JP3815819B2 - スプリング構体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はマットレスなどに用いられるスプリング構体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にマットレスは、多数のコイルスプリングを行列状に配置し、隣り合うコイルスプリングの上下端面部をそれぞれヘリカル線によって結合して形成された矩形状のスプリング構体を有する。
【0003】
上記スプリング構体の上下面の少なくとも上面にはシ−ト状の弾性材を積層し、その積層体を袋状に縫製された布製の外装体によって被覆することで上記マットレスが構成される。上記スプリング構体の上下面周縁部には、コイルスプリングの連結度合が少ない、周辺部のコイルスプリングを補強したり、マットレスの外形状を維持するなどのために、硬い材料によって形成された枠線を設けるようにしている。
【0004】
このように構成されたマットレスは、ベッドの基体に設けられた床板上に載置して用いられる。ベッドには、病人や老人などのように自力で起き上がることが困難な人が利用する、いわゆる起床式ベッドがある。
【0005】
起床式ベッドは床板が複数の床部に分割され、各床部のうち、利用者の背部に対応する床部、つまり背上げ床部は回動自在に設けられている。この背上げ床部は駆動装置によって起伏駆動される。従って、上記床板上にマットレスを介して仰臥した利用者は、背上げ床部が起上方向に駆動されることで、上半身が起こされるようになっている。
【0006】
このような起床式ベッドに用いられるマットレスは、上記床板の背上げ床部の起上に応じて屈曲する構成でなければならない。しかしながら、上述したようにスプリング構体は、矩形状に配置されたコイルスプリングの隣り合う端面部がヘリカル線によって結合されている。
【0007】
したがって、利用者の上半身を起すために背上げ床部を起上方向に駆動すると、それにともなって屈曲されるマットレスのスプリング構体には、厚さ方向下面側に大きな張力が生じる。上記スプリング構体は、長手方向において、隣り合うコイルスプリングの端面がヘリカル線によって結合されているから、上記引張力に対して大きな抗力を発生する。そのため、背上げ床部を起上させても、上記スプリング構体、つまりマットレスが円滑に屈曲されないということがある。
【0008】
そこで、本件出願人は特願平5−88522号に示すマットレス装置を提供した。このマットレス装置は、コイルスプリングを矩形状に配置し、これらコイルスプリングの隣り合う端面部をヘリカル線によって結合するとともに、スプリングユニット(スプリング構体)の下面側におけるコイルスプリングの端面部の、上記スプリングユニットの長手方向に沿う上記ヘリカル線による結合を解除し、屈曲されたときにスプリングユニットの下面側に引張力が発生しないようにしている。
【0009】
このような構成によれば、背上げ床部を起上させたときに、上記マットレスを円滑に屈曲させることが可能となる。しかしながら、スプリングユニットを構成するコイルスプリングの下側の端面部の結合状態が解除されていると、スプリングユニットを屈曲したり、伸展させるときなどに、結合状態が解除された隣り合うコイルスプリングの端面がぶつかり合って騒音を発生し、利用者に不快感を与えるということがあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のスプリング構体は、屈曲し易いようにするために、隣り合うコイルスプリングの端面部のヘリカル線による結合状態を解除しているが、結合状態が解除されたスプリング構体を屈曲させたり、伸展させたりすると、隣り合うコイルスプリングの端面がぶつかり合って騒音を発生させるということがあった。
【0011】
この発明は上記事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、隣り合うコイルスプリングの端面部の結合状態を解除して屈曲し易くするとともに、屈曲させたり、伸展させても、隣り合うコイルスプリングの端面がぶつかり合って騒音を発生することがないようにしたスプリング構体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載された発明は、ばね部の両端に端面部を有する多数のコイルスプリングを行列状に配置し、隣り合うコイルスプリングの端面部を連結部材で結合してスプリング構体を形成するとともに、このスプリング構体の長手方向中途部には、上記コイルスプリングの一方の端面部の上記連結部材による上記スプリング構体の長手方向の結合状態を解除した解除部が形成され、この解除部のコイルスプリングの一方の端面部には、スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの一方の端面部に装着されて緩衝部材が設けられてなるスプリング構体において、上記緩衝部材は、上記スプリング構体の幅方向の長さと略同じ長さで上記スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部を支持する帯状部と、この帯状部の幅方向一端側と上記スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部の幅方向一端側、及び、この帯状部の幅方向他端側と上記スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部の幅方向他端側のそれぞれに上面に向かって略U字状に曲成された第1の係合部と第2の係合部とが合成樹脂によって一体形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項1の発明によれば、結合状態が解除されたコイルスプリングの一方の端面に緩衝部材が装着されたことで、隣り合うコイルスプリングの一方の端面が互いにぶつかり合って騒音を発生することが防止される。
【0014】
【実施形態】
以下この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図8はこの発明の第1の実施形態を示し、図8は起床式ベッド1を示している。この起床式ベッド1は、矩形枠状に形成され、長手方向一端にヘッドボ−ド2a、他端にフットボ−ド2bが設けられた基体2を備えている。この基体2の下面四隅部には、基体2を走行自在に支持したストッパ付きのキャスタ3が設けられ、上面には長手方向に対して複数に分割された床板4が設けられている。この例では、上記床板4は第1乃至第4の4つの床板部4a〜4dに分割されている。
【0015】
床板4の、上記ヘッドボ−ド2a側から2枚目の第2の床板部4bは基体2の幅方向に架設された2本の横桟5のうちの一方に固定されている。この床板部4bの両端には第1の床板部4aと第3の床板部4cとがすう着され、この第3の床板部4cには第4の床板部4dがすう着されている。
【0016】
上記一対の横桟5には、その長手方向に所定間隔で離間したそれぞれ−対のア−ム6(一方のみ図示)の一端が固着されている。各横桟5の−対のア−ム6には第1の軸7と第2の軸8とが回転自在に支持されている。ヘッドボ−ド2a側に位置する第1の軸7には第1のレバ−9の一端が固着され、第2の軸8には第2のレバ−11の一端が固着されている。各レバ−9、11の他端にはロ−ラ12が回転自在に設けられている。
【0017】
第1のレバ−9に設けられたロ−ラ12は第1の床板部4aの下面に設けられた第1の斜面13に転接し、第2のレバ−11に設けられたロ−ラ12は第3の床板部4cの下面に設けられた第2の斜面14に転接している。さらに、第4の床板部4dの下面には第3のレバ−15の一端がすう着されている。この第3のレバ−15の他端は上記基体2にすう着されている。
【0018】
上記基体2の下面側には鎖線で示す駆動装置16が設けられている。この駆動装置16は、上記第1の軸7と第2の軸8とを回転駆動する。第1の軸7が矢印で示す時計方向に駆動されれば、それに連動する第1のレバ−9によって床板4の第1の床板部4aが起立方向に駆動され、第2の軸8が矢印で示す反時計方向に駆動されれば、それに連動する第2のレバ−11によって第3の床板部4cが起立方向に駆動される。この第3の床板部4cに連動して第4の床板部4dも起立方向に駆動され、第3の床板部4cとでほぼ山形状をなすよう、上記第3のレバ−15によって保持されている。
【0019】
このような構成の起床式ベッド1の床板4上にはこの発明に係わるスプリング構体21が用いられたマットレス20が載置される。このマットレス20は、図4乃至図6に示すように平面形状が矩形状をなした、上記スプリング構体21を備えている。このスプリング構体21は第1のコイルスプリング31と第2のコイルスプリング32とから構成されている。第1のコイルスプリング31は図1に示すようにコイル部31aの上下に形成された端面部31b、31cが同径の鼓型コイルスプリングで、第2のコイルスプリング32は図1と図7に示すようにコイル部32aの下端に形成された下端面部32cが上端面部32bよりも小径に形成された異径コイルスプリングである。
【0020】
上記スプリング構体21は、上記第1のコイルスプリング31を行列状に配置してなる第1のスプリング部33と、第2のコイルスプリング32を行列状に配置してなる第2のスプリング部34とを長手方向に交互に配置して構成されている。つまり、この実施形態では、スプリング構体21の長手方向両端部と中央部分に上記第1のスプリング部33が配置され、長手方向中途部の2か所に上記第2のスプリング部34が配置されてなる。
