JP6256976B2 - 電動車に接続して使用される電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動車の車載バッテリから供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を所定長の配電線を通じて家庭負荷等の各種負荷に供給する電力変換装置に関する。
近年、電気自動車およびプラグインハイブリッドカー等の電動車に搭載された車載バッテリを放電させることで、商用交流電力に相当する交流出力電力を住宅内の各種負荷に供給することができる電力変換装置が利用され始めている。このような電力変換装置は、通常、Vehicle to Homeシステム(以下、“V2Hシステム”という)と呼ばれている。
図3に示すように、V2Hシステム20は、電動車EVの車載バッテリ10から供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を所定長の配電線12を通じて住宅Hに供給する電力変換部21と、配電線12のV2Hシステム20側の端部において交流出力電力の電圧値を検出する電圧検出部23と、交流出力電力の電圧値が所定の目標電圧値となるように電力変換部21を制御する制御部22とを備えている。また、住宅Hは、配電線12を通じて交流出力電力を受電する配電部13と、これに接続された複数の負荷Rとを有している。
このV2Hシステム20によれば、商用交流電力の供給が途絶えた停電時においても、車載バッテリ10から供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を負荷Rに供給することで、負荷Rをしばらくの間稼働させ続けることができる。また、詳しい説明は省略するが、このV2Hシステム20は、商用交流電力で車載バッテリ10を充電する機能も有しているので、夜間の安い商用交流電力で車載バッテリ10を充電し、これを昼間に交流出力電力として活用することで、電気料金の節約を図ることもできる。
ところで、このV2Hシステム20では、配電線12がある程度長くなると、配電線12の電気抵抗による電圧降下によって住宅Hの配電部13が受電する交流出力電力の電圧値が目標電圧値よりも低くなり、その結果、負荷Rを正常に動作させることができなくなるという問題が発生する。この問題に関し、特許文献1には、電力変換部21に相当するDC−DCコンバータ部と負荷とを繋ぐ電源負荷線による電圧降下を補償するための補償回路が提案されている。特許文献1の補償回路によれば、電圧降下分を上乗せした電圧をDC−DCコンバータ部に出力させることで、電源負荷線による電圧降下を補償することができる。
しかしながら、V2Hシステム20は、前述の通り車載バッテリ10から供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を出力するので、交流出力電力の電圧値を上乗せすると車載バッテリ10の充電状態によっては当該車載バッテリ10に過大な負担がかかり、バッテリ管理ユニット(通称、BMU)11が車載バッテリ10の放電を停止させてしまうおそれがある。車載バッテリ10の放電が停止すると、負荷Rへの交流出力電力の供給が直ちに停止してしまい、補償を行うことがかえって負荷Rの稼働に悪影響を及ぼす結果となる。
実開平5−23214号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、車載バッテリに過大な負担をかけることなく、負荷に所望の交流出力電力を供給することができる電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電力変換装置は、電動車の車載バッテリから供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を所定長の配電線を通じて負荷に供給する電力変換部と、配電線の電力変換部側の端部において交流出力電力の電圧値を検出する電圧検出部と、電圧値が目標電圧値となるように電力変換部を制御する制御部とを備えた電力変換装置であって、配電線を流れる電流値を検出する電流検出部をさらに備え、制御部は、電流検出部によって検出された電流値に基づいて目標電圧値の補正値を決定する補正値決定部と、電動車と通信を行って車載バッテリに関する情報を取得する通信部と、交流出力電力の電圧値を目標電圧値と補正値との和とした場合に必要となる直流電力を車載バッテリが供給可能か否かを通信部が取得した車載バッテリに関する情報に基づいて判定し、供給可能な場合は、目標電圧値と補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、供給不可能な場合は、車載バッテリが供給可能な範囲内で目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定する目標電圧再設定部と、交流出力電力の電圧値が新たな目標電圧値となるように電力変換部を制御する電力変換制御部と、を含む。
