JP2000355639A - 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法 - Google Patents

分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法

Info

Publication number
JP2000355639A
JP2000355639A JP16820299A JP16820299A JP2000355639A JP 2000355639 A JP2000355639 A JP 2000355639A JP 16820299 A JP16820299 A JP 16820299A JP 16820299 A JP16820299 A JP 16820299A JP 2000355639 A JP2000355639 A JP 2000355639A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin particles
polymerizable monomer
particles
hydrophobic
monomer composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16820299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4398009B2 (ja
Inventor
Nobuaki Urashima
伸晃 浦島
Mamiko Morikawa
真美子 森川
Mitsuo Kushino
光雄 串野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP16820299A priority Critical patent/JP4398009B2/ja
Publication of JP2000355639A publication Critical patent/JP2000355639A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4398009B2 publication Critical patent/JP4398009B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 懸濁重合時の重合性単量体組成物液滴の分散
安定性を向上させることのでき、かつ懸濁液の増粘がな
く作業性が良好となる分散安定剤、およびこれを用いる
ことで、粒径分布が狭く、かつ異形粒子を含まず形状の
良好な樹脂粒子を得ることのできる樹脂粒子の製法を提
供する。 【解決手段】 疎水性無機酸化物、親水性有機化合物お
よび水溶性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組
成物を懸濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使
用することを特徴とする分散安定剤の存在下で、重合性
単量体を含む単量体組成物を分散させ、懸濁重合させる
ことを特徴とする樹脂粒子の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、樹脂粒子重合用
分散安定剤およびこれを用いてなる樹脂粒子の製法に関
する。詳しく述べると本発明は、懸濁重合時における懸
濁液の増粘を抑制することにより、良好な作業性で、均
一な懸濁液を得ることのできる樹脂粒子重合用分散安定
剤、およびこれを用いてなる樹脂粒子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真の現像に用いられるトナ
ーは、一般に熱可塑性樹脂中に着色剤およびその他添加
剤(電荷制御剤、オフセット防止剤、潤滑剤等)を溶融
混合して分散した後、固化物を微粉砕、分級して所望の
粒径の着色粒子として製造してきた。
【0003】しかしながら、上記の粉砕によりトナーを
製造する方法は、種々の欠点、例えば、多くの工程とそ
れに伴う多種の装置が必要でありトナーは必然的に高価
格となる、鮮明でかぶりの少ない画像を形成するための
最適な粒子径範囲のトナーを得るために分級する工程は
必須の要件であるが、生産性かつ収率の上において問題
がある、混練する工程において着色剤やその他の添加剤
が樹脂に均一に分散するのは極めて困難であり、故に得
られるトナーは、着色剤、電荷制御剤等が分散不良のた
めに各粒子の摩擦帯電特性が異なり、解像度の低下につ
ながる等、種々の欠点が存在する。このような問題は今
後、画像の高画質化のための必須条件となるトナーの小
粒子径化に伴なって更に顕著なものとなる。
【0004】このような粉砕法によるトナーにみられる
さまざまの欠点を改良するために、懸濁重合法によるト
ナーの製造方法が提案されている。この方法は、重合性
単量体にカーボンブラック等の着色剤物質、その他の添
加剤を加え懸濁重合せしめて、着色剤物質を含有するト
ナーを一気に合成する方法である。この方法により、従
来の粉砕法の欠点をかなり改善することが可能である。
すなわち、粉砕工程を全く含まないため脆性の改良は必
要ではなく、形状が球形で流動性に優れるために摩擦帯
電性が均一である。
【0005】またポリオレフィンフィルムは、包装材料
として食品を始めとして種々の物品の包装に使用されて
いるが、該フィルムを積層した場合フィルムがお互いに
密着する、いわゆるブロッキングを起こし、包装などの
作業性を著しく低下させるという欠点を有している。従
来、ポリオレフィンフィルム中のブロッキングを防止
し、滑り性を向上させる手段として、微粉末のシリカ、
タルク等の無機物の微粒子をフィルム中に均一に混合す
る方法が一般的に実施されているが、このような無機物
を使用してポリオレフィンフィルムに十分な耐ブロッキ
ング性および滑り性を付与するためには、多量の無機物
を混合する必要があり、また無機物を混合したポリオレ
フィンフィルムを延伸処理する場合、無機物の周囲にボ
イドが発生し、フィルムの透明性および機械的強度の低
下を引き起こすという問題があった。このような観点か
ら、ポリオレフィンフィルム等のフィルム成形品に、ブ
ロッキング防止剤および滑り性向上剤、さらには、透光
性(透明性)樹脂の光拡散剤、艶消し剤といった目的か
ら、樹脂粒子を配合することも検討されている。上記ブ
ロッキング防止剤等のフィルム成形品への添加物として
用いられる樹脂粒子としては、ポリアミドや、トリアジ
ン環を有する縮合型樹脂等が提唱されているが、多量混
合の必要性、配合したフィルムの透明性の低下などの問
題があり、懸濁重合により得られる樹脂粒子の使用も検
討されている。
【0006】さらに、懸濁重合により得られる樹脂粒子
は、液晶表示板用スペーサー、タッチパネル用絶縁スペ
ーサー、エレクトロニクスデバイスにおける導電性粒
子、その他、クロマトグラフィーのカラム充填剤、コー
ルターカウンターの表示粒子、免疫診断薬用担体、化粧
品用充填剤、紙処理剤、着色剤を含有した態様おける熱
可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の着色剤、被覆組成物、
化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤などとして用いら
れている。
【0007】しかしながら、以上のような各種用途に使
用されるこのような懸濁重合法による樹脂粒子の製造に
おいて、単量体組成物の液滴の合一のない安定に懸濁し
た系で重合を行うこと、また、重合によって均一な粒径
分布を有する微細な樹脂粒子を得ることは、技術的に困
難なことである。
【0008】そのため重合性単量体組成物を水系媒体中
で懸濁重合するに際し、重合の進行に伴い重合体粒子の
合一を防止するために分散安定剤を使用することが従来
行われている。
【0009】分散安定剤としては、従来、難溶性の微粉
末状の無機化合物、例えば、BaSO4、CaSO4、M
gCO3、BaCO3、CaCO3、Ca(PO42のよ
うな難溶性塩類;珪藻土、タルク、珪酸、粘土のような
無機高分子、金属酸化物の粉末、あるいはポリビニルア
ルコール、ゼラチン、澱粉などの水溶性高分子が用いら
れている。
【0010】しかしながら、難水溶性の無機物質を用い
る場合、比較的粒径分布が狭くなる可能性があるが、2
〜30μm程度といった所望の粒径を得ようとするとそ
の使用量が比較的多くなってしまい、また分散安定助剤
として用いる界面活性剤(乳化剤)のため、乳化重合の
併発によって生じる微小粒子の発生といった粒径分布制
御上での問題があった。さらに、重合工程後の酸洗、水
洗処理による分散安定剤の除去操作が必要であり、これ
が不十分である場合には電気的特性の低下といった問題
が生じるといった欠点があった。
【0011】また、水溶性高分子を用いた場合には、懸
濁重合によって得られた粒子は、微小粒径のものを多く
含むため、粒径分布が広いものとなってしまい、粒径分
布の狭い樹脂粒子を得るには、複数回の煩雑な分級等の
操作が必要となる。加えて、粒子表面に付着した分散安
定剤の除去が困難であるため、電気的特性が極めて悪く
なる、粒子同士の接着、合一が起こるという欠点があっ
た。
【0012】また特開昭62−266561号公報に
は、重合性単量体を水相中で重合して得られるトナーの
製造方法であって、該水相中にシリカと水溶性無機塩を
含むことを特徴とする重合トナーの製造方法が開示され
ている。同公報によれば、分散安定剤としてシリカを用
いる場合、シリカ単独で加えると水中で一部シリカ間で
凝集が生じ、得られるトナーは粗粉が多いものとなる
が、水溶性無機塩を併用すると、水溶性無機塩が水相中
でイオン解離し、表面に極性基を有しているシリカに対
してイオンが吸着し、シリカ間の水素結合を阻止する働
きをなし、上記したようなシリカの凝集が制御され、そ
の結果、トナーとしては巨大である20μm以上の粒子
の生成が顕著に減少するということである。しかしなが
ら、同公報に開示されるシリカは、すべて親水性シリカ
である。親水性シリカを用いた場合には、最終的に得ら
れる樹脂粒子表面に残存する親水性シリカによって、ト
ナーの耐湿性、帯電安定性などといった特性が損なわれ
てしまう恐れが大きいものであった。
【0013】さらに特開平10−237216号公報に
は、例えば、疎水性シリカ粒子などといった疎水性無機
酸化物を、アルコールなどといった親水性有機化合物の
存在下で水性媒体中に均一分散させ、このような水性分
散体(分散安定剤)中で、重合性単量体組成物を懸濁重
合する樹脂粒子の製造方法が開示されている。同公報に
よれば、疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下
で水性媒体中に均一分散させた水性分散体中で、重合性
単量体組成物を所定粒径に分散、懸濁し、懸濁重合を行
うと重合過程における液滴の合一が実質的に生起せず極
めて粒径分布の狭い樹脂粒子を得ることができ、粒径分
布が狭いため、得られた樹脂粒子を乾燥粒子として取り
出した時の流動性が優れ、粒子の接着、合一がみられ
ず、環境特性が良好で、さらに液中への分散が必要な場
合は、非常に再分散性に優れており、また分級工程が簡
略化でき、且つ歩留まりが高く生産性に優れており、し
かも、このようにして得られた樹脂粒子の表面には分散
安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化物が固
定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条件によ
る電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機
酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負帯電性
のいずれを付与することも可能であるため、静電荷像現
像用トナーとして用いた場合に、極めて狭い粒径分布と
良好な電気的特性に基づき、画像は安定し、細線の再現
性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れた静電
荷像現像用トナー材料として好適に使用できるという特
徴がある。
【0014】しかし、疎水性シリカなどの疎水性無機酸
化物をアルコールなどの親水性有機化合物と共に分散安
定剤として用いて懸濁重合を行った場合、重合途中、特
に重合初期に懸濁液の増粘が見られ、その結果、均一撹
拌が困難である、作業性が悪い等の問題が生じ、改善の
余地があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、新
規な分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法を提
供することを目的とするものである。
【0016】本発明はまた、懸濁重合時の懸濁粒子の安
定性を、懸濁液の増粘させることなく向上させることの
できる分散安定剤、およびそれを用いることで作業性良
く、粒度分布のシャープで形状の優れた樹脂粒子を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
【0017】本発明はさらに、極めて狭い粒径分布と良
好な電気的特性に基づき、画像は安定し、細線の再現性
が良く、カブリがなくなる等の画像特性に優れた負また
は正に帯電した静電荷像現像用トナーとして有用な樹脂
粒子およびこれを用いた静電荷現像用トナーを提供する
ことを目的とする。
【0018】本発明はまた、粒径分布が狭いため、重合
体フィルムのブロッキング防止剤ないしは滑り性向上剤
として有用である樹脂粒子並びにこれを配合してなるポ
リオレフィン系重合体組成物およびポリオレフィン系重
合体フィルムを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、疎水性無機酸化物、親水性有機化合物および水溶
性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組成物を懸
濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使用するこ
とを特徴とする樹脂粒子重合用分散安定剤である。
【0020】本発明はまた、疎水性無機化合物が疎水性
シリカであり、親水性有機化合物がアルコール類である