【0021】
スプリング構体21の両端部に位置する−対の第1のスプリング部33の上下面周縁部にはそれぞれ鋼線をコ字状に曲成してなる枠線26aがクリップ27によって連結され、中央に位置する第1のスプリング部33の上下面の両端は直線状の枠線26bがクリップ27によって連結されている。
【0022】
第1のスプリング部33は、第1のコイルスプリング31のスプリング構体21の長手方向において隣り合う上下端面部31b、31cがヘリカル線24によって結合されている。
【0023】
また、第2のスプリング部34は、上面側ではスプリング構体21の長手方向において隣り合う第2のコイルスプリング32の上端面部32bがヘリカル線24によって結合され、下面側では図5に示すようにスプリング構体21の長手方向に沿う結合状態が解除された解除部25が形成されている。
【0024】
さらに、第2のスプリング部34の下面側には、第2のコイルスプリング32の下端面部32cが上端面部32bよりも小径に形成されているため、隣り合う下端面部32c間に空隙部23が形成されている。つまり、第2のスプリング部34は、下端面部32cがスプリング構体21の幅方向に沿ってだけ上記ヘリカル線24で結合されている。
【0025】
上記第2のスプリング部34の下面側、つまり第2のコイルスプリング32の下端面部32cにはスプリング構体21の幅方向に沿う各列ごとにそれぞれ緩衝部材41が上記空隙部23を利用して装着されている。この緩衝部材41は、可撓性を有する合成樹脂、たとえばポリプロピレンやポリエチレンなどの半硬質の合成樹脂によって図2に示すように、スプリング構体21の幅方向の長さと略同じ長さで薄板状の帯状部42と、この帯状部42の幅方向の一端側と他端側のそれぞれに上面に向かって略U字状に曲成された第1の係合部43と第2の係合部44とで形成されている。
【0026】
そして上記第2のコイルスプリング32の下端面部32cの下面に緩衝部材41の帯状部42が載置されてスプリング構体21の幅方向に沿う各列の第2のコイルスプリング32の下端面部32cを支持し、上記第1、第2の係合部43、44をコイルスプリング32の下端面部32cの径方向両端に係合させることで、上記第2のスプリング部34の幅方向に沿う各列ごとの第2のコイルスプリング32に緩衝部材41がそれぞれ装着されている。
【0027】
それによって、ヘリカル線24による結合状態が解除された上記解除部25の上記スプリング構体21の長手方向において隣り合うコイルスプリング32の下端面部32cが直接、ぶつかり合うのを阻止している。
【0028】
上記第第1の係合部43は、ヘリカル線24とともに第2のコイルスプリング32の下端面部32cに係合されるため、上記第2の係合部44に比べて断面積が大きくなっている。
【0029】
図1に示すように上記スプリング構体21の上下面にはウレタンフォ−ムなどからなるシ−ト状の弾性材51が伸縮可能な布地52を介して接合され、この弾性材51は外装体53によって被覆されている。それによって、上記マツトレス20が構成されている。なお、スプリング構体21の下面に接合された弾性材51は上面に接合された弾性材51よりも薄いものが用いられている。
【0030】
このような構成のマットレス20が用いられた起床式ベッド1によれば、マットレス20上に仰臥した利用者の上半身を起こすために駆動装置16を作動させ、第1の床板部4aを起上させると、その起上に応じて床板4上のマットレス20が長手方向中途部から屈曲される。
【0031】
上記マットレス20を構成するスプリング構体21の長手方向中途部の第2のスプリング部34は、その長手方向に沿う第2のコイルスプリング32の下端面部32cのヘリカル線24による結合が解除された解除部25に形成されている。そのため、スプリング構体21が第1の床板部4aの起上によって屈曲されても、屈曲の外側となる下面側に引張力(屈曲に対する抗力)が発生することがないから、上記スプリング構体21は軽い力で確実に屈曲されることになる。
【0032】
上記解除部25は、第2のコイルスプリング32の下端面部32cのヘリカル線24による結合が解除されてなるから、スプリング構体21を屈曲、伸展させると、スプリング構体21の長手方向において隣り合う第2のコイルスプリング32の下端面部32cがぶつかり合って騒音を発生する虞がある。
【0033】
しかしながら、上記解除部25には第2のコイルスプリング32の下端面部32cに緩衝部材41が装着されている。そのため、上記緩衝部材41の第1、第2の係合部43、44によって隣り合う第2のコイルスプリング32の下端面部32cが直かにぶつかり合うのが阻止されるから、スプリング構体21を屈曲させたときに、騒音が発生するのを防止することができる。また、上記緩衝部材41をの装着は簡単に行なうことができる。