この構成によれば、目標電圧再設定部が、車載バッテリに過大な負担がかからない場合に限って元々の目標電圧値と配電線による電圧降下を補償し得る補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、それ以外の場合は、車載バッテリに過大な負担がかからない範囲(すなわち、車載バッテリが供給可能な範囲)で元々の目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定し、そして、電力変換制御部が、設定された新たな目標電圧値に従って電力変換部を制御するので、車載バッテリに過大な負担がかかるのを防ぎつつ、所望の交流出力電力またはこれに近い交流出力電力を負荷に供給することができる。
なお、上記「最大限」の語は、「最大まで」の意に限定されず、「最大近傍まで」の意も含むものとする。
ここで、目標電圧再設定部は、交流出力電力の電圧値を目標電圧値と補正値との和とした場合に車載バッテリおよび電力変換部のそれぞれが必要となる電力を供給可能か否かを車載バッテリに関する情報および電力変換部に関する情報の双方に基づいて判定し、供給可能な場合は、目標電圧値と補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、供給不可能な場合は、車載バッテリと電力変換部とが供給可能な範囲内で目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定することが好ましい。この構成によれば、車載バッテリに過大な負担がかかるのを防ぐとともに、目標電圧値の上乗せにより電力変換部の構成部品がダメージを受けるのを防ぐことができる。
上記電力変換装置の補正値決定部は、予め定められた電流値と補正値との関係に基づいて補正値を決定することが好ましい。
本発明によれば、車載バッテリに過大な負担をかけることなく、負荷に所望の交流出力電力を供給することができる電力変換装置を提供することができる。
本発明に係る電力変換装置の使用状態を示すブロック図である。 本発明に係る電力変換装置の動作を示すフロー図である。 従来の電力変換装置の使用状態を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る電力変換装置の実施例について説明する。
本発明に係る電力変換装置1は、電動車EVに搭載された車載バッテリ10を放電させることで、商用交流電力に相当する交流出力電力を住宅H内の各種負荷Rに供給することができるV2Hシステムとして使用される。図1に示すように、電力変換装置1は、電力変換部2、制御部3、電圧検出部8および電流検出部9を備えている。また、住宅Hは、配電線12を通じて交流出力電力を受電する配電部13と、これに接続された複数の負荷Rとを有している。
電力変換部2は、複数のスイッチング素子を含むインバータ回路である。電力変換部2は、車載バッテリ10から供給される直流電力を交流化してなる交流出力電圧を、所定長の配電線12を通じて住宅Hに供給する。複数のスイッチング素子のON/OFFは、後述する電力変換制御部7によって制御される。
電圧検出部8は、配電線12の電力変換装置1側の端部において交流出力電圧の電圧値を検出する。本実施例では、電圧検出部8は、交流出力電圧の電圧実効値vrmsを一定時間おきに検出する。電圧検出部8は、検出した電圧実効値vrmsに対応した信号Svを後述する電力変換制御部7に送出する。
電流検出部9は、配電線12を流れる電流の電流値を検出する。本実施例では、電流検出部9は、配電線12を流れる電流の電流実効値irmsを一定時間おきに検出する。電流検出部9は、検出した電流実効値irmsに対応した信号Siを後述する補正値決定部4に送出する。
制御部3は、交流出力電圧の電圧値(電圧実効値vrms)が目標電圧値となるように電力変換部2を制御するもので、図1に示すように、補正値決定部4と、通信部5と、目標電圧再設定部6と、電力変換制御部7とを含んでいる。本実施例の制御部3はマイクロプロセッサ(MPU,Micro-Processing Unit)であり、制御部3に含まれる各部の機能は、該マイクロプロセッサ上で実行されるプログラムによって実現されている。
補正値決定部4は、電流検出部9から送出された電流実効値irmsに対応する信号Siを受け取り、電流実効値irmsに基づいて配電線12における電圧降下を補償し得る補正値を決定する。本実施例では、補正値決定部4は、予め実験的に作成した対応表を参照して補正値を決定する。対応表の一例を以下に示す。
Figure 0006256976
