JP3815115B2 - 鍋材質識別器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器に使用される鍋の適否を、誘導加熱調理器を使用せずに識別できる鍋材質識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、誘導加熱調理器を使用せずに、誘導加熱調理器に使用される鍋の適否を識別することのできる鍋材質識別装置が提案されている。
【0003】
特開平8−8053号公報に鍋材質識別装置が提案されている。図9は、この従来の構成を示す回路図で、図10はその構成部品であるトランジスタ4のコレクタ−エミッタ間の印加電圧波形を示す。サーチコイル1と共振コンデンサ2の共振回路を直流電源3に接続し、スイッチ5を投入すると駆動回路6がスイッチング素子4を時点t1でオン、時点t2でオフすることによって、共振電流を発生させる。実線Aは鉄製鍋のように減衰量が大きく誘導加熱調理器に適した鍋で、スイッチング素子4のオフ後、所定時間T1経過後の時点t3で、スイッチング素子4に印加する電圧V1を検知して、あらかじめ設定している所定値V0と比較して、V1<V0ならば、「適正鍋」と判定して、LEDを点灯し、線Bは陶器製の鍋のように減衰量が小さく誘導加熱調理器に適さない鍋で上記と同様に判定してV0<V1であるので「不適正鍋」と判定してLEDを点灯しないようにした鍋材質識別装置の構成が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の鍋材質識別装置において、鍋の材質によっては、鍋とサーチコイル1が磁気結合した場合の共振電流の振動周波数が変動する場合がある。この場合、図11のように、鍋によってピーク位相が変わる。線Cはアルミ製鍋のように減衰量が小さく誘導加熱調理器には不適切な鍋で負荷検知回路が動作して加熱を停止し調理が不可能で、実線Aは鉄製鍋のように減衰量が大きく誘導加熱調理器に適した鍋での電圧波形である。この図で示されるように、図10と同様に時点t3で測定すると、線Aと線CではともにV0より小さく、「適正鍋」と判定してしまうので鍋の適否の正しい判定は不可能である。
【0005】
本発明は、鉄鍋とアルミ鍋のように、サーチコイルと磁気結合し、共振コンデンサと共振して減衰振動を発生した時に振動周波数が変わる鍋においても、その鍋材質が誘導加熱調理器で十分な加熱出力を得られるかどうかを識別できる鍋材質識別器具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、スイッチング素子を駆動して直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに減衰振動を発生する制御手段を備え、前記減衰振動により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記減衰振動を観測して前記減衰振動が所定量に最後に到達するまで、あるいは略終了するまでの継続時間の長短を識別する継続時間測定手段と、前記減衰振動の周波数を観測して鍋材質が磁性である場合と非磁性である場合の前記減衰振動の周波数差を検知する周波数検知手段を備え、前記継続時間測定手段と前記周波数検知手段の測定結果を誘導加熱調理器で加熱できる鍋について材質を細分化して分類すべく組み合わせることにより、前記鍋を誘導加熱調理器に使用した場合の誘導加熱調理器の出力レベルを推定する演算手段と、前記演算手段の出力に応じて表示する表示手段を有する鍋材質識別器具を構成したものである。
【0007】
減衰振動は、スイッチング素子を短期間駆動するだけで、鍋と磁気結合したサーチコイルと共振コンデンサからなる共振回路に直流電源から微小のエネルギーを供給して、発生させることができるので、直流電源から供給するエネルギー消費量を低レベルに抑制できる。また、導電率の大きい非磁性ステンレス鍋や、非磁性ステンレスとアルミの合板鍋などと、磁性鍋とを識別でき、減衰率だけで誘導加熱調理器による加熱出力の大小を判断するのが困難な鍋に対しても加熱出力の大小を判別して表示できる鍋材質識別器具を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項記載の発明は、スイッチング素子を駆動して、直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに減衰振動を発生する制御手段を備え、前記減衰振動により前記サーチコイルから発生する交流磁界と鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記減衰振動を観測して前記減衰振動が所定量に最後に到達するまで、あるいは略終了するまでの継続時間の長短を識別する継続時間測定手段と、前記減衰振動の周波数を観測して鍋材質が磁性である場合と非磁性である場合の前記減衰振動の周波数差を検知する周波数検知手段を備え、前記継続時間測定手段と前記周波数検知手段の出力する測定結果を誘導加熱調理器で加熱できる鍋について材質を細分化して分類すべく組み合わせることにより、前記鍋を誘導加熱調理器に使用した場合の誘導加熱調理器の出力レベルを推定する演算手段と、前記演算手段の出力に応じて表示する表示手段を有する鍋材質識別器具としているので、複数の特性(例えば、継続時間と周波数差)を観測して、その結果を演算(もしくは組み合わせる)ことにより、より鍋材質を細分化して分類することができ、これにより単に誘導加熱調理器で加熱できるか否かだけではなく、加熱出力がどの程度得られるかまで識別表示できる。したがって、使用者が鍋を選択する場合に、より多くの情報を使用者に与えられる鍋材質識別器具を提供できるという作用がある。
【0014】
請求項記載の発明は、直流電源と、サーチコイルと、共振コンデンサと、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を駆動して、前記直流電源のエネルギーで前記サーチコイルと共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段と、前記直流電源からの電源供給を行うあるいは遮断する電源スイッチとを備え、前記共振電流により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記共振電流を観測して鍋材質を識別する識別手段と、前記識別手段の出力結果に応じて鍋材質を分類表示する表示手段を備え、前記電源スイッチの投入後、前記制御手段は所定の待機時間後鍋材質識別のための共振電流を発生させ、前記電源スイッチは、投入動作を停止すると接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとする鍋材質識別器具としているので、電源スイッチの動作だけで電源投入と識別動作と電源遮断を行え、操作が簡単になるとともに、電源スイッチ投入後、共振電流を発生するまでに、所定の待機時間を設けて、電源スイッチ投入時のチャタリングの影響をなくしたり、識別動作開始までに測定手段や識別手段のリセット動作を完了することができ、識別動作を正確に行うことができる。さらに、電源スイッチが投入動作終了後自己遮断する自己遮断型であることで、直流電源として電池を使用している場合には、電源スイッチを投入したまま放置して、電気回路での消費電力により電池が消耗してしまうような恐れをなくすことができるという作用がある。
【0015】
