JP3814999B2 - 炭素繊維プリプレグの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化樹脂複合材料用の素材として好適なプリプレグを製造する装置並びに製造方法に関する。特に、本発明は複数本の太糸条の炭素繊維を中厚ものプリプレグに加工する場合や、比較的細糸条の炭素繊維を薄ものプリプレグに加工する場合に適当な炭素繊維プリプレグの製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
補強用繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、力学特性、耐蝕性などが優れていることから、航空・宇宙、スポーツ、土木・建築などの一般産業用分野で広く用いられており、これまでにも様々な樹脂、特に炭素繊維と種々な樹脂との組み合わせによるプリプレグ、中間素材、複合材料が提案されている。
【0003】
炭素繊維強化複合材料は、代表的には中間素材として、マトリックス樹脂が硬化していない状態の、いわゆるプリプレグとして提供される。炭素繊維プリプレグを製造するには、一般にチーズ状に巻かれた炭素繊維や、キャンなどに整列して収納された炭素繊維を撚りの入らないように解舒し、ガイドを通じて整経して、一定幅、ピッチでシート状に形成し、樹脂と含浸させてプリプレグを製造する。
【0004】
この様にして得られる一方向プリプレグは、繊維の強度利用率が良好で、取り扱い性も良いため、プリプレグの主要な用途に幅広く使われており、また要求される品質も多様に亘っている。
【0005】
近年、プリプレグ品種の多様化が進み、目付が500g/m2 に至るものから、10g/m2 を切るもの、樹脂含有率も25%以下から2.5%程度のものが開発され、高度な表面均一性が要求されるようになってきた。また、使用する炭素繊維束のフィラメント数についても1000から100,000と幅が広くなっている。この様な新規な性能を要求するプリプレグに関して、特にフィラメント数が大きい炭素繊維を使用するプリプレグや、低目付、低樹脂含有率プリプレグについて、表面のワレや平滑性などの品位が従来のプリプレグに対して劣る問題があった。
【0006】
炭素繊維プリプレグを作製する際には、複数本の繊維をシート状に成形する必要があり、通常一定ピッチの溝を切ったローラーや櫛形の針を所定のピッチに並べたコーム型ガイドを用いて整経される。このようなガイドには炭素繊維を傷つける問題があり、特開平7−227840号公報のようにそれらを防ぐため繊維と直角方向にガイドを揺動させる工夫なども見られる。また、平滑性などの品位が良好なプリプレグを得るために例えば特開平3−146735号公報などのように50〜200℃に加熱した丸棒を接触させ、繊維束を開繊させる工夫が提出されている。しかしながら、これらの方法でも、特に本発明が対象とするようなプリプレグに関して表面の品位を解決する工夫については未だ十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に樹脂含有率が低いか、プリプレグ目付が低いプリプレグについて、そのワレ、平滑性などの表面品位を改善することができる炭素繊維プリプレグの装置と製造方法を提供することにある。また本発明は、特に太もののプリプレグ、あるいは樹脂含有率が低い太ものプリプレグのワレ、平滑性などの表面品位を改善することができる炭素繊維プリプレグの製造装置と製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような本発明の課題は、複数本の炭素繊維糸を案内するガイド部と、該ガイド部を介して搬送されてくる炭素繊維糸を所定間隔に整列させる整列部と、該整列部により整列させた炭素繊維束に樹脂を含浸させる含浸部とを備える炭素繊維プリプレグの製造装置において、前記整列部と含浸部との間に、少なくとも一対のローラーまたはガイドからなり、それらが間隔を置いて配置されており、整経された炭素繊維束が、上下からローラーまたはガイドによってその接触角が合計して20〜180°で把持される構造からなるとともに、表面に突起を有するローラーからなり、該ローラーが炭素繊維束の走行速度に比べて低速でかつ炭素繊維束と同一方向または逆方向に回転する、炭素繊維束の反転防止装置を設けたことを特徴とする炭素繊維プリプレグの製造装置、または、
