JP2005169697A - プリプレグの製造装置および製造方法 - Google Patents

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大策 赤瀬
Moritomo Kozai
盛智 香西
Masabumi Kondo
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Abstract

【課題】
ワレ、開繊ムラを改善し、平滑性に優れた品位の良いプリプレグの製造方法を提供する。特に、ケバだちやすい炭素繊維束を強化繊維に用いた場合や、低目付のプリプレグを製造する場合であってもかかる効果を有し、プリプレグを安定して製造するプリプレグの製造方法を提供する。
【解決手段】
複数本の強化繊維を案内するガイド部と、該ガイド部を介して搬送されてくる強化繊維を所定間隔に整列させる整列部と、該整列部により整列させた強化繊維束に樹脂を含浸させる含浸部とを備える強化繊維プリプレグの製造装置において、前記整列部と含浸部との間に強化繊維束の引き揃え手段を設けてなるプリプレグの製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂複合材料用の素材として好適なプリプレグを製造する装置およひ製造方法に関する。特に、本発明は複数本の太糸条の炭素繊維などの強化繊維を使用して中厚ものプリプレグに加工する場合や、比較的細糸条の炭素繊維などの強化繊維を、薄物プリプレグに加工する場合に適当な強化繊維プリプレグの製造装置および製造方法に関する。
補強用繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、炭素繊維エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を始めとする熱硬化性樹脂を含浸せめ、釣竿、ゴルフシャフト、バトミントンシャフト等のスポーツ、レジャー用機材として広く利用されている。更に航空機材料、自動車用素材、医療用素材において、上述した複合材料を用いた成型材料が多く使用されている。
炭素繊維複合材料は、代表的には中間素材として、マトリックス樹脂が硬化していない状態の、いわゆるプリプレグとして提供される。炭素繊維プリプレグを製造するには、一般にチーズ状に巻かれた炭素繊維を撚りの入らないように引き出し、ガイドを通じて整経して、一定幅、ピッチでシート状に形成し、樹脂と含浸させてプリプレグを製造する。
このようにして得られるプリプレグは、用途の多様化と、特に釣竿、ゴルフシャフトで近年の軽量化の需要に伴い、均一で薄いプリプレグの必要性が増大してきた。
均一で薄いプリプレグは薄肉成形体を得るためでなく、一方向引き揃え補強繊維強化樹脂の異方性の特徴を生かした多彩な設計を可能なものとし、複合材料の使用用途をさらに拡大するものと考えられる。
このような均一で薄いプリプレグの要求が高まるなか、その原料となる炭素繊維束を開繊する前に引き揃える技術が必要になってきた。
プリプレグの製造において、炭素繊維束を開繊する前に引き揃える技術が必要な理由のひとつとしてコストダウンがある。均一でしかも薄いプリプレグを作るためには通常、単糸径の細い炭素繊維束あるいはフィラメント数の少ない炭素繊維束を一方向に引き揃えて薄いプリプレグシートを作るのが一般的である。太い炭素繊維束またはフィラメント数の多いものを引き揃えて使用し開繊することで、これまでと同じ厚みの薄いプリプレグを得ようとする技術である。
一般に、細い炭素繊維束あるいはフィラメント数の少ない炭素繊維束は高価であるため、できる限り太い炭素繊維束、フィラメント数の多い炭素繊維束を開繊し、薄い炭素繊維束シートを作り、プリプレグ化する方が有利である。
このように炭素繊維束のプリプレグ製造技術の中でも原料の炭素繊維束をいかに効率よく引き揃え、開繊するかという技術は重要となっている。