請求項記載の発明は、直流電源と、サーチコイルと、共振コンデンサと、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を駆動して、前記直流電源のエネルギーで前記サーチコイルと共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段とを備え、前記共振電流により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記共振電流を観測して鍋材質を識別する識別手段と、前記識別手段の出力結果に応じて、鍋材質を分類表示する表示手段を備え、第1のスイッチは投入動作を停止すると接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとし、前記第1のスイッチが遮断することで前記直流電源は前記表示手段から遮断され、前記第1のスイッチを投入した状態で、第2のスイッチを投入すると、前記制御手段は共振電流を発生させ、前記識別手段は識別動作を開始し、前記表示手段は前記識別手段の出力結果に応じて、表示を変更する鍋材質識別器具としており、表示手段は直流電源の電圧レベルに応じて表示を変更するので、第1のスイッチを投入することで、電池などが消耗していないかなど、直流電源が正常の範囲内にあるかどうかが確認できる。また、第1のスイッチを投入した状態で第2のスイッチを投入すると、識別手段が識別動作を開始し、その識別結果に応じて表示手段の表示モードが変更されることで、第2のスイッチのみ投入されるだけでは、制御手段による共振電流の発生動作や、識別手段による識別動作や、表示手段による表示の変更がおこなわれないので、第2のスイッチを誤って投入し続けて、電力を消費し続けるのを防止するようにできる。また、前記第1のスイッチは接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとし、第1のスイッチ手段が遮断されることで直流電源は、表示手段と遮断されるので、第1のスイッチ手段を切り忘れて前記表示手段でエネルギーが消費されないようにすることができ、直流電源として電池を使用する場合にはその寿命を長くすることができるという作用を有するものである。
【0016】
請求項記載の発明は、スイッチング素子を駆動して、直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに減衰振動を発生する制御手段とを備え、前記減衰振動により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記減衰振動を観測して鍋材質を識別する識別手段と、識別手段の出力結果に応じて鍋材質を分類表示する表示手段を備え、前記減衰振動を、その変動範囲内に設定した基準レベルと比較して矩形波パルスに変換する比較器を有し、前記識別手段は減衰率が大きく誘導加熱調理器に適すると判断する鍋で得られる前記減衰振動が略終了する以降のタイミングであって、前記減衰振動の減衰率がともに小さく誘導加熱調理器で使用することができないと判断すべき鍋でありかつ振動周波数が相互に異なる鍋であるアルミ製鍋と陶器製鍋で得られる前記比較器の出力パルスが重なる第1のタイミングで前記比較器の出力信号のHi、Loを検知し、その検知結果をもとに使用可能な鍋材質か、使用できない鍋材質であるアルミ製と陶器製のいずれかであるかを判別する鍋材質識別器具の構成としているので、陶器製鍋、磁性鍋、非磁性ステンレス鍋、アルミ製鍋など、振動周波数の異なる各種鍋材質に対して、減衰振動の継続時間の長短の識別を同一タイミングで行うことが可能で、また瞬時に誘導加熱調理器に対する適否を識別し、消費電力も少なくすることができ、測定タイミングを減らすことで、簡単な構成とでき、安価な鍋材質識別器具を提供できるという作用を有するものである。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項記載の構成とすると共に、減衰振動発生後、前記減衰振動の鍋材質がともに使用可能な鉄である場合と非磁性ステンレスである場合の周波数があること比較器の出力信号のHi、Loで判別できる位相に設定した第2のタイミングで、比較器の出力信号を検知し、この検知結果と第1のタイミングで検知した検知結果とを組み合わすべく演算することにより、鍋材質が誘導加熱調理器に使用可能な材質か、使用できないアルミ製と陶器製のいずれかの材質であるかに加え、使用可能な鍋材質が鉄である場合と非磁性ステンレスである場合に得られる加熱出力の大小を判別する鍋材質識別器具としているので、前記第2のタイミングで比較器の出力レベルを読み込み、非磁性ステンレス鍋や非磁性ステンレス−アルミの合板鍋などと、鉄製の鍋とを識別し、この識別結果と第1のタイミングで検知した減衰量の大小の識別結果を演算して(組み合わせて)、誘導加熱調理器に負荷鍋として使用可能か否かだけでなく、使用可能な場合において、加熱出力の大小を分類表示可能な鍋材質識別器具を提供できるという作用を有するものである。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項記載の構成において、減衰振動を、その変動範囲内に設定された基準レベルと比較する比較器と、継続時間測定手段に代えて、比較器の出力電圧を所定期間積分する積分手段あるいは前記比較器の出力パルスをカウントするパルス計数手段を有し、前記継続時間測定手段出力に代え、前記積分手段あるいは前記パルス計数手段の出力に応じて、鍋材質を分類表示する表示手段を有する鍋材質識別器具としているので、比較器の出力信号を所定期間積分する積分手段あるいはパルス計数手段の出力は、減衰振動の継続時間と略比例関係にあり、これから鍋材質を推定して分類表示することのできる鍋材質識別器具を提供できるという作用を有するものである。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項記載の構成とすると共に、電池と、サーチコイルと、共振コンデンサと、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を駆動して、前記電池のエネルギーで前記サーチコイルと前記共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段をケース内に設け、前記サーチコイルを前記ケース底部の外部または内部に設けるとともに、前記ケース上部に電源スイッチを設け、前記ケース底部を鍋底に当接し、前記電源スイッチを操作して前記鍋の材質を分類表示する鍋材質識別器具としているので、鍋底に鍋材質識別器具を載置あるいは、手で持って押し当てることでサーチコイルと負荷鍋との距離を近接させ、所望の値に確実に設定でき、上面から電源スイッチを操作するようにしているので、電源スイッチの操作時にケース底部を押し当てる力が働き、ケース底面と鍋底が密着し、ケース底部内部あるいは外部に設けられたサーチコイルと鍋の距離が設定値より広がって、正確な識別ができなくなるのを防止することができ、識別誤差を少なくするとともに、片手で保持して操作できるようにして、操作性の良い鍋材質識別器具を提供することができるという作用を有するものである。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項記載の構成とすると共に、表示手段は、識別手段が検知した材質であり所定の形状の鍋を誘導加熱調理器で加熱したときに得られる最大加熱出力電力あるいは最大消費電力の、前記誘導加熱調理器の加熱手段の定格出力電力あるいは定格消費電力に対する比率の推定値を表示するようにした鍋材質識別器具としているので、最大出力の異なる誘導加熱調理器の機種毎の、出力レベルを切り替えて表示する必要がなく、また、逆に、この鍋材質識別器具で一定の基準を設定しておけば、これに合わせて、出力抑制手段や過電流・過電圧抑制手段、あるいは鍋材質検知手段などのリミット値を標準化して、誘導加熱調理器の各種材質における鍋での使用可否や、出力レベルが大幅に異ならないようにして、機種の差で使用できる鍋と使用できない鍋があったり、出力レベルが大幅に異なるというようなことの起こるのを防止することができるという作用を有するものである。
【0022】
請求項記載の発明は、請求項又はに記載の構成とすると共に、表示手段は、識別手段が検知した鍋材質が、誘導加熱調理器の負荷検知装置が動作して加熱調理が不可能となる範囲と、使用可能範囲の境界付近であることを表示するようにした鍋材質識別器具としているので、鍋底の大きさや、平坦さなど、鍋底の形状や、合板鍋などの場合には材質の均一さの状況や、誘導加熱調理器の機種や、加熱部へ載置する場合の位置や、あるいは、使用による経年変化により、使用不可能となったり、使用可能となったりする可能性が強いことを使用者に報知することができるという作用を有するものである。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
