JP4863974B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導加熱調理器に関し、特に比抵抗(抵抗率)の小さい例えばアルミ、銅などの容器を検出する検出手段を有する誘導加熱調理器に関するものである。
図7は、従来の誘導加熱調理器の回路図である。図において、51は直流電源、52は前記直流電源51間に接続されたインバータ回路で、第1及び第2トランジスタ53、54と、該第1及び第2トランジスタ53、54に夫々並列に接続されたダイオード55、56よりなる。57は前記第1トランジスタ53に並列に接続された負荷回路で、誘導加熱コイル58及び共振コンデンサ59よりなる。
上記のように構成された従来の誘導加熱調理器の動作を、前記図7と図8の動作波形図を用いて説明する。
前記第1及び第2トランジスタ53、54の各ベースには、オン・オフ信号A、Bが各々印加される。まず、信号Bにより前記第2トランジスタ54がオンとなると、直流電源51から電流I1が流れ、第2トランジスタ54がオフ、第1トランジスタ53がオンになると、電流I2が流れる。この電流I2がゼロになると負荷回路57を流れる電流が反転し、電流I3が流れる。続いて、再び前記第2トランジスタ54がオン、第1トランジスタ53がオフとなるが、しばらくの間電流I4が流れる。このようなインバータ回路52の動作によって、高周波電流が誘導加熱コイル58に供給され、誘導加熱コイル58の上に載せられた適正負荷(鍋)とされる鉄鍋などの誘導加熱を行う(例えば、特許文献1参照)。
特公昭63−049872号公報(第5頁、第1、第2図)
しかしながら、従来の誘導加熱調理器においては、負荷鍋として利用者に用いられる可能性のある例えばアルミ、銅などの材質による鍋は、適正鍋とされる鉄、ステンレスなどの材質の鍋と比較して著しく比抵抗(抵抗率)が小さい。そのため、アルミ、銅などの材質の鍋を加熱コイルの上に載せて、前記鉄、ステンレスなどの材質の鍋と同様に加熱コイルに高周波電流を供給して誘導加熱動作を行うと、加熱コイルを含む負荷回路のインピーダンスが著しく小さいため、回路及び要素部品に過電流が流れて、過温度上昇などを引き起こし、要素部品等が破損するおそれがあるという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、比抵抗(抵抗率)の著しく小さい例えばアルミ、銅等の材質による容器を識別し、回路及び要素部品への過電流を防いで、要素部品等の破損防止のできる誘導加熱調理器を得ることを目的とする。
発明に係る誘導加熱調理器は、商用電源を直流に変換する直流電源回路と、この直流電源回路の出力を高周波電圧に変換するインバータ回路と、このインバータ回路に接続され平面状に配設されたインダクタンスの異なる2つの誘導加熱コイル共振コンデンサからなる負荷回路と、2つの誘導加熱コイルを切り替える切り替え手段と、インバータ回路を駆動するインバータ駆動手段と、負荷回路に流れる電流を検出する電流検出手段とを備えた誘導加熱調理器に於いて、負荷回路に電圧パルスを印加して電流を振動させる振動電流測定区間における振動電流を積分する積分回路と、この積分回路から得られる積分電圧と基準電圧とを比較する比較器と、比較器の比較結果に基づいて、2つの誘導加熱コイルのいずれか一方を選択する制御手段と、選択された加熱コイルに調理容器を載置するように促す切り替え表示手段と、を備え、制御手段は、比較器の比較結果に基づいて、使用される調理容器の比抵抗の大小を判定し、比抵抗の小さい調理容器の場合は、インダクタンスの大きい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器をインダクタンスの大きい誘導加熱コイルに載置するように促し、比抵抗の大きい調理容器の場合は、インダクタンスの小さい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器をインダクタンスの小さい誘導加熱コイルに載置するように促すものである。
本発明の誘導加熱調理器は、負荷回路に電圧パルスを印加して電流を振動させる振動電流測定区間における振動電流を積分する積分回路と、この積分回路から得られる積分電圧と基準電圧とを比較する比較器と、比較器の比較結果に基づいて、2つの誘導加熱コイルのいずれか一方を選択する制御手段と、選択された加熱コイルに調理容器を載置するように促す切り替え表示手段と、を備え、制御手段は、比較器の比較結果に基づいて、使用される調理容器の比抵抗の大小を判定し、比抵抗の小さい調理容器の場合は、インダクタンスの大きい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器をインダクタンスの大きい誘導加熱コイルに載置するように促し、比抵抗の大きい調理容器の場合は、インダクタンスの小さい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器をインダクタンスの小さい誘導加熱コイルに載置するように促すようにしたので、利用者が例えばアルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器を加熱コイルの上に載せて運転開始させた場合でも、比抵抗の小さい材質の容器における誘導加熱した際の過電流による回路及び要素部品の破損を防止することができる。
参考例1.