上記記載の分散安定剤を示すものである。
【0021】前記課題を解決する本発明は、また、上記
記載の分散安定剤の存在下で、水性媒体中に分散された
重合性単量体を含む単量体組成物を、重合させることを
特徴とする樹脂粒子の製造方法である。
【0022】本発明はまた、上記単量体組成物が、重合
性単量体と、着色剤、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白
剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤および難燃剤か
らなる群から選ばれた1ないしそれ以上の添加物とを含
む組成物であることを特徴とする上記記載の樹脂粒子の
製造方法を示すものである。
【0023】本発明はさらに、上記記載の製造方法によ
り得られる樹脂粒子を示すものである。
【0024】本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子を含
有してなる樹脂組成物を示すものである。
【0025】本発明はまた、上記記載の樹脂粒子を含有
してなる静電荷像現像用トナーを示すものである。
【0026】本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子をポ
リオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体組
成物を示すものである。
【0027】本発明はさらに、上記記載の樹脂粒子をポ
リオレフィンに配合してなるポリオレフィン系重合体フ
ィルムを示すものである。
【0028】
【作用】本発明者らは、重合性単量体の水系懸濁重合を
行なう際における重合性単量体組成物の液滴の安定性を
向上させ、粒径分布の狭い樹脂粒子を得ることのできる
分散安定剤として、疎水性シリカ粒子などといった疎水
性無機酸化物を、アルコールなどといった親水性有機化
合物の存在下で水性媒体中に均一分散させたものを用い
る際に、さらに水溶性中性塩を添加することで、懸濁重
合途中における懸濁液の増粘が抑制されることを見い出
し本発明に至ったものである。懸濁重合中における懸濁
液の増粘がないため、懸濁液の均一撹拌が容易で、作業
性が良好であり、粒径分布が狭く、異形粒子を含まない
均一性の高い樹脂粒子を得ることができる。
【0029】また、得られた樹脂粒子は、粒径分布が狭
くかつ形状的にも異形粒子を含まない均質なものであ
り、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面に
は分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化
物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条
件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水
性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負
帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電
荷像現像用トナーとして用いた場合に、画像は安定し、
細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に
優れたものとなる。
【0030】また、粒径分布が狭く、微小粒子を含まな
いため、ポリオレフィン系重合体に配合してフィルムと
した場合に、少量の配合にて、当該ポリオレフィン系フ
ィルムの十分な耐ブロッキング特性ないしは滑り性の向
上が期待できるものとなる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施態様に基づき
より詳細に説明する。
【0032】本発明の重合用無機分散安定剤は、疎水性
無機酸化物、親水性有機化合物および水溶性中性塩を組
み合わせてなり、重合性単量体組成物を懸濁する水性媒
体中にこれらを添加分散させて使用することを特徴とす
るものである。
【0033】疎水性無機酸化物としては、疎水性シリ
カ、疎水性アルミナ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニ
ア、疎水性マグネシア、疎水性酸化亜鉛、疎水性酸化ク
ロム、各種疎水性無機酸化物顔料等が例示できるが、こ
のうち特に好ましくは疎水性シリカである。これらの疎
水性無機酸化物は単独であるいは2種以上併用して用い
ることができる。
【0034】さらに、本発明に係る分散安定剤を用いて
製造される樹脂粒子を静電荷像現像用トナー材料として
用いようとする場合においては、必要とされる帯電性に
応じて疎水性負帯電性シリカ、あるいは疎水性正帯電性
シリカを好ましく用いることができる。
【0035】なお、本明細書において用いられる疎水性
無機酸化物の疎水化度としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、疎水性指数(Mw:メタノールウェ
ッタビリティー)が5以上のものが得られる樹脂粒子に
良好な耐環境性を付与できることからより好ましい。さ
らに樹脂粒子を静電荷現像用トナーとして応用する場合
には帯電安定性の上からも有利である。
【0036】ここで本発明でいう疎水性指数とは、以下
の手順で得られた数値をいう。
【0037】1)試料0.2gを200mlビーカーに
秤取し純水50mlを加える。
【0038】2)電磁攪拌しながら、液面下へメタノー
ルを加える。
【0039】3)液面上に試料が認められなくなった点
を終点とする。
【0040】4)要したメタノール量から次式により疎
水化度を算出する。
【0041】 疎水性指数(%)={x/(50+x)}×100 注) x=メタノール使用量(ml) さらに本発明の重合用無機分散安定剤において用いられ
る疎水性無機酸化物としては、その粒子径が0.001
〜1μm程度、より好ましくは0.005〜0.5μm
程度であることが望ましい。疎水性無機酸化物の粒子径
が0.001μmより小さい、あるいは1μmより大き
いと重合性単量体組成物液滴の水系媒体中における分散
安定性の向上効果がいずれも小さくなるおそれが大きい
ためである。
【0042】なお、懸濁重合に際しての、本発明に係る
分散安定剤における疎水性無機酸化物の重合性単量体組
成物に対する配合量としては、特に限定されるものでは
ないが、最終的な懸濁重合系における使用形態におい
て、疎水性無機酸化物が重合性単量体組成物100重量
部に対し、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5
〜10重量部程度が適当である。すなわち、疎水性無機
酸化物が重合性単量体組成物100重量部に対して0.
1重量部未満であると重合過程における重合性単量体組
成物の液滴の分散安定性が十分なものとならないおそれ
があり、一方、20重量部を越えてもその効果の向上は
望めず経済的でないばかりでなく、得られる樹脂粒子に
固着する疎水性無機酸化物が増えてしまい樹脂粒子の特
性を低下させてしまうおそれがあるためである。
【0043】このような疎水性無機酸化物は、そのまま
では水性媒体中に均一分散させることが困難であるた
め、本発明においては、親水性有機化合物の存在下で疎
水性無機酸化物を水性媒体中に分散させ、均一分散体と
して、懸濁重合における分散安定剤として疎水性無機酸
化物を有効に作用させるものである。
【0044】親水性有機化合物としては、水性媒体中に
疎水性無機酸化物を均一分散化できるものであれば特に
限定されず、各種のものを用いることができるが、望ま
しくは懸濁重合後に得られた樹脂粒子より容易に除去可
能であるものが好ましく、具体的には例えば、メチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、t−ブチルアルコールなどといったアルコール類、
テトラヒドロフランなどといったエーテル・アセタール
類、アセトン、ジアセトンアルコールなどといったケト
ン・アルデヒド類、乳酸メチルなどといったエステル
類、グリセリン、エチレングリコールなどといった多価
アルコール誘導体類、プロピオン酸などといったカルボ
ン酸・無水物類、N,N−ジメチルホルムアミドなどと
いった含窒素化合物類、ジメチルスルホキシドなどとい
った含硫黄化合物類、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノールなどといったフッ素化合物類などが好まし
く例示できるが、特に好ましくは、水性媒体中への疎水
性無機酸化物の均一分散性が優れる、疎水性無機酸化物
が均一分散された水系媒体中において重合性単量体を懸
濁させた際に所望の粒径の液滴(重合性単量体組成物粒
子)に制御しやすい、懸濁重合途中に重合性単量体組成
物への影響が少なく安定に重合が行える、懸濁重合後に
得られる樹脂粒子の物性への影響が少なくかつ容易に除
去可能である等の点からアルコール類、中でもメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
である。
【0045】本発明に係る分散安定剤における親水性有
機化合物の配合量としては、特に限定されるものではな
いが、最終的な懸濁重合系における使用形態において、
疎水性無機酸化物100重量部に対し、1〜3000重
量部、より好ましくは10〜1000重量部程度が適当
である。すなわち、親水性有機化合物の配合量が疎水性
無機酸化物100重量部に対して1重量部未満である
と、懸濁重合系において疎水性無機酸化物が均一分散で
きず、結果的に重合過程における重合性単量体組成物の
液滴の分散安定性が十分なものとならないおそれがあ
り、一方3000重量部を越えても疎水性無機酸化物の
均一分散の向上は望めず経済的でないばかりでなく、重
合性単量体組成物の液滴の形成が不十分であったり、重
合安定性が不十分なものとなる虞れがあるためである。
【0046】さらに本発明に係る分散安定剤において
は、上記したような疎水性無機酸化物および親水性有機
化合物に加え、水溶性中性塩を配合するものである。
【0047】水溶性中性塩としては、試料1gをイオン
交換水1000gに溶解した状態において示すpH値
が、好ましくはpH4.5〜pH8.5、より好ましく
はpH5〜pH8を呈するものであれば特に限定される
ものではないが、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナ
トリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ス
チレンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジニトロベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、スルフ
ァニル酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、チ
オ硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム
などが例示できる。このうち好ましくは、ベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナト
リウム、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナト
リウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどであ
り、特に好ましくは、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、
m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジ
ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンス
ルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムである。
【0048】本発明に係る分散安定剤における水溶性中
性塩の配合量としては、特に限定されるものではない
が、最終的な懸濁重合系における使用形態において、水
溶性中性塩が疎水性無機酸化物100重量部に対し、
0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部
程度が適当である。すなわち、水溶性中性塩の配合量が
疎水性無機酸化物100重量部に対して0.1重量部未
満であると、懸濁重合反応途中における懸濁液の増粘を
十分に抑制できない虞れがあり、一方100重量部を越
えても懸濁液の増粘抑制作用の向上は望めず経済的でな
いばかりでなく、重合安定性が不十分なものとなる虞れ
があるためである。
【0049】なお、本発明に係る樹脂粒子の製法におい
ては、親水性有機化合物の存在下で疎水性無機酸化物を
水性媒体中に分散させ、均一分散体とした後、この均一
分散体中ないしは必要に応じてこの均一分散体にさらに
水系媒体を添加したもの中において、重合性単量体組成
物を懸濁させることが必要である。
【0050】親水性有機化合物の存在下で疎水性無機酸
化物を水性媒体中に分散させ、均一分散体とするための
乳化分散装置としては、特に限定されるものではない
が、例えばT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)
製)などといった高速剪断タービン型分散機、ピストン
型高圧式均質化機(ゴーリン社製)、マイクロフルイダ
イザー(マイクロフルイディックス社製)などといった
高圧ジェットホモジナイザー、超音波ホモジナイザー
((株)日本精機製作所製)などといった超音波式乳化
分散機、アトライター(三井鉱山(株)製)などといっ
た媒体撹拌型分散機、コロイドミル((株)日本精機製
作所製)などといった強制間隙通過型分散機等の乳化分
散装置を用いることにより均一分散処理することが望ま
しい。
【0051】また、本発明の分散安定剤における水溶性
中性塩は、遅くとも重合性単量体組成物の懸濁重合の際
に、水系媒体中に存在していれば良く、(1)上記した
ような疎水性無機酸化物を親水性有機化合物の存在下に