従来、炭素繊維プリプレグを作製する際には、複数本の繊維をシート状に形成する必要があり、通常一定ピッチの溝を切ったローラーや櫛形の針を所定のピッチに並べたコーム型ガイドを用いて整経される。このようなガイドには炭素繊維を傷つける問題があり、それらを防ぐため繊維と直角方向にガイドを揺動させる工夫なども見られる(たとえば、特許文献1参照)。また、品位が良好なプリプレグを得るために50〜200℃に加熱した丸棒を接触させ、繊維束を開繊させる工夫が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。また、炭素繊維糸を所定間隔に整列させる整列部と、含浸部との間に炭素繊維束の反転防止装置を設ける方法が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの方法でも、特に本発明が対象とするようなプリプレグに関して表面の品位を解決する工夫については未だ十分な解決を見ていないのが現状である。
特開平7−227840号公報 特開平3−146735号公報 特開平11−156852号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、強化繊維束の引き揃えを、より高速で、かつ、単繊維切れや毛羽の発生を防止しながら、しかも、均一におこなうことができるプリプレグの製造装置および製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)複数本の強化繊維を案内するガイド部と、該ガイド部を介して搬送されてくる強化繊維を所定間隔に整列させる整列部と、該整列部により整列させた強化繊維束に樹脂を含浸させる含浸部とを備えるプリプレグの製造装置において、前記整列部と含浸部との間に強化繊維束の引き揃え手段を設けてなるプリプレグの製造装置。
(2)前記引き揃え手段が、複数のロールからなり、そのうちの少なくとも一つのロールが振動付与ロールである、前記(1)に記載のプリプレグの製造装置。
(3)前記引き揃え手段が、複数のロールからなり、該ロールと整列された強化繊維束との接触角の合計が20〜250°となるよう前記複数のロールが配置されてなる、前記(1)または(2)に記載の炭素繊維プリプレグの製造装置。
(4)引き揃え手段を構成する前記ロールの少なくとも1つが、その中心軸周りに自在に回転可能なフリー回転ロールであって、そのロール表面に突起を有する請求項2または2に記載のプリプレグの製造装置。
(5)振動付与ロールが、周波数10〜50Hz、振幅0.5〜3mmの範囲内で振動させるものである、前記(2)から(4)のいずれかに記載のプリプレグの製造装置。
(6)前記表面に突起を有するロールの突起高さ(t)が、ロール半径(r)に対して、r(1/cos(θ/2)−1)を超える高さであって、隣接する突起間とローラ軸とのなす角度(θ)を5〜50°である、前記(4)または(5)に記載のプリプレグの製造装置。
(7)前記複数のロールの少なくとも1つのロールの表面粗さが3S〜20Sの梨地表面である、前記(2)〜(6)のいずれかに記載のプリプレグの製装置。
(8)前記引き揃え手段と含浸部との間に強化繊維束の開繊装置を有する、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のプリプレグの製造装置。
(9)複数本の強化繊維を案内するガイド部を介して搬送されてくる強化繊維を整列部により所定間隔に整列させ、該整列させた強化繊維束を樹脂含浸部により樹脂を含浸させ、さらに前記整列部と含浸部との間に設けられた引き揃え手段により強化繊維束を引き揃える、強化素繊維プリプレグの製造方法。
(10)前記引き揃え手段の上流側に加熱手段を設け、走行中の強化繊維束を予め50〜180℃に加温することにより強化繊維束に付着しているサイジング剤を軟化させ、このサイジング剤が軟化状態にある間に、引き揃え手段を通過させる、前記(9)に記載のプリプレグの製造方法。
(11)前記整列部と引き揃え手段との間隔Lを0.3〜1.5mとし、引き揃え装置に導入する炭素繊維束張力を0.1〜0.8N/K(1000フィラメント)・本とする、前記(9)または(10)に記載のプリプレグの製造方法。