図1は参考例1における誘導加熱調理器の回路構成図である。
図1において、1は商用電源、2は商用電源1を直流に変換する直流電源回路、3は前記直流電源2間に直列接続されたインバータ回路で、例えばIGBTの各々第1スイッチング素子4及び第2スイッチング素子5で構成されている。6は前記第2スイッチング素子5に並列に接続された負荷回路で、誘導加熱コイル(以下、加熱コイルという)7、共振コンデンサ8より構成される。9は前記負荷回路6に流れる電流を検出する電流検出手段の例えばカレントトランス、10は前記加熱コイル7の上に載せられる容器である。
11は前記カレントトランス9からの検出電流を入力し、検出電流を基に電圧を検知する電圧検知回路で、図2に該電圧検知回路の回路構成の一例を示す。尚、図2において前記図1と同一又は相当部分には同一符号を付し説明を省略する。図2において、21はダイオードブリッジよりなる整流回路で、この整流回路21間には抵抗22及びコンデンサ23が接続され積分回路を構成している。24はコンパレータであり、このコンパレータ24の入力側の一端には前記積分回路の出力点が入力され、他端には抵抗25及び抵抗26で構成される抵抗分割回路により、基準電圧が入力される。27は前記整流回路21間に並列接続された抵抗である。
12は前記インバータ回路3の前記第1、第2スイッチング素子4、5を交互に導通させるべく駆動信号を与えるインバータ駆動手段、13は前記電圧検知回路からの電圧情報を基に、使用される容器の比抵抗の大小を識別し、前記インバータ駆動手段12の駆動を制御する例えばマイコン等により構成される制御手段である。
次に上記のように構成された誘導加熱調理器の動作について説明する。
商用電源1より入力された交流電流は、直流電源回路2によって整流されて直流に変換され、前記第1、第2スイッチング素子4、5により構成されるインバータ回路3に入力される。前記第1、第2スイッチング素子4、5はインバータ駆動手段12からの駆動信号により高周波で交互にオン・オフ駆動され、前記負荷回路6に高周波の矩形電圧を印加する。負荷回路6は加熱コイル7、共振コンデンサ8により直列共振回路を構成しているため、前記インバータ回路3からの電圧印加により高周波の共振電流が流れる。この電流により前記加熱コイル7に高周波磁界が発生し、この高周波磁界により加熱コイル7の上に載せられた容器10の底部に渦電流を発生させる。渦電流は容器底部を流れ、この渦電流と容器抵抗成分のジュール熱で発熱し誘導加熱される。
使用者により、加熱対象として、加熱コイル7の上に載せられる可能性のある容器10としては、例えば鉄、ホーロー、ステンレス、アルミ、銅等の材質のものがある。しかるに、前記容器10としての前記容器材質の中で、例えばアルミ、銅等による材質の容器を使用した場合、アルミ、銅などは著しく比抵抗(抵抗率)が小さいことから、前記鉄、ステンレス等の比較的比抵抗の大きい材質の容器と同様の方法で誘導加熱を行うと、過剰な電流が第1、第2スイッチング素子4、5や、加熱コイル7、共振コンデンサ8等の要素部品に流れ、過温度上昇、破損等を引き起こすおそれがある。そのため、誘導加熱調理器の運転開始直後、直ちに誘導加熱動作を行わず、誘導加熱開始前に一定期間の容器の判定期間を設けて、加熱対象として加熱コイル7の上に載せられる可能性のある、前記アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器を識別する判定動作を行うようにする。
以下に、前述した運転開始直後、誘導加熱開始前の一定期間に行う、容器の判定動作について、前記図1、図2及び図3の動作波形図を用いて説明する。尚、前記図3において、左図(イ)は、前記容器10として、前述した比抵抗の大きい適正容器とされる鉄、ステンレス等の材質の容器を使用した場合の動作波形図であり、右図(ロ)は、比抵抗の著しく小さいアルミ、銅等の材質の容器を使用した場合の動作波形図である。また、図中(a)は負荷回路6への印加電圧、(b)は負荷回路6に流れる共振電流、(c)は前記電圧検知回路11のコンデンサ23の電圧、(d)は同じくコンパレータ24の出力をそれぞれ表す。