複数本の炭素繊維糸を解舒し、ガイド部を介して糸条を搬送し、整列部によって所定間隔に整列させ、および整列させた炭素繊維束に樹脂を含浸させる炭素繊維プリプレグの製造方法において、前記整列部から含浸部との間に設けられた、少なくとも一対のローラーまたはガイドからなり、それらが間隔を置いて配置されており、整経された炭素繊維束が、上下からローラーまたはガイドによってその接触角が合計して20〜180°で把持される構造からなるとともに、表面に突起を有するローラーからなり、該ローラーが炭素繊維束の走行速度に比べて低速でかつ炭素繊維束と同一方向または逆方向に回転する反転防止装置に炭素繊維束を通し、該炭素繊維束の反転を防止することを特徴とする炭素繊維プリプレグの製造方法によって達成できる。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明の炭素繊維プリプレグ製造装置は、複数本の炭素繊維糸を案内するガイド部、該ガイド部を介して搬送されてくる複数本の炭素繊維糸を所定間隔に整列させる整列部、該整列部から導出された糸条の反転を防止し、糸条を平面上に整列させる反転防止装置、該反転防止装置から導出され、整列した糸条に樹脂を含浸させる含浸部を備えることを特徴とする。
【0010】
ここに、ガイド部は必要本数の糸条を撚りが入ることなく、一定の低張力で糸条が解舒できるガイド群からなり、特にその仕様が限定されるものではない。
【0011】
また整列部は、通常一定ピッチの溝を切ったローラーや櫛形の針を所定のピッチに並べたコーム型ガイドを用いて整経される。このガイドは、梨地メッキやセラミックス製であることが好ましい。特に整列部が各糸条毎に1対のガイドをなすコーム状のガイドであり、炭素繊維のフィラメント数が10,000以上の時には、ガイドの間隔が糸条の幅の1/2以下、更に好ましくは1/3以下であることが好ましい。
【0012】
整列部の後方に設けられる反転防止装置は、少なくとも一対のローラーまたはガイドからなり、それらが間隔を置いて配置されており、整経された補強用繊維束が、上下からローラーまたはガイドによってその接触角が合計して20°以上、好ましくは30°以上、180°以下、好ましくは100°以下で把持される構造である。ローラーまたはガイドの形態は、円筒形、または他の形であるものを用いることができる。反転防止装置のうち、糸条の入り口側は、より好ましくは表面に突起を有するローラーまたはガイドからなる。表面に突起を有するローラーまたはガイドは、糸条との接触長が短く、糸条張力によって変形することも少ないので、撚り止め、把持効果に優れる利点がある。またローラーの場合、糸速に比べて低速で糸条と同方向又は逆方向に回転することが、サイジング剤や毛羽などの脱落物の蓄積防止や耐久性の面で好適である。整列部に導入する糸張力は5〜80g/1000フィラメント・炭素繊維本(以下Kと略する)の範囲が好ましく、5gより低い場合は糸条の糸道が安定せず、反転防止の効果が低下し、80gより高い場合は、単繊維糸条の切断による製品品位の低下をもたらすので好ましくない。
【0013】
ここで、図2に示すように、表面に突起を有するローラーの突起高さ(t)を、ローラー半径(r)に対して、r{[1/COS(θ/2)]−1}を越える高さとし、隣接する突起間とローラー軸とのなす角度(θ)を10〜50°になるように設定することが好ましい。さらに、該ローラー軸方向に突起をもつ回転ローラーを複数本を備えたものであることが好ましく、このようにすることにより、撚り、反転のない炭素繊維束を得ることができる。
【0014】
突起の高さは、r(1/COS(θ/2)−1)を越える高さとすることによって、炭素繊維束をローラー表面に接触させないようにし、糸条の損傷を防ぐことができる。また隣接する突起間とローラー軸とのなす角度(θ)は5〜50°とすることが好ましく、10〜40°とすることがより好ましい。5゜未満では突起のピッチが狭すぎて撚りを止める力が弱くなり、また、50゜を越えると突起部の曲率が大きくなり、炭素繊維束の単糸切れ、および毛羽が発生する問題が生じる。
【0015】
表面に突起を有するローラーまたはガイドは、その後方に各々回転ローラー設置し、それらを一対として、複数対間隔を置いて設けることが好ましい。
【0016】
表面に突起を有するローラーとフリー回転ローラーとは、硬質クロムメッキ、セラミックス、ポリフッ化エチレン処理した金属などからなり、その表面粗さは3S〜20Sの梨地表面とすることが好ましく、6S〜16Sの表面粗さとすることがより好ましい。表面粗さが3S未満となると炭素繊維束のローラー表面への接触面積が多くなり、サイジング剤がローラー表面に転写し、汚れて炭素繊維束の単糸が巻き付き糸切れするため好ましくない。20Sを越えるとローラー表面の凹凸で炭素繊維束が傷つきやすくなり、毛羽が発生する原因となるので好ましくない。
