第1の発明は鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに接続した半導体スイッチング素子を有するインバータ回路と、交流電源を整流し前記インバータ回路に電力供給する整流回路と、前記半導体スイッチング素子の両端電圧を検出する両端電圧検出回路と、前記半導体スイッチング素子をオンオフ制御する制御部と、前記加熱コイルの動作周波数を検出する周波数検出部を有し、前記インバータ回路は前記半導体スイッチング素子をオンオフして前記加熱コイルに高周波電流を供給し、前記制御部は前記半導体スイッチング素子の両端電圧の上限値を設定するとともに前記両端電圧検出回路の出力値を前記交流電源のピーク値より前のタイミングで読み込み、前記周波数検出部の検出した周波数に応じて前記両端電圧検出回路の出力電圧を補正し、この補正値が両端電圧の上限値を超えないように前記半導体スイッチング素子のオン時間を設定することにより、動作周波数に応じて、前記両端電圧検出回路の出力電圧を補正するので、前記両端電圧検出回路の周波数特性を考慮することが可能となり、前記両端電圧検出回路が高周波帯域で減衰する傾向があっても、その減衰分を補正して精度よく前記半導体スイッチング素子の両端電圧を検出
でき、例えばアルミ鍋のように通常炊飯器用に準備されている鍋より高周波の動作周波数で前記インバータ回路が動作する場合でも前記半導体スイッチング素子の両端電圧が最大定格電圧を超えないように制御することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の周波数検出部が、制御部が制御する半導体スイッチング素子のスイッチング周波数に基づいて加熱コイルの動作周波数を検出することにより、制御部を構成するマイクロコンピュータが前記半導体スイッチング素子のオンするタイミングの周期を計測することで動作周波数を検出できるので、マイクロコンピュータのクロック周波数を利用して検出することができ、前記加熱コイルの動作周波数を検出するために回路を設ける必要がなく、この回路のバラつきをなくすことができ、精度良く前記加熱コイルの動作周波数を検出することができる。
第3の発明は、特に、第1の発明の周波数検出部が、制御部が設定する半導体スイッチング素子のオン時間に基づいて加熱コイルの動作周波数を検出することにより、前記半導体スイッチング素子のオン時間のデータを利用できるので、前記加熱コイルの動作周波数を検出するための回路を設ける必要がなく、この回路のバラつきをなくすことができ、精度よく前記インバータ回路の動作周波数を検出することができ、また、回路構成を簡単にできるので、実装面積を小さくし、コンパクトな炊飯器を提供できる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の炊飯器が、交流電源の零電圧を検出し制御部に同期信号を出力する零電圧同期信号出力回路を有し、前記制御部は前記零電圧同期信号出力回路の同期信号から所定時間経過後に、両端電圧検出回路の出力電圧を読み込むことにより、両端電圧検出回路が両端電圧のピーク値近傍で検出することができる。また、両端電圧検出回路の出力電圧のピーク保持時間を短くしても読み込みタイミングを設定することで確実にピーク保持時間内に出力電圧を読み込むことができる。つまり、両端電圧検出回路の出力電圧のピーク値を精度良く読み込むことで半導体スイッチング素子の両端電圧を精度よく検出することができ、半導体スイッチング素子の両端電圧が最大定格電圧を超えないように制御することができる。
第5の発明は、特に、第4の発明の制御部が、零電圧同期信号出力回路の同期信号から交流電源の電源周波数を検出し、前記制御部は検出した電源周波数に応じて、前記零電圧同期信号出力回路の同期信号から両端電圧検出回路の出力電圧を読み込む時間を切り替えることにより、電源周波数が変わっても、電源電圧ピーク近傍で半導体スイッチング素子の両端電圧を検出することができるので、前記半導体スイッチング素子の両端電圧が最大定格を超えないように制御することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の主要部ブロック図を示すものである。
図1において、鍋1は特に図示していないが、磁性金属や非磁性金属を複数用いた積層体で構成されている。
加熱コイル2は、特に図示していないが鍋1の底面の中央部に対向した第一の加熱コイ
ルと、鍋1の底面のコーナー部に対向した第二の加熱コイルで構成される。