まず前記インバータ駆動手段12により、運転開始直後、前記インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5に駆動信号を出力し、前記第1、第2スイッチング素子4、5を交互にオン・オフ動作させる。このオン・オフ動作における、前記第1スイッチング素子4の導通時間(オン時間)を第2スイッチング素子5の導通時間より十分短くすると、インバータ回路3の出力点から前記負荷回路6には、図3(a)に示すようなパルス状の電圧が印加される。尚、図3に表す振動期間、すなわち、前記第2スイッチング素子5の導通時間は、少なくとも負荷回路6の加熱コイル7と共振コンデンサ8で定まる共振周期の3倍程度の長さとする。
前記パルス電圧の印加により、負荷回路6の加熱コイル7、共振コンデンサ8の経路に、共振電流が流れる。そして、パルス電圧印加後、この共振電流は、前記振動期間において、前記(イ)の比抵抗の大きい材質の容器の場合と、前記(ロ)の比抵抗の著しく小さい材質の容器の場合とで夫々磁気結合した前記加熱コイル7のインダクタンスと共振コンデンサ8の静電容量とに応じた共振周期で、図3(b)に示すように、振動する(以下、振動電流という)。
そして、前記振動電流は、前記(イ)の場合、即ち抵抗成分が比較的大きい鉄、ステンレス等による材質の容器の場合は、該容器の抵抗成分による電力消費により、一定期間流れた後は減衰しゼロとなる。一方、前記(ロ)の場合、即ち抵抗成分が鉄やステンレス等と比べ著しく小さい、アルミ、銅等による材質の容器の場合は、抵抗成分による電力消費が少ないため、ほとんど減衰しない。負荷回路6に流れたこの振動電流は、加熱コイル7の一端側に設けられた電流検出手段の前記カレントトランス9により検出され、前記電圧検知回路11に出力される。
前記電圧検知回路11に入力された前記振動電流は、前記図2に示す電圧検知回路11の整流回路21により全波整流された後、抵抗22及びコンデンサ23で構成される積分回路により積分され、振動電流に応じた積分電圧に変換される。この積分回路の出力電圧、すなわちコンデンサ23の電圧は、図3(c)の電圧波形に示すように、前記(イ)の比抵抗の大きい材質の容器の場合は、振動電流の減衰と同様に徐々に減衰する。一方、前記(ロ)の比抵抗の著しく小さい材質の容器の場合は、振動電流の減衰が少ないことから、減衰の少ない電圧波形となる。そこで、前記(イ)と(ロ)の場合で夫々得られる電圧に、図3(c)に表す閾値を設定することにより、容器の識別が可能となる。
すなわち、前記コンパレータ24において、入力側の一端に入力される前記(イ)と(ロ)の場合の積分回路による振動電流に応じた積分電圧、すなわち前記コンデンサ23の電圧と、他端に入力される前記閾値の基準電圧となる前記抵抗25及び抵抗26で構成される抵抗分割回路による定電圧との比較を行う。このコンパレータ24での比較の結果、コンパレータ24の出力側は、図3(d)に示すように、前記(イ)の比抵抗の大きい材質の容器の場合は、前記コンデンサ23の電圧が前記閾値(基準電圧)を上回る部分で断続的な矩形電圧波形を出力する。一方、前記(ロ)の比抵抗の著しく小さい材質の容器の場合は、前記コンデンサ23の電圧が前記閾値(基準電圧)を常に上回り、したがって一定電圧を継続して出力する。
前記制御手段13は、前記コンパレータ24からの前記電圧出力情報を入力し、前記コンパレータ24から継続した一定電圧が入力された場合は、容器10が、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定し、前記インバータ駆動手段12へ駆動停止信号を出力し、インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5の駆動を停止して、誘導加熱動作を行わないようにする。一方、前記コンパレータ24から断続的な矩形電圧が入力された場合は、容器10が鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定し、前記インバータ駆動手段12へ通常の誘導加熱動作を行うための駆動信号を出力し、インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5を動作させて誘導加熱動作を行う。
以上のように、誘導加熱調理器の運転開始直後、誘導加熱開始前の一定期間、加熱コイルの上に載せられた容器の判定を行い、例えばアルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合には、インバータ駆動手段へ駆動停止信号を出力し、その後の誘導加熱動作を行わないようにしたので、比抵抗の小さい材質の容器における誘導加熱した際の過電流による回路及び要素部品の破損を防止することができる。
参考例2.