【0017】
本発明において、前記整列部と反転防止装置との間隔は、0.3〜1.5mとすることが好ましく、より好ましくは0.5〜1mとし、反転防止装置に導入する炭素繊維束張力を3〜80g/K(1000フィラメント)・本とする。整列部との距離が0.3m未満では、撚り止めした撚りが反転防止装置を超えて含浸部に導入され易くなり、1.5mを超えると糸道の乱れなどが増大し、プリプレグの品位に悪影響を及ぼす。
【0018】
炭素繊維束の張力が5g/K・本未満である場合、撚り止め効果が小さくなり、また80g/K・本を超えると糸条の損傷を起こし好ましくない。より好ましい張力の範囲は5〜50g/K・本である。
【0019】
上記炭素繊維束の反転防止装置において、炭素繊維束を予め加温できる加熱手段を設置することにより、炭素繊維束に付与されているサイジング剤を軟化させた後、反転防止できるので、さらに反転防止効果を高めることができる。この際の糸条の温度は50〜180℃とすることが好ましく、より好ましくは70〜150℃である。温度が50℃より低いと軟化の効果が無く、180℃より高いとサイジング剤の変質などが生じ、摩擦係数が高くなり毛羽を発生したりするため好ましくない。
【0020】
加熱手段としては熱風を吹き付ける、熱板に接触させる、ヒーターによって輻射加熱する等の装置があるが、炭素繊維束を効率的に加温するには近赤外、中赤外、遠赤外ヒーターによる輻射による装置が好ましい。
【0021】
本発明者らが解析したところによれば、通常、工程で糸条に撚りを入れていないいわゆる非加撚・無撚炭素繊維束でも、巻き上げ、あるいはキャン収納、解舒時などに糸道の作用によって炭素繊維束自身に部分的な撚りが入っている。このような撚りがプリプレグの含浸部に混入すると炭素繊維束の開繊が阻害されるとともに、撚りにより、炭素繊維束が左右に移動し、炭素繊維束間のピッチがずれ、この炭素繊維束シートを用いてプリプレグを作成すると、ワレが発生する問題がある。本発明者らは、反転防止装置、特に表面に突起がある回転ローラーを用い突起部で炭素繊維束を屈曲して、炭素繊維束を扁平にすることにより、撚りを止め、上流側に設けたフリーゾーンで撚りを緩和することによって、撚り、反転のない状態の炭素繊維束を作ることができるため、ピッチを一定に保持でき、開繊状態の良好な炭素繊維束を供給することを見出した。
【0022】
反転防止装置と含浸部との間に開繊装置を設置すると、プリプレグ品位が向上する。開繊装置は糸条のサイジングによる拘束を弱め、糸幅を拡幅する機能を有し、例えば特願平9−92101号の機構を用いることができる。
【0023】
この開繊装置は、例えば、図1の7で示すように、導入フリー回転ローラ7aを介して供給された炭素繊維束を複数のローラ群上を所定角度に屈曲させながら通過させて開繊し、開繊装置出フリー回転ローラー7dを経て送り出す開繊装置において、ロールの軸方向に振動する振動フリー回転ローラー7bと無振動フリー回転ローラー7cとを1組とするロール組を、2〜10組配列させてなるとともに、前記した振動フリー回転ローラー7b径を50〜120mmとし、かつ上記それぞれのローラー間の、炭素繊維束がローラーに接触していない距離を、10〜100mmになるように設定したものである。なお、前記振動フリー回転ローラー7bの上流側に加熱手段7eを設けることは好ましい態様である。
【0024】
含浸部については、通常のプリプレグに用いる含浸部を使用することができる。特に含浸効果を上げるため予熱部分と多段の含浸ローラー、冷却部分を備えた含浸部が好ましい。
【0025】
本プリプレグは、通常離型紙や担体フィルムなどと共に紙管などに巻いたローラー形態で提供され、糸条撚り等による反転がないため表面が平滑で糸割れなどが無い、表面品位が良好なものが得られる。
【0026】
本発明において用いられる炭素繊維束としては、ポリアクリロニトリル系やピッチ系などのフィラメント数1000〜100,000本の炭素繊維束を用いることができる。特に、フィラメント数が12,000〜100,000本の炭素繊維束に適用することで通常の方法では得ることが難しい均一な薄い炭素繊維束シートが得られ、有効である。1,000未満のフィラメントでは、反転防止装置の効果が得られにくく、100,000以上のフィラメントでは、得られるプリプレグの品位が良好なものが得られにくい。
【0027】