この第一の加熱コイルと第二の加熱コイルは電気的に直列接続している。
特に図示しないが、第一の加熱コイルは渦巻き状の形状をしており、鍋1の底面中央部に一定の距離で配置される。第二の加熱コイルは第一の加熱コイルの同心円状の外側に配置され、鍋1の底面のコーナー部に一定の距離をおいて配置されている。
加熱コイル2は複数の銅線を束ねたリッツ線を更に20数本で撚った線で構成されており、高周波電流が流れた時の電流分布を均一にしている。
インバータ回路3は、コンデンサ4と半導体スイッチング素子5とダイオード6で構成されている。インバータ回路3は、半導体スイッチング素子5をオンオフして、後述する加熱コイル2とコンデンサ3で構成される共振回路の加熱コイル2に高周波電力を供給し、鍋1を誘導加熱する。
コンデンサ4は、図1に示すように加熱コイル2に並列接続している。本実施例では高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
半導体スイッチング素子5は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子で構成されている。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、ゲート端子に電圧を印加することで大電流を流すことができるので、パワートランジスタに比べ省電力で大電流を流すことができるという利点がある。なお、本実施例では、この半導体素子にIGBTを使用している。
ダイオード6は、半導体スイッチング素子5の電流方向とは逆方向に電流が流れるように並列接続されている。
一般的にこのようなインバータ回路の構成は、加熱コイル2とコンデンサ3で並列共振回路を構成しているため、1石電圧共振形インバータといわれている。
交流電源7は、炊飯器に電力を供給するもので、交流電源7の電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっている。
整流回路8は、ダイオードブリッジ9、コイル10、コンデンサ11で構成されている。ここで、コンデンサ11の容量は数μFと小さく、加熱コイル2に電流を流すとリプルが生じる。本実施例では、このリプル電圧波形は交流電源7を全波整流した時の電圧波形と同じとなる。
両端電圧検出回路12は、半導体スイッチング素子5の両端電圧を検出する回路で、(CE)端子を複数の抵抗により所定の分圧比で分圧した抵抗分圧回路と、この抵抗分圧回路の出力電圧をピークホールドするためのエミッタフォロア回路で構成され、アナログ電圧を出力する。
制御部13は、マイクロコンピュータ14、同期信号発生回路15、駆動回路16により構成されており、半導体スイッチング素子5をオンオフ制御する。
マイクロコンピュータ14は、多数のカウンタ機能やタイマー機能を利用して、オン時間設定部19、パルス発生部20、パルス発生部20の動作周波数を検出する周波数検出部22、周波数検出部22の検出周波数に応じて両端電圧検出回路12の出力電圧値を補
正する両端電圧補正部21を構成している。また、半導体スイッチング素子5の両端電圧上限値23を予めROMによって記憶している。オン時間設定部19は両端電圧補正部21の出力値と両端電圧上限値23を比較してオン時間を設定する。オン時間設定部19は最小オン時間Ton1と最大オン時間Ton4の範囲内でオン時間を設定する。
パルス発生部20は、同期信号発生回路15の同期信号を検知すると、設定されたオン時間のハイパルスを駆動回路16に出力する。ここで、マイクロコンピュータ14は8MHz発振子と32.728kHz発振子で動作する。従って、マイクロコンピュータ14で構成されるパルス発生部20のハイパルス幅の最小設定単位は、8MHz発振子で設定される最小周期である0.125μs単位で制御される。つまり、オン時間設定部19が出力データ(8bit)を1digit変更すると、パルス発生部20のハイパルス幅が0.125μs変化するようになっている。マイクロコンピュータ14はそのほかにも表示部を制御する機能や、時計表示を行う計時機能、炊飯工程を制御する炊飯工程制御機能などを構成している。
同期信号発生回路15は、コンパレータや抵抗分圧回路などで構成され、(C2)端子を所定の比率で抵抗分圧した電圧と、(CE)端子を所定の比率で抵抗分圧した電圧をコンパレータによって比較し、(C2)端子の分圧電圧の方が高いときにハイ信号をマイクロコンピュータ14に出力し、(C2)端子の分圧電圧の方が低いときにロー信号をマイクロコンピュータ14に出力する。