以下本発明の第1の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1において電池11の正極に電源スイッチ12の一端が接続され、電源スイッチ12の負荷側端子と、電池11の負極間にコイル13と共振回路ブロック14が直列に接続されている。共振回路ブロック14は、サーチコイル15とトランジスタ16の直列回路が平滑コンデンサ19に並列に接続され、トランジスタ16には、共振コンデンサ18が並列に、ダイオード17が逆並列に、それぞれ接続されている。サーチコイル15のインダクタンスと共振コンデンサ18の容量は共振周波数が約20〜30kHzになるように設定されている。電源スイッチ12の負荷側端子と、電池11の負極間にはまた、抵抗20とコンデンサ21の直列回路、リセット手段22、トランジスタ16を駆動する制御手段23、継続時間測定手段44と識別手段45と表示手段46に接続され制御電圧を供給する。
【0025】
継続時間測定手段44において、抵抗20とコンデンサ21の接続点は、リセット手段22に入力され、リセット手段22の出力信号は、制御手段23と識別手段44に出力される。制御手段23の出力端子はトランジスタ16のベースに接続される。識別手段45は比較器28とフリップフロップ30とタイマー31とタイマー32とタイマー33を具備しており、比較器28の+入力は抵抗24と抵抗25の直列回路の接続点と接続され、比較器28の−入力端子は抵抗26と抵抗27の直列回路の接続点と接続されている。抵抗27には誤動作防止用コンデンサ27aが接続される。抵抗24の接続された入力端子Vcはサーチコイル15とコイル13の接続点に接続され、抵抗26の接続された入力端子Vaはサーチコイル15とトランジスタ16のコレクタとの接続点に接続されている。比較器28の出力端子は抵抗29でプルアップされ、フリップフロップ30のクロック入力端子(CK)に接続されている。フリップフロップ30のデータ入力端子(D)は、制御電源(VDD)に、セット入力端子(S)はコモン電位に接続され、リセット手段22の出力信号はフリップフロップ30のリセット入力端子(R)と、タイマー31とタイマー32とタイマー33に入力される。
【0026】
識別手段45において、フリップフロップ34,35のデータ入力端子(D)とフリップフロップ36のクロック入力端子(CK)は、タイマー31〜33の出力信号をそれぞれ入力する。フリップフロップ34,35の出力端子(Q)と、フリップフロップ36の反転出力端子(反転Q)は表示手段46に出力される。フリップフロップ35,36のリセット入力端子(R)とフリップフロップ34のセット入力端子(S)はリセット手段22の出力信号を入力し、フリップフロップ34,35のクロック入力端子(CK)とフリップフロップ36のデータ入力端子(D)には比較器28の出力端子が接続される。
【0027】
表示手段46はトランジスタ37とコレクタ抵抗とLED40とLED41とLED42の直列回路が制御電源とコモン電位間に接続され、トランジスタ37のベースにはフリップフロップ34の出力端子(Q)が抵抗を介して接続される。LED40のカソードとLED41のアノードの接続点には、トランジスタ38のコレクタが接続され、そのエミッタ端子はコモン電位に、ベースは抵抗を介してフリップフロップ35の出力端子(Q)に接続され、LED41のカソードとLED42のアノードの接続点には、トランジスタ39のコレクタが接続され、そのエミッタはコモン電位に、ベースは抵抗を介してフリップフロップ36の反転出力端子(反転Q)に接続される。
【0028】
図2に図1の回路部品を装着した鍋材質識別器具50と、識別される鍋54の断面構造を示している。鍋54は鍋底を上にして、鍋材質識別器具50がその上に載置される。鍋材質識別器具50は樹脂製の下ケース51に上ケース52がはめ込まれネジ(図示されていない)で固定されている。下ケース51底部には支柱51aが一体成形により設けられ、支柱51aには印刷配線板53がネジ(図示されていない)で固定されている。サーチコイル15は鍋との結合を良くするため、円盤状に巻かれ、下ケース51の底坂上に載置固定される。底坂の板厚は約1mmにしているが、樹脂の強度が弱くなると反ったり変形する可能性が大きく鍋54とサーチコイル15の結合が悪くならないようにするため、0.5mm〜約5mm程度が適当である。電池11は、サーチコイル15の発生する磁界が鎖交しにくいようにサーチコイルコイル15の横に設けられ、また、サーチコイル15の上部には、高透磁率の磁性部材であるフェライト板55が配置されている。
【0029】
上ケース52には電源スイッチ12が設けられ、緑色に発光する3個のLED40〜LED42と赤色に発光するLED48に対応した窓52a,52b,52c,52dが設けられ、図3に示すように、その窓近傍表面には「弱」,「中」,「強」,「使用不可」の文字表示が順に付されている。また、同図に示すように「強」は定格出力の約70〜100%の出力が得られ、「中」は定格出力の約60〜85%の出力が得られ、「弱」は定格出力の約30〜70%の出力が得られることを示す文字表示がある。また、「弱」出力の場合には、形状や大きさで、加熱できない場合のあることを示す表記がある。また、線で示す円形のパターン15aが、サーチコイル15aを上面に投影した位置に描かれており、「線下部底面が鍋底に接触当たること」の表示がある。
【0030】
印刷配線板53には、LED40〜LED42とLED48を含む表示手段46と図1のリセット手段22、共振回路ブロック14、制御手段23、継続時間測定手段44、識別手段45を含む回路を構成する電子部品がはんだ付けされ固定される。電源スイッチ12はバネ12aがあり、投入動作(この場合は押す動作)が終われば自動的に初期状態に戻る自己遮断型のスイッチである。
【0031】
以上のように構成された鍋材質識別器具についてその動作を説明する。電源スイッチ12を投入する(押す)と、共振ブロック14を始めとして、すべての回路に、電池11から直流が供給される。電源スイッチ12投入後、コンデンサ21と抵抗20の時定数で、コンデンサ21の印加電圧が上昇する。この電圧がリセット手段22のリセット解除電圧に到達するまで、リセット手段22はリセット信号を制御手段23と継続時間測定手段44と識別手段45にリセット信号(Hi)を出力し、タイマー31,32,33の計時値がリセットされ、フリップフロップ30の出力がリセットされ(Hiとなり)、フリップフロップ34の出力がHiとなる。この結果、赤色のLED48が点灯する。
【0032】
電源スイッチ12投入後、約1秒経過して印加電圧が、リセット手段22のリセット解除電圧を超えると、リセット手段22は制御手段23と継続時間測定手段44と識別手段45に出力していたリセット信号を解除(Loを出力)し、少しの遅延時間後トランジスタ16のベースに1〜2μ秒駆動信号を出力する。トランジスタ16がこの駆動信号のオン信号に対応した時間導通した後、オフすると、共振回路ブロック14に、減衰振動が発生し、トランジスタ16のエミッタとコレクタ間の電圧(Vc)は、従来例で示した図10と同様の波形となる。減衰振動が発生したとき、図2で示すように、高透磁率のフェライト板55がサーチコイル15の上部に配置されているので、サーチコイル15から発生する磁界が印刷配線板53の銅箔や、電子部品に及ばなくなり、あるいはその量が減り、減衰振動の振る舞いに与える影響を抑制し、また、鍋に鎖交する磁束が増えるので、鍋との磁気結合が強くなり、識別感度を高くすることができる。
【0033】
比較器28の+入力端子は、トランジスタ16のコレクタ電圧(Vc)を抵抗24と抵抗25で分割した波形とサーチコイル15と平滑コンデンサ19の接続点(Va)を比較しているが、本実施例の場合分割比は前者を後者より少し大きくしているので、加熱コイル15に流れる減衰振動の電流あるいは電圧が、その中心値(収斂値)より少し小さくした値以上かどうかを判別した矩形波を出力する。この出力波形を図4に示す。図4(c)は鉄鍋、同(d)は非磁性ステンレス製で厚みが約2mmの鍋、同(e)は同じく非磁性ステンレス製で厚みが約1mmの鍋、図(f)はアルミ製鍋、同(h)は陶器(セラミック)製鍋、同(i)は最外層が非磁性ステンレス層でアルミ層とステンレスからなる7層合板鍋、同(j)は非磁性ステンレスに銅メッキ処理をした鍋の場合を示す。出力パルス波形の最後と初期とで、デューティー比が異なるのは、上記で説明した様に二つの比較器の入力の抵抗分割比が異なるため減衰振動の振動中心と基準電圧がずれているからである。
【0034】
フリップフロップ30のクロック入力端子(CK)は、この比較器28の矩形波出力信号を入力する。フリップフロップ30は、リセット入力端子(R)がリセット解除されLoとなっており、セット入力端子(S)がLoにセットされているので、クロック入力端子(CK)の立ち上がりで、データ端子(D)のレベルを読み込んで出力端子に出力する。したがって、出力端子(Q)は、図4の時点t1でHiにセットされる。