(12)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の装置または前記(9)〜(11)のいずれかに記載の方法によって製造される、プリプレグ。
本発明は、複数本の炭素繊維などの強化繊維を案内するガイド部、該ガイド部を介して搬送されてくる複数本の強化繊維を所定間隔に整列させる整列部、該整列部から導出された糸条に樹脂を含浸させる含浸部とを備える強化繊維プリプレグの製造装置において、前記整列部と樹脂含浸との間に強化繊維束の引き揃え手段を設けて強化繊維束を引き揃えるので、均質で品位に優れた一方向性プリプレグを製造することができる。特に前記引き揃え手段として、表面に突起がある回転ロールを用いた場合には、突起部で強化繊維束を屈曲させる部分に振動を与えて、強化繊維束の引き揃え、開繊による拡幅を、より高速で、かつ、単繊維切れや毛羽の発生を防止しながら、しかも、均一に行うことができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、複数本の強化繊維を案内するガイド部、該ガイド部を介して搬送されてくる複数本の強化繊維を所定間隔に整列させる整列部、該整列部から導出された強化繊維束を、引き揃え、樹脂含浸部に導入するものである。
本発明者らが解析したところによれば、通常、工程で糸条に撚りを入れていないいわゆる非加撚・無撚強化繊維束でも、巻き上げ、あるいはキャン収納、解じょ時などに糸道の作用によって強化繊維束自身に部分的な転がりによる単繊維の捻れが入っている。このような単繊維の捻れがプリプレグの含浸部に混入すると強化繊維束の開繊が阻害されるとともに、転がりによる単繊維の捻れにより、強化繊維束が左右に移動し、強化繊維束間のピッチがずれ、この強化繊維束シートを用いてプリプレグを作製すると、ワレが発生する問題がある。本発明者らは、引き揃え手段を整列手段と含浸手段との間に設け、糸条の転がりを止め、上流側に設けたフリーゾーンで単繊維の捻れを緩和することによって、単繊維の捻れのない強化繊維束を作ることができるため、ピッチを一定に保持でき、開繊状態の良好な強化繊維束を供給することを見出した。特に表面に突起がある回転ロールを用い突起部で強化繊維束を屈曲させると同時に振動を与えて、強化繊維束を扁平にすることにより、その効果が大きいことを見いだしたものである。
ここで、より好ましい開繊状態で強化繊維束を引き揃えるには、整列部の後方に設けられる引き揃え手段は、少なくとも一対の複数のローラからなり、それらが間隔をおいて配置されていることが好ましく、整列された強化繊維束が、上下(強化繊維束の走行方向に対して交差する方向)からロールによってその接触角が合計して好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上、好ましくは250°以下、より好ましくは180°以下で把持される構造である。引き揃え手段のうち、その複数のロールが、その中心軸周りに自在に回転可能なフリー回転ロールで、そのロール円周上表面に突起を有するロール群からなる。表面に突起を有するロールは、糸条との接触長が短く、糸条張力によって変形することも少ないので、糸条の転がり(ねじれ、よじれ)防止、把持効果に優れる利点がある。
また、振動を付与するロールは、好ましくは周波数10〜50Hz、振幅0.5〜3mmの範囲内で振動させる。より好ましくは、周波数20〜30Hz、振幅1〜2mm程度とする。周波数や振幅があまり小さいと引き揃え作用が低くなり、また、あまり大きいと強化繊維束の擦過による単繊維切れや毛羽立ちを起こすことがある。
前記表面に突起を有するロールの突起高さ(t)を、ロール半径(r)に対して、r(1/cos(θ/2)−1)を超える高さとし、隣接する突起間とローラ軸とのなす角度(θ)を5〜50°になるように設定することが好ましい。さらに、該ロール軸方向に突起をもつ回転ロールを複数本備えたものであることが好ましく、このようにすることにより、よじれなどの混入を防止しつ、均一に引き揃えられた強化繊維束を含浸部に導入することができる。