駆動回路16は、特に図示しないがNPNトランジスタとPNPトランジスタで構成されたプッシュプル回路で構成され、マイクロコンピュータ14が構成するパルス発生部20の出力がハイの間、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子に電圧を印加し、IGBTをオンし、パルス発生部20がロー出力しているときはIGBTのゲート端子の電圧を0Vにして、IGBTをオフにする。なお、これは一例でプッシュプル回路を構成する部品はMOSFETなどで構成しても構わない。
入力操作部17は、複数のモーメンタリスイッチで構成されている。各スイッチが使用者により押されると、マイクロコンピュータ14はスイッチが押されたことを検出し、各スイッチに応じて、所定の動作をおこなう。
表示部18は、LCDと、赤、緑、橙などの複数のLEDで構成されている。マイクロコンピュータ14は、炊飯中や保温中などの炊飯器の状態に応じて、LCDの表示内容や点灯するLEDを設定している。LCDの表示内容としては、現在時刻の表示や、炊飯終了までの時間の表示、保温経過時間の表示などがある。
零電圧同期信号出力回路24は、特に図示していないが、交流電源7の(u)極が抵抗を介してトランジスタのベース端子に接続している。このトランジスタのコレクタ端子は交流電源7からスイッチング電源を介して生成される5V電源と、抵抗を介して接続しており、(u)極の電位がもう一方の極より高いときにローを、低いときにハイをマイクロコンピュータ14に出力する。マイクロコンピュータ14はこの出力信号に同期して、両端電圧検出回路12の電圧を入力し、両端電圧補正部21でこの電圧を補正し、両端電圧上限値23と比較して、オン時間設定部19のオン時間の設定を行う。またマイクロコンピュータ14は零電圧同期信号出力回路24の出力信号に同期して、現在時刻の表示や、炊飯制御に関する処理などを開始する。
以上のように本実施の形態の炊飯器では、半導体スイッチング素子5の動作周波数に相当する値としてパルス発生部20の動作周波数を検出し、この検出した動作周波数に応じて両端電圧検出回路12の出力電圧を補正している。
図2は本発明の第1の実施の形態の炊飯器の要部断面構成図である。図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線や、部品を固定するためのネジは省略している。
図2において、炊飯器のボディ(本体)31には、その上面を覆う蓋32が開閉自在に設置されている。ボディ31の収納部33は、その底部と側面部に加熱コイル2を配設し、加熱コイル2の外周側に放射状にフェライトコア34を配設する。加熱コイル2は鍋1の底部の中心の略真下に中心を有する巻き線である。
鍋1は、ステンレス、鉄、銅などの磁性体によって形成される。鍋1は、上端開口部に外側にせり出したフランジ35を有し、フランジ35を収納部33の上端から浮き上がった状態で載置することにより、収納部33に着脱自在に収納される。従って、鍋1は収納時に、収納部33との間に隙間を有する。
鍋1の温度を検出する温度検出手段41はサーミスタで構成され、鍋1の底部の略中心に配置されている。サーミスタは温度で抵抗値が変わるので、このサーミスタと所定の抵抗値を有する抵抗で分圧回路を構成し、所定の電圧をこの分圧回路の両端に供給することで、サーミスタの抵抗値をアナログ電圧に変換できる。図1に示したマイクロコンピュータ14は、内蔵されたAD変換器を用いてこのアナログ電圧から温度を推定する。
蓋32は、蓋加熱板36、蓋加熱コイル37、第一の回路基板38を備えている。蓋加熱板36はステンレスなどの金属で形成され、蓋32には着脱自在に設定されている。
蓋加熱コイル37は蓋32に内蔵され、蓋加熱板36を誘導加熱する。なお、蓋加熱コイル37は図1には特に図示していない。
第一の回路基板38は、スイッチ、LCD、マイクロコンピュータ14などで構成されている。
炊飯器のボディ(本体)31には、また、第二の回路基板39、巻き取り式の電源コード収納部40、冷却手段42が配されている。
第二の回路基板39は、特に図示しないが、半導体スイッチング素子5を構成するIGBT、コンデンサ4,ダイオードブリッジ9、チョークコイル10、コンデンサ11などが搭載されている。