補正値決定部4は、配電線12の長さが異なる場合の複数の対応表のうち、使用する配電線12の長さに対応したものを参照して補正値を決定してもよい。具体的には、補正値決定部4は、配電線12の長さが1mの場合の電流実効値irmsと補正値の関係を示す第1対応表、2mの場合の関係を示す第2対応表、および3mの場合の関係を示す第3対応表のいずれかを参照して補正値を決定してもよい。また、補正値決定部4は、配電線12の既知の抵抗値rと電流実効値irmsとの積(=r×irms)を補正値としてもよい。
通信部5は、車載バッテリ10を管理するバッテリ管理ユニット11と定期的に通信を行って、車載バッテリ10に関する最新の情報を取得する。バッテリ管理ユニット11が取得する情報には、例えば、車載バッテリ10の最大放電電力、最大放電電流、充電状態(SOC,State of Charge)がある。なお、バッテリ管理ユニット11は、車載バッテリ10の放電電力(電力変換部2に供給する直流電力)が最大放電電力を超えた場合、車載バッテリ10の放電電流が最大放電電流を超えた場合、および車載バッテリ10の充電状態が所定の閾値を下回った場合等に、車載バッテリ10の放電を停止させる保護機能を有している。
目標電圧再設定部6は、交流出力電圧の電圧値を元々の目標電圧値と補正値決定部4で決定された補正値との和とした場合に必要となる直流電力を車載バッテリ10が供給可能か否かを判定する。言い換えると、目標電圧再設定部6は、配電線12による電圧降下を補償するのに必要な直流電力を供給し得る程、車載バッテリ10の電力供給能力に余力があるか否かを判定する。目標電圧再設定部6は、この判定を、通信部5によって取得された車載バッテリ10の最新の情報に基づいて行う。
車載バッテリ10が電圧降下の補償を行うのに十分な直流電力を供給可能な場合、目標電圧再設定部6は、元々の目標電圧値と補正値決定部4で決定された補正値との和を新たな目標電圧値に設定する。一方、車載バッテリ10が十分な直流電力を供給することができない場合、目標電圧再設定部6は、車載バッテリ10が供給可能な範囲内で補正値決定部4で決定された補正値を設定し直し、元々の目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定する。
電力変換制御部7は、電圧検出部8から送出された電圧実効値vrmsに対応する信号Svと、目標電圧再設定部6によって設定された新たな目標電圧値とを受け取り、電圧実効値vrmsが当該新たな目標電圧値となるように電力変換部2のスイッチング素子を制御する。本実施例では、電力変換制御部7は、新たな目標電圧値と電圧実効値vrmsとの偏差に応じてスイッチング素子を制御するための制御信号のDuty比を変化させるPWM制御により、電圧実効値vrmsを新たな目標電圧値に一致させる。
元々の目標電圧値と補正値との和が新たな目標電圧値に設定されている場合は、電力変換制御部7によるPWM制御により配電線12における電圧降下は完全に補償され、配電線12の住宅H側の端部における交流出力電力の電圧値は元々の目標電圧値に一致する。車載バッテリ10の電力供給能力に余力があるため、バッテリ管理ユニット11が異常を検出して車載バッテリ10の放電を停止させることはない。
一方、車載バッテリ10の電力供給能力に余力がないために、車載バッテリ10が供給可能な範囲内で元々の目標電圧値を最大限上乗せしたものが新たな目標電圧値に設定されている場合は、配電線12における電圧降下は完全には補償されず、配電線12の住宅H側の端部における交流出力電力の電圧値は元々の目標電圧値を下回った値となる。しかしながら、この場合であっても、何の補償も行わない場合に比べれば、住宅Hが受電する交流出力電力の電圧値は高くなるので、住宅H内の負荷Rが正常に動作しなくなるのを極力防ぐことができる。
次に、図2を参照しつつ、電力変換装置1の動作フローについて説明する。
電力変換部2が交流出力電力の供給を開始すると、ステップS1において電圧検出部8が電圧実効値vrmsを検出し、ステップS2において電流検出部9が電流実効値irmsを検出し、さらにステップS3において通信部5が車載バッテリ10の情報を取得する。ステップS1〜S3は、順番を入れ替えて実行してもよい。
次いで、ステップS4において補正値決定部4が補正値を決定し、ステップS5において目標電圧再設定部6が補正値による補正が可能か否か、すわわち、車載バッテリ10に十分な余力があるか否かを判定する。そして、補正が可能な場合、目標電圧再設定部6は、元々の目標電圧値と補正値との和を新たな目標電圧値に設定する(ステップS6)。一方、補正が不可能な場合、目標電圧再設定部6は、車載バッテリ10が供給可能な範囲内で元々の目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定する(ステップS7)。
次いで、電力変換制御部7が、新たな目標電圧値に従って電力変換部2を制御する(ステップS8)。