水性媒体中に分散させ、均一分散体とする際に同時に水
溶性中性塩を添加し、その後、この均一分散体中または
この均一分散体にさらに水系媒体を添加したものの中に
重合性単量体組成物を配合し、当該単量体組成物の液滴
形成を行った後重合反応を行う方法、(2)疎水性無機
酸化物を親水性有機化合物の存在下に水性媒体中に分散
させて均一分散体を調製し、この均一分散体中またはこ
の均一分散体にさらに水系媒体を添加したものの中に重
合性単量体組成物を配合し、後述するような液滴形成を
行った後に水溶性中性塩を添加し、重合反応を行う方
法、あるいは(3)疎水性無機酸化物を親水性有機化合
物の存在下に水性媒体中に分散させて均一分散体を調製
し、この均一分散体中またはこの均一分散体にさらに水
系媒体を添加したものの中に水溶性中性塩を添加し、そ
の後重合性単量体組成物を配合し、後述するような液滴
形成を行った後重合反応開始を行う方法など、いずれの
方法によっても良好な結果が得られる。
【0052】本発明の樹脂粒子の製法において、使用さ
れる重合性単量体としては、懸濁重合可能なものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレ
ン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−ク
ロルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステ
アリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル
等のアクリル酸あるいはメタクリル酸系モノマー、さら
には、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、
酢酸ビニル、アクリロニトリルといったその他のビニル
系重合性単量体を単独でまたは2種以上組合せて用いる
ことが可能である。このうち特に、スチレン系モノマ
ー、アクリル酸あるいはメタアクリル酸系モノマー、ま
たはこれらの組合せを用いることが望ましい。
【0053】さらに分子間に架橋構造を有する樹脂粒子
を得ようとする場合、例えば、トリアクリル酸トリメチ
ロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、
ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸
トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレン
グリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコ
ール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリ
コール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル
酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、
テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリ
ル酸フタル酸ジエチレングリコール等の重合性二重結合
基を分子中に複数個有する(メタ)アクリル系モノマ
ー、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの
誘導体等の芳香族ジビニル化合物、N,N−ジビニルア
ニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジ
ビニルスルホン酸等の架橋剤、さらに、ポリブダジエ
ン、ポリイソプレン不飽和ポリエステルおよび特公昭5
7−56,507号公報、特開昭59−221,304
号公報、特開昭59−221,305号公報、特開昭5
9−221,306号公報、特開昭59−221,30
7号公報等に記載される反応性重合体などを使用するこ
とも可能である。
【0054】さらに重合性単量体組成物中に、重合性単
量体組成と同様のものよりなる(共)重合体あるいはそ
の他の(共)重合体、例えば、スチレン系樹脂、スチレ
ン・アクリレート系樹脂、ロジン誘導体、芳香族系石油
樹脂、ピネン系樹脂、エポキシ系樹脂、クマロン系樹脂
などを添加することで粒径分布の均一化を図ることがで
きる。重合体としては特に限定されるものではないが、
例えば重量平均分子量500〜100000程度、より
好ましくは1000〜50000程度が適当である。こ
のような(共)重合体の添加量は重合性単量体100重
量部に対し0〜50重量部程度が適当である。
【0055】さらに重合性単量体組成物中には、必要に
応じて顔料、染料などの着色剤、あるいはその他の添加
剤、例えば磁性粉、オフセット防止剤、電荷制御剤、可
塑剤、重合安定剤、帯電防止剤、難燃剤などを配合ない
し添加することもできる。
【0056】顔料としては、例えば、鉛白、鉛丹、黄
鉛、カーボンブラック、群青、酸化亜鉛、酸化コバル
ト、二酸化チタン、酸化鉄、シリカ、チタン黄、チタン
ブラック等の無機顔料、ネーブルスイエロー、ナフトー
ルイエローS、ハンザーイエロー10G、ベンジジンイ
エローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエロー
レーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレ
ーキ等の黄色顔料、モリブデンオレンジ、パーマネント
オレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレン
ブリリアントオレンジGK等の橙色顔料、パーマネント
レッド4R、リソールレッド、ピラゾロン、レッド4
R、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッド
D、ブリリアントカーミン6B、エオミンレーキ、ロー
ダミンレーキB、アザリンレーキ、ブリリアントカーミ
ンB等の赤色顔料、ファストバイオレットB、メチルバ
イオレットレーキ、ジオキサンバイオレット等の紫色顔
料、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、
フタロシアニンブルー部分塩化物、ファストスカイブル
ー、インダンスブルーBC等の青色顔料、ビグメントグ
リーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエロ
ーグリーンG等の緑色顔料、その他、イソインドリノ
ン、キナクリドン、ペリノン顔料、ペリレン顔料、不溶
性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染色レーキ等の有機顔料が
用いられる。
【0057】また染料としては、例えば、ニトロソ染
料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ジフ
ェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテ
ン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、
ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、イ
ンドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チ
アジン染料、硫化染料等が用いられる。
【0058】また、磁性粉としては、例えば鉄、コバル
ト、ニッケル等の強磁性金属の粉体、マグネタイト、ヘ
マタイト、フェライト等の金属化合物の粉体等が挙げら
れる。なお。これら磁性粉は着色剤としても作用する。
【0059】なお、これらの着色剤及びその他の添加剤
は、重合性単量体への分散性の向上を目的として種々の
方法により表面処理されたものであってもよい。表面処
理方法としては、ステアリン酸、オレイン酸等の長鎖の
炭化水素で処理する方法、アクリル酸、メタクリル酸等
の極性基を有する重合性単量体で処理する方法、トリメ
チロールプロパン等の多価アルコールで処理する方法、
トリエタノールアミン等のアミン類等で処理する方法、
各種カップリング剤で処理する方法、あるいは着色剤ま
たはその他の添加剤とこれらの表面の官能基と反応し得
るアジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアル
キルアミド基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシア
ネート基、ビニル基、ケイ素系加水分解基、アミノ基等
の反応基を有する重合体を20〜350℃の温度で反応
させ、着色剤またはその他の添加剤の表面に重合体をグ
ラフト化する方法などを挙げることができる。特に、例
えば、着色剤としてカーボンブラックを用いた場合は、
特開昭63−270,767号および特開昭63−26
5,913号に記載のカーボンブラックグラフトポリマ
ーが好適である。具体的には次の2種の方法が好まし
い。
【0060】(イ)カーボンブラックの有する官能基と
反応し得る反応性基(X)を有する重合体(P)で、カ
ーボンブラックを表面処理する方法、および(ロ)カー
ボンブラックの存在下で二重結合基1個を有するビニル
系単量体(A)を重合してカーボンブラックを表面処理
する方法。
【0061】最初に、(イ)の方法について説明する。
【0062】カーボンブラックの有する官能基と反応し
得る反応性基(X)としては、カーボンブラックの官能
基と反応し得るものであれば、特に限定はされないが、
エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基およびオキ
サゾリン基などの複素環基;イソシアネート基、N−ヒ
ドロキシアルキルアミド基およびアミノ基などが例示で
きる。中でも、複素環基が好ましく、特に、カーボンブ
ラックの有する官能基との反応性を考慮すると、エポキ
シ基、アジリジン基およびオキサゾリン基が好ましい。
反応性基(X)の数は、カーボンブラックの有する官能
基の数との関係にもよるが、重合体1分子当り平均して
50〜1、好ましくは20〜1程度であることが望まし
い。
【0063】反応性基(X)を有する重合体(P)とし
ては、カーボンブラックの有する官能基と反応し得る反
応性基(X)を備えるものであれば特に限定はされな
い。重合体(P)としては、例えば、ポリシロキサン系
構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエーテル系構
造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン構造、ポリア
ミド系構造、ポリイミド系構造、ポリウレタン系構造お
よびポリスチレン系構造あるいはこれらの共重合体など
が挙げられ、直鎖状、分岐状の構造であってもよい。
【0064】特に、二重結合基を2個以上有するビニル
系単量体(B)への分散性を高くできる点で重合体
(P)は、ビニル系重合体、ビニル系重合体とブロック
またはグラフト型の重合体を形成する共重合体などが好
ましい。ビニル系重合体としては、特に限定されない
が、好ましくはカーボンブラックの有する官能基と反応
し得る反応性基(X)を有するビニル系モノマー単独ま
たは該モノマーと共重合可能なその他のビニル系モノマ
ー(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
エステル類、(メタ)アクリルアミド、スチレン類な
ど)とを(共)重合することによって得られるビニル系
重合体(ポリ(メタ)アクリル系、ポリスチレン系)が
挙げられる。
【0065】また、重合体(P)中に二重結合基を2個
以上有するビニル系単量体(B)と反応し得る反応性基
(Y)を有していると、ビニル系単量体(B)と反応性
基(Y)が反応する結果、得られる粒子中にカーボンブ
ラックが固定化されるため、粒子の強度や硬度がギャッ
プコントロールし易いものになり、顔料やそれに由来す
る不純物のブリードが少なくなって高信頼性の着色スペ
ーサーが得られるため好ましい。
【0066】かかる重合体(P)の分子量は、特に限定
はされないが、カーボンブラックに対する顕著な処理効
果やカーボンブラックの作業性の面からMn=200〜
1x106とするのが好ましく、より好ましくは300
〜1x105、さらに好ましくは1000〜5×104
ある。
【0067】二重結合基を2個以上有するビニル系単量
体(B)と反応し得る反応性基(Y)は、特に限定され
ないが、二重結合基、水酸基、アミノ基、カルボキシル
基およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少
なくとも1種または2種以上のものであることが好まし
く、特に、ビニル系単量体(B)との反応性の点から、
二重結合基が好ましい。また、反応性基(Y)の数は、
特に限定されるものではないが、重合体1分子当り平均
して20〜1が好ましく、さらに10〜1程度有するこ
とが好ましい。
【0068】これらの反応性基(X)を有する重合体
(P)は、対応する単量体から従来公知の方法、例えば
塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合法、溶
液重合法などにより重合できる。また、予め、重合体を
形成したのち反応性基をかかる重合体に導入してもよ
い。
【0069】カーボンブラックとカーボンブラックの有
する官能基と反応し得る反応性基(X)を有する重合体
(P)との処理は、種々の方法で行うことができ、例え
ば、カーボンブラックと重合体(P)とを常温〜350
℃の温度条件下で撹拌混合することにより反応させるこ
とができる。この方法によれば、原料に用いた二次凝集
状態にあるカーボンブラックが撹拌混合して反応する際
に、効率よく解砕されて微細かつ均一な粒子径となり、
しかも反応効率も向上する。
【0070】また、必要により、上記の反応は、分散媒
液の存在下に行うこともできる。使用される分散媒とし
ては、沸点が150℃以下の非極性溶媒が反応性基
(X)と反応しないために好ましい。
【0071】このような分散媒液存在下におけるカーボ
ンブラックと重合体(P)との反応は、例えば、50〜
150℃、好ましくは70〜140℃の温度下に、0.
