また、例えば、懸濁重合において、ビニル系重合性単量体を単独でまたは2種以上組み合わせて用いて得られる樹脂粒子は導電性粒子の母材として用いることができる。また、重合性単量体として、二重結合基を分子中に複数個有する単量体を用いても良い。
【0117】
また本発明の樹脂粒子の用途としては、上記したもの以外に、例えば、このような樹脂粒子を樹脂組成物中に含有させて、透光性(透明性)樹脂の光拡散剤、艶消し剤といった用途に、また着色剤を含有した態様おける熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の着色剤、被覆組成物、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、さらに着色剤を含有しないあるいは含有する態様におけるクロマトグラフィーのカラム充填剤、静電荷像現像用トナー用添加剤、コールターカウンターの表示粒子、免疫診断薬用担体、化粧品用充填剤、紙処理剤、粉体塗料などの用途に好適に使用可能である。しかし、本発明の樹脂粒子の用途は、勿論、これらに限定されるものではない。
【0118】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。また以下に述べる実施例において記載する「部」は、いずれも重量部を表すものである。
【0119】
実施例1
疎水性シリカ微粉末(アエロジルR976、日本アエロジル(株)製)3部を、メチルアルコール15部およびイオン交換水60部からなる水性媒体中に投入し高剪断力混合装置であるT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により8000rpmで10分間攪拌して、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0120】
そこへ予め調整しておいたスチレン90部、ジビニルベンゼン10部および過酸化ベンゾイル3部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更にイオン交換水300部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により5000rpmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0121】
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、予めベンゼンスルホン酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.3を示す)0.3部を溶解したイオン交換水30部を投入した後、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結することができた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上に残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.1%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(1)を得た。
【0122】
得られた樹脂粒子(1)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は25.2μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.21と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0123】
比較例1
実施例1において、造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤として予めベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部を溶解したイオン交換水30部を投入する代わりに、イオン交換水30部を投入する以外は実施例1と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して8%であった。次いで、実施例1と同様にして比較用樹脂粒子(1)を得た。
【0124】
得られた比較用樹脂粒子(1)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は23.3μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.37と、粒度分布の若干広い樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0125】
実施例2
実施例1における疎水性シリカ微粉末を疎水性シリカ微粉末(アエロジルR972、日本アエロジル(株)製)8部とし、またこれを投入する水性媒体をエチルアルコール50部およびイオン交換水150部からなる水性媒体とした以外は、実施例1と同様にして、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0126】
そこへ予め調整しておいたスチレン80部、ジビニルベンゼン20部および過酸化ベンゾイル2部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更にイオン交換水200部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により10000rpmで20分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0127】
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.7を示す)1部を溶解したイオン交換水30部を投入した後、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結することができた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して1.1%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(2)を得た。
【0128】
得られた樹脂粒子(2)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は5.7μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.40と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0129】
比較例2
実施例2において、造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤として予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を溶解したイオン交換水30部を投入する代わりに、イオン交換水30部を投入する以外は実施例2と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して9%であった。次いで、実施例2と同様にして比較用樹脂粒子(2)を得た。
【0130】
得られた比較用樹脂粒子(2)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は6.1μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.64と、粒度分布の若干広い樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0131】
比較例3
実施例2において、造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤として予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を溶解したイオン交換水30部を投入する代わりに、イオン交換水500部を投入する以外は実施例2と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が僅かに見られ、攪拌速度を上げる必要があった。また、重合体粒子の水に対する比率を低くし、生産効率を下げたにも関わらず、上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して3.9%であった。次いで、実施例2と同様にして比較用樹脂粒子(3)を得た。
【0132】
得られた比較用樹脂粒子(3)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は6.0μmで、微小粒子および粗大粒子が僅かに含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.48と、粒度分布の若干広い樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0133】
実施例3
まず実施例1と同様にして、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0134】
そこへ予め調整しておいたスチレン90部、ジビニルベンゼン10部および過酸化ベンゾイル3部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更に予め硫酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.2を示す)0.5部を溶解したイオン交換水300部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により6000rpmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0135】