【0035】
Hiにセットされたフリップフロップ30の出力信号を、時点t1でタイマー31,32,33が読み込み、時間のカウント動作を開始する。タイマー31は図4(b)のように、時点t1から時間T4経過後の時点t4でタイムアップ信号をフリップフロップ34のデータ入力端子(D)に出力し、タイマー32は図4(a)のように、時点t1から時間T3経過後の時点t3でタイムアップ信号をフリップフロップ35のデータ入力端子(D)に出力し、タイマー33は図4(g)のように、時点t1から時間T2経過後の時点t2でタイムアップ信号をフリップフロップ36のクロック入力端子(CK)に出力する。
【0036】
フリップフロップ34において、セット入力端子(S)とリセット入力端子(R)はともにLoとなっており、クロック入力端子(CK)の立ち上がりで、データ入力端子(D)のレベルを読み込む。被検査鍋が鉄鍋の場合には、図4(c)に示すようにクロック入力端子(CK)の入力する矩形波パルスの終了する時点(最終立ち上がりエッジが生起する時点)は、図4(b)に示すデータ入力端子(D)の入力信号が立ち上がる時点t4より、早く生起しており、データ入力端子はLoになっているので、出力端子(Q)はLoにプルダウンされ、表示手段46の赤色LED48を消灯すると同時に、トランジスタ37を導通しこの状態を保持する。
【0037】
フリップフロップ35においても、セット入力端子(S)とリセット入力端子(R)はともにLoとなっており、クロック入力端子(CK)の立ち上がりで、データ入力端子(D)のレベルを読み込む。同じく被検査鍋が鉄鍋の場合において、図4(c)に示すようにクロック入力端子(CK)の入力する矩形波パルスの終了する時点(最終立ち上がりエッジが生起する時点)は、図4(a)に示すデータ入力端子(D)の波形の立ち上がる時点t3より、早く生起しており、データ入力端子はLoとなっているので、出力端子(Q)はLoにプルダウンされ、トランジスタ38はオフしたままこの状態が保持される。
【0038】
フリップフロップ36においても、セット入力端子(S)とリセット入力端子(R)はともにLoとなっており、クロック入力端子(CK)の立ち上がりで、データ入力端子(D)のレベルを読み込む。フリップフロップ34,35の場合と異なり、図4(g)に示すタイマー33の出力信号がフリップフロップ36のクロック入力端子(CK)に出力されており、比較器28の出力信号がフリップフロップ36のデータ入力端子(D)に出力されているので、同じく被検査鍋が鉄鍋の場合には、図4(g)に示すクロック入力端子(CK)の信号の立ち上がる時点t2で、図4(c)に示すデータ入力端子(D)の矩形波は位相の関係で、Hiとなっているので、反転出力端子(反転Q)はLoにプルダウンされ、トランジスタ39はオフを保持する。
【0039】
このように、鉄製の鍋の鍋底に、鍋材質識別器具50を載置して、電源スイッチ12を押すと、赤色の「使用不可」表示用LED48が一時(約1秒)点灯した後、消灯すると同時に緑色の「弱」表示用LED40,「中」表示用LED41,「強」表示用LED42が3個とも点灯し、電源スイッチ12の投入状態が続くかぎりこの状態が保持されるので、この鉄鍋は、誘導加熱調理器に使用可能であり、かつ強い加熱出力(定格の約70%〜100%)を得ることができるということを使用者に報知することができる。そして、電源スイッチ12を押すのをやめると、電源スイッチ12は自己遮断するのですべての回路が電池11から遮断される。
【0040】
次に、アルミ鍋を被識別鍋として、上記と同様にセットして、電源スイッチ12を投入すると、電源スイッチ12投入後、リセット手段22がリセット信号を出力している間は、赤色LED48は上記と同様点灯する。約1秒後リセット信号が解除されると、共振回路ブロック14は減衰振動を発生して比較器28は図4(f)に示す矩形波パルスを発生し、矩形波パルスの終了する時点(最終立ち上がりエッジが生起する時点)は図4(b)の信号が立ち上がる時点t4より遅いので、時点t4でフリップフロップ34のデータ入力端子(D)はHiとなっており、フリップフロップ34の出力端子(Q)はプルアップされHiとなり、トランジスタ37がオフして緑色のLED40,41,42をすべて消灯し、赤色の「使用不可」表示用LED48の点灯を、電源スイッチ12の投入動作が停止するまで継続するので、アルミ鍋が使用できないことを使用者に報知することができる。
【0041】
次に、厚みが2mmの非磁性ステンレス製の鍋を被識別鍋として、上記と同様にセットして、電源スイッチ12を投入すると、リセット手段22がリセット信号を出力している間は、赤色LED48は上記と同様点灯する。約1秒後リセット信号が解除されると、共振回路ブロック14は減衰振動を発生して比較器28は図4(d)に示す矩形波パルスを発生し、矩形波パルスの終了する時点(最終立ち上がりエッジが生起する時点)は図4(b)の信号が立ち上がる時点t4より早く、かつ図4(a)の信号が立ち上がる時点t3より遅いので、時点t4でフリップフロップ34のデータ入力端子(D)はLoとなっており、フリップフロップ34の出力端子(Q)はプルダウンされLoとなる。また、時点t3でフリップフロップ35のデータ入力端子(D)はHiとなっており、フリップフロップ35の出力端子(Q)はプルアップされHiとなり、トランジスタ37,38がオンしてLED41,42が消灯し、LED40のみ点灯してこの状態が電源スイッチ12がオフされるまで保持される。
【0042】
このように、厚みが2mmの非磁性ステンレス製の鍋の場合には、赤色の「使用不可」表示用LED48が一時点灯した後、消灯すると同時に、緑色の「弱」表示用LED40のみが点灯し、電源スイッチ12の投入状態が続くかぎりこの状態が保持されるので、この鍋は、誘導加熱調理器に使用可能であるものの、弱い加熱出力(定格の約30〜70%)しか得ることがないということを使用者に報知することができる。そして、電源スイッチ12を押すのをやめると、電源スイッチ12は自己遮断するのですべての回路が電池11から遮断される。
【0043】
次に、厚みが1mmの非磁性ステンレス製の鍋を被識別鍋として、上記と同様にセットして、電源スイッチ12を投入すると、上記と同様にして比較器28から図4(e)の矩形波パルスが出力されるので、矩形波パルスの終了する時点(最終立ち上がりエッジが生起する時点)は図4(b)の信号が立ち上がる時点t4よりおよび、図4(a)の信号が立ち上がる時点t3より早いので、上記と同様の作用でフリップフロップ34の出力端子(Q)およびフリップフロップ35の出力端子(Q)はともにプルダウンされ、トランジスタ37がオンし、LED48が消灯し、トランジスタ38がオフする。一方図4(g)に示すフリップフロップ36のクロック入力端子(CK)の信号の立ち上がる時点t2で、図4(e)に示すデータ入力端子(D)の矩形波パルスは位相の関係で、Loとなっているので、反転出力端子(反転Q)はHiにプルアップされ、トランジスタ39はオンとなりLED42は消灯しこの状態を保持する。
【0044】
このように、厚みが1mmの非磁性ステンレス製の鍋の場合には、赤色の「使用不可」表示用LED48が一時点灯した後、消灯すると同時に、緑色の「弱」と、「中」表示用LED40、41の2個が点灯し、電源スイッチ12の投入状態が続くかぎりこの状態が保持されるので、この鍋は、誘導加熱調理器に使用可能であるものの、十分な出力が得られず中位(定格の約60〜85%)の加熱出力が得られるということを使用者に報知することができる。そして、電源スイッチ12を押すのをやめると、電源スイッチ12は自己遮断するのですべての回路が電池11から遮断される。
【0045】
図4(h)の陶器(セラミック)製鍋の場合と、図4(j)の銅メッキ非磁性ステンレス鍋の場合は、上記の図4(f)のアルミ鍋の場合と同様の識別結果が得られ、図(i)の7層合板鍋は上記の図4(d)の厚みが2mmの非磁性ステンレス鍋と同様の識別結果が得られるのは、上記の理由で明らかであるので説明を省略する。
【0046】