5〜10時間、好ましくは1〜5時間撹拌混合すること
により行われる。
【0072】カーボンブラックと重合体(P)との割合
は、特に限定されないが、カーボンブラック100重量
部に対して重合体(P)を1〜5000,好ましくは1
〜1000、さらに好ましくは2〜250重量部とする
ことが望ましい。すなわち、重合体(P)の割合が1重
量部未満であると、カーボンブラックの性状、特に表面
性状を十分に改質することが困難となるおそれがあり、
一方、5000重量部を越えると、カーボンブラックに
結合する重合体の割合が多くなり、経済的でないのみな
らず、要求されるカーボンブラックの特性を損なうおそ
れがある。
【0073】次に、(ロ)の方法について説明する。
【0074】二重結合基1個を有するビニル系単量体
(A)としては、特に限定されないが、好ましくは(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メ
タ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類
などが挙げられる。これらビニル系単量体(A)が重合
する際に、重合中の成長末端のラジカルがカーボンブラ
ックのベンゼン環にトラップされて、カーボンブラック
表面にビニル系単量体(A)の重合物がグラフトされ
る。ビニル系単量体(A)には、上記のような反応性基
(X)がなくても前述の機構によりカーボンブラック表
面がビニル系単量体(A)の重合物で処理される。
【0075】カーボンブラックの存在下でビニル系単量
体(A)を重合する方法としては、対応する単量体から
従来公知の方法、例えば塊状重合法、溶液重合法などが
挙げられるが、ビニル系単量体(A)の重合物がカーボ
ンブラック表面に効率よくグラフトされる点で、塊状重
合法、溶液重合法が好ましく、塊状重合法が最も好まし
い。水を用いる懸濁重合法や乳化重合法ではカーボンブ
ラックが水中に存在するためグラフト効率が悪くなる。
例えば、重合は、カーボンブラックとビニル系単量体
(A)とをそのままあるいは溶媒の存在下、重合開始剤
とともに、常温〜350℃、好ましくは50〜200℃
の温度条件下で撹拌、混合することにより行われる。
【0076】この方法により、原料に用いた二次凝集状
態にあるカーボンブラックが撹拌混合して反応する際
に、効率よく解砕されて微細かつ均一な粒子径となる。
【0077】カーボンブラックとビニル系単量体(A)
との割合は、特に限定されないが、カーボンブラック1
00重量部に対してビニル系単量体(A)を1〜500
0、好ましくは10〜5000,さらに好ましくは20
〜5000重量部とすることが望ましい。ビニル系単量
体(A)の割合が1重量部未満であると、カーボンブラ
ックの性状、特に表面性状を十分に改質することが困難
となるおそれがあり、一方、5000重量部を越える
と、重合の発熱を抑制できなくなるとともに、カーボン
ブラックに結合する重合体の割合が多くなり、経済的で
ないのみならず、要求されるカーボンブラックの特性を
損なうおそれがある。
【0078】上記のような(イ)および(ロ)の方法に
より得られる、重合体(P)で表面処理されたカーボン
ブラックはそのまま使用してよいが、カーボンブラック
表面に反応していない重合物を除去する方が望ましい。
【0079】また、カーボンブラック以外の着色剤を用
いる場合も、特開平1−118,573号に記載の方法
により得れる表面処理された着色剤が好適である。
【0080】さらに重合性単量体組成物中に、低分子量
ポリマーを添加することでカーボンブラック等の重合性
単量体への分散性の向上を図ることができる。低分子量
ポリマーとしては特に限定されるものではないが、例え
ば重量平均分子量500〜100000程度、より好ま
しくは1000〜50000程度のスチレン系樹脂、ス
チレン・アクリレート系樹脂、ロジン誘導体、芳香族系
石油樹脂、ピネン系樹脂、エポキシ系樹脂、クマロン系
樹脂などが挙げられる。低分子量ポリマーの添加量はカ
ーボンブラック等の配合量にも左右されるが重合性単量
体100重量部に対し0〜50重量部程度が適当であ
る。
【0081】また、本発明の樹脂粒子の製法により静電
荷像現像用トナー粒子母材を製造しようとする場合に
は、上記したような着色剤および/または磁性粉に加え
てオフセット防止剤を添加することが望まれる。オフセ
ット防止剤としては、特に限定されるものではないが、
環球法軟化点80〜180℃の重合体、例えば、重量平
均分子量1000〜45000、より好ましくは200
0〜6000程度のポリオレフィン、いわゆるポリオレ
フィンワックスが用いられ得る。例えば、ポリオレフィ
ンワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブチレンなどの単独重合体、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペン
テン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重
合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体などのオ
レフィン共重合体、あるいは、オレフィンとその他の単
量体、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニル−n−ブ
チルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエー
テル類、ビニルアセテート、ビニルブチレート等のビニ
ルエステル類、弗化ビニル、弗化ビニリデン、テトラフ
ルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラ
クロロエチレン等のハロオレフィン類、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n
−ブチルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、
t−ブチルアミノエチルメタアクリレート等の(メタ)
アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、N,N−ジ
メチルアクリルアミド等のアクリル酸誘導体、アクリル
酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコ
ン酸等の有機酸類、ジエチルフマレート、β−ピネン等
との共重合体など挙げられる。
【0082】さらにオフセット防止剤としては、上記し
たようなポリオレフィン以外にも、天然あるいは合成の
パラフィンワックス類、特に融点60〜70℃の高融点
パラフィンワックス類、ステアリン酸の亜鉛塩、バリウ
ム塩、鉛塩、コバルト塩、カルシウム塩及びマグネシウ
ム塩及びマグネシウム塩、オレフィン酸の亜鉛塩、マン
ガン塩、鉄塩、鉛塩、並びにパルチミン酸の亜鉛塩、コ
バルト塩、マグネシウム塩などといった脂肪酸金属塩、
特に炭素数17以上の高級脂肪酸塩類、同様にミリシル
アルコールなどの高級アルコール類、ステアリン酸グリ
セリド、パルミチン酸グリセリド等の多価アルコールエ
ステル類、ミリシルステアレート、ミリシルパルミテー
ト等の脂肪酸エステル類、モンタン酸部分ケン化エステ
ル等の肪酸部分ケン化エステル類、ステアリン酸、パル
ミチン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸類、エチレンビス
ステアロイルアミド等の脂肪酸アミド及びこれらの混合
物などが用いられる。
【0083】さらにまた、オフセット防止剤として、特
開昭6−148936号、特開昭6−194874号お
よび特開昭6−194877号などに記載されるような
結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを使用す
ることも可能である。結晶性(メタ)アクリル酸エステ
ル系ポリマーを使用すると、耐オフセット性、離型性、
流動性、帯電立ち上り性等の諸特性の向上が期待でき
る。
【0084】オフセット防止剤として用いられる結晶性
(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーとしては、例え
ば、下記一般式(I)で示される単量体を構成単位とし
て含有する、好ましくは100〜50モル%、より好ま
しくは100〜60モル%、さらに好ましくは100〜
70モル%含有するものが挙げられる。
【0085】
【化1】
【0086】上記一般式(I)で示される単量体として
具体的には、例えば、アクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸ステアリル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル
酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、メタクリル
酸ヘプタデシル、アクリル酸ノナデシル、メタクリル酸
ノナデシル、アクリル酸アラキル、メタクリル酸アラキ
ル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アク
リル酸ペンタシル、メタクリル酸ペンタシル、アクリル
酸ヘプタシル、メタクリル酸ヘプタシル、アクリル酸ノ
ナシル、メタクリル酸ノナシル、アクリル酸ドテリアシ
ル、メタクリル酸ドテリアシル等がある。このうち特に
好ましくは、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニ
ル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸ペンタシル、メ
タクリル酸ペンタシル等である。
【0087】また、このような一般式(I)で示される
単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチ
レン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルス
チレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p
−クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オ
クチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル等の非晶性アクリル酸エステル系または非晶
性メタアクリル酸エステル系モノマー;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル
酸系モノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル
系モノマー;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケト
ン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン系モノマ
ー;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビ
ニル化合物系モノマー;その他、エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの各種ビニ
ル系モノマーなどが挙げられる。
【0088】そして、このような結晶性(メタ)アクリ
ル酸エステル系ポリマーの重量平均分子量としては、3
5000〜500000、より好ましくは35000〜
450000、さらに好ましくは35000〜4000
00程度のものとされる。すなわち、重量平均分子量が
35000未満であると、溶融粘度が低くすぎて、所望
のオフセット防止効果が得られず、またトナー粒子中に
おける結晶性(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの
良好な分散性およびトナーの良好な貯蔵安定性が得られ
ない虞れがあり、一方、重量平均分子量が500000
を越えるものであると、溶融粘度が高すぎて、溶融特性
が低下し、耐オフセット性が発揮できなくなる虞れが大
きいためである。
【0089】さらに、低温定着用トナーを得ようとする
場合には、クマロン樹脂、エポキシ樹脂、低分子量ポリ
スチレンなどを上記したようなオフセット防止剤に代え
てあるいは併用して用いることも望ましい。
【0090】また静電荷像現像用トナーを得ようとする
場合に用いられる電荷制御剤としては、例えば、ニグロ
シン、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルサクシネー
ト、ナフトエ酸のアルキルエステルまたはアルキルアミ
ド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベ
ンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリ
アジン、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。なお、後
述するようにこのような電荷制御剤は、懸濁重合時に添
加するよりも、懸濁重合後に得られた樹脂粒子に対し外
部添加する方が望ましい。
【0091】また重合に用いる重合開始剤としては、通
常懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはア
ゾ系開始剤が利用できる。一例を挙げると、例えば、過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイ
ル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過
酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハ
イドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始
剤、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2´−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、
2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、
2,2´−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニ
トリル)、2,2´−アゾビス(2−イソプロピルブチ
ロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−
1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メト
キシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カル
バモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4´−アゾビ
ス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2´−ア
ゾビスイソブチレート等がある。該重合開始剤は、重合
性単量体に対して、0.01〜20重量%、特に、0.