電力変換装置1は、車載バッテリ10から供給された直流電力を交流化してなる交流出力電力を負荷Rに供給する間、上記ステップS1〜S8を繰り返し実行する。
以上、本発明に係る電力変換装置1の実施例について説明したが、本発明の構成は上記実施例の構成に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、電圧検出部8が電圧実効値vrmsを検出し、電流検出部9が電流実効値irmsを検出したが、実効値に代えて瞬時値または平均値を検出してもよい。
また、上記実施例では、電流検出部9は、配電線12を流れる電流(電流実効値irms)を直接に検出したが、配電線12の電力変換部2側の端部において交流出力電力を検出し、当該出力電力値と電圧検出部8で検出した出力電圧値とから配電線12を流れる電流値を検出してもよい。
また、上記実施例では、交流出力電力の電圧値を目標電圧値と補正値との和とした場合に必要となる直流電力を車載バッテリが供給可能か否かを車載バッテリに関する情報に基づいて判定したが、車載バッテリに関する情報と電力変換部に関する情報の双方に基づいて車載バッテリおよび電力変換部のそれぞれが必要な電力を供給可能か否かを判定し、供給可能な場合は、目標電圧値と補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、供給不可能な場合は、車載バッテリと電力変換部とが供給可能な範囲内で目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定してもよい。電力変換部からの情報としては、例えばインバータ回路を構成する部品の耐電圧が挙げられる。上記のように目標電圧値を再設定することで、車載バッテリに過大な負担がかかるのを防ぐとともに、電力変換部の構成部品がダメージを受けるのを防ぐことができる。
1 電力変換装置
2 電力変換部
3 制御部
4 補正値決定部
5 通信部
6 目標電圧再設定部
7 電力変換制御部
8 電圧検出部
9 電流検出部
10 車載バッテリ
11 バッテリ管理ユニット
12 配電線
13 配電部
EV 電動車
H 住宅
R 負荷

Claims (3)

  1. 電動車の車載バッテリから供給される直流電力を交流化してなる交流出力電力を所定長の配電線を通じて負荷に供給する電力変換部と、前記配電線の前記電力変換部側の端部において前記交流出力電力の電圧値を検出する電圧検出部と、前記電圧値が目標電圧値となるように前記電力変換部を制御する制御部とを備えた電力変換装置であって、
    前記配電線を流れる電流値を検出する電流検出部をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記電流検出部によって検出された前記電流値に基づいて前記目標電圧値の補正値を決定する補正値決定部と、
    前記電動車と通信を行って前記車載バッテリに関する情報を取得する通信部と、
    前記交流出力電力の電圧値を前記目標電圧値と前記補正値との和とした場合に必要となる前記直流電力を前記車載バッテリが供給可能か否かを前記通信部が取得した前記車載バッテリに関する情報に基づいて判定し、供給可能な場合は、前記目標電圧値と前記補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、供給不可能な場合は、前記車載バッテリが供給可能な範囲内で前記目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定する目標電圧再設定部と、
    前記交流出力電力の電圧値が前記新たな目標電圧値となるように前記電力変換部を制御する電力変換制御部と、
    を含むことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記目標電圧再設定部は、前記交流出力電力の電圧値を前記目標電圧値と前記補正値との和とした場合に前記車載バッテリおよび前記電力変換部のそれぞれが必要となる電力を供給可能か否かを前記車載バッテリに関する情報および前記電力変換部に関する情報の双方に基づいて判定し、供給可能な場合は、前記目標電圧値と前記補正値との和を新たな目標電圧値に設定し、供給不可能な場合は、前記車載バッテリと前記電力変換部とが供給可能な範囲内で前記目標電圧値を最大限上乗せしたものを新たな目標電圧値に設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記補正値決定部は、予め定められた前記電流値と前記補正値との関係に基づいて前記補正値を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
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