一例として、2石式クランプインバータで構成された入力電圧が200VACで定格が2kWの誘導加熱調理器で得られる出力を示すと、図4(c)の鉄鍋で約2kW、図4(d)の2mmの厚みの非磁性ステンレス製の鍋で約1200W、図4(e)の1mmの厚みの非磁性ステンレス製の鍋で約1600W、図4(f)のアルミ鍋と、図4(h)の陶器(セラミック)製鍋と図4(j)の銅メッキ非磁性ステンレス鍋では保護回路が動作して、異常表示して使用不可能、図4(i)の7層合板鍋で約1300Wという測定結果が得られた。したがって、上記の識別結果とほぼ符合していることが確認された。
【0047】
以上のように、本実施例によれば、鍋と磁気結合したサーチコイル15と共振コンデンサ18を含む共振回路ブロック14に、スイッチング素子16を短期間駆動して、電池11から微小のエネルギーを供給して、減衰振動を一回だけ発生させて識別するので、電池から供給するエネルギー消費量を低レベルに抑制して電池の寿命を長くすることができる。また、電源スイッチ12投入後、減衰振動発生前に、減衰振動の変動状態を検知する継続時間測定手段44と識別手段45からなる変動検知手段を待機状態に設定するリセット手段22があるので、フリップフロップ30,34,36とタイマー31,32,33をリセットして、減衰振動測定準備を完了し、このときのフリップフロップの出力で、LED48を点灯し、電池11が正常電圧であるということを使用者に表示できる。(電池11が異常であればリセット手段22がトランジスタ49で消灯あるいは点滅する)。また、上記変動検知手段は減衰振動の変動状態に応じて出力を変更し、最後の変更を識別結果としており、少なくとも減衰振動終了以降、識別結果の変更が生じる入力がなくなるので出力を保持することができる。従って、減衰振動が終了以降も、表示手段46は変動検知手段の出力に従い継続表示することができる。
【0048】
また、タイマー31とフリップフロップ34により減衰振動の継続時間がT4を越える場合には、表示手段46のLED48を点灯して使用不可能であることを表示し、越えない場合にはLED48を消灯してLED40〜42のひとつ以上を点灯して、使用可能であることを表示するので、鍋材質により、減衰振動の周波数が変わっても、所定レベル以上の出力が得られるか否かの識別を1秒以内で瞬時に行うことができるとともに、小型・軽量で安価な鍋材質識別器具を得ることができる。
【0049】
また、識別手段45において、比較器28はサーチコイル15の両端から入力した電圧を分割して比較し、サーチコイル15の印加電圧が所定値以下となるかどうかを検知して矩形波パルスを出力する構成であり、比較器28の+入力は、減衰振動を入力し、比較器28の−入力は減衰振動の中心より少し低レベル側に設定された基準レベルを入力して両者を比較することになる。したがって、電池11の電圧変動による減衰振動の振幅の変動や、分割抵抗のばらつきなどによる基準レベル変動の影響は、特に減衰振動後半の矩形波パルスのデューティー比の変化となって現れるが、繰り返し周期や発生パルスの数に与える影響を緩和するので、電池11の電圧が変動したり、抵抗24〜27の値がばらついても、減衰振動の継続時間や、周波数や、周波数差の識別結果のばらつきが緩和され、識別結果のばらつきを少なくすることができる。
【0050】
また、減衰振動の継続時間がT4以上か否かを測定して使用可能か否かを識別するタイマー31とフリップフロップ34、減衰振動の継続時間がT3以上か否かを測定して加熱出力が「弱」か否かを識別するタイマー32とフリップフロップ35、時点t2での位相を検知して導電率の高い非磁性金属か否かを識別するタイマー33とフリップフロップ36、の3組の減衰振動測定手段の出力を組み合わせ論理演算する機能を持たせたトランジスタ37と、トランジスタ38と、トランジスタ39と、4個のLED40,41,42,48により、使用可否のみならず、使用可の場合においては、得られる加熱出力を3段階で表示して、きめの細かな識別表示をすることができる。
【0051】
また、電源スイッチ12投入後、リセット手段22により、識別手段44の内容をリセットし、コンデンサ21と抵抗20の時定数で決まる待機時間後、前記リセットを解除して共振回路ブロック14に減衰振動を発生させ、この減衰振動の発生をフリップフロップ30が検知して識別動作を開始し、その結果を表示手段46で表示するとともに、電源スイッチ12の投入が継続している間は、表示手段46での表示を継続し、電源スイッチ12の投入動作が終了すると、電源スイッチ12は自己遮断型であり、すべての回路と電池11を遮断するので、電源スイッチ12ひとつで電源投入と、識別動作の開始命令を与え識別表示をさせることと、電源遮断をすることができ、操作が簡単で、電力消費を節約でき、電源スイッチの切り忘れによる電池の消耗を防止することができ、さらに電源スイッチ12投入後、減衰振動発生までに待機時間を設けているので、電源スイッチ12投入後のチャタリングの影響を防止したり、識別手段45や継続時間測定手段44のリセットをその間に完了することができるので、識別動作を正確に行うことができる。
【0052】
また、高透磁率のフェライト板55がサーチコイル15の上部に配置されているので、サーチコイルから発生する磁界が印刷配線板53の銅箔や、電子部品に及ばなくなり、あるいはその量が減り、減衰振動の振る舞いに与える影響を抑制し、また、鍋に鎖交する磁束が増えるので、鍋との磁気結合が強くなり、識別感度を高くすることができる。
【0053】
また、LED40〜LED42の点灯状態により、識別手段45が検知した材質であって、標準の鍋形状すなわちこの場合には、鍋底径が18cmの、鍋底が平坦な形状の鍋を誘導加熱調理器で加熱したときに得られる最大加熱出力電力あるいは最大消費電力が、誘導加熱調理器の加熱手段の定格出力電力あるいは定格消費電力に対してどれくらいの比率(この場合には%)で得られるかを推定値して表示するようにしているので、複数の機種に対して複数の出力表示をする必要がなく、また、逆にこの鍋材質識別器具での基準(得られる加熱出力の定格に対しる比率の基準や使用の可否基準など)に合わせて、誘導加熱調理器の複数の機種において、出力抑制手段や過電流・過電圧抑制手段、あるいは鍋材質検知手段などのリミット値を標準化して、各種材質の鍋での使用可否や、出力レベルが大幅に異ならないようにして、機種の差で使用できる鍋と使用できない鍋があったり、出力レベルが大幅に異なるというようなことの起こるのを防止することができる。
【0054】
また、LED40は底径が十分大きければ出力が「弱」、すなわち、定格出力の約30〜70%の出力が得られるが、誘導加熱調理器の鍋検知機能が動作して保護回路が働き、出力がほとんど入らなくなる可能性の大きい鍋であり、鍋形状や鍋底の均一性により、使用できなくなる旨の表示があるので、使用者が購入後、使用して初めて使用できないことに気が付いたり、形状や材質の経年変化で使用できなくなったりしてとまどうのを防止することができる。この実施例では、「弱」表示と、使用可能な範囲と使用不可能な範囲の境界線付近にある表示を同じLED40の点灯で示したが、「弱」の文字表示を省いて「使用限界付近」、「使用可能性微妙」などの注意を促す文字表示を付加してもよいし、LED40のみ点灯する場合には、警告の意を示すために点滅表示をしたり、色を変えてもよい。
【0055】
また、上面に、底面部のサーチコイル15の開口面を投影した位置に対応して線のサークルパターン15aが描かれており、「線下部底面が鍋底の当たること」という表示があるので、サーチコイル15の開口面全面を正しく鍋底の平坦な部分に、対向させることができ、測定誤差や、測定ミスを防止することができる。なお、サークルの代わりにサーチコイル15のセンターを表示したりするなど他の方法で、鍋底を当接すべき位置を示してもよい。
【0056】
なお、上記の実施例で、比較器28の矩形波パルスの立ち上がりが最後に生起するタイミングが時点t4より早く生起するか、遅く生起するかにより、赤色LED48を消灯(適判定)したり、点灯(不適判定)したが、これに限らず、所定の時間(例えば振動周波数から導かれる時間間隔)以上矩形波パルスが発生しないと出力するパルスの出力タイミングや、前記矩形波出力の立ち下がりが最後に発生するタイミングや、所定のパルス幅以下のパルス幅が生じたタイミングなど、減衰振動の継続時間が略終了したと判断できるタイミングと、上記のタイミングt4と比較して、どちらが早く発生するかを識別することにより上記の実施例と同様の効果を得ることができる。また、タイミングt4は、対象となる誘導加熱調理器に対応して任意に決めればよく、場合によっては、機種に応じて使用者がt4のタイミングを変更できるスイッチなどの変更手段を鍋材質識別器具に設けておいても良い。