1〜10重量%使用されるのが好ましい。
【0092】本発明に関わる樹脂粒子の製法は、前記し
たような重合性単量体およびそのほかの各種配合物を含
んでなる重合性単量体組成物を、上記したような本発明
に係る分散安定剤ないしはこれを含む水系媒体中に添加
し、撹拌して所望の粒径の液滴(重合性単量体組成物粒
子)を形成して懸濁重合を行なうものである。なお、上
記したように、本発明に係る分散安定剤の各成分、特に
水溶性中性塩は、遅くとも懸濁重合反応が開始される前
までに懸濁重合系に存在していれば良く、必ずしも各成
分を同時に水系媒体中に配合する必要はない。この懸濁
重合は、液滴の粒子径の規制を行なった後あるいは粒子
径の規制を行ないながら反応を行なうことが好ましい
が、特に粒子径の規制を行なった後に反応を行なうこと
が好ましい。この粒子径の規制は、例えば、所定の成分
を水性媒体に分散させた懸濁液をT.K.ホモミクサー
により撹拌して行なう。あるいはラインミキサー(例え
ばエバラマイルダー)等の高速撹拌機に1回ないし数回
通過させることにより行われる。このようにして、上記
液滴の粒子径が所定の大きさ、例えば0.1〜500μ
m、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは
0.5〜50μm程度のものとする。
【0093】また本発明の樹脂粒子の製法において、懸
濁重合時においては、重合安定性の向上を図るために、
さらに界面活性剤を添加することも可能である。界面活
性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面
活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性
剤のいずれを用いることも可能である。
【0094】アニオン性界面活性剤としては、オレイン
酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫
酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル
硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタ
レンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキル
スルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタ
レンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシ
エチレンアルキル硫酸エステル塩等がある。ノニオン性
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エス
テル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリ
マー等がある。カチオン性界面活性剤としては、ラウリ
ルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等の
アルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムク
ロライド等の第四級アンモニウム塩等がある。両性イオ
ン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサ
イド等がある。
【0095】これらの界面活性剤は、重合性単量体組成
物に対して0〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%
の量で添加可能である。
【0096】また、本発明の樹脂粒子の製法において、
懸濁重合時においては、水相中で併発する乳化重合を防
ぐために、さらに乳化重合禁止剤を添加することも可能
である。乳化重合禁止剤としては、例えばチオシアン酸
アンモニウム、塩化第二銅、酢酸銅、五酸化バナジウ
ム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、二クロム酸カ
リウム、シュウ酸カリウム、クエン酸三ナトリウムとい
った無機水溶性禁止剤、2−メルカプトエタノール、チ
オグリコール酸、システイン、グルタチオン、ジメルカ
プロール、1,4−ジチオスレイトール、ジメルカプト
琥珀酸、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン
酸といった水溶性メルカプタン化合物、エチレンジアミ
ン化合物、水溶性ニグロシン、ホウ水素化物、モノアゾ
染料の金属錯体化合物等がある。また、特開平8−18
3807号に示される、−SH、−S−S−、−COO
H、−NO2および−OHからなる群から選ばれる少な
くとも一種の構造単位を有し、水に対して実質的に不溶
性でかつ重合性単量体に対して難溶性の化合物、あるい
は特開平7−316209号に示される、少なくとも−
NO2、−SO3Naおよび2級アミノ基をそれぞれ一つ
以上有する芳香族化合物を含んでなる乳化重合防止剤等
がある。
【0097】なお、重合温度としては、使用する重合性
単量体の種類等にも左右されるが、10〜90℃、好ま
しくは30〜80℃程度が適当である。
【0098】上記したような本発明の樹脂粒子の製造方
法によって得られる樹脂粒子は、懸濁重合の際に、前記
したような分散安定剤の作用によって懸濁液滴の分散安
定性並びに重合中の粒子の分散安定性が良好に保たれる
ため、異形粒子を含まず良好な球形を呈し、かつ体積平
均粒径が0.1〜500μm、特に0.5〜100μ
m、さらに特に0.5〜50μm程度で粒径分布(体積
平均粒径/個数平均粒径の比)が1.6以下の極めて狭
いものとなる。また、懸濁重合に際しての懸濁液の増粘
が実質的に見られず、懸濁重合における良好な作業性が
確保できるものである。
【0099】本発明の製造方法によって得られる樹脂粒
子は、上記のごとく異形粒子を含まずかつ粒径分布が極
めて狭いため、得られた樹脂粒子を乾燥粒子として取り
出した時の流動性が優れ、粒子の接着、合一がみられ
ず、かつ懸濁重合時に添加された疎水性無機酸化物が樹
脂粒子表面に固定化されることで耐湿性等の環境特性が
良好で、さらに液中への分散が必要な場合は、非常に再
分散性に優れる等、熱的特性、電気的特性、粉体特性と
いった諸物性に優れるものとなることから、各種の用途
において好適に用いられる。また、粒径分布が極めて狭
いため、分級工程が簡略化でき、且つ歩留まりが高く生
産性に優れる。
【0100】例えば、懸濁重合において重合性単量体に
着色剤を添加して得られた着色樹脂粒子は静電荷像現像
用トナーとして用いることができる。
【0101】このような本発明に係る静電荷像現像用ト
ナーは、粒径分布が狭いため、分級工程が簡略化でき、
且つ歩留まりが高く生産性に優れており、しかも、この
ようにして得られた樹脂粒子の表面には分散安定剤の一
成分として用いられた疎水性無機酸化物が固定化されて
いるため得られる樹脂粒子は、環境条件による電気的特
性の変化が少なく、かつ使用する疎水性無機酸化物を選
択することにより正帯電性あるいは負帯電性のいずれを
付与することも可能であるため、静電荷像現像用トナー
として用いた場合に、極めて狭い粒径分布と良好な電気
的特性とに基づき、画像は安定し、細線の再現性が良
く、カブリがなくなる等の画質特性に優れた静電荷像現
像用トナーとして好適に使用できる。
【0102】本発明による静電荷像現像用トナーは、前
記着色樹脂粒子を用いてなるものであるが、該トナーの
帯電性を適正な状態とするためには、その体積平均粒径
を3.5〜20μm、好ましくは4〜15μm、粒径分
布(体積平均粒径/個数平均粒径の比)が1.6以下と
するのが好適である。該着色樹脂粒子はそのまま静電荷
像現像用トナーとすることもできる。
【0103】また、電荷調整のための電荷制御剤や流動
化剤等の通常のトナーに常用させる添加剤が適宜配合さ
れていてもよい。
【0104】電荷制御剤を配合せしめる方法は特に制限
されるものではなく、従来公知のいかなる方法も採用で
きる。例えば、着色剤を分散せしめた重合性単量体を重
合する際に電荷制御剤を予め該単量体内に含ませておく
方法や、本発明の着色樹脂粒子を電荷制御剤で後処理し
て着色樹脂粒子表面に電荷制御剤を付着せしめる方法等
を適宜採用できる。なお、本発明の樹脂粒子の製法にお
いては、前記したように使用した疎水性無機酸化物を選
択することによって、得られる樹脂粒子は正負のいずれ
にも帯電させることが可能であり、また正負のいずれに
も帯電していないものも得ることができるために、荷電
制御剤を使用せずとも、あるいは後者の方法により樹脂
粒子表面に荷電制御剤をさらに外添することで、所望の
帯電特性を有する正もしくは負のいずれの帯電性にも容
易に調整することが可能である。
【0105】また、本発明に係る樹脂粒子は、フィルム
成形品へのブロッキング防止剤、特に、ポリオレフィン
フィルムへのブロッキング防止剤として好適である。本
発明に係るポリオレフィン系重合体組成物は、上記樹脂
粒子をポリオレフィンに配合して成るものである。この
ポリオレフィン系重合体組成物は、この組成物をそのま
ま、あるいはこの組成物にさらにポリオレフィンを配合
して、フィルム状に成形してポリオレフィン系重合体フ
ィルムを得るために使用できる。また本発明に係るポリ
オレフィン系重合体フィルムは、上記樹脂粒子をポリオ
レフィンに配合してなるものである。このように上記樹
脂粒子を配合してなるポリオレフィン系重合体フィルム
は、耐ブロッキング性、滑り性、透明性および機械的強
度等に非常に優れたものとなる。
【0106】本発明の前記ポリオレフィン系重合体組成
物における樹脂粒子の配合量は、ポリオレフィンに対し
て0.001〜40重量%、好ましくは0.005〜3
5重量%程度が適当である。また、前記ポリオレフィン
系重合体フィルムにおける樹脂粒子の配合量は、ポリオ
レフィンに対して0.001〜5重量%、好ましくは
0.005〜3重量%程度が適当である。本発明のポリ
オレフィン系重合体フィルムは、本発明に係る樹脂粒子
が前記したように粒径分布が極めて狭く、均一性が高い
ものであるため、上記のような比較的少量の樹脂粒子の
添加によって良好な耐ブロッキング性および滑り性を得
ることができる。上記のような樹脂粒子の添加量が0.