突起の高さは、r(1/cos(θ/2)−1)を超える高さとすることによって、強化繊維束をロール表面に接触させないようにし、糸条の損傷を防ぐことができる。また隣接する突起間とロール軸とのなす角度(θ)は5〜50°とすることが好ましく、10〜40°とすることがより好ましい。5°未満では突起のピッチが狭すぎて糸条のよじれを止める力が弱くなり、また、50°を超えると突起部の曲率が大きくなり、強化繊維束の単繊維切れや毛羽が発生する場合がある。
表面に突起を有するロールとしては、硬質クロムメッキ、セラミックス、ポリフッ化エチレン処理した金属などからなり、その表面粗さ(表面粗さ:JISB0601記載の最大高さ表示)は3S〜20Sの梨地表面とすることが好ましく、6S〜16Sの表面粗さとすることがより好ましい。表面粗さが3S未満となると強化繊維束のロール表面への接触面積が多くなり、サイジング剤がロール表面に転写し、汚れて強化繊維束の単繊維が巻き付き糸切れが生じやすくなる。一方、20Sを超えるとロール表面の凹凸で強化繊維束が傷つきやすくなり、毛羽が発生する原因となりやすい。
本発明において、前記整列部と引き揃え手段との間隔L、具体的には図1に示すコーム4とガイドロール6の軸中心との間隔Lは、0.3〜1.5mとすることが好ましく、より好ましくは0.5〜1mとし、引き揃え手段に導入する強化繊維束張力を0.1〜0.8N/K(1000フィラメント)・本とする。整列部との距離が0.3m未満ではよじれた糸条が引き揃え手段を乗り越えて含浸部に導入されやすくなり、1.5mを超えると糸道の乱れなどが増大し、プリプレグの品位が低下する場合がある。
強化繊維束の張力が0.1N/K・本未満である場合、糸条の糸道が安定せず、糸条のねじれ防止効果が低下し、0.8N/K・本を超えると強化繊維束の単繊維切れや毛羽立ちによる製品品位の低下をもたらすので好ましくない。より好ましい張力の範囲は0.1〜0.6N/K・本である。
上記強化繊維束の引き揃え手段において、強化繊維束を予め加温できる加熱手段を設置することにより、強化繊維束に付与されているサイジング剤を軟化させ、このサイジング剤が軟化状態にある間に引き揃え手段を通過させられるので、糸条のよじれ防止効果を高めることができる。この際の糸条の温度は50〜180℃とすることが好ましく、より好ましくは70〜150℃である。温度が50℃より低いと軟化の効果がほとんど得られず、180℃より高いとサイジング剤の変質などが生じ、ロールとの摩擦係数が高くなり毛羽を発生する原因となる場合がある。
加熱手段としては熱風を吹き付ける、熱板に接触させる、ヒーターによって輻射加熱する等の装置があるが、強化繊維束を効率的に加温するには近赤外、中赤外、遠赤外ヒーターによる輻射による装置が好ましい。
引き揃え手段と含浸部との間に開繊装置を設置すると、特に平滑性等のプリプレグ品位が向上する。開繊装置は糸条のサイジング剤による集束を弱め、糸幅を拡幅する機能を有している。
本発明の引き揃え方法や引き揃え装置を備えたプリプレグ製造装置によれば、薄く、かつ、均一な強化繊維シートをより高速で含浸部に導入することができ、かかる強化繊維シートにマトリクス樹脂を含浸することで一方向性プリプレグを製造することができる。
以下、図面に示す実施態様に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は本発明に適用する、一形態に係る強化繊維束の引き揃え装置を示すもので、図示しない多数個のパッケージから繰り出される多数本の強化繊維束1、1、・・・は、自由回転する案内ロール2、張力検出ロール3、櫛形の針を所定のピッチに並べたコーム4からなる整列部を経て一方向に互いに並行するように整列させ、引き揃え手段8に導かれる。
ガイドロール6を通過した強化繊維束1、1、・・・は、次いで縦振動付与ロール7に導かれ、縦振動付与ロール7により振動を付与され、強化繊維束が引き揃えられる。さらに、開繊装置9に導かれ、開繊されて強化繊維シート10となる。
なお、引き揃え手段8の上流側には強化繊維束1、1、・・・を加熱するヒータ5が設けられている。