巻き取り式の電源コード収納部40はストッパーとばねを用いて電源コードを巻き取ることを可能にしている。電源コードは、交流電源7に接続して、炊飯器に電源を供給する。電源コード収納部40は、第二の回路基板39にリード線を介して電気的に接続している。
冷却手段42は、第二の回路基板39や炊飯器本体内に発生した熱を排熱・空冷するもので、DCブラシレスモータの回転子にファンを取り付けたファンモータで構成されている。このファンモータは図1に示したマイクロコンピュータ14でオンオフ制御される。
第一の回路基板38と第二の回路基板39は、特に図示しないが、リード線で電気的に接続しており、マイクロコンピュータ14内部に構成されたオン時間設定部19、パルス発生部20により、IGBTをオンオフ制御し、加熱コイル2に高周波電流を供給する。加熱コイル2は高周波電流が流れると交番磁界を発生させ,この交番磁界により鍋1に渦電流が流れ、鍋1が発熱する。
以上のように,本実施の形態の炊飯器は、鍋1を誘導加熱し、鍋1内の調理物を加熱調理する。ここで調理物は、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。
図3は本発明の第1の実施の形態の炊飯器の加熱コイル2の動作周波数と両端電圧検出回路12の出力電圧ゲインの関係を示したグラフである。この出力電圧ゲインとは、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTの両端電圧のピーク電圧に対する両端電圧検出回路12の出力電圧の比率のことである。このとき交流電源8の電圧は100Vである。両端電圧検出回路12は上記で説明したように、(CE)端子を複数の抵抗により所定の分圧比で分圧した抵抗分圧回路と、この抵抗分圧回路の出力電圧をピークホールドするためのエミッタフォロア回路で構成され、アナログ電圧を出力する。
図3に示すように、両端電圧検出回路12の出力電圧ゲインは加熱コイル2の動作周波数が高くなるほど低下する。これは本実施の形態の両端電圧検出回路12の構成が両端電圧を複数の抵抗で分圧し、その後、ノイズ除去のためにコンデンサを入れていることによりRCの一次フィルタが発生しているためである。本実施の形態の炊飯器では、ノイズ除去のコンデンサが約1000pFで数kΩの抵抗が並列接続するため、実際の動作周波数である20kHz〜50kHzの範囲内に遮断周波数を有するフィルタ回路の構成となっている。特に一石電圧共振のインバータは、この両端電圧が数百ボルトと高電圧になるため、抵抗値を大きくし、消費電力を抑えるようにしている。そのため遮断周波数が低くなり、インバータの動作周波数の影響を受けやすくなっている。
従って、両端電圧検出回路12の出力電圧がインバータ3の動作周波数によって変動しても、両端電圧補正部21に予め動作周波数ごとの補正値を記憶しておいて、この補正値を両端電圧検出回路12の出力電圧に加えることで、実際のIGBTのコレクタ−エミッタ間電圧に近い値を検出することができる。
図4は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の半導体スイッチング素子5のオン時間と加熱コイル2の動作周波数の関係を示したグラフである。このとき交流電源6の電圧は100Vである。
図4に示すように、オン時間と加熱コイル2の動作周波数はほぼ比例関係にあるので、オン時間設定部19が設定したオン時間から加熱コイル2の動作周波数を検知することが可能となる。
なお、図4において、オン時間がTon1の時、加熱コイル2の動作周波数が50kHzになり、オン時間がTon2の時、加熱コイル2の動作周波数が40kHzになり、オン時間がTon3の時、加熱コイル2の動作周波数が30kHzになり、オン時間がTon4の時、加熱コイル2の動作周波数が20kHzになる。
図5は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の半導体スイッチング素子5のオン時間と交流電源7から供給される入力電流の関係を示したグラフである。図4でも示されているように、オン時間が長くなるほど入力電流が大きくなる。本実施の形態の炊飯器では、炊飯や保温状態に応じて最適な入力電流になるように所定のオン時間を設定している。
図6及び図7は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の主要回路の動作波形を示しており、図6は、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2にしたとき、図7は、オン時間をTon3にしたときの動作波形をそれぞれ示している。