【0057】
(実施例2)
以下本発明の第2の実施例について、図面を参照しながら説明する。図5において、電池60にスイッチ61の一端が接続され、スイッチ61の他端に、第1の実施例と同様の減衰振動を発生する共振回路ブロック64(サーチコイル64a,トランジスタ64c,共振コンデンサや平滑コンデンサなどを含むその他の共振回路部品からなる回路ブロック64bで構成される)と、図示はされていないが他の回路ブロックの制御電源供給線が接続され、このスイッチ61が遮断すると、電池61はすべての回路から遮断される。また、各回路ブロックのコモン電位は電池60の負極電位と接続されているが図5では省略されている。
【0058】
スイッチ62を介してスイッチ61の負荷側端子と、リセット手段63が接続されている。リセット手段63の出力信号は制御手段65と、パルスカウンター67,周波数検知手段68,演算手段69,比較器66からなる識別手段71に出力され、また、リセット手段63は、制御電源の電圧検出機能を有し、この検出結果に対応する出力信号は表示手段70に出力される。比較器66は共振回路ブロック64にあるサーチコイル64aに発生する減衰振動電流を検知する回路の出力波形と、前記電流の収束する値である零レベル付近に設定された基準電圧を比較して矩形波パルスを出力し、パルスカウンター67と周波数検知手段68に出力される。演算手段69はパルスカウンター67の出力と周波数検知手段68の出力を演算して、表示手段70の表示内容を変更する。表示手段70には赤色のLED70aと緑色のLED70b,LED70c,LED70dを表示素子として具備している。スイッチ61とスイッチ62は押したときだけ導通し、押すのをやめると自己遮断する自己遮断型スイッチである。LED70aの近傍には「電源/不適」の文字表示があり、LED70b,LED70c,LED70dの近傍にはそれぞれ「弱」,「中」,「強」の文字表示がある。
【0059】
以上のように構成された鍋材質識別器具についてその動作を説明する。スイッチ61を投入するとすべての回路ブロックに制御電源が供給され、リセット手段63から、リセット信号が出力されるので、パルスカウンター67と周波数検知手段68と演算手段69が内部情報を所定の待機状態にリセットし、演算手段69は表示手段70の赤色LED70aを点灯する。電池が消耗しているなどあらかじめ設定された範囲内に電圧がなければ、リセット手段63がこれを検知して、表示手段70に信号を出力してすべての表示を禁止する。したがって、電源スイッチ61を投入することにより、LED70aの点灯の有無で電池の使用可否を使用者に報知することができる。
【0060】
サーチコイル64aを被識別鍋に近づけ、スイッチ61を投入したままで、スイッチ62を投入すると、リセット手段63が出力しているリセット信号を解除し、制御手段65がトランジスタ64cを所定時間駆動してオフする。この結果共振回路ブロック64に減衰振動が発生し、比較器66から鍋の材質に応じて、図4と同様の矩形波パルスが出力され、パルスカウンター67がこの矩形波パルスの数をカウントする。パルスカウンター67でカウントされた数は演算手段69に出力され、演算手段69は、その数値が7であれば、LED70bの点灯命令を、前記数値が6以下であればLED70dの点灯命令を、前記数値が8以上であればLED70aを点灯する命令を表示手段70に出力する。
【0061】
また、周波数検知手段68は周波数が所定の周波数より大か小かを判定し、演算手段69にその結果を出力する。演算手段69は、周波数が所定の周波数より大との判定結果を入力すると、パルスカウンター67でカウントされた数値が6以下の場合に、LED70cの点灯命令を表示手段70に出力する。
【0062】
以上のように、本実施例によれば、共振回路ブロック64のサーチコイル64aに発生する電流を、前記電流の変動範囲内に設定した基準値と比較する比較器66の出力する矩形波パルスの数をカウントするパルスカウンター67の出力と、周波数検知手段68の出力を組み合わせて演算する演算手段69を有し、その演算結果に基づき表示する表示手段70を有するので、誘導加熱調理器に使用可能な鍋か否かを判断するとともに、出力がどのようになるかを分類表示することのできる鍋材質識別器具を提供することができる。
【0063】
また、スイッチ61を投入すると全回路に電池60の電圧が供給され、電池60が所定の範囲内の電圧を出力していれば、表示手段70はLED70aを点灯するので、LED70aの点灯の有無で電池60が消耗しているかいないかを確認することができる。また、スイッチ61を投入した状態で、スイッチ62を投入すると、負荷鍋に近接させたサーチコイル64aに減衰振動を発生して識別動作を開始し、比較器66とパルスカウンター67と周波数検知手段68と演算手段69からなる識別手段71の出力結果が「使用可能」となれば、表示手段70はLED70aを消灯して、LED70b〜70dの何れかを点灯して、誘導加熱調理器に使用可能であるとともに、その場合の加熱出力を三段階に分類して表示することができる。また、スイッチ61は投入動作が終われば接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとし、スイッチ61が遮断することで電池61は全ての回路と遮断されるので、使用後の電池の消費電力を最小限に抑制することができ、スイッチ61切り忘れによる電池の消耗を防止する事ができる。
【0064】
なお、上記実施例2で、パルスカウンター67により比較器66の矩形波パルスの発生パルス数をカウントしたがパルス幅を積分してその積分値を、識別条件に使用しても、同様に識別することができる。
【0065】
なお、上記実施例では、消費電力を節約するために減衰振動を1回だけ発生させる構成としたが、必要に応じて複数回発生させてもよい。例えば、一定周期で、減衰振動を発生させ、その結果に応じて、識別手段45の出力を変更する構成とすれば、電源スイッチ12を投入し直すことなく、再測定をして表示することができる。
【0066】
(実施例3)
以下本発明の第3の実施例について、図面を参照しながら説明する。図6において、識別タイミング発生手段80は、端子Vc’から減衰振動に略比例する電圧波形を読み込み、Va’から基準電圧を入力して減衰振動発生後、図7(a)あるいは図7(b)に示すようなあらかじめ決められた二つのタイミングt2,t3におけるタイミングパルスと、減衰振動から得られた矩形波パルスを識別手段95に出力する。識別手段95はタイミングt2,t3において矩形波パルスのHi,Loのレベルを読み込み、その読み込み結果に対応した信号を表示手段96に出力する。表示手段96はこの結果を論理演算して3個のLEDのどれを点灯するかを決定する。
【0067】
以上のように構成された鍋材質識別器具についてその動作を説明する。図7(a)に示すような、減衰振動波形がVc’から入力され、減衰振動の収束レベルに相当する直流電源からVa’を入力し、それぞれの入力は抵抗81〜85で分割され、比較器83に入力される。比較器83は、図7(a)で示すように、減衰振動と、減衰振動の中心に対して少し、低レベルとなるようにした基準レベルVoとを比較し、図7(b)に示すような矩形波パルスを出力する。ただし、これは、実施例1と同様にして、サーチコイル(図示していない)を鉄ホーロー鍋に、磁気結合させて得られた減衰振動を入力した場合である。
【0068】
フリップフロップ88は、Vr端子からリセット信号Hiを入力すると、出力QをLoとし、タイマー88,89と、フリップフロップ90,91をリセットする。このため、フリップフロップ90の反転出力端子(反転Q)はHiとなるので赤色LED99のみ点灯する。Vr端子のリセット解除信号Loを入力した後、減衰振動が発生すると比較器83は矩形波パルスを出力するので、フリップフロップ87はクロック入力端子(CK)で入力した最初の立ち上がりエッジ(時点t1)で、データ入力端子(D)のレベルを読み込み、出力端子(Q)にHiを出力するので、タイマー88,89が計時動作を開始する。タイマー88はT3時間経過するとタイムアップし、時点t3でフリップフロップ90のクロック入力端子(CK)に図8(g)で示すように、タイムアップ信号を出力する。同様に、タイマー89はT2時間経過するとタイムアップし、時点t2でフリップフロップ91のクロック入力端子(CK)に図8(f)で示すように、タイムアップ信号を出力する。