引き揃え手段8は、強化繊維束1、1、・・・の走行方向(図面左方から右方に向かう方向)に沿って設けた、この例では1本の、図示しない縦加振源によってロール上下方向(強化繊維束の走行方向と交差する方向)に振動せしめられる縦振動付与ロール7を有する。
さて、多数個のパッケージから繰り出される多数本の強化繊維束1、1、・・・は、自由回転する案内ロール2、張力検出ロール3、コーム4の整列部を経て一方向に互いに並行するように整列され引き揃え手段8に導かれる。
コーム4の整列部を経て導かれた強化繊維束1、1、・・・は、ヒータ5によって所望の温度に保たれながら、引き揃え手段8に導かれる。この例では走行中の強化繊維束が加熱されてサイジング剤が軟化状態にある間にガイドロール6を通過させ、次いでロール上下方向に振動が付与される縦振動付与ロール7よって、縦振動が付与され、強化繊維束が引き揃えられる。さらに、開繊装置9に導かれ、開繊、拡幅され、もはや繊維束の体をなさない強化繊維シート10となる。
なお、引き揃え手段8で引き揃えの際の張力は、強化繊維束の単繊維1000本あたり0.1〜0.8Nの範囲となるようにするのが好ましい。張力があまり低すぎると引き揃え作用が低くなり、高すぎると単繊維切れや毛羽が生じやすくなる。
引き揃え手段8では、強化繊維束が上下(強化繊維束の走行方向に対して交差する方向)から、ガイドロール6と縦振動付与ロール7によって、その接触角が合計して20°〜250°の範囲となるようにするのが好ましい。接触角が小さすぎると引き揃え作用が低くなり、高すぎると強化繊維束の擦過による単繊維切れや毛羽立ちが生じやすくなる。
縦振動付与ロール7は、強化繊維束の種類や太さ、強化繊維束の走行速度等にもよるが、周波数10〜50Hz、振幅0.5〜3mm程度の範囲で振動させるのが好ましい。通常は、振動数20〜30Hz、振幅1〜2mm程度とする。振動数や振幅があまり小さいと引き揃え作用が低くなり、また、あまり大きいと強化繊維束の擦過による単繊維切れや毛羽立ちが起こりやすくなるからである。
強化繊維束を引き揃えする場合には、ヒータ5で50〜180℃程度の温度に保ちながら引き揃えするのが好ましい。50℃よりも低い温度ではサイジング剤の軟化が十分でないことがあり、180℃を超えると、サイジング剤が変質したり、ロール等の摩擦が大きくなって単繊維切れや毛羽を生ずることがある。
引き揃え手段8のガイドロール6および縦振動付与ロール7の表面は、平滑すぎると強化繊維束との接触面積が大きくなって、たとえばサイジング剤の転写による単繊維の巻付きや単繊維切れが起こったりするようになり、また、あまり粗いと強化繊維束が傷ついて単繊維切れを生じやすくなるので、表面粗さが3〜20S程度の梨地仕上げとしておくのが好ましい。
上記において、強化繊維束としては、たとえば、炭素繊維束、ガラス繊維束、アラミド繊維束などが適用できる。なかでも、本発明は、比較的高弾性率で、単繊維切れや毛羽を生じやすい炭素繊維束を引き揃え、開繊する場合に好適である。炭素繊維束としては、たとえば、ポリアクリロニトリル系繊維やピッチ系繊維等を原料繊維とする、単繊維数1,000〜100,000本のものを用いることができる。なお、本発明は、ただ1本の炭素繊維束を引き揃え、開繊する場合でも適用することができるが、通常は、少なくとも10本の炭素繊維束に対して適用する。
強化繊維束の走行速度は、遅すぎると引き揃え、開繊の効率が悪くなり、速すぎると引き揃え、開繊の拡幅が小さくなって多くのガイドロールや縦振動付与ロールが必要になり、広い設置スペースも必要になってくるので、3〜20m/分程度とするのが好ましい。
さて、引き揃え、開繊によって得られた強化繊維シートは、それを一方向性プリプレグの製造装置に供することで一方向性プリプレグとすることができる。すなわち、たとえば、図2に示すように、図1に示した引き揃え装置、開繊装置によって得られる強化繊維シート10の上下面に、導入ロール12、12を介して導入される、Bステージのエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂組成物(マトリクス樹脂)を塗布した離型紙11、11をその樹脂塗布面が強化繊維シート10側を向くように重ね合わせ、ヒータ14で予熱した後、加熱された含浸ロール15、15間に通して離型紙11、11上のマトリクス樹脂を強化繊維シート10に転移、含浸する。すなわち、一方向性プリプレグとする。マトリクス樹脂の転移、含浸後は、引取ロール16、16を経て上側の離型紙13を剥ぎ取り、下側の離型紙11ごとロール状に巻き取り、一方向性プリプレグのロール体17とする。