一般的に誘導加熱を利用した炊飯器においては、交流電源7の周波数(50Hzまたは
60Hz)に対し、半導体スイッチング素子5のオンオフの周波数は20kHz以上と400倍以上の高周波である。(a)はオン時間設定部19の8bit出力を示している。(b)はパルス発生部20の出力波形を示している。(c)は半導体スイッチング素子5に流れる電流波形を示している。(d)は(CE)端子の電圧波形と(C2)端子の電圧波形を示している。(e)は同期信号発生回路15の出力波形を示しており、(CE)端子の電圧が、(C2)端子の電圧より小さい時にハイを出力し、その所定時間後にパルス発生部20がハイ出力になる。(f)は加熱コイル2に流れる電流波形を示している。
図8は本発明の第1の実施の形態の炊飯器の主要部の動作波形を示している。特に、交流電源7と零電圧同期信号出力回路24の出力信号と両端電圧検出回路12の出力信号の関係を示している。
図8において、(a)は交流電源7の両端電圧波形を示している。(b)は零電圧同期信号出力回路24がマイクロコンピュータ14に出力するパルス波形を示している。(c)はオン時間設定部19が設定するオン時間を示している。(d)は両端電圧検出回路12が両端電圧補正部21に出力するアナログ電圧波形を示している。(e)は半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのコレクタ電圧(CE)端子の包絡線波形を示している。
図6、図7、図8の動作波形についての詳細説明は後述する。
図9は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の温度検知部のタイムチャートとスイッチング手段のオン時間のタイムチャートを示している。(a)は温度検知部が検知した鍋底温度のタイムチャートを示している。(b)はスイッチング手段のオン時間のタイムチャートを示している。
図9(b)のスイッチング手段のオン時間のタイムチャートは、縦軸でスイッチング手段のオン時間を示し、横軸に、このオン時間でスイッチング手段をオンオフし加熱コイルに高周波電流を流す期間を示している。
図1から図9を用いて、本実施の形態の炊飯器の動作を説明する。
図9のS0において、図2に示した炊飯器の蓋内に配置された第一の回路基板38に実装された複数のモーメンタリスイッチ(入力操作部17)のうち、炊飯スタートを意味するモーメンタリスイッチを押すと、図1に示したマイクロコンピュータ14が入力操作部17の信号を検知し、炊飯シーケンスを開始する。
炊飯シーケンスは複数のサブシーケンスから構成されている。本実施の形態では、前炊き行程、炊飯量判定行程、沸騰維持行程、追い炊き行程で構成されている。
S0からS2までの期間は前炊き行程に該当する。前炊き行程では、S0からS1の期間にお米に水が吸収されやすい温度まで、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2にして、加熱コイル2に高周波電流を供給する。このとき、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon1を初期値にして、徐々にオン時間を大きくし、最終的にTon2に達する。加熱コイル2は図3に示したようにTon2の場合は約40kHzで動作する。加熱コイル2が40kHzで動作する導通比は10秒/16秒である。T1で図2に示した温度検知部41が60度を検知すると、マイクロコンピュータ14は予めプログラムされた内容に従って、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon2にして、加熱コイルが40kHzで動作する導通比を可変にし、約60度の温度を、T2までの期間、維持するように制御する。
S2からS3までの期間は炊飯量判定行程に該当する。炊飯量判定行程では、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon3にして、加熱コイル2に高周波電流を供給する。オン時間が長いので加熱コイルに供給される電流も増加し、誘導加熱量も大きくなる。つまり、鍋の温度も急激に上昇する。本実施の形態では、スイッチング手段5のオン時間をTon3にして加熱コイル1駆動を開始してから、温度検知部41が100度を検知するまでの経過時間(S2からS3までの時間)から、マイクロコンピュータ14が炊飯量を判定し、その後の沸騰維持行程における加熱コイル2の導通比、追い炊き行程における加熱コイル2駆動の導通比を設定する。