参考例における誘導加熱調理器は、上記参考例1の図2に示す電圧検知回路11の中の一部が相違するものであり、図4に本参考例における電圧検知回路の回路構成図を示す。尚、図4において、上記参考例1の図2と同一又は相当部分には同一符号付し説明を省略する。
前記図4の回路構成において、上記参考例1の図2と異なる点は、ダイオードブリッジ21、抵抗22及びコンデンサ23をなくし、ダイオード31を追加した点である。図4に示すように、前記カレントトランス9の一端は、電圧検知回路11のGNDに接続され、他端は前記ダイオード31に接続されている。
参考例では、前記ダイオードブリッジ21、抵抗22及びコンデンサ23を用いない構成で、上記参考例1同様に加熱コイル7の上に載せられた容器10の判定を行うようにしたものである。
前記図4に示す電圧検知回路の構成以外は、上記参考例1の図1と同様であるため、運転開始直後、誘導加熱開始前の一定期間に行う、インバータ回路3による負荷回路6へのパルス電圧印加動作から始まって、カレントトランス9による検出電流が電圧検知回路11に入力される動作までは、上記参考例1で述べたことと同様であるので、ここでの説明を省略し、ここではそれ以降の動作について前記図4の回路構成図と図5の動作波形図を用いて説明する。
尚、前記図5において、左図(イ)は上記参考例1の図3と同様、容器10として、鉄、ステンレス等の比抵抗(抵抗率)の大きい材質の容器を使用した場合の動作波形図であり、右図(ロ)は同じく、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器を使用した場合の動作波形図である。また、図中、(a)、(b)は上記参考例1の図3と同様、各々負荷回路6への印加電圧、負荷回路6に流れる共振電流であり、(e)は前記図4の抵抗27の電圧、(f)は同じくコンパレータ24の出力をそれぞれ表す。
前記図5(b)に示す(イ)の鉄、ステンレス等の比抵抗(抵抗率)の大きい材質の容器を使用した場合と、(ロ)のアルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器を使用した場合の負荷回路6に流れる振動電流は、カレントトランス9で検出され電圧検知回路11に出力される。前記電圧検知回路11に入力された前記(イ)、(ロ)の場合の検出電流は、前記ダイオード31により半波整流された電流となって抵抗27に流れる。そのため、抵抗27に生じる電圧は、前記(イ)、(ロ)の場合で、前記振動電流の半波整流された電流に対応した図5(e)に示すような半波整流の電圧波形となる。そこで、前記(イ)と(ロ)の場合で夫々得られる電圧に、上記参考例1と同様に、前記図5(e)に表す閾値を設定することにより、容器の識別が可能となる。
すなわち、前記コンパレータ24において、入力側の一端に入力される前記図5(e)に示す(イ)と(ロ)の場合の半波整流波形の前記抵抗27の電圧と、他端に入力される前記閾値の基準電圧となる前記抵抗25及び抵抗26で構成される抵抗分割回路による定電圧との比較を行う。このコンパレータ24での比較の結果、コンパレータ24の出力側は、図5(f)に示すように、前記(イ)と(ロ)の場合で夫々、半波整流された電流に対応した半波整流波形の前記抵抗27の電圧が前記閾値(基準電圧)を上回る部分で矩形電圧波形を出力する。図5(f)で示されるように、前記(イ)の場合は、コンパレータ24から矩形電圧波形が断続的に出力され、一方、(ロ)の場合は、矩形電圧波形が継続して出力される。
前記制御手段13は、前記コンパレータ24からの前記電圧出力情報を入力し、図5(f)の(ロ)に示すような継続した矩形電圧波形が入力された場合は、容器10が、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定し、前記インバータ駆動手段12へ駆動停止信号を出力し、インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5の駆動を停止して、誘導加熱動作を行わないようにする。一方、図5(f)の(イ)に示すような断続的な矩形電圧波形が入力された場合は、容器10が、鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定し、前記インバータ駆動手段12へ通常の誘導加熱動作を行うための駆動信号を出力し、インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5を動作させて誘導加熱動作を行う。
以上のように、上記参考例1同様に、運転開始直後、誘導加熱開始前の一定期間、加熱コイルの上に載せられた容器の判定を行い、例えばアルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合には、インバータ駆動手段へ駆動停止信号を出力し、その後の誘導加熱動作を行わないようにしたので、上記参考例1同様に、比抵抗の小さい材質の容器における誘導加熱した際の過電流による回路及び要素部品の破損を防止することができる。
参考例3.