本発明に使用する含浸樹脂は、熱可塑性、熱硬化性いずれでも良いが、特に熱硬化性エポキシ樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂は、常温硬化タイプのエポキシ樹脂組成物の硬化剤を実質的に含まないものを、樹脂重量含有率15%以下、好ましくは10%以下としたものや、70〜130℃で硬化するエポキシ樹脂を樹脂含有率10〜50%としたもの、あるいは150〜180℃で硬化するエポキシ樹脂をやはり樹脂含有率10〜50%含有したものが好ましい。
【0028】
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂などを使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用することができ、さらには液状のものから固体状のものまで使用することができる。通常、エポキシ樹脂には硬化剤が加えられて用いられるが、目的によって実質的に硬化剤を含まず、エポキシ樹脂をバインダーとして用い、後で使用に際して硬化剤入りのエポキシ樹脂を付加することも好ましい実施態様である。
【0029】
【実施例】
以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明のチーズ状の炭素繊維を用いた場合の炭素繊維束の反転防止装置を備えた、プリプレグ製造装置の一例を示す側面概略図である。
【0031】
図1において、炭素繊維束Yの巻き取りパッケージ1をガイド部(引き揃えフリー回転ローラー2)で炭素繊維束Yを揃え、整列部(分繊コーム3)を通して整列させ、反転防止装置5に供給する。ここでは反転防止装置5の上流側に加熱手段4を設置し、炭素繊維束Yを加温し、その後、表面に突起を有するローラーからなる反転防止装置5およびフリー回転ローラー6を通過させることで炭素繊維束Yの反転防止を行い、その後、開繊装置7を通過させ、含浸装置11に導入するものである。
【0032】
実施例1
単糸繊度が10μmで、本数50,000の炭素繊維(強度320kgf/mm2 、弾性率23×103 kgf/mm2 )を使用し、炭素繊維目付120g/m2 、樹脂含有率30%、幅1mのプリプレグを作製した。この際、標準条件として、糸張力500g、糸を整列させるコームのガイド間隔3mm(糸条の幅約10mm)、反転防止装置として、30φの梨地硬質クロムメッキローラー(表面粗度6S)3ヶを直列で用い、糸を上下に通して反転を防止した。反転防止装置の突起の高さtは1mm、隣接する突起間とローラー軸のなす角度θを30°とした。糸とローラーの接触角はローラーの位置を上下させ変更した。その後、糸拡げ処理(開繊処理)し、130℃硬化タイプのエポキシ樹脂フィルムを離型紙を用いて炭素繊維に接触させ加熱加圧して含浸させプリプレグを作製した。得られたプリプレグの品位を下記表1に示す。
【0033】
【表1】
またNo.5において、突起のあるローラーを糸条とは逆方向に糸速度の1/10で回転させたところ、ローラー上への脱落物の減少が認められ、操業性が向上した。
【0034】
実施例2
図1に示す装置を使用し、加熱手段4として遠赤外ヒーターを使用し、炭素繊維束のフリーな距離を0.5mになるように表面に突起を有するローラーからなる反転防止装置を1組セットし、ローラー半径15mm、突起間の角度45゜、突起高さ1.5mmのローラー軸方向に突起のある回転ローラー5を設置した炭素繊維束反転防止装置を準備した。
【0035】
炭素繊維束、東レ(株)製“トレカ”(登録商標)T700SC−12K(フィラメント数12000本)を40本使用し、15m/分で走行させ、120℃に加熱した後、反転防止装置に導入した。
【0036】
エピコート828およびエピコート1001(ビスフェノールAグリシジルエーテル(エポキシ当量189):油化シェル・エポキシ(株)製100重量部とジシアンジアミド4重量部および3(3、4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素4重量部とを均一に混合した一液硬化エポキシ樹脂組成を用いた樹脂フィルムを離型紙上に作製し、得られた均一で薄い炭素繊維シートとを合わせてホットローラー間に通して含浸させ、繊維含有率70%、繊維目付50g/m2 のプリプレグを作成した。
【0037】
この際糸条の導入張力を下記表2のように変更した。
【0038】
【表2】
炭素繊維束の張力が5g/K・本未満である場合、撚り止め効果が小さくなり、また80g/K・本を超えると糸条の損傷を起こし好ましくないことが分かる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0040】