【0034】
図9と図10はこの発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は第2のスプリング部34を形成する第2のコイルスプリングの変形例である。この第2のコイルスプリング132は、図10に示すようにコイル部132aの上端と下端に形成される上端面部132bと下端面部132cとがほぼ同じ径に形成されているとともに、下端面部132cにはその一部を径方向内方へ屈曲させた凹部132dが形成されている。
【0035】
それによって、図9に示すように上記第2のコイルスプリング132によって形成された第2のスプリング部34にはその幅方向に沿って空隙部23Aが形成される。したがって、上記空隙部23Aを利用して上記第1の実施形態に示された緩衝部材41を第2のスプリング部34の幅方向に沿って装着すればよい。
【0036】
図11はこの発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は第1の実施形態において、第2のスプリング部34の第2のコイルスプリング32の下端面部32cを各列ごとに幅方向に沿って連結する手段としてヘリカル線24に代わり硬鋼線61を用い、この硬鋼線61をクリップ62で上記下端面部32cに結合するようにした。
【0037】
硬鋼線61を用いることで、第2のコイルスプリング32の各列ごとの連結が強固になるから、スプリング構体21を屈曲や伸展させたときの、上記第2のコイルスプリング32の揺れを少なくすることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1の発明によれば、スプリング構体の長手方向中途部におけるコイルスプリングの一方の端面部の結合状態を解除して解除部としたから、上記スプリング構体を容易に、しかも軽い力で屈曲させることができる。
【0039】
また、上記解除部におけるスプリング構体の幅方向に沿う各列のコイルスプリングの端面部にそれぞれ緩衝部材を装着した。
【0040】
そのため、スプリング構体を屈曲、伸展させたときに、結合状態が解除されたコイルスプリングが直接ぶつかり合って騒音を発生させるということがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の−実施形態のスプリング構体の一部を示す断面図。
【図2】同じく緩衝部材の断面図。
【図3】同じくスプリング構体を屈曲させたときの隣り合う緩衝部材の状態を示す説明図。
【図4】同じくスプリング構体の上面図。
【図5】同じくスプリング構体の下面側の緩衝部材を装着する前の状態の平面図。
【図6】同じくスプリング構体の下面側の緩衝部材を装着した状態の平面図。
【図7】同じく第2のコイルスプリングの斜視図。
【図8】同じく起床式ベッドの説明図。
【図9】この発明の第2の実施形態を示すスプリング構体の下面側の一部を示す拡大平面図。
【図10】同じくコイルスプリングの斜視図。
【図11】この発明の第3の実施形態を示すスプリング構体の下面側の平面図。
【符号の説明】
32・・・ コイルスプリング、 32a・・・ ばね部、
32b、32c・・・ 端面部、 24・・・ ヘリカル線(連結部材)、
25・・・ 解除部、 41・・・ 緩衝部材、
42・・・ 帯状部、 43・・・ 第1の係合部、
44・・・ 第2の係合部。
Claims (1)
- ばね部の両端に端面部を有する多数のコイルスプリングを行列状に配置し、隣り合うコイルスプリングの端面部を連結部材で結合してスプリング構体を形成するとともに、このスプリング構体の長手方向中途部には、上記コイルスプリングの一方の端面部の上記連結部材による上記スプリング構体の長手方向の結合状態を解除した解除部が形成され、この解除部のコイルスプリングの一方の端面部側には、スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの一方の端面部に装着された緩衝部材が設けられてなるスプリング構体において、上記緩衝部材は、上記スプリング構体の幅方向の長さと略同じ長さでスプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部を支持する帯状部と、この帯状部の幅方向一端側と上記スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部の幅方向一端側、及び、この帯状部の幅方向他端側と上記スプリング構体の幅方向一列のコイルスプリングの下端面部の幅方向他端側のそれぞれに上面に向かって略U字状に曲成された第1の係合部と第2の係合部とが合成樹脂によって一体形成されていることを特徴とするスプリング構体。
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