S3からS4までの期間は沸騰維持行程に該当する。沸騰維持行程では、マイクロコンピュータ14は半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2に設定し、10秒/16秒の導通比で加熱コイル2を駆動する。加熱コイル2を駆動して鍋1を誘導加熱し続けると、鍋1内に残っていた水も蒸発し、鍋1の温度は100度を超え、S4では130度に達する。温度検知部41が130度を検知すると、マイクロコンピュータ14は半導体スイッチング素子5をオフして、加熱コイル2の駆動を停止するとともに沸騰維持行程を終了し、追い炊き行程に移行する。
S4からS5までの期間は追い炊き行程に該当する。追い炊き行程では、マイクロコンピュータ14は半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2に設定し、2秒/16秒の導通比で加熱コイル2を高周波スイッチングする。マイクロコンピュータ14はS4からの経過時間を計時し、S5に達すると炊飯シーケンスを終了し、炊飯終了をブザー報知するとともに表示部18を構成する炊飯中の意味を示すLEDを消灯することで炊飯が終了したことを表示する。
同時にS5においてマイクロコンピュータ14は保温シーケンスを開始し、温度検知部41の温度が所定の温度より低くなるまで半導体スイッチング素子5をオフし、所定の温度より低くなったところで、再び半導体スイッチング素子5をオンオフし鍋1を誘導加熱し、この温度を維持するようにする。
以上のように、図9においては、炊飯の行程に応じて、半導体スイッチング素子のオン時間がTon2、Ton3と複数設定されている。
次に、図6と図7と図8の動作波形について、図1、図9を用いて説明する。
図6は、図9(b)の半導体スイッチング素子のオン時間がTon2のときの各部の動作波形である。具体的には、S0〜S2(前炊き行程)、S3〜S4(沸騰維持行程)、S4〜S5(追い炊き行程)の各工程における各部の動作波形を示している。
まず、オン時間設定部19が半導体スイッチング素子5のオン時間TonをTon2に設定し、パルス発生部20が、図6(b)のように、ハイパルス幅Ton2のハイパルスを駆動手段16に出力する。
駆動回路16はハイ信号を受けて、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子に約20Vの電圧を印加する。IGBTはゲート端子に20V電圧を印加されると、コレクタ−エミッタ間をオンし、加熱コイル2が通電状態となり、図6(f)のように加熱コイル2に電流が流れる。加熱コイル2はインダクタンス成分を有するので、加熱コイル2に流れる電流は時間とともに右肩上がりに上昇する波形となる。
時間t1において、設定されたオン時間Ton2が経過すると、パルス発生部20はロ
ー信号を駆動回路16に出力する。駆動回路16は、このロー信号を受けてIGBTのゲート端子に0Vを印加しIGBTのコレクタ−エミッタ間をオープンにし、加熱コイル2の通電経路を遮断する。しかし、加熱コイル2はインダクタンス成分を有するため、このインダクタンス分とコンデンサ4とで図6(f)のt1からt2期間に示したような共振波形が発生する。
このとき、図6(e)に示すように、同期信号発生回路15は、加熱コイル2のインダクタンス成分とコンデンサ4からなる共振電圧に相当する図6(d)に示したIGBTのコレクタ電圧((CE)端子の電圧)と、整流回路8の出力電圧((C2)端子の電圧)を比較し、(CE)端子の電圧が(C2)端子の電圧より高いときはロー信号をパルス発生部20に出力する。
時間t2において、共振現象により、(CE)端子電圧が(C2)端子電圧より低くなると、同期信号発生回路15は図6(e)に示すようにハイ信号をパルス発生部20に出力する。
時間t3では、パルス発生部20は同期信号発生回路15のローからハイへのエッジをトリガにして、再びオン時間設定部19が設定したオン時間Ton2でハイパルスを出力する。
以上のようにt0点からt3までの期間を一周期として加熱コイル2に高周波電流を流すことで鍋1が誘導加熱される。両端電圧検出回路12は、図6(d)の半導体スイッチング素子5の両端電圧のピーク値を特に図示していないが、抵抗分圧回路とこの抵抗分圧回路の出力ピーク値を保持するエミッタフォロア回路で検出する。