本発明の炭素繊維束反転防止装置および反転防止方法を用いた後、開繊することにより、炭素繊維束自身に撚りが残っている場合でも、安定にかつ、毛羽発生がほとんどなく開繊ができ均一な薄い炭素繊維シートが得られる。
【0041】
また、本発明のプリプレグ製造方法とすることにより、ワレのない品位良好なプリプレグが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維束反転防止装置の一例を示す側面概略図である。
【図2】本発明に適用されるローラー軸方向に突起のある回転ローラーの一例を示す側面概略図である。
【符号の説明】
Y:炭素繊維束
1:炭素繊維束の巻き取りパッケ−ジ
2:引き揃えフリー回転ローラー
3:分繊コーム
4:加熱手段
5:ローラー軸方向に突起のある回転ローラー
6:フリー回転ローラー
7:開繊装置
7a:導入フリー回転ローラ
7b:振動フリー回転ローラー
7c:無振動フリー回転ローラー
7d:開繊装置出フリー回転ローラー
7e:加熱手段
8:導入フリー回転ローラー
9:下樹脂フィルム
10:上樹脂フィルム
11:加熱手段
12:含浸ローラー
r:ローラー軸方向に突起のある回転ローラーの半径
θ:突起間の角度
t:突起の高さ
K:フィラメント数
Claims (8)
- 複数本の炭素繊維糸を案内するガイド部と、該ガイド部を介して搬送されてくる炭素繊維糸を所定間隔に整列させる整列部と、該整列部により整列させた炭素繊維束に樹脂を含浸させる含浸部とを備える炭素繊維プリプレグの製造装置において、前記整列部と含浸部との間に、少なくとも一対のローラーまたはガイドからなり、それらが間隔を置いて配置されており、整経された炭素繊維束が、上下からローラーまたはガイドによってその接触角が合計して20〜180°で把持される構造からなるとともに、表面に突起を有するローラーからなり、該ローラーが炭素繊維束の走行速度に比べて低速でかつ炭素繊維束と同一方向または逆方向に回転する、炭素繊維束の反転防止装置を設けたことを特徴とする炭素繊維プリプレグの製造装置。
- 反転防止装置が、表面に突起を有するローラーとフリー回転ローラーからなり、これらのローラーの表面粗さが3S〜20Sの梨地表面であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維プリプレグの製造装置。
- 反転防止装置と含浸装置との間に炭素繊維束の開繊装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維プリプレグの製造装置。
- 反転防止装置の上流側に加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維プリプレグの製造装置。
- 複数本の炭素繊維糸を解舒し、ガイド部を介して糸条を搬送し、整列部によって所定間隔に整列させ、および整列させた炭素繊維束に樹脂を含浸させる炭素繊維プリプレグの製造方法において、前記整列部から含浸部との間に設けられた、少なくとも一対のローラーまたはガイドからなり、それらが間隔を置いて配置されており、整経された炭素繊維束が、上下からローラーまたはガイドによってその接触角が合計して20〜180°で把持される構造からなるとともに、表面に突起を有するローラーからなり、該ローラーが炭素繊維束の走行速度に比べて低速でかつ炭素繊維束と同一方向または逆方向に回転する反転防止装置に炭素繊維束を通し、該炭素繊維束の反転を防止することを特徴とする炭素繊維プリプレグの製造方法。
- 炭素繊維束を予め50〜180℃に加温させたのち反転防止させることを特徴とする請求項5に記載の炭素繊維プリプレグの製造方法。
- 前記整列部と反転防止装置との間隔を0.3〜1.5mとし、反転防止装置に導入する炭素繊維束張力を5〜80g/K(1000フィラメント)・本とすることを特徴とする請求項5または6に記載の炭素繊維プリプレグの製造方法。
- 前記整列部が各糸条毎に1対のコーム状のガイドからなり、該ガイドの間隔が糸条の幅の1/2以下であり、炭素繊維のフィラメント数が10,000〜100,000フィラメントであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の炭素繊維プリプレグの製造方法。
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