【0069】
図7(b)あるいは図8(a)で示すように、鉄ホーロー鍋の場合には、減衰率が大であり、時点t3においては、減衰振動の振幅は微小になっているので、基準レベルVoに到達しない。従って、フリップフロップ90のデータ入力端子(D)のレベルはHiであり、フリップフロップ90の反転出力端子(反転Q)の出力はLoとなる。一方時点t2を減衰振動の振幅が十分大きく、比較器83の出力がHiとなる位相に設定しており、フリップフロップ91のデータ入力端子(D)のレベルがHiとなり、フリップフロップ91の反転出力端子(反転Q)はLoとなる。この結果、赤色LED99が消灯し、二つの緑色LED97,98が点灯し、ほぼ定格出力に近い十分な出力が得られることを表示する。
【0070】
次に、他の材質の鍋とサーチコイルを磁気結合させた場合について説明する。図8は、各種材質における、比較器83の出力する矩形波パルス波形を示す。ただし、この図では、減衰振動発生初期の部分が省略されている。例えば、鉄ホーロー鍋の場合を示す図8(a)は図7(b)の初期の部分が省略されたものである。図8(b)は厚みが約1mmの非磁性SUS鍋の場合の、比較器83の出力する矩形波パルスである。この場合、減衰率が大きいので比較器83の出力する矩形波パルスは時点t3においてHiとなり、フリップフロップ90の反転出力端子(反転Q)はLoとなる。一方、この鍋の場合図8(a)の鉄ホーロー鍋と振動周波数において差があり、鉄ホーロー鍋の場合と比較して、振動周波数が高くなる。これを考慮に入れて、時点t2を比較器83の矩形波出力パルスが、この場合にLoで、鉄鍋の場合にHiとなる位相に設定しており、フリップフロップ91の反転出力端子(反転Q)はLoとなって、フリップフロップ91の反転出力端子(反転Q)はHiとなり、緑色LED97のみ点灯して、使用可能であるが火力が定格出力の80%以下となることを表示する。
【0071】
また、図8(c)で示すアルミ製鍋の場合と、図8(d)で示す陶器(セラミック)製鍋の場合は、減衰率が小であるので、パルスの継続時間が長く、時点t3をともにLoとなる時点に設定して、フリップフロップ90の反転出力端子(反転Q)がHiとなるようにしている。この結果赤色LED99が点灯し、緑色LED97,98はともに消灯して、使用不可能であることを表示する。
【0072】
また、図8(e)で示す非磁性ステンレスとアルミ等の7層の合板製鍋の場合は、減衰率は図8(a)の鉄ホーロー鍋より小さくパルスの継続時間は長いが、時点t3を最後のパルスの発生後に設定しているので、比較器83の出力は時点t3ではHiとなり、フリップフロップ90の反転出力(反転Q)はLoとなる。また、時点t2は比較器83の矩形波出力がLoとなる位相に設定されているのでフリップフロップ91の反転出力(反転Q)はHiとなる。従って、緑色LED97のみが点灯して、使用可能であるが、定格出力の約80%以下の加熱出力が得られることを表示する。
【0073】
以上のように、本実施例によれば、減衰振動を電圧波形に変換して読み込み、減衰振動をその変動範囲内に設定した基準レベル(Vo)と比較する比較器83を有し、前記減衰振動発生後、減衰振動の減衰量を識別できるタイミング(図8の時点t3)で、フリップフロップ90が、前記比較器83の出力信号を検知し、その検知結果に応じて使用可否の信号を表示手段96に出力して保持するので、表示手段96のLED99の点灯、消灯により、誘導加熱調理器で使用可能な鍋材質か否かを判別するとともに、リセット端子Vrからリセット信号を入力するまであるいは電源が遮断されるまで、表示を継続する鍋材質識別器具を提供することができる。
【0074】
また、図8の(c)と(d)で示すアルミ製鍋と陶器製鍋の場合はともに減衰量が小さく誘導加熱調理器には使用できないが、前記識別手段95は、比較器83の出力パルスが両者で重なるタイミング(時点t3)で前記比較器の出力信号のHi,Loを検知しているので、この両者の振動周波数が異なる鍋材質であっても、誘導加熱調理器で使用可能な他の材質の鍋とを識別することができる。
【0075】
なお、図8の(a),(b),(e)のように、使用可能と判断する鍋について、振幅が十分大きくて減衰振動の鍋材質による周波数差を判別できる他のタイミング(図8の時点t2)で、フリップフロップ91が前記比較器83の出力信号を検知し、その検知結果に応じて、出力レベル表示に関する信号を出力表示手段96に出力して保持し、この出力信号と、フリップフロップ90の出力信号とを、表示手段96のトランジスタ101とトランジスタ94が論理演算するので、緑色LED97,98で出力レベルの大小を表示できる鍋材質識別器具を提供することができる。
【0076】
また、実施例1〜3は、比較器、フリップフロップ、タイマー、トランジスタなどで構成したが、これらの一部あるいは全部をマイクロコンピュータに置き換えて構成してもよく、部品点数を減らし、さらに小型化を図ったり、周波数を精度よく検知して、識別精度を高めることが可能となる。
【0077】
また、実施例1〜3における被識別鍋は、液体を入れる容器に限らず、焼き物に使用する板状の負荷など、誘導加熱により加熱調理するために使用する負荷であればよく、形状や調理用途を限定するものではない。
【0083】
【発明の効果】
請求項記載の発明によれば、鍋材質をより細分化して分類することができ、単に誘導加熱調理器に使用できるか否かだけではなく、出力レベルがどのようになるかまで識別表示でき、使用者が鍋を選択する場合に、より多くの情報を使用者に与えられる鍋材質識別器具を提供できる。
【0084】
請求項記載の発明によれば、一つのスイッチで電源投入と識別動作をおこない、投入動作終了とともに電源を遮断するので、操作が簡単になるとともに、直流電源として電池を使用している場合には、電源スイッチを投入したまま放置して、制御回路での消費電力により電池が消耗してしまうような恐れをなくすことができるという効果が得られる。
【0085】
請求項記載の発明によれば、第1のスイッチを投入した時の表示モードで直流電源が正常であるかどうかや事前の注意を行うことができ、第1のスイッチを投入した状態で第2のスイッチを投入すれば識別結果に応じて表示モードが変更されることで、使用者は鍋材質に関する情報を得ることができ、また第1のスイッチを自己遮断型としていることで、測定後のスイッチの切り忘れによる電力消費を防止できるという効果が得られる。
【0086】
請求項記載の発明によれば、ひとつのタイミングにおける比較器の出力パルスを測定することによって、使用できない鍋であるアルミ製鍋と陶器製鍋の減衰振動の周波数が異なっていてもアルミ製鍋と陶器製鍋のいずれに対しても、使用できる鍋と減衰量の大小を識別することが可能で、測定タイミングを減らすことで、簡単な回路構成にでき、安価な瞬時に識別し、消費電力の少ない鍋材質識別器具を提供できるという作用を有するものである。
【0087】
請求項記載の発明によれば、非磁性ステンレス鍋や非磁性ステンレス−アルミの合板鍋と、鉄製の鍋とを識別するなど、減衰率だけで誘導加熱調理器による加熱出力の大小を判断するのは困難な鍋に対しても加熱出力の大小を判別することができる鍋材質識別器具を提供できるという効果が得られる。
【0088】
請求項記載の発明によれば、減衰振動を比較器でのデジタル的な出力に変換して、誘導加熱調理器に適する鍋か否か、あるいはその出力レベルが、どのような範囲にあるかをマイクロコンピュータなどの演算素子を使用して推測でき、簡単な構成で小形の識別精度の良い鍋材質識別器具を提供できるという効果が得られる。
【0089】
請求項記載の発明によれば、電源スイッチの操作時にケース底面を押し当てる力が働き、ケース底面に設けられたサーチコイルと鍋が密着するので、操作時にサーチコイルと鍋底との間に隙間が生じ、正確な識別ができなくなるのを防止することができ識別誤差の少ない鍋材質識別器具を提供することができるという効果が得られるという効果が得られる。
【0091】