(実施例1)
図1に示した装置を用い、炭素繊維束として、平均単繊維径7μm、単繊維数12,000本、繊度0.8kg/mの炭素繊維束(東レ株式会社製“トレカ”(登録商標)T700SC−12K)を用い、その100本を10mmピッチで一方向に並列するように整列させ、8m/分の速度で図1に示した引き揃え装置に供給した。
前記整列部と引き揃え部との間隔L、具体的にはコーム4とガイドロール6の軸中心との間隔Lを1mとし、ロール表面に突起部を有するロールからなる引き揃え手段を1組セットし、ロール半径20mm、突起間の角度45°、突起部高さ2mm、表面粗さ10Sの梨地表面に加工されている硬質クロムメッキロールである、ガイドロール6と縦振動付与ロール7の接触角が合計して180°に設定した。供給時の単繊維1,000本あたりの張力は0.5Nに設定した。
振動付与ロール7としてはそれを振幅1.5mm、振動数20Hzで上下方向に振動させた。
ヒータ5としては赤外線ヒータを用い、ヒータ5では炭素繊維束が77℃になるように加熱した。この77℃という温度は、上記炭素繊維束に付着せしめられているサイジング剤の軟化温度である。
その後、開繊処理し、炭素繊維シートを作製した。得られた炭素繊維シートは、幅1000mm、目付が80g/m2 で、元の炭素繊維束の形態はなく、引き揃え前の炭素繊維束の幅からみて約1.7倍の幅に引き揃え、開繊されていた。
(実施例2)
実施例1において、同様の炭素繊維束を69本を14.5mmピッチで一方向に並列するように整列させ、8m/分の速度で図1に示した引き揃え装置に供給した。
得られた炭素繊維シートは、幅1000mm、目付が55g/m2 で、元の炭素繊維束の形態はなく、開繊前の炭素繊維束の幅からみて約2.4倍の幅に引き揃え、開繊されていた。
(実施例1−A)
実施例1で得られた強化繊維シートを、図2に示した装置に供給し、一方向性プリプレグを製造した。離型紙としては、一面にBステージのエポキシ樹脂を幅1,000mm、単位面積当たりの塗布量(樹脂目付)35g/m2で塗布したものを用いた。また、ヒータによる加熱温度は120℃とし、含浸ロールの線圧は1,000kg/1,000mm幅とした。
得られた一方向性プリプレグは、炭素繊維の体積含有率が70%、プリプレグ目付が115g/m2 であり、ワレや平滑性不良部分等は認められなかった。
(実施例2−A)
実施例2で得られた強化繊維シートを、図2に示した装置に供給し、一方向性プリプレグを製造した。離型紙としては、一面にBステージのエポキシ樹脂を幅1,000mm、単位面積当たりの塗布量(樹脂目付)32g/m2で塗布したものを用いた。また、ヒータによる加熱温度は 120℃とし、含浸ロールの線圧は1,000kg/1,000mm幅とした。
得られた一方向性プリプレグは、炭素繊維の体積含有率が63%、目付が87g/m2 であり、ワレや平滑性不良部分等は認められなかった。
(比較例1)
実施例1において、引き揃え手段を除去した。
得られた炭素繊維シートは、幅1,000mm、目付が80g/m2 で開繊の程度は引き揃え前の炭素繊維束の幅からみて約1.7倍であったが所々に炭素繊維束の形態が残存していた。また、実施例1−Aと同様にして得た一方向性プリプレグには、連続したワレが認められた。
(比較例2)
実施例2において、振動付与ロールの代わりに無振動の同型ロールを設置した。
得られた炭素繊維シートは、幅1000mm、目付が55g/m2 で開繊の程度は引き揃え前の炭素繊維束の幅からみて約2倍であったが、炭素繊維束間の拡がりバラツキが大きかった。また、実施例2−Aと同様にして得た一方向性プリプレグには、多数の連続したワレが認められた。