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結することができた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュON品は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.2%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(3)を得た。
【0136】
得られた樹脂粒子(3)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は18.4μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.23と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0137】
比較例4
実施例3において、予め硫酸ナトリウム0.5部を溶解したイオン交換水300部を投入する代わりに、重亜硫酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が4.3を示す)0.5部を溶解したイオン交換水300部を投入する以外は実施例3と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を行った。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げたが、均一な懸濁液の状態で反応を完結することができず、全体が凝集した。
【0138】
比較例5
実施例3において、予め硫酸ナトリウム0.5部を溶解したイオン交換水300部を投入する代わりに、亜硫酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が8.7を示す)0.5部を溶解したイオン交換水300部を投入する以外は実施例3と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を行った。重合性単量体組成物の液滴が不安定で、実施例3と同様の液滴が得られず、更に反応途中に重合性単量体組成物が二層分離した。
【0139】
実施例4
実施例1における疎水性シリカ微粉末に代えて疎水性シリカ微粉末(アエロジルR974、日本アエロジル(株)製)3部を用いた以外は、実施例1と同様にして、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0140】
そこへ予め調整しておいたメタクリル酸メチル90部、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン10部、チオサリチル酸1部および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更に予め安息香酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.7を示す)0.3部を溶解したイオン交換水300部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により7000rpmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0141】
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結することができた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.3%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(4)を得た。
【0142】
得られた樹脂粒子(4)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は11.3μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.29と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0143】
比較例6
実施例4において、予め安息香酸ナトリウム0.3部を溶解したイオン交換水300部を投入する代わりに、イオン交換水300部を投入する以外は実施例4と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。 上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して11%であった。次いで、実施例4と同様にして比較用樹脂粒子(6)を得た。
【0144】
得られた比較用樹脂粒子(6)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は10.6μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.45と、粒度分布の若干広い樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0145】
実施例5
疎水性シリカ微粉末(アエロジルR976、日本アエロジル(株)製)5部を、メチルアルコール25部および予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を溶解したイオン交換水100部からなる水性媒体中に投入しT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により8000rpmで10分間攪拌して、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0146】
スチレン 85部
n−ブチルアクリレート 15部
ジビニルベンゼン 0.3部
カーボンブラック 10部
(三菱化学(株)製 MA100)
低分子量ポリスチレン 5部
(三洋化成工業(株)製 ハイマーSB130)
アクリル酸ステアリルポリマー 3部
((株)日本触媒製 ST100)
エポキシ樹脂 6部
(旭チバ(株)製 アラルダイトAER6071)
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部
2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロ二トリル) 2部
上記重合性単量体組成物を、パールミル(アシザワ(株)製)を用いて30℃で、ベッセル内滞留時間30分間混合して、上記顔料が均一分散した重合性単量体組成物分散液を調整した。
【0147】
次いで、前記のように調整した疎水性シリカ水性分散液に、上記により得た重合性単量体組成物分散液およびイオン交換水350部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により10000rpmで20分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結することができた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.7%であった。次いで、予め水酸化ナトリウム25部を溶解したイオン交換水250部を加え疎水性シリカを溶解し、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(5)を得た。
【0148】
得られた樹脂粒子(5)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は7.3μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.17と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0149】
比較例7
実施例5において、疎水性シリカ微粉末(アエロジルR976、日本アエロジル(株)製)5部を、メチルアルコール25部および予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を溶解したイオン交換水100部からなる水性媒体中に投入する代わりに、メチルアルコール25部およびイオン交換水100部からなる水性媒体中に投入する以外は実施例5と同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して13%であった。次いで、実施例5と同様にして比較用樹脂粒子(7)を得た。
【0150】
得られた比較用樹脂粒子(7)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は6.4μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は1.52と、粒度分布の若干広い樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0151】
実施例6
低密度ポリエチレン(メルトフローインデックス(MI)2.0g/10分、密度0.92g/cm3)75重量部に対して、実施例4で得られた樹脂粒子(4)を25重量部配合しバンバリーミキサーにて220℃で練り込みペレット化し無色のペレット(1)を得た。ついで、このペレット(1)1重量部と上記低密度ポリエチレン99部重量部とを混合し押出機にて200℃でシート状にTダイより押し出し、ポリエチレンフィルム(1)を得た。得られたポリエチレンフィルム(1)について、厚さ、濁度、動摩擦係数、ブロッキング強度および引張弾性率を測定した。結果を表1に示す。なお、ブロッキング強度および動摩擦係数はコロナ放電処理面と非処理面についてそれぞれ測定を行った。
【0152】