図8では、図9のS2からS3の期間で半導体スイッチング素子5のオン時間がTon2からTon3に大きくなっていくときの各部の動作波形を示している。図8に示したように零電圧同期信号のロー信号からハイ信号へのエッジから所定時間後に、両端電圧補正値と両端電圧上限値とを比較し、オン時間を更新していく。より詳細には、零電圧同期信号出力回路24の出力信号のロー信号からハイ信号へのエッジ(t=T0、T2、T4、…)から所定時間後(t=T1、T3、T5、…)に、両端電圧検出回路12の出力電圧を読み込み、周波数検出部22が検出したパルス発生部20の動作周波数にもとづいて両端電圧検出回路12の出力電圧を補正し、オン時間設定部19が両端電圧補正部21と両端電圧上限値23を比較し、オン時間設定値を変更する。次のタイミング(t=T2、T4、…)で零電圧同期信号出力回路24の出力信号がローからハイに切り替わると、オン時間を変更値に更新していく。
例えば、図8のT0において、図8(b)の零電圧同期信号出力回路24の出力信号がローからハイに切り替わるエッジを、マイクロコンピュータ14が検出すると、このエッジをトリガとして、マイクロコンピュータ14内のカウンタがマイクロコンピュータ14に接続した発振子の周期を利用して、時間を計測する。この計測した時間が所定時間経過したときのタイミングT1で、図8(d)の両端電圧検出回路12の出力電圧を、マイクロコンピュータ14のAD変換器を利用して読み込み、両端電圧補正部21において、周波数検出部22が検出したパルス発生部20の動作周波数にもとづいて両端電圧検出回路12の出力電圧を補正する。
オン時間設定部19は、両端電圧補正部21で補正された補正値と両端電圧上限値23とを比較し、この補正値が両端電圧上限値23より低ければ、オン時間設定値を長く変更する。しかし、この変更値は次のT2のタイミングに達するまでは使用されない。
T2において、図8(b)の零電圧同期信号出力回路24の出力信号がローからハイに切り替わると、ほぼ同期して、図8(c)に示すように、オン時間設定部21が変更したオン時間設定値が更新され、パルス発生部20よりハイ信号を出力する。同時に、タイミングT0の時と同様に、マイクロコンピュータ14が両端電圧検出回路12の出力電圧を読み込むタイミングを計測し始める。
所定時間が経過したタイミングT3において、タイミングT1の時と同様に、図8(d)の両端電圧検出回路12の出力電圧をマイクロコンピュータ14のAD変換器を利用して読み込み、両端電圧補正部21において、周波数検出部22が検出したパルス発生部20の動作周波数にもとづいて両端電圧検出回路12の出力電圧を補正する。
オン時間設定部19は、両端電圧補正部21で補正された補正値と両端電圧上限値23とを比較し、この補正値が両端電圧上限値23より低ければ、オン時間設定値を長く変更する。図8においては、このときオン時間設定値がTon3に達する。しかし、この変更値Ton3は、図8(c)に示すように、次のT4のタイミングに達するまでは更新されない。
タイミングT4に達すると、図8(c)に示すように、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon3に更新される。本実施の形態においては、T4からT5の期間に図8(a)の交流電源7の電源電圧が変動し、半導体スイッチング素子5の両端電圧が上昇し、タイミングT5においては、図8(d)の両端電圧検出回路12の出力電圧を両端電圧補正部21で補正しても、両端電圧上限値23を超えているため、オン時間設定部19がオン時間設定値を短く変更する。しかし、この変更値は、図8(c)に示すように、次のT6のタイミングになるまで更新されない。
タイミングT6に達すると、図8(c)に示すように、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon3より短い時間に更新され、半導体スイッチング素子5の両端電圧は両端電圧上限値23より低い値となる。
なお、オン時間がTon3のときの動作波形は、図7のようになる。動作原理は、図6のときと同様である。しかし、オン時間が長くなるので、(CE)端子電圧が図6のときよりも高くなる。
図6、図7に示すように本実施の形態の炊飯器では、オン時間設定部19の8bit出力が変化すると、パルス発生部20のハイパルス期間が変化する。