001重量%よりも少ない場合、フィルムの耐ブロッキ
ング性および滑り性が発現しにくく、また添加量が5重
量%よりも多いと、フィルム強度の低下を引き起こす。
【0107】また、このようなブロッキング防止剤とし
て使用する場合、本発明の樹脂粒子の平均粒子径は、
0.1〜30μm、好ましくは0.3〜25μm、さら
に好ましくは0.5〜20μmであることが望ましい。
平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合、耐ブロッキ
ング効果および滑り性向上効果が十分に発現しないため
に多量の添加を必要としフィルムの機械的強度が損なわ
れる虞れがある。一方、平均粒子径が30μmよりも大
きい場合、フィルムから粒子が脱落し易くなり、機械的
強度の低下を引き起こす虞がある。
【0108】本発明のポリオレフィン系重合体組成物な
いしポリオレフィン系重合体フィルムにおいて使用され
るポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブ
チレン等のα−オレフィンの単独重合体、ランダム共重
合体、ブロック共重合体あるいはこれらの混合物などが
挙げられる。これらのうちエチレンおよび/またはプロ
ピレンを主成分とする重合体が好適に用いられる。また
本発明のポリオレフィン系重合体組成物ないしポリオレ
フィン系重合体フィルムには、前記樹脂粒子の配合によ
る効果に悪影響を及ぼさない範囲で種々の添加剤を配合
することも可能である。これらの添加剤としては、酸化
防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤、難燃剤、帯電防
止剤、着色剤および無機充填剤等が挙げられる。また、
シリカ等の従来用いられているブロッキング防止剤を併
用しても良い。
【0109】本発明に係る樹脂粒子をポリオレフィン樹
脂に混合分散させるためには、例えば、リボンブレンダ
ー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、押出機等
の従来から知られている混合機を使用すれば良く、樹脂
粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃
度のマスターバッチを製造し、このマスターバッチをポ
リオレフィン樹脂で希釈しフィルム化する方法が、樹脂
粒子がより均一に分散するので好ましい。
【0110】本発明のポリオレフィン系重合体フィルム
は、例えば、インフレーション加工、カレンダー加工、
Tダイ加工等の従来公知の種々の製法によって得ること
ができ、単一組成を有する単層フィルムあるいは同種ま
たは異種のフィルムと積層した積層フィルムとしても良
い。積層フィルムを得る方法としては、それぞれのフィ
ルムを形成後、ドライラミネート法、ヒートラミネート
法などにより積層化する方法、予め形成したフィルムに
樹脂を押出しラミネートする方法、多層共押出法により
積層フィルムを同時に形成する方法などが挙げられる。
【0111】これらの方法によって得られたフィルムを
さらに延伸加工を行い、延伸ポリオレフィンフィルムと
することも可能である。さらに、必要であれば、ポリオ
レフィン系重合体フィルムの少なくとも片面を、コロナ
放電処理しても良い。コロナ放電処理により、耐ブロッ
キング性、滑り性等の特性が良好なものとなる場合があ
る。
【0112】また、用途によって重合用分散安定剤とし
て用いた疎水性無機酸化物が好ましくない場合は除去す
ればよく、除去する方法としては好ましくは酸洗浄また
はアルカリ洗浄処理により容易に溶解でき、除去可能で
ある。例えば、疎水性無機酸化物として疎水性シリカを
使用した場合は、重合反応が完結した後の懸濁液に水酸
化ナトリウム等のアルカリを添加する、あるいは瀘過又
は遠心分離を含むすべての適当な技術により水性媒体か
ら分離した樹脂粒子をアルカリで洗浄する等によって容
易に除去される。次いで樹脂粒子をさらに水中で洗浄し
て残留する水酸化ナトリウム等のアルカリを除去する。
これにより、粒子表面に疎水性無機酸化物が固定化され
ていない樹脂粒子を得ることも可能である。
【0113】また、例えば、懸濁重合において、重合性
単量体として、二重結合基を分子中に複数有する単量体
を単独、もしくは50重量%以上用いて得られる樹脂粒
子は液晶表示板用スペーサーとして用いることができ
る。
【0114】また、上記重合性単量体に着色剤を添加し
て得られた着色樹脂粒子は、液晶表示板用着色スペーサ
ーとして用いることができる。さらに、カーボンブラッ
クグラフトポリマーを着色剤として用いて得られた着色
樹脂粒子は、信頼性の高い液晶表示板用着色スペーサー
として用いることができる。
【0115】また、例えば、懸濁重合において、ビニル
系重合性単量体を単独でまたは2種以上組み合わせて用
いて得られる樹脂粒子はタッチパネル用スペーサーとし
て用いることができる。また、重合性単量体として、二
重結合基を分子中に複数個有する単量体を用いても良
い。
【0116】また、例えば、懸濁重合において、ビニル
系重合性単量体を単独でまたは2種以上組み合わせて用
いて得られる樹脂粒子は導電性粒子の母材として用いる
ことができる。また、重合性単量体として、二重結合基
を分子中に複数個有する単量体を用いても良い。
【0117】また本発明の樹脂粒子の用途としては、上
記したもの以外に、例えば、このような樹脂粒子を樹脂
組成物中に含有させて、透光性(透明性)樹脂の光拡散
剤、艶消し剤といった用途に、また着色剤を含有した態
様おける熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の着色剤、被
覆組成物、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、さら
に着色剤を含有しないあるいは含有する態様におけるク
ロマトグラフィーのカラム充填剤、静電荷像現像用トナ
ー用添加剤、コールターカウンターの表示粒子、免疫診
断薬用担体、化粧品用充填剤、紙処理剤、粉体塗料など
の用途に好適に使用可能である。しかし、本発明の樹脂
粒子の用途は、勿論、これらに限定されるものではな
い。
【0118】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するも
のではない。また以下に述べる実施例において記載する
「部」は、いずれも重量部を表すものである。
【0119】実施例1 疎水性シリカ微粉末(アエロジルR976、日本アエロ
ジル(株)製)3部を、メチルアルコール15部および
イオン交換水60部からなる水性媒体中に投入し高剪断
力混合装置であるT.K.ホモミクサー(特殊機化工業
(株)製)により8000rpmで10分間攪拌して、
疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整した。こ
の疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観
察したところ、疎水性シリカが均一に分散されており、
1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0120】そこへ予め調整しておいたスチレン90
部、ジビニルベンゼン10部および過酸化ベンゾイル3
部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更にイオン
交換水300部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー
(特殊機化工業(株)製)により5000rpmで10
分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組成
物粒子)を造粒した。
【0121】この造粒した重合性単量体組成物水分散液
を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が
沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、予めベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水
1000gに溶解した水溶液のpH値が6.3を示す)
0.3部を溶解したイオン交換水30部を投入した後、
窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌
を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液
の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要
もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完
結することができた。上記により得た重合体組成物の水
分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッ
シュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ
上に残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して
0.1%であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄
し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(1)を得
た。
【0122】得られた樹脂粒子(1)の粒子径をコール
ターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μ
m)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は
25.2μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、そ
の粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv
/dp)は1.21と、粒度分布の狭い樹脂粒子であっ
た。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中
の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重
合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含
まない、球状の粒子であった。
【0123】比較例1 実施例1において、造粒した重合性単量体組成物水分散
液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子
が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤
として予めベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部を溶
解したイオン交換水30部を投入する代わりに、イオン
交換水30部を投入する以外は実施例1と同様にして、
重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完
結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度
を上げる必要があり、作業性が悪かった。上記により得
た重合体組成物の水分散液を、常温まで冷却し、200
メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メ
ッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対して8%であ
った。次いで、実施例1と同様にして比較用樹脂粒子
(1)を得た。
【0124】得られた比較用樹脂粒子(1)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー20
0μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(d
v)は23.3μmで、微小粒子および粗大粒子が若干
含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径と
の比、dv/dp)は1.37と、粒度分布の若干広い
樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、
攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、
懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性
単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定
性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合
一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0125】実施例2 実施例1における疎水性シリカ微粉末を疎水性シリカ微
粉末(アエロジルR972、日本アエロジル(株)製)
8部とし、またこれを投入する水性媒体をエチルアルコ
ール50部およびイオン交換水150部からなる水性媒
体とした以外は、実施例1と同様にして、疎水性シリカ
が均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シリ
カ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したとこ
ろ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上
の粗粒子は見られなかった。
【0126】そこへ予め調整しておいたスチレン80
部、ジビニルベンゼン20部および過酸化ベンゾイル2
部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更にイオン
交換水200部を投入し、室温でT.K.ホモミクサー
(特殊機化工業(株)製)により10000rpmで2
0分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴(単量体組
成物粒子)を造粒した。
【0127】この造粒した重合性単量体組成物水分散液
を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が
沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、予めm
−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(試料1gをイ
オン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.
7を示す)1部を溶解したイオン交換水30部を投入し
た後、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時
間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。反応途中、
懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変更する等の調整
の必要もなく、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反
応を完結することができた。上記により得た重合体組成
物の水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、20
0メッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メ
ッシュ上残留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対し
て1.1%であった。次いで、固液分離した後、水で洗
浄し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(2)を
得た。
【0128】得られた樹脂粒子(2)の粒子径をコール
ターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)
を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は5.
7μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度
分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/d
p)は1.40と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。
また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒
子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性
単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まな
い、球状の粒子であった。
【0129】比較例2 実施例2において、造粒した重合性単量体組成物水分散
液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子
が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤
として予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1
部を溶解したイオン交換水30部を投入する代わりに、
イオン交換水30部を投入する以外は実施例2と同様に
して、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反
応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪
拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。上記に
より得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以
下)まで冷却し、200メッシュ金網を通過させたとこ
ろ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体
組成物に対して9%であった。次いで、実施例2と同様
にして比較用樹脂粒子(2)を得た。
【0130】得られた比較用樹脂粒子(2)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50
μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)
は6.1μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含ま
れ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との
比、dv/dp)は1.64と、粒度分布の若干広い樹
脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪
拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸
濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単
量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性
が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一
が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0131】比較例3 実施例2において、造粒した重合性単量体組成物水分散
液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子
が沈降しない程度に全体を攪拌しながら、分散安定助剤
として予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1
部を溶解したイオン交換水30部を投入する代わりに、
イオン交換水500部を投入する以外は実施例2と同様
にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合
反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が僅かに見
られ、攪拌速度を上げる必要があった。また、重合体粒
子の水に対する比率を低くし、生産効率を下げたにも関
わらず、上記により得た重合体組成物の水分散液を、常
温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ金網を通
過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残留物は
重合性単量体組成物に対して3.9%であった。次い
で、実施例2と同様にして比較用樹脂粒子(3)を得
た。
【0132】得られた比較用樹脂粒子(3)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50
μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)
は6.0μmで、微小粒子および粗大粒子が僅かに含ま
れ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との
比、dv/dp)は1.48と、粒度分布の若干広い樹
脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪
拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸
濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単
量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性
が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一
が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0133】実施例3 まず実施例1と同様にして、疎水性シリカが均一分散し
た水性分散液を調整した。この疎水性シリカ分散液を光
学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、疎水性シリ
カが均一に分散されており、1μm以上の粗粒子は見ら
れなかった。
【0134】そこへ予め調整しておいたスチレン90
部、ジビニルベンゼン10部および過酸化ベンゾイル3
部を配合した重合性単量体組成物を仕込み、更に予め硫
酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶
解した水溶液のpH値が6.2を示す)0.5部を溶解
したイオン交換水300部を投入し、室温でT.K.ホ
モミクサー(特殊機化工業(株)製)により6000r
pmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴
(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0135】この造粒した重合性単量体組成物水分散液
を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が
沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、窒素雰
囲気下で75℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続け
て懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘
は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もな
く、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結す
ることができた。上記により得た重合体組成物の水分散
液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ
金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュON
品は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.2%で
あった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥さ
せることにより本発明の樹脂粒子(3)を得た。
【0136】得られた樹脂粒子(3)の粒子径をコール
ターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μ
m)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は
18.4μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、そ
の粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv
/dp)は1.23と、粒度分布の狭い樹脂粒子であっ
た。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中
の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重
合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含
まない、球状の粒子であった。
【0137】比較例4 実施例3において、予め硫酸ナトリウム0.5部を溶解
したイオン交換水300部を投入する代わりに、重亜硫
酸ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶
解した水溶液のpH値が4.3を示す)0.5部を溶解
したイオン交換水300部を投入する以外は実施例3と
同様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁
重合反応を行った。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、
攪拌速度を上げたが、均一な懸濁液の状態で反応を完結
することができず、全体が凝集した。
【0138】比較例5 実施例3において、予め硫酸ナトリウム0.5部を溶解
したイオン交換水300部を投入する代わりに、亜硫酸
ナトリウム(試料1gをイオン交換水1000gに溶解
した水溶液のpH値が8.7を示す)0.5部を溶解し
たイオン交換水300部を投入する以外は実施例3と同
様にして、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重
合反応を行った。重合性単量体組成物の液滴が不安定
で、実施例3と同様の液滴が得られず、更に反応途中に
重合性単量体組成物が二層分離した。
【0139】実施例4 実施例1における疎水性シリカ微粉末に代えて疎水性シ
リカ微粉末(アエロジルR974、日本アエロジル
(株)製)3部を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、疎水性シリカが均一分散した水性分散液を調整し
た。この疎水性シリカ分散液を光学顕微鏡(1000
倍)で観察したところ、疎水性シリカが均一に分散され
ており、1μm以上の粗粒子は見られなかった。
【0140】そこへ予め調整しておいたメタクリル酸メ
チル90部、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン
10部、チオサリチル酸1部および2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル1部を配合した重合性単量体組成物
を仕込み、更に予め安息香酸ナトリウム(試料1gをイ
オン交換水1000gに溶解した水溶液のpH値が6.