本発明に適用する、一形態に係る引き揃え装置の概略正面図である。 本発明の一形態に係る、一方向性プリプレグの製造装置の概略正面図である。 本発明に好ましく適用されるロール円周上表面に突起を有するロールの概略正面図である。
符号の説明
1:強化繊維束
2:案内ロール
3:張力検知ロール
4:コーム
5:ヒータ−
6:ガイドロール
7:縦振動付与ロール
8:引き揃え部
9:開繊装置
10:強化繊維シート
11:離型紙
12:導入ロール
13:離型紙
14:ヒータ
15:含浸ロール
16:引取りロール
17:一方向性プリプレグのロール体
r:ロール半径
θ:突起間の角度
t:突起部高さ
L:

Claims (12)

  1. 複数本の強化繊維を案内するガイド部と、該ガイド部を介して搬送されてくる強化繊維を所定間隔に整列させる整列部と、該整列部により整列させた強化繊維束に樹脂を含浸させる含浸部とを備える強化繊維プリプレグの製造装置において、前記整列部と含浸部との間に強化繊維束の引き揃え手段を設けてなるプリプレグの製造装置。
  2. 前記引き揃え手段が、複数のロールからなり、そのうちの少なくとも一つのロールが振動付与ロールである、請求項1に記載のプリプレグの製造装置。
  3. 前記引き揃え手段が、複数のロールからなり、該ロールと整列された強化繊維束との接触角の合計が20〜250°となるよう前記複数のロールが配置されてなる、請求項1または2に記載のプリプレグの製造装置。
  4. 引き揃え手段を構成する前記ロールの少なくとも1つが、その中心軸周りに自在に回転可能なフリー回転ロールであって、そのロール表面に突起を有する請求項2または3に記載のプリプレグの製造装置。
  5. 前記振動付与ロールが、周波数10〜50Hz、振幅0.5〜3mmの範囲内で振動させるものである、請求項2〜4のいずれかに記載のプリプレグの製造装置。
  6. 前記表面に突起を有するロールの突起高さ(t)が、ロール半径(r)に対して、r(1/cos(θ/2)−1)を超える高さであって、隣接する突起間とローラ軸とのなす角度(θ)が5〜50°である、請求項4または5に記載のプリプレグの製造装置。
  7. 前記複数のロールの少なくとも1つのロールの表面粗さが3S〜20Sの梨地表面である、請求項2〜6のいずれかに記載のプリプレグの製造装置。
  8. 前記引き揃え手段と含浸部との間に強化繊維束の開繊装置を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグの製造装置。
  9. 複数本の強化繊維を案内するガイド部を介して搬送されてくる強化繊維を整列部により所定間隔に整列させ、該整列させた強化繊維束を樹脂含浸部により樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、前記整列部と含浸部との間に設けられた引き揃え手段により強化繊維束を引き揃える、プリプレグの製造方法。
  10. 前記引き揃え手段の上流側に加熱手段を設け、走行中の炭素繊維束を予め50〜180℃に加温することにより強化繊維束に付着しているサイジング剤を軟化させ、このサイジング剤が軟化状態にある間に、引き揃え手段を通過させる、請求項9に記載のプリプレグの製造方法。
  11. 前記整列部と引き揃え手段との間隔Lを0.3〜1.5mとし、引き揃え手段に導入する強化繊維束張力を0.1〜0.8N/K(1000フィラメント)・本とする、請求項9または10に記載のプリプレグの製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の装置または請求項9〜11のいずれかに記載の方法によって製造される、プリプレグ。
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WO2017131344A1 (ko) * 2016-01-27 2017-08-03 (주)엘지하우시스 프리프레그 제조 장치 및 이를 이용한 프리프레그 제조 방법

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