以上のように本実施の形態の炊飯器では、加熱コイル2の動作周波数をパルス発生部20の出力信号で検出し、検出した動作周波数に基づいて、両端電圧補正部21が両端電圧検出回路12の出力電圧を補正し、この補正した値と両端電圧上限値23をオン時間設定部19が比較し、オン時間を変更することで、両端電圧検出回路12の出力電圧の周波数特性による変動をなくし、精度良く半導体スイッチング素子5の両端電圧を検出できる。
なお、本実施の形態では一石電圧共振型のインバータについて説明したが、インバータ回路の構成はこれに限定するものではなく、たとえば2石のハーフブリッジ型のインバータや4石のフルブリッジ型のインバータでも構わない。
また、本実施の形態の炊飯器の加熱コイル2の動作周波数の検出方法を、オン時間設定部19が設定するオン時間で推定する方法にしてもよい。
図5に示したように、半導体スイッチング素子5のオン時間と加熱コイル2の動作周波
数はほぼ比例関係にあるので、推定することは可能である。この場合、パルス発生部20の動作周波数を検出する必要がなくなるので、周波数検出部22をマイクロコンピュータ14内部で構成したり、外部回路で構成する必要がなくなり、簡単な構成、プログラムで半導体スイッチング素子5の両端電圧の検出精度を高くすることができる。上記のようにオン時間設定部19が設定したオン時間から加熱コイル2の動作周波数を検出する方法は、本発明の炊飯器の請求項3の実施の形態の一例である。
また、本実施の形態の両端電圧検出回路12の出力電圧の読み込みタイミングを零電圧同期信号出力回路24のローからハイへのエッジに切り替わるタイミングから所定時間経過後に読み込むようにする方法は、本発明の炊飯器の請求項4の実施の形態の一例である。なお、この読み込みのタイミングは、交流電源7の電源電圧がピークになるタイミングが最も良いが、本実施の形態では、ピークの少し前で読み込むようにしている。ピークのタイミングより後で読み込むと、エミッタフォロア回路を構成するコンデンサの経年変化による容量抜けを考慮すると、検知精度が悪化し、半導体スイッチング素子5の両端電圧を本来の値よりも低く検知してしまう可能性があるが、ピークのタイミングより前に検知するようにするとコンデンサが容量抜けして容量が小さくなっても、半導体スイッチング素子5の両端電圧を本来の値よりも高く検知するので、半導体スイッチング素子5の両端電圧の最大定格を超える心配がなく、安全な炊飯器を提供できる。
なお、本実施の形態では、図9に示した炊飯シーケンスは複数のサブシーケンスから構成し、前炊き行程、炊飯量判定行程、沸騰維持行程、追い炊き行程ごとに半導体スイッチング素子5のオン時間を設定していたが、特に各工程をオン時間を限定する必要はなく、例えば両端電圧上限値23を各工程ごとに予め記憶しておき、各工程ごとに両端電圧上限値23を変更して、この両端電圧上限値23を越えないように制御しても構わない。
(実施の形態2)
図10は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の主要部ブロック図である。
図10において、制御部101は、マイクロコンピュータ102、同期信号発生回路15、駆動回路16、により構成されている。
マイクロコンピュータ102は、マイクロコンピュータ内部のカウンタを利用することで交流電源周波数検出部103を構成している。その他の構成は、本実施の形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
交流電源周波数検出部103は、零電圧同期信号出力回路24のハイパルス幅をカウンタで計時することにより、交流電源7の電源周波数が50Hzか60Hzかを判定し、両端電圧検出回路12の出力電圧の読み込みタイミングを決定する。
交流電源7の電源周波数が50Hzの場合は、交流電源7の周期は20msであり、図8のT0からT1までの時間は約14msである。
交流電源7の電源周波数が60Hzの場合は、交流電源7の周期は約16.7msであり、図8のT0からT1までの時間は約12msである。
以上のように、交流電源7の電源周波数を検出し、両端電圧検出回路12の出力電圧の読み込みタイミングを切り替えることで、確実に両端電圧検出回路12の出力電圧の略ピーク値を検出し、両端電圧補正部21で両端電圧検出回路12の出力電圧を補正するので、半導体スイッチング素子5の両端電圧を精度良く検出し、最大定格以上の電圧が印加されて半導体スイッチング素子が破壊されるのを防止することができる安全な炊飯器を提供
できる。