表1から明らかなように、本発明の樹脂粒子は粒度分布が狭いため、粒度分布が広い樹脂粒子と比べて、少量の添加で良好なフィルムの耐ブロッキング性および滑り性を得ることができる。また、多量の添加を必要としないで耐ブロッキング性効果および滑り性向上効果が発現されるためにフィルムの機械的強度が損なわれることがない。また、添加量が少なく、且つ微小粒子を含まないために透明性に優れている。
【0153】
なお、フィルムの濁度、動摩擦係数、ブロッキング強度および引張弾性率は下記の方法により分析評価した。
【0154】
・濁度
JIS K 6714に準じ、日本電色工業(株)製測色色差計NDH−1001DP(濁度計)を用いて測定した。
【0155】
・動摩擦係数
試料寸法幅50mmのフィルムを2枚重ね荷重200g下において摩擦速度35mm/minでフィルムの一方を滑らせて、抵抗値(g)を測定し下記式より係数を求めた。なお、抵抗値の測定は、東洋精機製滑り試験機を用いた。
動摩擦係数=(チャート目盛り(g))/(200g)
・ブロッキング強度(g/cm2
試料寸法120mm×120mmのフィルムを重ね合わせ73g/ cm2の荷重下で40℃、90%RHの雰囲気中に24時間放置後、試料をブロッキングの面積が12cm2となるように切り出し、オートグラフにて剪断剥離強度(g)を測定し下記式より求めた。
ブロッキング強度=(剪断剥離強度(g))/(12cm2
・引張弾性率(kg/mm2
ASTM D−882に準じて測定した。
【0156】
比較合成例1
ポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)3部を溶解したイオン交換水380部に、予め調整しておいたメタクリル酸メチル90部、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン10部、チオサリチル酸1部および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により6000rpmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0157】
この造粒した重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、予窒素雰囲気下で70℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。上記により得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上残留物は、重合性単量体組成物に対して2.6%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥させることにより比較用樹脂粒子(8)を得た。
【0158】
得られた比較用樹脂粒子(8)の粒子径をコールターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は10.4μmで、微小粒子が多く、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は2.92と、粒度分布の広い樹脂粒子であった。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球状の粒子であった。
【0159】
比較例8
実施例6と同様の低密度ポリエチレン75重量部に対して、比較合成例1で得られた比較用樹脂粒子(8)を25重量部配合しバンバリーミキサーにて220℃で練り込みペレット化し淡黄白色の比較用ペレット(1)を得た。ついで、この比較用ペレット(1)2重量部と上記低密度ポリエチレン98重量部とを混合し押出機にて200℃でシート状にTダイより押し出し、比較用ポリエチレンフィルム(1)を得た。得られた比較用ポリエチレンフィルム(1)について、厚さ、濁度、動摩擦係数、ブロッキング強度および引張弾性率について実施例6と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
Figure 0004398009
【0161】
実施例7
実施例5で得られた樹脂粒子(5)は、粒度分布が狭く、分級操作等により微小粒子および粗大粒子を除去することなくそのままで体積固有抵抗値を、誘電体損測定器(TR−1100型、安藤電気(株)製)を用い温度25℃、周波数1kHzの条件下で測定したところ、その体積固有抵抗は5.2×1010Ω・cmであった。
【0162】
またさらに、この樹脂粒子(5)を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、それぞれの粒子は、完全に黒い球状を示し、粒子内におけるカーボンブラックの偏在は認められなかった。
【0163】
この樹脂粒子(5)30部とスチレンアクリル系樹脂コートフェライトキャリア720部を混合して2成分現像剤とした。レオドライ7610複写機(東芝(株)製)により温度25℃、湿度60%の常温常湿下で画像評価を行ったところ、画像濃度が高く、カブリ、ムラのない解像度の極めて良好な画像が得られた。また連続画像出しにおいても実用上画像の劣化もなく、シャープな高い濃度の画像が得られた。さらに、温度35℃、湿度85%の高温高湿の環境下で同様の画像評価を行ったところ、常温常湿の環境下と同様に良好な画像が得られた。
【0164】
比較例9
比較例7で得られた比較用樹脂粒子(7)は若干粒度分布は広いが、分級操作等により微小粒子および粗大粒子を除去することなくそのままで体積固有抵抗値を、実施例7と同様にして測定したところ、その体積固有抵抗は4.1×1010Ω・cmであった。
【0165】
またさらに、この比較用樹脂粒子(7)を光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、それぞれの粒子は、完全に黒い球状を示し、粒子内におけるカーボンブラックの偏在は認められなかった。
【0166】
この比較用樹脂粒子(7)を用い、実施例7と同様にして画像評価を行ったところ、常温常湿下、高温高湿下ともに、若干解像度の粗い画像となった。
【0167】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、懸濁重合時の重合性単量体組成物液滴の分散安定性を向上させることができ、かつ懸濁重合中における懸濁液の増粘がないため、懸濁液の均一撹拌が容易で、作業性が良好であり、粒径分布が狭く、異形粒子を含まない均一性の高い樹脂粒子を得ることができる。
【0168】
また、得られた樹脂粒子は、粒径分布が狭くかつ形状的にも異形粒子を含まない均質なものであり、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面には分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電荷像現像用トナーとして用いた場合に、画像は安定し、細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れたものとなる。
【0169】
また、粒径分布が狭く、微小粒子を含まないため、ポリオレフィン系重合体に配合してフィルムとした場合に、少量の配合にて、当該ポリオレフィン系フィルムの十分な耐ブロッキング特性ないしは滑り性の向上が期待できるものとなる。

Claims (11)

  1. 疎水性無機酸化物、親水性有機化合物、並びにベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および塩化アンモニウムからなる群から選択される水溶性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組成物を懸濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使用することを特徴とする樹脂粒子重合用分散安定剤。
  2. 前記水溶性中性塩が、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粒子重合用分散安定剤。
  3. 前記水溶性中性塩が、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、および安息香酸ナトリウムからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の樹脂粒子重合用分散安定剤。
  4. 疎水性無機化合物が疎水性シリカであり、親水性有機化合物がアルコール類である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散安定剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散安定剤の存在下で、水性媒体中に分散された重合性単量体を含む単量体組成物を、重合させることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記単量体組成物が重合性単量体と、着色剤、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤および難燃剤からなる群から選ばれた1ないしそれ以上の添加物とを含む組成物であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の製造方法により得られる樹脂粒子。
  8. 請求項7に記載の樹脂粒子を含有してなる樹脂組成物。
  9. 請求項7に記載の樹脂粒子を含有してなる静電荷像現像用トナー。
  10. 請求項7に記載の樹脂粒子をポリオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体組成物。
  11. 請求項7に記載の樹脂粒子をポリオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体フィルム。
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