参考例における誘導加熱調理器は、アルミ、銅等の比抵抗の小さい材質の容器と判定された場合に、該比抵抗の小さい容器での誘導加熱を可能にするようにしたものである。尚、本参考例における誘導加熱調理器の構成等は、上記参考例1の図1と同様であるので、ここでの図示と説明を省略する。
また、アルミ、銅等の比抵抗の小さい材質の容器と、鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器の判定の仕方については、上記参考例1或いは2で述べたことと同様であるので、ここでの説明を省略し、ここでは、アルミ、銅等の比抵抗の小さい材質の容器と判定された場合の、誘導加熱動作について説明する。
上記参考例1或いは2で述べた方法により、前記制御手段13で、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、前記制御手段13は、前記インバータ回路3の第1、第2スイッチング素子4、5の駆動周波数を上げるよう、前記インバータ駆動手段12へ駆動信号を出力する。例えば、適正容器とされる鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定された場合は、前記インバータ回路3の駆動周波数を例えば20Hz程度とし、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、前記インバータ回路3の駆動周波数を例えば50Hz程度に上昇させるようにする。
前記負荷回路6のインピーダンスは、前記容器10の抵抗成分及び前記加熱コイル7のインダクタンスに大きく依存する。そして、前記加熱コイル7のインダクタンスは周波数に依存することから、前記インバータ回路3の駆動周波数を上昇させることで、前記負荷回路6のインピーダンスを上昇させることができるため、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器の誘導加熱動作が可能となる。また、負荷回路6のインピーダンスを上昇させることにより、過電流の抑制ができ回路及び要素部品の破損を防止することができる。
以上のように、本参考例においては、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、前記インバータ回路3の駆動周波数を上昇させて負荷回路6のインピーダンスを上昇させるようにしたので、比抵抗の小さい容器の誘導加熱を可能にすることができる。また、負荷回路6のインピーダンスを上昇させることによって、過電流の抑制ができ回路及び要素部品の破損を防止することができる。
参考例4.
参考例における誘導加熱調理器は、アルミ、銅等の比抵抗の小さい材質の容器の誘導加熱動作を可能にする、他の形態を示すものである。
図6に、本参考例における誘導加熱調理器の回路構成図を示す。尚、図6において、上記参考例1の図1と同一又は相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
図6において、前記参考例1の図1と異なる点は、切替え手段41、及び前記加熱コイル7と異なるインダクタンスを有した加熱コイル42を備えている点である。尚、前記インダクタンスの関係は、加熱コイル7<加熱コイル42とする。
前記加熱コイル42は、前記負荷回路6の前記加熱コイル7と例えば上下に並列に配設され、前記切替え手段41は、前記インバータ回路3の出力点と、並列配設された前記加熱コイル7及び加熱コイル42との間に設けられ、前記制御手段13からの制御信号により、例えば接点を切り替えることで、前記加熱コイル7或いは加熱コイル42のいずれか一方を負荷回路6として挿入する。
上記のように構成された誘導加熱調理器において、前述した運転開始直後、誘導加熱開始前の一定期間に行う、容器の判定においては、前記加熱コイル7を負荷回路6として挿入し、上記参考例1の図1と同様の回路形成で判定動作を行うようにする。尚、判定の仕方については、上記参考例1或いは2で述べたことと同様であるので、ここでの説明を省略し、ここでは、判定後の誘導加熱動作について説明する。
上記参考例1或いは2で述べた方法により、前記制御手段13で、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、前記制御手段13は、前記切り替え手段41に制御信号を出力し、前記加熱コイル7よりインダクタンスの大きい加熱コイル42に切り替え、加熱コイル42を負荷回路6として挿入しインバータ回路3の出力点と接続して誘導加熱動作を行うようにする。
一方、制御手段13で、鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定された場合は、前記切り替え手段41により、インダクタンスの小さい前記加熱コイル7に切り替え、加熱コイル7を負荷回路6として挿入して誘導加熱動作を行うようにする。
すなわち、前記加熱コイル42は加熱コイル7と比較して、インダクタンスが大きい加熱コイルとしているため、アルミ、銅等の比抵抗の小さい材質の容器の場合でも、インダクタンスの大きい加熱コイル42に切り替えることにより、負荷回路6のインピーダンスを大きくすることができ、誘導加熱が可能となる。また、負荷回路6のインピーダンスを大きくすることによって、過電流の抑制ができ回路及び要素部品の破損を防止することができる。
以上のように、本参考例においては、インダクタンスの異なる2つの加熱コイルと、該2つの加熱コイルを切り替える切り替え手段を備え、鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定された場合は、インダクタンスの小さい加熱コイル7に切り替え、アルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、インダクタンスの大きい加熱コイル42に切り替えて負荷回路6のインピーダンスを大きくするようにしたので、比抵抗の小さい容器の場合でも、誘導加熱が可能となる。また、負荷回路6のインピーダンスを大きくすることによって、過電流の抑制ができ回路及び要素部品の破損を防止することができる。
また、インダクタンスの小さい加熱コイル7と同一の電流をインダクタンスの大きい加熱コイル42に流した場合、発生する磁束を増すことができるため、容器底部に発生する渦電流を増すことができ、比抵抗の小さな材質の容器を有効に加熱することが可能となる。
実施の形態1.