7を示す)0.3部を溶解したイオン交換水300部を
投入し、室温でT.K.ホモミクサー(特殊機化工業
(株)製)により7000rpmで10分間攪拌して、
重合性単量体組成物の液滴(単量体組成物粒子)を造粒
した。
【0141】この造粒した重合性単量体組成物水分散液
を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が
沈降しない程度に全体をゆっくり攪拌しながら、窒素雰
囲気下で70℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続け
て懸濁重合反応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘
は見られず、攪拌速度を変更する等の調整の必要もな
く、良好な作業性で均一な懸濁液の状態で反応を完結す
ることができた。上記により得た重合体組成物の水分散
液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メッシュ
金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシュ上残
留物は殆どなく、重合性単量体組成物に対して0.3%
であった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥
させることにより本発明の樹脂粒子(4)を得た。
【0142】得られた樹脂粒子(4)の粒子径をコール
ターカウンター(日科機社製、アパーチャー200μ
m)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は
11.3μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、そ
の粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv
/dp)は1.29と、粒度分布の狭い樹脂粒子であっ
た。また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中
の粒子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重
合性単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含
まない、球状の粒子であった。
【0143】比較例6 実施例4において、予め安息香酸ナトリウム0.3部を
溶解したイオン交換水300部を投入する代わりに、イ
オン交換水300部を投入する以外は実施例4と同様に
して、重合性単量体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反
応を完結させた。反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪
拌速度を上げる必要があり、作業性が悪かった。 上記
により得た重合体組成物の水分散液を、常温まで冷却
し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過性が若
干悪く、メッシュ上残留物は重合性単量体組成物に対し
て11%であった。次いで、実施例4と同様にして比較
用樹脂粒子(6)を得た。
【0144】得られた比較用樹脂粒子(6)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー20
0μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(d
v)は10.6μmで、微小粒子および粗大粒子が若干
含まれ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径と
の比、dv/dp)は1.45と、粒度分布の若干広い
樹脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、
攪拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、
懸濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性
単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定
性が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合
一が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0145】実施例5 疎水性シリカ微粉末(アエロジルR976、日本アエロ
ジル(株)製)5部を、メチルアルコール25部および
予めm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部
を溶解したイオン交換水100部からなる水性媒体中に
投入しT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)
により8000rpmで10分間攪拌して、疎水性シリ
カが均一分散した水性分散液を調整した。この疎水性シ
リカ分散液を光学顕微鏡(1000倍)で観察したとこ
ろ、疎水性シリカが均一に分散されており、1μm以上
の粗粒子は見られなかった。
【0146】 スチレン 85部 n−ブチルアクリレート 15部 ジビニルベンゼン 0.3部 カーボンブラック 10部 (三菱化学(株)製 MA100) 低分子量ポリスチレン 5部 (三洋化成工業(株)製 ハイマーSB130) アクリル酸ステアリルポリマー 3部 ((株)日本触媒製 ST100) エポキシ樹脂 6部 (旭チバ(株)製 アラルダイトAER6071) 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部 2,2’−アゾビス (2,4−ジメチルバレロ二トリル) 2部 上記重合性単量体組成物を、パールミル(アシザワ
(株)製)を用いて30℃で、ベッセル内滞留時間30
分間混合して、上記顔料が均一分散した重合性単量体組
成物分散液を調整した。
【0147】次いで、前記のように調整した疎水性シリ
カ水性分散液に、上記により得た重合性単量体組成物分
散液およびイオン交換水350部を投入し、室温でT.
K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)により10
000rpmで20分間攪拌して、重合性単量体組成物
の液滴(単量体組成物粒子)を造粒した。この造粒した
重合性単量体組成物水分散液を攪拌翼を装着した反応器
に入れ、単量体組成物粒子が沈降しない程度に全体をゆ
っくり攪拌しながら、窒素雰囲気下で75℃に加熱し、
この温度で6時間攪拌を続けて懸濁重合反応を完結させ
た。反応途中、懸濁液の増粘は見られず、攪拌速度を変
更する等の調整の必要もなく、良好な作業性で均一な懸
濁液の状態で反応を完結することができた。上記により
得た重合体組成物の水分散液を、常温(40℃以下)ま
で冷却し、200メッシュ金網を通過させたところ濾過
性は良好で、メッシュ上残留物は殆どなく、重合性単量
体組成物に対して0.7%であった。次いで、予め水酸
化ナトリウム25部を溶解したイオン交換水250部を
加え疎水性シリカを溶解し、固液分離した後、水で洗浄
し、乾燥させることにより本発明の樹脂粒子(5)を得
た。
【0148】得られた樹脂粒子(5)の粒子径をコール
ターカウンター(日科機社製、アパーチャー50μm)
を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)は7.
3μmで、微小粒子および粗大粒子が少なく、その粒度
分布(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/d
p)は1.17と、粒度分布の狭い樹脂粒子であった。
また、重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒
子の分散安定性が優れることにより、重合途中に重合性
単量体組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まな
い、球状の粒子であった。
【0149】比較例7 実施例5において、疎水性シリカ微粉末(アエロジルR
976、日本アエロジル(株)製)5部を、メチルアル
コール25部および予めm−ニトロベンゼンスルホン酸
ナトリウム1.0部を溶解したイオン交換水100部か
らなる水性媒体中に投入する代わりに、メチルアルコー
ル25部およびイオン交換水100部からなる水性媒体
中に投入する以外は実施例5と同様にして、重合性単量
体組成物の液滴を造粒し、懸濁重合反応を完結させた。
反応途中、懸濁液の増粘が見られ、攪拌速度を上げる必
要があり、作業性が悪かった。上記により得た重合体組
成物の水分散液を、常温まで冷却し、200メッシュ金
網を通過させたところ濾過性が若干悪く、メッシュ上残
留物は重合性単量体組成物に対して13%であった。次
いで、実施例5と同様にして比較用樹脂粒子(7)を得
た。
【0150】得られた比較用樹脂粒子(7)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー50
μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(dv)
は6.4μmで、微小粒子および粗大粒子が若干含ま
れ、その粒度分布(体積平均粒径と個数平均粒径との
比、dv/dp)は1.52と、粒度分布の若干広い樹
脂粒子であった。また、反応途中に見られた増粘は、攪
拌速度を上げることによって機械的な負荷がかかり、懸
濁液の粘度が低くなり、均一性が向上したが、重合性単
量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分散安定性
が若干劣ることとなり、重合性単量体組成物液滴の合一
が生じたと考えられ、異形粒子が一部含まれていた。
【0151】実施例6 低定密度ポリエチレン(メルトフローインデックス(M
I)2.0g/10分、密度0.92g/cm3)75
重量部に対して、実施例4で得られた樹脂粒子(4)を
25重量部配合しバンバリーミキサーにて220℃で練
り込みペレット化し無色のペレット(1)を得た。つい
で、このペレット(1)1重量部と上記低密度ポリエチ
レン99部重量部とを混合し押出機にて200℃でシー
ト状にTダイより押し出し、ポリエチレンフィルム
(1)を得た。得られたポリエチレンフィルム(1)に
ついて、厚さ、濁度、動摩擦係数、ブロッキング強度お
よび引張弾性率を測定した。結果を表1に示す。なお、
ブロッキング強度および動摩擦係数はコロナ放電処理面
と非処理面についてそれぞれ測定を行った。
【0152】表1から明らかなように、本発明の樹脂粒
子は粒度分布が狭いため、粒度分布が広い樹脂粒子と比
べて、少量の添加で良好なフィルムの耐ブロッキング性
および滑り性を得ることができる。また、多量の添加を
必要としないで耐ブロッキング性効果および滑り性向上
効果が発現されるためにフィルムの機械的強度が損なわ
れることがない。また、添加量が少なく、且つ微小粒子
を含まないために透明性に優れている。
【0153】なお、フィルムの濁度、動摩擦係数、ブロ
ッキング強度および引張弾性率は下記の方法により分析
評価した。
【0154】・濁度 JIS K 6714に準じ、日本電色工業(株)製測
色色差計NDH−1001DP(濁度計)を用いて測定
した。
【0155】・動摩擦係数 試料寸法幅50mmのフィルムを2枚重ね荷重200g
下において摩擦速度35mm/minでフィルムの一方
を滑らせて、抵抗値(g)を測定し下記式より係数を求
めた。なお、抵抗値の測定は、東洋精機製滑り試験機を
用いた。 動摩擦係数=(チャート目盛り(g))/(200g) ・ブロッキング強度(g/cm2) 試料寸法120mm×120mmのフィルムを重ね合わ
せ73g/ cm2の荷重下で40℃、90%RHの雰
囲気中に24時間放置後、試料をブロッキングの面積が
12cm2となるように切り出し、オートグラフにて剪
断剥離強度(g)を測定し下記式より求めた。 ブロッキング強度=(剪断剥離強度(g))/(12c
2) ・引張弾性率(kg/mm2) ASTM D−882に準じて測定した。
【0156】比較合成例1 ポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ
製)3部を溶解したイオン交換水380部に、予め調整
しておいたメタクリル酸メチル90部、トリメタクリル
酸トリメチロールプロパン10部、チオサリチル酸1部
および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を配
合した重合性単量体組成物を仕込み、室温でT.K.ホ
モミクサー(特殊機化工業(株)製)により6000r
pmで10分間攪拌して、重合性単量体組成物の液滴
(単量体組成物粒子)を造粒した。
【0157】この造粒した重合性単量体組成物水分散液
を攪拌翼を装着した反応器に入れ、単量体組成物粒子が
沈降しない程度に全体を攪拌しながら、予窒素雰囲気下
で70℃に加熱し、この温度で6時間攪拌を続けて懸濁
重合反応を完結させた。上記により得た重合体組成物の
水分散液を、常温(40℃以下)まで冷却し、200メ
ッシュ金網を通過させたところ濾過性は良好で、メッシ
ュ上残留物は、重合性単量体組成物に対して2.6%で
あった。次いで、固液分離した後、水で洗浄し、乾燥さ
せることにより比較用樹脂粒子(8)を得た。
【0158】得られた比較用樹脂粒子(8)の粒子径を
コールターカウンター(日科機社製、アパーチャー20
0μm)を用いて測定したところ、体積平均粒径(d
v)は10.4μmで、微小粒子が多く、その粒度分布
(体積平均粒径と個数平均粒径との比、dv/dp)は
2.92と、粒度分布の広い樹脂粒子であった。また、
重合性単量体液滴の分散安定性並びに重合中の粒子の分
散安定性が優れることにより、重合途中に重合性単量体
組成物の合一により生じる異形粒子を殆ど含まない、球
状の粒子であった。
【0159】比較例8 実施例6と同様の低定密度ポリエチレン75重量部に対
して、比較合成例1で得られた比較用樹脂粒子(8)を
25重量部配合しバンバリーミキサーにて220℃で練
り込みペレット化し淡黄白色の比較用ペレット(1)を
得た。ついで、この比較用ペレット(1)2重量部と上
記低密度ポリエチレン98重量部とを混合し押出機にて
200℃でシート状にTダイより押し出し、比較用ポリ
エチレンフィルム(1)を得た。得られた比較用ポリエ
チレンフィルム(1)について、厚さ、濁度、動摩擦係
数、ブロッキング強度および引張弾性率について実施例
6と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
【0161】実施例7 実施例5で得られた樹脂粒子(5)は、粒度分布が狭
く、分級操作等により微小粒子および粗大粒子を除去す
ることなくそのままで体積固有抵抗値を、誘電体損測定
器(TR−1100型、安藤電気(株)製)を用い温度
25℃、周波数1kHzの条件下で測定したところ、そ