請求項記載の発明によれば、識別手段が検知した材質であり所定の形状の鍋を誘導加熱調理器で加熱したときに得られる最大加熱出力電力あるいは最大消費電力の、誘導加熱調理器の加熱手段の定格出力電力あるいは定格消費電力に対する比率の推定値を表示するようにした鍋材質識別器具としているので、最大出力の異なる誘導加熱調理器の機種毎の、出力レベルを切り替えて表示する必要がなく、また、逆に、この鍋材質識別器具で一定の基準を設定しておけば、これに合わせて、出力抑制手段や過電流・過電圧抑制手段、あるいは鍋材質検知手段などのリミット値を標準化して、誘導加熱調理器の各種材質における鍋での使用可否や、出力レベルが大幅に異ならないようにして、機種の差で使用できる鍋と使用できない鍋があったり、出力レベルが大幅に異なるというようなことの起こるのを防止し、使用者が誘導加熱調理器の機種にかかわらず、鍋を安心して選択できる鍋材質識別器具を提供できるという効果が得られる。
【0092】
請求項記載の発明によれば、誘導加熱調理器の負荷検知装置が動作して加熱調理が不可能となる範囲と、使用可能範囲の境界付近の鍋材質であることを表示するようにしているので、鍋底の形状や、材質の均一さの状況や、誘導加熱調理器の機種や、加熱部へ載置する場合の位置や、あるいは、使用による経年変化により、使用不可能となったり、使用可能となったりする可能性が強いことを使用者に報知し、鍋入手後のトラブルを防止する鍋材質識別器具を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における鍋材質識別器具の回路ブロック図
【図2】同、鍋材質識別器具の断面図
【図3】同、鍋材質識別器具の平面図
【図4】同、鍋材質識別器具の動作を示す波形図
【図5】本発明の第2の実施例における鍋材質識別器具の回路ブロック図
【図6】本発明の第3の実施例における鍋材質識別器具の回路ブロック図
【図7】同、鍋材質識別器具の動作を示す波形図
【図8】同、鍋材質識別器具の他の種類の鍋における動作を示す波形図
【図9】従来の実施例における鍋材質識別器具の回路ブロック図
【図10】同、鍋材質識別器具の動作を示す波形図
【図11】同、鍋材質識別器具の他の種類の鍋における動作を示す波形図
【符号の説明】
11 電池(直流電源)
12 スイッチ
15 サーチコイル
16 トランジスタ(スイッチング素子)
18 共振コンデンサ
21 コンデンサ(遅延手段)
22 リセット手段
23 制御手段
28 比較器
40,41,42,48 LED(表示手段)
44 継続時間測定手段
45 識別手段
46 表示手段
51 下ケース
52 上ケース
54 鍋
55 フェライト板(磁気遮蔽部材)
80 識別タイミング発生手段(識別手段)
83 比較器
87,90,91 フリップフロップ(識別手段)
94,101 トランジスタ(演算手段)
97,98,99 LED(表示手段)

Claims (9)

  1. スイッチング素子を駆動して直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに減衰振動を発生する制御手段を備え、前記減衰振動により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記減衰振動を観測して前記減衰振動が所定量に最後に到達するまで、あるいは略終了するまでの継続時間の長短を識別する継続時間測定手段と、前記減衰振動の周波数を観測して鍋材質が磁性である場合と非磁性である場合の前記減衰振動の周波数差を検知する周波数検知手段を備え、前記継続時間測定手段と前記周波数検知手段の測定結果を誘導加熱調理器で加熱できる鍋について材質を細分化して分類すべく組み合わせることにより、前記鍋を誘導加熱調理器に使用した場合の誘導加熱調理器の出力レベルを推定する演算手段と、前記演算手段の出力に応じて表示する表示手段を有する鍋材質識別器具。
  2. スイッチング素子を駆動して直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段と、前記直流電源からの電源供給を行うあるいは遮断する電源スイッチとを備え、前記共振電流により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記共振電流を観測して鍋材質を識別する識別手段と、前記識別手段の出力結果に応じて鍋材質を分類表示する表示手段を備え、前記電源スイッチ投入後、前記制御手段は所定の待機時間後、鍋材質識別のための共振電流を発生させ、前記電源スイッチは投入動作を停止すると接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとした鍋材質識別器具。
  3. スイッチング素子を駆動して直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段とを備え、前記共振電流により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記共振電流を観測して鍋材質を識別する識別手段と、前記識別手段の出力結果に応じて、鍋材質を分類表示する表示手段を備え、第1のスイッチは投入動作を停止すると接点を自己遮断する自己遮断型スイッチとし、前記第1のスイッチが遮断することで前記直流電源は前記表示手段から遮断され、前記第1のスイッチを投入した状態で、第2のスイッチを投入すると、前記制御手段は共振電流を発生させ、前記識別手段は識別動作を開始し、前記表示手段は前記識別手段の出力結果に応じて、表示を変更する鍋材質識別器具。
  4. スイッチング素子を駆動して直流電源のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに減衰振動を発生する制御手段とを備え、前記減衰振動により前記サーチコイルから発生する交流磁界で前記サーチコイルと鍋を磁気結合させる鍋材質識別器具であって、前記減衰振動を観測して鍋材質を識別する識別手段と、識別手段の出力結果に応じて鍋材質を分類表示する表示手段を備え、前記減衰振動を、その変動範囲内に設定した基準レベルと比較して矩形波パルスに変換する比較器を有し、前記識別手段は減衰率が大きく誘導加熱調理器に適すると判断する鍋で得られる前記減衰振動が略終了する以降のタイミングであって、前記減衰振動の減衰率がともに小さく誘導加熱調理器に使用することができないと判断すべき鍋でありかつ振動周波数が相互に異なる鍋であるアルミ製鍋と陶器製鍋で得られる前記比較器の出力パルスが重なる第1のタイミングで前記比較器の出力信号のHi、Loを検知し、その検知結果をもとに使用可能な鍋材質か、使用できない鍋材質であるアルミ製と陶器製のいずれかであるかを判別する鍋材質識別器具。
  5. 減衰振動発生後、前記減衰振動の鍋材質がともに使用可能な鉄である場合と非磁性ステンレスである場合の周波数があること比較器の出力信号のHi、Loで判別できる位相に設定した第2のタイミングで比較器の出力信号を検知し、この検知結果と第1のタイミングで検知した検知結果とを組み合わすべく演算することにより、鍋材質が誘導加熱調理器に使用可能な材質か、使用できないアルミ製と陶器製のいずれかの材質であるかに加え、使用可能な鍋材質が鉄である場合と非磁性ステンレスである場合に得られる加熱出力の大小を判別する請求項に記載の鍋材質識別器具。
  6. 減衰振動を、その変動範囲内に設定された基準レベルと比較する比較器と、継続時間測定手段に代え、前記比較器の出力信号を所定期間積分する積分手段あるいは前記比較器の出力パルスをカウントするパルス計数手段を有し、前記継続時間測定手段の出力に代え、前記積分手段あるいは前記パルス計数手段の出力に応じて、鍋材質を分類表示する表示手段を有する請求項に記載の鍋材質識別器具。
  7. スイッチング素子を駆動して電池のエネルギーでサーチコイルと共振コンデンサに共振電流を発生する制御手段をケース内に設け、前記サーチコイルを前記ケース底部の外側または内側に設けるとともに、前記ケース上部に電源スイッチを設け、前記ケース底部を鍋底に当接し、前記電源スイッチを操作して前記鍋の材質を分類表示する請求項に記載の鍋材質識別器具。
  8. 表示手段は、識別手段が検知した材質であり所定の形状の鍋を誘導加熱調理器で加熱したときに得られる最大加熱出力電力あるいは最大消費電力の、前記誘導加熱調理器の加熱手段の定格出力電力あるいは定格消費電力に対する比率の推定値を表示するようにした請求項に記載の鍋材質識別器具。
  9. 表示手段は、識別手段が検知した鍋材質が、誘導加熱調理器の負荷検知装置が動作して加熱調理が不可能となる範囲と、使用可能範囲の境界付近であることを表示するようにした請求項又はに記載の鍋材質識別器具。
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