尚、上記参考例では、加熱コイル7及び加熱コイル42が例えば上下に並列に配設された場合の誘導加熱動作について説明したが、実施の形態1では、前記加熱コイル7及び加熱コイル42を例えば平面状に配設し、制御手段13でアルミ、銅等の比抵抗の著しく小さい材質の容器と判定された場合は、切り替え手段41に制御信号を出力し、インダクタンスの大きい前記加熱コイル42に切り替え、そして、例えば切り替え表示により、利用者が容器を前記加熱コイル42に載置し、鉄、ステンレス等の比抵抗の大きい材質の容器と判定された場合は、インダクタンスの小さい前記加熱コイル7に切り替え、同様に切り替え表示により、容器を加熱コイル7に載置して、誘導加熱動作を行うようにしてもよい。
参考例1における誘導加熱調理器の回路構成図である。 参考例1に係る電圧検知回路の一例を示す回路構成図である。 参考例1に係る動作波形図ある。 参考例2に係る電圧検知回路の一例を示す回路構成図である。 参考例2に係る動作波形図ある。 参考例4における誘導加熱調理器の回路構成図である。 従来の誘導加熱調理器の回路図である。 従来の動作波形図である。
1 商用電源、 2 直流電源回路、 3 インバータ回路、 4、5 第1、第2スイッチング素子、 6 負荷回路、 7 加熱コイル、 8 共振コンデンサ、 9 カレントトランス、 10 容器、 11 電圧検知回路、 12 インバータ駆動手段、 13 制御手段、 21 整流回路、 22 抵抗、 23 コンデンサ、 24 コンパレータ、 25、26、27 抵抗、 31 ダイオード、 41 切り替え手段、 42 加熱コイル。

Claims (1)

  1. 商用電源を直流に変換する直流電源回路と、この直流電源回路の出力を高周波電圧に変換するインバータ回路と、このインバータ回路に接続され平面状に配設されたインダクタンスの異なる2つの誘導加熱コイルと共振コンデンサからなる負荷回路と、前記2つの誘導加熱コイルを切り替える切り替え手段と、前記インバータ回路を駆動するインバータ駆動手段と、前記負荷回路に流れる電流を検出する電流検出手段とを備えた誘導加熱調理器に於いて、
    前記負荷回路に電圧パルスを印加して電流を振動させる振動電流測定区間における振動電流を積分する積分回路と、
    この積分回路から得られる積分電圧と基準電圧とを比較する比較器と、
    前記比較器の比較結果に基づいて、前記2つの誘導加熱コイルのいずれか一方を選択する制御手段と、
    選択された加熱コイルに調理容器を載置するように促す切り替え表示手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記比較器の比較結果に基づいて、使用される調理容器の比抵抗の大小を判定し、比抵抗の小さい調理容器の場合は、前記インダクタンスの大きい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器を前記インダクタンスの大きい誘導加熱コイルに載置するように促し、比抵抗の大きい調理容器の場合は、前記インダクタンスの小さい誘導加熱コイルに切り替え、切り替え表示により調理容器を前記インダクタンスの小さい誘導加熱コイルに載置するように促すことを特徴とする誘導加熱調理器。
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