の体積固有抵抗は5.2×1010Ω・cmであった。
【0162】またさらに、この樹脂粒子(5)を光学顕
微鏡(1000倍)で観察したところ、それぞれの粒子
は、完全に黒い球状を示し、粒子内におけるカーボンブ
ラックの偏在は認められなかった。
【0163】この樹脂粒子(5)30部とスチレンアク
リル系樹脂コートフェライトキャリア720部を混合し
て2成分現像剤とした。レオドライ7610複写機(東
芝(株)製)により温度25℃、湿度60%の常温常湿
下で画像評価を行ったところ、画像濃度が高く、カブ
リ、ムラのない解像度の極めて良好な画像が得られた。
また連続画像出しにおいても実用上画像の劣化もなく、
シャープな高い濃度の画像が得られた。さらに、温度3
5℃、湿度85%の高温高湿の環境下で同様の画像評価
を行ったところ、常温常湿の環境下と同様に良好な画像
が得られた。
【0164】比較例9 比較例7で得られた比較用樹脂粒子(7)は若干粒度分
布は広いが、分級操作等により微小粒子および粗大粒子
を除去することなくそのままで体積固有抵抗値を、実施
例7と同様にして測定したところ、その体積固有抵抗は
4.1×1010Ω・cmであった。
【0165】またさらに、この比較用樹脂粒子(7)を
光学顕微鏡(1000倍)で観察したところ、それぞれ
の粒子は、完全に黒い球状を示し、粒子内におけるカー
ボンブラックの偏在は認められなかった。
【0166】この比較用樹脂粒子(7)を用い、実施例
7と同様にして画像評価を行ったところ、常温常湿下、
高温高湿下ともに、若干解像度の粗い画像となった。
【0167】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、懸
濁重合時の重合性単量体組成物液滴の分散安定性を向上
させることができ、かつ懸濁重合中における懸濁液の増
粘がないため、懸濁液の均一撹拌が容易で、作業性が良
好であり、粒径分布が狭く、異形粒子を含まない均一性
の高い樹脂粒子を得ることができる。
【0168】また、得られた樹脂粒子は、粒径分布が狭
くかつ形状的にも異形粒子を含まない均質なものであ
り、しかも、このようにして得られた樹脂粒子の表面に
は分散安定剤の一成分として用いられた疎水性無機酸化
物が固定化されているため得られる樹脂粒子は、環境条
件による電気的特性の変化が少なく、かつ使用する疎水
性無機酸化物を選択することにより正帯電性あるいは負
帯電性のいずれを付与することも可能であるため、静電
荷像現像用トナーとして用いた場合に、画像は安定し、
細線の再現性が良く、カブリがなくなる等の画像特性に
優れたものとなる。
【0169】また、粒径分布が狭く、微小粒子を含まな
いため、ポリオレフィン系重合体に配合してフィルムと
した場合に、少量の配合にて、当該ポリオレフィン系フ
ィルムの十分な耐ブロッキング特性ないしは滑り性の向
上が期待できるものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/00 C08K 9/00 G03G 9/087 G03G 9/08 384 (72)発明者 串野 光雄 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB06 CA03 CA30 CB13 4F071 AA01 AA14 AA18 AA82 AA88 AD02 AE11 AH04 AH16 AH19 BA01 BB06 BC01 4J002 BB031 BB051 BB052 BB121 BB141 BB142 BB151 BB171 BC032 BC042 BC082 BC092 BG042 BG052 BP011 DA036 DA087 DE117 FD020 FD050 FD096 FD100 FD130 FD200 FD207 4J011 AA01 JA02 JA10 JA11 JA12 PA02 PA03 PA07 PA22 PB23 PB25 PB26 PB29 PB40

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性無機酸化物、親水性有機化合物お
    よび水溶性中性塩を組み合わせてなり、重合性単量体組
    成物を懸濁する水性媒体中にこれらを添加分散させて使
    用することを特徴とする樹脂粒子重合用分散安定剤。
  2. 【請求項2】 疎水性無機化合物が疎水性シリカであ
    り、親水性有機化合物がアルコール類である請求項1に
    記載の分散安定剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の分散安定剤の存在下
    で、水性媒体中に分散された重合性単量体を含む単量体
    組成物を、重合させることを特徴とする樹脂粒子の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記単量体組成物が重合性単量体と、着
    色剤、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外
    線吸収剤、帯電防止剤および難燃剤からなる群から選ば
    れた1ないしそれ以上の添加物とを含む組成物であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の樹脂粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の製造方法によ
    り得られる樹脂粒子。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の樹脂粒子を含有してな
    る樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の樹脂粒子を含有してな
    る静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の樹脂粒子をポリオレフ
    ィンに配合してなるポリオレフィン系重合体組成物。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の樹脂粒子をポリオレフ
    ィンに配合してなるポリオレフィン系重合体フィルム。
JP16820299A 1999-06-15 1999-06-15 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法 Expired - Lifetime JP4398009B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16820299A JP4398009B2 (ja) 1999-06-15 1999-06-15 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16820299A JP4398009B2 (ja) 1999-06-15 1999-06-15 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000355639A true JP2000355639A (ja) 2000-12-26
JP4398009B2 JP4398009B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=15863691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16820299A Expired - Lifetime JP4398009B2 (ja) 1999-06-15 1999-06-15 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4398009B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011062173A1 (ja) 2009-11-18 2011-05-26 綜研化学株式会社 樹脂粒子およびその製造方法
US9951201B2 (en) 2011-12-16 2018-04-24 Soken Chemical & Engineering Co., Ltd. Resin particle assemblage, method for producing the same, and method for controlling particle size in resin particle assemblage
JP2019132993A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 株式会社沖データ トナー、トナー収納器、現像ユニットおよび画像形成装置
US10876010B2 (en) 2013-11-13 2020-12-29 Sekisui Kasei Co., Ltd. Composite particles, method for producing composite particles, and use thereof
CN115073629A (zh) * 2021-03-15 2022-09-20 中国石油天然气股份有限公司 负载型茂金属催化剂体系及其制备方法与应用

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011062173A1 (ja) 2009-11-18 2011-05-26 綜研化学株式会社 樹脂粒子およびその製造方法
CN102597012A (zh) * 2009-11-18 2012-07-18 综研化学株式会社 树脂粒子及其制造方法
EP2502940A4 (en) * 2009-11-18 2013-05-29 Soken Kagaku Kk RESIN PARTICLES AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
CN102597012B (zh) * 2009-11-18 2015-09-23 综研化学株式会社 树脂粒子及其制造方法
US9951201B2 (en) 2011-12-16 2018-04-24 Soken Chemical & Engineering Co., Ltd. Resin particle assemblage, method for producing the same, and method for controlling particle size in resin particle assemblage
US10876010B2 (en) 2013-11-13 2020-12-29 Sekisui Kasei Co., Ltd. Composite particles, method for producing composite particles, and use thereof
JP2019132993A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 株式会社沖データ トナー、トナー収納器、現像ユニットおよび画像形成装置
CN115073629A (zh) * 2021-03-15 2022-09-20 中国石油天然气股份有限公司 负载型茂金属催化剂体系及其制备方法与应用
CN115073629B (zh) * 2021-03-15 2023-09-26 中国石油天然气股份有限公司 负载型茂金属催化剂体系及其制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4398009B2 (ja) 2010-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4263780B2 (ja) 無機分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法
JP5949698B2 (ja) 有機樹脂粒子の製造方法
JP2761188B2 (ja) 乳化重合防止剤およびこれを用いた懸濁重合法
US7186494B2 (en) Toner processes
JP2749234B2 (ja) 重合トナーおよびその製造方法
WO1997007431A1 (fr) Resine de liaison pour toners et toners pour developpement de charges electrostatiques prepares a partir ces resines
JP4398009B2 (ja) 分散安定剤およびそれを用いた樹脂粒子の製法
JP4704317B2 (ja) 樹脂粒子の製造方法
JPWO2010098021A1 (ja) トナー用離型剤及びトナー
JP6530594B2 (ja) コアシェル粒子の製造方法
JP7370227B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP3556000B2 (ja) 樹脂粒子、その製造方法および用途
JP2627085B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP3816009B2 (ja) 着色樹脂粒子の製造方法
JP3054221B2 (ja) 着色微粒子の製造方法
JP2898715B2 (ja) 着色微粒子の製造法およびそれを用いてなる電子写真用トナー
JP2003316069A (ja) 重合法トナーおよびその製造方法
JP2744335B2 (ja) トナーの製造方法
KR100852785B1 (ko) 토너 및 그 제조방법
JP2010078995A (ja) 静電荷像現像用トナー
JPH10324704A (ja) 樹脂粒子およびその用途
JP2008170538A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2859638B2 (ja) カラートナー粒子の製造方法
JP2629093B2 (ja) 着色微粒子の製造方法およびそれを用いてなる電子写真用トナー
JPH03209267A (ja) 着色微粒子およびこれを用いた静電荷像現像用トナー

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040701

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050426

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080924

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090810

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090929

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091022

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4398009

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term